説明

自動取引装置

【課題】媒体が備える磁気記録体の磁気レベル情報をグラフにして表示するようにして、前記磁気記録体の磁気レベルを容易に把握することができ、磁気レベルの低下が原因で取引が不可能であることを容易に認識することができるようにする。
【解決手段】金融機関の顧客が操作して金融取引を行う自動取引装置10であって、前記顧客の媒体21が備える磁気記録体22の磁気レベルを示す磁気レベル情報を出力する磁気読取部13と、前記磁気レベル情報を示す磁気レベルグラフを作成するグラフ情報作成部14と、前記磁気レベルグラフを表示する表示部12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関の支店等には、ATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置が設置されている。そして、顧客は前記自動取引装置を自分で操作して、入金、出金、振込、振替等の金融取引を行うようになっている。この場合、顧客が自分の所有するキャッシュカードを自動取引装置のカードリーダのカードスロットに挿入すると、キャッシュカードが備える磁気ストライプに記録された顧客の口座番号、金融機関の支店番号等の情報が前記カードリーダが備える磁気ヘッドによって読み取られる。
【0003】
しかし、前記キャッシュカードの度重なる使用によってその磁気ストライプの磁気が所定のレベル以下に低下し、カードリーダによる情報の読取が不可能になってしまうことがある。このような場合、読取が不可能となった原因が、キャッシュカードの磁気ストライプ又はカードリーダのいずれにあるのか把握が困難である。そこで、キャッシュカードの表面に情報表示部を形成し、磁気ストライプの磁気のレベルが低下していることを検出すると、その旨を前記情報表示部に印刷して顧客に通知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−338404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の自動取引装置においては、キャッシュカードの表面に磁気ストライプの磁気のレベルが低下している旨の情報を印刷するので、キャッシュカードは情報表示部が形成されたものでなければならず、現在使用されている通常のキャッシュカードを表面に情報表示部が形成されたキャッシュカードに交換する必要があり、実現が困難である。また、カードリーダにも前記情報を印刷するための印刷装置を装填(てん)する必要があり、コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、前記従来の自動取引装置の問題点を解決して、媒体が備える磁気記録体の磁気レベル情報をグラフにして表示するようにして、前記磁気記録体の磁気レベルを容易に把握することができ、磁気レベルの低下が原因で取引が不可能であることを容易に認識することができる自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の自動取引装置においては、金融機関の顧客が操作して金融取引を行う自動取引装置であって、前記顧客の媒体が備える磁気記録体の磁気レベルを示す磁気レベル情報を出力する磁気読取部と、前記磁気レベル情報を示す磁気レベルグラフを作成するグラフ情報作成部と、前記磁気レベルグラフを表示する表示部とを有する。
【0007】
本発明の他の自動取引装置においては、金融機関の顧客が操作して金融取引を行う自動取引装置であって、前記顧客の媒体が備える磁気記録体の磁気レベルを示す磁気レベル情報を出力する磁気読取部と、前記磁気レベル情報を示す磁気レベルグラフを作成するグラフ情報作成部と、前記磁気レベルの低下を判定する磁気レベル低下判定部と、前記磁気レベルに問題がある旨を説明する説明情報を作成する磁気レベル説明情報作成部と、前記磁気レベルグラフとともに前記説明情報を表示する表示部とを有する。
【0008】
本発明の更に他の自動取引装置においては、さらに、前記説明情報は、前記磁気レベルグラフにおけるどの部分が所定のレベル以下に低下している部分であるかを説明する説明情報、及び、前記磁気記録体の磁気レベルに異常がある旨を説明する説明情報を含む。
【0009】
本発明の更に他の自動取引装置においては、さらに、前記磁気記録体の磁気レベルが所定のレベル以下に低下している場合、金融取引を中止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動取引装置においては、媒体が備える磁気記録体の磁気レベル情報をグラフにして表示する。これにより、媒体が備える磁気記録体の磁気レベルを容易に把握することができ、磁気レベルの低下が原因で取引が不可能であることを容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
図において、10は、銀行、信用金庫、郵便局等の金融機関の支店等に配設されたATM、CD等の自動取引装置であり、前記金融機関の顧客が、自分で操作して入金、出金、通帳記帳、残高照会、振込、振替、送金等の取引、すなわち、金融取引を行うための装置である。なお、前記自動取引装置10は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店の店舗、地下街、駅の構内、市役所、病院等の公共施設、工場、事務所等の私企業、駐車場、道路脇(わき)等の屋外等に配設されていてもよい。また、前記自動取引装置10は、他の機能、例えば、チケット予約機能、商品購入申込み機能、クレジットカードの与信確認機能、施設情報案内機能等を有するキオスク(KIOSK)端末のような多機能端末であってもよい。なお、前記顧客は、金融機関に自己の口座を開設し、前記金融取引を行う者である。
【0014】
ここで、12は、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示手段を備え、該表示手段の画面上に各種情報を表示する表示部である。該表示部12は、自動取引装置10のいかなる部位に配設されたものであってもよく、例えば、顧客が操作する顧客操作部のタッチパネルであってもよいが、本実施の形態においては、自動取引装置10の筐(きょう)体に配設された保守点検用の表示パネルであって、自動取引装置10の保守及び点検を行う金融機関の係員のみが視認するものであるものとして説明する。
【0015】
また、21は、磁気ストライプ等の磁気記録体22を備える媒体であって、例えば、キャッシュカード、クレジットカード等のカード、預金通帳等の通帳である。本実施の形態においては、媒体21がキャッシュカードであるものとして説明する。この場合、前記磁気記録体22には、顧客の氏名、金融機関名、店番号、口座番号等の情報が磁気データとして格納されている。
【0016】
そして、13は、前記媒体21の磁気記録体22から磁気データを読み取る磁気読取部である。該磁気読取部13は、前記媒体21が通帳である場合には、通帳処理部であり、図示されない通帳スロットから顧客が挿入した媒体21に取引の内容を印字する印字装置を備える。しかし、本実施の形態においては、前記媒体21がキャッシュカードであるので、前記磁気読取部13がカード処理部であるものとして説明する。この場合、磁気読取部13は、図示されないカードスロット、該カードスロットから顧客が挿入した媒体21を搬送する搬送装置、前記媒体21の磁気記録体22から磁気データの読取及び書込を行う磁気ヘッド等を備える。また、磁気読取部13は、前記磁気記録体22の磁気レベルを読み取り、該磁気レベルを示す磁気レベル情報を出力する。さらに、磁気読取部13は、取引の明細が記載された明細票、すなわち、レシートを印字する機構を有するものであってもよい。
【0017】
また、前記自動取引装置10は、図示されない顧客操作部としてのタッチパネル操作部を有する。該タッチパネル操作部は、例えば、CRT、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ等の表示手段の表面に、入力手段としての機能を備える感圧パネルを貼(てん)付したタッチパネルから成るものであるが、表示手段としての機能と入力手段としての機能を兼ね備える装置であれば、いかなる種類の装置から成るものであってもよい。前記顧客は、タッチパネル操作部の画面に表示されたテンキー、その他のボタンにタッチする、すなわち、ボタンを押すことによって、金融取引の選択、暗証番号の入力等の金融取引を行うために必要な各種の操作を行うことができる。
【0018】
さらに、前記自動取引装置10は、図示されない入出金部を有する。該入出金部は、入金等の金融取引において顧客が貨幣受取口に入金した紙幣又は硬貨を受け取り、カウント、すなわち、計数するとともに、出金等の金融取引において所定金額の紙幣又は硬貨を貨幣受取口から払い出す。なお、前記貨幣受取口には開閉可能なシャッタが配設され、該シャッタは、貨幣の入金及び払出の時に開くようになっている。
【0019】
そして、11は自動取引装置10全体の制御を行う制御手段としての制御部である。該制御部11は、半導体メモリ、磁気ディスク等から成る記憶手段に格納されたプログラムに従って動作を行う一種のコンピュータであり、CPU、MPU等の演算手段等を備え、前記表示部12及び磁気読取部13を含む自動取引装置10全体の動作を統括的に制御する。
【0020】
また、前記制御部11は、グラフ情報作成部14を備える。そして、前記磁気読取部13が出力した磁気記録体22の磁気レベルを示す磁気レベル情報を制御部11が受信すると、前記グラフ情報作成部14は、前記磁気レベル情報を示すグラフを作成し、該グラフを表示部12に送信して表示させる。
【0021】
なお、前記自動取引装置10は、図示されないネットワークを介して金融機関のコンピュータセンタ等に配設された勘定系上位装置としてのホストコンピュータと通信可能に接続されている。また、前記ネットワークは、有線又は無線の公衆通信回線網、専用通信回線網、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、衛星通信回線網等いかなる通信回線網であってもよく、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。
【0022】
次に、前記構成の自動取引装置10の動作について説明する。
【0023】
図2は本発明の第1の実施の形態における表示部の画面に表示された磁気レベル情報を示すグラフの例を示す図である。
【0024】
まず、自動取引装置10の前に立った顧客は、顧客操作部のタッチパネル操作部に表示されている取引画面から希望する取引を選択する。前記取引画面としては、初期画面である取引選択画面が表示され、入金、出金、通帳記帳、残高照会、振込等の金融取引を選択するための選択手段として、各金融取引に対応するボタンが表示されている。そして、顧客は、該当するボタンを押し下げることによって所望の金融取引を選択することができる。
【0025】
続いて、顧客は、カード処理部である磁気読取部13のカードスロットに自分のキャッシュカードである媒体21を挿入して暗証番号を入力することによって、本人認証を行う。すると、自動取引装置10とホストコンピュータとが通信を行うことによって、入力された暗証番号があらかじめ登録された暗証番号と一致するか否かが判断される。
【0026】
ここで、磁気読取部13は、前記媒体21が備える磁気記録体22の磁気レベルを読み取り、該磁気レベルを示す磁気レベル情報を出力する。続いて、制御部11は、前記磁気読取部13が出力した磁気記録体22の磁気レベルを示す磁気レベル情報を受信すると、該磁気レベル情報に基づいて、磁気記録体22の磁気レベルが所定のレベル以下に低下しているか否かを判断する。そして、磁気記録体22の磁気レベルが所定のレベル以下に低下していると判断すると、磁気データの正確な読取が不可能なので、制御部11は、タッチパネル操作部に表示されている画面を取引中止画面に切り替えて強制的に取引を中止する。また、磁気読取部13のカードスロットから媒体21が返却される。
【0027】
この場合、グラフ情報作成部14は、前記磁気レベル情報を示すグラフを作成し、該グラフを表示部12に送信する。すると、該表示部12は、図に示されるようなグラフ表示画面23を表示する。該グラフ表示画面23には、磁気レベル情報を示すグラフである磁気レベルグラフ24が表示される。図に示される例において、該磁気レベルグラフ24は、磁気記録体22の磁気レベルの一部が所定のレベル以下に低下し、磁気読取部13による磁気データの正確な読取が不可能になっていることを示している。
【0028】
これにより、顧客から通報を受けた金融機関の係員は、表示部12を視認することによって、磁気記録体22の磁気レベルを容易に把握することができ、該磁気レベルの低下が原因で取引が中止されたことを認識することができるとともに、その旨を顧客に説明することができる。
【0029】
一方、磁気記録体22の磁気レベルが所定のレベル以下に低下していない場合には、顧客による暗証番号の入力が継続される。この場合、顧客は、通常通り、暗証番号を四桁(けた)まで入力する。そして、制御部11は、暗証番号の入力が終了したか否かを判断し、入力が終了するまで待機し、入力された暗証番号があらかじめ登録された暗証番号と一致するか否かを判断する。
【0030】
続いて、暗証番号が一致すると、制御部11は、タッチパネル操作部に顧客が選択した金融取引を行うための画面を表示する。そして、顧客は、タッチパネル操作部を操作して、例えば、出金金額を入力することによって、取引内容の入力を行う。すると、自動取引装置10は、ホストコンピュータと通信を行い、金融取引を実行する。例えば、顧客が入力した出金金額に相当する貨幣を入出金部の貨幣受取口から払い出す。そして、取引が終了すると、カードスロットから媒体21が返却される。
【0031】
なお、暗証番号が一致しない場合、制御部11は、タッチパネル操作部に暗証番号エラーメッセージを表示させ、強制的に取引を中止する。そして、磁気読取部13のカードスロットから媒体21が返却される。
【0032】
このように、本実施の形態においては、媒体21が備える磁気記録体22の磁気レベルが所定のレベル以下に低下していると、磁気レベル情報を示すグラフを表示部12に表示させる。これにより、保守及び点検を行う金融機関の係員は、前記磁気記録体22の磁気レベルを容易に把握することができるとともに、該磁気レベルの低下が原因で取引が不可能であることを容易に認識することができる。そして、磁気レベルの低下が原因で取引が不可能となった旨を顧客に正確に説明することができる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、表示部12が自動取引装置10の筐体に配設された保守点検用の表示パネルである場合について説明したが、前記表示部12が顧客が操作する顧客操作部のタッチパネル操作部である場合には、該タッチパネル操作部にグラフ表示画面23が表示されることとなる。この場合、前記係員は、顧客に対してグラフ表示画面23の磁気レベルグラフ24を指し示しながら、磁気レベルの低下が原因で取引が不可能となった旨をより詳細に説明することができ、顧客を容易に納得させることができる。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0035】
図3は本発明の第2の実施の形態における自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【0036】
図に示されるように、本実施の形態において、制御部11は、媒体21が備える磁気記録体22の磁気レベルのどの部分が低下したのかを判定する磁気レベル低下判定部15と、媒体21が備える磁気記録体22の磁気レベルに問題がある旨を説明するための説明情報を作成する磁気レベル説明情報作成部16とを備える。そして、該磁気レベル説明情報作成部16は、前記磁気記録体22の磁気レベルに問題がある旨を説明するための説明情報を表示部12に送信して表示させる。
【0037】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0038】
次に、本実施の形態における自動取引装置10の動作について説明する。
【0039】
図4は本発明の第2の実施の形態における表示部の画面に表示された磁気レベル情報を示すグラフの例を示す図である。
【0040】
まず、自動取引装置10の前に立った顧客は、顧客操作部のタッチパネル操作部に表示されている取引画面から希望する取引を選択する。続いて、顧客は、カード処理部である磁気読取部13のカードスロットに自分のキャッシュカードである媒体21を挿入して暗証番号を入力することによって、本人認証を行う。すると、自動取引装置10とホストコンピュータとが通信を行うことによって、入力された暗証番号があらかじめ登録された暗証番号と一致するか否かが判断される。
【0041】
続いて、磁気読取部13は、前記媒体21が備える磁気記録体22の磁気レベルを読み取り、該磁気レベルを示す磁気レベル情報を出力する。続いて、制御部11が前記磁気読取部13が出力した磁気記録体22の磁気レベルを示す磁気レベル情報を受信すると、磁気レベル低下判定部15は、前記磁気レベル情報に基づいて、磁気記録体22の磁気レベルが所定のレベル以下に低下しているか否かを判断する。この場合、前記磁気レベル低下判定部15は、前記磁気レベルのどの部分が所定のレベル以下に低下している部分であるかについても判断する。
【0042】
そして、磁気記録体22の磁気レベルが所定のレベル以下に低下していると判断すると、磁気データの正確な読取が不可能なので、制御部11は、タッチパネル操作部に表示されている画面を取引中止画面に切り替えて強制的に取引を中止する。また、磁気読取部13のカードスロットから媒体21が返却される。
【0043】
この場合、グラフ情報作成部14は、前記磁気レベル情報を示すグラフである磁気レベルグラフ24を作成する。また、磁気レベル説明情報作成部16は、前記磁気レベル低下判定部15の判断に基づき、磁気レベルグラフ24におけるどの部分が所定のレベル以下に低下している部分であるかを説明する第1説明情報25a、取引が中止された原因を説明する第2説明情報25b、前記原因の所在がどこにあるのかを説明する第3説明情報25c等の説明情報25を作成する。
【0044】
そして、制御部11は、グラフ情報作成部14が作成した磁気レベルグラフ24と、磁気レベル説明情報作成部16が作成した説明情報25とを表示部12に送信する。すると、該表示部12は、図に示されるようなグラフ表示画面23を表示する。該グラフ表示画面23には、磁気レベル情報を示すグラフである磁気レベルグラフ24が表示される。
【0045】
さらに、本実施の形態においては、図に示されるように、磁気レベルグラフ24の下方に、該磁気レベルグラフ24におけるどの部分が所定のレベル以下に低下している部分であるかを説明する第1説明情報25a、取引が中止された原因として媒体21が備える磁気記録体22の磁気レベルに異常がある旨を説明する第2説明情報25b、及び、取引が中止された原因の所在が顧客の媒体21にある旨を説明する第3説明情報25cが同時に表示される。
【0046】
これにより、顧客から通報を受けた金融機関の係員は、このようなトラブルの対処に不慣れであっても、表示部12のグラフ表示画面23に説明情報25が表示されているので、磁気記録体22の磁気レベルを容易に把握することができ、該磁気レベルの低下が原因で取引が中止されたことを認識することができる。さらに、前記係員は、その旨を顧客に説明することができる。
【0047】
なお、前記自動取引装置10の以降の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
このように、本実施の形態においては、媒体21が備える磁気記録体22の磁気レベルが所定のレベル以下に低下していると、磁気レベルグラフ24とともに説明情報25を表示部12に表示させる。これにより、保守及び点検を行う金融機関の係員は、不慣れであっても、前記磁気記録体22の磁気レベルを容易に把握することができるとともに、該磁気レベルの低下が原因で取引が不可能であることを容易に認識することができる。そして、磁気レベルの低下が原因で取引が不可能となった旨を顧客に正確に説明することができる。
【0049】
なお、本実施の形態においては、表示部12が自動取引装置10の筐体に配設された保守点検用の表示パネルである場合について説明したが、前記表示部12が顧客が操作する顧客操作部のタッチパネル操作部である場合には、該タッチパネル操作部にグラフ表示画面23が表示されることとなる。この場合、顧客は、金融機関の係員に通報しなくても、自分がカードスロットに挿入した媒体21の磁気記録体22における磁気レベルの一部が所定のレベル以下に低下し、磁気読取部13による磁気データの正確な読取が不可能になっていることが原因で取引が中止されたことを、容易に認識することができる。したがって、前記係員の業務負担を低減することができる。
【0050】
また、前記第1及び第2の実施の形態においては、媒体21がキャッシュカードである場合についてのみ説明したが、媒体21が預金通帳等の通帳である場合にも、本発明を適用することができる。
【0051】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における表示部の画面に表示された磁気レベル情報を示すグラフの例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における表示部の画面に表示された磁気レベル情報を示すグラフの例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10 自動取引装置
12 表示部
13 磁気読取部
14 グラフ情報作成部
15 磁気レベル低下判定部
16 磁気レベル説明情報作成部
21 媒体
22 磁気記録体
24 磁気レベルグラフ
25 説明情報
25a 第1説明情報
25b 第2説明情報
25c 第3説明情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金融機関の顧客が操作して金融取引を行う自動取引装置であって、
(b)前記顧客の媒体が備える磁気記録体の磁気レベルを示す磁気レベル情報を出力する磁気読取部と、
(c)前記磁気レベル情報を示す磁気レベルグラフを作成するグラフ情報作成部と、
(d)前記磁気レベルグラフを表示する表示部とを有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
(a)金融機関の顧客が操作して金融取引を行う自動取引装置であって、
(b)前記顧客の媒体が備える磁気記録体の磁気レベルを示す磁気レベル情報を出力する磁気読取部と、
(c)前記磁気レベル情報を示す磁気レベルグラフを作成するグラフ情報作成部と、
(d)前記磁気レベルの低下を判定する磁気レベル低下判定部と、
(e)前記磁気レベルに問題がある旨を説明する説明情報を作成する磁気レベル説明情報作成部と、
(f)前記磁気レベルグラフとともに前記説明情報を表示する表示部とを有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
前記説明情報は、前記磁気レベルグラフにおけるどの部分が所定のレベル以下に低下している部分であるかを説明する説明情報、及び、前記磁気記録体の磁気レベルに異常がある旨を説明する説明情報を含む請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記磁気記録体の磁気レベルが所定のレベル以下に低下している場合、金融取引を中止する請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−113556(P2010−113556A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286016(P2008−286016)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】