説明

自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造

【課題】有効に建付精度を向上するとともにヘッドランプまわりの防護機能に優れたヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造を提供する。
【解決手段】バンパサイド部にランプ装着用の開口部を設け、この開口部にヘッドランプ2とターンランプ3を配置する。ボディ付けヘッドランプ2とフロントバンパ付けフロントターンランプ3が上下に配置される。ヘッドランプユニット10をバンパブラケット20に結合するとともに、バンパブラケット20をバンパサポート30を介してフロントバンパにおけるターンランプ取付部40に結合し、ヘッドランプユニット10およびターンランプユニット50の相対位置を維持しながら、フロントバンパの装着部に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車等の車両におけるヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両にあっては、左右のヘッドランプとたとえばヘッドランプ外側の車両コーナ部に配置されたフロントターンランプとが備えられている。フロントターンランプは、典型的にはヘッドランプと横並びのかたちで一体的にもしくは隣接配設され、あるいは場合によりヘッドランプから適度に離れて配設される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来においては、バンパ開口部にヘッドランプとフロントターンランプが隣接配置されるものはなく、また当然、各ランプの位置合せや各々のランプおよびバンパ開口部まわりの概観見栄えを考慮すると、建付精度が必要になる。
【0004】
本発明は以上の点に鑑み、有効に建付精度を向上するとともにランプまわりの防護機能に優れた自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造は、ボディ付けヘッドランプとフロントバンパ付けフロントターンランプが上下に配置される自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造であって、ヘッドランプユニットとターンランプユニットとが、係合部及びこの係合部の前後に設けられる溝もしくは切り欠きと、この溝もしくは切り欠きを通過して係合部に係合するウェルドピンとを介して係脱可能に結合し、ヘッドランプユニットおよびターンランプユニットの相対位置が維持されることを特徴とする。
【0006】
本発明の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造において、溝もしくは切り欠きとウェルドピンとは、ターンランプユニットの車幅方向両側に設けられることが有効である。
【0007】
本発明の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造において、好ましくは、ヘッドランプユニットに対し後方向に脱落可能に結合されたバンパブラケットと、フロントバンパにおけるターンランプ取付部に結合されたバンパサポートとを有し、バンパブラケットとバンパサポートとが溝もしくは切り欠きとウェルドピンとを介して結合される。
【0008】
また、本発明の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造において、好ましくは、バンパブラケットは、ヘッドランプユニットの下方に設けられる。
【0009】
さらに、本発明の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造において、前記フロントバンパに所定荷重が作用した際、前記ヘッドランプユニットおよび前記バンパブラケット間の結合および/または前記バンパブラケットおよび前記バンパサポートの結合が外れるように、それらの結合強度が設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バンパブラケットおよびバンパサポートを介して、ヘッドランプユニットおよびターンランプユニットを相互に結合し、それらの相対位置を維持しながら、フロントバンパの装着部に取り付けることで高い建付精度を確保することができる。この場合、仮に軽衝突時に荷重が作用した際、ヘッドランプユニットおよびバンパブラケット間の結合、あるいはバンパブラケットおよびバンパサポートの結合が外れるため、ヘッドランプまわりに衝撃荷重が入力されるのを防ぎ、その周辺部品を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基き、本発明による自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造の好適な実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施形態におけるフロントバンパまわりを示している。本発明では図1(a)のように、フロントバンパ1においてボディ付けヘッドランプ2とフロントバンパ付けフロントターンランプ3とが上下に配置される。なお、図1(a)において矢印UPは上方を、また矢印OUTは車幅方向Wの外側をそれぞれ示している。また、図1(b)に示すようにフロントバンパ1のバンパサイド部にランプ装着用の開口部を上下2段に設け、これらの開口部をヘッドランプ2およびフロントターンランプ3のそれぞれ装着部1a,1bとする。
【0012】
図2は、本発明によるヘッドランプ2およびフロントターンランプ3の建付構造の要部構成を示している。本発明の建付構造では、ヘッドランプユニット10にバンパブラケット20を結合するとともに、このバンパブラケット20をバンパサポート30を介してフロントバンパ1におけるターンランプ取付部40に結合する。そして、ヘッドランプユニット10およびターンランプユニット50の相対位置を維持しながら、図3にも示されるようにヘッドランプ2およびフロントターンランプ3をフロントバンパ1の装着部1a,1b(図1)に取り付けるようになっている。
【0013】
ヘッドランプユニット10はヘッドランプ2を含み、ヘッドランプ2内に図示しないバルブを有し、ブラケット11を介してボディ側に締着される。ヘッドランプユニット10の下部には、バンパブラケット20との結合部12が設けられている。
【0014】
図4は、ヘッドランプ2およびバンパブラケット20間の結合関係(図2、A部)を示す。この例ではヘッドランプ2の結合部12は、下方へ突出するように2ヶ所に設けられ、後側(矢印R)が切り欠かれてなる係合部12aを有している。バンパブラケット20の上面部には、結合部12の下端が面当たりするように形成された2つの座部21が設けられる。後述するように、この座部21にて結合部12と結合する。
【0015】
座部21には、図4のようにクリップもしくはビス22が挿通する孔23が形成されている。図5(a)に示すように、係合部12aに締着具24を装着後、クリップ22を孔23に差し込むことにより、係合部12aが締着具24に挟持されて、バンパブラケット20をヘッドランプユニット10に締結することができる。結合部12および座部21間の結合強度、すなわちヘッドランプユニット10およびバンパブラケット20間の結合強度は、フロントバンパ1に所定荷重が作用した際、その結合が外れるように設定される。
【0016】
図6は、バンパブラケット20およびバンパサポート30間の結合関係(図2、矢印C部)を示す。ここで、バンパブラケット20は図2あるいは図4に示されるように、バンパサポート30と結合するための2つのウェルドピン25を有する。この例では、左右一対のウェルドピン25が、それぞれ内側に向けて突設される。図6において各バンパサポート30は、ウェルドピン25が係合する係合部31を有し、図示のように両者が係合するようになっている。
【0017】
係合部31の両側(前後方向)には溝もしくは切欠き32a,32bが形成され、一方の溝もしくは切欠き32aにガイド凹部33(すなわち、組付時にウェルドピン25が係合部31に係合されるように移動方向をガイドする)が連設される。ウェルドピン25および係合部31を係合させる際、つまりバンパブラケット20およびバンパサポート30の組付時にはウェルドピン25は矢印のように進入し、溝もしくは切欠き32aを通過して係合部31と係合する。
【0018】
また、ウェルドピン25および係合部31間の結合強度、すなわちバンパブラケット20およびバンパサポート30間の結合強度は、仮に軽衝突時にフロントバンパ1に所定荷重が作用した際、ウェルドピン25が他方の溝もしくは切欠き32bを通過してその結合
が外れるように設定される。
【0019】
上記の場合、図2に示したように各バンパサポート30には内側に向けて突起34が突設されるとともに、ターンランプ取付部40には突起34が嵌入する孔41が形成されている。突起34が孔41に嵌入することで、各バンパサポート30およびターンランプ取付部40が結合する。この場合、突起34を基準としてバンパ1が取り付けられる。
【0020】
また、ターンランプユニット50はフロントターンランプ3を含み(図2)、フロントターンランプ3内に図示しないバルブを有している。ターンランプユニット50はターンランプ取付部40に取り付けられる。
【0021】
上記構成において、本発明によれば、図5(a)に示すようにクリップ22を孔23および結合部12の係合部12aに挿通して、締着具24で係合部12aを締結することにより、ヘッドランプユニット10およびバンパブラケット20が結合する。また、図6のようにウェルドピン25および係合部31を係合させることにより、バンパブラケット20およびバンパサポート30が結合する。
【0022】
このようにバンパブラケット20およびバンパサポート30を介して、ヘッドランプユニット10およびターンランプユニット50を相互に結合し、それらの相対位置を維持しながら、フロントバンパ1の装着部1a,1bに取り付けることで高い建付精度を確保することができる。そして、本発明によれば特に、車幅方向Wの建付精度を向上させることができる。
【0023】
また、軽衝突にフロントバンパ1に所定荷重が作用した際、図5(b)に示すように結合部12は、クリップ22および締着具24によるバンパブラケット20との結合が外れる(矢印D)。この場合、さらにウェルドピン25は溝もしくは切欠き32bを通過して、バンパサポート30との結合が外れる(図6、矢印E)。このようにヘッドランプユニット10およびバンパブラケット20間の結合、あるいはバンパブラケット20およびバンパサポート30の結合が外れるため、ヘッドランプ2まわりに衝撃荷重が入力されるのを防ぎ、その周辺部品を有効に保護することができる。
【0024】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は記述した実施形態にのみ限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更等が可能である。たとえば、結合部12および座部21間の結合強度あるいはウェルドピン25および係合部31間の結合強
度は、必要に応じて適宜調整可能である。
【0025】
以上説明したように本発明によれば、この種のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造において、ヘッドランプおよびターンランプの相対位置を維持しながら、フロントバンパの装着部に取り付けることで、特に車幅方向に高い建付精度を確保することができる。さらに、軽衝突時においてはヘッドランプユニットとターンランプとの結合が外れるため、ヘッドランプまわりに衝撃荷重が入力されるのを防ぎ、その周辺部品を保護することができる等の利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態におけるフロントバンパまわりを示す部分正面図である。
【図2】本発明の実施形態における要部構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるヘッドランプユニットおよびバンパブラケット間の結合関係を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるヘッドランプユニットおよびバンパブラケット間の結合部の作用を示すそれぞれ図4のB−B線に沿う断面図である。
【図6】本発明の実施形態におけるバンパブラケットおよびバンパサポート間の結合関係を示す図2のC矢視図である。
【図7】図2のY−Y線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 フロントバンパ
2 ヘッドランプ
3 フロントターンランプ
10 ヘッドランプユニット
11 ブラケット
12 結合部
20 バンパブラケット
21 座部
22 クリップもしくはビス
23 孔
24 締着具
30 バンパサポート
31 係合部
32a,32b 溝もしくは切欠き
33 ガイド凹部
40 ターンランプ取付部
41 孔
50 ターンランプユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ付けヘッドランプとフロントバンパ付けフロントターンランプが上下に配置される自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造であって、
ヘッドランプユニットとターンランプユニットとが、係合部及びこの係合部の前後に設けられる溝もしくは切り欠きと、この溝もしくは切り欠きを通過して上記係合部に係合するウェルドピンとを介して係脱可能に結合し、
前記ヘッドランプユニットおよび前記ターンランプユニットの相対位置が維持されることを特徴とする、自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造。
【請求項2】
前記溝もしくは切り欠きと前記ウェルドピンとは、前記ターンランプユニットの車幅方向両側に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造。
【請求項3】
前記ヘッドランプユニットに対し後方向に脱落可能に結合されたバンパブラケットと、
フロントバンパにおけるターンランプ取付部に結合されたバンパサポートとを有し、
上記バンパブラケットと上記バンパサポートとが前記溝もしくは切り欠きと前記ウェルドピンとを介して結合されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造。
【請求項4】
前記バンパブラケットは、前記ヘッドランプユニットの下方に設けられることを特徴とする、請求項3に記載の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造。
【請求項5】
前記フロントバンパに所定荷重が作用した際、前記ヘッドランプユニットおよび前記バンパブラケット間の結合および/または前記バンパブラケットおよび前記バンパサポートの結合が外れるように、それらの結合強度が設定されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の自動車のヘッドランプおよびフロントターンランプの建付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−230604(P2008−230604A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134715(P2008−134715)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【分割の表示】特願2002−104470(P2002−104470)の分割
【原出願日】平成14年4月5日(2002.4.5)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】