説明

自動給水プランター

【技術課題】
給水量に過不足がないように構成すると共に給水の手間を省き、デザイン性に優れ、軽量化と電力の消費を抑えた自動給水プランターを提供する。
【解決手段】
プランター本体1内を仕切板2により貯水室3と生育室4を形成し、仕切板2の上面には吸湿性布6と隙間材7で吸湿空間8を形成し、この上に土5を入れる。
プランター本体1の隅にポンプ収容パイプ9を挿入し、このパイプ9の底に組み込んだ水中ポンプ10により給水第1チューブ13と第2チューブ15を経由して前記吸湿空間8内に吸水を行い、吸湿性布6から土5中に給水を行い、土5を湿らせ、草花aに給水を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動給水機能を付加したプランターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動給水機能を付加したプランターとして特許文献1には、貯水槽に貯った雨水を水供給ポンプを用いてプランターに自動給水する装置が紹介されている。
【0003】
しかし、この自動給水装置の場合、プランター内の水管理機能を有しないことから、給水の過不足の問題が発生する。
【0004】
また、特許文献2には、プランターケースを二重壁で構成して二重壁内を貯水タンクとなし、このタンク内からプランターの土壌中に給水を行う装置が紹介されている。
【0005】
しかし、この自動給水装置にあっては、プランター内における給水構造が不完全であることから、安定した給水を行うことはできず、実用的でない。
【0006】
また、特許文献3には、屋上緑化プランターとして、プランター内の底部に透水性多孔部材を敷設し、この上に土壌層を形成し、毛細管給水機構を利用して給水する装置が紹介されている。
【0007】
しかし、この給水構造の場合、プランター内の土壌に対する給水分布が不均一化すると共に給水量を一定に保つ制御ができないという問題がある。
【0008】
また、特許文献4には、本件出願人がプランターの側部に水容器を付設し、プランター内の底部に小石を敷き、この上に土を入れ、小石層を介して給水が行われるように構成した装置を紹介している。
【0009】
しかし、この装置の場合、バルブで水を完全に止める事が難しく、またバルブで目詰まりも起こし易く、実用化には問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−301482号公報
【特許文献2】特開2009−254327号公報
【特許文献3】特開2004−298140号公報
【特許文献4】特開2010−68735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は次のとおりである。
【0012】
a.給水が確実に行われ、目詰りや水漏れがなく、故障の少ないプランターを提供すること。
【0013】
b.水タンク・給水配管をプランターの外に設置しないようにしてデザイン性に優れ、安価に製作できるプランターを提供すること。
【0014】
c.水タンクの容量を大きくできて給水の手間を少なくできるプランターを提供すること。
【0015】
d.プランターに降った雨水を貯水にまわして給水の手間の少ないプランターを提供すること。
【0016】
e.プランター内の土の量を少なくして軽量化が可能なプランターを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の自動給水プランターにおいては、a.プランター本体1内を仕切板2により上下に仕切り、下部に貯水室3を形成し、上部に土5を充填して生育室4を形成したこと、
b.前記仕切板2の上面中央には、吸湿性布6内に隙間材7を入れて吸湿空間8を形成したこと、
c.前記プランター本体1内の隅には縦方向にポンプ収容パイプ9を挿入し、このポンプ収容パイプ9内の底部には水中ポンプ10を組み込んだこと、
d.前記水中ポンプ10の吸入口11はポンプ収容パイプ9内で開口し、吐出口12には給水第1チューブ13が取り付けられていると共にこの給水第1チューブ13の先は前記生育室4内に組み付けた分水器14内に結ばれていること、
e.前記分水器14内底部と前記吸湿空間8間は給水第2チューブ15で結ばれていると共に分水器14とポンプ収容パイプ9間にはオーバーフロー口16が設けられていること、
f.前記ポンプ収容パイプ9の給水口18には着脱自在に蓋体19が装着されていること、
g.前記ポンプ収容パイプ9の下部と貯水室3間には通水穴20が設けられていること、を特徴とするものである。
【0018】
また、請求項2に記載の自動給水プランターは、請求項1に記載の自動給水プランターにおいて、水中ポンプ10は、電源コード10aを経由したAC電源、又は太陽光発電装置で発電した電力を電源に駆動すること、を特徴とするものである。
【0019】
また、請求項3に記載の自動給水プランターは、請求項1に記載の自動給水プランターにおいて、水中ポンプ10には引き上げ兼押え棒17が取り付けられていることにより、この引き上げ兼押え棒17により水中ポンプ10をポンプ収容パイプ9内底部に押え、かつ引き上げることにより水中ポンプ10の点検清掃を簡単に行うことができること、を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上のように、プランター本体1内を仕切板2で上下に仕切り、この仕切板2の下に貯水室3を形成し、この貯水室3の水を水中ポンプ10で分水器14から吸湿性布6を経由して生育室4内の土5中に給水するため、貯水室3の容量を増大することで給水の手間を少なくできる。
【0021】
また、土5に対する給水は、吸湿性布6を経由するため、自然の土壌と条件が同じくなり、根腐れの心配がない。
【0022】
また、小石等を敷かないため、目詰りの心配がないと共に水中ポンプ10から給水チューブ15を介して給水するだけのため、構造が簡単で故障も少ない。
【0023】
また、プランター本体1内に降った余分な雨水は土5を経由して吸湿性布6内に浸透し、給水チューブ15から分水器14内に逆流し、オーバーフロー口16からポンプ収容パイプ9内に回収することができる。通水口20を経由して貯水室3内に貯水して再給水に廻すことができる。
【0024】
また、プランター本体1内に貯水室3を設け、この上に土5を入れた生育室4を形成したことにより、土5の量を少なくしてプランターの軽量化を図ることができると共にデザイン的にスッキリとさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る自動給水プランターの説明図である。
【図2】本発明に係る自動給水プランターの平面図である。
【図3】分水器部分の説明図である。
【図4】水位検出器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための形態を図1〜4に基づいて詳細に説明する。
【0027】
符号の1はプランター本体であって、本実施例のプランター本体1は箱状を呈している。
【0028】
また、プランター本体1内は、仕切板2により上下に仕切られていて、下部にはオーバーフロー口3a付の貯水室3が形成され、上部には土5を入れた生育室4が形成されている。
【0029】
前記仕切板2の上面中央部には、吸湿性布6内に隙間材7を入れて吸湿空間8が偏平状に形成されている。
【0030】
9は、プランター本体1内の隅に上方から挿入されたポンプ収容パイプであって、このパイプ9内の底部には水中ポンプ10が組み込まれていると共にこの水中ポンプ10の吐出口12には給水第1チューブ13が接続されていて、この先は生育室4内に組み付けた分水器14内に結ばれている。
【0031】
15は、分水器14内と吸湿性布6内の吸湿空間8を結ぶ給水第2チューブ、16は分水器14内とポンプ収容パイプ9内を連通しているオーバーフロー口である。
【0032】
17は、水中ポンプ10と電源コード10aをポンプ収容パイプ9内に押え付けたり、引き上げてポンプ10の点検とか清掃を行うときに用いる引き上げ兼押え棒、19はポンプ収容パイプ9の上部給水口14を塞ぐ蓋体であって、この蓋体19をとり、給水口18からホースあるいは給水ポット等を用いてポンプ収容パイプ9内に給水を行うと、ポンプ収容パイプ9の下部に設けた通水穴20を経由して貯水室3内に一定レベルまで給水を行うことができる。
【0033】
このとき、貯水室3内の水位を検出するのが図4に示した水位検出器であって、この構成は、ポンプ収容パイプ9内に水位検出パイプ23が挿入されていると共にこの水位検出パイプ23内の底部23bには通水孔23aが形成され、更に底部23bにはフロート24が挿入され、このフロート24からは水位検出パイプ23内を経由して蓋体19の外に抜けるように水位表示バー25が延長されていると共に水位表示バー25の上端26側には水位表示目盛27が設けられていて、貯水室3内の水位を目視で確認し、給水のタイミングが判る構成である。28はフロートストッパーである。
【0034】
図1において、22は仕切板2の支持脚、30は排水口、31は水栓である。
【0035】
上記構成において、水中ポンプ10の駆動により分水器14内に給水された水は、給水第2チューブ15を経由して吸湿性布6で覆われた吸湿空間8内に給水されることにより、吸湿性布6の吸湿作用で土5中に給水され、草花aの根から吸い上げられる。
【0036】
分水器14には、この分水器14内に給水された水位を一定に保つ位置にオーバーフロー口16が設けられていて、このオーバーフロー口16からオーバーフローした水はポンプ収容パイプ9内に還流する。
【0037】
なお、本実施例は自動的にポンプ収容パイプ9内に給水する構造とはなっていないが、上水又は貯水槽とポンプ収容パイプ9間を給水ホースで結び、貯水室3内の水位をセンサーで検出し、このセンサーからの信号で電磁バルブを操作して常時一定水量を貯水室3内に確保するようにしても良い。
【0038】
また、本実施例では水中ポンプ10の駆動にAC電源を利用したが、水中ポンプ10は4W程度で十分機能するため、太陽光発電装置で発電した電力を用いても十分に駆動することから経済性に優れたプランターとして提供するようにしても良い。
【0039】
また、水中ポンプ10は、常時駆動させても消費電力が少ないために問題はないが、耐久性等を考慮してタイマーを用いて又は土5中に湿気センサーを組み付け、この湿気の値からその駆動を制御するようにしても良い。
【0040】
また、前記湿気センサーで土5中の湿気を常時監視することにより、植物に合った湿気となるように給水を自動制御するようにしても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 プランター本体
2 仕切板
3 貯水室
3a オーバーフロー口
4 生育室
5 土
6 吸湿性布
7 隙間材
8 吸湿空間
9 ポンプ収容パイプ
10 水中ポンプ
11 吸入口
12 吐出口
13 給水第1チューブ
14 分水器
15 給水第2チューブ
16 オーバーフロー口
17 引き上げ兼押え棒
18 給水口
19 蓋体
20 通水口
22 支持脚
23 水位検出パイプ
24 フロート
25 水位表示バー
26 上端
27 水位表示目盛
28 フロートストッパー
30 排水口
31 水栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.プランター本体1内を仕切板2により上下に仕切り、下部に貯水室3を形成し、上部に土5を充填して生育室4を形成したこと、
b.前記仕切板2の上面中央には、吸湿性布6内に隙間材7を入れて吸湿空間8を形成したこと、
c.前記プランター本体1内の隅には縦方向にポンプ収容パイプ9を挿入し、このポンプ収容パイプ9内の底部には水中ポンプ10を組み込んだこと、
d.前記水中ポンプ10の吸入口11はポンプ収容パイプ9内で開口し、吐出口12には給水第1チューブ13が取り付けられていると共にこの給水第1チューブ13の先は前記生育室4内に組み付けた分水器14内に結ばれていること、
e.前記分水器14内底部と前記吸湿空間8間は給水第2チューブ15で結ばれていると共に分水器14とポンプ収容パイプ9間にはオーバーフロー口16が設けられていること、
f.前記ポンプ収容パイプ9の給水口18には着脱自在に蓋体19が装着されていること、
g.前記ポンプ収容パイプ9の下部と貯水室3間には通水穴20が設けられていること、
h.を特徴とする自動給水プランター。
【請求項2】
前記水中ポンプ10は、電源コード10aを経由したAC電源、又は太陽光発電装置で発電した電力を電源に駆動すること、を特徴とする請求項1に記載の自動給水プランター。
【請求項3】
前記水中ポンプ10には引き上げ兼押え棒17が取り付けられていることにより、この引き上げ兼押え棒17により水中ポンプ10をポンプ収容パイプ9内底部に押え、かつ引き上げることにより水中ポンプ10の点検清掃を簡単に行うことができること、を特徴とする請求項1に記載の自動給水プランター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−55218(P2012−55218A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200717(P2010−200717)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(502216015)
【Fターム(参考)】