説明

自動路面切削装置、とくには大型の切削装置

【課題】汎用性が高く、操縦性が良い自動路面切削装置を提供する。
【解決手段】フロントアクスル2及びリアアクスル3を備える車台と、上記車台によって支持され横外壁5a、5bを有している装置フレーム4と、上記装置フレーム4に支持され、一方の端面がきわまでの切削のためにゼロ側と呼ばれる上記装置フレーム4の外側まで達している切削ドラム6と、運転者のためのプラットフォーム15を有する運転者ステーション10とを備えている路面8を切削するための自動路面切削装置1。走行方向について見たときに装置運転者の上記プラットフォーム15の前方の上記ゼロ側に位置する上記装置フレーム4の一部分が、垂直方向に延びかつ外側、下側、及び上側に向かって開いている凹所16として形成される様相で内側へと引っ込められており、上記凹所16が、下方かつ走行方向について見たときの前方に向かって広がっている自動路面切削装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および12のそれぞれのプリアンブル部に記載の自動路面切削装置、とくには大型の自動路面切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような路面切削装置は、基本的には、すでに知られている。切削ドラムが車台のリアアクスルの高さにおいて後輪の間に位置している小型の切削装置において、旋回する後ろの支持輪または履帯ユニットを受け入れることができる凹所を、装置のゼロ側(zero side)の横外壁に設けることが知られている。
【0003】
例えば1200mmを超える切削幅を有する路面切削装置は、大型切削装置と呼ばれる。そのような路面切削装置は、大きな重量を有しているため、通常は、履帯ユニットを備える車台によって保持される。切削ドラムは、フロントアクスルおよびリアアクスルの履帯ユニットの間で、フロントアクスルおよびリアアクスルの履帯ユニットから離して、装置フレームに取り付けられている。
【0004】
大型の切削装置においては、旋回する後輪または旋回する後ろ履帯ユニットが設けられていないため、通常は凹所が設けられていない。すなわち、大型の切削装置において装置フレームに凹所を設ける理由が存在しない。
【0005】
大型の切削装置は、これまでのところ、とくには操縦性に乏しいという理由で、大きな表面の作業にのみ使用されており、大きなコーナー半径を有する道路のコーナーを道路の方向に従って作業することも可能にしている。
【0006】
大型の切削装置は、とくにはゼロ側に対して内側へと続く切削作業の場合に、装置運転者が、きついコーナー半径を有する所定のコーナーのラインに精密に従うことができないという欠点を抱えている。なぜならば、従うべきコーナーのラインが、装置フレームによって視界から遮られてしまうためである。さらには、所定のコーナーのラインに精密に従うことが、それがどちらの方向に続いているかにかかわらず、履帯ユニットが装置フレームの直下に位置しており、操舵の角度を視覚的に観察することができないという理由で困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、より汎用的に使用することが可能であって、操縦性が改善されてなる自動路面切削装置、とくには大型の切削装置を生み出すことが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1および12のそれぞれの特徴が、この目的に対する解決策を提供するように機能する。
【0009】
本発明は、好都合な様相で、好ましくは切削ドラムの軸が車台のフロントアクスルとリアアクスルとの間にフロントアクスルおよびリアアクスルから離して配置されている路面切削装置において、運転者ステーションのプラットフォームの前方のゼロ側の装置フレームに、下方かつ走行の方向について見たときの前方に向かって広がる凹所を設ける。
【0010】
本発明は、切削ドラムが前側および後ろ側のアクスルの履帯ユニットまたは車輪の間に配置されている路面切削装置において、とくには道路の左側を運転するとき、ゼロ側が走行の方向に関して装置の右側に位置する場合に、操縦性の改善を可能にする。下方かつ走行の方向について見たときの前方に向かって広がる凹所が、内側のきつい所定のコーナー半径への追従を可能にするだけでなく、車台のフロントアクスルの舵角を、走行の方向にかかわらず直接的に観察できるようにする。
【0011】
下方かつ走行方向について見たときの前方に向かって広がる凹所は、運転者ステーションの前方における装置の構造の容積の減少を、可能な限り少なくできるという利点を有している。これは、通常は水タンクが前部の上部構造に収容されており、したがって凹所によるタンク容積の減少が可能な限り少なくなるという理由で重要である。斜めに下方へと延びて前方に関する境界を定めている凹所の壁部分は、例えば、着席または起立している装置運転者の視野の角度が、依然として前側の履帯ユニットまたは車輪の操舵の状態を観察できるような様相で整列している。
【0012】
すなわち、凹所の境界を定めている壁部分が、装置運転者の視線の経路に従っている。このやり方で、一方では、装置運転者にとって視認性の向上がもたらされ、これが路面切削装置のより良好な操縦性につながり、他方では、タンクの容積が必要以上に小さくなることがない。
【0013】
これまでは、1000mmを超える切削幅を有する路面切削装置は、よりきついコーナー半径を実行することがほとんど不可能であり、したがって、そのようなコーナー半径は、例えば環状交差点の設備においてしばしば生じるが、別の専用の路面切削装置にて加工される必要があった。今や、本発明が、1000mmを超える切削幅を有する路面切削装置について操縦性の大幅な改善を可能にし、したがって、特定の道路工事作業のために別の路面切削装置を使用する必要がない。本発明は、1000〜2200mmの間、好ましくは1200mm〜1500mmの間の範囲の切削幅を有する路面切削装置においてとくに好都合であり、それらの適用可能性を拡大する。
【0014】
本発明のさらなる発展によれば、好都合な様相で、走行方向について見たときのアクスルの間にこれらのアクスルから離して配置される切削ドラムの上方の装置運転者の座席が、装置運転者の座席の一部分が少なくとも横外壁の前部を超えて横方向に突き出す様相で、横外壁に関して整列させられる。
【0015】
装置運転者のための座席をこのような外寄りの位置に配置することで、ゼロ側において、切削ドラムの前方の領域ならびに車台のフロントアクスルの支持輪または履帯ユニットの視認性が向上する。凹所の設計ゆえ、ゼロ側から出発して内側へと延びるマーキング・ラインにきわめて長い距離にわたって従うことができ、路面切削装置をそのようなマーキング・ラインに沿ってきわめて精密に操縦することができる。車台のフロントアクスルの操舵の位置を同時に観察できるという事実によって、操縦性がさらに向上する。
【0016】
装置運転者の座席について、走行の方向に延びるこの座席の垂直中心面は、横外壁の平面内を延びることができ、あるいは小さな横方向の距離にて横外壁に平行に隣接して延びることができる。
【0017】
凹所は、水平断面が走行の方向に基本的に平行に延びる内側壁部分を備えている。
【0018】
あるいは、上記内側壁部分が、走行の方向に対して斜めに延びてもよく、すなわち前縁から出発し、ゼロ側の切削ドラムの端面の垂直面に位置するドラム・ハウジングの点または後ろ側の外壁まで、斜めに延びることができる。
【0019】
前方に向かって上記内側壁部分に隣接して、凹所は、運転者ステーションからの水平面に対して斜めに、走行の方向において下方へと斜めに延び、ゼロ側に向かって横外壁の平面に交わる少なくとも1つの壁部分を備えることができる。
【0020】
さらに、この隣接の壁部分は、走行の方向に延びる垂直面に対しても斜めに、前方に向かって延びることができる。
【0021】
ハンドルを備える操舵コンソールを、装置運転者の座席の前方において、側面に沿って装置フレームに取り付けることができる。装置運転者の座席は、高さの調節が可能であってもよく、さらに/または運転者ステーションにおいて走行の方向に対して横方向に可動であってもよい。
【0022】
別の実施の形態においては、車台のリアアクスルを、ただ1つの支持輪またはただ1つの履帯ユニットのみによって形成することができる。
【0023】
運転者ステーションは、好ましくは、切削ドラムの軸の上方に配置される。
【0024】
本発明のさらなる発展においては、装置運転者が運転席に着座していても、例えばドラム・ハウジングの前側の切削ドラムのゼロ側の端面の垂直面のためのマーキングを観察できるミラーを、凹所の領域に配置することができる。ドラム・ハウジングの前側、あるいは例えば横板へも接続できる凹所内の他の任意の装置部分において、例えば1本または2本の垂直線で構成されるマーキングを、ドラム・ハウジングのゼロ側の端部の付近に塗布することができ、このマーキングが、切削ドラムのゼロ側の端面の位置を知らせることができる。手動または動力によって調節できるミラーによって、装置運転者は、運転者ステーションの座席に着座しているときに、上記マーキングおよび/またはドラム・ハウジングの前方の地面または路面の領域を観察することができる。
【0025】
同時に、凹所は、前側かつゼロ側の履帯ユニットを、着席位置においても依然として見ることができるように設計されている。好ましくは、ミラーを、装置運転者が着席位置にあるときにドラム・ハウジングの前縁ならびに路面のマーキング・ラインの両方を観察できるように、調節することができる。ゼロ側に面する履帯ユニットが、着席位置においても直接的に視認可能である。好ましいさらなる発展によれば、好ましくは凹所の前壁部分に配置されるミラーが、切削ドラムのゼロ側の端面の垂直面を切断しており、整列装置を介して地面または路面の所定のマーキング・ラインに一致させることができるマーキング、好ましくはマーキング・ラインを備えている。
【0026】
整列装置は、好ましくは地面または路面と平行に延びる直線装置で構成され、とくには、好ましくは外壁の部位の間で切削ドラムのゼロ側の端面の垂直面内を延び、あるいは好ましくは外壁の部位の間で切削ドラムのゼロ側の端面の垂直面を囲んでいるロープまたはロッドで構成されている。
【0027】
装置運転者は、路面切削装置の現在の操舵位置が地面の所定のマーキング・ラインに従っているか否かを、ミラーおよび整列装置によって確認することができる。そのようにするために、装置運転者は、ミラーのマーキングを整列装置を介して地面のマーキング・ラインに一致させる必要があり、その結果、路面切削装置が地面の所定の切削進路に従っているか否かを判断することができる。
【0028】
路面切削装置のまたさらなる発展においては、投影装置が、地面または路面の所定のマーキング・ラインに一致させるべき光マーキングを地面または路面へと投影し、この光マーキングが、装置フレームの位置に従って走行の方向について見たときのドラム・ハウジングの前方の切削ドラムのゼロ側の端面の切削縁の現在の設定によるさらなる進路を示している。これは、地面または路面のマーキングと光マーキングとが1つの同じ平面に位置するため、整列装置を必要としない。地面または路面のマーキングを、着席または起立位置においてミラーを介して直接的に互いに比較することができる。
【0029】
さらなる発展の好ましい実施の形態は、光マーキングが、走行駆動ユニットの現在の舵角に応じて切削縁のさらなる進路を示すことからなる。コンピュータが、後ろ側および前側の走行駆動ユニットの舵角に従って切削縁の進路を計算して、投影装置によって地面または路面に表示する。
【0030】
センサ装置が、所定のマーキング・ラインに対する光マーキングの位置を検出でき、その場合には、制御ユニットが、センサ装置からの信号に従って走行駆動ユニットの操舵を自動的に調節することができる。
【0031】
好ましくは、投影装置は、運転席またはプラットフォームに配置され、あるいは運転席またはプラットフォームの下方に配置される。
【0032】
以下で、本発明の実施の形態を、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1が、路面切削装置1を示しており、とくには装置フレーム4と、操舵可能なフロントアクスル2およびやはり操舵可能なリアアクスル3を備える車台とを有する大型の切削装置を示している。車台は、装置フレーム4の地面または路面8からの距離の調節を可能にする昇降支柱32を介して、装置フレーム4へと接続されている。
【0034】
この道路工事装置の前端には、高さおよび横方向の両方に旋回できる搬送コンベア48が、切削後の材料を運び去るために配置されている。
【0035】
車台のフロントアクスル2およびリアアクスル3を、それぞれ2つの履帯ユニット30および/または2つの車輪で構成することができる。
【0036】
装置フレーム4は、基本的に垂直かつ路面切削装置1の長手方向中心線に平行に延びる横外壁5a、5bを備えている。外壁は、厳密に垂直である必要はなく、路面切削装置1の長手方向中心線に絶対的に平行である必要はなく、わずかなずれが可能であることを理解すべきである。外壁は、好ましくは外壁の部位5a、5bを1つの同じ平面に位置させつつ、好ましくはただ1つの部品から製造される。
【0037】
地面または路面8を切削するための切削ドラム6が、切削ドラム軸7を装置フレーム4に支持させて、履帯ユニット30の間に配置されている。切削ドラム6の一方の端面が、ゼロ側12と呼ばれる装置フレーム4の外側まで達する一方で、切削ドラム6のための駆動装置は、装置フレーム4の反対側の外壁に配置されている。
【0038】
端部の保護として機能する高さ調節可能な横板40が、ゼロ側12に面している切削ドラム6の端面に、ドラム・ハウジング41に隣接して配置されている。
【0039】
好ましくは、切削ドラム6は、フロントアクスル2およびリアアクスル3の間の真ん中に配置されている。
【0040】
装置運転者のための座席14を備える運転者ステーション10が、ゼロ側12に配置され、切削ドラム6の上方に位置している。
【0041】
座席14は、好ましくは、座席14が外壁5a、5bに対して少なくとも部分的に横方向に突き出すような様相で、横外壁5a、5bに関して整列しており、これは、前側の外壁5aが後ろ側の外壁5bと1つの同じ平面にない場合には、とくに前側の外壁5aに関して当てはまる。
【0042】
座席14は、高さの調節が可能であり、さらに走行方向に対して横方向にスライドの様相で可動である。座席14は、走行方向に延びる自身の垂直な中央面を、横外壁5a、5bの平面に延在させることができ、あるいは小さな横方向の距離にて横外壁5a、5bに平行に隣接して延在させることができる。
【0043】
路面切削装置がゼロ側を柱などの障害物に沿わせて移動するとき、アームレスト42および操作パネル44を備える座席14を、障害物に可能な限り同一面の様相で沿った切削を可能にするため、スライドの様相で内側へと動かすことができる。
【0044】
制御パネル34および動作パラメータを設定するための装置36が、装置の中心の方向において運転者の座席に隣接して設けられている。
【0045】
操舵コンソール24が、ハンドル26の位置を調節可能にすべく水平軸を中心にして回転できるように、側面に沿って装置フレーム4に取り付けられている。運転者ステーション10に、装置運転者のための起立面としてプラットフォーム15が設けられており、このプラットフォーム15が、ゼロ側における切削ドラム6の前方のドラム・ハウジング41(とくには、切削ドラム6を囲んでいるドラム・ハウジング41の前側41a)の視認を改善するために、ゼロ側および後方に向かって斜めにされている。
【0046】
ドラム・ハウジング41の前側41aに、例えば、ゼロ側の切削ドラム6の端面の位置を装置運転者へと知らせる1本または2本の垂直線のマーキングを設けることができる。
【0047】
図2において、或る特定の切削深さにおける切削ドラム6の接触領域が、斜め線の領域によって例示されている。
【0048】
図1から最もよく見て取ることができるように、装置フレーム5に、前側の外壁5aのレベルにおいて凹所16が設けられており、壁の部位18および20が、路面切削装置の内側および前側に向かう上記凹所16の境界を定めている。装置運転者の運転者ステーション10からの視野の角度が、図1に描かれている。
【0049】
壁の部位20は、走行の方向について見たときの前方に向かって斜めに延び、外壁5aに交わっている。
【0050】
凹所16が、右前の履帯ユニットの観察を可能にし、したがって現在の舵角の観察を可能にしている。走行方向に対して横方向に延びる垂直面に対して、壁の部位20の上方から見たときの傾きの角度は、例えば20°〜50°の間、好ましくは30°〜40°の間であってもよい。
【0051】
内側の壁の部位18は、路面切削装置の長手方向中心線に基本的に平行に延びている。壁の部位18は、好ましくは垂直であるが、地面または路面8の方向において例えば最大で20°だけ内向きに垂直面から傾けられてもよい。さらに、前方に向かって壁の部位18に隣接する壁の部位20は、前方に向かって例えば120°±70°、好ましくは120°±10°の角度で、外壁5aに関して斜めに延びてもよい。
【0052】
さらに、壁の部位19が、後方に関して凹所16の境界を定めており、この壁の部位19は、運転者ステーション10のプラットフォーム15からドラム・ハウジング41へと下方に、基本的に垂直に延びている。
【0053】
壁の部位19は、壁の部位18が部位18の前縁から出発して走行方向に平行に延びるのではなく、ドラム・ハウジング41の前縁41aのマーキングの方向に斜めに延びている場合には、省略することが可能である。さらなる代案によれば、壁の部位18が、ドラム・ハウジング41の領域において後ろ側の外壁5bに交差してもよい。
【0054】
ライン17a、17b、17cが、所望の道路の方向を反映している地面または路面8のマーキングを表わしている。マーキング17aは、真っ直ぐな移動を指示しており、マーキング17bおよび17cは、路面切削装置1を左方または内側へと向かって操舵するときの種々のコーナー半径を示している。凹所16ゆえに、運転者ステーション10に位置する装置運転者が、凹所16が存在せずに装置フレーム4の凹所16のない外壁5aがプラットフォーム15まで達している場合に比べ、はるかに大きな程度までマーキング・ライン17bおよび17cを観察できることを、図2から見て取ることができる。マーキング・ライン17bまたは17cに沿ってコーナーを通過して移動するとき、履帯ユニット30が、マーキング・ライン17bまたは17cのそれぞれを視野から妨げることがないように旋回することを、理解すべきである。さらに、凹所16によれば、装置運転者が例えばドラム・ハウジング41の前側41aのマーキングをマーキング・ライン17a、17b、または17cに沿って案内しつつ、路面切削装置を所定の道路の方向に従って正確に操縦できるように、前側の履帯ユニット30の舵角を観察することができる。
【0055】
この凹所16の特別な設計は、マーキング・ライン17bまたは17cの追跡の可能性を向上させることができると同時に、フロントアクスルの舵角の観察を可能にできるほか、さらに同時に、フロントアクスルの上方に位置するタンク50の容量を必要以上に小さくすることがないように保証する。
【0056】
やはり図1から最もよく見て取ることができるとおり、タンク50のタンク容量は、とくには斜めに延びる壁20ゆえに、凹所16によってわずかに減少するだけである。
【0057】
凹所16を、ゼロ側12に設けられる凹所16に加えて、装置のゼロ側12から離れるように向いている側にも類似の様相で配置できることを、理解すべきである。この追加の凹所16の設計は、ゼロ側の凹所16に対して鏡対称であってもよく、すなわち路面切削装置1の長手方向中心線52に関して鏡対称であってもよい。
【0058】
図3は、ミラー54、整列装置58、および/または投影装置62を備えることができる路面切削装置1の実施の形態を示している。
【0059】
ミラー54は、例えば凹所16の領域の基本的に垂直な表面64に配置することができるが、手動または動力によって調節可能であり、曲面鏡で構成されてもよい。ミラーは、ゼロ側の方向において切削ドラム6の端面の平面を超えて突き出すように配置される。
【0060】
図3が、運転席14に着座しているときの装置運転者の眼を概略的に示している。装置運転者の視野の角度が、ミラー54によって、移動の方向について見たときのドラム・ハウジング41の前方の幅広い領域を呈しており、装置運転者が、とくにはドラム・ハウジング41の前側41aのマーキングまたは切削ドラム6の端面の垂直面を知らせる装置の任意の他の部材のマーキングを、観察することができる。さらに、装置運転者は、湾曲した設計であってもよいミラー54によって、地面または路面8の現在のマーキング・ライン17a、17b、または17cを観察することができる。より良好な整列という目的のために、ミラー54にマーキング56(例えば、切削ドラム6の端面の平面内を延びる線、あるいは互いに平行に離間して互いに平行に延び、間に切削ドラム6の端面の垂直面を収容している2本の線)を設けることができ、装置運転者は、整列のために、そのようなマーキング56を、整列装置58ならびに地面または路面8のマーキング・ライン17a、17b、または17cのうちの1つに一致させる必要がある。
【0061】
整列装置58を、例えば外壁の部位5a、5bの間に引き張られ、互いに平行に延び、間に切削ドラム6の端面の垂直面を収容している2本のロープで構成できる。
【0062】
あるいは、整列装置58を、切削ドラム6の端面の平面を延びるただ1本のロープで構成してもよい。このようにして、ミラー54が、整列装置58との組み合わせにおいて、着座位置からの路面切削装置1の操縦を可能にする。
【0063】
さらに、ミラー54および整列装置58と別個独立に、地面または路面8に焦点を合わせた光ビームを放射する投影装置62を設けることができ、この光ビームが、好ましくは現在の操舵位置に従って、一連の点または線の形態にて、ゼロ側の切削縁の進路を知らせる。このようにして、投影装置62が、一連の点または線を生成するレーザ・ポインタの様相で機能する。光ビームは、レーザ光のビームであってもよい。
【0064】
コンピュータ60が、走行方向について見たときのドラム・ハウジング41の前側の切削縁の進路を計算し、それに応じてレーザ投影装置62を制御する。計算は、車台のフロントアクスルおよび/またはリアアクスルの舵角に従って実行される。走行駆動ユニットを、地面または路面8のマーキング・ライン17a、17b、または17cによってあらかじめ定められるとおりの特定の所定のコーナー形状に従うように、反対の方向に操舵してもよいことを、理解すべきである。投影されるレーザ光の線と塗布済みのマーキング・ライン17a、17b、および17cとを比較することによって、装置運転者は、現在の舵角が所望のコーナー形状に追従しているか否かを判断することができる。
【0065】
上記光投影装置のさらなる発展は、センサ装置が投影される線と所定のマーキング・ライン17a、17b、または17cとの間の相違を割り出し、路面切削装置1の操舵を制御ユニット66によって自動的に調節することである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明による大型切削装置の一部分の図である。
【図2】大型切削装置運転者ステーションの上面図である。
【図3】整列装置および/または投影装置を備える実施の形態である。
【符号の説明】
【0067】
1…路面切削装置、2…フロントアクスル、3…リアアクスル、4…装置フレーム、5…横外壁、5a…前側の外壁、5b…後ろ側の外壁、6…切削ドラム、7…切削ドラム6の軸、8…路面(地面)、10…運転者ステーション、12…ゼロ側、14…座席、15…プラットフォーム、16…凹所、17a…マーキング・ライン、17b…マーキング・ライン、17c…マーキング・ライン、18…凹所16の壁、19…凹所16の壁、20…凹所16の壁、24…操舵コンソール、26…ハンドル、30…履帯ユニット、32…昇降支柱、34…制御パネル、36…動作パラメータを設定するための装置、40…横板、41…ドラム・ハウジング、41a…ドラム・ハウジング41の前側、42…アームレスト、44…操作パネル、48…搬送コンベア、50…タンク、52…路面切削装置1の長手方向中心線、54…ミラー、56…ミラー54のマーキング、58…整列装置、60…コンピュータ、62…投影装置、64…凹所16の垂直面、66…制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面または路面(8)を切削するための自動路面切削装置、特に大型の自動路面切削装置(1)であって、
履帯ユニット(30)または車輪で構成されるフロントアクスル(2)およびリアアクスル(3)を備えている車台と、
前記車台によって支持され、横外壁(5a、5b)および長手方向中心線(52)を有している装置フレーム(4)と、
前記フロントアクスル(2)の前記履帯ユニット(30)または車輪と、前記リアアクスル(3)の前記履帯ユニット(30)または車輪との間で前記装置フレーム(4)に支持されており、一方の端面がきわまでの切削の目的のためにゼロ側(12)と呼ばれる前記装置フレーム(4)の外側まで達している切削ドラム(6)と、
運転者のためのプラットフォーム(15)を有する運転者ステーション(10)と、
を備えている地面または路面(8)を切削するための自動路面切削装置(1)において、
前記装置フレーム(4)にて、走行方向について見たときの装置運転者のための前記プラットフォーム(15)の前方かつ前記ゼロ側(12)に位置する一部分が、垂直方向に延びかつ前記外側、下側、および上側に向かって開いている凹所(16)が前記装置フレーム(4)に形成される様相で、内側へと引っ込められており、前記凹所(16)が、下方かつ走行方向について見たときの前方に向かって広がっていることを特徴とする、自動路面切削装置。
【請求項2】
前記運転者ステーション(10)に、装置運転者のための座席(14)が設けられ、走行方向について見たときの前記アクスル(2、3)の間に配置される前記切削ドラム(6)の上方の装置運転者の前記座席(14)が、装置運転者の前記座席(14)の一部分が前記横外壁(5a、5b)の少なくとも前部(5a)を超えて横方向に突き出す様相で、前記横外壁(5a、5b)に向かって整列させられることを特徴とする、請求項1に記載の自動路面切削装置。
【請求項3】
装置運転者の前記座席(14)について、走行方向に延びる前記座席(14)の垂直中心面が、前記横外壁(5a、5b)の平面内を延びており、あるいは小さな横方向の距離にて前記横外壁(5a、5b)に平行に隣接して延びていることを特徴とする、請求項2に記載の自動路面切削装置。
【請求項4】
前記凹所(16)が、走行方向に基本的に平行に延びる水平断面における内側壁部分(18)を備えていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項5】
前記凹所(16)が、走行方向について見たときに前記運転者ステーション(10)から斜め下方へと延びる少なくとも1つの隣接壁部分(20)を備えており、前記隣接壁部分(20)が、ゼロ側の方向において横外壁(5a)の平面に交差することを特徴とする、請求項4に記載の自動路面切削装置。
【請求項6】
前記隣接壁部分(20)が、走行方向に延びる垂直面に対しても斜めに、前方に向かって延びていることを特徴とする、請求項5に記載の自動路面切削装置。
【請求項7】
ハンドル(26)を備える操舵コンソール(24)が、装置運転者の前記座席(14)の前方において、側面に沿って前記装置フレーム(4)に取り付けられていることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項8】
車台の前記リアアクスル(3)が、ただ1つの支持輪またはただ1つの履帯ユニット(30)のみによって形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項9】
前記運転者ステーション(10)が、前記切削ドラム(6)の軸(7)の上方に車台の前記アクスル(2、3)から離れて配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項10】
ゼロ側から離れる方を向いている外側の外壁(5a)に、前記凹所(16)に類似する凹所が、前記長手方向中心線(52)に関して基本的に鏡対称な様相で設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項11】
ゼロ側から離れる方を向いている外側の外壁(5a)に、外側、下側、および上側に向かって開いている前記凹所(16)に類似する凹所が設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項12】
地面または路面(8)を切削するための自動路面切削装置(1)であって、
履帯ユニット(30)または車輪で構成されるフロントアクスル(2)およびリアアクスル(3)を備えている車台と、
前記車台によって支持され、横外壁(5a、5b)および長手方向中心線(52)を有している装置フレーム(4)と、
一方の端面をきわまでの切削の目的のためにゼロ側(12)と呼ばれる前記装置フレーム(4)の外側まで到達させて、前記装置フレーム(4)に支持されている切削ドラム(6)と、
運転者のためのプラットフォーム(15)を有する運転者ステーション(10)と、
を備えている自動路面切削装置(1)において、
前記装置フレーム(4)にて、走行方向について見たときの装置運転者のための前記プラットフォーム(15)の前方かつ前記ゼロ側(12)に位置する一部分が、垂直方向に延びかつ前記外側、下側、および上側に向かって開いている凹所(16)が前記装置フレーム(4)に形成される様相で、内側へと引っ込められており、装置運転者が運転席(14)に着座していても前記切削ドラム(6)のゼロ側の端面の垂直面のためのマーキングを観察できるミラー(54)が、前記凹所(16)の領域に配置されていることを特徴とする、自動路面切削装置。
【請求項13】
装置運転者が前記運転席(14)に着座していても前記切削ドラム(6)のゼロ側の端面の垂直面のためのマーキングを観察できるミラー(54)が、前記凹所(16)の領域に配置されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項14】
前記ミラー(54)が、装置運転者が着座しているときに前記前縁(41a)ならびに地面または路面の所定のマーキング・ライン(17)の両方を観察できるような様相で、調節可能であることを特徴とする、請求項12または13に記載の自動路面切削装置。
【請求項15】
好ましくは前記凹所(16)の領域に配置される前記ミラー(54)が、前記切削ドラム(6)のゼロ側の端面の垂直面を切断しており、整列装置(58)を介して地面または路面(8)の所定のマーキング・ライン(17a、17b、17c)に一致させることができるマーキング、好ましくはマーキング・ラインを備えていることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項16】
前記整列装置(58)が、好ましくは地面または路面(8)と平行に延びる直線装置で構成され、とくには、好ましくは前記外壁の部位(5a、5b)の間で前記切削ドラム(6)のゼロ側の端面の垂直面内を延び、あるいは好ましくは前記外壁の部位(5a、5b)の間で前記切削ドラム(6)のゼロ側の端面の垂直面を囲んでいるロープまたはロッドで構成されていることを特徴とする、請求項15に記載の自動路面切削装置。
【請求項17】
投影装置(62)が、地面または路面(8)の所定のマーキング・ライン(17)に一致させるべき光マーキングを地面または路面(8)へと投影し、前記光マーキングが、前記切削ドラム(6)のゼロ側の端面の切削縁の現在の設定による直線の様相での将来の進路を、走行方向について見たときのドラム・ハウジング(41)の前方に示していることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項18】
投影装置(62)が、地面または路面(8)の所定のマーキング・ライン(17a、17b、17c)の1つに一致させるべき光マーキングを地面または路面(8)へと投影し、前記光マーキングが、走行駆動ユニットの現在の舵角に応じて、前記切削ドラム(6)のゼロ側の端面の切削縁の現在の設定による将来の進路を、走行方向について見たときのドラム・ハウジング(41)の前方に示していることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。
【請求項19】
コンピュータ(60)が、後ろ側および前側の車輪ユニットまたは履帯ユニット(30)の舵角に従って切削縁の将来の進路を計算して、前記投影装置(62)によって地面または路面(8)に表示することを特徴とする、請求項18に記載の自動路面切削装置。
【請求項20】
センサ装置が、所定のマーキング・ライン(17a、17b、17c)の1つに対する前記光マーキングの位置を検出し、制御ユニット(66)が、前記センサ装置からの信号に従って前記走行駆動ユニットの操舵を自動的に調節することを特徴とする、請求項18または19に記載の自動路面切削装置。
【請求項21】
前記投影装置(62)が、前記運転席(14)または前記プラットフォーム(15)に配置され、あるいは前記運転席(14)または前記プラットフォーム(15)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項18〜20のいずれか一項に記載の自動路面切削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−13777(P2009−13777A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−151956(P2008−151956)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(301064954)ヴィルトゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (25)
【氏名又は名称原語表記】Wirtgen GmbH
【住所又は居所原語表記】Reinhard−Wirtgen−Strasse 2, D−53578 Windhagen, Germany
【Fターム(参考)】