説明

自動貸金庫装置

【課題】格納棚に対して金庫ボックスを出し入れする搬送機構に対するケーブルの配索構造をコンパクト化すること。
【解決手段】格納部13を複数有する格納棚12の前方走行路Rに沿って走行可能な棚側搬送機構部40と、複数のコマ部材72が所定の屈曲範囲内で屈曲可能に線状に連結され、その一端部が棚側搬送機構部40に連結されると共にその他端部が固定端とされたケーブルガイド70と、ケーブルガイド70に沿って配設され棚側搬送機構部40に接続されたケーブル80とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金庫ボックスを自動で出し入れする自動貸金庫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動貸金庫装置として特許文献1に開示のものがある。特許文献1には、対向する棚装置間に走行自在にスタッカークレーンを設け、当該スタッカークレーンを用いて棚装置に格納された収納箱を出し入れする構成が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−227271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記スタッカークレーンには、走行用の電力を供給するための給電ケーブルを接続する必要がある。
【0005】
このようなケーブルの配索方法としては、ケーブルをスタッカークレーンの上方で吊すように支持し、かつ、その支持部分をスタッカークレーンの走行方向に沿って移動自在にする構成等が考えられる。
【0006】
しかしながら、上記のようにケーブルをスタッカークレーンの上方に吊す構成では、ケーブルの配置スペースが大きくなってしまうため、棚間の間隔を大きくする必要がある等、自動貸金庫装置全体の大型化を招く要因となってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、格納棚に対して金庫ボックスを出し入れする搬送機構に対するケーブルの配索構造をコンパクト化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る自動貸金庫装置は、金庫ボックスを格納可能な格納部を複数有する格納棚と、金庫利用者が金庫ボックスに対して物品を出し入れするためのブース台と、前記各格納部に対して金庫ボックスを出し入れ可能な位置と前記ブース台に対して金庫ボックスを搬出入可能な位置との間で往復移動するように走行可能な走行式搬送機構部と、複数のコマ部材が所定の屈曲範囲内で屈曲可能に線状に連結され、その一端部が前記走行搬送機構部に連結されると共にその他端部が固定端とされた状態で前記走行式搬送機構部の走行路に沿って配設されたケーブルガイドと、前記ケーブルガイドに沿って配設され前記走行搬送機構部に接続されたケーブルと、を備えている。
【0009】
第2の態様に係る自動貸金庫装置は、第1の態様に係る自動貸金庫装置であって、前記ケーブルガイドは、前記複数のコマ部材が直線状態から一方向に所定の屈曲範囲内で屈曲可能に連結され、前記走行搬送機構部の走行に伴って屈曲部分が変位すると共にその屈曲部分から一端側部分及び他端側部分が略平行姿勢に配設される態様で配設されているものである。
【0010】
第3の態様に係る自動貸金庫装置は、第1又は第2の態様に係る自動貸金庫装置であって、前記ケーブルガイドの固定端側部分が、前記走行搬送機構部の走行路である床面上に配設されているものである。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様に係る自動貸金庫装置によると、走行式搬送機構部の走行移動に際して、ケーブルは走行路に沿って配設されたケーブルガイドによって屈曲態様が規制されている。このため、ケーブルの配索構造をコンパクト化することができる。
【0012】
第2の態様に係る自動貸金庫装置によると、前記走行搬送機構部の走行に伴って屈曲部分が変位すると共にその屈曲部分から一端側部分及び他端側部分が略平行姿勢に配設される態様とされるため、ケーブルの配索構造をコンパクト化することができる。
【0013】
第3の態様によると、前記ケーブルガイドの固定端側部分が、前記走行搬送機構部の走行路である床面上に配設されているため、ケーブル及びケーブルガイドの施工性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施形態に係る自動貸金庫装置について説明する。
【0015】
<全体構成>
まず、自動貸金庫装置の全体構成について説明する。図1は自動貸金庫装置10を示す概略斜視図であり、図2は同貸金庫装置10を示す概略側面図であり、図3は同貸金庫装置10を示す概略平面図である。
【0016】
この自動貸金庫装置10は、一対の格納棚12と、ブース台20と、ブース側搬送機構部30と、棚側搬送機構部40と、移載ユニット60とを備えている。この自動貸金庫装置10では、上記一対の格納棚12に格納された金庫ボックス90が、移載ユニット60及び棚側搬送機構部40、さらに、ブース側搬送機構部30を介してブース台20に搬送される。これにより、利用者は、当該ブース台20において金庫ボックス90に対する物品(通常は、貴重品)等の出し入れを行う。また、利用者による金庫ボックス90の利用終了後、ブース台20に位置する金庫ボックス90が、ブース側搬送機構部30、さらに棚側搬送機構部40及び移載ユニット60を介して一対の格納棚12に格納される。
【0017】
格納棚12は、金庫ボックス90を格納可能な格納部13を複数有している。ここでは、格納棚12は、適宜間隔を有して立設された複数の棚支柱に、複数の棚板が略水平面に沿った姿勢で鉛直方向に間隔をあけて多段に配設固定された構成とされている。これにより、棚支柱及び棚段によって画される略直方体空間が、金庫ボックス90を格納可能な格納部13として、縦横に並ぶようにして複数構成されている。もっとも、格納棚12は、上記構成に限られず、複数の棒状部材を組合わせた骨組状のフレーム構造によって構成されていてもよい。要するに、格納棚は、金庫ボックスを格納可能な格納部を複数有していればよい。かかる格納棚12は、平面視において所定方向に長い長尺状、より具体的には、所定方向に長い長方形状を呈している。
【0018】
一対の格納棚12は、その長手方向を一方向に揃えた姿勢で、間隔を有して対向配置されている。換言すれば、一対の格納棚12は、間隔を有して並列状に配設されている。一対の格納棚12間には、棚側搬送機構部40及び移載ユニット60を配設可能な幅の隙間が形成されている。この隙間が、棚側搬送機構部40が走行可能な空間であり、当該隙間の底面が棚側搬送機構部40が走行可能な走行路である。
【0019】
この一対の格納棚12は、通常、立入りを管理された管理エリア、より具体的には、周囲が金庫壁によって取囲まれた金庫室18内に設置される。
【0020】
もっとも、上記一対の格納棚12は、必須ではなく、格納棚12は一つであってもよい。格納棚12の一方側(通常は前方)に、棚側搬送機構部40が走行可能な空間及び走行路が形成されていればよい。
【0021】
また、金庫室18の近傍、ここでは、金庫室18に隣接して利用ブース28が設けられており、この利用ブース28内にブース台20が設けられている。ここで、利用ブース28は、通常、立入りを管理された管理エリアであり、より具体的には、周囲がブース壁によって囲まれると共に施錠可能な扉29を通じて入退室可能なエリアである。この利用ブース28と金庫室18との間も、仕切壁19によって仕切られている。
【0022】
ブース台20は、上部に天板22を有する略筺状に形成されている。天板22には、略方形状の天板開口23が形成されており、ブース台20内部の金庫ボックス90が、当該天板開口23を通じて天板22に突出するように配設される。このように、ブース台20の天板22に突出するように金庫ボックス90が配設されることで、金庫の利用者は金庫ボックス90に対して物品の出し入れを行えるようになる。なお、上記天板開口23は、その内部に金庫ボックス90が配設されていない状態では、開閉自在な蓋によって塞がれていることが好ましい。
【0023】
また、ブース台20の内部空間は、上記仕切壁19を貫通して金庫室18内に連通しており、金庫室18内の金庫ボックス90はその連通部分を経由してブース台20内に搬送される。
【0024】
また、移載ユニット60は、一対の格納棚12の双方に対して金庫ボックス90を移載可能に構成されている。そして、移載ユニット60が各格納棚12のいずれかの格納部13と対向する位置に配設された状態で、当該対向する格納部13に格納された金庫ボックス90を自己に取込むように移載して載置状に支持し、或は、自己に載置状に支持した金庫ボックス90を対向する格納部13に送込むように移載して当該格納部13に載置状に格納する。この移載ユニット60が金庫ボックス90を移載する構成は、爪状部分を格納部13に対して進退移動させて当該爪状部分を金庫ボックス90に係合させるようにして引込み或は押出す構成、或は、フォーク状部分を格納部13に対して進退移動させて当該フォーク状部分で金庫ボックス90を持上げるようにして移載する構成等、周知構成を含む種々構成を採用することができる。
【0025】
棚側搬送機構部40は、上記移載ユニット60を、一対の格納棚12の任意の格納部13に対向させる位置と、ブース側搬送機構部30に対向させる位置との間で移動させるように構成されている。
【0026】
より具体的には、棚側搬送機構部40は、走行機構部42と、昇降機構部50とを備えている。
【0027】
走行機構部42は、一対の格納棚12間の隙間の延在方向に沿って、当該一対の格納棚12の各格納部13に対向する位置とブース側搬送機構部30に対向する位置との間で往復移動するように走行可能に構成されている。このような走行機構部42としては、モータ等の回転駆動によって車輪を回転させることで走行する機構等を採用することができる。
【0028】
昇降機構部50は、移載ユニット60を、格納棚12の最下段の格納部13と最上段の格納部13との間で昇降移動させ、当該移載ユニット60を、各段の格納部13及びブース側搬送機構部30に対向する各位置に昇降移動させるように構成されている。このような昇降機構部50としては、例えば、移載ユニット60を一対の支柱52によって昇降移動可能に支持し、一方の支柱52の上下端部に設けられた一対の歯車に環状ベルト(環状チェーン等)を巻掛け、移載ユニット60を一対の歯車体間で環状ベルトに連結し、一方の歯車体をモータ等の駆動部で回転させることで、環状ベルトを回転させて、移載ユニット60を昇降移動させる構成を採用することができる。昇降機構部50としては、上記の他、リニアモータを用いた構成であってもよいし、つり合いおもりを用いたトラクション式の機構において滑車部分をモータで駆動して移載ユニット60を昇降させる構成であってもよい。
【0029】
本実施形態では、上記棚側搬送機構部40が、各格納部13に対して金庫ボックス90を出し入れ可能な位置とブース台20に対して金庫ボックス90を搬出入可能な位置との間で往復移動するように走行可能な走行式搬送機構部である。
【0030】
ブース側搬送機構部30は、上記棚側搬送機構部40との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されると共に、金庫ボックス90をブース台20に対して搬出入可能に構成されている。より具体的には、ブース側搬送機構部30は、ブース側水平移動部32と、ブース側昇降移動部36とを有している。ブース側水平移動部32は、一方の格納部13の一側部とブース台20内のブース側昇降移動部36との間に配設されている。ブース側水平移動部32は、一方の格納棚12の外側方位置で移載ユニット60との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されると共に、一方の格納棚12の外側方位置とブース側昇降移動部36と隣接する位置との間で金庫ボックス90を往復移動させるように構成されている。このようなブース側水平移動部32としては、複数のローラが所定方向に沿って適宜間隔をあけて略並列姿勢で回転可能に支持されると共に、当該ローラがモータ等の駆動により搬送方向に沿って回転駆動されるようにしたコンベア等、周知の水平移動機構を含む種々構成を採用することができる。ブース側昇降移動部36は、ブース側昇降移動部36は、ブース台20内部であって天板開口23の下方に設けられており、上記ブース側水平移動部32から金庫ボックス90が移載されると、当該金庫ボックス90を天板開口23から突出させるように上昇させると共に、天板開口23から突出する金庫ボックス90をブース側水平移動部32に移載可能な位置に下降させるように構成されている。このようなブース側昇降移動部36としては、上記昇降機構部50と同様に、モータと環状ベルト等を利用した構成、リニアモータを用いた構成等、周知技術を含む種々の昇降機構を採用することができる。
【0031】
なお、ブース側水平移動部32とブース側昇降移動部36と間における金庫ボックス90の移載は、別途、モータ等の駆動により金庫ボックス90を押圧移動させるプッシャー機構を設け、当該プッシャー機構の駆動によって行ってもよいし、或は、ブース側昇降移動部36にブース側水平移動部32と同様のコンベアを設け、当該コンベアとブース側水平移動部32との協動的な搬送動作により行われるものであってもよい。ここでは、後者の例で説明する。
【0032】
もっとも、ブース側昇降移動部36を省略し、ブース側水平移動部32による金庫ボックス90の移動動作によって金庫ボックス90が天板開口23の下方位置に配設され、当該位置で利用者が金庫ボックス90を利用可能な構成であってもよい。また、ブース側水平移動部32が省略され、棚側搬送機構部40とブース側昇降移動部36との間で直接的に金庫ボックス90が移載される構成であってもよい。また、ブース側搬送機構部30が省略され、棚側搬送機構部40によって直接的にブース台20に対して金庫ボックス90が搬出入される構成であってもよい。
【0033】
また、この自動貸金庫装置10は、制御ユニット96と入力部98とを備えている。入力部98は、キーボード、タッチパネル等、本自動貸金庫装置10に対する諸指示を受付け可能に構成されており、受付けた諸指示を制御ユニット96に入力可能なように当該制御ユニット96に接続されている。入力部98は、利用ブース28内に設けられていてもよいし、別箇所に設けられていてもよい。制御ユニット96は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、上記ブース側搬送機構部30と棚側搬送機構部40と移載ユニット60とのそれぞれに対して諸動作指令を付与可能に接続されている。そして、この制御ユニット96は、予め格納されたソフトウエアプログラム及び入力部98を通じて入力された諸指示に従って、次述するように、本自動貸金庫装置10の全体動作を制御する。
【0034】
この自動貸金庫装置10による金庫ボックス90の出し入れ動作について説明する。
【0035】
まず、一対の格納棚12の各格納部13にそれぞれ金庫ボックス90が格納されている。なお、金庫ボックス90を各格納棚12に格納するに際して、各格納部13の位置と金庫ボックス90の特定情報とを対応づけた格納位置情報が作成され、当該格納位置情報が制御ユニット96の記憶部又は当該制御ユニット96からアクセス可能な記憶部に記憶されている。
【0036】
この状態で、入力部98に対して所定の金庫ボックス90の特定情報及び当該金庫ボックス90を利用したい旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。すると、制御ユニット96は、格納位置情報を参照して特定された金庫ボックス90が存在する格納部13の位置を特定し、当該特定された格納部13に対向する位置に移載ユニット60を移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット60は当該特定された格納部13に対向する位置に移動する。この状態で、制御ユニット96から移載ユニット60に金庫ボックス90の取込み指令が与えられ、移載ユニット60は特定された格納部13から金庫ボックス90を取込むようにして移載動作を行う(図3の矢符P1参照)。
【0037】
上記動作が終了すると、制御ユニット96は、移載ユニット60をブース側水平移動部32と対向する位置に移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット60は、一方の格納棚12の外側方位置で、ブース側水平移動部32と対向する位置に配設される(図3の矢符P2参照)。この状態で、制御ユニット96から移載ユニット60に金庫ボックス90の送出し指令が与えられ、移載ユニット60は、自己に載置された金庫ボックス90をブース側水平移動部32に送込むようにして移載動作を行う(図3の矢符P3参照)。
【0038】
上記移載動作が完了すると、制御ユニット96からブース側水平移動部32及びブース側昇降移動部36に金庫ボックス90をブース台20側へ搬送する指令が与えられ、ブース側水平移動部32及びブース側昇降移動部36は金庫ボックス90を搬送してブース側昇降移動部36に送込む(図2及び図3の矢符P4参照)。金庫ボックス90がブース側昇降移動部36に移載されると、制御ユニット96からブース側昇降移動部36に金庫ボックス90を上昇させる旨の指令が与えられ、ブース側昇降移動部36は金庫ボックス90を上昇させる(図2の矢符P5参照)。これにより、金庫ボックス90は略方形の天板開口23から突出するようにしてブース台20に配設される。そして、利用者は、当該金庫ボックス90を、自己に貸与された鍵等を用いて解錠し、蓋を開いて利用することができる。
【0039】
金庫ボックス90を格納部13に格納する場合には、上記とは逆の動作が行われる。
【0040】
すなわち、利用者が金庫ボックス90の利用終了後、蓋を閉じて施錠した後、入力部98に対して金庫ボックス90を格納する旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。
【0041】
格納指示入力後、制御ユニット96による制御下、ブース側昇降移動部36が金庫ボックス90を下降移動させ、その後、ブース側昇降移動部36及びブース側水平移動部32は金庫ボックス90をブース側昇降移動部36から一方の格納棚12の外側方位置に搬送する。
【0042】
この後、制御ユニット96による制御下、棚側搬送機構部40は、移載ユニット60をブース側水平移動部32と対向する位置に移動させ、続いて、移載ユニット60はブース側水平移動部32上の金庫ボックス90を取込むように移載する。続いて、棚側搬送機構部40は、移載ユニット60を、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動させる。金庫ボックス90を格納すべき格納部13の位置は、取出し前に格納されていた位置であってもよいし、他の空き位置であってもよい。後者の場合、格納位置情報を当該格納位置に合わせて更新するとよい。そして、移載ユニット60は、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動した状態で、自己に載置された金庫ボックス90を当該格納部13に送込むようにして移載する。これにより、金庫ボックス90が格納部13に格納され、動作を終了する。
【0043】
<棚側搬送機構部40に対するケーブル配索構造について>
上記棚側搬送機構部40に対するケーブル配索構造について説明する。
【0044】
図4はケーブル配索構造を示す要部概略正面図であり、図5はケーブル配索構造を示す要部概略側面図であり、図6は図5とは異なる状態においてケーブル配索構造を示す要部概略側面図であり、図7はケーブルガイド及びケーブルを示す概略側面図であり、図8は図7のVIII−VIII線概略断面図である。
【0045】
すなわち、上記棚側搬送機構部40には、走行機構部42を走行駆動するためのモータ、昇降機構部50を昇降駆動するためのモータ等に対して給電するための給電ケーブルが接続される。また、それらに対する制御信号を送信するための信号用ケーブルも接続され、さらに、走行機構部42及び昇降機構部50の各種動作状況を検出し、その検出状況に基づいた制御を行う場合には、当該検出信号を伝送するための信号用ケーブルも接続される。さらに、必要に応じて、移載ユニット60に対する給電ケーブル及び信号用ケーブルも接続される。
【0046】
ここでは、それらの給電ケーブル及び信号用ケーブルを配索するための構造について説明する。
【0047】
上記棚側搬送機構部40の走行機構部42には、走行ベース43に対して車輪44が回転可能に取付けられており、モータの駆動によって車輪を回転駆動することによって、走行機構部42が走行路Rに沿って往復走行可能とされている。車輪44は走行路Rを走行するものであっても、レール上を走行するものであってもよい。
【0048】
ケーブル配索構造は、ケーブルガイド70とケーブル80とを備えている。
【0049】
ケーブル80は、モータ等の各種駆動源等に対する給電ケーブルを含み、さらには、制御信号及び検出信号等を伝送するための信号用ケーブルを含む。ここでは、特に必要が無い限り、これらの各種ケーブルを束ねたものを、ケーブル80と総称する。もっとも、制御信号及び検出信号については、無線方式で伝送されてもよい。つまり、ケーブル80は、少なくとも給電ケーブルを含んでいればよい。
【0050】
ケーブルガイド70は、いわゆるケーブルベアと呼ばれるものであり、複数のコマ部材72が所定の屈曲範囲内で屈曲可能に線状に連結されており、全体的な屈曲変化態様が所定態様に制限されている。より具体的には、コマ部材72は、一対の側辺73と、一対の側辺73同士を側縁部で間隔をあけて連結する連結片73a,73bとを有している。また、コマ部材72の一対の側辺の端部同士が軸部73cを介して一軸周りに屈曲可能に連結されている。複数のコマ部材72が線状に数珠つなぎ状に連結されることで、所定平面において屈曲可能な構成とされている。また、コマ部材72が直線状に配設された状態で、一対の側辺73の一端部の外周部が一方の連結片73aと当接可能に構成されると共に、コマ部材72が所定方向に所定角度で屈曲された状態で一対の側辺73の一端部の外周部が他方の連結片73aと当接可能に構成されている(図7参照)。これにより、ケーブルガイド70は、複数のコマ部材72が直線状態から一方向にのみ所定の屈曲範囲内で屈曲可能な構成とされている。コマ部材72同士の屈曲範囲を制限する構成は本例に限らず、その他各種部分を所定の屈曲状態で当接させるように形成することで実現することができる。
【0051】
また、上記各コマ部材72には、一対の側辺73と一対の連結片73a,73bとで囲まれる空間によってケーブル80を挿通可能な空間が形成されている。そして、複数のコマ部材72が上記のように線状に連なることによって、当該複数のコマ部材72が連なる方向に沿って、ケーブル80を挿通可能な線状空間が形成される。
【0052】
上記ケーブルガイド70の配設態様は次の通りである。すなわち、ケーブルガイド70は、走行機構部42の走行路Rに沿って配設されている。より具体的には、走行機構部42が実際に走行する経路と一方側の格納棚12との間に配設されている。ケーブルガイド70の一端部は走行機構部42の一側部にブラケット42aを介して連結固定されている。より具体的には、ケーブルガイド70の一端部は略水平姿勢でブラケット42aに取付固定されている。また、ケーブルガイド70の他端部は、走行路Rの一端部において略水平姿勢で取付固定された固定端70aとされている。固定端70aの固定はねじ止によって行われてもよいし、その他の係合構造、接着剤等で行われてもよい。コマ部材72の屈曲可能角度に従って決定されるケーブル80の屈曲半径がrであるとすると、ケーブルガイド70の一端部の固定位置と他端部の固定位置との高低差は、実質的に寸法2rとするとよい。また、ケーブルガイド70の一端部の延在方向と他端部の延在方向とは略同一方向に揃えられている。つまり、ケーブルガイド70の長手方向中間部は、それぞれの固定端部から同一方向に向けて延出している。また、ケーブルガイド70の長さ寸法は、走行機構部42の最大移動距離よりも長い寸法に設定されている。
【0053】
そして、上記ケーブル80がケーブルガイド70内に挿通されることによって、ケーブル80がケーブルガイド70に沿って配設されて当該ケーブルガイド70の屈曲態様に従って屈曲する構成とされている。なお、ケーブルガイド70に挿通されたケーブル80の一端部は、ケーブルガイド70の一端部から延出されて棚側搬送機構部40側の各種電気部品に接続され、同ケーブル80の他端部はケーブルガイド70の他端部から引出されて固定位置に配設された電源97及び制御ユニット96に適宜接続される。
【0054】
上記ケーブルガイド70は、走行機構部42の位置及び走行状態に応じて次のように屈曲変形する。すなわち、走行機構部42が、ケーブルガイド70の固定端70aから最も離れた位置に配設された状態では、ケーブルガイド70の大部分が走行路Rに沿ってかつ床面上に直線状に延在する。また、ケーブルガイド70のうち走行機構部42に近い一端側部分が略U字状に折返されるように屈曲されると共に、その屈曲部分よりも前記一端側部分が前記固定端70a側部分と略平行に姿勢に配設された状態となる(図5参照)。この状態から走行機構部42がケーブルガイド70の固定端70aに近い位置に移動すると、ケーブルガイド70の略U字状屈曲部分が前記固定端70aに近い位置に順次変位し、その屈曲部分よりも前記固定端70a側部分が順次短くなると共にその屈曲部分よりも前記一方端側部分が順次長くなる。この状態でも、複数のコマ部材72が所定方向に所定角度で屈曲するように制限されているので、屈曲部分よりも前記一端側部分と屈曲部分よりも前記固定端70a側部分とが略平行姿勢に配設された状態が維持され、ケーブルガイド70の両端部分間での干渉は抑制されている。このように、ケーブルガイド70は、走行機構部42の走行に伴って屈曲部分が変位すると共にその屈曲部分から前記一端側部分及び前記固定端70a側部分が略平行姿勢に配設される態様で、つまり、全体的に見て略U字状形態の直線部分の長さを変えるような態様で変形する態様で設けられている。
【0055】
このため、走行機構部42の位置及び走行状態に拘らず、ケーブルガイド70及びケーブルガイド70は、ケーブルガイド70の屈曲態様によって規制される空間内に配設されることになる。
【0056】
以上のように構成された自動貸金庫装置10によると、棚側搬送機構部40の走行移動に際して、ケーブル80はケーブルガイド70によって屈曲態様が規制されている。より具体的には、棚側搬送機構部40の走行に伴って屈曲部分が変位すると共にその屈曲部分から一端側部分及び他端側の固定端側部分が略平行姿勢に配設される態様に規制されている。このため、ケーブル80の配索構造をコンパクト化できる。
【0057】
これにより、自動貸金庫装置10全体の小型化も実現できる。また、メンテナンス時等に作業者が走行路Rに進入する際、ケーブル80が邪魔になり難いという利点もある。
【0058】
また、ケーブルガイド70の固定端70a側部分が走行路Rに沿って配設されているため、天井側等に配索する場合と比べて、ケーブル80及びケーブルガイド70の施工性に優れる。
【0059】
もっとも、ケーブル80及びケーブルガイド70の設置位置は、床面等の走行路Rである必要はなく、格納棚12の上方部分或は上下方向中間部分等であってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、ケーブルガイド70は鉛直面内で屈曲するように配設されているが、水平面内で屈曲するように配設されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】自動貸金庫装置を示す概略斜視図である。
【図2】同上の貸金庫装置を示す概略側面図である。
【図3】同上の貸金庫装置を示す概略平面図である。
【図4】ケーブル配索構造を示す要部概略正面図である。
【図5】ケーブル配索構造を示す要部概略側面図である。
【図6】ケーブル配索構造を示す要部概略側面図である。
【図7】ケーブルガイド及びケーブルを示す概略側面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線概略断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 自動貸金庫装置
12 格納棚
13 格納部
20 ブース台
40 棚側搬送機構部
42 走行機構部
60 移載ユニット
70 ケーブルガイド
70a 固定端
72 コマ部材
80 ケーブル
90 金庫ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金庫ボックスを格納可能な格納部を複数有する格納棚と、
金庫利用者が金庫ボックスに対して物品を出し入れするためのブース台と、
前記各格納部に対して金庫ボックスを出し入れ可能な位置と前記ブース台に対して金庫ボックスを搬出入可能な位置との間で往復移動するように走行可能な走行式搬送機構部と、
複数のコマ部材が所定の屈曲範囲内で屈曲可能に線状に連結され、その一端部が前記走行搬送機構部に連結されると共にその他端部が固定端とされた状態で前記走行式搬送機構部の走行路に沿って配設されたケーブルガイドと、
前記ケーブルガイドに沿って配設され前記走行搬送機構部に接続されたケーブルと、
を備えた自動貸金庫装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動貸金庫装置であって、
前記ケーブルガイドは、前記複数のコマ部材が直線状態から一方向に所定の屈曲範囲内で屈曲可能に連結され、前記走行搬送機構部の走行に伴って屈曲部分が変位すると共にその屈曲部分から一端側部分及び他端側部分が略平行姿勢に配設される態様で配設されている、自動貸金庫装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の自動貸金庫装置であって、
前記ケーブルガイドの固定端側部分が、前記走行搬送機構部の走行路である床面上に配設されている、自動貸金庫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−150750(P2010−150750A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327017(P2008−327017)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】