説明

自動色補正装置及び自動色補正方法並びにその制御プログラムを記録した記録媒体

【課題】 様々な照明環境下で撮影された自然画像における重要被写体(例えば、肌色、青空、草木の緑等)に対し、自動的に良好な色補正を施すことである。
【解決手段】 代表色抽出手段13は対象物選択手段11において選択された対象物の色相の分布可能領域と分割色相領域における分布頻度とを対象物色情報メモリ12から読出し、代表色を抽出する。色補正パラメータ決定手段15は代表色抽出手段13で抽出された代表色に最適な色補正パラメータを色補正パラメータ記憶メモリ14の記憶内容から決定する。色補正処理手段16は入力画像に対し、対象物の代表色とその近傍付近の色のみに対して色補正が施される処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動色補正装置及び自動色補正方法並びにその制御プログラムを記録した記録媒体に関し、特にディジタルスチルカメラ、スキャナ、ディスプレイ、プリンタ等のカラー画像機器及びカラー画像処理ソフトウェアにおけるカラー画像の色補正技術に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー画像の色再現問題において、カラー画像機器間で忠実な色再現を実現するとともに、我々人間が好ましいと感じる色再現も重要な要素となる。肌色、青空、草木の緑等の自然物は人間の注意を引きやすく、好ましい色再現が要求される。
【0003】特に、肌色に関しては様々な肌色補正方法が提案されている。例えば、特開平8−79549号公報においては、肌色領域に対して空間周波数の高周波領域成分を除去して粒状感を低くするとともに、ハイライト部分における階調性や色飛びを防止することで、肌色の再現性を向上させる手法が提案されている。
【0004】また、特開平11−17969号公報には、好ましい肌色の範囲から外れている部分を好ましい肌色に補正するために、入力画像をカラーCRT(Cathode−Ray Tube)モニタに表示し、補正の対象となる黒ずんだり、緑がかったような好ましい肌色から外れる色をポインティングデバイスによって指定し、指定された注目画素の色相及びその隣接近傍の色相を目的の色相に変換する手法が提案されている。
【0005】さらに、特開平6−133329号公報には、肌色に限らず、ある特定のカテゴリ色の局所的な色ずれを検知し、そのカテゴリの代表色に変換することで色ずれを補正する手法が提案されている。
【0006】さらにまた、特開平6−121159号公報には、肌色、空、緑等のカテゴリ色に対して人間の記憶色を考慮した色補正方法が提案されている。
【0007】一方、特開平10−198795号公報には、補正を施す色相を任意に設定し、その指定された特定色相と注目画素の色相との距離を表す特色度を定義することで、特定色相のみに作用する色補正方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の色補正方法では、特開平11−17969号公報に開示された手法の場合、グラフィカルユーザインターフェース(GUI:Graphical User Interface)によるユーザとの対話が利用されている。
【0009】この手法を用いることによって、補正対象領域における代表色及び色補正パラメータが手動で設定可能となるため、柔軟でかつ良好な色補正処理が可能となる。しかしながら、大量の画像データを短時間で処理しなければならない場合、この手法は適していない。つまり、処理時間及び労力がネックとなるとともに、操作者の熟練度によっても補正結果がばらつく等の問題がある。
【0010】操作者の違いによる補正結果のばらつき及び処理時間の問題を解決するためには、ユーザの操作を必要としないカラー画像の自動色補正が必要となる。特開平6−133329号公報に開示された手法は指定された色相領域を検出し、それを代表的な一定な色に置き換えるという手法であるが、肌色、青空、草木の緑等の自然物の色は一定ではなく、変換後の色もある程度のばらつきを持たせないと自然な色再現は得られない。
【0011】一方、特開平6−121159号公報に開示された手法では、肌色、青空、草木の緑の自然物等の各対象物に対して予め設定されている一つのパラメータが用いられることになる。しかしながら、一般に、肌色、草木の緑、青空等の自然物の色は様々な入力機器や撮影環境等の影響によって広い色分布を持つことになる。このように、広い色分布を持つ対象物の色補正には入力画像から検出された補正対象物の色の色相、彩度、明度に応じて、より木目細やかに最適な補正パラメータを設定しなければ良好な色再現を実現することができない。
【0012】特開平10−198795号公報においては、GUIを利用した補正対象の色の指定方法を利用する場合と、肌色に限定した時の自動色補正の方法が提案されている。後者の自動色補正方法では肌色領域をRGB値やYCbCr値の閾値を設定して検出すると述べているが、様々な照明環境や背景下で撮影された画像に適用した場合、RGB値やYCbCr値の閾値だけでは肌色領域の検出精度が低いものとなる。
【0013】特開平6−121159号公報においても、入力画像から補正対象物を検出するために、特開平10−198795公報と同様に、色相、彩度、明度の閾値から判定される対象領域の面積の情報、すなわち単純なヒストグラムを用いているが、同様の理由から、例えば肌色領域の検出精度が低いものとなる。
【0014】そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、様々な照明環境下で撮影される自然画像を入力画像とし、この入力画像の照明環境、入力センサの感度特性等の情報が無くとも、良好な色補正を実現することができる自動色補正装置及び自動色補正方法並びにその制御プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による自動色補正装置は、カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正装置であって、前記特定対象物の色相分布可能領域を分割して得られる分割色相領域及び分布頻度を記憶する対象物色情報記憶メモリと、前記対象物色情報記憶メモリの記憶内容を基に任意入力画像中から前記特定対象物の代表色を抽出する代表色抽出手段と、前記特定対象物の色相分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して割り振られる色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリと、前記代表色抽出手段で抽出された代表色に最適な色補正パラメータを前記色補正パラメータ記憶メモリの記憶内容から決定する色補正パラメータ決定手段と、前記色補正パラメータ決定手段で得られた色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行う色補正処理手段とを備えている。
【0016】本発明による自動色補正方法は、カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正方法であって、任意入力画像中から前記特定対象物の代表色を抽出するステップと、抽出された前記代表色に最適な色補正パラメータを前記特定対象物の色相に関する分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して割り振られる色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリの内容に基づいて決定するステップと、前記最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行うステップとを備えている。
【0017】本発明による自動色補正制御プログラムを記録した記録媒体は、カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正装置に自動色補正を行わせるための自動色補正制御プログラムを記録した記録媒体であって、前記自動色補正制御プログラムは前記自動色補正装置に、任意入力画像中から前記特定対象物の代表色を抽出させ、前記特定対象物の色相に関する分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して色補正パラメータを割り振らせ、抽出された前記代表色に最適な色補正パラメータを決定させ、前記最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行わせている。
【0018】すなわち、本発明の第1の自動色補正方法は、カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正方法において、任意入力画像中から特定対象物の代表色を抽出するステップと、特定対象物の色相に関する分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して色補正パラメータを割り振るステップと、抽出された代表色に最適な色補正パラメータを決定するステップと、最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行うステップとを含んでいる。
【0019】本発明の第2の自動色補正方法は、色補正パラメータを割り振るステップにおいて、対象物の分割色相領域だけでなく、対象物の彩度分布可能領域及び明度分布可能領域をそれぞれ複数個に分割した分割彩度領域及び分割明度領域のそれぞれの領域に色補正パラメータを割り振っている。
【0020】本発明の第3の自動色補正方法は、代表色を抽出するステップにおいて、特定対象物の色相、彩度、又は明度、あるいはそれらを組合せたものに関する分布頻度に加え、画像中の座標位置の分散をも利用することによって、特定対象物の代表色を抽出している。
【0021】本発明の第1の自動色補正装置は、カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正装置において、特定対象物の色相分布可能領域を分割して得られる分割色相領域及び分布頻度を記憶する対象物色情報記憶メモリと、任意入力画像中から特定対象物の代表色を抽出する代表色抽出手段と、特定対象物の色相分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して割り振られる色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリと、代表色抽出手段によって抽出された代表色に最適な色補正パラメータを色補正パラメータ記憶メモリから決定する色補正パラメータ決定手段と、色補正パラメータ決定手段によって得られた色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行う色補正処理手段とを含んでいる。
【0022】本発明の第2の自動色補正装置は、特定対象物について予め様々な撮影環境下で撮影された複数の画像を解析して得た特定対象物の色相、彩度、又は明度、あるいはそれらを組合せたものに関する分布可能範囲を分割して得られる分割領域及び分布頻度を記憶する拡張対象物色情報記憶メモリを備え、代表色抽出手段において色相、彩度、又は明度、あるいはそれらを組合せたものに関する分割領域を基に入力画像中における特定対象の色相、彩度、又は明度、あるいはそれらの組合せのヒストグラムを得て分布頻度とヒストグラムとを掛け合わせ、その最大値を有した領域中に存在する色を特定対象物の代表色として抽出している。
【0023】本発明の第3の自動色補正装置は、代表色抽出手段において、特定対象物の色相、彩度、又は明度、あるいはその組合せの分布頻度に加え、画像中の座標位置の分散も利用することによって特定対象物の代表色を抽出している。
【0024】本発明の第4の自動色補正装置は、色補正パラメータ記憶メモリにおいて、対象物の色相だけでなく対象物の彩度分布可能領域及び明度分布可能領域をそれぞれ複数個に分割した分割彩度領域及び分割明度領域のそれぞれの領域に割り振られた色補正パラメータを記憶している。
【0025】本発明の第5の自動色補正装置は、入力機器毎に特定対象物の色相、彩度、又は明度、あるいはそれらを組合せたものに関する分布可能範囲を分割して得られる分割領域及び分布頻度を記憶する入力別対象物色情報記憶メモリと、出力機器毎に色補正パラメータを保持する出力別色補正パラメータ記憶メモリと、ユーザが入出力カラー画像機器の機種を選択できる入出力機器指定手段とを含んでいる。
【0026】本発明の第6の自動色補正装置は、特定対象物の複数種類のカラー画像を記憶するサンプル画像記憶メモリと、サンプル画像記憶メモリに記憶されている画像をモニタに表示し、ユーザに特定対象物の色を補正させることを可能にする手動色補正処理手段と、手動色補正手段の結果から色補正パラメータ記憶メモリに記述する色補正パラメータを作成する色補正パラメータ生成手段とを含んでいる。
【0027】上記のように、画像情景中の肌色、草木の緑、青空等の特定対象物の代表色を高精度に抽出し、抽出された代表色に最適な色補正パラメータを設定することで、様々な照明環境下で撮影された自然画像における重要被写体(例えば、肌色、青空、草木の緑等)に対して自動的に良好な色補正を施すことが可能となる。すなわち、様々な照明環境下で撮影される自然画像を入力画像とし、この入力画像の照明環境、入力センサの感度特性等の情報が無くとも、良好な色補正を実現することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、本発明の自動色補正方法について説明する。本発明の自動色補正方法では、GUIを用いることなく、自動的に入力画像における特定対象の色補正を実現するために、(1)画像中の特定対象の領域から代表色を抽出するステップと、(2)抽出された代表色に応じて最適な色補正パラメータを設定するステップとが必要となる。
【0029】(1)のステップにおいては任意の入力画像中から特定対象物領域の代表色を自動的に抽出するが、この場合、入力画像はディジタルカメラ、スキャナ、インタネット上の画像データベース等、どのようなソース(機器)から入力あるいは入手されたものかを特定することができない画像を含んでいる。つまり、入力機器のセンサ感度特性を特定することができないため、色補正の手がかりとなる画像情景中の照明色や物体色を推定することが難しい。
【0030】このような様々な入力画像から特定対象物の領域から代表色を抽出するため、本発明では、まず様々な照明環境、背景、入力機器で撮影された特定対象の画像データ中の特定対象領域から得られた色の色相、彩度、明度に関する分布可能範囲と分布頻度を予め準備している。
【0031】この特定対象領域の色の色相、彩度、明度に関する分布可能範囲及び分布頻度はパターン認識における認識辞書と同様のものであり、作成には人手による作業を要するが、一度求めておけば良い。すなわち、実際に入力画像から特定対象物の代表色を抽出する際には、この特定対象領域の色の色相、彩度、明度に関する分布可能範囲及び分布頻度を利用することで、自動的に特定対象物の代表色を抽出することができる。
【0032】図1は対象物の色相分布可能領域とその頻度を示す図であり、図2は対象物の色相分布可能領域を分割した状態を示す図であり、図3は対象物の色補正前後の色相の変化を示す図である。
【0033】図1においてはある特定対象物の色相に関する分布可能範囲及び分布頻度の一例を示している。この図において、下限色相Aと上限色相Bとに挟まれる領域が特定対象が分布しうる色相範囲、すなわち色相の分布可能範囲を示している。縦軸はこの分布可能範囲における特定対象の分布頻度を表している。尚、図1では色相のみの分布頻度及び分布可能範囲を示しているが、彩度成分、明度成分における分布可能範囲及び分布頻度についても同様に作成が可能であるとともに、色相、彩度、明度の3成分を統合した3次元空間における分布可能範囲と分布頻度とを作成することも可能である。
【0034】図2においては図1に示す色相の分布可能範囲を、ある間隔で分布可能範囲をn個に分割している。ここで、分割する間隔は一定でもよいし、可変であってもよい。図2では特定対象物の色相における分布可能範囲を11個の領域に分割した例を示している。以下、色相の分布可能範囲を分割したものを分割色相領域とする。
【0035】この分割色相領域における分布頻度RH (i)(i=1〜nの整数)[Hは色相(Hue)を表す]を計算する。ある分割色相領域aに対する分布頻度RH (a)の計算方法は、例えばその分割色相領域aに存在するサンプル数をb個、サンプル総数をall個とすると、 RH (a)=b/all ……(1)
等としてもよい。同様にして、彩度における分布頻度RS (j)、明度における分布頻度Rv (k)も計算することができる。
【0036】続いて、任意の照明環境下で撮影された入力画像中から特定対象物の代表色が含まれる領域を抽出する手法について説明する。本手法では上記の特定対象物の分布可能範囲及び分割領域における分布頻度を利用する。ここでは説明の簡略化のために色相に着目して説明する。
【0037】入力画像の各画素の色相、彩度、明度を計算する。ここで、色相、彩度、明度はカラー画像処理において広く利用されている以下の式、 V=Max(R,G,B)
V=0の時 S=0 V>0の時 S=(V−Min(R,G,B))/V S=0の時 H=0 V=Rの時 H=60(G−B)/SV V=Gの時 H=60(2+(B−R)/SV)
V=Bの時 H=60(4+(R−G)/SV)
H<0の時 H=H+360 ……(2)
に示したHSV等を利用することができるが、この限りではない。
【0038】この各画素について、その色相が特定対象物の色相における分布可能範囲内であるか否かを判定し、範囲内であると判定された場合、その色相がn個に分割されている分割色相領域のどの領域に属するかを判定する。
【0039】この処理を入力画像中の全画素に対して行い、全ての分割色相領域におけるヒストグラムHITH (l)を作成する。ここで、lは1からnまでの整数で、n個に分割された分割色相領域のどの領域であるかを表している。各分割色相領域における代表色候補指数RP(i)を、 RP(i)=HITH (i)×RH (i) ……(3)
という式で計算する。ここで、iは1〜nまでの整数である。
【0040】この場合、代表色候補指数RPが最も値の大きかった分割色相領域を入力画像における特定対象物が有する色相領域とする。このように選択された分割色相領域内に存在する画素の平均RGB値を、入力画像中における特定対象物の代表色としても良いし、予めそれぞれの分割色相領域にRGB値を割り振っておき、その値を代表色にしてもよい。尚、予め割り振るRGB値は、上記の特定対象物の色相、彩度、明度に関する分布可能範囲及び分布頻度を求めたものと同じ画像データセットを利用し、各分割領域に存在する色の平均RGB値としてもよい。
【0041】上述した手法は色情報のみを手がかりに特定対象物の代表色を抽出する方法である。さらに代表色の抽出精度を高めるためには、各分割色相領域に存在する画素の画像中での座標位置の分散を導入する。例えば、分割色相領域aにK個が存在した場合、まず、そのK個の画像中でのXY座標(Xi,Yi)(i=1〜K)から、 Xc=ΣXi/K Yc=ΣYi/K ……(4)
という式で、平均座標(Xc,Yc)を計算する。ここで、Σはi=1からKまでの総和である。
【0042】分割色相領域aに存在する画素の座標位置の分散Vaは、 Va=Σ((Xc−Xi)2 +(Yc−Yi)2 )/K ……(5)
で表される。尚、Σはi=1からKまでの総和である。
【0043】この分散Vaと特定対象物の基準分散SVとの差を分割色相領域の評価に導入する。特定対象物の基準分散は上述した特定対象物の色相、彩度、明度に関する分布可能範囲及び分布頻度を求めたものと同じ画像データセットを利用することによって計算することができる。
【0044】分散Vaと基準分散SVとの差に閾値を設け、分散の差がその閾値を超える場合にはこの領域を放棄し、次に大きな代表色候補指数RPを有する分割色相領域の分散と基準分散との差を評価していく方法や、 RP’(o)=HITH (o)×RH (o)×CD(o) ……(6)
という式のように、基準分散SVと分割色相領域oにおける特定対象物の分散Voとの差の絶対値D(o)を導入した代表色候補指数RP’を定義し、その最大値を有する分割色相領域を入力画像における特定対象物が有する色相領域とする方法もある。ここで、Cは0<C<1.0の実数定数、D(o)はD(o)≧0.0の実数である。
【0045】以上のような特定対象物の座標位置の分散をも考慮にいれて選択された分割色相領域中に存在する色の平均値を代表色とする。
【0046】次に、(2)のステップの抽出された代表色に応じて最適な色補正パラメータを設定する方法について説明する。特定対象物を含んだ複数の画像データに対して、特定対象物が良好な色になるように、予め人手によって色補正を施す。この時の補正方法は、特開平10−198795号公報に開示されている特定の色相のみに作用する色補正方法やGUIを利用する方法等が利用可能である。
【0047】図3においては特定対象物の色補正前後における色相の変化量を分割色相領域毎に平均化した場合の例を示している。尚、矢印の起点が補正前の色相、終点が補正後の色相を表している。
【0048】この変化量を発生させる色補正パラメータを各分割色相領域毎に色補正パラメータ記憶メモリ等に記述しておく。その後に、入力画像から抽出された特定対象物の代表色の色相を計算し、その色相が存在する分割色相領域に設定された色補正パラメータを上記の色補正パラメータ設定テーブルから読込んで決定する。
【0049】以上は、色相のみに着目した色補正方法について説明したが、さらに同様の手法を用いて彩度、明度の情報を加えることで、より精度の高い色補正を実現することができる。
【0050】図4は本発明の第1の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。図4において、色補正装置1は色補正を施す対象を指定する対象物選択手段11と、予め想定されている特定対象物毎の色相における分布可能領域及び分布頻度を記憶する対象物色情報記憶メモリ12と、入力画像から特定対象物の代表色を抽出する代表色抽出手段13と、色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリ14と、代表色抽出手段13で入力画像から抽出された代表色に応じて最適な色補正パラメータを色補正パラメータ記憶メモリ14の内容から決定する色補正パラメータ決定手段15と、抽出された代表色とその近傍周辺の色にのみ色補正を施す色補正処理手段16とから構成されている。
【0051】図5は図4の対象物選択手段11で用いられるGUIの一例を示す図であり、図6は図4の対象物色情報記憶メモリ12の記述例を示す図であり、図7は図4の色補正パラメータ記憶メモリ14の記述例を示す図であり、図8は本発明の第1の実施例による色補正装置の動作を示すフローチャートである。これら図4〜図8を参照して色補正装置1の構成及び動作について説明する。尚、図8に示す処理動作は色補正装置1の各部が図示せぬ制御メモリのプログラムを実行することで実現され、制御メモリとしてはROM(リードオンリメモリ)やIC(集積回路)メモリ等が使用可能である。
【0052】対象物選択手段11はユーザが色補正の対象物を容易に選択可能とする機能を提供している。対象物選択手段11で用いられるGUIの一例を図5に示す。図5においては色補正の対象物として、肌色、草木の緑、青空の3種類が選べるGUIを示している。
【0053】この対象物選択手段11としては各対象物の色空間における分布可能領域が重ならないことを条件に、複数の対象物を選択可能とするような仕組みにすることも可能である。図5では肌色が選択されている状態を表している。
【0054】代表色抽出手段13では、まず対象物選択手段11において選択された対象物の色相の分布可能領域と分割色相領域における分布頻度とを対象物色情報メモリ12から読出す。
【0055】ここで、図6に対象物色情報記憶メモリ12の一例を示す。図6では対象物色情報記憶メモリ12に記述された対象A,B,Cのうち対象Aに関する分割色相領域番号と、各分割色相領域を指定するための色相の上下限値と、頻度とを示している。尚、図示していないが、対象物色情報記憶メモリ12には対象Bや対象Cについても、上記の対象Aと同様の情報が記述されている。
【0056】代表色抽出手段13は入力画像の全画素について色相を計算し、分割色相領域のヒストグラムを作成し、(3)式を利用して各分割色相領域における代表色候補指数RPを計算し、最大値を有する分割色相領域をその画像中における対象Aが占める領域として選択する。さらに、代表色抽出手段13はその分割色相領域に存在する色の平均RGB値を入力画像中における対象Aの代表色とする(図8ステップS1)。
【0057】色補正パラメータ決定手段15は代表色抽出手段13で抽出された代表色に最適な色補正パラメータを色補正パラメータ記憶メモリ14の記憶内容から決定する。すなわち、色補正パラメータ決定手段15は特定対象物の色相に関する分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して割り振られる色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリ14の記憶内容を基に、抽出された代表色に最適な色補正パラメータを決定する(図8ステップS2)。
【0058】この色補正パラメータ記憶メモリ14の一例を図7に示す。図7では色補正パラメータ記憶メモリ14に記述された対象A,B,Cのうちの対象Aに関する記述内容を示している。尚、図示していないが、色補正パラメータ記憶メモリ14には対象Bや対象Cについても、上記の対象Aと同様の内容が記述されている。例えば、色補正パラメータは代表色抽出手段13において対象Aの占める色相が分割色相領域2であるとされた場合、(P2,Q2,R2,S2)となる。
【0059】色補正処理手段16は入力画像に対し、対象物の代表色とその近傍付近の色のみに対して色補正が施される処理を行う。すなわち、色補正処理手段16は最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行う(図8ステップS3)。
【0060】このような色補正を実現するものとして、例えば特開平10−198795号公報に開示された色補正方法等を利用することができる。特開平10−198795号公報に開示された色補正方法を利用した場合、入力RGBに対する色補正式は、 (R’,G’,B’)=(R,G,B)+hx×(a1,a2,a3)
……(7)
という式で表される。ここで、(R,G,B)は入力画像中の任意のRGB値、(R’,G’,B’)は補正後のRGB値、(a1,a2,a3)はそれぞれR補正量、G補正量、B補正量であり、hxは補正の中心色である(Rc,Gc,Bc)と上記の任意のRGB値(R,G,B)との間の距離を示す特色度である。
【0061】この距離hxは、 hx=[pos(m−|Hue−h1|)/m]×s1×v1 ……(8)
という式で表される。ここで、pos(x)は、x<0の時にpos(x)=0、x≧0の時にpos(x)=xである。mは許容色相角度、Hueは補正対象のRGB値から計算されるHSV値(Hue,Sat,Val)のHue値である。h1、s1、v1は上記の任意のRGB値のHSV値(h1,s1,v1)である。
【0062】代表色抽出手段13で抽出された代表色が色補正の中心色となり、色補正パラメータ決定手段15で決定された色補正パラメータ(P2,Q2,R2,S2)はそれぞれR補正量、G補正量、B補正量、許容色相角度となる。
【0063】以上の説明は色相のみに着目した色補正装置1について説明したが、色補正装置1の対象色情報メモリ12を拡張し、色相だけでなく彩度、明度成分を追加することで、より精度の高い色補正装置を実現することができる。
【0064】図9は本発明の第2の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。図9において、本発明の第2の実施例による色補正装置2は対象物色情報記憶メモリ12の代りに拡張対象色情報記憶メモリ17を設けた以外は図4に示す本発明の第1の実施例による色補正装置1と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の第1の実施例と同様である。すなわち、色補正装置2は色相だけでなく彩度、明度成分も考慮した色補正装置である。
【0065】図10は図9の拡張対象物色情報記憶メモリ17の記述例を示す図である。図10において、拡張対象色情報記憶メモリ17は色相、彩度、明度について、対象物の分布可能領域を分割するための各成分の上下限値が記述された分割情報部と、各分割領域における頻度が記述される頻度情報部とから構成されている。
【0066】尚、図10では拡張対象色情報記憶メモリ17中の対象Aに関する記述内容を示しているが、対象B,Cについても対象Aと同様の内容が記述されている。図10の場合、対象Aの分布可能領域は色相に関してN個、彩度に関してM個、明度に関してL個で分割され、分割領域の総数はN×M×L個となる。
【0067】図11は本発明の第2の実施例による色補正装置の動作を示すフローチャートである。これら図9〜図11を参照して本発明の第2の実施例による色補正装置2の動作について説明する。尚、図11に示す処理動作は色補正装置2の各部が図示せぬ制御メモリのプログラムを実行することで実現され、制御メモリとしてはROMやICメモリ等が使用可能である。
【0068】代表色抽出手段13は上述した色補正装置1と同様の手法を用いて、色相、彩度、明度において分割された分割領域のヒストグラムを作成し、各分割領域における代表色候補指数RPを計算し、その最大値を対象物が有する分割領域とする。さらに、代表色抽出手段13はその分割領域に存在する色の平均RGB値を入力画像中における対象物の代表色とする(図11ステップS11)。
【0069】色補正パラメータ決定手段15は代表色抽出手段13で抽出された代表色に最適な色補正パラメータを色補正パラメータ記憶メモリ14の記憶内容から決定する。すなわち、色補正パラメータ決定手段15は、特定対象物の色相、彩度、明度に関する分布可能領域を、色相に関してN個、彩度に関してM個、明度に関してL個で分割された合計N×M×L個の分割領域に対して割り振られる色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリ14の記憶内容を基に、抽出された代表色に最適な色補正パラメータを決定する(図11ステップS12)。
【0070】色補正処理手段16は入力画像に対し、対象物の代表色とその近傍付近の色のみに対して色補正が施される処理を行う。すなわち、色補正処理手段16は最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行う(図11ステップS13)。尚、色補正装置2における色補正パラメータ記憶メモリ14はN×M×L個の分割領域の色補正パラメータを保持するものとする。
【0071】図12は本発明の第3の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。図12において、本発明の第3の実施例による色補正装置3は代表色抽出手段13の代りにヒストグラム作成手段18と分散計算手段19と対象物領域分散記憶メモリ20と代表色決定手段21とを設けた以外は図9に示す本発明の第2の実施例による色補正装置2と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の第2の実施例と同様である。すなわち、色補正装置3では入力画像から対象物の代表色を抽出する際、対象物の色情報だけでなく、画像上で座標位置の分散についても考慮している。
【0072】図13は本発明の第3の実施例による色補正装置の動作を示すフローチャートである。これら図12及び図13を参照して本発明の第3の実施例による色補正装置3の動作について説明する。尚、図13に示す処理動作は色補正装置3の各部が図示せぬ制御メモリのプログラムを実行することで実現され、制御メモリとしてはROMやICメモリ等が使用可能である。
【0073】まず、ヒストグラム作成手段18は拡張対象物色情報記憶メモリ17で指定される対象物の各分割領域におけるヒストグラムを作成すると同時に、その領域にヒットした色の画像座標も記録しておく。分散計算手段19は(4)式を利用して各分割領域における平均座標位置を計算し、さらに(5)式を用いて各分割領域における座標位置の分散を計算する。
【0074】次に、上述した代表色候補指数RP’を計算するために、代表色決定手段21は対象物領域分散記憶メモリ20から対象物の基準分散を読込み、基準分散と各分割領域における座標位置の分散との差を計算し、各分割領域における代表色候補指数RP’を(6)式を用いて計算する。その最大値を有する分割領域を入力画像における特定対象物が占める色相領域とし、その代表色は代表色抽出手段13と同様に、選ばれた分割領域に存在する色の平均RGB値とする(図13ステップS21)。
【0075】色補正パラメータ決定手段15は代表色抽出手段13で抽出された代表色に最適な色補正パラメータを色補正パラメータ記憶メモリ14の記憶内容から決定する。すなわち、色補正パラメータ決定手段15は、特定対象物の色相、彩度、明度に関する分布可能領域を、色相に関してN個、彩度に関してM個、明度に関してL個で分割された合計N×M×L個の分割領域に対して割り振られる色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリ14の記憶内容を基に、抽出された代表色に最適な色補正パラメータを決定する(図13ステップS22)。
【0076】色補正処理手段16は入力画像に対し、対象物の代表色とその近傍付近の色のみに対して色補正が施される処理を行う。すなわち、色補正処理手段16は最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行う(図13ステップS23)。
【0077】図14は本発明の第4の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。図14において、色補正装置4は対象物選択手段11と、代表色抽出手段13と、色補正パラメータ決定手段15と、色補正処理手段16と、入力別対象物色情報記憶メモリ22と、出力別色補正パラメータ記憶メモリ23と、入出力機器指定手段24とから構成されている。
【0078】一般に、カラー画像入出力機器は機器毎に色特性が異なる。いま、入力画像が予め想定されている入力機器によって得られていることが分かれば、対象物の分布領域をある程度限定することができる。また、色補正処理後の出力画像の出力機器を特定することができる場合にはその出力機器で出力した際、最適な色に補正される色補正パラメータを用意することで、色補正がさらに良い結果となる。
【0079】図15は図14の入出力機器指定手段24で用いられるGUIの一例を示す図である。図15において、入出力機器指定手段24は図示するGUIを用いて、入力機器及び出力機器を選択可能とする機能をユーザに提供している。図15に示すGUIでは入力機器として機器A,B,C、出力機器として機器D,E,Fというように、入出力機器がそれぞれ3機種ずつ選択可能なようになっているが、入力機器及び出力機器が選択可能なような仕組みであればこの限りではない。
【0080】入力別対象物色情報記憶メモリ22には本装置が想定する入力機器である機種A,B,Cの各機種毎に、図6または図10に示すような対象物の分布可能領域及び分布頻度が記録されている。
【0081】入出力機器指定手段24は選択された入力機器に対応する対象物の分布可能領域と分布頻度とを入力別対象物色情報記憶メモリ22から読込み、その対象物の分布可能領域と分布頻度とを代表色抽出手段13に送る。代表色抽出手段13はそれらを基に代表色を抽出する。
【0082】出力別色補正パラメータ記憶メモリ23には本装置が想定する出力機器である機種D,E,Fの各機種毎に、図7に示す対象物の分割領域における色補正パラメータが記録されている。
【0083】入出力機器指定手段24はユーザによって指定された出力機器に対応する対象物の色補正パラメータを出力別色補正パラメータ記憶メモリ23から読込み、その対象物の色補正パラメータを色補正パラメータ決定手段15へ送る。色補正パラメータ決定手段15は代表色抽出手段13で抽出された代表色に最適な色補正パラメータを、入出力機器指定手段24から送られてくる色補正パラメータから決定する。以上の処理によって、色補正装置4は入出力機器が特定できる場合、より高精度な色補正を実現することができる。
【0084】図16は本発明の第5の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。図16において、本発明の第5の実施例による色補正装置5は手動色補正処理手段25とサンプル画像記憶メモリ26と色補正パラメータ生成手段27とを追加した以外は図4に示す本発明の第1の実施例による色補正装置1と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の第1の実施例と同様である。
【0085】一般に、カラー画像のある特定の対象物、例えば肌色、草木の緑、青空には好ましい色あるいはこういう色であって欲しいと感じる色が存在するが、それぞれに要求される色はユーザの好みによって多少異なる。そこで、本発明の第5の実施例による色補正装置5はユーザ毎の要求に答えるために、色補正装置1の構成に手動色補正処理手段25とサンプル画像記憶メモリ26と色補正パラメータ生成手段27とを追加している。
【0086】手動色補正処理手段25は色補正処理手段16と同じ色補正アルゴリズムを備えているものの、色補正パラメータをユーザが与える仕組みとなっている。ここで、サンプル画像記憶メモリ26には想定されている対象物に関して、対象物の色が広く分布するように、複数のサンプル画像が記録されている。
【0087】手動色補正処理手段25はサンプル画像記憶メモリ26から補正対象物のサンプル画像を表示し、ユーザにその対象物の色補正を実行させるためのGUIを提供する。
【0088】図17は図16の手動色補正処理手段25で用いられるGUIの一例を示す図である。図17において、手動色補正処理手段25が提供するGUIでは補正対象として対象Aが選択されており、カウンタはN枚あるサンプル画像の1枚目の画像が表示されていることを示している。
【0089】GUIの中央には補正前の画像と補正後の画像とが表示されており、ここでは補正前の画像において矢印で示されている対象Aのみに色補正処理を施していることを表している。尚、サンプル画像中の対象Aの代表色は、ユーザがマウス等のポインティングデバイスを用いて指定させるようにしている。ユーザは補正後の画像に満足するまで、色補正パラメータ1〜4を調整する。
【0090】1枚目の画像が終了したら、GUIの右上の「次の画像表示」ボタンを押して、次のサンプル画像へ進む。各サンプル画像で設定された代表色及び色補正パラメータの情報は保持されている。全てのサンプル画像の手動色補正が終了すると、ユーザが指定した代表色及び色補正パラメータの全てのセットを色補正パラメータ生成手段27に送る。
【0091】色補正パラメータ生成手段27では対象物色情報記憶メモリ12から対象物の分割領域の情報を得て、各分割領域について、その領域に存在する代表色とそのときの色補正パラメータとを手動色補正処理手段25から送られてきた代表色及び色補正パラメータの全てのセットから選び出し、色補正パラメータの平均値を計算して色補正パラメータ記憶メモリ14の該当する分割領域に記述する。
【0092】代表色抽出手段13は対象物選択手段11において選択された対象物の色相の分布可能領域と分割色相領域における分布頻度とを対象物色情報メモリ12から読出し、代表色を抽出する。
【0093】色補正パラメータ決定手段15は代表色抽出手段13で抽出された代表色に最適な色補正パラメータを色補正パラメータ記憶メモリ14の記憶内容から決定する。色補正処理手段16は入力画像に対し、対象物の代表色とその近傍付近の色のみに対して色補正が施される処理を行う。上述したように、色補正装置5は入力画像中の対象物に対して、ユーザの好みに応じた色補正処理を施すことが可能になる。
【0094】このように、カラー画像の特定対象物に対して自動的に色補正を行うことによって、特に肌色、青空、草木の緑等の自然画像にとって重要な対象物の色のみを、マスキング処理やユーザの対話処理を必要とすることなく、自動的に好ましい色もしくは希望の色に補正することが可能になる。また、カラー画像機器本体あるいはドライバソフトに本発明の処理動作を組込むことによって、機器に特徴ある色再現性を持たすことも可能である。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正装置において、任意入力画像中から特定対象物の代表色を抽出させ、特定対象物の色相に関する分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して色補正パラメータを割り振らせ、抽出された代表色に最適な色補正パラメータを決定させ、最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行わせることによって、様々な照明環境下で撮影される自然画像を入力画像とし、この入力画像の照明環境、入力センサの感度特性等の情報が無くとも、良好な色補正を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】対象物の色相分布可能領域とその頻度を示す図である。
【図2】対象物の色相分布可能領域を分割した状態を示す図である。
【図3】対象物の色補正前後の色相の変化を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図4の対象物選択手段で用いられるGUIの一例を示す図である。
【図6】図4の対象物色情報記憶メモリの記述例を示す図である。
【図7】図4の色補正パラメータ記憶メモリの記述例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例による色補正装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図9の拡張対象物色情報記憶メモリの記述例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施例による色補正装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3の実施例による色補正装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第4の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図15】図14の入出力機器指定手段で用いられるGUIの一例を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施例による色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図17】図16の手動色補正処理手段で用いられるGUIの一例を示す図である。
【符号の説明】
1〜5 色補正装置
11 対象物選択手段
12 対象物色情報記憶メモリ
13 代表色抽出手段
14 色補正パラメータ記憶メモリ
15 色補正パラメ‐タ決定手段
16 色補正処理手段
17 拡張対象物色情報記憶メモリ
18 ヒストグラム作成手段
19 分散計算手段
20 対象物領域分散記憶メモリ
21 代表色決定手段
22 入力別対象物色情報記憶メモリ
23 出力別色補正パラメータ記憶メモリ
24 入出力機器指定手段
25 手動色補正処理手段
26 サンプル画像記憶メモリ
27 色補正パラメータ生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正装置であって、前記特定対象物の色相分布可能領域を分割して得られる分割色相領域及び分布頻度を記憶する対象物色情報記憶メモリと、前記対象物色情報記憶メモリの記憶内容を基に任意入力画像中から前記特定対象物の代表色を抽出する代表色抽出手段と、前記特定対象物の色相分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して割り振られる色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリと、前記代表色抽出手段で抽出された代表色に最適な色補正パラメータを前記色補正パラメータ記憶メモリの記憶内容から決定する色補正パラメータ決定手段と、前記色補正パラメータ決定手段で得られた色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行う色補正処理手段とを有することを特徴とする自動色補正装置。
【請求項2】 特定対象物について予め様々な撮影環境下で撮影された複数の画像を解析して得た前記特定対象物の色相と彩度と明度とのうちの一つとそれらを組合せたものとのいずれかに関する分布可能範囲を分割して得られる分割領域及び分布頻度を記憶する拡張対象物色情報記憶メモリを含み、前記代表色抽出手段において、前記色相と彩度と明度とのうちの一つとそれらを組合せたものとのいずれかに関する分割領域を基に入力画像中における前記特定対象の色相と彩度と明度とのうちの一つとそれらを組合せたものとのいずれかのヒストグラムを得て、前記拡張対象物色情報記憶メモリの分布頻度と前記ヒストグラムとを掛け合わせ、その最大値を有した領域中に存在する色を特定対象物の代表色として抽出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動色補正装置。
【請求項3】 前記代表色抽出手段において、特定対象物の色相と彩度と明度とのうちの一つとそれらを組合せたものとのいずれかの分布頻度に加え、画像中の座標位置の分散をも利用することによって前記特定対象物の代表色を抽出するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の自動色補正装置。
【請求項4】 前記色補正パラメータ記憶メモリにおいて、対象物の色相だけでなく対象物の彩度分布可能領域及び明度分布可能領域をそれぞれ複数個に分割した分割彩度領域及び分割明度領域のそれぞれの領域に割り振られた色補正パラメータを記憶するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の自動色補正装置。
【請求項5】 入力機器毎に前記特定対象物の色相と彩度と明度とのうちの一つとそれらを組合せたものとのいずれかに関する分布可能範囲を分割して得られる分割領域及び分布頻度を記憶する入力別対象物色情報記憶メモリと、出力機器毎に色補正パラメータを保持する出力別色補正パラメータ記憶メモリと、外部から入力される入出力カラー画像機器の機種に応じて前記入力別対象物色情報記憶メモリ及び前記出力別色補正パラメータ記憶メモリから対応する情報を読出す入出力機器指定手段とを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載の自動色補正装置。
【請求項6】 前記特定対象物の複数種類のカラー画像を記憶するサンプル画像記憶メモリと、外部指示に応じて前記サンプル画像記憶メモリに記憶されている画像の色に対する情報を入力する手動色補正処理手段と、前記手動色補正手段から入力された情報を基に前記色補正パラメータ記憶メモリに記述する色補正パラメータを作成する色補正パラメータ生成手段とを含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか記載の自動色補正装置。
【請求項7】 カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正方法であって、任意入力画像中から前記特定対象物の代表色を抽出するステップと、抽出された前記代表色に最適な色補正パラメータを前記特定対象物の色相に関する分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して割り振られる色補正パラメータを記憶する色補正パラメータ記憶メモリの内容に基づいて決定するステップと、前記最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行うステップとを有することを特徴とする自動色補正方法。
【請求項8】 前記色補正パラメータ記憶メモリに、対象物の分割色相領域のほかに前記対象物の彩度分布可能領域及び明度分布可能領域をそれぞれ複数個に分割した分割彩度領域及び分割明度領域のそれぞれの領域に対して割り振られる色補正パラメータを記録するようにしたことを特徴とする請求項7記載の自動色補正方法。
【請求項9】 前記代表色を抽出するステップにおいて、特定対象物の色相と彩度と明度とのうちの一つとそれらを組合せたものとのいずれかに関する分布頻度に加え、画像中の座標位置の分散をも利用することによって前記特定対象物の代表色を抽出するようにしたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の自動色補正方法。
【請求項10】 カラー画像中の特定対象物に色補正を施す自動色補正装置に自動色補正を行わせるための自動色補正制御プログラムを記録した記録媒体であって、前記自動色補正制御プログラムは前記自動色補正装置に、任意入力画像中から前記特定対象物の代表色を抽出させ、前記特定対象物の色相に関する分布可能領域を分割して得られる分割色相領域に対して色補正パラメータを割り振らせ、抽出された前記代表色に最適な色補正パラメータを決定させ、前記最適な色補正パラメータを利用して特定色相にのみ作用する色補正変換を行わせることを特徴とする自動色補正制御プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【図15】
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【図17】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開2001−92956(P2001−92956A)
【公開日】平成13年4月6日(2001.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−267937
【出願日】平成11年9月22日(1999.9.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】