説明

自動推進土木機械、及び自動推進土木機械を制御する方法

【課題】自動制御される土木機械は、予め設定された曲線に沿って精密に移動させなければならない。
【解決手段】土木機械は、機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)に関係する土木機械上の参照位置Rの位置及び/又は向きを規定するデータの決定手段を有する制御ユニット7を有する。機械は、地面上の自由選択予設定出発点へ移動される。予設定出発点で機械は予設定向きに配列される。目標の位置及び向きが次に敷かれる。目標は、可能な固定位置に適した相応許容値を伴い地面上に最適に配置出来る。土木機械は、参照系(X,Y,Z)における所望曲線を規定するデータを決定する手段、及び、所望曲線を規定するデータの関数として、機械上の参照位置Rが、予設定出発位置から出発している所望曲線に沿い移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動推進土木機械、そして特に道路研削機械(road milling machine),道路舗装機(road paver)又は移動式型枠敷設機(slip form paver)、に関係しており、そして、自動推進土木機械、そして特に道路研削機械,道路舗装機又は移動式型枠敷設機、を制御する方法に関係している。
【背景技術】
【0002】
公知の種々の自動推進土木機械がある。特に、これらの機械は、公知の移動式型枠敷設機(slip form paver),道路舗装機(road paver),そして道路研削機械(road milling machine)を含む。これらの自動推進土木機械の特有な特徴は、これらが地面上に構造物を創出する為の、又は地面に対し変化を加える為の作動手段を有している作動ユニットを有している。
【0003】
公知の移動式型枠敷設機においては、作動ユニットは、流動可能材料、特にコンクリート、を型に流し込む為の構成を備えていて、この構成はコンクリート型枠(concrete mould)として引用されている。防護障壁(crash barrier)及び道路側溝(road gutter)の如き異なった型の構造物が、コンクリート型枠により作成されることが出来る。移動式型枠敷設機(slip form paver)が、例えばヨーロッパ特許公報EP 1 103 659 B1に記載されている。
【0004】
公知の道路舗装機(road paver)は、一般的に、それらの作動ユニットとしてスクリード(screed)を有している。スクリード(screed)は、舗装の方向において見て後である道路舗装機の端に配置され、横たわっている道路覆いの材料上で下方の摺動板により支持されていて、従って材料の予圧縮が行なわれる。
【0005】
公知の道路研削機械(road milling machine)の作動ユニットは、研削工具(milling tool)が取り付けられている研削ドラム(milling drum)を有している研削構造(milling arrangement)であり、これにより研削ドラム材料は予め設定されている作業幅にわたり地面を研削し取り除くことが出来る。
【0006】
公知の自動推進土木機械はまた、移動及び/又は回転が行なわれるのを許容する駆動手段を有している駆動ユニット、そして、土木機械に地面上で移動及び/又は回転を行なわせるよう駆動ユニットを制御する為の制御ユニットを有している。
【0007】
自動推進土木機械が自動的に制御される時、土木機械上の予め設定されている参照地点を、例えば正しい位置及び正しい向きにおいて地面上に予め設定された形状の構造物を創出することを可能にする為に、地面上の空間において予め設定された曲線に沿い精密に移動させなければならないという問題が生じる。
【0008】
移動式型枠敷設機(slip form paver)を成業する公知の方法は、土木機械上の参照地点がそれに沿って移動する所望の曲線を敷設する案内ワイヤ又は線の使用を前提としている。例えば防護障壁(crash barrier)又は道路側溝(road gutter)の如き細長い物体を、案内ワイヤ又は線を使用することにより効率良く作成させることが出来る。しかしながら、案内ワイヤ又は線の使用は、例えば葉巻形状の交通島(traffic island)の如き、小さな距離の延出及び急激な半径を有している小さな寸法の構造物が創出される時、不利益となることが分かっている。
【0009】
衛星を基礎とした地球全体位置決めシステム(satellite-based global positioning system)(GPS)を使用することにより自動推進土木機械を制御することも知られている。GPS受信器を有している土木機械は、例えば米国特許5,612,864から知られている。
【0010】
土木機械を制御する為に原測定システム(master measurement system)を使用して物体の位置を座標決めする(plotting)ことは、建築計画が複雑になり物体をその中に適合させなければならないので、多大な技術的コスト及び複雑さを必要とするという不利益になっている。特にコストが高く複雑なのは、測定システムにおいて種々の参照地点の位置の座標決め(plotting)を行なわなければならないことである。このコスト及び複雑さは、大きな物体の為にのみ正しいことが出来る。他方、小さな物体の為には、このコスト及び複雑さは非常に不釣合いである。
【0011】
複雑な建築事業中に適合されている物体のもう1つの不具合は、実際には、小さな物体が、計画においてそれらが入れられている地点に精密に位置決めされることが出来ない、例えば現場において現存している給水栓(hydrant)又は水出口(water outlet)の如き固定位置の為にしばしば作られなければならないという事実に存在している。事業データが実際の現場事実と会わなければ、事業データは比較的高いコストで事務所において現場から離れて修正されなければならず、修正された事業データは次に再度現場において読まれなければならない。
【0012】
この発明に横たわっている目的は、従って、位置の座標決め(plotting)において如何なる大きなコスト又は複雑さを伴うことがなく、そして、比較的短い距離の移動の為に延出していてきつい半径を有している所望の曲線に沿い高い精度で自動的に移動出来る、自動推進土木機械、特に道路研削機械,道路舗装機、又は移動式型枠敷設機、を提供することである。もう1つの目的は、自動推進土木機械を、位置の座標決め(plotting)において如何なる大きなコスト又は複雑さを伴うことがなく、そして、比較的短い距離の移動の為に延出していてきつい半径を有している所望の曲線に沿い高い精度で自動的に移動させることを許容する、方法を明記することである。
【発明の概要】
【0013】
これらの目的は、独立請求項において与えられた特徴のお蔭によるこの発明に従うことにより達成される。従属請求項の主題は、この発明の好適な実施形態である。
【0014】
この発明に従っている自動推進土木機械は、創出される構造物又は変化が行なわれる地面の為の所定の幾何学的な形状を予め設定する為の手段を有している制御ユニットを有している。この所定の形状は、例えば葉巻の形状の交通島(traffic island)であることが出来る。それは、機械の操作者により入れられるか又は選択されて良い。
【0015】
この発明に従っている自動推進土木機械の制御ユニットはまた、土木機械の位置及び向きから独立している参照系に関する土木機械上の参照地点の位置及び/又は向きを規定するデータを決定する為の手段を有している。機械に関係している参照系から独立している参照系は、所望により選択されることが出来、そして、従って、地面上に座標決めされなければ(plotted)ならない種々の参照地点の位置決めが必要でない。
【0016】
この土木機械の発明に従っている制御システムの操作は、自由に選択されることが出来る地面上の予め設定されている開始位置に向かい土木機械を移動させることが基礎にされている。予め設定されている開始位置において土木機械は予め設定されている向きに配列される。物体の位置及び向きが次に敷設される(laid down)。結果として、物体は常に、可能な固定位置に適した相応許容値(due allowance)を伴い地面上に最適に配置されることが出来る。開始地点は例えば、配置図(layout plan)に正確に対応している必要がない位置で地面上に既に存在している側溝(gutter)の隅に定められて良い。
【0017】
これと同様に、土木機械の制御ユニットもまた、土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)中において土木機械上の参照地点(R)がそれに沿って移動する曲線である所望の曲線を規定しているデータを決定する為の手段を有している。所望の曲線を規定しているデータ決定する為の手段は、所望の曲線を規定しているデータが、創出される構造物又は変化が行なわれる地面の予め設定されている幾何学的な形状に基づくとともに、土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)中における土木機械上の参照地点(R)の位置及び向きに基づいて、決定されるよう設計されている。
【0018】
所望の曲線を規定するデータは、所望の曲線により覆われている距離及び/又はその曲率(curvature)であって良い。このデータは、物体の形状に従属している。
【0019】
好適な実施形態においては、駆動ユニットを制御する為の手段は、土木機械の位置及び向きから独立した参照系における参照地点の位置及び向きの関数として、駆動ユニットが、所望の曲線により規定された時の、土木機械の所望の位置とその実際の位置との間の距離、及び/又は所望の曲線により規定された時の、所望の方向と実際の方向との間の差が、最少になるよう制御されるよう設計されている。この目的の為に要求されている制御アルゴリズム(control algorithm)は、当該技術分野に習熟した人々には良く知られている。
【0020】
特に参照されるこの発明の実施形態は、土木機械上の参照地点の位置及び/又は向きを決定する為に衛星を基礎とした地球全体位置決めシステム(satellite-based global positioning system)(GPS)を使用する準備をしている。土木機械の位置及び向きから独立した参照系は従って、機械に関係している参照系に関するその位置や向きが土木機械が地面上を移動することにより絶えず変わる、衛星を基礎とした地球全体位置決めシステム(satellite-based global positioning system)の参照系である。土木機械は、衛星を基礎とした地球全体位置決めシステム(satellite-based global positioning system)からのGPS衛星信号を解読し(decode)し、そして土木機械の市尾及び/又は向きを決定する為の参照局(reference station)からの信号に対応させる為の第1及び第2DGPS受信機(rover)を有しており、第1及び第2DGPS受信機は土木機械上の異なった位置に配置されている。
【0021】
しかしながら、衛星を基礎とした地球全体位置決めシステム(satellite-based global positioning system)によるよりもむしろ、参照地点の位置及び/又は向きはまた、非衛星測定システムにより決定して良い。制御ユニットにおいて重要な唯1つの事項は、参照地点の位置及び向きを規定しているデータを受け取ることである。
【0022】
さらに好ましい実施形態において、制御ユニットは、創出される構造物の又は変化が行なわれる地面の幾何学的形状を規定するパラメータの入力の為の手段(7B)を有している入力ユニットを有している。これらのパラメータは、例えば、直線の長さ及び/又は円の弧の半径を規定するパラメータであって良い。この場合においては、物体が直線と弧に分解されることが出来ると考えられる。このことは、例えば交通島(traffic island)の場合には葉巻の形状にすることが出来る。しかしながら、パラメータにより規定される他の幾何学形状もまた可能である。
【0023】
さらに好ましい実施形態において、制御ユニットは、複数の予め設定されている幾何学形状から1つの幾何学形状を選択する為の入力ユニットを有しており、これら複数の幾何学形状は入力ユニットと協働する貯蔵ユニット中に貯蔵されている。この利点は、幾何学形状を規定しているデータが新たに作り出されなければならないことがなく、そして代わりの依頼を既に作り出されているデータを設定しなければならないことでよい。選択は、例えば物体として円と葉巻形状との間で行なうことでよい。
【0024】
特に好適であるさらなる実施形態は、予め設定されている幾何学形状を変更する為の手段を準備する。これが有する利点は、例えば葉巻形状が選択でき、そして、葉巻の寸法を次に現場の実際の要求に適合するよう調整できることである。
【0025】
この発明の実施形態は、図面を参照することにより以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、移動式型枠敷設機(slip form paver)の実施形態の側面図である。
【図2】図2は、道路研削機械(road milling machine)の実施形態の側面図である。
【図3】図3は、土木機械とともに、土木機械に関係している機械座標系(co-ordinate system)を簡単に示している。
【図4】図4は、図3中に示されている機械座標系及び土木機械とともに、土木機械の位置及び向きから独立した測定座標系(co-ordinate system)を示している。
【図5】図5は、葉巻(cigar)の形状の物体の曲線及び向きの為の図形曲線を示している。
【図6】図6は、それが測定座標系中に置き換えられる以前の、型枠(die)土木機械を制御する為の葉巻形状の物体を規定している幾何学形状の図である。
【図7】図7は、それが測定座標系中に置き換えられた後の、土木機械を制御する為の葉巻形状の物体を規定している所望の曲線の図である。
【図8】図8は、所望の曲線及びその実際の位置により規定された時の土木機械の所望位置間の距離を示している。
【図9】図9は、所望の曲線及びその実際の位置により規定された時の土木機械の所望の方向の間の方向における差を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、自動推進土木機械の一例としての、ヨーロッパ特許公報EP 1 103 659 B1に記載されている移動式型枠敷設機(slip form paver)の側面図である。このような移動式型枠敷設機は従来技術の部分であるので、ここに記載される全てはこの発明に対する具体例である土木機械のこれらの構成要素である。
【0028】
移動式型枠敷設機1は、走行装置3により支持されている車台2を有している。走行装置3は、2つの前軌道敷設(track-laying)走行装置ユニット4A及び2つの後軌道敷設(track-laying)走行装置ユニット4Bを有していて、これらは前立柱5A及び後立柱5Bに固定されている。移動式型枠敷設機の作動の方向(移動の方向)は矢印Aにより指摘されている。
【0029】
軌道敷設走行装置ユニット4A,4B及び立柱5A,5Bは、土木機械が地面上で移動及び/又は回転することを許容する駆動手段を有している移動式型枠敷設機の駆動ユニットの部分である。立柱5A,5Bを上昇させ及び下降させることにより、機械の車台2は地面に対するその高さ及び傾斜を調節するよう移動されることが出来る。土木機械は、軌道敷設走行装置ユニット4A,4Bにより後方及び前方に移動されることが出来る。土木機械は従って、移動における3つの自由度(three degrees of freedom)と回転における3つの自由度(three degrees of freedom)とを有する。
【0030】
移動式型枠敷設機1は、コンクリート型枠(concrete mould)として以下に引用される、コンクリートを成型する為の構成6を有している。コンクリート型枠は、地面上に予め設定されている形状の構造物10を創出する為の作動手段を有している作動ユニットの一部である。
【0031】
図2は、自動推進土木機械のさらなる一例としての、道路研削機械の側面図である。繰り返すが、道路研削機械1もまた、走行装置3により支持されている車台2を有している。走行装置3は、前及び後立柱5A,5Bに固定されている2つの前及び2つの後軌道敷設(track-laying)走行装置ユニット4A,4Bを有している。道路研削機械は、地面に対し変化を生じさせる為の作動手段を有している作動ユニットを有している。この作動ユニットは、研削工具が取り付けられている研削ドラム6Aを有している研削構成6である。
【0032】
図3は、機械に関係しているデカルト座標系(Cartesian co-ordinate system)(x,y,z)中の自動推進土木機械を示している。土木機械は、移動式型枠敷設機,道路研削機械,又は適切な作動ユニットを有している如何なる他の土木機械であってよい。この実施形態は、コンクリート型枠6を有している移動式型枠敷設機1である。移動式型枠敷設機1及びコンクリート型枠6は単なる図示である。それは、軌道敷設(track-laying)走行装置ユニット4A,4B及びコンクリート型枠6を有している車台2を有している。
【0033】
機械座標系の原点(origin)は、移動式型枠敷設機1上の参照地点Rであり、参照地点Rとして敷設されている(laid down)のは、内側であり移動の方向における後ろであるコンクリート型枠6の縁である。この縁は、創出される構造物10の外縁に対応している。機械座標系においては、参照地点Rは以下の如く決定される。
【0034】
R=xR,yR,zR=0,0,0
機械座標系は、移動における動きを規定している移動の長さdx,dy、dz及び回転における3つの動きを規定している角度ω,φ,κによる、6つの自由度により明確に規定されている。
【0035】
物事を単純にする為に、土木機械は平坦な地面上に置かれていて傾斜されていないと仮定する。回転における角度ω及びκは従って夫々零に等しい。機械座標系及び土木機械は回転における角度φも同様に零に等しくなるよう互いに配列されている。
【0036】
また、コンクリート型枠6の底縁は地面上に載置されていると仮定する。これは、土木機械が平坦な地面上を移動する時に参照地点Rの高さzRが変化しないようそれを敷設する。
【0037】
図4は、機械座標系を、機械座標系(x,y,z)から独立していて以下に測定座標系(X,Y,Z)として引用されるデカルト参照系(Cartesian reference system)と伴に、示している。測定座標系(X,Y,Z)は手当たりしだい(random)に選択されて良い。それは、土木機械の移動に伴い同じ位置及び向きに留まる。
【0038】
駆動ユニットを制御する為に、土木機械は単に示されている制御ユニット7を有している。制御ユニット7は、土木機械が構造物10を創出する、又は、地面に変化を起こさせることを可能にするよう、土木機械が地面上で移動及び/又は回転の必要な動きを行なうよう、駆動ユニットの駆動手段を制御する。制御ユニット7は、計算操作を行なうとともに駆動ユニットの駆動手段の為の制御信号を発生する為に必要な全ての構成要素を備えている。それは、必要なものが全てそろっているユニット(self-contained unit)を形成していてよく、又は、土木機械の中央制御システムの一部であってよい。
【0039】
駆動ユニットを制御することを許容する為に、機械座標系(x,y、z)における土木機械の参照地点Rの位置及び/又は向きは、土木機械の動きから独立した測定座標系(X,Y,Z)へと変換(transpose)される。
【0040】
この実施形態において、参照地点Rの位置及び向きは、図4中に単に示されている、衛星を基礎とした地球全体位置決めシステム(satellite-based global positioning system)(GPS)を使用することにより決定されている。しかしながら、衛星を基礎とした地球全体位置決めシステム(satellite-based global positioning system)であるよりもむしろ、非衛星地球上測定システム(non-satellite terrestrial measuring system)(全体局(total station))を使用しても良い。
【0041】
それによって位置及び向きが決定される精密さの要求は厳しいので、差異地球全体位置決めシステム(differential global positioning system)(DGPS)として知られている衛星を基礎とした地球全体位置決めシステム(satellite-based global positioning system)(GPS)が使用されることが好ましい。向きを決めるGPSを基礎とした方法は、この場合、土木機械上の異なった地点S1,S2に配置されている2つのDGPS受信機(rover)による位置の測定を基にしている。
【0042】
2つのDGPS受信機S1及びS2は図3及び4中に単に指摘されている。仮定された場合はより一般的であって、DGPS受信機S1及びDGPS受信機S2は、参照地点Rが定められている機械座標系の原点(origin)の近傍に位置されており、参照地点Rの位置及び向きは測定座標系において決定されている。
【0043】
DGPS受信機S1及びS2の位置は、座標S1=xs1,ys1,zs1及びS2=xs2,ys2,zs2により機械座標系(x,y、z)において決定されている。測定座標系(X,Y,Z)においては、DGPS受信機S1及びS2の位置はS1=XS1,YS1,ZS1及びS2=XS2,YS2,ZS2により決定されている。
【0044】
2つのDGPS受信機S1及びS2を使用することにより、制御ユニット7はDGPS受信機の位置を規定するデータを決定する為にGPSシステムを採用する。位置に関するこのデータから、制御ユニット7は次に2つのDGPS受信機が配置されている近傍の土木機械上の参照地点Rの位置及び向きを計算する。この目的の為に、制御ユニット7は、回転行列(rotation matrix)Rによる変換(transformation )を行い、DGPS受信機S1及びS2により測定座標系(X,Y,Z)中で測定された地点S1及びS2での座標を参照地点Rに与えるよう変換(transform)する。
【数1】

【0045】
その結果、制御ユニットは測定座標系(X,Y,Z)における移動式型枠敷設機1のコンクリート型枠6上の参照地点Rの測定座標を決定する:
【数2】

【0046】
制御ユニットは、測定された地点S1及びS2の座標(XS2,XS1;YS2,YS1)から土木機械の方向を与えている角度Φを計算する為に以下の方程式使用する:
【数3】

【0047】
制御ユニット7は、土木機械が予め設定されている所望の曲線に沿い移動する、即ち、土木機械上の参照地点Rが所望の曲線に沿い移動する、よう土木機械の駆動ユニットを制御する。
【0048】
一般的な形状では、所望の曲線は移動した距離及び曲率(curvature)の関数として以下の如く規定されることが出来る。
【数4】

【0049】
ここで、
【数5】

【0050】
曲率(curvature)Kは、K=1/Rにより規定されている。
【0051】
この実施形態においては、移動式型枠敷設機は「葉巻」の形状である交通島(traffic island)を創出する。葉巻の幾何学的形状は2つの平行な距離の移動及び2つの円の弧を供えている曲線により規定されている。以下に記載されることは、最初の直線及び第1半円弧を備えている曲線の部分のみである。
【0052】
葉巻の実施形態においては、最初の直線状の曲率(curvature)は零に等しい。土木機械上の参照地点Rが円の第1弧に沿い移動した時の曲率(curvature)は一定である。一旦、土木機械が弧に沿い移動することを止めさせられると、曲率(curvature)は一旦再び零になる。
【0053】
図5は、その幾何学形状が2mの長さの直線及び半径が2mである半円弧により規定されている葉巻を創出する時の移動式型枠敷設機の為の曲率の為の図表座標決め(graph plot)8及び方向の為の図表座標決め(graph plot)9を示している。長さと半径とが、この場合において、それにより葉巻の幾何学形状が予め設定される2つのパラメータを構成している。土木機械が弧に入った時には方向の為の図表座標決め(graph plot)が変化することが明らかになる。
【0054】
土木機械の操作者は最初に例えば葉巻の形状の如き所定の幾何学形状を予め設定する。操作者は、彼が予め設定する幾何学形状に関して自由である。図6は、直線a及び半円弧bにより規定された幾何学形状を示している。単に物事を明確にする為に、葉巻の幾何学形状は機械座標系に関する格子中に示されている。測定座標系(X,Y,Z)は従って機械及び測定座標系の間の関係を示すためにのみ図6中に示されている。
【0055】
この発明に従っている制御システムは、そこにおいて例えば葉巻の如き構造物10の創出が最初に開始される出発点に依存していて、それは地上における移動式型枠敷設機の為に自由に選択されている。この出発点は、機械座標系、即ち参照位置(図6)の原点に対応している。出発点は例えば、例えば水入口の如き地上に予め設定されている固定地点に隣接して位置決めされていてよい。出発点は、例えば葉巻の如き構造物10が創出される場所を規定する。土木機械の向きは出発点において自由に予め設定され、従って、例えば葉巻の如き構造物10が延長される方向が敷設される(lay down)。
【0056】
土木機械は今度は選択された出発点に向かい駆動されるとともに予め設定された向きに整列される。この手順は自動化されていない。土木機械の自動化されている制御が次に行なわれる。
【0057】
土木機械は位置決めされているとともに整列されていて、制御ユニット7は、測定座標系(X,Y,Z)における参照地点Rの位置及び向きを規定するデータを出発点のために決定する。続く制御の為に、例えば葉巻の如き、予め設定されている幾何学形状が次に測定座標系(X,Y,Z)に変換(transpose)されなければならない。創出される構造物又は変化が行なわれる地面上の予め設定されている幾何学形状に基づくとともに、土木機械の位置及び向きから独立している測定座標系(X,Y,Z)中の土木機械上の参照地点Rの位置及び向きを基づいて、制御ユニット7は、それに沿って土木機械上の参照地点Rが測定座標系(X,Y,Z)において移動する曲線である所望の曲線を規定するデータを決定する。
【0058】
図6及び7は、測定座標系(X,Y,Z)における参照地点の所望の位置を規定する所望の曲線が敷設される(laid down)のを許容するための、測定座標系(X,Y,Z)(図7)に対する自由に予め設定されている幾何学形状(図6)の移転(transfer)を示している。
【0059】
出発地点における土木機械上の参照地点Rの位置及び向きは既に決定されており、また所望の曲線は既に敷設されていて、制御ユニット7は土木機械の操作に入る。制御ユニットは今度は、連続的に又は時間の不連続な増加において、測定座標系(X,Y,Z)における土木機械上の参照地点Rの実際の位置(Xr,Yr)及び実際の向き(Φ)を決定する。そのようにすることにおいて、制御ユニットは時間毎に所望の位置Pと実際の位置(Xr,Yr)との間の距離D及び所望の方向αと実際の方向Φとの間の方向における差異ΔΦを計算する。
【0060】
予め設定されている制御アルゴリズム(control algorithm)を使用して、制御ユニット7は距離D及び方向における差異ΔΦから、距離D及び方向における差異ΔΦが最少であるように、即ち、土木機械上の参照地点が所望の曲線に沿い移動するように、駆動ユニットの駆動手段の為に操作されている時点での変更可能な値を計算する。この種の制御アルゴリズムは、当該技術分野において習熟している人々には良く知られている。
【0061】
図8は、所望の曲線状の地点の所望の位置と参照地点Rの実際の位置(Xr,Yr)との間の距離Dを示していて、また図9は、所望の曲線上の地点における所望の方向αと実際の方向Φとの間の方向における差異ΔΦを示している。舵取りに対する修正は、距離D及び方向における差異ΔΦの関数として発見される(舵取りに対する修正=f(D,ΔΦ)。
【0062】
幾何学形状を予め設定する為に、即ち、所定の物体を予め設定する為に、制御ユニットは再び単に示されているだけの入力ユニット7Aを有している。一つの実施形態においては、入力ユニット7Aは、例えばキーボード又はタッチスクリーンの形状である手段7Bを有している。キーボード又はタッチスクリーン7Bから、機械の操作者は幾何学形状を規定する種々のパラメータを入力することが出来る。操作者は例えば葉巻の為の直線の長さ及び弧の半径を入力してよい。入力ユニット7Aはまた、制御ユニットの記憶ユニット7C中に貯蔵されている複数の幾何学形状から所望の物体を規定する一つの幾何学形状を選択可能にする為に、例えば再びキーボード又はタッチスクリーンの如き手段7Bを有してよい。パラメータの入力及び/又は幾何学形状の選択の為と同様に、制御ユニット7のさらなる実施形態はまた、入れられている又は選択されている幾何学形状の変形例を準備する。例えば、その直線が予め設定されている長さであり、その弧が予め設定されている半径である葉巻が選択されて良いし、次に、直線の長さ及び/又は弧の半径の新たなパラメータをキーボード又はタッチパネル7Bから入力することにより、選択されている葉巻を現場に存在している特定の要求に適合するよう調整させてよく、葉巻は例えばより短く又はより長く、そして特にその幅又は長さが変化させられる。
【0063】
これと同様に、入力ユニット7Aはまた、これにより土木機械が位置決め及び整列後に地面上での動作に入ることが出来る、例えばスイッチ又は押し釦7Dの形状の手段7Dを有する。スイッチ又は押し釦7Dはまた、それが所望の曲線の全体の長さに渡り移動する以前に土木機械を停止させることを可能にするよう入力ユニット7A上に設けられていてよい。土木機械が停止されていると、例えば湾曲に従った通路を変更する為に、そして例えば創出される物体の高さを変える為に、キーボード又はタッチパネル7Bから新たなパラメータが例えば入力されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動推進土木機械、そして特に移動式型枠敷設機,道路舗装機,又は道路研削機械、であって、
車台(3),
車台上に配置されていて、地面上に構造物(10)を創出する為又は地面に対し変更を行う為の作動手段を有している作動ユニット(6),
自動土木機械に地面上で移動及び/又は回転の運動を行なわせる駆動手段を有している駆動ユニット(4A,4B;5A,5B),そして
土木機械が地面上で移動及び/又は回転の運動を行なうよう駆動ユニットを制御する為の制御ユニット(7),
を有していて、
制御ユニット(7)が、
創出される構造物の為の、又は変化が行なわれる地面の為の、所定の幾何学形状を予め設定する為の手段,
土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)に関係した土木機械上の参照地点(R)の位置及び向きを規定するデータを決定する為の手段,
創出される構造物又は変化が行なわれる地面の予め設定されている幾何学形状に基づいて、及び、土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)における土木機械上の参照地点(R)の位置及び向きに基づいて、所望の曲線を規定しているデータが決定されるよう設計されていて、所望の曲線が、それに沿って土木機械上の参照地点(R)が土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)において移動する曲線である、所望の曲線を規定しているデータを決定する為の手段,そして、
土木機械が地面上の予め設定されている位置及び向きにある予め設定されている出発位置から出発している所望の曲線に沿い土木機械上の参照地点(R)が移動するよう、所望の曲線を規定しているデータの関数として、駆動ユニットを制御する為の手段,
を有している、
ことを特徴としている自動推進土木機械。
【請求項2】
所望の曲線を規定しているデータが、所望の曲線に沿い移動する距離及び/又はその曲率を規定している、ことを特徴とする請求項1に従っている自動推進土木機械。
【請求項3】
駆動ユニットを制御する為の手段が、土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)における参照地点(R)の位置及び向きの関数として駆動ユニットが制御され、所望の曲線により規定されている時の参照地点Rの所望の位置(P)とその実際の位置(Xr,Yr)との間の距離(D)及び/又は土木機械の所望の方向(α)とその実際の方向(Φ)との間の所望の曲線により規定された方向における差異(ΔΦ)が最少となるよう、設計されている、ことを特徴とする請求項1又は2に従っている自動推進土木機械。
【請求項4】
参照地点(R)の位置及び/又は向きを規定しているデータを決定する為の手段は、星を基礎とした地球全体位置決めシステム(GPS)からのGPS信号を解読し、土木機械の位置及び向きを決定する為の参照極からの信号を訂正する為の第1及び第2DGPS受信器(S1,S2)を有していて、第1及び第2DGPS受信器(S1,S2)は土木機械上の異なった位置(S1,S2)中に配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項5】
参照地点の位置及び/又は向きを規定しているデータを決定する為の手段は、非衛星測定システムに所属している第1及び第2受信機(S1,S2)を有している、ことを特徴とする請求項4に従っている自動推進土木機械。
【請求項6】
創出する構造物又は変化が行なわれる地面の為の所定の幾何学形状を予め設定する為の手段は、創出する構造物又は変化が行なわれる地面の幾何学形状を規定するパラメータの入力の為の手段(7B)を有している入力ユニット(7A)を有している、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項7】
パラメータは、直線の長さ及び/又は円の弧の半径を規定するパラメータである、ことを特徴とする請求項6に従っている自動推進土木機械。
【請求項8】
創出する構造物又は変化が行なわれる地面の為の所定の幾何学形状を予め設定する為の手段は、複数の幾何学形状から1つの幾何学形状を選択する為の手段(7B)を有している入力ユニット(7A)を有している、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項9】
制御ユニット(7)は、入力ユニット(7A)と協働し複数の幾何学形状が貯蔵されている貯蔵ユニット(7C)を有している、ことを特徴とする請求項8に従っている自動推進土木機械。
【請求項10】
入力ユニット(7A)は、幾何学形状を変更する為の手段(7B)を有している、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項11】
制御ユニット(7)は、土木機械が予め設定されている位置及び向きにある地面上の予め設定されている出発地点において土木機械の動きを開始させる為の手段(7D)を有している、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項12】
制御ユニット(7)は、所望の曲線に沿う土木機械の動きを停止させる為の手段(7D)を有している、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項13】
土木機械は道路切削機械(1)であり、作動ユニットは研削ドラム(6A)を有している研削構成(6)を有している、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項14】
土木機械は移動式型枠敷設機(1)であり、作動ユニットは流動可能な物体(6)を成型する為の構成を有している、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項15】
土木機械は道路舗装機(1)であり、作動ユニットは物体(6)を形作る為のスクリードを有している、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に従っている自動推進土木機械。
【請求項16】
自動推進土木機械、そして特に移動式型枠敷設機,道路舗装機,又は道路研削機械、を制御する方法であって、
創出する構造物又は変化が行なわれる地面の為の所定の幾何学形状を予め設定する工程,
土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)に関する土木機械上の参照地点(R)の位置及び/又は向きを規定するデータを決定する工程,
創出する構造物又は変化が行なわれる地面の為の予め設定されている幾何学形状を基にすると伴に、土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)中における土木機械上の参照地点(R)の位置及び/又は向きを基にして、土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)中において土木機械上の参照地点(R)がそれに沿い移動する曲線である所望の曲線を規定しているデータを決定する工程,そして、
土木機械上の参照地点(R)が、土木機械が地面上の予め設定されている位置及び向きにある予め設定されている出発地点から出発して所望の曲線に沿い移動するよう、所望の曲線を規定しているデータの関数として、土木機械を制御する工程,
を有している自動推進土木機械制御方法。
【請求項17】
所望の曲線を規定しているデータは、所望の曲線に沿い移動した距離及び/又はその曲率を規定している、ことを特徴とする請求項16に従っている自動推進土木方法。
【請求項18】
土木機械は、所望の曲線により規定された時の、参照地点Rの所望の位置(P)とその実際の位置(Xr,Yr)との間の距離(D)、及び/又は、土木機械の所望の方向(α)とその実際の方向(Φ)との間の所望の曲線により規定された方向における差異(ΔΦ)が最小となるよう、土木機械の位置及び向きから独立した参照系(X,Y,Z)における参照地点(R)の位置及び/又は向きの関数として、制御される、ことを特徴とする請求項16又は17に従っている自動推進土木方法。
【請求項19】
創出する構造物又は変化が行なわれる地面の為の所定の幾何学形状を予め設定する工程は、幾何学形状を規定するパラメータの入力及び/又は複数の幾何学形状からの1つの幾何学形状の選択を備えている、ことを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に従っている自動推進土木方法。
【請求項20】
請求項1乃至15のいずれか1項に従っている自動推進土木機械、そして特に移動式型枠敷設機,道路舗装機,又は道路研削機械、により、地面上に構造物(10)を創出する又は地面に対する変化を行なう方法であり、
地面上に土木機械の動きの為の出発点を選択するとともに出発点における土木機械の向きを敷設し,
土木機械が選択された出発点に向かい移動され、そして、出発点において敷設された向きに整列され、
土木機械の動きの為の所望の曲線が決定され、そして、地面上に構造物(10)を創出する及び/又は地面に対する変化を行なわせるよう、土木機械が所望の曲線に沿い移動される、
ことを特徴としている方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−169095(P2011−169095A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−282799(P2010−282799)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(510334712)ビルトゲン・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】