説明

自動車のウォッシャタンク搭載構造

【課題】エンジンルーム内のレイアウト性を改善でき、また、容易に液量を確認することができる自動車のウォッシャタンク搭載構造を提供する。
【解決手段】給水口4bを有する給水筒4がタンク本体3から略車両上方に延設され、ウォッシャ液の残量を確認するための残量確認機能が設定された自動車のウォッシャタンクを車体に搭載する構造であって、前記タンク本体3の、車体搭載状態で、ウォッシャ液の要補充液面に対応する部位に、タンク内方に突出する突出部b1を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロントウインドシールドを洗浄するためのウォッシャ液を貯留するウォッシャタンクの搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ウォッシャ液は雨天時等には常時消費されるので、ウォッシャタンク内にウォッシャ液を頻繁に補充する必要がある。そのため、ウォッシャ液面が要補充レベルまで減少した場合にはこれを容易に確認可能とする必要がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、タンク側壁に液量目盛を形成し、液面をタンク側方から確認可能とする構造が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ウォッシャタンクのキャップに残量確認用部材を別途に設け、該残量確認部材をキャップごと上方に引き抜くことによって残量を確認する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−183844号公報
【特許文献2】特開平7−215175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近では、エンジンルームの小型化に伴い、エンジンルーム内に車載部品が密集して配設されているため、前記特許文献1のようにウォッシャタンクの側壁に液量目盛りを形成しても、この液量目盛りをタンク側方から確認するためのスペースの確保が困難であるという問題がある。
【0007】
また、前記特許文献2の構造では、別途残量確認用部材を付加する分コストの増加、重量の増加、生産性の悪化を招く問題がある。
【0008】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、エンジンルーム内に車載部品が密集している場合にも、かつ残量確認用部材を付加することなく、容易にウォッシャ液の残量を確認することができる自動車のウォッシャタンク搭載構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、給水口を有する給水筒がタンク本体から略車両上方に延設され、ウォッシャ液の残量を確認するための残量確認機能が設定された自動車のウォッシャタンクを車体に搭載する構造であって、前記タンク本体の、車体搭載状態でのウォッシャ液の要補充液面に対応する部位に、タンク内方に突出する突出部が形成され、該ウォッシャタンクは、前記突出部が前記給水口から給水筒を通して目視可能位置に位置するように車体に搭載されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、給水口を有する給水筒をタンク本体から略車両上方に延設したので、また、エンジンルーム内の、前記給水口上方にはウォッシャ液補充容器が入るだけのスペースが確保されているので、前記給水口から給水筒を通してタンク本体内を覗き込むことができる。
【0011】
そして前記タンク本体の、ウォッシャ液の要補充液面に対応する部位に、タンク内方に突出する突出部を形成し、かつこの突出部は前記給水口から目視可能になっているので、容易にウォッシャ液の残量を確認できる。即ち、タンク内のウォッシャ液の液面が要補充レベルより高い場合には、ウォッシャ液が不透明であるため前記突出部は目視できない。一方、ウォッシャ液の液面か要補充レベルまで下ると前記突出部が目視できることとなるので、タンク側壁に液量目盛を形成したり、別途残量確認用部材を付加したりすること無く、容易に残量を確認でき、コストの抑制、重量の軽減、生産性の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る自動車のウォッシャタンク搭載構造を車両の左斜め前方から見た斜視図である。
【図2】前記ウォッシャタンクへウォッシャ液をウォッシャ液補充容器から補充する時の状態を示す斜視図である。
【図3】ウォッシャタンク内を給水口から覗き込んだ状態の斜視図(図2の矢印III方向から見た図)である。
【図4】ウォッシャタンクの満水時の液面を側方から見た状態の斜視図(図1の矢印IV方向から見た図)である。
【図5】前記ウォッシャタンクの正面図である。
【図6】前記ウォッシャタンクの左側面図(図5の矢印VI方向から見た図)である。
【図7】前記ウォッシャタンクの平面図(図5の矢印VII方向から見た図)である。
【図8】前記ウォッシャタンクの底面図(図5の矢印VIII方向から見た図)である。
【図9】前記ウォッシャタンクの突出部の断面側面図(図7のIX-IX線断面図)である。
【図10】前記ウォッシャタンクの突出部の平面図(図9の矢印X方向から見た図)である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
図1ないし図10は、本発明の実施例1による自動車のウォッシャタンク搭載構造を説明するための図である。なお、本実施例で、左,右とは、車両前方から見た場合の左,右を意味している。
【0014】
図において、1はエンジンルームを示している。該エンジンルーム1内には多数の車載部品が余裕スペースの無い密集状態に配設されている。例えば、エンジンルーム1の車幅方向中央後部にはエンジンユニット(図示せず)が搭載され、前部にはラジエータサポート2a及びラジエータ(図示せず)が配設され、該ラジエータの左,右側方には左,右のヘッドライト6,6か配設され、さらにその後方かつ下方には左,右のホイールハウス2b,2bが配設されている。
【0015】
そしてこれらの車載部品、例えば左のヘッドライト6,ラジエータサポート2aの左縁部及び左のホイールハウス2bに周囲が囲まれた空間内に、ウォッシャタンク8が搭載されている。このウォッシャタンク8は、例えば樹脂の射出成形品であり、タンク本体3と、該タンク本体3の上壁に一体形成された給水筒4とを備えている。前記樹脂は、透過性があり、内部に収容されたウォッシャ液の液面を外部から視認可能となっている。
【0016】
前記給水筒4は、前記タンク本体3の上壁の、左縁でかつ後縁のコーナ部から車両上方に略直線状に延設され、上端には給水口4bが形成され、該給水口4bにはこれを開閉する蓋部材4dが装着されている。
【0017】
前記タンク本体3は、射出成形された上タンク半体3aのフランジ部3cと、下タンク半体3bのフランジ部3dとを溶着により接合した上下二分割構造を有する。また、前記タンク本体3は、上段部a,中段部b,下段部cからなり、図5に示す正面視では、各段部の容積は上側段部ほど大きく、それぞれの左側面は、下側段部ほど車幅内方に後退している。また前記タンク本体3は、図6に示す車幅方向左側方視では、上段部a及び中段部bは略矩形状をなしており、下段部cは中段部bの前側寄り部分、つまり前記給水筒4から離れる方向に偏位している。
【0018】
また前記タンク本体3の下段部cには、ウォッシャ液をフロントウインドシールド,リヤウインドシールドへ送るポンプ9,10が配設されている。
【0019】
また、前記給水筒4の前側面上部には、満水時におけるウォッシャ液のレベルを示す液量確認マーク4gが形成されている。
【0020】
前記ウォッシャタンク8は、前述のように、前記エンジンルーム1内の、ラジエータサポート2aと、ヘッドライト6と、ホイールハウス2bとに囲まれた空間内に位置するように、かつ前記給水筒4の上部のみが、前記各車載部品に隠れることなく上方に突出するように配置されている。そのため、前記満水時の液量確認マーク4gを、車両前側方から確認可能となっている。
【0021】
一方、ウォッシャ液の要補充レベルについては、以下ように構成された残量確認機能により確認可能となっている。前記タンク本体3の内面の少なくとも一部が、前記給水口4bから前記給水筒4を通して目視可能となるっている。具体的には、前述のように、前記タンク本体3の中段部bに対して下段部cが前記給水筒4から離れる方向に偏位している結果、中段部bの底面の前記偏位している部分は、車幅方向内側に突出する突出部b1となっており、該突出部b1は前記給水口4bから給水筒4内を通して目視可能となっている。そして前記突出部b1は、前記タンク本体3の車体搭載状態でウォッシャ液の要補充レベルに対応する部位に位置している。さらに前記突出部b1の内面には「LOW」という文字5がリブ状に突出するように形成されている。従って、ウォッシャ液の液面が要補充レベルまで下がると、前記給水口4bから内部を覗き込んだ際に前記突出部b1の内面が目視され、さらに「LOW」という文字5が浮かび上がることとなり(図3参照)、このようにして残量確認機能が実現されている。なお、前記文字5は刻印又は印刷で形成しても良い。
【0022】
一般に、ウォッシャ液は常時消費されるものであるから頻繁な補充が必要となる。また、ウォッシャ液には、石鹸水等の若干色が付された不透明な液体が使用されている。そのため、ウォッシャタンク8の外部からウォッシャ液の液面を視認できる一方、給水口4bから覗き込んだ場合、底面が見えることはない。
【0023】
本実施例1の前記ウォッシャタンク8において、ウォッシャ液のレベルをチェックし、必要に応じてウォッシャ液を補充する場合を説明する。
【0024】
前記ウォッシャタンク8が満水の時は、液面は前記液量確認マーク4g付近にあり、これにより液量を確認することができる。この場合、液面は要補充レベルより十分に高いので、前記給水口4bから覗き込んでもウォッシャ液が不透明であるため、前記突出部b1又は文字5が見えることはない。
【0025】
一方、ウォッシャ液の消費に伴って、液面が要補充レベルまで下がると、前記給水口4bから内部を覗き込むことにより前記突出部b1が目視される。この場合、前記文字5がリブ状に突出するように形成されているので、より一層確実に要補充レベルを確認できる。液面が要補充レベルまで下った場合は、ウォッシャ液補充容器7によりウォッシャ液を、液面が前記満水時の液量確認マーク4g付近に上昇するまで補充する。
【0026】
本実施例1によれば、給水口4bを有する給水筒4をタンク本体から略車両上方に延設したので、また、エンジンルーム1内の、前記給水口4b上方にはウォッシャ液補充容器7が入るだけのスペースが確保されているので、前記給水口4bから給水筒4を通してタンク本体3内を覗き込むことができる。
【0027】
そして前記タンク本体3の、ウォッシャ液の要補充レベルに対応する部位に、タンク内方に突出する突出部b1を形成し、かつこの突出部b1は前記給水口4bから目視可能になっているので、容易にウォッシャ液の残量を確認できる。即ち、タンク内のウォッシャ液の液面が要補充レベルより十分に高い場合は、ウォッシャ液が不透明であるため前記突出部b1は目視されない。一方、ウォッシャ液の液面か要補充レベルまで下ると前記突出部b1が目視できることとなるので、タンク側壁に外部から見えるように液量目盛を形成したり、別途残量確認用部材を付加したりすること無く、容易に残量を確認でき、コストの抑制、重量の軽減、生産性の改善を図ることができる。
【0028】
なお、前記実施例1では、前記給水筒4を略直線状に形成したが、前記突出部b1が目視できる範囲で前記給水筒4を湾曲した形状にしても勿論構わない。
【符号の説明】
【0029】
3 タンク本体
4 給水筒
4b 給水口
8 ウォッシャタンク
b1 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水口を有する給水筒がタンク本体から略車両上方に延設され、ウォッシャ液の残量を確認するための残量確認機能が設定された自動車のウォッシャタンクを車体に搭載する構造であって、
前記タンク本体の、車体搭載状態で、ウォッシャ液の要補充液面に対応する部位に、タンク内方に突出する突出部が形成され、
該ウォッシャタンクは、前記突出部が前記給水口から給水筒を通して目視可能位置に位置するように車体に搭載されている
ことを特徴とする自動車のウォッシャタンク搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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