説明

自動清浄式光センサ

【課題】清浄な状態に維持できる光センサの提供。
【解決手段】燃焼室7における燃焼過程での放射光を検出する光センサ1は、その先端に配置されて燃焼室7に面する少なくとも1個のレンズ2を有する。レンズ2の周辺部のまわりには加熱装置4が巻きつけられており、その加熱装置4が、光センサの先端を、レンズ2を覆う燃焼室7からの煤を焼き尽くす温度まで加熱して、光センサ1を清浄な状態に維持するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室における燃焼過程の光度(light intensity)を検査するための光センサ(optical sensor)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃焼機関、例えば火花点火エンジン(spark ignition engines)あるいはディーゼルエンジンにおいては、燃焼状態を調べるために光センサが供される。一方では、光度から温度を推定することができるので、燃焼室における光度を一時的に記録することによって、コンピュータモデルに対する限界状態としての重要なデータを提供する。他方では、光度を検出することによって燃焼室における煤の濃度について推定することができる。排気ガスの法規制が益々厳しくなっているため、エンジン燃焼時の煤の形成を低減させるため莫大な努力がなされている。光センサはこれら努力の発展に貴重なデータを提供するものである。
【0003】
本発明に関わる特定の関心は、130度までの検出角度を実現し、かつ点火プラグあるいはグロープラグに設置しうる小さい径を有する光センサにある。
【0004】
試験的な実験が明らかにしたところでは、光センサの燃焼室に面する側は、ある時間の経過後、殆どの場合数分後に既に煤で覆われている。それによって、前面レンズの透明性が低減する。前記レンズが汚れた後は、光センサによって測定された値は厄介なコンピュータによる較正を行った後でのみ燃焼室における光度に関し推定をもたらすこととなる。このため、較正の後センサを取り外し、清浄を行う必要がある。これは測定を中断させ、極めて時間がかかり、かつ高価につく。
【0005】
実験では、この煤は焼き尽くすことが可能で、前面レンズは、該レンズの温度が少なくとも400℃であれば汚れを取り除くことができることが示された。ある用途においてはこの目的のために、センサの前端に選択的に燃焼室の高温のガスが通される。その結果、煤は燃焼室の温度によってやがて再度焼き尽くされ、測定は再び有用なデータを提供する。ところが残念ながら、殆どの場合このガスの流れは、前面レンズを焼いて清浄にするには十分でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、燃焼室と面している側における煤の堆積に影響されない、燃焼室における燃焼過程を検出するための光センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】光センサの本発明による実施例を示す。
【図2】本発明による光センサの先端の詳細図である。
【実施例】
【0009】
図1は光センサ1を示す。このセンサは燃焼室に面する側において1個以上のレンズ2を有している。該レンズ2を通して入る光はセンサ1の中心にある光ファイバによって伝送され、その後分析のために処理される。
【0010】
測定の過程において、センサ1のレンズ2の前面は燃焼室7からの煤によって汚される。本発明のこの実施例は前面レンズ2の領域においてセンサ1の先端に加熱手段(heating)4を有している。本発明の特徴は、センサの先端が、前記前面レンズ2における煤が焼き尽くされる温度まで加熱手段4によって加熱されうることにある。それによって、センサ1はきれいになり、所望される全測定時間に亘り作用しうる。
【0011】
本実施例においては、加熱手段4は加熱コイルから構成されている。センサ1に装着された温度感知要素6は温度制御手段として機能する。
【0012】
図2は、レンズ2とそれに隣接する光ファイバ3とを有する光センサ1の本発明による実施例の先端を示す。本明細書で説明する本発明はその他のセンサに対しても同様に採用することができる。本図は何らかの限定的な意味は有しているものと理解すべきでない。図2に示す実施例においては、加熱線4はレンズ2の周りに数回巻きつけられている。1回から8回(1 to 8 coils)、特に2回から4回までの間のコイルの巻きであることが好ましい。断面が0.25から1ミリメートルの間である加熱線4が使用されることが好ましい。加熱線4が加熱される電力は10から70ワットの間、特に15から40ワットの間であることが好ましい。
【0013】
測定する前に既に、加熱手段4は前面レンズ2の表面を常に清浄状態に保つのに必要な所望の温度まで持ってこられている。この目的に対して必要とされる温度はセンサの先端において、約400℃、好ましくは約600℃である。前面レンズ2の表面に堆積する煤はこれらの温度において直ちに焼き尽くされる。全体の測定の間加熱装置が清浄なレンズ2を提供し、従ってこの点に関して安定した測定を提供する。
【0014】
代替的に、必要とされる加熱は電磁波の形態のエネルギを供給することによって実行することも可能である。前記のエネルギは例えばレーザによって発生させることができる。それによって、光は光ファイバ3を介してレンズ上に導くことができる。レンズ2上の堆積物は衝突するエネルギを吸収し、それによって焼き尽くされる。この装置での差異は実際に測定の間加熱手段が作動しなくてよいことである。このように、新しく汚れが生じた後測定を停止し、清浄化を実行する必要がある。
【0015】
レンズに隣接して、流体を充填しうる導管あるいは流路を代替的に設けることができる。前記流体は適当な仕方で所望温度まで加熱され、導管あるいは流路に通されてそれによりセンサの先端まで通される。センサの先端のこの領域での熱の伝送によって前面レンズ上の煤を焼き尽くす。
【0016】
センサの先端を加熱することの利点は、特にディーゼルエンジンの燃焼において、汚れの程度とは関係なくいずれの作業箇所においても測定を実行しうることである。別の利点は厄介な較正を行う必要がなく、センサを取り外す必要がないことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室(7)における燃焼過程を検出するための光センサ(1)であって、該センサの先端において前記燃焼室と面する少なくとも1個のレンズ(2)を有し、かつ該センサの先端を加熱するための加熱装置(4)を含む光センサにおいて、前記加熱装置は、前記燃焼室と面する前記レンズの表面の近くで、前記レンズの周辺部の周りに巻きつけられていることを特徴とする光センサ。
【請求項2】
前記加熱装置(4)が前記センサの先端を少なくとも400℃まで、好ましくは少なくとも600℃まで加熱しうることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記加熱が加熱線(4)によって発生することを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記加熱線(4)が0.25から1ミリメートルまでの径を有していることを特徴とする請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記加熱線(4)が10から70ワットまでの、好ましくは15から40ワットまでの加熱電力によって作動しうることを特徴とする請求項3または4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記加熱線(4)がレンズ(2)の周りに1回から8回、特に2回から4回までのコイルの巻きを配置していることを特徴とする請求項3,4または5のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記加熱が制御可能であることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記センサが、温度制御手段として機能する温度感知要素(6)を含むことを特徴とする請求項7に記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−150119(P2012−150119A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41062(P2012−41062)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【分割の表示】特願2006−504154(P2006−504154)の分割
【原出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(502281471)キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト (45)
【Fターム(参考)】