説明

自動被覆装置および方法

血管内ステント等の医療デバイスを被覆するための自動装置および方法を開示し、この方法において、ステントの2−D画像は、(1)ステント骨格要素のうちのいくつかまたは全てがトラバースされるように、それによって、回転支持要素に固定されるステントを、支持要素に対する相対運動が支持要素軸に沿っているディスペンサヘッドによってトラバースすることができる、ステント骨格要素に沿った経路、(2)ディスペンサヘッドが経路に沿って移動する際のディスペンサヘッドおよび支持要素の相対速度、および(3)ディスペンサヘッドがそのような経路に沿って移動する際のステント要素の中心線に対するディスペンサヘッドの位置を決定するように処理される。支持体の回転速度およびディスペンサの相対線速度は、ステント要素の上面および随意で側面上で、所望の被覆厚および被覆範囲を達成するように制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本出願は、血管内ステント等の医療デバイスを被覆するための装置、および自動被覆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冠動脈の血管閉塞またはアテローム性動脈硬化は、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)として周知の処置によって一般的に治療され、閉塞動脈は、カテーテルの遠位端に固定されるバルーンによって拡張され、バルーンに固定され、閉塞部位に移植される半径方向に拡張可能なステントによってその拡張状態で保持される。
【0003】
ステント療法から生じ得る合併症は、再狭窄および血栓症を含む。これらの合併症を克服するために、ステントは、ステント移植部位において制御された方法で放出される抗再狭窄薬の層または被覆を含んでもよい。典型的には、薬物は、例えば、Hunterらに発行される特許文献1(名称「Anti−angiogenic Compositions and Methods of Use」)に開示される、恒久的または生体侵食性ポリマー担体の中に含有される。このように送達される薬物の例としては、抗増殖剤、抗凝血剤、抗炎症薬、および免疫抑制がある。薬物を伴うポリマー担体は、例えば、特許文献2および特許文献3に開示される、体の中への薬物の制御放出を調節するように機能する多孔性の生分解性層によって覆われてもよい。
【0004】
種々の方法は、生理活性物質により、ステント等の植え込み型医療デバイスを被覆するために使用されている。液剤浴の中へ植え込み型デバイスを浸すこと、または浸けることは、Jayaramanの特許文献4、およびDelfinoらの特許文献5に教示される。薬浴と併せて熱および/または超音波エネルギーを導入するデバイスは、Jayaramanの特許文献6、およびAltの特許文献7に開示される。Taylorらの特許文献8は、加圧ノズルを通って薬を噴霧することを開示する。
【0005】
上記の被覆法は、ステントの外面および内面の両方を覆う被覆をもたらす。これは、ステントの内部表面(ステント血管内の血流に暴露される表面)での望ましくない薬物またはポリマー関連作用につながる場合があるか、または被覆が潜在的に壊滅的な血液凝固作用によって、植え込み型デバイスが移植装置から外されるときに、例えば、バルーン拡張およびカテーテルバルーンの除去の後に、亀裂が入るか、または壊れて外れる場合がある。
【0006】
ステントの外面のみを被覆する目的のために、インクジェット付着法を使用する種々の方法が提案されている。非特許文献1において、著者であるPatrick Cooley、David Wallace、およびBogdan Antoheは、Ink−Jet技術、およびその医学関連用途の範囲のかなり詳細な説明を提供した。関連デバイスは、Brennanの特許文献9に開示され、それは、受容チャンバの中へ複数の異なる液体試薬を堆積させるためのノズルの移動可能な2次元配列を使用する。Cooleyの提示およびBrennanのデバイスでは、材料の選択的塗布は、特定の塗布法の用件を満たすために必要な主観的な配置ではなく、堆積の客観的な所定の場所に基づく。ドロップオンデマンドインクジェット印字ヘッドを使用して、バルーンを回避しつつステントを選択的に被覆する、さらなる別のアプローチがShekahmらの特許文献10に開示される。
【0007】
別の被覆法、すなわちマイクロピペット操作も提案されている。しかしながら、マイクロピペット操作は、ある種の被覆不完全性をもたらし得る。例えば、架橋として周知であり、図7に102で示される不完全性は、ステントバンドのクラウンへ塗布されている材料がバンドに接触する時に、隣接するバンドにおけるクラウンに生じ、2つのバンドにわたって安定した架橋を形成する。架橋被覆材料は、配備される時のステント拡張状態でステントから剥がれる可能性があり、血流中に潜在的に危険な異物をもたらすため、この種類の異常は、受け入れられない。
【0008】
別の不完全性は、104および106で示される、クラウンの反対側の領域にわたって形成されるメニスカスである。表面張力のため、クラウンの周囲を進行する時、液滴は、クラウンの周囲で伸長し、クラウン内でメニスカスをもたらす傾向がある。そのようなメニスカスは、ステント拡張中に粉々に砕ける場合があり、破片は放散され得る。一般に、この種類の不完全性は、メニスカスの領域が小さい場合、例えば、寸法マーカ108の間の領域として画定される、クラウン領域の総面積の1/3を超えない場合に受け入れられる。図におけるこのメニスカス104は、受け入れられると見なされるが、メニスカス106は、受け入れられないと見なされる。
【0009】
別の被覆異常である被覆張り出しは、図7の110で示される、ステント要素外面の端を越えて延在する被覆材料を指す。ある場合には、および以下で詳述されるように、被覆がステント要素の上面および側面の両方に塗布されるように、外側から側面への被覆越流のために分注ヘッドを配置することが望ましい。この種類の被覆のために、被覆張り出しを達成することが必要である。しかしながら、この過程において、隣接する支柱からの張り出し被覆部分が、図7の112で示されるように、融合して2つの支柱を架橋する張り出しを形成しないことが重要である。
【0010】
さらに別の種類の不完全性は、図7の114で示されるように、ステント要素の内面へ延在する被覆である。この種類の不完全性は、特に要素の端領域の付近に塗布される場合、ステント要素の外面に塗布される過度の被覆によって生じることがあり、被服材料が要素の内面上へ側面を流れ落ちる結果となる。この種類の不完全性は、張り出し被覆が、特に血管損傷の部位でのステント拡張状態で、ステントの内面から壊れて剥がれることがあるという点で危険であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,716,981号明細書
【特許文献2】米国特許第6,774,278号明細書
【特許文献3】米国特許第6,730,064号明細書
【特許文献4】米国特許第5,922,393号明細書
【特許文献5】米国特許第6,129,658号明細書
【特許文献6】米国特許第5,891,507号明細書
【特許文献7】米国特許第6,245,104B1号明細書
【特許文献8】米国特許第6,214,115B1号明細書
【特許文献9】米国特許第6,001,311号明細書
【特許文献10】米国特許第6,645,547号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Patrick Cooley、David Wallace、およびBogdan Antohe、「Applications of Ink−Jet Printing Technology to BioMEMS and Microfluidic Systems」、SPIE Conference on Microfluidics and BioMEMS、2001年10月
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下に記載される本発明のアルゴリズムは、ステント要素の均一な被覆を達成しつつ、そのような被覆不完全性を最小化し、一実施形態では、例えば、側面被覆がステント要素の外面に塗布される量の50%〜100%である、材料の選択された比率で、被覆がステントの外面および側面の両方に塗布されるステント被覆を達成するように設計される。
【0014】
理想的には、薬物含有被覆でステント等の医療デバイスを被覆する方法は、被覆における薬物の全体的な正確な量、およびステント要素の外面を覆う実質的に均一な被覆をもたらす。一方、ステント要素の外面上の被覆の厚さ、およびステント拡張中の亀裂に対する被覆の抵抗を低下させるために、被覆が周囲組織にさらに接近可能な、ステント要素の側面領域に被覆の一部、例えば、全被覆量の10%〜60%を塗布することが望ましい場合がある。
【0015】
本発明は、一態様では、管状構造が連結された骨格要素から成る、ステントの外面上に被覆を生成するための装置を含む。装置は、
(a)被覆動作中にそのようなステントを支持するように適合される支持要素と、
(b)分注ヘッドが支持要素に対して移動するにつれて、選択された速度で、それを通して被覆材料を液体形態で塗布することができる分注ヘッドを有する、ディスペンサと、
(c)それぞれ、(i)選択された回転速度で支持要素を同期して回転させ、(ii)支持要素軸に沿った方向に、支持要素に対して分注ヘッドを移動させるための、第1および第2の電気機械デバイスと、
(d)そのようなステントの描写を捕捉するように適合される、撮像システムと、
(e)撮像システムに、かつ第1および第2の電気機械デバイスに、動作可能に接続される制御ユニットであって、
(e1)(i)ステント骨格要素のうちのいくつかまたは全てがトラバースされるように、1つ以上のパスにおいて、それによって、支持体に固定されるステントをディスペンサヘッドによってトラバースすることができる、ステント骨格要素に沿った経路、(ii)経路がトラバースされる際の支持要素およびディスペンサヘッドの相対速度、および(iii)経路がトラバースされる際のステント要素の中心線に対するディスペンサヘッドの位置、を決定するように、撮像システムで得られた描写を処理し、
(e2)経路に沿って支持要素に対し、かつ(e1)において決定される相対速度および位置で分注ヘッドを移動させるために、第1および第2の電気機械デバイスを同期して作動させるための制御ユニットと、を含む。
【0016】
装置が、ステント上で、治療化合物の事前選択された量を含有する被覆を生成する際に使用される場合、処理ステップ(e1)は、ステント上で、治療薬剤の事前選択された量を含有する被覆材料の総量を堆積させるために必要な経路および相対速度を決定するステップをさらに含む。
【0017】
装置は、ディスペンサおよび制御ユニットに動作可能に接続される、第3の電気機械デバイスを含んでもよく、制御ユニットは、ディスペンサヘッドが経路に沿って移動するにつれて、ディスペンサから分注される材料の速度を調整するように動作可能であってもよい。
【0018】
装置は、制御ユニットおよびディスペンサに動作可能に接続される、第4の電気機械デバイスを含んでもよく、制御ユニットは、ディスペンサヘッドが経路に沿って移動するにつれて、支持体に固定されるステントの外面からの選択された距離に分注ヘッドを配置するために、支持固定へ向かって、およびそれから離してディスペンサを移動させるように動作可能であってもよい。
【0019】
装置における撮像システムは、ステント骨格要素の2次元描写を構築するために、支持部材が軸方向に回転または平行移動させられるにつれて、支持固定に固定されるステントの外面を識別するように動作可能であってもよい。
【0020】
制御ユニットは、ステップ(e1)を実行する際に、(i)ステント要素によって占有される描写内の領域を決定する、セグメンテーションアルゴリズム、(ii)ステント骨格要素の中間軸に沿った曲線、および他のステント骨格要素とのそれらの交点を決定する、細線化アルゴリズム、(iii)骨格要素に沿った経路を決定する、経路トラバースアルゴリズム、および(iv)ディスペンサヘッドが経路にそって移動するにつれて、その相対速度および位置を決定する、速度および位置アルゴリズム、を適用するように動作可能であってもよい。
【0021】
軸リンクによって接合される円筒形バンド要素を有する、管状ステントの外面に、被覆を塗布する際に使用するために、ステップ(e1)において制御ユニットによって適用される、経路トラバースアルゴリズムは、ステント骨格要素が少なくとも一度トラバースされ、ステントの連結およびバンド要素が異なる数のパスによってトラバースされてもよいように、選択された数のパスにおいて、それによって、ステント骨格要素をディスペンサヘッドによってトラバースすることができる、経路を決定するように動作可能であってもよい。
【0022】
ステップ(e1)において制御ユニットによって適用される、経路トラバースアルゴリズムは、決定された経路の全長および分注される体積を決定するように動作可能であってもよく、速度および位置アルゴリズムは、被覆材料の事前選択された量が塗布されるように決定される。
【0023】
ディスペンサヘッドの幅より大きい幅を伴う実質的に直線状の支柱骨格要素を有する、管状ステントの外面に、被覆を塗布する際に使用するために、ステップ(e1)において制御ユニットによって適用される、速度および位置アルゴリズムは、被覆がいくつかのパスの進行中に支柱の幅全体にわたって塗布されるように、異なるパスについて、そのような支柱の幅中心線に対する分注ヘッドの位置を決定するように動作可能であってもよい。
【0024】
ステップ(e1)において適用される速度および位置アルゴリズムは、上部ステント要素表面に塗布される被覆材料の量の典型的には10%〜60%の所望量で、ステント要素の側面上への被覆材料溢出を生成するために必要なディスペンサヘッドの相対速度および位置を決定するようにさらに動作可能であってもよい。
【0025】
湾曲した(円形または傾斜)クラウン骨格要素を有する、管状ステントの外面に、被覆を塗布する際に使用するために、ステップ(e1)において制御ユニットによって適用される、速度および位置アルゴリズムは、湾曲した要素の幅中心線に対する分注ヘッドの位置を決定するように、ならびに、横方向に隣接するクラウン要素の間の材料被覆架橋およびクラウン要素の内側縁部領域にわたるメニスカス形成の潜在性を最小限化するよう、分注ヘッドの移動の相対速度を制御するように動作可能であってもよい。
【0026】
実質的に湾曲したクラウン要素によって接続される実質的に直線状の支柱骨格要素を有する、管状ステントの外面に、被覆を塗布する際に使用するために、ステップ(e1)において制御ユニットによって適用される、速度および位置アルゴリズムは、軌跡の局所曲率に依存する相対ディスペンサヘッド速度を決定するように適用される。代替として、アルゴリズムは、一定速度を決定してもよい。
【0027】
接続連結要素も有する管状ステントの外面に、被覆を塗布する際に使用するために、(e1)において制御ユニットによって実行される、速度および位置アルゴリズムは、連結要素について独立したディスペンサ速度を決定するように動作可能である。
【0028】
別の態様では、本発明は、管状構造が連結された骨格要素から成る、ステントの外面に被覆を塗布する自動方法を含む。方法は、
(a)(a1)ステント骨格要素のうちのいくつかまたは全てがトラバースされるように、それによって、支持要素に固定されるステントを軸方向に回転させ、持体軸に沿って、ディスペンサヘッドに対して平行移動させることができる、ステント骨格要素に沿った経路、(a2)経路がトラバースされる際の分注ヘッドおよび支持要素の相対速度、および(a3)経路がトラバースされる際のステント要素の中心線に対するディスペンサヘッドの位置、を決定するように、そのようなステントの画像を処理するステップと、
(b)経路に沿って支持要素に対し、かつ(a)において決定される相対速度および位置で分注ヘッドを移動させるために、支持要素の回転速度を制御する第1の電気機械デバイス、および支持要素軸に沿って支持要素に対する分注ヘッドの相対直線運動を制御する第2の電気機械デバイスを同期して作動させるステップと、を含む。
【0029】
方法におけるステップ(a1)は、(i)ステント要素によって占有される領域を決定する、セグメンテーションアルゴリズム、(ii)ステント骨格要素の交点を決定する、細線化アルゴリズム、(iii)骨格要素に沿った経路を決定する、経路トラバースアルゴリズム、および(iv)ディスペンサヘッドが経路に沿って移動するにつれて、その相対速度および位置を決定する、速度および位置アルゴリズム、を適用するステップを含んでもよい。
【0030】
経路トラバースアルゴリズムを適用するステップは、全てのステント骨格要素が少なくとも一度トラバースされ、ステントの連結およびバンド要素が異なる数のパスによってトラバースされてもよいように、骨格要素の所与の部分にわたる選択された数のパスにおいて、それによって、ステント骨格要素をディスペンサヘッドによってトラバースすることができる、経路を決定するように動作可能であってもよい。
【0031】
経路トラバースアルゴリズムは、決定された経路の全長および分注される体積を決定するように動作可能であってもよく、速度および位置アルゴリズムは、被覆材料の事前選択された量が塗布されるように決定される。
【0032】
ディスペンサヘッドの幅より大きい幅を伴う実質的に直線状の支柱骨格要素を有する、管状ステントの外面に、そのような被覆を塗布する際に使用するために、速度および位置アルゴリズムは、被覆がいくつかのパスの進行中に支柱の幅全体にわたって塗布されるように、異なるパスについて、そのような支柱の幅中心線に対する分注ヘッドの位置を決定するように動作可能であってもよい。
【0033】
ステント要素の外面および側面に、そのような被覆を塗布する際に使用するために、(e1)において適用される速度および位置アルゴリズムは、全てのステント要素表面に塗布される被覆材料の総量の典型的には10%〜60%の所望量で、ステント要素の側面上への被覆材料溢出を生成するために必要なディスペンサヘッドの相対速度および位置を決定するようにさらに動作可能であってもよい。
【0034】
湾曲した(円形または傾斜)クラウン骨格要素を有する、管状ステントの外面に、そのような被覆を塗布する際の使用するために、速度および位置アルゴリズムは、クラウン要素の幅中心線に対する分注ヘッドの位置を決定するように、ならびに、横方向に隣接するクラウン要素の間の材料被覆架橋およびクラウン要素の内側縁部領域にわたるメニスカス形成の潜在性を最小化するよう、分注ヘッドの移動の相対速度を制御するように動作可能であってもよい。
【0035】
実質的に円形のクラウン要素によって接続される実質的に直線状の支柱骨格要素を有する、管状ステントの外面に、そのような被覆を塗布する際に使用するために、速度および位置アルゴリズムは、軌跡の局所湾曲に依存するディスペンサヘッド速度を決定するように動作可能であってもよい。代替として、アルゴリズムは、一定速度を決定してもよい。
【0036】
接続連結要素も有する管状ステントの外面に、そのような被覆を塗布する際に使用するために、速度および位置アルゴリズムは、連結要素について独立したディスペンサ速度を決定するように動作可能であってもよい。
【0037】
電子コンピュータを制御するために使用される時に、上記方法を実行するように動作可能である、コンピュータ可読コードも開示される。
【0038】
さらに別の態様では、本発明は、被覆された血管内ステントであって、外面、側面、および内面を有する連結された骨格要素から成る、管状構造と、ステント要素の上面および側面を覆う、被覆の選択された量であって、要素の側面を覆う被覆の体積は、要素の全表面を覆う総量の5〜80%、好ましくは、10%〜60%の範囲の選択された量である、選択された量と、を含む、被覆された血管内ステントを含む。
【0039】
本発明のこれら、ならびに他の態様および実施形態は、付随の図面と併せて詳細な説明の図においてより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、連結された骨格要素から成る管状ステントの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の装置の斜視図である。
【図3A】図3Aおよび3Bは、本発明の装置の機械および制御構成要素のいくつかの間の相互作用的接続の一部分(3A)、および装置を制御する際の制御ユニット動作(3B)をそれぞれ示すブロック図である。
【図3B】図3Aおよび3Bは、本発明の装置の機械および制御構成要素のいくつかの間の相互作用的接続の一部分(3A)、および装置を制御する際の制御ユニット動作(3B)をそれぞれ示すブロック図である。
【図4】図4は、ステントのためのトラバース経路を決定する際にステントのグレースケール画像を処理するためのステップのフロー図である。
【図5A】図5Aおよび5Bは、2−D描写におけるステントのグレースケール画像(5A)、および同一ステントの二値画像(5B)をそれぞれ示す。
【図5B】図5Aおよび5Bは、2−D描写におけるステントのグレースケール画像(5A)、および同一ステントの二値画像(5B)をそれぞれ示す。
【図6A】図6Aおよび6Bは、同一ステントの骨格画像(6A)、および90°回転した同一骨格画像の拡大部分(6B)をそれぞれ示し、(6B)における点A、B、およびCは、交点であり、1および2は、2つの湾曲区画である。
【図6B】図6Aおよび6Bは、同一ステントの骨格画像(6A)、および90°回転した同一骨格画像の拡大部分(6B)をそれぞれ示し、(6B)における点A、B、およびCは、交点であり、1および2は、2つの湾曲区画である。
【図7】図7は、ステント等の骨格機構を被覆する際に生じることがある種々の被覆不完全性を示す。
【図8】図8は、トラバース経路速度およびディスペンサ位置を決定する際の装置の動作のフロー図である。
【図9A】図9Aおよび9Bは、それぞれ4つの識別できる軌跡を伴う、30ミクロンのRスプレッドマージン、1(9A)または3(9B)の乗数を伴う経路(点線)を示す。
【図9B】図9Aおよび9Bは、それぞれ4つの識別できる軌跡を伴う、30ミクロンのRスプレッドマージン、1(9A)または3(9B)の乗数を伴う経路(点線)を示す。
【図10】図10は、ステントのクラウンまたは任意の他の湾曲領域における経路輪郭を分析するためのパラメータを示す。
【図11】図11は、本発明による被覆動作におけるステントを覆う分注先端を示す、実際の拡大ビデオ画像の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(I.定義)
示されていない限り、以下の用語は、以下の意味と一致する。
【0042】
ステントが連結された骨格要素から成る「ステントの外面の被覆」は、ステント要素の外(外向きの)面、および随意で、ステント要素の外面と内(内向きの)面との間の要素の表面を意味する側面を覆う被覆を指す。被覆は、薬物を伴わないポリマー、例えば、ポリマー破壊またはポリマー取得物からの薬物拡散による放出可能な形態で薬物を含有するポリマー、もしくは純薬物被覆または薬物含有結合剤および/またはリン脂質等の賦形剤等の無ポリマー薬物含有被覆であってもよい。全ての場合において、被覆は、典型的には、1〜2000センチポアズの粘度を有する液体中の液体形態で塗布されることができ、被覆は、一度塗布されると、血管部位でのステント配置中にステント上で保持される固定被覆を形成するように乾燥または冷却することができる。
【0043】
「支持要素に対して移動する」ディスペンサヘッドは、ディスペンサヘッドおよび支持要素の一方または両方が相互に対して移動するという意味である。典型的には、支持要素は、固定式ディスペンサヘッドに対して直線的に回転および移動し、代替として、例えば、支持要素は、固定の直線位置で回転してもよく、ディスペンサヘッドは、回転支持要素の軸に沿って直線的に移動してもよい。
【0044】
同様に、「ステントの要素に沿った経路をトラバースする」分注ヘッドは、分注ヘッドが、固定式分注ヘッドに対する支持要素の回転および直線動作の組み合わせか、または、例えば、支持要素の回転および支持要素軸に沿った分注ヘッドの直線動作のいずれかによって、指示要素に固定されるステントに対して移動することを意味する。
【0045】
「支持要素」は、固定軸の周りでの回転のためにステントを支持することが可能である任意の構造である。1つの好ましい支持要素は、マンドレルの長軸の周りでのマンドレルによる回転のために、その上にしっかりとステントを受容する大きさであるマンドレルである。
【0046】
「リムス(Limus)薬物」は、例えば、米国特許第4,650,803号、同第5,288,711号、同第5,516,781号、同第5,665,772号、および同第6,153,252号、国際公開第97/35575号、米国特許第6,273,913B1号、および米国特許出願第60/176086号、同第2000/021217A1号、および同第2001/002935A1号に示される一般構造を有する大環状トリエン免疫抑制化合物を指す。
【0047】
「42−O−アルコキシアルキルリムス薬物」は、参照することにより、その全体として本明細書に組み込まれる、2005年5月12日公開の米国特許出願第20050101624号に記載されるラパマイシンの42−Oアルコキシアルキル誘導体を指す。例示として、「42−O−アルコキシアルキルリムス薬物」は、「42−O−エトキシエチルラパマイシン」である。
【0048】
「無ポリマー被覆」は、構造および結束が、薬物が組み込まれるポリマーマトリクス、すなわち、ポリマー担体によってではなく、1つ以上の結合剤の存在の有無にかかわらず薬物自体によって提供される被覆を意味する。
【0049】
(II.装置および方法)
(A.血管内ステント)
図1は、収縮状態における、本発明によるステント20の一実施形態を示す。ステントは、典型的には、約1.7および2.0mmの内径および外径をそれぞれ有し、典型的には約8〜50mmの管長を有する金属またはポリマー管をレーザ切断することによって形成される。見られるように、ステントは、連結された骨格要素から成り、それは、クラウン26等の湾曲クラウンまたはクラウン要素によって接続される支柱24等の実質的に直線状の支柱または支柱要素で構成される正弦または円形先端鋸歯状パターンをそれぞれ有するバンド22等の複数の円周バンドを含む。図9および10に対して以下に見られるように、支柱118は、支柱長の主要部分を覆う、典型的には約0.12〜0.16mmの比較的により大きい幅寸法を有し、各バンドにおけるクラウン120の幅寸法と一致するように、約0.07〜0.10mmの減少した幅までそれらの末端領域で細くなる。示されるステントにおける湾曲クラウンは円形であるが、湾曲クラウンは、ステントを構成するバンドが鋸歯状パターンを含む鋭角であってもよい。
【0050】
図1に戻り参照すると、ステント20のバンド22は、隣接するバンドのクラウン領域を互いに接合するリンク28によって互いに接続される。図5Aおよび5Bに示される実施形態では、バンド22における2つおきのクラウン26は、隣接するバンドにおける直面クラウンに連結され、リンクは、ステントの長さに沿って比較的均一にリンクを分布するようにバンドからバンドへオフセットされる。隣接するステントバンド22を接続するリンク28は、図5A、5B、および6に示されるように、実質的に直線状のリンク28であってもよいか、または図9Aおよび9Bに示されるように、湾曲リンク122であってもよい。ステント構成は、各バンドにおける拡張を可能にするようにクラウンにおいて曲げることによって主に収容される半径方向の拡張、およびバンド内の外側拡張および内側圧縮の組み合わせによって、かつ曲げる方向へのリンクの不均等拡張によって収容されるステントの長軸に沿った曲げの両方を可能にすることを理解されるであろう。
【0051】
本発明の一実施形態では、ステントは、カテーテルバルーン上で収縮状態での送達のために設計され、バルーン拡張によって血管損傷の部位で配備され、ステントを定位置に固定するために、ステントの外面が血管壁に対して押されるように、ステントを半径方向に拡張させる。ステントの収縮状態での直径は、およそ0.5mm〜2.0mm、好ましくは、0.71〜1.65mmであり、長さ5〜100mm、好ましくは、8〜50mmである。拡張ステント直径は、多様な収縮ステント直径であってよい。例えば、0.7〜1.7mmの収縮直径を伴うステントは、2.0〜4.0mmまたはそれ以上の選択された拡張状態まで半径方向に拡張してもよい。連結された拡張可能な管状部材のこの一般ステント本体構造を有するステントは、例えば、共有され、参照することによって本明細書に明らかに組み込まれる、国際公開第99/07308号に記載されるように周知である。
【0052】
好ましくは、ステント構造は、ステンレス鋼等の生体適合性材料で作製される。使用されてもよい生体適合性材料のさらなる例としては、コバルトクロム、ニッケル、マグネシウム、タンタル、チタン、ニチノール、金、プラチナ、インコネル、インジウム、銀、タングステン、他の生体適合性金属、もしくはそれらの合金、炭素または炭素繊維、酢酸セルロース、硝酸セルロース、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、または他の生体適合性ポリマー材料、もしくはそれらの混合物またはコポリマー、ポリ−L−乳酸、ポリ−DL−乳酸、ポリグリコール酸、またはそれらのコポリマー、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトン、吉草酸ポリヒドロキシブチレート、または別の生分解性ポリマー、もしくはそれらの混合物またはコポリマー、タンパク質、細胞外マトリクス構成要素、コラーゲン、フィブリン、または他の生物剤、もしくはそれらの好適な混合物がある。典型的なステントの例は、米国特許第6,730,064号に記載される。
【0053】
(B.被覆装置)
図2は、本発明の一実施形態によって構成される装置30を示す。装置は、概して、垂直カラム34を支持するベース32を含む。垂直カラムまたは支持体34の上には、垂直台支持体33が搭載され、その上に、Z軸台(すなわち、垂直運動台)36が、電気機械モータの制御下で、二重矢印38によって図式的に示される、垂直(Z軸)方向への動作のために、例えば、ローラまたは軸受によって摺動可能に搭載される。1つの例示的なモータは、打込みネジ(図示せず)を使用して台と連結される、MCG USA(プライヤーレイク、MN)から入手可能なMCG IB17001サーボモータである。実際の運動に関するフィードバックは、典型的には約20cmの総並進距離にわたって0.05ミクロンの解像度を提供する、両方ともRenishaw(シカゴ、イリノイ州)から入手可能な、カラム34に取り付けられるA−9523−6030エンコーダスケール(図示せず)を読み取る、台36(または他の好適な表面)に取り付けられる、RGH22H30D62エンコーダヘッド等の高分解能エンコーダ(図示せず)によって提供される。図3Aに示されるように、電気機械デバイスとしても本明細書において称されるモータ31は、図3Aに対して以下に記載されるように、制御ユニット79における運動コントローラ76によって制御される。代替として、図2に戻り参照すると、Z軸台は、調整可能な高さまでベース32上に摺動可能に搭載され、従来の締め付けクランプ等(図示せず)によって保持されてもよい。
【0054】
Z軸台の上には、ディスペンサアセンブリ40が搭載され、それは、注入器42を保持するように、かつ被覆動作中に注入器からの液体の分注速度を制御するように機能する。注入器は、そこから被覆材料が分注される針44、および注入器から材料を分注するように注入器へ押されるプランジャ46を含む。注入器は、取り付けブラケット47によって、その中での垂直運動のために、Z軸台上に搭載される。使用される注入器モデルは、分注のμl/mm「ピッチ」、すなわち、その分だけ注入器プランジャが前進する各ミリメートルに対して分注される溶液のマイクロリットルを決定する。例示的なモデルの一群は、目盛が60mmの範囲にわたって展開される、10μl〜500μlのHamilton1700Series Gastight注入器を含む。例示的な針は、22〜30、好ましくは、約26の選択された針規格を有する従来の円錐または鈍い端部の針を含む。注射針、特に注射針の先端は、分注ヘッドとしても本明細書において称される。
【0055】
注入器からの分注の速度を制御するプランジャの動作は、台に取り付けられる取り付けブラケット49によって、その中のZ軸動作のためにZ軸台上に搭載される分注ロッド48の制御下にある。ロッド48は、また、注入器におけるプランジャの下向きの運動を制御することによって、注入器からの被覆材料の分注速度を制御するように、Z軸方向にブラケット49内で独立して移動可能である。二重矢印50によって図式的に示されるディスペンサロッドの動作は、電気機械モータ(図示せず)の制御下にある。1つの例示的なモータは、0.05μmの最小増分運動を支持する閉ループDCモータによって駆動される非回転先端を伴う、高分解能PIM−227 50「mike」モータ(PI/Physik Instrumente、オーバーン、MA)である。このモータは、注入器ホルダ40の上方に頑固に搭載され、注入器のプランジャ46上に直接押し付ける。分注ロッド48上のインターフェース要素(図示せず)は、安定かつ中心となるように注入器のプランジャを保持する。図3Aに見られるように、分注ユニットモータ51は、運動コントローラ76によって制御され、ステント上での分注ユニットの配置により分注の完全同期を可能にする。垂直運動38を制御するモータ31と同様に、モータ51も本明細書において電気機械デバイスと称され、以下に記載されるように、制御ユニット79における運動コントローラ76によって制御される。
【0056】
図2に戻り参照すると、Z軸台36は、以下に詳述されるように、ステントのグレースケール画像を生成するための1つ以上の光学レンズ54、および装置の動作中に被覆過程を監視するための監視カメラ56を含む、ラインカメラ52を備える撮像システムも含む。監視カメラ56は、図11に対して以下に記載されるように、注射針の先端、および被覆動作中に被覆が塗布されるステントの部分を見るために、台36上に調整可能に搭載される。
【0057】
図3Aに見られるように、本発明の制御ユニット79は、ラインカメラ52、監視カメラ56、運動コントローラ76、およびワークステーション78を備える。ラインカメラ52は、フレーム取込み器82を介して制御ユニット79に動作可能に接続される。同様に、監視カメラ56は、フレーム取込み器80を介して制御ユニット79に動作可能に接続される。
【0058】
1つの例示的なラインカメラは、DALSA(コロラドスプリングズ、CO)から入手可能なP2−23−06K40であり、それは、単一線上で6144ピクセルの解像度を提供する。本発明の一実施形態では、ワークステーション78は、Windows(登録商標)ベースのPCを備え、それは、少なくとも2ギガバイトのメモリおよび2つの処理コアにより、システム上に提供される大きいスキャン画像を処理するために十分強力である。
【0059】
図2に戻って参照すると、装置30は、電気機械モータ(図示せず)の制御下で、二重矢印60によって図式的に示される、水平面Y方向への動作のために、ベース取り付け支持体59上に、例えば、ローラまたは軸受によって摺動可能に搭載されるY運動台58を含む。1つの例示的なモータは、BLTUC−416磁気トラック内で作用するBLMUC−143直線フォーサであり、両方ともAerotech(ピッツバーグ、PA)から入手可能である。位置および運動の測定結果は、Renishawから入手可能な、Z軸と同一のエンコーダを使用して0.05ミクロンの解像度で記録される。総並進距離は、約20cmである。図3Aに示されるように、モータ65は、制御ユニット79における運動コントローラ76によって制御される。代替の実施形態では、Y運動台58は、調整可能なY軸位置まで、ベース上に摺動可能に搭載され、従来の締め付けクランプ等(図示せず)によってそこに保持される。
【0060】
Y軸台は、次に、その上に支持体61がしっかりと搭載される台58に対して水平面X方向への動作のために支持体61上に、例えば、ローラまたは軸受によって摺動可能に搭載されるX軸台62を支持する。二重線矢印64によって図式的に示されるX軸台の動作は、電気機械モータ(図示せず)の制御下にある。Y軸に対して記載される同一モータおよび測定デバイスをここで使用することができ、典型的には約20cmの総並進距離を可能にする。本明細書において電気機械デバイスとも称されるモータは、図3Aに見られるように、制御ユニット79における運動コントローラ76によって制御される。
【0061】
X軸台は、モータ(図示せず)を収納する支持ブロック67、およびチャックの中心軸71の周りでの回転のためにブロック67に固定されるチャック68を含む回転チャックアセンブリ66を支持する。チャック68上に搭載されるマンドレル70は、軸71の周りでの回転のために軸71に沿って配置される。本明細書において支持要素とも称されるマンドレルは、外径が、マンドレルによる回転のために、ステント72等のステントをしっかりと受容する寸法である従来のステントマンドレルである。この目的を達成するために、マンドレルの円周は、異なる内径のステントを収容し、かつマンドレル上のステントの所望の摩擦嵌合を可能にするために、その長さに沿ってわずかに細くてもよい。
【0062】
その長軸(軸71)の周りでの、二重矢印74によって図式的に示される、マンドレルの回転は、モータ(図示せず)の制御下にある。1つの例示的なモータは、Aerotech(ピッツバーグ、PA)から入手可能なADRS−100−ES15472−A−X50回転サーボモータであり、それは、1回転につき720,000単位の解像度を提供するエンコーダを一体にし、無制限回転を提供する。図3Aに示されるように、本明細書において電気機械デバイスとしても称されるモータ73は、制御ユニット79における運動コントローラ76によって制御される。理解され得るように、被覆動作中に、マンドレル回転モータは、固定位置ディスペンサヘッドに対して選択された回転速度でマンドレルおよびその上に固定されるステントを回転させるように動作する一方、X軸台モータは、ディスペンサヘッドに対して軸71に沿って直線方向にマンドレルを移動させるように動作する。回転および直線運動の組み合わせは、分注ヘッドの直下のステントの各骨格要素を移動させるように動作可能であり、そこでは、被覆が、要素に対する分注ヘッドの所望の速度および位置でその骨格要素に塗布されることができる。
【0063】
図3Aに見られるように、運動コントローラ76は、システムプログラムからの速度および位置の信号をモータのための駆動信号へと変換するように機能する制御ユニット79の一部である。言い換えると、本発明のサーボモータは、コンピュータ制御されてもよい。コントローラ76は、複数の運動軸の同時運動を同期させることが可能であってもよく、関連する運動エンコーダのフィードバックに従って各サーボモータを駆動する。1つの好ましい運動コントローラは、ACS Motion Control(プリマス、MN)から入手可能なCM3−AE−M0−H4である。
【0064】
制御ユニットは、ラインカメラ52のためのフレーム取込み器82をさらに備える。そのようなフレーム取込み器の例は、BitFlow(ウォバーン、MA)から入手可能なP3−PCI−CL13である。このフレーム取込み器は、運動コントローラからの位置信号を受信することができ、ステントの高速回転中でさえも正確な画像取得を可能にする。別のビデオフレーム取込み器80は、監視カメラ56からのビデオ信号をワークステーションによって処理されるか、または表示されることができる信号に変換する。The Imaging Source LLC(シャーロット、NC)から入手可能なDFG/SV1は、そのようなフレーム取込み器の例であり、それは、3つのビデオ信号入力を提供し、3つの監視カメラまでから受信される画像を代替として表示することが可能である。被覆溶液における薬物の濃度、被覆において所望の薬物の総量、および被覆の堆積に影響を与える他のパラメータ等の被覆仕様を入力するためのキーボード87およびマウス83も示される。動作中に被覆変数に対する一部のユーザ制御を可能にするために、被覆動作の前およびその間にユーザインターフェースおよびビデオ画像を表示するためのシステムモニタ85も含まれる。
【0065】
被覆動作中にモータを制御するための装置のソフトウェアおよびアルゴリズム特徴を考慮する前に、装置の設定および機械操作をここで簡潔に考察する。最初に、被覆されるステントは、装置30に既に固定されているマンドレル70上に配置され、それがしっかりとその上に固定されるまで、マンドレルに沿って移動する。代替として、ステントは、マンドレルに固定されてもよく、次いで、マンドレルは、装置上に搭載され、コレットを使用して締め付けられてもよい。次いで、X、Y、およびZ軸台は、ステントの一端部がラインカメラの下に焦点が合うように配置されるように調整される。この時点で、マンドレルが選択された速度で回転している状態で、ラインカメラ52は、ステントを撮像し、以下のCおよびD項において考慮されるように、被覆経路、位置、および速度を計算するために使用されるステントの2次元画像を生成する。次いで、X、Y、およびZ軸は、ステントの選ばれた特徴が分注ベッドの直下に配置されるように調整され、充填済み注入器は、システム上に搭載される。
【0066】
被覆パラメータが、ユーザによって入力されるか、自動的に決定されると、被覆動作により異なるか、または比較的に一定に維持されてもよい被覆溶液の分注、およびモータは、制御ユニット79における運動コントローラ76を介して作動される。次いで、ステントの外側要素は、被覆の所望量で被覆され、ステントの各要素は、それが分注ヘッドの下を移動するにつれて被覆される。この過程は、所望の被覆が塗布されるまで、1つ以上のパスを通って継続される。
【0067】
(C.トラバース経路を決定するための方法およびアルゴリズム)
図3Bは、ステントのグレースケール画像を、適切な被覆動作モータを駆動する速度および位置の信号に変換する際に装置によって実行される基本動作を示す。示されるように、ラインカメラ52は、ステントのグレースケール画像をとらえ、次いで、この画像は、図4に示される82によって概して示される一連のソフトウェア操作を介して処理され、(i)この項に記載される、それによって、ディスペンサヘッドがステント要素上を移動するトラバース経路を決定し、(ii)以下のD項に記載される、被覆がどのようにステント支柱要素上に堆積されるかを最適化するために分注ヘッドの位置および速度の変化を決定し、(iii)以下のD項に記載される、分注速度を決定する。
【0068】
図4を参照すると、この過程の最初のステップは、ステントの描写(「画像」)84を取得するためである。これは、一連の画像タイルをとらえ、それらを合わせて組み立てるステップ、およびステントが光学またはタッチプローブと一緒になると予測される領域をスキャンするステップを含むが、これらに限定されない種々の周知の手段によって達成されてもよい。この過程の結果は、グレースケール画像として一般的に表されることができる信号情報を含有する2次元マトリクスである。信号情報は、光度または色情報、距離信号、もしくは光透過信号であり得る。マトリクスの軸は、典型的には、ステントに沿った長手位置、およびステントの回転角度に対応する。
【0069】
一実施形態では、例えば、米国特許第6,879,403号および米国公開出願第20070219615号に記載される光透過システムは、画像を得るために使用されてもよく、それによって、ラインカメラは、軸方向に回転するステント固定の軸に沿って整列させられ、ステントの半径に対応するように調整される距離で焦点を合わせる。マンドレルは、それを通して放射される光を拡散する半透明ロッドであってもよい。マンドレルは、支柱が存在する場合に妨害される光透過信号が、ラインカメラを使用してとらえられてもよい間に、完全回転のためのその軸の周りを回転してもよい。ステント全体が1つのスキャンストリップ内で見られない場合、ステント固定を軸方向に移動させ、回転およびスキャニングは、必要に応じて繰り返してもよく、連続した画像ストリップを合わせて組み立ててもよい。
【0070】
ここの説明はステントの2D描写に言及するが、例えば、トモグラフィ技術を使用して取得されるステントの3D体積描写も使用してもよい。2D画像処理ステップは、経路軌跡点の抽出にも適用されることができる、3D空間における周知の同等物を有する。図5Aは、装置におけるラインカメラによってとらえられ、画像取込み器を通ってワークステーション78における画像ファイルへ送り込まれたステントの典型的なグレースケール2次元描写を示す。過程のこのグレースケール画像部分は、図4における84で示される。
【0071】
(C1.セグメンテーション)
セグメンテーションは、複数の領域(数セットのピクセル)へとデジタル画像を分割し、分析し易いものへと画像を簡略化する過程を指す。加えて、形態学的ノイズ除去およびピクセルのヒストグラムによる分類は、セグメンテーション過程の一部であり得る画像処理アルゴリズムである。本発明の一実施形態では、ステント上またはそれから外れるデータ点のみが、それぞれ白黒画像ピクセルと見なされる。当業者によって周知の任意のセグメンテーション方法または過程は、本発明によっても使用されてもよい。
【0072】
本発明の一実施形態では、画像から小物体を除去する解放変換を使用する形態学的ノイズ除去、またはこれらの物体を縮小させる浸食技術を画像に適用してもよい。ヒストグラムによる方法を使用して、ステント上またはそれから外れる点(各ピクセルに対して0または1の二進値によって表されてもよい)として、その強度値に基づいて、各ピクセルを分類してもよい。図4は、グレースケール画像84を二値画像88に変換するためのセグメンテーションステップ86を示す。これらの画像処理ステップによる、ステントのグレースケールおよび二値画像の説明図を図5Aおよび5Bにそれぞれ示す。
【0073】
図1に表されるような物体等の円筒形物体の画像をとらえ、ラインカメラ下でそれを回転させる時、得られた画像は、図5Aに示される画像等の平坦な画像として表されてもよい。後者の画像における点の位置を考慮する時、垂直画像座標は、円筒形物体の軸に沿った座標として表されてもよい。例えば、水平画像座標は、回転の角度を表してもよい。さらなる例として、物体の軸に沿った任意の座標xにおいて、座標(x,0°)での像点は、座標(x,360°)での像点と事実上同一である。したがって、図5A、5B、または6Aに表される画像の右および左端は、本来の円筒形物体上で相互に実際は隣接する。
【0074】
この理解は、隣接像点(像点が概して「ピクセル」と称される)に適用される形態変換を使用する時に考慮されるべきである。図5Aに対して、画像の左および右端上の対応するピクセルは、画像が巻き付き、それ自体を繰り返しているかのように、相互に隣接すると見なされてもよい。
【0075】
(C2.細線化)
一般的に中間軸変換と称される細線化は、画像の領域が、本来の領域の構造および接続性を保存する骨格残部へ減少する過程である。領域は、単一ピクセル幅のその中間要素が暴露されるまで細くなる。得られた画像は、それによって領域が描かれるストロークの中心線として、直感的に描くものに対応する。
【0076】
画像の細線化を行うためのいくつかの周知のアプローチが存在する。そのようなアプローチの一例は、Skeletonization of 2D Binary Images(1988〜2008)という表題の、Geometric Tools,LLCのDavid Eberlyによる文書に開示されるアルゴリズムを使用する。図4に示されるように、細線化中に、ステント領域は、それが1ピクセル幅以上である限り、反復して浸食される。この関連で、骨格画像は、ステントの構造を反映し、言い換えると、それは、ステントの構造要素の中心線を辿り、接合点で交差する湾曲区画の集合体を表す。ステント92の細線化された二値画像を図6Aに示す。
【0077】
(C3.骨格画像の抽出)
図4における94で示されるこのステップでは、骨格画像は、トラバース経路を画定するためにより便利に使用されることができる異なるインメモリ描写へ翻訳される。入力画像では、点の連続的な変化(各点が2つの隣接部を有する)は、1つずつ抽出され、点座標対のインメモリ列(「配列」)へ変換される。この処理ステップの出力は、それぞれ、2つの交点(2つの隣接部を有さない像点として画定される)の間の経路または軌跡を画定する点座標の単一列によって画定される「骨」と称される区画のリストである。「骨」の各端点は、「関節」と称される。それらの座標によって画定される関節のリストは、その位置で終了するか、または開始する全ての骨の参照を保持する。
【0078】
交点(2つの以上の隣接部を有する骨格画像上の点)、次いで、未だ巡診されていない隣接部のための検索隣接像点へと開始して、点は、区画の他の端部での別の交点が到達されるまで、1つずつトラバースされる。順番にトラバースされる各点の座標は、骨に関連する位置の配列に添付される。トラバースされた各交点の位置は、関節のリストに含まれる。
【表1】

【0079】
コンピュータ化学専門用語では、当業者に周知であるように、端またはリンクまたは接続と称される上記の骨、および結節または頂点と称される関節は、グラフを構成する。
【0080】
図6Bは、前の細線化された画像の拡大部分を示す。A、B、およびCは、特定された交点(「関節」)である一方、1および2は、関節AおよびBおよび関節BおよびCをそれぞれ接続する2つの湾曲区画(「骨」)である。処置によって生成される経路区画および関節の集合体は、図4における96で示される。
【0081】
(C4.骨および関節グラフの除去)
本発明の一実施形態は、グラフ上の1つ以上のアーチファクトを除去するために、反復して行われてもよい以下の過程を含む。
−関節が単一の骨に接続される場合、それは、隣接する骨とともに、削除される。
−2つの骨を接続する関節(前のステップによって生成されてもよい)は削除され、2つの隣接する骨は、単一の骨へと合併され、それらの2つの点列を単一のリストに並置する。
【0082】
さらに、骨は、さらなる処理のために、誘導を容易にするか、または提供するように、それらの特性に基づいて標識化または分類されてもよい。例えば、骨は、それらの長さ(点の数として)に従って標識化されてもよい。いくつかのステント設計では、短い骨は、リンクに対応し、そのようなものとして標識化されてもよい。骨の水平(例えば、軸方向の)または垂直(例えば、回転の)程度等の他の特性も使用して、あるステントの特徴を特定してもよい。代替として、後の検索を容易にするために、骨または関節は、それらの長さ、またはそれらの場所、例えば、骨に関連する位置の列における最左の座標に従って分別されてもよい。ある場合には、ある特性によって特定される骨も、削除されるか(例えば、いくつかのステント要素は被覆されない場合)、またはそうでなければ転換され、または異なるパス数で被覆されることができる。上述される標識化、分類、および特定過程は、本発明の限定を意図するわけではなく、単に例示的なものである。
【0083】
(C5.骨トラバース列の生成)
本発明の過程は、図4における98で示される、ステント要素上の分注ヘッドをトラバースするためのトラバース列の決定をさらに含む。異なるトラバース戦略が実行されてもよく、グラフトラバース戦略は、広範囲に研究されている。本発明の既存の実施形態において実施されている例示的なアプローチの2つの例は、単一のトラバースおよび連続的なトラバースループを含むが、これらに限定されない。
【0084】
単一トラバースアプローチは、各骨格要素を一度だけトラバースするステップを含む。このアプローチは、以下を含むが、これらに限定されない。
1.巡診された最左の座標に従って骨のリストを分別する。
2.リストにおける最初の(最左の)骨からトラバースを開始する。
3.最後に巡診された骨の端部の関節から、未だ巡診されていない隣接する骨を探す。
−単一の巡診されていない骨が見つかる場合、その要素に沿って骨トラバースを継続し、このステップを繰り返す。
−1つ以上の巡診されていない骨が見つかると、リストの最初であるために、より左側にある骨を選択することによってトラバースを継続する。
−全ての隣接する骨が既に巡診されている場合、未だ巡診されていない最左の骨を次の骨として選択する。分注が通常妨げられる間のこの骨要素への接続運動は、骨トラバース列に挿入される。
【0085】
連続的なトラバースループアプローチは、連続的なトラバースループの生成を引き起こし、それによって、トラバースは同一関節で開始し、終了する。このアプローチは、以下を含むが、これらに限定されない。
1.ステントのリンクを表す全ての骨を特定し、印を付ける(それらは、それらのより短い長さによって、そのようなものとして特定されることができる)。
2.骨のリストにおける全ての連結要素を複製し、これらの複製を骨のリストに追加する。
3.トラバースを開始するための任意の骨要素を選択する。
4.到達された関節から
−以前にトラバースされた骨が非連結要素である場合、未だトラバースされていない隣接する連結要素を選択する。
−以前にトラバースされた骨が連結要素である場合、未だトラバースされていない隣接する非連結要素を選択する。
【0086】
図5Aまたは5Bに示されるステント設計のために、前のアプローチ(連結要素を複製する)は、グラフ構造をオイラー回路へ転換する。オイラー回路は、各端を正確に一度巡診し、同一頂点上で開始し、終了するグラフにおける経路である。本発明に対して、リスト(連結要素が複製されている)における全ての骨は、一度トラバースされ、トラバースは、開始した同一点で終了する。このアプローチの利点は、全ての骨の続くトラバースは、次いで、妨害を伴わずに開始されることができることである。
【0087】
このアプローチの一態様は、連結要素は、非連結(インバンドとも称される)要素と同様に2回トラバースされ、リンク上に過度の被覆を堆積する可能性があることである。これを補うために、2つの可能なアプローチは、以下を含むが、これらに限定されない。
(a)非連結要素に対する、連結要素をトラバースする時の運動速度を2倍にする。一定分注速度を維持する時、これは、二種類の要素上に堆積される被覆の量の平衡を保つために役立つ。
(b)トラバース列に、非連結要素の付加的なトラバースを挿入する。例えば、ステントのバンドが初めて到達される時、バンドを構成する非連結要素の付加的なトラバースは、列に挿入されてもよい(「バンド追加回転」)。
【0088】
(C6.点列としてのトラバース)
骨をトラバースするために列が決定されると、位置の単一列を生成することができる。各骨がトラバースされるために、位置の関連する列は、複製され、骨がトラバースされる方向に対して必要に応じて逆転され、位置の最終リストに添付される。位置のこの最終リストは、その上に位置する(例えば、リンクまたは骨)ステントの領域、および実行されている現在のパス等の、各点を伴う付加的な情報を保存してもよい。位置のこの最終リストは、それに沿って分注ヘッドがステントをトラバースするベース経路を画定する。
【0089】
位置情報、および各点のための他のパラメータは、最終的に作動される運動のパラメータを調節またはそれに影響を与えるようにさらに処理または算出されてもよい。
【0090】
(D.速度および位置アルゴリズム)
【表2】

【0091】
この項は、(i)塗布される総被覆材料の選択された量、(ii)ステント要素の外面全体の被覆範囲、および随意で、ステント要素の外面からの、およびその側面を覆う溢出、および(iii)粘性被覆溶液が、本発明の背景において記述されるマイクロピペット操作によって分注される時に生じ得る種類の被覆不完全性の低下または排除、を含むが、これらに限定されない、所望の特徴によりステント被覆を達成するために、本発明の一実施例による被覆動作において使用されてもよい種々の速度および位置制御アルゴリズムを記述する。
【0092】
(D1.主要被覆パラメータ)
以下のパラメータは、ステント支柱に沿った分注針の連続的な運動を画定し、速度および位置アルゴリズムの制御下で被覆装置の動作を理解する際に有用である。
【0093】
(運動速度) 運動速度は、上記で詳述されるように算出される、分注ヘッドが経路に沿って移動する速度を画定する。本発明の一実施形態では、およそ150mm/mm以上までの、1分間につき支柱長の数ミリメートルの運動速度を使用した。80mm/mm以下の速度は、被覆の堆積が液体の表面張力によって次第に駆動されるため、流出およびウェブの一因となり得る。150mm/mm以上の高い運動速度は、例えば、液体の表面張力が破壊される際に、被覆の堆積における不連続性の尤度を増加させる。
【0094】
被覆経路および平均運動速度が画定されると、被覆を実施するために必要な時間は、被覆速度によって除される経路長として算出されることができる。例えば、経路長が300mmであり、運動速度が100mm/mmである場合、被覆時間は、3分である。
【0095】
(分注流速) ステント上で所望の被覆の量、および被覆溶液中の被覆材料の濃度は、堆積される被覆溶液の堆積を決定する。したがって、一定分注フローを合計すると、分注流速も、運動速度によって画定される。例えば、被覆時間が3分である前の例に対して、6μlが分注される場合、流速は、2μl/分である。
【0096】
本発明の一実施形態では、被覆溶液の特徴は、前の被覆の手動塗布中に決定された。溶液の流動性および乾燥時間を考慮して、最適流速は、約0.5μl/分であってもよい。高流動は、被覆の流出およびウェブにつながり得るが、低流動値は、筋の形成を伴い得る。塗料配合の種々の濃度または希釈を使用することができる。しかしながら、最適値は、一部分において、塗料配合の濃度に、かつ被覆される特定のステントモデルにも依存することに留意するべきである。
【0097】
(パス数) 上述されるように、分注流速および運動速度は、相互に依存する。選ばれた運動速度を保存しつつ分注流速を低下させるために、総経路長は、複数のパスにおいて被覆を塗布することによって変化することができる。例えば、4つのパスにおいて被覆を塗布することによって、総経路長は、概念的に4倍になり、総被覆時間も4倍になる。したがって、塗料配合の同一体積を分注するために、流速も4で除される。
【0098】
被覆厚、運動速度、および分注フローの均一性を維持するために、パス数は、別個の整数の量のみで増加することができる。したがって、被覆溶液の運動速度、パス数、および濃度は、所望の分注速度を得るように平衡して修正される必要があってもよい。
【0099】
(D2.リンクとバンドとの間の被覆厚の平衡を保つバンド追加回転)
理想的には、トラバース経路は、スキップ運動が堆積または筋等の被覆アーチファクトをしばしば伴うため、分注ヘッドが非分注位置へ上昇される場合、スキップまたは不連続性をほとんど有さないか、または有さない。
【0100】
この課題に対する1つの解決策は、全てのリンクを2回トラバースする経路を決定し、パスが同一点で開始し、終了するオイラーループ経路によってトラバースすることができるパターンをもたらすことである。リンク経路の2倍のトラバースの平衡を保つために、リンクが、次いで、同様に2回であるが、それらの長さに対応する分注された体積の半分で被覆されるように、ステントリンク上の運動速度を2倍にすることが必要である。
【0101】
この課題に対する別の解決策は、バンド追加回転と称されるアプローチである。通過中にリンクを覆うように送達される被覆を低下させる代わりに、被覆の付加的な層をインバンド支柱上に塗布することができる。各バンド内で、同一バンド内に留まりつつ、回転軸の完全回転を実施することによって層が添加される(「追加回転」)。単一の通過中に通常実行されるステントの縦断を覆って散在され、追加回転は、リンクとバンドとの間の被覆厚の平衡を保つ代替の手段を提示する。この付加的な回転は、経路の全長、したがって被覆時間および分注速度も増加させる効果も有することに留意されたい。
【0102】
以下の表は、前述される被覆アルゴリズムにおけるパス数(NoP)とバンド追加回転値との間の関係を要約する。
【表3】

【0103】
パス数およびバンド追加回転パラメータは、本明細書において前述される処理に影響を与える場合があることにも留意するべきである。
【0104】
(D3.Rスプレッド:より広い支柱上の被覆軌跡の変更)
前述のように、支柱上、特に支柱のより広い部分にわたってより広範囲、かつより均一な被覆を得ることが望ましい場合がある。これは、複数のパスを実施する時に、分注ヘッドの軌跡を支柱の中心から逸脱させ、それを支柱の両端の近くへ移動させることによって達成することができる。このアプローチは、支柱の側面上の被覆の越流を達成することにも役立ち、それは、被覆の接着、およびより多くの被覆をステントの側面へ分布する際に役立つ。このアプローチにおいて使用されるパラメータは、「Rスプレッドマージン」および「Rスプレッド乗数」と名付けられる。
【0105】
Rスプレッドマージンは、ステント支柱またはクラウン(リンクは、影響されない場合がある)の端からの追跡経路の最大距離を画定する。支柱半径(すなわち、支柱幅の半分)がこの距離を超える場合、経路は、R軸に沿って測定される、左または右端から内向きのこの特定の距離に留まるように修正されてもよい。計算されたトラバース経路が各トラバースを伴う1つ以上の追加バンド回転を含む場合、インバンド支柱上に堆積される各層は、それ自体の軌跡を辿る。
【0106】
インバンド支柱上に堆積される複数の被覆層内で、図9Aおよび9Bに示されるように、経路は、まず支柱の一端(例えば、上端)を辿り、次いで、支柱の他の端(例えば、下端)を辿り、次いで、続く通過中に中央経路に向かって直線的、かつ対称的に収束する。第3および続くパスは、被覆の所望の分布(例えば、支柱端上に堆積される被覆の量)に応じて、支柱の中心に向かってか、または2つの最初の端パスの近くにより分布されてもよい。軌跡決定は、本来の中央経路からのRスプレッド変位またはマージンを拡大するために使用されるRスプレッド乗数を含む。例えば、100μmの支柱幅、ならびに30μmのRスプレッドマージンおよび2.0のRスプレッド乗数を前提として、追跡される経路は、支柱の中心線から(100/2−30)2.0=40μmまでである。Rスプレッド機能性は、十分な支柱範囲が、主により広いバンドに影響を与える問題であるため、バンドに適用可能であり得る。
【0107】
図9Aは、バンド要素116上の計算された軌跡を示し、それぞれ、支柱118およびクラウン120、およびバンド116の間に位置する連結要素122を有する。4つの軌跡は、4つの別々のトラバースのために、30ミクロンのRスプレッドマージンおよび4の乗数を使用して決定され、各バンドにおける3つの追加バンド回転、および接続リンク上の単一の経路を意味する。選択されたRスプレッドおよび乗数値は、より大きい幅の支柱上の4つの識別できる経路、およびより狭いクラウン上の幾分収束性の経路につながり、軌跡の全ては、支柱の表面積「内に含有される」。
【0108】
図9Bは、ステントの同一部分の軌跡を示すが、3の乗数を30ミクロンのRスプレッドマージンと組み合わせて使用した場合である。4つの経路における2つの最外軌跡は、支柱境界の外側に分注ヘッドを携持し、クラウン要素内のより少ない経路収束にもつながる。したがって、計算においてRスプレッドマージン乗数を増加させることによって、分注ヘッドは、ステントの側面領域上への分注された材料のより大きい溢出を達成する目的で、支柱の端の近く、次いでその上に移動させることができる。特に、Rスプレッドマージンおよび乗数は、ステント要素の側面上への溢出の所望量を生成するように選択されることができ、それによって、その上部要素表面対その側面上への被覆材料の選択された比率を有するステントを生成する。
【0109】
本発明の一実施形態では、軌跡逸脱は、より大きい支柱がいくつかの被覆されたステントにおいて見られる場合、ステントのバンド内のみに適用される。代替として、逸脱は、回転(R)軸に沿ってのみ分注ヘッドの軌跡を移動させることによっても適用されてもよい。付加的および代替適用も使用されてもよく、本明細書における説明は、当業者によって容易に明らかであるように制限することを意図しない。
【0110】
1つの好ましい被覆法では、これらのパラメータは、側面上に含有される被覆在庁の量が、ステントの上部要素表面上の被覆材料の量の約50〜100%である被覆を生成するように選択される。一態様では、本発明は、側面上の被覆材料の量がステント上面上の被覆の量の50%〜100%である被覆で覆われる上面および側面の両方を有するステントを含む。
【0111】
(D4.針の距離)
分注針の先端とステントとの間の距離は、被覆の堆積に影響を与える重要な要因である。「針上昇」被覆パラメータは、位置の一致が最初に得られた針ステント接触点に対する針上昇を決定する。
【0112】
被覆が複数のパスにおいて塗布され、堆積された被覆がある厚さを有するため、付加的な「針上昇増分」パラメータを使用してもよい。現在被覆された支柱上に以前に堆積された被覆層の数を乗じたこの値は、ベース針上昇に加算される。両方の上昇値は、マイクロメートル(μmまたはミクロン)で特定される。典型的な針上昇値は、20〜60μmであり、典型的な針上昇増分は、2〜5μmである。
【0113】
(D5.より広い輪郭、より速い輪郭、より速い細い)
ある場合には、特定の支柱特徴上により少ない被覆を分注することが望ましい場合がある。例えば、同一被覆厚を保存するために、より少ない被覆材料を、より広い支柱上より、細い支柱上に堆積させるべきである。一定流速を維持することが好ましいため(流体の粘度および分注システムの弾性が、それを正確に変更する能力を弱めるため)、好ましいアプローチは、運動速度を局所的に増加させることである。
【0114】
分注された被覆量の低下が所望であり得る別の経路部分は、ステントクラウン上、および支柱が急回転を辿る場所である。被覆のウェブ、およびステントの拡張中の亀裂は、それらの場所において生じる傾向がある。したがって、支柱の湾曲の増加を分注ユニットの運動速度の局所的増加に関連付けることが望ましい場合がある。
【0115】
クラウンの内側上のウェブの出現を減少させ得る別の戦略は、分注ユニットが、支柱の外側上に留まる経路を辿ることを可能にするステップを含む。これは、ウェブが生じる内側に向かって分注された溶液を引き付ける表面張力に対抗することによって、支柱湾曲の外端に向かって被覆を引き付ける傾向を有する。
【0116】
支柱の幅は、経路点から最も近いステント端までの距離を測定することによって画像から用意に得られる。支柱の曲率は、以下に定義されるように「公正係数」として定義される。図10に示されるクラウンおよび支柱画像に対して、連続点A、B、C、D、Eは、支柱の中心線に沿って測定される固定された長さ間隔で配置される。この長さは、λと称される。この図においてクラウン内に位置する点Dに対して、2つの隣接点は、この例において点CおよびEとして示される、点Dに先行し、それに後続する距離λでベース経路に沿って選択される。これらの点によって区切られる区画の中間は、点Mである。値KR(D)は、経路(=2λ)に沿って測定されるそれらの距離で除される2つの隣接点(C、E)の直線距離の比率である。KRは、公正係数であり、その値は、Dが2つの直線状の区画の間の180°回転上にある場合、直線のための最大1から(理論上)最小0まで変化する。また、ベクターM→Dであるベクターoは、「外ベクター」として画定される。このベクターは、分注ヘッドの軌跡の逸脱を決定するために、ユーザ特異的係数で乗じることができる。
【0117】
上記で画定されるアプローチを図9上に示される他の点、およびその間の他の経路点に適用することによって、公正係数および「外ベクター」を、経路に沿った全ての点のために得ることができる。ベクターは、点Bの隣でほぼゼロであり、点C付近で中間の大きさを有する。中心線に対してそれる点線は、約0.9の係数を乗じたその算出された外ベクターを各点の座標に付加することによって、実線の中心線軌跡から逸脱するころによって得られる経路を示す。さらなる制御および構成性を提供するために、外ベクター係数は、以下の2つの構成要素に分離されることができる。水平画像座標(X軸に沿った運動)に適用する構成要素、および垂直座標(R軸によって適用される運動)に適用する構成要素。広範な運動のいずれの構成要素に有利に働く能力は、異なる配向を伴う湾曲に別々に影響を与えるために有用である。外ベクター係数は、各パスに対して独立して特異的でもあるか、またはステントの異なる領域(例えば、リンク対バンド)において異なる値を与えられてもよい。
【0118】
(D6.速度係数の算出および組み合わせ)
任意の経路に沿った運動は、位置の列および連続した位置の各対の間の時間間隔として画定されることができる。固定速度運動のために、各時間間隔は、2つの点の距離に比例する。しかしながら、上述されるように、ステントの種々の部分にわたる被覆の堆積をより良く制御するための選ばれたパラメータに従って、運動速度が局所的に変更することが望ましい。
【0119】
例えば、Tbが、一定速度で、トラバース列における所与の点から次の点へ移動するためのベース時間間隔であると過程する。Tbは、次の点までの距離(ミリメートル)を選ばれた任意の参照速度(例えば、1mm/s)で除することによって算出される。Tbは、一定速度運動のための参照トラバース時間を画定する。ステントの所与の領域上の速度が均一に増加する場合(例えば、前述されたリンク上)、Tb係数は、リアルタイムで乗汁ことができる。例えば、ステントリンク上の運動速度を2倍にするために、Tbは、2で除されてもよい。
【0120】
別の例として、Ttが、特定の場所で測定される支柱幅(または例えば、幅値の二乗等の支柱幅の関数)で乗じたTbとして画定されると仮定する。Ttが、次の点へ到達するためのトラバース時間として使用される場合、得られた運動速度は、それによって、支柱厚さに依存する。ここで、Tcを公正係数の関数で乗じたTbとする。Tcが、次の点へ到達するためのトラバース時間として使用される場合、得られた運動速度は、それによって、支柱曲率に依存する(例えば、回転内でより速い)。
【0121】
前述に基づき、二地点間トラバース時間Tb、Tt、およびTc(および、場合により他の時間値)は、補間の運動速度プロファイルを得るために組み合わされてもよい。
【0122】
本発明の一実施形態では、以下の2つの制御値は、速度制御のためにユーザに提供されてもよい。「より速い輪郭」(Kc)および「より細い幅」(Kt)。それらの係数のそれぞれは、割合として、0〜1の間隔内にあってもよく、それらの係数の合計は、1を超えるべきではない。各係数は、実際の運動に対する対応する時間間隔の影響を画定する。
【0123】
経路に沿った点の連続した対をトラバースするための実際の時間間隔は、以下のように算出されてもよい。
T=k(Tb(1−Kt−Kc)+TtKt+TcKc)
【0124】
付加された係数kは、総経路トラバース時間が要求された平均運動速度に対応することを確実にする。この係数は、以下のように、Tb、Tt、およびTc時間間隔の事前算出された合計を使用して容易に算出されることができる。
k=所望の総時間/(合計(Tb)(1−Kt−Kc)+合計(Tt)Kt+合計(Tc)Kc)
であり、所望の総時間は、所望の平均運動速度で除される経路長である。
【0125】
このアプローチの結果として、定量単位または大きさは、速度変化および「外輪郭」係数と関連しない。これらの係数は、任意のステント設計のための実験により実験的に最適化されてもよい。
【0126】
(D7.分注の早期開始/停止)
本発明の一実施形態では、簡単な針を通して分注する間、被覆溶液は、支柱上に瞬間的に発射されない。代わりに、針先によって懸濁される滴が、溶液源と、その上にそれが堆積される支柱との間のインターフェースとしてか、または「緩衝材」として機能する。この滴は、支柱表面上に溶液を広げるために役立つが、表面張力、粘度、乾燥時間、および引力によって影響を与えられる、流体の複雑な物理学のために、被覆を妨げることもある。
【0127】
ステント支柱の被覆を開始する寸前に、滴は、理想的には、針先に既に存在するべきである。したがって、分注は、通常、被覆経路に沿った運動が開始される100〜500ミリ秒前に作動する。
【0128】
分注先端がそのトラバース経路に沿って移動するにつれて、分注先端の相対速度および運動に関連する上記アルゴリズムの適用は、図8に示されるブロックフロー図から理解されることができる。図8に示されるように、例えば、上述される方法による、所望の被覆量および範囲124を達成するために必要なパス数が決定される。次に、ステントリンク126上の被覆層の数および分注ヘッド速度および/またはステントバンド128上の被覆層の数が決定される。バンド上の被覆層の数は、ユーザバンド追加回転のような他の入力パラメータと併せて、ユーザによって入力として入力されてもよいことに留意されたい。
【0129】
上述される速度および位置アルゴリズムは、各バンド上の複数のパスのための最適分注ヘッド位置および速度を決定するように適用されてもよい。したがって、支柱のためのRスプレッド、および異なる経路軌跡130に沿ったディスペンサ速度および/またはクラウン領域およびクラウン分注速度132のための経路輪郭は、上述されるように計算されてもよい。これらのトラバース経路変数が計算されると、それらは、例えば、装置ワークステーションにおけるファイル134に保存される。被覆列の開始後、ファイルは、運動コントローラ76(図3A)に入力され、所望の所定の位置およびディスペンサ速度を達成するためのマンドレル回転および直線運動モータを駆動するために使用される。示されていないが、速度および位置アルゴリズムは、別々のサーボモータの制御下で、所望の分注速度ならびに分注ヘッド上昇および上昇増分を計算するためにも使用されてもよい。
【0130】
さらに、被覆動作中に、監視カメラが、被覆材料を受容するステントの一部の視野および分注ヘッドの先端を表示するために使用されてもよく、それによって、ユーザが、見られる任意の被覆不完全性を修正するために先端上昇および/または分注速度を調整することを可能にする。図11は、被覆動作中にユーザに提示される古典的な視野を示す。
【0131】
(E.動作の列)
以下は、本発明のシステムを使用する被覆過程を実施するために使用される標準的な作業順序の一実施形態を記載する。作業順序に対する変化は、当業者によって周知のように行われてもよく、本明細書において記載されないが、請求された本発明の範囲内にも含まれることに留意するべきである。
【0132】
ユーザは、例えば、種類、サイズ、および塗布される被服材料の量を含む、処理されるステントに関する情報を入力する。
【0133】
次いで、ステントは、マンドレル上にしっかりと配置され、注入器は、被覆材料、例えば、液体ポリマー溶液、例えば、アセトン等の揮発性溶媒に溶解される、ラパマイシン、または「42−O−アルコキシアルキルリムス薬物」等の別のリムス薬物等の10〜50%薬物を含有するd−、l−または混合d、l、ポリラクチド(PLA)等で充填される。使用されてもよい被覆溶液の例として、50μgの42−O−(2−エトキシエチル)ラパマイシン(または40−O−(2−エトキシエチル)ラパマイシン)、および1マイクロリットルのアセトン当たり50μgのPLA、または1マイクロリットルのアセトン当たり200μgの薬物(ポリマーを伴わない溶液)がある。次いで、充填済み注入器は、図2に示されるように、Z軸台によって吊るされる分注デバイスに取り付けられ、台における分注ロッドは、注入器プランジャとの接触の位置まで下げられる。
【0134】
X、Y、およびZ軸台が、ラインカメラを直接ステント上に配置するように移動される状態で、ユーザは、ステントがマンドレル軸の周りを回転している間にステントのスキャニングを開始する。得られた画像は、ワークステーションの画面上に表示される。ユーザは、画像上の識別可能な点/特徴を選択し、ユーザからの要求に応じて、装置は、分注ユニットをステント上に移動させる。注入器または針を交換することは、針先の変位を引き起こし得るため、ユーザは、スキャン画像上で選ばれた特徴上に針の位置付けを検証し、最終的に微調整する。次いで、ユーザは、正確な位置付けが達成されたことを確認する。
【0135】
ユーザが、被覆列を開始するべきであることを示すと、分注ユニットは、ステント上の開始点上に特定の距離で移動する。次いで、ユーザは、被覆溶液の滴が針の先端に出現するまで、分注ユニットを一時的に作動させてもよい。ユーザによる最終確認後、被覆過程は自動的に生じ、ユーザは、監視カメラ上でその進行を監視し、いかなるアーチファクト(ウェブ、架橋等)が出現しているかどうかを観察することができる。ステントの運動は、追跡され、スキャンされたステント画像の表示に反映され、ユーザが、この表示が監視カメラを使用して見られる位置に一致することを検証することを可能にする。
【0136】
被覆中に不具合が検出される場合(例えば、遭遇したリミットスイッチ、予定された被覆経路を辿ることができない)、問題をユーザに通知するために、エラー警報が表示されてもよい。被覆が完了すると、ユーザは、ステントをシステムから取り外し、続くステントを被覆するために上記のステップを繰り返すことができる。
【0137】
前述から、どのようにして本発明の種々の目的および特徴が達成されるかが理解される。装置は、被覆材料の選択された量をステントに塗布するために、ディスペンサヘッド速度を最適化し、スキップを最小限化するように、総経路数に関して計算されるトラバース経路を決定するために、ステント等の連結要素デバイスの画像を処理するように設計される。
【0138】
加えて、種々の速度および位置アルゴリズムは、(i)ステント要素の外面全体の被覆範囲、および随意で、ステント要素の側面上の外面からの溢出による被覆範囲、および(ii)粘性被覆溶液が、針またはマイクロピペットによって分注される時に生じ得る種類の被覆不完全性の低下または排除、を確実にするために使用されてもよい。
【0139】
本発明が、そのある好ましい実施形態を参照して詳述されたが、修正および変化は、記載され、請求される精神および範囲内にあることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントの外面上に被覆を生成する装置であって、該ステントの管状構造は連結された骨格要素から成り、
(a)被覆動作中にそのようなステントを支持するように適合される、支持要素と、
(b)分注ヘッドを有するディスペンサであって、該分注ヘッドが該支持要素に対して移動する際に、該分注ヘッドを介して、選択された速度で被覆材料を液体形態で塗布することができる、ディスペンサと、
(c)第1および第2の電気機械デバイスであって、それぞれ、(i)選択された回転速度で該支持要素を同期して回転させ、(ii)該支持要素軸に沿う方向に、該支持要素に対して該分注ヘッドを移動させる、第1および第2の電気機械デバイスと、
(d)そのようなステントの描写を捕捉するように適合される、撮像システムと、
(e)該撮像システムに、ならびに該第1および該第2の電気機械デバイスに、動作可能に接続される制御ユニットであって、
(e1)該撮像システムによって得られた該描写を処理することにより、(i)該ステント骨格要素に沿う経路であって、該経路によって、1つ以上のパスにおいて、該支持体に固定されているステントが該ディスペンサヘッドによってトラバースされることができ、その結果、該ステント骨格要素のうちのいくつかまたは全てがトラバースされる、経路、(ii)該経路がトラバースされる際の該支持要素とディスペンサヘッドとの相対速度、および(iii)該経路がトラバースされる際の該ステント要素の中心線に対する該ディスペンサヘッドの位置を、決定することと、
(e2)該第1および第2の電気機械デバイスを同期して作動させることにより、該経路に沿って支持要素に対して、かつ(e1)において決定される該相対速度および位置で該分注ヘッドを移動させることと
を実行する、制御ユニットと
を備える、装置。
【請求項2】
前記ステント上に、治療化合物の事前選択された量を含有する被覆を生成する際に使用する装置であって、前記被覆材料は、薬物の既知の濃度を含有し、処理ステップ(e1)は、前記経路および相対速度を決定することをさらに含むことにより、該ステント上に、該治療薬物の該事前選択された量を含有する被覆材料の総量を堆積させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ディスペンサおよび制御ユニットに動作可能に接続される、第3の電気機械デバイスをさらに含み、該制御ユニットは、該ディスペンサヘッドが前記経路に沿って移動する際に、該ディスペンサから分注される材料の速度を調整するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御ユニットおよびディスペンサに動作可能に接続される、第4の電気機械デバイスをさらに含み、該制御ユニットは、前記ディスペンサヘッドが前記経路に沿って移動する際に、前記支持体に固定されるステントの外面からの選択された距離に前記分注ヘッドを配置するために、マンドレルへ向かって、およびマンドレルから離れる方向に該ディスペンサを移動させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記撮像システムは、前記ステント骨格要素の2次元描写を構築するために、前記支持部材が軸方向に回転させられる際に、該支持部材に固定される該ステントの前記外面を識別するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、ステップ(e1)を実行する際に、(i)前記ステント要素によって占有される前記描写内の領域を決定する、セグメンテーションアルゴリズム、(ii)前記ステント骨格要素の中間軸に沿う曲線、および他のステント骨格要素とのそれらの交点を決定する、細線化アルゴリズム、(iii)該骨格要素に沿って経路を決定する、経路トラバースアルゴリズム、および(iv)該経路に沿って該支持要素に対する前記分注ヘッドの速度および位置を決定する、速度および位置アルゴリズムを適用するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記管状ステントの外面に被覆を塗布する際に使用する装置であって、該管状ステントは、軸方向連結要素によって接合される円筒形バンド要素を有し、ステップ(e1)において前記制御ユニットによって適用される前記経路トラバースアルゴリズムは、経路を決定するように動作可能であり、該経路によって、選択された数のパスにおいて、該ステント骨格要素が前記ディスペンサヘッドによってトラバースされることができ、その結果、全ての該ステント骨格要素が少なくとも一度トラバースされ、該ステントの連結およびバンド要素が異なる数のパスによってトラバースされ得る、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
ステップ(e1)において前記制御ユニットによって実行される前記経路トラバースアルゴリズムは、前記決定された経路の全長および分注される体積を決定するように動作可能であり、前記速度および位置アルゴリズムは、被覆材料の前記事前選択された量が塗布されるように決定される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、管状ステントの外面にそのような被覆を塗布する際に使用され、該管状ステントは、前記ディスペンサヘッドの幅より大きい幅を有する実質的に直線状の支柱骨格要素を有し、ステップ(e1)において前記制御ユニットによって実行される前記速度および位置アルゴリズムは、異なるパスに対して、そのような支柱の幅の中心線に対する前記分注ヘッドの位置を決定するように動作可能であり、その結果、被覆がいくつかのパスの進行中に該支柱の該幅全体にわたって塗布される、装置。
【請求項10】
ステップ(e1)において前記制御ユニットによって実行される前記速度および位置アルゴリズムは、前記ステント要素の前記幅中心線に対する前記分注ヘッドの前記位置を決定するように動作可能であり、その結果、異なるパスに対して、上部ステント要素表面に塗布される被覆材料の量の50%〜100%の所望量で、該ステント要素の側面上への被覆材料溢出を生成して、前記被覆が前記支柱の前記幅全体にわたって塗布される、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
請求項6に記載の装置であって、管状ステントの外面にそのような被覆を塗布する際に使用され、該管状ステントは、湾曲したクラウン骨格要素を有し、ステップ(e1)において前記制御ユニットによって実行される前記速度および位置アルゴリズムは、前記分注ヘッドの移動の速度を制御するように動作可能であり、その結果、クラウン要素の幅中心線に対する前記分注ヘッドの位置を決定し、ならびに、横方向に隣接するクラウン要素の間の材料被覆架橋およびクラウン要素の内側縁部領域にわたるメニスカス形成の潜在性を最小化する、装置。
【請求項12】
請求項6に記載の装置であって、管状ステントの外面にそのような被覆を塗布する際に使用され、該管状ステントは、実質的に湾曲したクラウン要素によって接続される実質的に直線状の支柱骨格要素を有し、ステップ(e1)において前記制御ユニットによって実行される前記速度および位置アルゴリズムは、軌跡の局所曲率に依存するディスペンサヘッド速度を決定するように適用される、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、接続連結要素も有する管状ステントの外面にそのような被覆を塗布する際に使用され、ステップ(e1)において前記制御ユニットによって実行される前記速度および位置アルゴリズムは、該連結要素について独立したディスペンサ速度を決定するように動作可能である、装置。
【請求項14】
ステントの外面上に被覆を塗布する自動方法であって、該ステントの管状構造が連結された骨格要素から成り、
(a)そのようなステントの画像を処理することにより、(a1)該ステント骨格要素に沿う経路であって、該経路によって、回転支持要素に固定されるステントは、軸方向に回転させられ、支持体に対して該支持体の軸に沿って直線的に移動するディスペンサヘッドに対して平行移動させられることができ、その結果、該ステント骨格要素のうちのいくつかまたは全てがトラバースされる、経路、(a2)該経路がトラバースされる際の分注ヘッドと該支持要素との相対速度、および(a3)該経路がトラバースされる際の該ステント要素の中心線に対する該ディスペンサヘッドの位置を、決定することと、
(b)該支持要素の回転速度を制御する第1の電気機械デバイス、および該支持要素軸に沿う該支持要素に対する該分注ヘッドの相対直線運動を制御する第2の電気機械デバイスを同期して作動させることにより、ステップ(a)において決定される該経路に沿って、該相対速度および位置で該支持要素に対して該分注ヘッドを移動させる、ことと
を含む、方法。
【請求項15】
ステップ(a1)は、(i)前記ステント要素によって占有される領域を決定する、セグメンテーションアルゴリズム、(ii)前記ステント骨格要素の交点を決定する、細線化アルゴリズム、(iii)該骨格要素に沿う経路を決定する、経路トラバースアルゴリズム、および(iv)該経路に沿って移動するにつれて、マンドレルに対する前記ディスペンサヘッドの速度および位置を決定する、速度および位置アルゴリズム、を適用するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記経路トラバースアルゴリズムを適用することは、経路を決定するように動作可能であり、該経路によって、前記ステント骨格要素は、該骨格要素の所与の部分にわたる選択された数のパスにおいて、前記ディスペンサヘッドによってトラバースされることができ、その結果、全ての該ステント骨格要素が少なくとも一度トラバースされ、前記ステントの連結およびバンド要素が異なる回数だけトラバースされ得る、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記経路トラバースアルゴリズムは、前記決定された経路の全長および分注される体積を決定するように動作可能であり、前記速度および位置アルゴリズムは、被覆材料の前記事前選択された量が塗布されるように決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、管状ステントの外面にそのような被覆を塗布する際に使用され、該管状ステントは、前記ディスペンサヘッドの幅より大きい幅を有する実質的に直線状の支柱骨格要素を有し、前記速度および位置アルゴリズムは、異なるパスに対して、そのような支柱の幅中心線に対する前記分注ヘッドの位置を決定するように動作可能であり、その結果、被覆が、いくつかのパスの進行中に該支柱の該幅全体にわたって塗布される、方法。
【請求項19】
ステップ(e1)において前記制御ユニットによって実行される前記速度および位置アルゴリズムは、前記ステント要素の前記幅中心線に対する前記分注ヘッドの前記位置を決定するように動作可能であり、その結果、異なるパスに対して、上部ステント要素表面に塗布される被覆材料の量の50%〜100%の所望量で、該ステント要素の側面上への被覆材料溢出を生成して、前記被覆が前記支柱の前記幅全体にわたって塗布される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、管状ステントの外面にそのような被覆を塗布する際に使用され、該管状ステントは、湾曲したクラウン骨格要素を有し、前記速度および位置アルゴリズムは、クラウン要素の幅中心線に対する前記分注ヘッドの位置を決定するように、および前記支持要素に対する前記分注ヘッドの移動の速度を制御するように動作可能である、それにより、横方向に隣接するクラウン要素の間の材料被覆架橋およびクラウン要素の内側縁部領域にわたるメニスカス形成の潜在性を最小化する、方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法であって、管状ステントの外面にそのような被覆を塗布する際に使用され、該管状ステントは、実質的に円形のクラウン要素によって接続される実質的に直線状の支柱骨格要素を有し、前記速度および位置アルゴリズムは、軌跡の局所曲率に依存するディスペンサヘッド速度を決定するように動作可能である、方法。
【請求項22】
請求項15に記載の方法であって、接続連結要素も有する管状ステントの外面に、そのような被覆を塗布する際に使用され、前記速度および位置アルゴリズムは、該連結要素に対して独立したディスペンサ速度を決定するように動作可能である、方法。
【請求項23】
電子コンピュータを制御するために使用される時に、請求項13の方法を実行するように動作可能である、コンピュータ可読コード。
【請求項24】
被覆された血管内ステントであって、
外面、側面、および内面を有する連結された骨格要素から成る、管状構造と、
ステント要素の上面および側面を覆う被覆の選択された量であって、該要素の該側面を覆う被覆の体積は、該要素の該上面を覆う被覆の体積の50%〜100%の範囲の選択された量である、選択された量と
を含む、血管内ステント。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−502723(P2011−502723A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534252(P2010−534252)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083700
【国際公開番号】WO2009/065087
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(504395257)バイオセンサーズ インターナショナル グループ、リミテッド (16)
【Fターム(参考)】