自動車のエンジンフード
【課題】軽量で高剛性を有すると共に、交通事故時における歩行者の頭部障害を軽減することも可能となる自動車のエンジンフードを提供すること。
【解決手段】アルミニウム板からなるパネル外周部材12の中央部に開口する窓部16を形成する一方、断面がハット形状とされ、且つかかるハット形状の凸部のコーナー角度:θと該凸部のコーナーのRとが、それぞれ、95°≦θ≦135°、R≦8mmである鉄板製アングル部材14の複数本を、かかる窓部16を跨ぐ形で、その凸部がエンジン側となるように、且つアングル部材14の長手方向が走行方向に略平行な方向になるように互いに平行に配置し、更に、パネル外周部材12とアングル部材14とを接着剤20で接合して構成したインナーパネル10を用いて、自動車のエンジンフードを構成した。
【解決手段】アルミニウム板からなるパネル外周部材12の中央部に開口する窓部16を形成する一方、断面がハット形状とされ、且つかかるハット形状の凸部のコーナー角度:θと該凸部のコーナーのRとが、それぞれ、95°≦θ≦135°、R≦8mmである鉄板製アングル部材14の複数本を、かかる窓部16を跨ぐ形で、その凸部がエンジン側となるように、且つアングル部材14の長手方向が走行方向に略平行な方向になるように互いに平行に配置し、更に、パネル外周部材12とアングル部材14とを接着剤20で接合して構成したインナーパネル10を用いて、自動車のエンジンフードを構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンフードに関し、特に、歩行者との衝突時における歩行者保護に効果的に対応し得ると共に、軽量で、高剛性を備えた自動車のエンジンフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のエンジンフードは、アウターパネルと、このアウターパネルの補強部材として、アウターパネルの内面側に重ね合わされるようにして設けられ、エンジンフードの骨格を形成してエンジンフードの剛性を確保するインナーパネルとから、構成されている。
【0003】
そして、このような構成とされたエンジンフードにおいて、高剛性のエンジンフードを得るためには、エンジンフードを最も効果的に補強し得るインナーパネルの構成として、複数の補強梁を格子状に配置する構造が、考えられる。
【0004】
しかしながら、近年、交通事故時における歩行者保護が強く要請されている状況下において、自動車が歩行者と衝突した際に、歩行者の頭部がエンジンフードに衝突することが少なくなく、これが致命傷になる恐れがあった。このため、上記のように、インナーパネルを複数の補強梁を格子状に配置する構造とした場合には、かかる複数の補強梁の交差部が、エンジンフードの他の部位に比べて著しく高剛性となるため、自動車が歩行者と衝突したときに、歩行者が前記交差部により強い衝撃を受け易くなるといった問題を惹起することとなるのである。
【0005】
そこで、そのような問題に対処すべく、特開2001−151159号公報(特許文献1)においては、アウターパネルに接合する補強パネルに多数のビードを配置して、曲げ剛性が縁部から中央部に向かって連続的に増加するようにして、実質的に同一の剛性を持たせて局部的な高剛性部位を無くし、エンジンフードの如何なる部位への頭部衝突の場合にも、常に同一の衝撃を受けるようにしたエンジンフードが、明らかにされている。
【0006】
また、国際公開:WO02/47961号公報(特許文献2)においては、アウターとインナーとが空間を介した閉断面構造をとって結合されたパネル構造体であって、インナーパネルを、インナー全面にわたって複数本の波形ビードが略平行に設けられた波形形状を呈するように構成して、その断面形状が、略頭部外径に近い波長のサイン曲線、サインn乗曲線、又はスプライン曲線である波形フード構造とされているエンジンフードが、明らかにされている。このようなエンジンフードによれば、エンジンフードへの衝突位置によらず、均一で優れた頭部衝突耐性を実現することが出来、且つ張り剛性等も高剛性化することが出来るとされている。
【0007】
一方、本発明者らは、先に、特開2008−247095号広報(特許文献3)において、アウターパネルとインナーパネルからなる自動車のエンジンフードにおいて、インナーパネルに、自動車の進行方向に延びる互いに平行な一対のスリットの複数と、該一対のスリット間のインナーパネル部位にアウターパネル側に突出させた切り起こし部とを形成し、且つ該切り起こし部の上端部がアウターパネルに接着されている一方、該切り起こし部の幅:Wが、10mm以上、50mm未満とされていることを特徴とする自動車のエンジンフードを、明らかにした。
【0008】
このような自動車のエンジンフードによれば、インナーパネルに形成された複数のスリット間を、アウターパネル側に突出するように所定の幅においてそれぞれ切り起こして、その切り起こし部の上端部をアウターパネルに接着せしめているところから、高い剛性を有すると共に、効率的に衝撃を吸収することが可能となり、交通事故時における歩行者の頭部障害値(HIC)を有利に軽減することが出来ることとなる。
【0009】
ところで、近年、環境問題の面から、更に燃費を向上させるためにも、より軽量化が求められており、エンジンフードをアルミニウム材料で形成することが検討されている。しかしながら、アルミニウム材料は、これまで一般的に自動車用エンジンフードの材料として用いられていた鋼板と比べて大きく軽量化出来るものの、強度や成形性の点において性能が低く、充分な剛性と歩行者保護特性(HIC値の軽減)の両方を得ることが出来ないものであった。
【0010】
また、歩行者保護の観点においては、インナーパネルとエンジン等のボンネット内の部品とが接触すると歩行者保護特性が悪化する(HIC値が大きくなる)ところから、それらを接触させない、或いは出来るだけそれらの接触を遅らせる必要がある。しかし、インナーパネルをエンジン等のボンネット内部品に接触させないようにするためには、インナーパネルの位置をエンジン等のボンネット内部品よりも充分に高くする必要があり、そうすると、アウターパネルの位置も高くなってしまい、その結果、車両デザインに制限が加わることに直結する。一方、インナーパネルを歩行者保護特性の良好なものにすれば、インナーパネルの位置を低くすることが出来、それによってアウターパネルの位置も低く出来ることとなり、車両のデザインの自由度が大きくなるという利点が生じることとなる。そこで、軽量で高剛性を備えると共に、交通事故時における歩行者の頭部障害値を有利に軽減し、衝突時の歩行者保護に対応することの出来る自動車のエンジンフードが求められてきているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−151159号公報
【特許文献2】国際公開:WO02/47961号公報
【特許文献3】特開2008−247095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、軽量で高剛性を有すると共に、交通事故時における歩行者の頭部障害を軽減することも可能となる自動車のエンジンフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そして、本発明にあっては、そのような課題を解決すべく、自動車のエンジンフードのインナーパネルの構造についてシミュレーションによる検討を鋭意重ねた結果として為された物であって、その要旨とするところは、アウターパネルとインナーパネルからなる自動車のエンジンフードにして、該インナーパネルは、中央部に開口空間が形成されてなるアルミニウム板製のパネル外周部材と、該開口空間を跨ぐ形で互いに平行に配された、断面ハット形状の鋼板製アングルの複数本とを有し、該アングルは、その凸部がエンジン側となるように、且つ該アングルの長手方向が自動車の走行方向に平行な方向となるように配置され、更に、該パネル外周部材と該アングルとは、接着、溶融溶接、固相接合或いは機械的接合により接合されていると共に、該アングルにおける凸部のコーナー角度:θと該凸部のコーナーのRとが、次式;95°≦θ≦135°、R≦8mm、を満足するように構成されていることを特徴とする自動車のエンジンフードにある。
【0014】
なお、かかる本発明に従う自動車のエンジンフードの望ましい態様の一つによれば、前記パネル外周部材は、アルミニウム板のプレス一体成形品にて構成され、また別の望ましい態様の一つによれば、前記鋼板製アングルは、鋼板のプレス成形品にて構成されることとなる。
【0015】
さらに、このような本発明に従う自動車のエンジンフードの好ましい態様の一つにあっては、隣接する前記鋼板製アングルは、それらの対向する側壁間の間隔が165mm以下となるようにして、配設されることとなる。
【発明の効果】
【0016】
従って、このような本発明に従う構成とされた自動車用エンジンフードによれば、インナーパネルの本体部分となるアルミニウム板製のパネル外周部材において、その中央部に形成された窓部である開口空間を跨ぐ形で、所定のコーナー角度とコーナーRにおいて形成された断面ハット形状の鋼板製アングルの複数本が互いに平行に配されると共に、それらパネル外周部材とアングルとが所定の接合手段によって接合された構造、換言すれば、アルミニウム板製のパネル外周部材にアルミニウム材料よりもヤング率が高く密度の大きい鋼板製アングルを接合することによって補強した構造とされているところから、高い剛性を効果的に発揮することが可能となると共に、交通事故時における歩行者の頭部傷害値を有利に軽減することが出来ることとなるのである。
【0017】
しかも、本発明にあっては、アルミニウム板製のパネル外周部材と鋼板製のアングルとを組み合わせているところから、従来の全体が鉄製のエンジンフードよりも、更に軽量化された自動車用エンジンフードを提供することが可能となると共に、アルミニウム材料のみから形成されたエンジンフードよりも、歩行者保護特性に優れるものを提供することが可能となったのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う自動車のエンジンフードを構成するインナーパネルの一例を示す平面説明図である。
【図2】図1におけるA−A切断線にて切断した端面を示す端面説明図である。
【図3】図2におけるC部分を拡大して示す説明図である。
【図4】図1におけるB−B切断線にて切断した端面を示す端面説明図である。
【図5】図4におけるD部分を拡大して示す説明図である。
【図6】実施例において検討した本発明に従う構造のインナーパネルの三次元モデルの一つを示す斜視図である。
【図7】図6に示した三次元モデルのワイヤーフレームモデルである。
【図8】実施例において検討した本発明に従う構造のインナーパネルの三次元モデルの別の一つを示す斜視図である。
【図9】図8に示した三次元モデルのワイヤーフレームモデルである。
【図10】実施例において検討した従来の構造のインナーパネルの三次元モデルの一つを示す斜視図である。
【図11】図10に示した三次元モデルのワイヤーフレームモデルである。
【図12】実施例において検討した従来の構造のインナーパネルの三次元モデルの別の一つを示す斜視図である。
【図13】図12に示した三次元モデルのワイヤーフレームモデルである。
【図14】実施例において検討した本発明に従う構造とされたインナーパネルにおけるアングル部材の断面形状を示す説明図であって、(a)は、図6に示したインナーパネルのものを、(b)は、図8に示したインナーパネルのものを、それぞれ示している。
【図15】実施例において検討した従来の構造とされたインナーパネルの断面の一部を示す説明図であって、(a)は、図10に示したインナーパネルにおけるアングル部の断面形状を示し、(b)は、図12に示したインナーパネルの中央部に形成された波形形状部分の断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0020】
先ず、図1には、本発明に従う自動車のエンジンフードを、アウターパネルと共に構成するインナーパネルの一実施形態が、平面図の形態において、概略的に示されている。そこにおいて、インナーパネル10は、中央部位に所定大きさの開口空間である矩形の窓部16が形成されてなる板状のパネル外周部材12と、かかる窓部16を車両の前後方向に跨ぐ形で互いに平行に所定間隔を隔てて配された複数本のアングル部材14とから、構成されている。
【0021】
より詳細には、インナーパネル10の外形形状を与えるパネル外周部材12は、パネル本体を構成するものであって、所定のアルミニウム材料からなるアルミニウム板に、公知のプレス加工等を施すことによって、一体的に形成されており、その中央部には、板状のパネル外周部材12の厚み方向に貫通するように開口する空間である、略矩形形状を呈する窓部16が、所定の大きさをもって形成されているのである。また、かかるパネル外周部材12は、その車両の前後方向に相当する図の上下方向における上辺及び下辺が、それぞれ、下方に凸なる略円弧形状を呈すると共に、その右辺及び左辺が、それぞれ車両外側に向かって略円弧形状を呈するように、構成されている。
【0022】
一方、鋼板製のアングル部材14は、図2及び図3に示されるように、その断面がハット形状を呈すると共に、パネル外周部材12に形成された窓部16を橋渡し出来る程度の長さ:Lとされている。そして、アングル部材14の断面ハット形状は、図3に拡大して示されるように、凸部の角部の角度であるコーナー角度:θが、95°以上135°以下、好ましくは上限が120°程度となるようにされると共に、コーナー(角部)のR(曲率半径)が、8mm以下、好ましくは下限が5mm程度となるように形成されている。これは、コーナー角度:θが90°以上95°未満とされた場合にあっては、鋼鉄板をプレス加工によってアングル形状に曲げ加工した後に、成形したアングル部材が金型から離型し難い不具合が生じる恐れがあるからであり、また、θが90°未満とされた場合にあっては、そのような角度をもつアングル部材の曲げ加工自体が難しくなり、実現しようとすると、高価で複雑な曲げ加工装置が必要となると共に、θが90°とされた場合よりも断面二次モーメントが小さくなってしまい、高剛性が得られないからである。一方、θが135°を超える角度とされた場合にあっては、断面二次モーメントが小さくなり、充分な剛性が得られなくなってしまうのである。また、コーナーのRにおいても、その大きさが8mmを超えた場合にあっては、断面二次モーメントが小さくなり、充分な剛性が得られなくなるのである。
【0023】
なお、かかるアングル部材14のハット形状の高さ:Hは、好ましくは15〜30mm程度、また、ハット形状の開口部における幅:Wは、好ましくは20〜50mm程度とされることとなる。即ち、ハット形状の高さ:Hが15mmよりも小さくされた場合には、断面二次モーメントが小さくなり、歩行者保護特性及びエンジンフード全体のねじり剛性が悪化し易くなるためであり、一方、Hが30mmよりも大きくされた場合にあっては、断面二次モーメントは大きくなるものの、エンジン等のボンネット内部品への二次衝突が早くなり、結果的に歩行者保護特性が悪化し易くなるためである。また、幅:Wが20mmよりも小さくされた場合にあっても、断面二次モーメントが小さくなってしまい、歩行者保護特性及びエンジンフード全体のねじり特性が悪化し易くなり、Wが50mmよりも大きくされた場合には、アングル内壁間が大きすぎるため、インパクター衝突初期にアウターパネルのみが変形してしまい、歩行者保護特性が悪化し易くなるのである。
【0024】
さらに、かかるアングル部材14の長さ:L1 (図4参照)は、本発明に従う構成とされたエンジンフードが採用される車種によって様々な値を取り得るため、エンジンフード全長、換言すれば、図4に示されるインナーパネル10の車両前後方向における端から端までをLとして、L1 とLの関係式;0.3<L1 /L<0.6を満足する範囲とされることが好ましい。
【0025】
また、それらパネル外周部材12及びアングル部材14の材質に関しては、パネル外周部材12を与えるアルミニウム板材には、JIS呼称における3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金が好適に用いられる一方、アングル部材14を与える鋼板材には、自動車用鋼板が好適に用いられることとなる。
【0026】
そして、そのようなアングル部材14の複数本、ここでは5本が、パネル外周部材12の中央部に形成された窓部16を跨ぐ形態において、換言すれば、車両の幅方向に細長な略矩形形状の窓部16を形成する4辺のうち車両の走行方向(前後方向)に対向する1対の辺を橋渡しするような形態において、アングル部材14の凸部がエンジン側となると共に、その長手方向が車両の走行方向(図1において上下方向)と略平行な方向になるように、所定間隔を隔てて配列されている。このように、窓部16を跨ぐ形で、5本のアングル部材14が配列されることによって、窓部16は、6つの小さな窓部18に分割されている。
【0027】
さらに、そのように配列されたアングル部材14は、ここでは、パネル外周部材12との接触部位において接着剤20にて接着されることによって、パネル外周部材12と接合されている(図4及び図5参照)。なお、かかるアングル部材14とパネル外周部材12との接合は、歩行者との衝突時に受ける衝撃によって離間しない接合方法であれば、前述した接着剤による接合方式以外にも、公知の各種の接合方式が採用され得るところであって、その方式として、例えば、MIG、TIG、レーザー等の溶融溶接方式、FSW(摩擦撹拌接合)に代表される固相接合方式、リベット等による機械的接合方式を挙げることが出来る。
【0028】
また、ここでは、パネル外周部材12の窓部16を跨ぐ形態において配置したアングル部材14の本数を5本としたが、その本数は5本に限られるものではなく、4本や3本と少なくしたり、或いは6本以上に増やすことも可能であり、その数は、本発明の適用される自動車のエンジンフードの形状やその大きさに応じて、適宜に決定されることとなる。ただし、一般的な大きさの自動車(普通乗用車)のエンジンフードの幅は、1500mm程度であるところから、その幅に対してインナーパネル10(パネル外周部材12)に接合されているアングル部材14を1本のみとすると、衝突時の頭部(インパクタ)が、アングル部材14に当たらないエリアが存在することになり、歩行者の頭部障害を軽減するという本発明の目的を達成出来ない恐れが惹起されることとなる。そのため、本発明において、アングル部材14の本数は、2本以上、好ましくは3本以上とされることとなる。また、そのように配列されるそれぞれのアングル部材14,14の間隔は、それらの対向する側壁間の間隔として、インパクタの直径相当である165mm以下とされることが好ましいのである。
【0029】
そして、このような構成とされたインナーパネル10が、かかるインナーパネル10が採用される自動車のデザインに応じた、ここでは図示しない所定形状のアウターパネルと重ね合わされて、それらパネルが、所定方式をもって結合されることによって、自動車のエンジンフードが構成されることとなる。なお、そのようなインナーパネル10とアウターパネルとの結合は、例えば、インナーパネル10の端部が、アウターパネルの外周縁部に、公知のヘミング加工を施されることによって、それらを結合、一体化させることが出来る。
【0030】
このように、本発明に従う構造とされたインナーパネル10を採用した自動車のエンジンフードによれば、アルミニウム板製のパネル外周部材12と断面ハット形状の鋼板製アングル部材14とを組み合わせて、インナーパネル10が構成されているところから、エンジンフードを有利に軽量化することが出来ると共に、高い剛性を効果的に発揮することが可能となり、また交通事故時における歩行者の頭部傷害値をも有利に軽減することが出来ることとなるのである。
【0031】
すなわち、歩行者保護において、衝突時に頭部がぶつかるエンジンフード中央部の衝撃吸収性能を向上させるためには、かかる中央部に重い材料を使用するのが最も効果的であるが、本発明に従うエンジンフードを構成するインナーパネル10においては、インナーパネルを構成する軽量のアルミニウム合金製のパネル外周部材12の中央部分に窓部16を形成し、その窓部16が形成された部位に重量の重い鋼板製のアングル部材14を配置していることにより、衝撃吸収性能を効果的に向上せしめているのである。なお、中央部以外の外周部(パネル外周部材12部分)の衝撃吸収性能に関しては、その形状を衝撃吸収性の高い形状とすることによって、向上させることが可能である。
【0032】
なお、かかるインナーパネル10の外周部分を形成するパネル外周部材12は、アルミニウム板のプレス一体成形品であることが好ましい。これによって、パネル外周部材12を1回のプレス加工で形成することが可能となり、部品点数を少なくして、より経済的にインナーパネル10を構成することが出来るのである。また、アングル部材14も、鋼板のプレス成形品とされることが好ましい。即ち、鋼板製のアングル部材14を、板形状からアングル形状への単体のプレスとすることによって、前述したような断面ハット形状を呈するアングル部材14を容易にプレス加工にて形成することが可能となるのである。なお、鋼板あるいはアルミニウム板から、本発明の構造に従う形状のアングル部と外周部を一体でプレス成形して、目的とするインナーパネル形状とすることは、アングル部の断面形状からして困難である。
【0033】
また、鋼板製のアングル部材14は、その断面形状が、断面半球状や断面波形の形状とは異なり、断面ハット形状とされ、そしてそのハット形状の側壁が略垂直に立っているところから、断面二次モーメントが大きくなり、以て、優れた剛性を発揮して、効果的にインナーパネル10の剛性を高め得ることとなる。加えて、そのようなハット形状のアングル部材14は、凸部がエンジン側となり、フランジ部がアウターパネル側となるように配置されているため、凸部がアウターパネル側、フランジ部がエンジン側となるように配置する場合よりも、ねじり剛性をより高くすることが出来る特徴も有している。
【0034】
更にまた、インナーパネル10においては、アングル部材14の長手方向が、自動車の走行方向に対して略平行に配置されているため、歩行者との衝突の際に、走行方向(自動車の前後方向)の斜め上方から付加されることとなるインパクタからの外力に対して、最も剛性の高い配置となるのであり、初期の加速度が高くなる。これによって、歩行者保護特性をより有利に確保することが出来るのである。
【0035】
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施されるものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【0036】
また、本発明で言うところの「平行」が、完全に平行である状態を含むことは勿論、完全に平行でなくても、実質的に平行と認められる状態をも含むものであることが、理解されるべきである。
【実施例】
【0037】
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明の特徴について更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0038】
市販のFEM解析ソフトにより、シミュレーションを実行するために、先ず、エンジンフードのインナーパネルとアウターパネルをメッシュモデル化したものを作製した。その際、アウターパネル、インナーパネルの外周部(パネル外周部材)には、アルミニウム合金板(AA6009相当、調質T4)が使用されることを想定し、より実体フードに近い条件にてシミュレーションを実施する目的から、塗装焼付処理後の材料特性を解析モデルに入力した。一方、インナーパネルの鋼板製アングル部には、自動車用鋼板(JAC270D相当)が使用されることを想定し、その材料特性を解析モデルに入力した。
【0039】
また、ここで作製したメッシュモデルは、本発明の実施例として、前述した最良の形態を満足する図1〜5に示したような形状である、モデル1,2の2つを用意した。なお、それらモデル1、2は、共に、その外周部(パネル外周部材12部分)はアルミ合金で構成され、アングル部(アングル部材14部分)は鋼板製とされている。そして、これらのインナーパネル構成の詳細を、下記表1に示した。また、それらのアングル部の断面形状を、図14(a),(b)にそれぞれ示した。更に、それら外周部とアングル部は、溶接による接合を想定した。
【0040】
一方、従来技術の比較例として、前述の特許文献2を参考としたアルミ合金製波形フード(モデル4)、及び一般的な鋼板製フード(モデル3)の2つのメッシュモデルを作製した。なお、一般的な鋼板製フードであるモデル3については、モデル1,2と類似の形状であるが、アングル部の断面形状が異なっている(図15(a)参照)。また、モデル4にあっては、アングル形状ではなく、図15(b)に示されるように、断面を波形形状とした。なお、これらモデル3、4のインナーパネル構成の詳細を、下記表1に併せて示した。
【0041】
【表1】
【0042】
ところで、ここで作製したモデル1〜4の三次元モデルイメージを、図6,8,10,12に、更に、かかる三次元モデルのワイヤーフレームモデルを、図7,9,11,13にそれぞれ示した。なお、図6,8においては、色の濃い部分が鋼板製のアングル部を示している。
【0043】
そして、そのようなメッシュモデル化されたエンジンフードに対して、同様にメッシュモデルによるインパクタを衝突させるシミュレーションを行なった。その際、解析条件として、JNCAP(Japan New Car Assessment Program)における子供用頭部の衝突条件に即した条件を入力した。具体的には、重量:3.5kg、外径:165mmのインパクタを使用して、そのようなインパクタを、速度:35km/h、衝突角度:65°で、エンジンフードの中央部に衝突させ、最大となる頭部障害値を算出して、下記表2に、それぞれ示した。なお、歩行者の頭部障害値(HIC)は、よく知られているように、下記の式(1)により算出されるものである。
【0044】
[式]
但し、∫はt1 からt2 までの積分値であり、Aは頭部重心における3軸合成加速度、t1 ,t2 は0<t1 <t2 となる時刻で、HICが最大となる作用時間であり、(t2 −t1 )は15msec以下とする。
【0045】
ここで、一般的な頭部衝突試験における現象を説明する。先ず、インパクタがアウターパネルに衝突し、その直後にインナーパネルも同時に変形を開始する。この時点で加速度がピークを迎える。その後、ある一定の値まで加速度は低下し、インパクタのストロークと共に、ほぼ一定の水準で推移する。最終的にはインナーパネルがエンジン等のボンネット内部品(エンジンフード内部品)に接触し、加速度が上昇する。初期のエネルギー吸収量が少ない場合、インナーパネルとボンネット内部品との接触が早まり、最終段階の加速度上昇が大きくなることから、歩行者保護特性が悪化する(HICの値が大きくなる)。このような二次衝突を考慮するため、今回実施したシミュレーションにおいても、エンジン等のボンネット内部品を剛体としてメッシュモデル化し、解析モデルに織り込んだ。なお、アウターパネルとボンネット内部品との距離は車種により異なるが、ここでは、アウターパネル表面から衝突方向に対して75mmの位置に剛体を配置し、シミュレーションを実施した。また、ここでシミュレーションを実施したエンジンフードについては、特定の車種を対象としたものではなく、簡易的な形状とした。従って、本発明の実施例と従来技術である比較例の頭部傷害値の絶対値については、実際の車種におけるエンジンフードの意匠によって異なるが、ここでは、各解析結果を相対的に比較した。
【0046】
また、前述のJNCAPにおいては、HICが低いほど得点が高くなり、HIC650以下が最高得点となる(650以下は、全て最高得点となる)。但し、HICの値が650より小さいほど、インナーパネルとエンジン等との間の隙間を、さらに小さくすることが出来る。これは、HICが小さい場合には、二次衝突を早めても(エンジン等との隙間を小さくしても)、最高得点を取得できる可能性があるからである。即ち、車両デザインの自由度という点からも、HICは小さいほど好ましいのである。
【0047】
また、重量に関しては、4つのモデルを相対的に比較して結果を○、△、×の三段階で評価した結果と、さらに総合評価として、HICの値と重量の評価結果を併せて考慮し、それを○、×の二段階で評価した結果を、表2に併せ示した。
【0048】
【表2】
【0049】
かかる表2の結果から明らかなように、本発明に従う構造とされたモデル1,2のエンジンフードは、従来技術に従う構造であるモデル3,4のエンジンフードよりも、優れた頭部障害値を有していると共に、重量に関しても、全アルミニウム製のモデル4のエンジンフードほどは軽量化されないものの、鋼板製のモデル3のエンジンフードよりも、軽量化が有利に実現されることが確認された。
【符号の説明】
【0050】
10 インナーパネル
12 パネル外周部材
14 アングル部材
16,18 窓部
20 接着剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンフードに関し、特に、歩行者との衝突時における歩行者保護に効果的に対応し得ると共に、軽量で、高剛性を備えた自動車のエンジンフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のエンジンフードは、アウターパネルと、このアウターパネルの補強部材として、アウターパネルの内面側に重ね合わされるようにして設けられ、エンジンフードの骨格を形成してエンジンフードの剛性を確保するインナーパネルとから、構成されている。
【0003】
そして、このような構成とされたエンジンフードにおいて、高剛性のエンジンフードを得るためには、エンジンフードを最も効果的に補強し得るインナーパネルの構成として、複数の補強梁を格子状に配置する構造が、考えられる。
【0004】
しかしながら、近年、交通事故時における歩行者保護が強く要請されている状況下において、自動車が歩行者と衝突した際に、歩行者の頭部がエンジンフードに衝突することが少なくなく、これが致命傷になる恐れがあった。このため、上記のように、インナーパネルを複数の補強梁を格子状に配置する構造とした場合には、かかる複数の補強梁の交差部が、エンジンフードの他の部位に比べて著しく高剛性となるため、自動車が歩行者と衝突したときに、歩行者が前記交差部により強い衝撃を受け易くなるといった問題を惹起することとなるのである。
【0005】
そこで、そのような問題に対処すべく、特開2001−151159号公報(特許文献1)においては、アウターパネルに接合する補強パネルに多数のビードを配置して、曲げ剛性が縁部から中央部に向かって連続的に増加するようにして、実質的に同一の剛性を持たせて局部的な高剛性部位を無くし、エンジンフードの如何なる部位への頭部衝突の場合にも、常に同一の衝撃を受けるようにしたエンジンフードが、明らかにされている。
【0006】
また、国際公開:WO02/47961号公報(特許文献2)においては、アウターとインナーとが空間を介した閉断面構造をとって結合されたパネル構造体であって、インナーパネルを、インナー全面にわたって複数本の波形ビードが略平行に設けられた波形形状を呈するように構成して、その断面形状が、略頭部外径に近い波長のサイン曲線、サインn乗曲線、又はスプライン曲線である波形フード構造とされているエンジンフードが、明らかにされている。このようなエンジンフードによれば、エンジンフードへの衝突位置によらず、均一で優れた頭部衝突耐性を実現することが出来、且つ張り剛性等も高剛性化することが出来るとされている。
【0007】
一方、本発明者らは、先に、特開2008−247095号広報(特許文献3)において、アウターパネルとインナーパネルからなる自動車のエンジンフードにおいて、インナーパネルに、自動車の進行方向に延びる互いに平行な一対のスリットの複数と、該一対のスリット間のインナーパネル部位にアウターパネル側に突出させた切り起こし部とを形成し、且つ該切り起こし部の上端部がアウターパネルに接着されている一方、該切り起こし部の幅:Wが、10mm以上、50mm未満とされていることを特徴とする自動車のエンジンフードを、明らかにした。
【0008】
このような自動車のエンジンフードによれば、インナーパネルに形成された複数のスリット間を、アウターパネル側に突出するように所定の幅においてそれぞれ切り起こして、その切り起こし部の上端部をアウターパネルに接着せしめているところから、高い剛性を有すると共に、効率的に衝撃を吸収することが可能となり、交通事故時における歩行者の頭部障害値(HIC)を有利に軽減することが出来ることとなる。
【0009】
ところで、近年、環境問題の面から、更に燃費を向上させるためにも、より軽量化が求められており、エンジンフードをアルミニウム材料で形成することが検討されている。しかしながら、アルミニウム材料は、これまで一般的に自動車用エンジンフードの材料として用いられていた鋼板と比べて大きく軽量化出来るものの、強度や成形性の点において性能が低く、充分な剛性と歩行者保護特性(HIC値の軽減)の両方を得ることが出来ないものであった。
【0010】
また、歩行者保護の観点においては、インナーパネルとエンジン等のボンネット内の部品とが接触すると歩行者保護特性が悪化する(HIC値が大きくなる)ところから、それらを接触させない、或いは出来るだけそれらの接触を遅らせる必要がある。しかし、インナーパネルをエンジン等のボンネット内部品に接触させないようにするためには、インナーパネルの位置をエンジン等のボンネット内部品よりも充分に高くする必要があり、そうすると、アウターパネルの位置も高くなってしまい、その結果、車両デザインに制限が加わることに直結する。一方、インナーパネルを歩行者保護特性の良好なものにすれば、インナーパネルの位置を低くすることが出来、それによってアウターパネルの位置も低く出来ることとなり、車両のデザインの自由度が大きくなるという利点が生じることとなる。そこで、軽量で高剛性を備えると共に、交通事故時における歩行者の頭部障害値を有利に軽減し、衝突時の歩行者保護に対応することの出来る自動車のエンジンフードが求められてきているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−151159号公報
【特許文献2】国際公開:WO02/47961号公報
【特許文献3】特開2008−247095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、軽量で高剛性を有すると共に、交通事故時における歩行者の頭部障害を軽減することも可能となる自動車のエンジンフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そして、本発明にあっては、そのような課題を解決すべく、自動車のエンジンフードのインナーパネルの構造についてシミュレーションによる検討を鋭意重ねた結果として為された物であって、その要旨とするところは、アウターパネルとインナーパネルからなる自動車のエンジンフードにして、該インナーパネルは、中央部に開口空間が形成されてなるアルミニウム板製のパネル外周部材と、該開口空間を跨ぐ形で互いに平行に配された、断面ハット形状の鋼板製アングルの複数本とを有し、該アングルは、その凸部がエンジン側となるように、且つ該アングルの長手方向が自動車の走行方向に平行な方向となるように配置され、更に、該パネル外周部材と該アングルとは、接着、溶融溶接、固相接合或いは機械的接合により接合されていると共に、該アングルにおける凸部のコーナー角度:θと該凸部のコーナーのRとが、次式;95°≦θ≦135°、R≦8mm、を満足するように構成されていることを特徴とする自動車のエンジンフードにある。
【0014】
なお、かかる本発明に従う自動車のエンジンフードの望ましい態様の一つによれば、前記パネル外周部材は、アルミニウム板のプレス一体成形品にて構成され、また別の望ましい態様の一つによれば、前記鋼板製アングルは、鋼板のプレス成形品にて構成されることとなる。
【0015】
さらに、このような本発明に従う自動車のエンジンフードの好ましい態様の一つにあっては、隣接する前記鋼板製アングルは、それらの対向する側壁間の間隔が165mm以下となるようにして、配設されることとなる。
【発明の効果】
【0016】
従って、このような本発明に従う構成とされた自動車用エンジンフードによれば、インナーパネルの本体部分となるアルミニウム板製のパネル外周部材において、その中央部に形成された窓部である開口空間を跨ぐ形で、所定のコーナー角度とコーナーRにおいて形成された断面ハット形状の鋼板製アングルの複数本が互いに平行に配されると共に、それらパネル外周部材とアングルとが所定の接合手段によって接合された構造、換言すれば、アルミニウム板製のパネル外周部材にアルミニウム材料よりもヤング率が高く密度の大きい鋼板製アングルを接合することによって補強した構造とされているところから、高い剛性を効果的に発揮することが可能となると共に、交通事故時における歩行者の頭部傷害値を有利に軽減することが出来ることとなるのである。
【0017】
しかも、本発明にあっては、アルミニウム板製のパネル外周部材と鋼板製のアングルとを組み合わせているところから、従来の全体が鉄製のエンジンフードよりも、更に軽量化された自動車用エンジンフードを提供することが可能となると共に、アルミニウム材料のみから形成されたエンジンフードよりも、歩行者保護特性に優れるものを提供することが可能となったのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う自動車のエンジンフードを構成するインナーパネルの一例を示す平面説明図である。
【図2】図1におけるA−A切断線にて切断した端面を示す端面説明図である。
【図3】図2におけるC部分を拡大して示す説明図である。
【図4】図1におけるB−B切断線にて切断した端面を示す端面説明図である。
【図5】図4におけるD部分を拡大して示す説明図である。
【図6】実施例において検討した本発明に従う構造のインナーパネルの三次元モデルの一つを示す斜視図である。
【図7】図6に示した三次元モデルのワイヤーフレームモデルである。
【図8】実施例において検討した本発明に従う構造のインナーパネルの三次元モデルの別の一つを示す斜視図である。
【図9】図8に示した三次元モデルのワイヤーフレームモデルである。
【図10】実施例において検討した従来の構造のインナーパネルの三次元モデルの一つを示す斜視図である。
【図11】図10に示した三次元モデルのワイヤーフレームモデルである。
【図12】実施例において検討した従来の構造のインナーパネルの三次元モデルの別の一つを示す斜視図である。
【図13】図12に示した三次元モデルのワイヤーフレームモデルである。
【図14】実施例において検討した本発明に従う構造とされたインナーパネルにおけるアングル部材の断面形状を示す説明図であって、(a)は、図6に示したインナーパネルのものを、(b)は、図8に示したインナーパネルのものを、それぞれ示している。
【図15】実施例において検討した従来の構造とされたインナーパネルの断面の一部を示す説明図であって、(a)は、図10に示したインナーパネルにおけるアングル部の断面形状を示し、(b)は、図12に示したインナーパネルの中央部に形成された波形形状部分の断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0020】
先ず、図1には、本発明に従う自動車のエンジンフードを、アウターパネルと共に構成するインナーパネルの一実施形態が、平面図の形態において、概略的に示されている。そこにおいて、インナーパネル10は、中央部位に所定大きさの開口空間である矩形の窓部16が形成されてなる板状のパネル外周部材12と、かかる窓部16を車両の前後方向に跨ぐ形で互いに平行に所定間隔を隔てて配された複数本のアングル部材14とから、構成されている。
【0021】
より詳細には、インナーパネル10の外形形状を与えるパネル外周部材12は、パネル本体を構成するものであって、所定のアルミニウム材料からなるアルミニウム板に、公知のプレス加工等を施すことによって、一体的に形成されており、その中央部には、板状のパネル外周部材12の厚み方向に貫通するように開口する空間である、略矩形形状を呈する窓部16が、所定の大きさをもって形成されているのである。また、かかるパネル外周部材12は、その車両の前後方向に相当する図の上下方向における上辺及び下辺が、それぞれ、下方に凸なる略円弧形状を呈すると共に、その右辺及び左辺が、それぞれ車両外側に向かって略円弧形状を呈するように、構成されている。
【0022】
一方、鋼板製のアングル部材14は、図2及び図3に示されるように、その断面がハット形状を呈すると共に、パネル外周部材12に形成された窓部16を橋渡し出来る程度の長さ:Lとされている。そして、アングル部材14の断面ハット形状は、図3に拡大して示されるように、凸部の角部の角度であるコーナー角度:θが、95°以上135°以下、好ましくは上限が120°程度となるようにされると共に、コーナー(角部)のR(曲率半径)が、8mm以下、好ましくは下限が5mm程度となるように形成されている。これは、コーナー角度:θが90°以上95°未満とされた場合にあっては、鋼鉄板をプレス加工によってアングル形状に曲げ加工した後に、成形したアングル部材が金型から離型し難い不具合が生じる恐れがあるからであり、また、θが90°未満とされた場合にあっては、そのような角度をもつアングル部材の曲げ加工自体が難しくなり、実現しようとすると、高価で複雑な曲げ加工装置が必要となると共に、θが90°とされた場合よりも断面二次モーメントが小さくなってしまい、高剛性が得られないからである。一方、θが135°を超える角度とされた場合にあっては、断面二次モーメントが小さくなり、充分な剛性が得られなくなってしまうのである。また、コーナーのRにおいても、その大きさが8mmを超えた場合にあっては、断面二次モーメントが小さくなり、充分な剛性が得られなくなるのである。
【0023】
なお、かかるアングル部材14のハット形状の高さ:Hは、好ましくは15〜30mm程度、また、ハット形状の開口部における幅:Wは、好ましくは20〜50mm程度とされることとなる。即ち、ハット形状の高さ:Hが15mmよりも小さくされた場合には、断面二次モーメントが小さくなり、歩行者保護特性及びエンジンフード全体のねじり剛性が悪化し易くなるためであり、一方、Hが30mmよりも大きくされた場合にあっては、断面二次モーメントは大きくなるものの、エンジン等のボンネット内部品への二次衝突が早くなり、結果的に歩行者保護特性が悪化し易くなるためである。また、幅:Wが20mmよりも小さくされた場合にあっても、断面二次モーメントが小さくなってしまい、歩行者保護特性及びエンジンフード全体のねじり特性が悪化し易くなり、Wが50mmよりも大きくされた場合には、アングル内壁間が大きすぎるため、インパクター衝突初期にアウターパネルのみが変形してしまい、歩行者保護特性が悪化し易くなるのである。
【0024】
さらに、かかるアングル部材14の長さ:L1 (図4参照)は、本発明に従う構成とされたエンジンフードが採用される車種によって様々な値を取り得るため、エンジンフード全長、換言すれば、図4に示されるインナーパネル10の車両前後方向における端から端までをLとして、L1 とLの関係式;0.3<L1 /L<0.6を満足する範囲とされることが好ましい。
【0025】
また、それらパネル外周部材12及びアングル部材14の材質に関しては、パネル外周部材12を与えるアルミニウム板材には、JIS呼称における3000系、5000系、又は6000系のアルミニウム合金が好適に用いられる一方、アングル部材14を与える鋼板材には、自動車用鋼板が好適に用いられることとなる。
【0026】
そして、そのようなアングル部材14の複数本、ここでは5本が、パネル外周部材12の中央部に形成された窓部16を跨ぐ形態において、換言すれば、車両の幅方向に細長な略矩形形状の窓部16を形成する4辺のうち車両の走行方向(前後方向)に対向する1対の辺を橋渡しするような形態において、アングル部材14の凸部がエンジン側となると共に、その長手方向が車両の走行方向(図1において上下方向)と略平行な方向になるように、所定間隔を隔てて配列されている。このように、窓部16を跨ぐ形で、5本のアングル部材14が配列されることによって、窓部16は、6つの小さな窓部18に分割されている。
【0027】
さらに、そのように配列されたアングル部材14は、ここでは、パネル外周部材12との接触部位において接着剤20にて接着されることによって、パネル外周部材12と接合されている(図4及び図5参照)。なお、かかるアングル部材14とパネル外周部材12との接合は、歩行者との衝突時に受ける衝撃によって離間しない接合方法であれば、前述した接着剤による接合方式以外にも、公知の各種の接合方式が採用され得るところであって、その方式として、例えば、MIG、TIG、レーザー等の溶融溶接方式、FSW(摩擦撹拌接合)に代表される固相接合方式、リベット等による機械的接合方式を挙げることが出来る。
【0028】
また、ここでは、パネル外周部材12の窓部16を跨ぐ形態において配置したアングル部材14の本数を5本としたが、その本数は5本に限られるものではなく、4本や3本と少なくしたり、或いは6本以上に増やすことも可能であり、その数は、本発明の適用される自動車のエンジンフードの形状やその大きさに応じて、適宜に決定されることとなる。ただし、一般的な大きさの自動車(普通乗用車)のエンジンフードの幅は、1500mm程度であるところから、その幅に対してインナーパネル10(パネル外周部材12)に接合されているアングル部材14を1本のみとすると、衝突時の頭部(インパクタ)が、アングル部材14に当たらないエリアが存在することになり、歩行者の頭部障害を軽減するという本発明の目的を達成出来ない恐れが惹起されることとなる。そのため、本発明において、アングル部材14の本数は、2本以上、好ましくは3本以上とされることとなる。また、そのように配列されるそれぞれのアングル部材14,14の間隔は、それらの対向する側壁間の間隔として、インパクタの直径相当である165mm以下とされることが好ましいのである。
【0029】
そして、このような構成とされたインナーパネル10が、かかるインナーパネル10が採用される自動車のデザインに応じた、ここでは図示しない所定形状のアウターパネルと重ね合わされて、それらパネルが、所定方式をもって結合されることによって、自動車のエンジンフードが構成されることとなる。なお、そのようなインナーパネル10とアウターパネルとの結合は、例えば、インナーパネル10の端部が、アウターパネルの外周縁部に、公知のヘミング加工を施されることによって、それらを結合、一体化させることが出来る。
【0030】
このように、本発明に従う構造とされたインナーパネル10を採用した自動車のエンジンフードによれば、アルミニウム板製のパネル外周部材12と断面ハット形状の鋼板製アングル部材14とを組み合わせて、インナーパネル10が構成されているところから、エンジンフードを有利に軽量化することが出来ると共に、高い剛性を効果的に発揮することが可能となり、また交通事故時における歩行者の頭部傷害値をも有利に軽減することが出来ることとなるのである。
【0031】
すなわち、歩行者保護において、衝突時に頭部がぶつかるエンジンフード中央部の衝撃吸収性能を向上させるためには、かかる中央部に重い材料を使用するのが最も効果的であるが、本発明に従うエンジンフードを構成するインナーパネル10においては、インナーパネルを構成する軽量のアルミニウム合金製のパネル外周部材12の中央部分に窓部16を形成し、その窓部16が形成された部位に重量の重い鋼板製のアングル部材14を配置していることにより、衝撃吸収性能を効果的に向上せしめているのである。なお、中央部以外の外周部(パネル外周部材12部分)の衝撃吸収性能に関しては、その形状を衝撃吸収性の高い形状とすることによって、向上させることが可能である。
【0032】
なお、かかるインナーパネル10の外周部分を形成するパネル外周部材12は、アルミニウム板のプレス一体成形品であることが好ましい。これによって、パネル外周部材12を1回のプレス加工で形成することが可能となり、部品点数を少なくして、より経済的にインナーパネル10を構成することが出来るのである。また、アングル部材14も、鋼板のプレス成形品とされることが好ましい。即ち、鋼板製のアングル部材14を、板形状からアングル形状への単体のプレスとすることによって、前述したような断面ハット形状を呈するアングル部材14を容易にプレス加工にて形成することが可能となるのである。なお、鋼板あるいはアルミニウム板から、本発明の構造に従う形状のアングル部と外周部を一体でプレス成形して、目的とするインナーパネル形状とすることは、アングル部の断面形状からして困難である。
【0033】
また、鋼板製のアングル部材14は、その断面形状が、断面半球状や断面波形の形状とは異なり、断面ハット形状とされ、そしてそのハット形状の側壁が略垂直に立っているところから、断面二次モーメントが大きくなり、以て、優れた剛性を発揮して、効果的にインナーパネル10の剛性を高め得ることとなる。加えて、そのようなハット形状のアングル部材14は、凸部がエンジン側となり、フランジ部がアウターパネル側となるように配置されているため、凸部がアウターパネル側、フランジ部がエンジン側となるように配置する場合よりも、ねじり剛性をより高くすることが出来る特徴も有している。
【0034】
更にまた、インナーパネル10においては、アングル部材14の長手方向が、自動車の走行方向に対して略平行に配置されているため、歩行者との衝突の際に、走行方向(自動車の前後方向)の斜め上方から付加されることとなるインパクタからの外力に対して、最も剛性の高い配置となるのであり、初期の加速度が高くなる。これによって、歩行者保護特性をより有利に確保することが出来るのである。
【0035】
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施されるものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【0036】
また、本発明で言うところの「平行」が、完全に平行である状態を含むことは勿論、完全に平行でなくても、実質的に平行と認められる状態をも含むものであることが、理解されるべきである。
【実施例】
【0037】
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明の特徴について更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0038】
市販のFEM解析ソフトにより、シミュレーションを実行するために、先ず、エンジンフードのインナーパネルとアウターパネルをメッシュモデル化したものを作製した。その際、アウターパネル、インナーパネルの外周部(パネル外周部材)には、アルミニウム合金板(AA6009相当、調質T4)が使用されることを想定し、より実体フードに近い条件にてシミュレーションを実施する目的から、塗装焼付処理後の材料特性を解析モデルに入力した。一方、インナーパネルの鋼板製アングル部には、自動車用鋼板(JAC270D相当)が使用されることを想定し、その材料特性を解析モデルに入力した。
【0039】
また、ここで作製したメッシュモデルは、本発明の実施例として、前述した最良の形態を満足する図1〜5に示したような形状である、モデル1,2の2つを用意した。なお、それらモデル1、2は、共に、その外周部(パネル外周部材12部分)はアルミ合金で構成され、アングル部(アングル部材14部分)は鋼板製とされている。そして、これらのインナーパネル構成の詳細を、下記表1に示した。また、それらのアングル部の断面形状を、図14(a),(b)にそれぞれ示した。更に、それら外周部とアングル部は、溶接による接合を想定した。
【0040】
一方、従来技術の比較例として、前述の特許文献2を参考としたアルミ合金製波形フード(モデル4)、及び一般的な鋼板製フード(モデル3)の2つのメッシュモデルを作製した。なお、一般的な鋼板製フードであるモデル3については、モデル1,2と類似の形状であるが、アングル部の断面形状が異なっている(図15(a)参照)。また、モデル4にあっては、アングル形状ではなく、図15(b)に示されるように、断面を波形形状とした。なお、これらモデル3、4のインナーパネル構成の詳細を、下記表1に併せて示した。
【0041】
【表1】
【0042】
ところで、ここで作製したモデル1〜4の三次元モデルイメージを、図6,8,10,12に、更に、かかる三次元モデルのワイヤーフレームモデルを、図7,9,11,13にそれぞれ示した。なお、図6,8においては、色の濃い部分が鋼板製のアングル部を示している。
【0043】
そして、そのようなメッシュモデル化されたエンジンフードに対して、同様にメッシュモデルによるインパクタを衝突させるシミュレーションを行なった。その際、解析条件として、JNCAP(Japan New Car Assessment Program)における子供用頭部の衝突条件に即した条件を入力した。具体的には、重量:3.5kg、外径:165mmのインパクタを使用して、そのようなインパクタを、速度:35km/h、衝突角度:65°で、エンジンフードの中央部に衝突させ、最大となる頭部障害値を算出して、下記表2に、それぞれ示した。なお、歩行者の頭部障害値(HIC)は、よく知られているように、下記の式(1)により算出されるものである。
【0044】
[式]
但し、∫はt1 からt2 までの積分値であり、Aは頭部重心における3軸合成加速度、t1 ,t2 は0<t1 <t2 となる時刻で、HICが最大となる作用時間であり、(t2 −t1 )は15msec以下とする。
【0045】
ここで、一般的な頭部衝突試験における現象を説明する。先ず、インパクタがアウターパネルに衝突し、その直後にインナーパネルも同時に変形を開始する。この時点で加速度がピークを迎える。その後、ある一定の値まで加速度は低下し、インパクタのストロークと共に、ほぼ一定の水準で推移する。最終的にはインナーパネルがエンジン等のボンネット内部品(エンジンフード内部品)に接触し、加速度が上昇する。初期のエネルギー吸収量が少ない場合、インナーパネルとボンネット内部品との接触が早まり、最終段階の加速度上昇が大きくなることから、歩行者保護特性が悪化する(HICの値が大きくなる)。このような二次衝突を考慮するため、今回実施したシミュレーションにおいても、エンジン等のボンネット内部品を剛体としてメッシュモデル化し、解析モデルに織り込んだ。なお、アウターパネルとボンネット内部品との距離は車種により異なるが、ここでは、アウターパネル表面から衝突方向に対して75mmの位置に剛体を配置し、シミュレーションを実施した。また、ここでシミュレーションを実施したエンジンフードについては、特定の車種を対象としたものではなく、簡易的な形状とした。従って、本発明の実施例と従来技術である比較例の頭部傷害値の絶対値については、実際の車種におけるエンジンフードの意匠によって異なるが、ここでは、各解析結果を相対的に比較した。
【0046】
また、前述のJNCAPにおいては、HICが低いほど得点が高くなり、HIC650以下が最高得点となる(650以下は、全て最高得点となる)。但し、HICの値が650より小さいほど、インナーパネルとエンジン等との間の隙間を、さらに小さくすることが出来る。これは、HICが小さい場合には、二次衝突を早めても(エンジン等との隙間を小さくしても)、最高得点を取得できる可能性があるからである。即ち、車両デザインの自由度という点からも、HICは小さいほど好ましいのである。
【0047】
また、重量に関しては、4つのモデルを相対的に比較して結果を○、△、×の三段階で評価した結果と、さらに総合評価として、HICの値と重量の評価結果を併せて考慮し、それを○、×の二段階で評価した結果を、表2に併せ示した。
【0048】
【表2】
【0049】
かかる表2の結果から明らかなように、本発明に従う構造とされたモデル1,2のエンジンフードは、従来技術に従う構造であるモデル3,4のエンジンフードよりも、優れた頭部障害値を有していると共に、重量に関しても、全アルミニウム製のモデル4のエンジンフードほどは軽量化されないものの、鋼板製のモデル3のエンジンフードよりも、軽量化が有利に実現されることが確認された。
【符号の説明】
【0050】
10 インナーパネル
12 パネル外周部材
14 アングル部材
16,18 窓部
20 接着剤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターパネルとインナーパネルからなる自動車のエンジンフードにして、
該インナーパネルは、中央部に開口空間が形成されてなるアルミニウム板製のパネル外周部材と、該開口空間を跨ぐ形で互いに平行に配された、断面ハット形状の鋼板製アングルの複数本とを有し、該アングルは、その凸部がエンジン側となるように、且つ該アングルの長手方向が自動車の走行方向に平行な方向となるように配置され、更に、該パネル外周部材と該アングルとは、接着、溶融溶接、固相接合或いは機械的接合により接合されていると共に、該アングルにおける凸部のコーナー角度:θと該凸部のコーナーのRとが、次式;95°≦θ≦135°、R≦8mm、を満足するように構成されていることを特徴とする自動車のエンジンフード。
【請求項2】
前記パネル外周部材が、アルミニウム板のプレス一体成形品にて構成されている請求項1に記載の自動車のエンジンフード。
【請求項3】
前記鋼板製アングルが、鋼板のプレス成形品にて構成されている請求項1又は請求項2に記載の自動車のエンジンフード。
【請求項4】
隣接する前記鋼板製アングルが、それらの対向する側壁間の間隔が165mm以下となるようにして、配設されている請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の自動車のエンジンフード。
【請求項1】
アウターパネルとインナーパネルからなる自動車のエンジンフードにして、
該インナーパネルは、中央部に開口空間が形成されてなるアルミニウム板製のパネル外周部材と、該開口空間を跨ぐ形で互いに平行に配された、断面ハット形状の鋼板製アングルの複数本とを有し、該アングルは、その凸部がエンジン側となるように、且つ該アングルの長手方向が自動車の走行方向に平行な方向となるように配置され、更に、該パネル外周部材と該アングルとは、接着、溶融溶接、固相接合或いは機械的接合により接合されていると共に、該アングルにおける凸部のコーナー角度:θと該凸部のコーナーのRとが、次式;95°≦θ≦135°、R≦8mm、を満足するように構成されていることを特徴とする自動車のエンジンフード。
【請求項2】
前記パネル外周部材が、アルミニウム板のプレス一体成形品にて構成されている請求項1に記載の自動車のエンジンフード。
【請求項3】
前記鋼板製アングルが、鋼板のプレス成形品にて構成されている請求項1又は請求項2に記載の自動車のエンジンフード。
【請求項4】
隣接する前記鋼板製アングルが、それらの対向する側壁間の間隔が165mm以下となるようにして、配設されている請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の自動車のエンジンフード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−148413(P2011−148413A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11781(P2010−11781)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)
【Fターム(参考)】
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