説明

自動同期化のための電子機器、その方法及び通信システム

本発明は、自動同期化のための電子機器、通信システム及び方法に関する。通信システムには少なくとも2つの電子機器が含まれる。電子機器は、それぞれのメモリに格納されたファイル及び/又はディレクトリを同期化することができる。そのために、各電子機器は、メモリ、接続装置、同期化装置、プロパティ管理装置及び遠隔アクセス制御装置を備える。メモリにはファイル及び/又はディレクトリが格納されている。それらのプロパティは、プロパティ管理装置によって、ファイル及び/又はディレクトリについて個々に規定される。いずれかのファイル及び/又はディレクトリが「共有モード」にあると判明すると、接続装置は自動的に他の装置を探索して当該装置への接続を確立する。対応するファイル及び/又はディレクトリが相手方の電子機器のメモリ中に格納されている場合、同期化が自動的に実行される。同期化を自動的に実行するために、遠隔アクセス制御装置がディレクトリ及び/又はファイルへのアクセスを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動同期化のための電子機器、通信システム及びその方法に関するものである。具体的には、本発明は、電子機器が他の電子機器と接続されているときに、電子機器に格納されたディレクトリ及び/又はファイルを自動的に同期化することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日では、多くの電子機器が様々なタイプのデータを格納することができる。携帯電話機の内部メモリを使用することにより、例えば、コンピュータからダウンロードした音楽ファイルを転送することが可能である。オフィスのコンピュータに恐らく格納されているスケジュール・データを、電子メール・プログラムに基づいて更新することも可能である。携帯型の電話機とコンピュータとの間でデータを同期化するためのこうした方法が、韓国特許出願1020010063284Aの要約に示されている。携帯電話機とコンピュータとの間の接続は人手により確立する必要がある。携帯電話機とコンピュータとの間の接続の確立後、携帯電話機によって同期化への要求が送信される。接続されたコンピュータがその要求を受信して、関係するデータを携帯電話機に送信する。携帯電話機はこのデータを当該内部メモリに格納する。
【0003】
一方の装置から他方の装置への、異なる電子機器を介するデータの転送に関する既知の技術に伴う問題は、いずれの場合にも、ユーザが接続を確立して人手によって送信するべきファイルを選択しなければならないことである。大抵の場合、一方の電子機器と通信できる特別なプログラムを備える必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような電子機器及び通信システムに伴う問題は、データ転送が、データ交換を実行すべく準備された電子機器に限定されることである。例えば、携帯電話機と接続されるべきコンピュータにコンピュータ・プログラムを実装することにより装置を準備したとしても、データ転送又はデータ更新が実行される場合には常に、人手により、電子機器を接続したり少なくとも要求を送信したりすることが必要である。したがって、任意のタイプのデータを格納できるという現行の電子機器の能力の大部分は使われないままである。
【0005】
最先端の電子機器及び通信システムならびに上述した同期化のための方法に伴う一般的な問題は、異なる電子機器間のデータ転送が、形はどうあれ人手による入力でしか実行できないことである。そのため、同期化処理の開始はユーザ次第であり、忘れさられることも多いであろう。
【0006】
したがって、複数の他の電子機器とのディレクトリ及び/又はファイルの自動同期化が可能な電子機器、通信システム及び方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、請求項1に記載のデータ交換のために他の電子機器と接続可能な電子機器、及び請求項9に記載の自動同期化の方法、ならびに請求項14に記載の通信システムによって達成される。
【0008】
本発明による電子機器は、ディレクトリ及び/又はファイルを格納するためのメモリ、他の電子機器との接続を確立する接続装置、ディレクトリ及び/又はファイルに関する個々のプロパティ設定を規定するプロパティ管理装置、電子機器が他の電子機器と接続されている場合に、ディレクトリ及び/又はファイルを他の電子機器に格納された対応するディレクトリ及び/又はファイルと自動的に同期化する同期化装置、及び、対応するディレクトリ及び/又はファイルのディレクトリ及び/又はファイルへのアクセスを制御する遠隔アクセス制御装置を備える。本発明によれば、同期化装置は電子機器の中に備えられる。同期化装置は、電子機器のディレクトリを、それらに対応するディレクトリ及び/又はファイルと自動的に同期化する。この自動同期化は、電子機器が他の電子機器と接続されているときはいつでも実行される。電子機器が他の電子機器にアクセスするのを制御するために遠隔アクセス制御装置が備えられ、それは、少なくとも2つの電子機器を含む通信システムにおける同期化プロセス中のファイルの読み込み及び/又は書き込み時に、ディレクトリ及び/又はファイルへのアクセスを制御する。これら少なくとも2つの電子機器は、同じタイプであってもよく又は異なるタイプであってもよい。
【0009】
本発明によれば、電子機器のメモリに格納されたディレクトリ及び/又はファイルの自動同期化のための方法が提供される。その方法は、ディレクトリ及び/又はファイルを、電子機器と接続可能な他の電子機器に格納された対応するディレクトリ及び/又はファイルと自動的に同期化するためのものである。本発明による方法は、少なくとも1つのディレクトリ及び/又はファイルが共有モードに設定されているかを決定するステップと、他の電子機器が利用可能であり、そして対応するディレクトリ及び/又はファイルが見つかった場合、電子機器を自動的に他の電子機器と接続するステップと、接続された相手方の電子機器に格納された対応するディレクトリ及び/又はファイルを決定するステップと、電子機器に格納されたディレクトリ及び/又はファイルを同期化するステップ、及び/又は接続された相手方の電子機器に格納された対応するディレクトリ及び/又はファイルを同期化するステップとを少なくとも含む。
【0010】
本発明による方法が実行される場合、同期化されるべき電子機器の少なくとも1つのディレクトリ及び/又はファイルが、共有モードに設定された少なくとも1つのディレクトリ及び/又はファイルを備えるかが、先ず第1に決定される。共有モードは、その個々のディレクトリ及び/又はファイルに対して同期化プロセスが実行されるよう、ディレクトリ及び/又はファイルを指示するために使用される。少なくとも1つのそのようなディレクトリ及び/又はファイルが電子機器のメモリ中に見つかった場合、電子機器は、そのような他の電子機器が利用可能な場合は、当該他の電子機器と接続される。当該接続が確立した後、接続された相手方の電子機器のメモリ中に、同期化を実行するための対応するディレクトリ及び/又はファイルが存在するかが電子機器によって決定される。そのような対応するディレクトリ及び/又はファイルが決定されると、同期化プロセスが自動的に開始される。
【0011】
本明細書及び本発明で使用される用語「電子機器」は、任意の種類の携帯無線通信装置を含む。用語「携帯無線通信装置」は、携帯電話機、携帯セルラ電話機、ポケベル、携帯情報端末、電子手帳などのコミュニケータ、高機能電話機、等々の全ての装置を含む。用語「通信システム」は、無線又はケーブルを介しての情報の転送を可能にする任意の種類の通信又は電気通信システムに関係する。本発明は主に情報の受信に対応しているが、本発明による電子機器及び方法は情報の受信だけに限定されるものではなく、実際の応用においては、無線通信システムにおける情報の送信も可能にすることに留意されたい。
【0012】
自動接続検出器を備える電子機器中に接続装置を備えることは特に好都合である。自動接続検出器は、電子機器と接続可能な他の電子機器を自動的に探索することができる。電子機器と接続可能な他の電子機器が発見された場合、自動接続検出器はそのような接続を確立することもできる。そのような接続は、少なくとも1つの格納されたディレクトリ及び/又はファイルのプロパティ設定が、他の電子機器中に格納された対応するディレクトリ及び/又はファイルの存在を示す場合にのみ自動的に確立される。少なくとも1つの格納されたディレクトリ及び/又はファイルのプロパティ設定が「共有モード」に設定されている場合、そのような対応するディレクトリ及び/又はファイルが存在するものと推定される。ディレクトリ及び/又はファイルを「共有モード」に設定することにより、この特定のディレクトリ及び/又はファイルが、それと対(ペア)をなす対応するディレクトリ及び/又はファイルと自動的に同期化されるものと示される。
【0013】
同期化の方向を決定することができる決定部(decision maker)を同期化装置内に装備することはさらに好都合である。そのような決定部は、どの方向で同期化を実行するべきかを、ディレクトリ及び/又はファイルならびに対応するディレクトリ及び/又はファイルのプロパティ設定に基づいて決定する。同期化方向は一方向であってもよく双方向であってもよい。同期化が一方向のみで実行される場合、決定部は所与の基準によりその方向を決定する。そのような基準は、例えば、ディレクトリ及び/又はファイルならびにそれの対応するディレクトリ及び/又はファイルに関するプロパティ設定によって与えることができる。
【0014】
用語「備える/備えている」は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、数値、ステップ又は構成要素の存在を指定するものと理解すべきであって、1つ以上のその他の特徴、数値、ステップ、構成要素又はそれらのグループの存在を排除するものではないことに重々留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明による通信システムを示すシナリオである。システムは不定数の電子機器2〜9を含む。各電子機器の機能の態様については、図2に関連して詳細に後述する。
【0016】
本発明のシステム1は、第1の携帯電話機2、家庭用のDVD3、家庭用のステレオ4、第1のコンピュータ5及び第2のコンピュータ6、ならびに第1の自動車7など、複数の電子機器を含む。上記にリストされた全ての電子機器は、例えば、同一人物によって所有される。システム1は、第2の人物が所有しうる、その他の電子機器を含んでもよい。第2の人物の電子機器は第2の携帯電話機8及び第2の自動車9であるかもしれない。通信システムには、上記と同一の人物又は他の人物のその他の電子機器が含まれてもよい。システム1の電子機器はデータを交換することができ、これを図1の双方向矢印で示す。電子機器の各々は、少なくとも1つのインタフェース装置を含む。電子機器は、インタフェース装置を介して相互に接続可能である。電子機器を他の電子機器と接続するのに、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)、赤外線(IR)、GPRS又は、例えば、USBなどのケーブル接続を使用することができる。その接続は、データ・ストリームの転送が可能な任意のタイプの有線接続又は無線接続であってよい。
【0017】
図1の説明図は、第1の携帯電話機2と電子機器3〜7との間の可能な接続を示すが、第1の自動車と第2の自動車を結ぶ双方向矢印が示すように、電子機器3〜7の間で直接的接続を確立することもまた可能である。
【0018】
例えば、家庭用のDVD3及び携帯電話機2など、2つの電子機器の間で接続が確立されると、その2つの電子機器間でデータの交換が可能となる。この状況でのデータは、任意のタイプのファイル、サブディレクトリ又はディレクトリであってよい。これは、例えば、家庭用のDVDプレーヤ3の内蔵ハードディスクに格納された映画を、確立した接続を介して携帯電話機2に転送できることを意味する。そのようにして、家庭用のDVDプレーヤ3に格納されたデータをオフィスのコンピュータ、図示の例では第2のコンピュータ6に転送するのに、第1の携帯電話機2を使用することができる。所定の例、第1の携帯電話機2が第1の人物の電子機器3〜7の全てと接続可能であることを示す場合、電子機器3〜7の間のデータ交換は携帯電話機2を介して実行できる。本発明によれば、携帯電話機2と他の電子機器との間の接続が自動的に確立され、そしてデータ交換が自動的に実行され、それによって両方の装置に格納されたファイル及び/又はディレクトリが同期化される。自動同期化プロセスが開始される前に、相手方の電子機器の対応するファイル及び同期化されるべき第1の携帯電話機のファイルが識別されねばならない。そのような対応するファイル又はディレクトリの識別については、図3に関連して詳細に説明しよう。
【0019】
携帯電話機2のファイル又はディレクトリ若しくはその両方及び電子機器3〜7のいずれかの対応するファイル又はディレクトリ若しくはその両方が識別されて同期化するべきファイル又はディレクトリの対が形成され、そして第1の携帯電話機2が接続を確立できる状態になると、それ以上人手で入力しなくても、接続が自動的に確立されて相手方電子機器と携帯電話機2の対応するファイルが同期化されるであろう。例えば、携帯電話機2が無線通信システムの到達範囲内にある場合、そのような接続を確立することができる。これは、第1の携帯電話機2―これが、例えば、家庭用のステレオ4の音楽ファイルなどのファイルと同期化されることが確認されている―のメモリに格納されたデータの交換が、自動的に行われることを意味する。第1の携帯電話機2が家庭用のステレオ4に対して使用される無線接続の範囲内に入った後、同期化プロセスが自動的に開始されるであろう。例えば、ある人が第1の携帯電話機2に格納された既存の音楽ファイルに新しい音楽ファイルを追加し、次いで、家庭用のステレオ4へのブルートゥース(登録商標)接続が確立可能な距離に到ると、このブルートゥース(登録商標)接続が自動的に確立され、それから、追加された音楽ファイルが家庭用のステレオ4にコピーされるであろう。したがって、家庭用のステレオ4のそれぞれのディレクトリは、第1の携帯電話機2に格納された対応する音楽ディレクトリに同期化される。
【0020】
1人の人の装置に加えて、他の人の装置を自動的に同期化することも可能である。そのためには、自動同期化する電子機器のファイル/ディレクトリの対(ペア)を識別することが必要なだけである。図1では、そのようなディレクトリ若しくはファイル又はその両方の対が、第1の自動車7と第2の自動車9との間の双方向矢印で示されている。これは、例えば、第1の携帯電話機2の追加音楽ファイルが、第1の自動車7のMP3プレーヤの内蔵メモリに自動同期化を介して転送され、第1の自動車7及び第2の自動車9がその2つの自動車間で接続可能な距離内に駐車していた場合、第1の携帯電話機2から第1の自動車7へ転送されたばかりの新しい音楽ファイルが、第2の自動車9へも転送されることを意味する。2つの自動車7、9が、データ転送が可能な接続を確立できるようにするために、ブルートゥース(登録商標)又は無線LANなど既知の無線通信技術を実装すること又は任意の他の規格を使用することが可能である。
【0021】
異なる電子機器のメモリに格納された2つ以上のファイル又はディレクトリを対にすることは、個々のディレクトリ又はファイルに関するプロパティ設定により、好適に実現できる。個々のプロパティ設定は、例えば、第1の自動車7と第1の携帯電話機2との間、第1の自動車7と第2の自動車9との間の自動同期化を可能にするが、第1の自動車7と第2の携帯電話機8との間の自動同期化を可能にすることはない。図1の双方向矢印が示すように、第2の携帯電話機8は第2の自動車9及び第1の携帯電話機2と自動的に同期化するように構成される。
【0022】
本発明は、通信システムの一部である携帯電話機には特に有用である。というのは、今日では殆んど誰もが携帯電話機を所有するからである。人々は殆んど何処へでも携帯電話機を持っていく傾向にある。したがって、直接には接続できない1つの他の電子機器からさらに他の電子機器への同期化により、ファイルを自動的に転送することは特に有用である。例えば、それぞれの文書がオフィスのコンピュータ6を使用して修正された場合、携帯電話機を介する自動同期化の使用により、家庭用のコンピュータ5のメモリに格納された文書の更新が非常に容易に実行される。例えば、文書の最新バージョンを2つのコンピュータ5、6間で転送するための携帯電話機2の使用が、オフィスを退去して家庭へドライブするだけで実行される。オフィスを退去する前に、オフィスのコンピュータ6のメモリに格納された文書の最新バージョンは、携帯電話機2に自動的に格納されたバージョンで同期化される。その後、第1の携帯電話機2はオフィスから家庭へ持って来られて、そこで家庭用のコンピュータ3への接続が自動的に確立され、その後、家庭用のコンピュータ5に格納された対応するファイル又はディレクトリのバージョンが、第1の携帯電話機2に格納されたばかりのバージョンで自動的に更新される。
【0023】
家庭用のDVD3又は家庭用のステレオ4及び家庭用のコンピュータ5ならびにオフィスのコンピュータ6に関して与えられた例から既に明らかなように、対応するファイル又はディレクトリを同期化する幾通りかの方法が存在する。
【0024】
第1に、ディレクトリの対が、自動同期化を目的とする共有モードに設定されたディレクトリの対として識別された場合、そのディレクトリへ新しいファイルを追加できるようにすることのみが可能である。そのような設定は、音楽ファイル又はビデオのように、格納されたファイル自体は修正されることにならない場合、特に好都合である。これは、ダウンロードされた新しいファイルを、例えば、通信システム1の他の装置と共有する結果となる。したがって、同期化のための対を形成すると識別されたそれぞれのディレクトリに関する設定は、恐らくはそのプロパティ設定に格納されたパラメータを含み、これが同期化の方向を決定できるようにする。本発明による同期化の方向は、相互に接続された2つの電子機器のどちらかが他方のディレクトリ又はファイルを基に更新されるかを規定する。例えば、家庭用のステレオ4及び第1の携帯電話機2の2つのディレクトリが対をなしており、そしてプロパティが設定「書き込みのみ」を含む場合、2つのディレクトリの内容が比較され、もし電子機器の一方が、ディレクトリ中に、他方の電子機器のディレクトリ中にそれ迄存在しないファイルを含む場合、このファイルがコピーされ、その後、2つのディレクトリが同じファイルを含むこととなる。
【0025】
プロパティは各ディレクトリ及び各ファイルについて個々に設定できるため、特定のファイル又はディレクトリについて、他のディレクトリの内容と比較されることを防止することができる。これにより、選択されたファイルについて、他の電子機器に自動的に共有されることを防止できる。
【0026】
例えば、文書など修正されるファイルが同期化されなければならない場合に特に有用な、第2の可能性は、対になったディレクトリ又はファイルのプロパティ中にパラメータを設定し、対になった文書のうちの最新バージョンが常に支配するようにすることである。例えば、もし、文書がオフィスのコンピュータ6のメモリに格納されており、対応する文書が第1の移動電話機2のメモリに格納されていて、オフィスのコンピュータ6の文書に修正が施された場合、この文書は第1の移動電話機2のメモリにコピーされるであろう。第1の携帯電話機2に格納された文書のバージョンが、オフィスのコンピュータ6の対応する文書との最新の同期化の後に修正を施されたかどうかを比較することもさらに可能である。第1の携帯電話機2のメモリに格納された文書が修正を施されたと分かった場合、オフィスのコンピュータ6のメモリに格納されたより新しいバージョンが、同期化方向の決定により第1の携帯電話機2のメモリにコピーされても、第1の携帯電話機2の既存のバージョンには上書きされない。オフィスのコンピュータ6のより新しいバージョンは、第1の携帯電話機2のメモリに追加的にコピーされ、第1の携帯電話機2の修正を施されたバージョンは継続して保存される。2つのバージョンを互いに区別するため、元々の情報源である文書を、ファイル名に情報源を付加して示すことができる。例えば、元々のファイル名は、文字列「created_by_device ##」又は任意のその他の識別子を付加することにより修正される。そのような(上書きせずに、より新しいバージョンを追加して示す)手順は、それぞれのプロパティ設定によっても示される。
【0027】
上記の例では、第1の携帯電話機2のメモリに既に格納済みの文書にも修正が施された。このバージョンもまた新しいファイルとしてオフィスのコンピュータ6にコピーされ、そしてそのファイル名もそれの情報源を示す文字列の付加により修正される。
【0028】
さらに、同期化方向に関する一般的な規則を実装してもよい。これは、例えば、どんな場合にも携帯電話機が同期化の基点である、などを意味する。例えば、第1の自動車7のカーステレオ及び第1の携帯電話機2の対になったディレクトリのプロパティ中に、第1の携帯電話機2が常に同期化の基点となるようにパラメータが設定された場合、第1の携帯電話機2のメモリ中の音楽ファイルを消去すると、結果として、カーステレオ7の対応する音楽ファイルも消去される。
【0029】
同期化されるファイルが互いに対にされるとき、これらに関するプロパティ設定は、装置1〜9の各々の対について個々に設定される。例えば、第1の携帯電話機2の利用可能なメモリには制限があるので、家庭用のステレオ4に格納されている新しい音楽ファイルを第1の携帯電話機2のメモリに追加することさえできないことも多い。この場合、音楽ファイルの幾つかを携帯電話機のメモリから消去することが必要であろう。音楽ファイルの消去はメモリの一部を空きにし、メモリのこの部分を他の用途に使用できる。第1の携帯電話機2がその後家庭用のステレオ4に接続される場合、家庭用のステレオ4に格納された音楽ファイルの消去は防止されるべきである。それゆえに、家庭用のステレオ4と第1の携帯電話機2との間の接続の場合、当該接続では同期化プロセスへの基点は常に家庭用のステレオ4であることをプロパティ設定は示し、同期化の方向はそれに従って決定される。こうして、家庭用のステレオ4に格納された全音楽ファイルは第1の携帯電話機2に転送される。第1の携帯電話機2がその後第1の自動車7のカーステレオに接続された場合、カーステレオは第1の携帯電話機2の言うままとなり、そして家庭用のステレオ4から受信したばかりのファイルが、そこに既に格納されていない場合、第1の自動車7のカーステレオに転送される。
【0030】
図2は、本発明による電子機器の例を示すブロック図である。本発明による電子機器の例として、携帯電話機10が説明図に使用される。携帯電話機10は、図1による通信システム中での顕著な役割を持つために、選ばれたものである。
【0031】
本発明による電子機器である携帯電話機10は、UMTS、GSM又はその他任意の利用可能な無線通信システムなどの無線通信システムにおいて情報を送信又は受信するアンテナ11を含む。アンテナ11は、例えば、GSM又はUMTSシステムの場合には無線周波ユニットとして具体化可能な送信機/受信機12に接続される。送信機/受信機12に接続される処理ブロック13は、受信信号及び送信信号を処理するためのものである。処理は、例えば、無線通信システムにおける受信情報信号の変(復)調、(デ)コーディング等々、又は送信のためのそのような信号の生成を含む。
【0032】
中央制御ユニット14は処理ブロック13及びメモリ15に接続されている。メモリ15は、例えば、アドレス帳などの電話応用に使用される予約済みメモリ16である第1の部分を含む、2つの部分に分けられている。
【0033】
さらに、中央制御ユニット14は、入力装置19及び表示装置20に接続されている。中央制御ユニット14は、例えば、マイクロプロセッサ、中央処理ユニット等の中で具体化される。それは携帯無線通信装置10の動作を制御する。
【0034】
表示装置20は、例えば、携帯無線通信装置が携帯電話機の場合、普通の携帯電話機の表示装置である。表示装置20は、例えば、受信呼の電話番号である着信電話番号を表示するために使用される。それはまた、入力装置19によって入力中の番号、文字などのユーザ入力を目に見えるようにする。
【0035】
中央制御ユニット14によって処理中の情報は、予約済みメモリ(reserved memory)16中に格納される。この情報は、例えば、先述のアドレス帳以外に、携帯無線通信装置10の動作のためのソフトウェア・コードを含む。予約済みメモリ16は、情報源識別メモリ、例えば、電話番号、電子メール・アドレス等々の情報源識別情報を格納する電話帳メモリ、及び情報源の識別に関係する付加的情報、名前、イメージ及び/又は同類のもの―を含む。携帯電話機の先述の装置及びユニットは、よく知られた携帯電話機の基本的な構成要素を記述しているに過ぎない。それ以外の装置及びユニットが、携帯電話機10の機能を拡張するために追加されてもよい。
【0036】
上述したように、メモリ15は2つの部分に分けられる。第1の部分は、携帯電話機10の機能用に、予約済みメモリ16によって構築される。メモリ15の第2の部分17は、図2に示すように、携帯電話機10の内蔵メモリ15の一部である第2の予約済みメモリによって形成できる。代替の実施形態では、メモリ17の第2の部分は、SD(セキュア・デジタル)、MMC(マルチメディア・カード)、CF(コンパクト・フラッシュ)、SM(スマート・メディア)などのメモリ・カードであってもよい。
【0037】
図2では、多数のディレクトリ18.1、18.2、18.3、18.4がメモリ15の第2の部分17に格納されているのが示されている。ディレクトリ18.1〜18.4は、メモリ15の第2の部分17に構築されたファイル構造の一部であってもよい。ディレクトリ18.1〜18.4の各々の内部には、多数のサブディレクトリを割り付けることができる。ディレクトリ18.1〜18.4又はサブディレクトリのいずれにも、不定数のファイルを格納することができる。ファイル及び/又はディレクトリ18.1〜18.4若しくはサブディレクトリの各々に関して、プロパティ設定が格納される。プロパティ設定を格納するために、プロパティ管理装置21がメモリ15の第2の部分17、入力装置19及び表示装置20に接続される。ディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルの各々に関連するプロパティは、携帯電話機10のユーザによって個々に設定することができる。所望のやり方でプロパティを設定するために、ユーザは入力装置19を介して設定中に入力する。既設定のプロパティを視覚化するために、プロパティ管理装置21は表示装置20に接続される。プロパティ管理装置21は、任意のディレクトリ、サブディレクトリ又はファイルに関して個々に設定されたプロパティの全て、又は少なくとも、対にする機能及び自動同期化に関するプロパティを管理する。これは、ファイル、サブディレクトリ又はディレクトリ18.1〜18.4の全てが、異なるプロパティ設定又は同じプロパティ設定に関連付けられてよいことを意味する。
【0038】
メモリ15の第2の部分17に格納されたディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルを、他の電子機器のメモリに格納されたファイル、サブディレクトリ又はディレクトリと同期化するために、インタフェース・ユニット22が備えられる。インタフェース・ユニット22は、ブルートゥース(登録商標)、無線LAN、IR、GPRS又はその他の有線の規格、例えば、USB、LAN、ファイアワイア等々、を含む、多様なプロトコル用のインタフェース22.1〜22.4を含む。インタフェース・ユニット22のインタフェース22.1〜22.4は接続装置23によって制御され、これは、インタフェース・ユニット22の1つ又は複数のインタフェース22.1〜22.4を介して接続を確立する。接続装置23は、1つ以上の他の装置への1つ以上の接続を処理することができ、そしてインタフェース・ユニット22に接続されている。これは、例えば、携帯電話機10は、ブルートゥース(登録商標)を介して少なくとも1つの他の装置と接続することができ、同時に、赤外線接続によりさらに他の装置と接続できることを意味する。
【0039】
接続装置23は、利用可能で接続可能な他の装置の探索を自動的に開始する自動接続ユニット24を備える。利用可能な他の装置の探索は、ディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルの少なくとも1つが、自動同期化が実行されるべきことを表示する場合にのみ実行される。個々のディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ又はファイルに関するプロパティ設定が、特定のディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルが「共有モード」にあることを識別する場合、そのファイル、サブディレクトリ及び/又はディレクトリ18.1〜18.4の少なくとも1つが、そのような自動同期化が実行されるべきことを表示する。こうして、自動接続ユニット24は、接続装置23が接続されているプロパティ管理装置21に先ず要求を送り、そして、ディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルのいずれかが「共有モード」に設定されているかどうかを判定する。ディレクトリ18.1から18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルのいずれかが「共有モード」に設定されている場合、自動接続ユニット24は、接続可能な他の電子機器の探索を開始する。いずれかの他の電子機器に連絡可能である場合、接続装置23を介してそれぞれの接続が確立される。例えば、それぞれの装置について最大距離を超えていたり、又は他の電子機器が電源断の場合、他の電子機器には連絡できない。
【0040】
携帯電話機10をいずれかの他の電子機器と接続した後、同期化プロセスを開始する。同期化プロセスを開始するために、同期化装置25は、インタフェース・ユニット22と、遠隔アクセス制御装置26とを介してメモリ15の第2の部分17と接続される。自動同期化そのものを実行する前に、同期化装置25は、接続された他の電子機器の対応するディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルを決定する。対応するディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルが、接続された他の電子機器のメモリ中に格納されているかどうかが、携帯電話機10のメモリ15の第2の部分17中に格納されたディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルの個々のプロパティ設定及び接続された他の電子機器のディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルのプロパティ設定の比較により決定される。対応するディレクトリ、サブディレクトリ又はファイルが接続された電子機器に発見された場合、ディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルのそのような対を同期化することができる。ディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルのそのような対の識別は、接続された電子機器中に格納されたディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルのプロパティ設定が同期化装置25によって読み込まれた後に実行される。接続された他の電子機器のファイル、サブディレクトリ及びディレクトリのプロパティ設定の比較は、メモリ15の第2の部分17に格納されたディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルへのアクセス許諾(permission)を処理する遠隔アクセス制御装置26の一部である比較器28において実行される。携帯電話機10のメモリ15の第2の部分17のディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルのそれぞれのプロパティ設定及びそれぞれのディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルのプロパティ設定が一致する場合、このディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルの対は同期化することができる。以下では、そのようなディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルは、接続された他の電子機器に格納されている場合、対応するディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルと称する。
【0041】
同期化を正しい方向で実行するために、同期化の方向が決定されねばならない。そのために、同期化装置25の一部である決定部29が、メモリ15の第2の部分17のディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及び/又はファイルならびに対応するディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルのプロパティ設定に基づいて、同期化プロセスがどちらの方向に実行されるべきかを決定する。例えば、ファイルがメモリ15の第2の部分17に追加される場合、決定部は、同期化方向が「相手方の装置から携帯電話機10へ」であると決定する。同期化方向の決定に続いて、リーダ・ライタ27は、関係する着信データを相手方の装置から読み込んでそれを携帯電話機10のメモリ15の第2の部分17に書き込むか、又は関係するデータをメモリ15から読み込み、確立した接続を介して相手方の電子機器に送信する。例えば、携帯電話機10への同期化方向の決定に際しては、ファイルがリーダ・ライタ27によって読み込まれそしてメモリ15の第2の部分17に格納される。図1に関連して既に説明したように、書き込みは、メモリ15中の既存のファイル又はディレクトリを上書きすることにより、又はその生成元(origin)を示す文字列を付したファイルを追加格納することにより、実行することができる。同期化の方向が携帯電話機10を基点として相手方電子機器へと決定された場合、転送データはメモリ15の第2の部分17からリーダ・ライタ27によって読み取られ、そしてインタフェース・ユニット22を介して相手方の電子機器に送信される。
【0042】
本発明によれば、相手方の電子機器もまた、参照番号17〜29で指示される構成要素を含む。それゆえに、リーダ・ライタ27によって読み込まれそして接続装置23によって確立した接続を介して送信されるデータは、携帯電話機10に関して説明されたのと同じやり方で、読み込みそして処理することができる。本発明による通信システム1は、不定数の同様の電子機器を含む。
【0043】
入力装置19及び表示装置20としての機能は、必ずしもその電子機器に付帯するものである必要はないことに注意されたい。入力装置19及び表示装置20を、携帯電話機10と接続された相手方の電子機器に接続可能な追加の装置に備えることもむしろ可能である。プロパティ設定を変更又は入力するために、この付加的装置は相手方の電子機器に接続される。例えば、家庭用のステレオ4のハードディスクに格納された音楽ファイルのプロパティ設定を変更又は入力するために、例えば、追加の電子機器としてラップトップ・コンピュータを家庭用のステレオ4に接続することも可能である。
【0044】
図2に関連して既に説明された自動同期化のステップが、図3のフローチャートに簡略化して示される。
【0045】
自動同期化が実行できる前に、少なくとも1つのファイル、サブディレクトリ及び/又はディレクトリ18.1〜18.4ならびに相手方の電子機器に格納された対応するファイル、サブディレクトリ及び/又はディレクトリを含む対が識別されねばならない。そのようなファイル及び/又はディレクトリの対は、ファイル及びディレクトリ若しくはディレクトリ及びサブディレクトリなども含むことができることに留意されたい。
【0046】
ステップ30において初期化が開始される。そのような初期化は、入力装置19のボタンの押下又はコンピュータ・マウスなどポインティングデバイスを用いてのメニュからの機能の選択により開始される。初期化が開始されると、メモリ15の第2の部分17に格納されたディレクトリ18.1〜18.4、サブディレクトリ及びファイルのリストが表示装置20に表示される(ステップ31)。プロパティ設定は、パラメータ、値及びその他の入力を、入力装置19を介してタイプインすることにより設定される。入力装置19の支援により、表示装置20に表示されたリストからディレクトリ、サブディレクトリ又はファイルが選択され、そしてこの特定のディレクトリ、サブディレクトリ及びファイルに対するプロパティ設定が共有モードに設定される(ステップ32)。入力されたパラメータ、値及びその他の入力は、プロパティ設定マネージャ21を介して、それぞれのファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリに関連付けられる。
【0047】
プロパティ設定を入力することにより、少なくとも1つのファイル、サブディレクトリ及びディレクトリが「共有モード」に設定された場合、接続装置23は接続可能な他の装置を探索し(ステップ33)、その他の電子機器が携帯電話機10と接続可能である場合に、接続を確立する(ステップ34)。当該接続の確立後、ステップ35において、接続された他の電子機器のメモリに格納されたファイル、ディレクトリ及びサブディレクトリのリストが表示装置20に表示される。ユーザはそこで、ファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリを対応するファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリとして選択する(ステップ36)。このようにして、メモリ17の第2の部分のファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリ及び対応するものが対にされ、「共有モード」に設定される。
【0048】
自動的に同期化するべき全てのファイル及び/又はディレクトリを先ず選択し、それから接続可能な他の装置の探索を開始することも考えられる。
【0049】
相手方の電子機器では、ファイル、ディレクトリ及びサブディレクトリの少なくとも1つのプロパティ設定の「共有モード」への変更が、ステップ36で確認される。携帯電話機10のメモリ15の第2の部分17に格納されたファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリの設定及び相手方電子機器の対応するファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリの選択ならびにそれの確認は、ファイル、サブディレクトリ又はディレクトリの全ての対が識別されるまで繰り返される。ファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリの識別された対の各々について、確認が実行された直後か又は初期化ルーチンの終了時に、同期化プロセスが自動的に実行される。初期化ルーチンは、例えば、メニュから終了(Quit)機能を選択することにより終了させることができる。
【0050】
ファイル、サブディレクトリ又はディレクトリ18.1〜18.4ならびにそれに対応するファイル、サブディレクトリ又はディレクトリの対を識別するための人手による入力は、1度実行するだけでよい。電子機器、本実施形態では携帯電話機10が、例えば、家庭用のコンピュータ5など、他の電子機器のブルートゥース(登録商標)接続の届く範囲に持ち込まれる度に、自動同期化が実行される。図2に関連して説明されたように、接続装置23は、メモリ15の第2の部分17のファイル、サブディレクトリ又はディレクトリ18.1〜18.4のいずれかが「共有モード」に設定されているかを判定する(ステップ32)。いずれかのファイル又はディレクトリが共有モードにある場合、接続装置23は、ステップ40においてユーザによる入力なしで、接続可能な他の電子機器を自動的に探索するであろう。この探索は、連続的に実行することもでき、又は、例えば、10分の時間間隔をおいて、定期的に実行することもできる。時間間隔は、ユーザによって設定することができよう。時間間隔を長くすると電池が長持ちし、時間間隔を短くするとファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリは直ちに更新される。
【0051】
接続可能な電子機器を探索した後、相手方の電子機器が発見された場合は、ステップ41において、接続装置23によってインタフェース・ユニット22のインタフェースの1つを介して接続が確立される。ステップ42で、接続された相手方の電子機器のいずれかのファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリが共有モードに設定されているかが判定される。相手方の電子機器のファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリの少なくとも1つが共有モードにあることがわかると、この対応するディレクトリ、サブディレクトリ及び/又はファイルのプロパティが、メモリ15の第2の部分17に格納されたファイル、サブディレクトリ又はディレクトリのプロパティ設定と比較される(ステップ44)。ファイル、サブディレクトリ又はディレクトリのプロパティ設定とそれに対応するディレクトリ、サブディレクトリ又はファイルを比較すると、同期化の方向が、決定部29によりステップ44で決定される。同期化の方向が決定されると、ステップ45において、リーダ・ライタ27による関係するデータの読み込み及び書き出し、又は読み込み及び送信により、自動同期化が完成される。ファイル、サブディレクトリ又はディレクトリの1つ以上の対が識別された場合、ファイル、サブディレクトリ及びディレクトリの全ての識別された対が同期化されるまで、ステップ42からステップ45が繰り返される。ファイル、ディレクトリ及びサブディレクトリの全ての識別された対について自動的に同期化が実行された後、ユーザが設定可能な時間間隔をおいて、この同期化を繰り返すこともできる。
【0052】
接続の確立時には、同期化プロセスは自動的に繰り返されるであろう。同期化が繰り返される速さは、ユーザによって設定できる。さらに、「共有モード」にあるファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリが更新又は除去されたときはいつでも、又はファイル、ディレクトリ又はサブディレクトリが追加又は「共有モード」に設定された場合に、トリガ信号を送るトリガ機能を実現することも可能である。
【0053】
本発明に対しては、本明細書で示されそして説明された事例的な適用に厳密に従うことなく、これらの及びその他の多様な改良及び変更がなされてもよいが、しかし本発明の真の精神及び範囲―これは、添付の特許請求の範囲で説明される―から逸脱するものでないことは、当業者には容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】通信システムにおける自動同期化を示す図ある。
【図2】本発明に係る電子機器の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る自動同期化のための方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを交換するために他の電子機器と接続可能な電子機器であって、
複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つを格納するメモリと、
前記他の電子機器への接続を確立する接続装置と、
前記電子機器が前記他の電子機器へ接続された場合に、前記他の電子機器に格納された、対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つと、前記複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つとを同期化する同期化装置と、
前記格納された複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つに関連する個々のプロパティ設定を定義するプロパティ管理装置と、
前記複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つへのアクセスを、前記対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つに制御する遠隔アクセス制御装置と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記接続装置は、
格納された複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つの前記プロパティ設定が、対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つの存在を示す場合に、接続を確立するための利用可能な電子機器を決定する自動接続検出器を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記遠隔アクセス制御装置は、
前記電子機器において、プロパティ設定の比較を行う比較器を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記プロパティ設定は、アクセス許諾を示す情報を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記同期化装置は、同期化の方向を決定する決定部を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記同期化装置は、
接続された前記他の電子機器の前記対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つを少なくとも読み込み、前記電子機器の前記メモリに前記読み込んだ複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つを書き込むリーダ・ライタを備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記リーダ・ライタは、
前記メモリの複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つを削除、追加、変更を行う機能を含む機能グループの何れかの機能を実行することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器は、携帯電話機であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
電子機器のメモリに格納された複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つと、該電子機器に接続可能な他の電子機器において格納された対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つとを自動的に同期化するための方法であって、
少なくとも1つの複数のディレクトリ及びファイルが共有モードに設定されている否かを判定するステップと、
利用可能な対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つが発見された場合に、前記電子機器を前記他の電子機器に自動的に接続するステップと、
前記接続された他の電子機器に格納された前記対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つ決定するステップと、
前記電子機器に格納された複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つ、及び、前記接続された他の電子機器に格納された前記対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つの少なくとも一方を同期化するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記電子機器の前記メモリに格納された少なくとも1つのディレクトリ及びファイルが共有モードに設定されている場合に、接続可能な他の電子機器を自動的に探索するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つのプロパティ設定と、前記対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つのプロパティ設定とを比較するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つのプロパティ設定と、前記対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つのプロパティ設定との比較が実行され、前記同期化の方向が当該比較結果に基づいて決定されることを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記同期化の方向は、前記複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つと、それらに対応する複数のディレクトリ及びファイルの少なくとも1つの対ごとに個別に決定されることを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の電子機器を少なくとも2つ含む通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−519517(P2009−519517A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544890(P2008−544890)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012127
【国際公開番号】WO2007/068494
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】