説明

自動車のセンタピラー構造

【課題】センタピラーレインフォースを含めセンタピラーに超高張力鋼板を使用して構成し、骨格剛性と共にルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度に対して高まる要求性能を達成するようにしたとしても、良好なプレス成形性を確保できるように構成した自動車のセンタピラー構造を提供する。
【解決手段】センタピラーレインフォースインナ6の上端部に、自動車の前後方向に延在する連結壁部7を形成して、連結壁部7をルーフサイドレイルアウタ及びルーフサイドレイルインナ1bにおける両フランジ部同士に共に結合することにより、センタピラーアウタにおけるルーフサイドレイルアウタ側への連結部が、センタピラーアウタにおける一般部の前後方向寸法とほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ルーフサイドレイルにセンタピラーの上部を結合することにより構成する車体側部骨格としての自動車のセンタピラー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる自動車のセンタピラー構造には、自動車の性能上、骨格剛性を有することが求められると共に、ルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度を有することが求められている。ここで、骨格剛性とは、自動車の走行時の弾性変形による骨格のたわみや振動を抑制して、乗り心地を良くするために必要な剛性であり、ルーフ圧壊入力方向強度は、自動車が横転事故などに遭遇した際にルーフが潰れないようにして乗員を保護するために必要な強度であり、側面衝突入力方向強度は、自動車の側面衝突(以下、「側突」と略称する。)に遭遇した際に当該側突による衝撃を吸収して乗員を保護するために必要な強度である。
【0003】
そこで、従来のこの種の自動車のセンタピラー構造として、例えば、次に記載のような技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−292367号公報
【特許文献2】特開2009−35095号公報
【0005】
すなわち、従来のセンタピラー構造は、図7乃至図10に示すように、ルーフサイドレイルアウタaとルーフサイドレイルインナbとがそれぞれのフランジ部同士を互いに接合することにより閉断面構造を有したルーフサイドレイルcを構成すると共に、ルーフサイドレイルcに上部が結合されるセンタピラーdの上部が、車外側に存するセンタピラーアウタeと車室側に存するセンタピラーインナfにより閉断面構造を有して構成している。そして、センタピラーアウタeは、ルーフサイドレイルアウタa側に連結されていると共に、センタピラーインナfは、ルーフサイドレイルインナb側に連結されている。更に、センタピラーdの閉断面内において、センタピラーアウタeにセンタピラーレインフォースアウタg添設されていると共に、センタピラーインナfにセンタピラーレインフォースインナhを添設することにより、補強構造が採られている。
【0006】
したがって、従来のセンタピラー構造は、先ず、センタピラーアウタeの上端部に自動車の前後方向に延在する連結壁部jを一体的に形成し、連結壁部jをルーフサイドレイルアウタaの車外側に接合連結することにより、骨格構造を構成し、また、センタピラーアウタeにセンタピラーレインフォースアウタgを添設することによって、自動車の側突時に生ずる側面衝突荷重Sによって生ずる衝撃を吸収するための側面衝突入力方向強度を発揮していると共に、自動車の横転事故などに生ずるルーフ圧潰荷重Rによってルーフが潰れないようにして乗員を保護するためのルーフ圧壊入力方向強度を発揮するように構成している。なお、ルーフサイドレイルアウタa及びセンタピラーアウタeの車外側は、ボディーサイドパネルkにより覆われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そして、最近自動車におけるセンタピラー構造は、上記骨格剛性と共にルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度に対して高度の要求性能を求める傾向にある。かかることから、センタピラーdを構成するセンタピラーアウタe及びセンタピラーインナfはもちろん、センタピラーレインフォースアウタg及びセンタピラーレインフォースインナhの材質として、超高張力鋼板が広く使用されるようになってきている。
【0008】
この結果、特に、センタピラーアウタは、高張力鋼板を使用することにより、そのプレス成形の難易度が著しく高まり、成形時に割れ或いは皺を生じさせる要因ともなってしまう。なぜならば、これは、センタピラーインナfが、できる限り大きな車室容積を確保しようと意図していることから押し並べて平面的に近い形状であるが故に折り曲げ成形を主体として成形できる形状になっていることに対して、センタピラーアウタeは、概して断面を稼ぐため自動車の外方に突出するような凸形状であることから、絞り成形を主体として成形する必要があることからである。加えて、センタピラーアウタeは、その上端部に自動車の前後方向に延在する連結壁部jが存することから、高張力鋼板を使用する結果、プレス時に生じる成形ひずみにより連結壁部jの捩れが発生し、益々プレス成形の難易度を高くしてしまうことになる。
【0009】
そこで、この発明は、かかる従来の技術における未解決課題に鑑み、センタピラーレインフォースを含めセンタピラーに超高張力鋼板を使用して構成し、骨格剛性と共にルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度に対して高まる要求性能を達成するようにしたとしても、良好なプレス成形性を確保できるように構成した自動車のセンタピラー構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る自動車のセンタピラー構造は、第1に、ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとがそれぞれのフランジ部同士を互いに接合することにより閉断面構造を有するルーフサイドレイルを構成すると共に、ルーフサイドレイルに上部が結合されるセンタピラーを、車外側に存するセンタピラーアウタと車室側に存するセンタピラーインナとにより閉断面構造を有して構成して、センタピラーアウタがルーフサイドレイルアウタ側に連結されていると共にセンタピラーインナがルーフサイドレイルインナ側に連結されており、且つ、センタピラーアウタにセンタピラーレインフォースアウタを添設すると共に、センタピラーインナにセンタピラーレインフォースインナを添設することにより補強構造となした自動車のセンタピラー構造であって、センタピラーレインフォースインナの上端部に、自動車の前方向又は後方向に延在する連結壁部を形成して、連結壁部をルーフサイドレイルアウタ及びルーフサイドレイルインナにおける両フランジ部同士に共に結合することにより、センタピラーアウタにおけるルーフサイドレイルアウタ側への連結部が、センタピラーアウタの一般部の前後方向寸法とほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
したがってこの発明は、センタピラーアウタ及びセンタピラーインナに加えて、センタピラーレインフォースアウタ及びセンタピラーレインフォースインナを超高張力鋼板を使用して構成したとしても、センタピラーアウタにおけるルーフサイドレイルアウタ側への連結部が、センタピラーアウタの自動車の前後方向寸法とほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されていることから、プレス成形性を向上させることができ、しかも、センタピラーインナに添設するセンタピラーレインフォースインナが、その上端部に自動車の前又は後方向に延在する連結壁部を有して形成されたとしても、センタピラーインナと共に比較的平面に近い形状を呈するが故に折り曲げ成形を主体とすることができることから、プレス成形の難易度を高めることがなく、全体構造として成形性を向上させることができる。
【0012】
また、この発明は、センタピラーアウタ及びセンタピラーインナにそれぞれセンタピラーレインフォースアウタ及びセンタピラーレインフォースインナを添設していることから、従来と同様に、ルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度に対する要求性能を達成することができると共に、センタピラーレインフォースインナの上端部に自動車の前方向又は後方向に延在するように形成した連結壁部が、ルーフサイドレイルアウタ及びルーフサイドレイルインナにおける両フランジ部同士に共に結合されていることから、所定の骨格剛性を確保することができる。
【0013】
この発明に係る自動車のセンタピラー構造は、第2に、ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとがそれぞれのフランジ部同士を互いに接合することにより閉断面構造を有するルーフサイドレイルを構成すると共に、ルーフサイドレイルに上部が結合されるセンタピラーを、車外側に存するセンタピラーアウタと車室側に存するセンタピラーインナとにより閉断面構造を有して構成して、センタピラーアウタがルーフサイドレイルアウタ側に連結されていると共にセンタピラーインナがルーフサイドレイルインナ側に連結されており、且つ、センタピラーアウタにセンタピラーレインフォースアウタを添設すると共に、センタピラーインナにセンタピラーレインフォースインナを添設することにより補強構造となした自動車のセンタピラー構造であって、センタピラーレインフォースインナの上端部に、自動車の前方向又は後方向に延在する連結壁部を形成して、連結壁部をルーフサイドレイルアウタ及びルーフサイドレイルインナにおける両フランジ部同士に共に結合することにより、センタピラーアウタにおけるルーフサイドレイルアウタ側への連結部が、センタピラーレインフォースインナに形成した連結壁部における自動車の前後方向寸法より小寸法に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
したがってこの発明は、センタピラーアウタ及びセンタピラーインナに加えて、センタピラーレインフォースアウタ及びセンタピラーレインフォースインナを超高張力鋼板を使用して構成したとしても、センタピラーアウタにおけるルーフサイドレイルアウタ側への連結部が、センタピラーレインフォースインナに形成した連結壁部における自動車の前後方向寸法より小寸法に形成されていることから、成形性を向上させることができ、しかも、センタピラーインナに添設するセンタピラーレインフォースインナが、その上端部に自動車の前又は後方向に延在する連結壁部を有して形成されたとしても、センタピラーインナと同様に比較的平面に近い形状を呈するが故に折り曲げ成形を主体とすることができることから、プレス成形の難易度を高めることがなく、全体構造として成形性を向上させることができる。
【0015】
また、この発明は、センタピラーアウタ及びセンタピラーインナにそれぞれセンタピラーレインフォースアウタ及びセンタピラーレインフォースインナを添設していることから、従来と同様に、ルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度に対する要求性能を達成することができると共に、センタピラーレインフォースインナの上端部に自動車の前方向又は後方向に延在するように形成した連結壁部が、ルーフサイドレイルアウタ及びルーフサイドレイルインナにおける両フランジ部同士に共に結合されていることから、所定の骨格剛性を確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、センタピラーアウタ及びセンタピラーインナに加えて、センタピラーレインフォースアウタ及びセンタピラーレインフォースインナを超高張力鋼板を使用して構成したとしても、センタピラーアウタにおけるルーフサイドレイルアウタ側への連結部が、センタピラーアウタの自動車の前後方向寸法とほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されているか、又はセンタピラーレインフォースインナに形成した連結壁部における自動車の前後方向寸法より小寸法に形成されていることから、成形性を向上させることができ、しかも、センタピラーインナに添設するセンタピラーレインフォースインナの上端部に自動車の前又は後方向に延在する連結壁部を形成したとしても、センタピラーインナと同様に比較的平面に近い形状を呈するが故に折り曲げ成形を主体とすることができることから、プレス成形の難易度を高めることがなく、全体構造として成形性を向上させることができる。
【0017】
しかも、この発明は、センタピラーアウタ及びセンタピラーインナにそれぞれセンタピラーレインフォースアウタ及びセンタピラーレインフォースインナを添設していることから、従来と同様に、ルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度に対する要求性能を達成することができると共に、センタピラーレインフォースインナの上端部に自動車の前方向又は後方向に延在するように形成した連結壁部が、ルーフサイドレイルアウタ及びルーフサイドレイルインナにおける両フランジ部同士に共に結合されていることから、所定の骨格剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施例に係るセンタピラー構造の車体上部側を車室側から描画した側面図である。
【図2】図1に示すセンタピラー構造を構成するセンタピラーレインフォースアウタが添設されたセンタピラーアウタについて、車室側から描画した側面図である。
【図3】図1のX−X断面図である。
【図4】図3に示す自動車のセンタピラー構造について、センタピラーアウタ、センタピラーレインフォースアウタ、センタピラーインナ及びセンタピラーレインフォースインナに分解して車外側から描画した側面図である。
【図5】この発明の他の実施例に係るセンタピラー構造について、センタピラーアウタ、センタピラーレインフォースアウタ、センタピラーインナ及びセンタピラーレインフォースインナに分解して車外側から描画した側面図である。
【図6】この発明の更に他の実施例に係るセンタピラーレインフォースインナを車外側から描画した側面図である。
【図7】従来におけるセンタピラー構造の車体上部側を車外側から描画した側面図である。
【図8】図7のY−Y線における断面図である。
【図9】図7におけるセンタピラーレインフォースアウタを添設したセンタピラーアウタを車室側から描画した側面図である。
【図10】図7におけるセンタピラーレインフォースインナを添設したセンタピラーインナを車外側から描画した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明に係る実施例における自動車のセンタピラー構造は、センタピラーレインフォースを含めセンタピラーに超高張力鋼板を使用して構成し、骨格剛性と共にルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度に対して高まる要求性能を達成するようにしたとしても、良好なプレス成形性を確保できるように構成したものである。
【0020】
次に、図を用いて、この発明を採用した実施例に係る自動車のセンタピラー構造について説明する。 先ず、図1〜図4を用いて、本発明に係るセンタピラー構造の一実施例について説明する。 即ち、図1に示すように、この実施例に係る自動車のセンタピラー構造は、自動車の前後方向に延在し互いに離間した状態のルーフサイドレイル1とサイドシル(不図示)との間に、センタピラー2が配設されて構成されている。
【0021】
ルーフサイドレイル1は、図3に明らかに示すように、ルーフサイドレイルアウタ1aとルーフサイドレイルインナ1bとがそれぞれのフランジ部同士を互いに接合することにより閉断面構造を有して構成している。ルーフサイドレイル1には、センタピラー2の上部が結合されている。
【0022】
センタピラー2は、車外側に存するセンタピラーアウタ3と車室側に存するセンタピラーインナ4とをそれぞれのフランジ部同士を互いに溶接等により接合することによって形成された閉断面構造を有して構成している。
【0023】
センタピラーアウタ3の車室側には、図2に示すように、センタピラーレインフォースアウタ5が添設されていると共に、センタピラーインナ4の車外側には、図3に示すように、センタピラーレインフォースインナ6が添設されて、補強構造となしている。
【0024】
そして、センタピラーレインフォースインナ6の上端部には、図4において明らかに示すように、自動車の前後方向に延在する連結壁部7が形成されている。連結壁部7は、図3に示すように、ルーフサイドレイルアウタ1aの上下両フランジ1a−1、1a−2とルーフサイドレイルインナ1bの上下両フランジ部1b−1、1b−2に挟合された状態で、溶接などにより結合されている。この際、センタピラーインナ4の連結部4aが、連結壁部7とルーフサイドレイルインナ1bの下側のフランジ部1b−2との間に挟合されて、共に溶接などにより結合されている。更に、センタピラーインナ4の連結部4aは、ルーフサイドレイル1の閉断面内に延在して、ルーフサイドレイルインナ1bの内壁側に溶接などにより結合している(図3を参照)。
【0025】
このように、センタピラーレインフォースインナ6の上端部にルーフサイドレイル1と連結するための連結壁部7を設けたことにより、センタピラーアウタ3におけるルーフサイドレイルアウタ1a側への連結部3aは、センタピラーアウタ3における一般部の前後方向寸法のほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されている(図4参照)。
【0026】
また、図3に明らかに示すように、センタピラーアウタ3の連結部3aは、ルーフサイドレイルアウタ1aの外壁側に溶接などにより結合されている。
【0027】
このように構成するこの発明に係る一実施例においては、センタピラーアウタ3及びセンタピラーインナ4に加えて、センタピラーレインフォースアウタ5及びセンタピラーレインフォースインナ6を超高張力鋼板を使用して構成したとしても、センタピラーアウタ3におけるセンタピラーレインフォースアウタ5側への連結部3aが、センタピラーアウタ3における一般部の前後方向寸法とほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されていることから、プレス成形の難易度が高くならず、しかも、センタピラーインナ4に添設するセンタピラーレインフォースインナ6は、その上端部に自動車の前又は後方向に延在する連結壁部7を形成したとしても、センタピラーインナ4と共に比較的平面に近い形状を呈するが故に折り曲げ成形を主体とすることができることから、プレス成形の難易度を高めることがなく、全体構造として成形性を向上させることができる。
【0028】
また、かかる一実施例においては、センタピラーアウタ3及びセンタピラーインナ4にそれぞれセンタピラーレインフォースアウタ5及びセンタピラーレインフォースインナ6を添設していることから、従来と同様に、自動車の側突時に生ずる側面衝突荷重Sによって生ずる衝撃を吸収するための側面衝突入力方向強度を発揮していると共に、自動車の横転事故などに生ずるルーフ圧潰荷重Rによってルーフが潰れないようにして乗員を保護するためのルーフ圧壊入力方向強度を発揮することができると共に、センタピラーレインフォースインナ6の上端部に自動車の前方向又は後方向に延在するように形成した連結壁部7が、ルーフサイドレイルアウタ1a及びルーフサイドレイルインナ1bにおける両フランジ部1a−1、1b−1同士に共に結合されていることから、所定の骨格剛性を確保することができる。
【0029】
図5は、この発明における他の実施例を描画したものである。図5によれば、センタピラーアウタ3の連結部3aが、自動車の前後方向寸法Bにおいて、センタピラーアウタ3における一般部の前後方向寸法より幅広に形成されているも、センタピラーレインフォースインナ6に形成した連結壁部7における自動車の前後方向寸法Aより小寸法に形成されている。その他の構成は、上記一実施例における構成と同様である。
【0030】
従って、かかる他の実施例においては、センタピラーアウタ3及びセンタピラーインナ4に加えて、センタピラーレインフォースアウタ5及びセンタピラーレインフォースインナ6を超高張力鋼板を使用して構成したとしても、センタピラーアウタ3におけるセンタピラーレインフォースアウタ5側への連結部3aが、自動車の前後方向寸法Bにおいて、センタピラーレインフォースインナ6に形成した連結壁部7における自動車の前後方向寸法Aより小寸法に形成されていることから、成形性を向上させることができ、しかも、センタピラーインナ4に添設するセンタピラーレインフォースインナ6は、その上端部に自動車の前及び後方向に延在する連結壁部7を形成したとしても、センタピラーインナ4と共に比較的平面に近い形状を呈するが故に折り曲げ成形を主体とすることができることから、プレス成形の難易度を高めることがなく、全体構造として成形性を向上させることができる。
【0031】
また、かかる他の実施例においては、センタピラーアウタ3及びセンタピラーインナ4にそれぞれセンタピラーレインフォースアウタ5及びセンタピラーレインフォースインナ6を添設していることから、従来と同様に、自動車の側突時に生ずる側面衝突荷重Sによって生ずる衝撃を吸収するための側面衝突入力方向強度を発揮していると共に、自動車の横転事故などに生ずるルーフ圧潰荷重Rによってルーフが潰れないようにして乗員を保護するためのルーフ圧壊入力方向強度を発揮することができると共に、センタピラーレインフォースインナ6の上端部に自動車の前方向又は後方向に延在するように形成した連結壁部7が、ルーフサイドレイルアウタ1a及びルーフサイドレイルインナ1bにおける両フランジ部1a−1、1b−1同士に共に結合されていることから、所定の骨格剛性を確保することができる。
【0032】
図6は、本発明に係る更に他の実施例として、センタピラーレインフォースインナ6を描画している。図6によれば、センタピラーレインフォースインナ6は、その上端部に形成した連結壁部7が自動車の後方向にのみ延在するも前方端部を一般部から上端まで直線形状として連接させた逆L字状を呈して構成している点、上記実施例と異なっている。そして、連結壁部7が、自動車の後方向にのみ延在する構成にしたことから、骨格剛性を更に高めるために、上記実施例における連結壁部7に比較して、自動車の後方向への延在寸法を長くするようにしてもよい。
【0033】
そして、かかる更に他の実施例においても、センタピラーアウタ3の連結部3aは、上記一の実施例と同様に、センタピラーアウタ3における一般部の前後方向寸法のほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されている。
【0034】
なお、図6に示す更に他の実施例においては、連結壁部7が、自動車の後方向にのみ延在するように構成したが、これに限るものでなく、自動車の前方向のみに延在するように構成してもよいことは明らかである。
【0035】
従って、かかる更に他の実施例においては、センタピラーアウタ3及びセンタピラーインナ4に加えて、センタピラーレインフォースアウタ5及びセンタピラーレインフォースインナ6を超高張力鋼板を使用して構成したとしても、センタピラーアウタ3におけるセンタピラーレインフォースアウタ5側への連結部3aが、センタピラーアウタ3における一般部の前後方向寸法とほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されていることから、プレス成形性を向上させることができ、しかも、センタピラーインナ4に添設するセンタピラーレインフォースインナ6は、その上端部に自動車の前及び後方向に延在する連結壁部7を形成したとしても、センタピラーインナ4と共に比較的平面に近い形状を呈するが故に折り曲げ成形を主体とすることができることから、プレス成形の難易度を高めることがなく、全体構造として成形性を向上させることができる。
【0036】
また、かかる更に他の実施例においては、センタピラーアウタ3及びセンタピラーインナ4にそれぞれセンタピラーレインフォースアウタ5及びセンタピラーレインフォースインナ6を添設していることから、従来と同様に、自動車の側突時に生ずる側面衝突荷重Sによって生ずる衝撃を吸収するための側面衝突入力方向強度を発揮していると共に、自動車の横転事故などに生ずるルーフ圧潰荷重Rによってルーフが潰れないようにして乗員を保護するためのルーフ圧壊入力方向強度を発揮することができると共に、センタピラーレインフォースインナ6の上端部に自動車の前方向又は後方向に延在するように形成した連結壁部7が、ルーフサイドレイルアウタ1a及びルーフサイドレイルインナ1bにおける両フランジ部1a−1、1b−1同士に共に結合されていることから、所定の骨格剛性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したこの発明は、センタピラーレインフォースを含めセンタピラーに超高張力鋼板を使用して構成し、骨格剛性と共にルーフ圧壊入力方向強度及び側面衝突入力方向強度に対して高まる要求性能を達成するようにしたとしても、良好なプレス成形性を確保できることから、ルーフサイドレイルにセンタピラーの上部を結合することにより構成する車体側部骨格としての自動車のセンタピラー構造等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0038】
1 ルーフサイドレイル
1a ルーフサイドレイルアウタ
1a−1、1a−2 フランジ部
1b ルーフサイドレイルインナ
1b−1、1b−2 フランジ部
2 センタピラー
3 センタピラーアウタ
3a 連結部
4 センタピラーインナ
4a 連結部
5 センタピラーレインフォースアウタ
6 センタピラーレインフォースインナ
7 連結壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとがそれぞれのフランジ部同士を互いに接合することにより閉断面構造を有するルーフサイドレイルを構成すると共に、該ルーフサイドレイルに上部が結合されるセンタピラーを、車外側に存するセンタピラーアウタと車室側に存するセンタピラーインナとにより閉断面構造を有して構成して、前記センタピラーアウタが前記ルーフサイドレイルアウタ側に連結されていると共に前記センタピラーインナが前記ルーフサイドレイルインナ側に連結されており、且つ、前記センタピラーアウタにセンタピラーレインフォースアウタを添設すると共に、前記センタピラーインナにセンタピラーレインフォースインナを添設することにより補強構造となした自動車のセンタピラー構造であって、前記センタピラーレインフォースインナの上端部に、自動車の前方向又は後方向に延在する連結壁部を形成して、該連結壁部を前記ルーフサイドレイルアウタ及び前記ルーフサイドレイルインナにおける前記両フランジ部同士に共に結合することにより、前記センタピラーアウタにおけるルーフサイドレイルアウタ側への連結部が、前記センタピラーアウタの自動車の前後方向寸法とほぼ同等又はそれ以下の寸法に形成されていることを特徴とする自動車のセンタピラー構造。
【請求項2】
ルーフサイドレイルアウタとルーフサイドレイルインナとがそれぞれのフランジ部同士を互いに接合することにより閉断面構造を有するルーフサイドレイルを構成すると共に、該ルーフサイドレイルに上部が結合されるセンタピラーを、車外側に存するセンタピラーアウタと車室側に存するセンタピラーインナとにより閉断面構造を有して構成して、前記センタピラーアウタが前記ルーフサイドレイルアウタ側に連結されていると共に前記センタピラーインナが前記ルーフサイドレイルインナ側に連結されており、且つ、前記センタピラーアウタにセンタピラーレインフォースアウタを添設すると共に、前記センタピラーインナにセンタピラーレインフォースインナを添設することにより補強構造となした自動車のセンタピラー構造であって、前記センタピラーレインフォースインナの上端部に、自動車の前方向又は後方向に延在する連結壁部を形成して、該連結壁部を前記ルーフサイドレイルアウタ及び前記ルーフサイドレイルインナにおける前記両フランジ部同士に共に結合することにより、前記センタピラーアウタにおけるルーフサイドレイルアウタ側への連結部が、前記センタピラーレインフォースインナに形成した連結壁部における自動車の前後方向寸法より小寸法に形成されていることを特徴とする自動車のセンタピラー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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