説明

自動車のライトのヘッドランプのための照明モジュール、およびこのタイプのモジュールを備えたヘッドランプ

【課題】カットオフビームが得られるようにすると同時に、全体の寸法を縮小した照明モジュールを提供する。
【解決手段】楕円タイプの第1レフレクタR1と光源Sが配置されており、反射表面およびカットオフエッジCを有するフォルダBと、カットオフビームを発生するためのパラボラタイプの第2レフレクタR2とを備えた、自動車のヘッドランプのための照明モジュールにおいて、前記フォルダは、前記第2レフレクタの焦点φとピーク2との間の第2レフレクタの光軸に交差する、前記第1レフレクタから生じた光線ρ1の通過を可能にすると共に、前記第2レフレクタの焦点φに対して、前記第2レフレクタの光軸に交差する、前記第1レフレクタから生じた光線ρ3を反射し、前記レフレクタにより前方に向かって反射された光線μ1、μ3は、前記第2レフレクタの光軸Aから離間するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの光源と、
第1焦点および第2焦点を有する楕円タイプの第1レフレクタを備え、前記第1焦点またはその近くには、前記第1レフレクタに向けて光を放出するための前記光源が配置されており、前記第2焦点は、本モジュールの光軸上またはその近くに位置しており、
更に、反射表面およびカットオフエッジを有するフォルダと、
モジュールの前方に向けてカットオフビームを発生するためのパラボラタイプの第2レフレクタとを備え、
この第2レフレクタの焦点は、前記第1レフレクタの前記第2焦点とマージするか、またはその近くに位置しており、
前記第2レフレクタの光軸は、本モジュールの光軸とマージしており、前記フォルダの前記カットオフエッジは、前記第2レフレクタの焦点を通過するか、またはその近くに位置しており、
光軸を受け入れ、カットオフビーム、特にディップビームを発生するようになっている、自動車のライトのヘッドランプのための照明モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの照明モジュールは、例えば米国特許第6,966,674号により公知である。このタイプのモジュールは、得られる光ビームに関しては満足できるが、車体に組み込む上で問題がある。
【0003】
車体の設計によっては、ライトのヘッドランプのレンズの表面を湾曲させなければならないため、一般に、より狭いゾーンに対応する高い部分に、比較的大きいパラボラタイプの第2レフレクタが存在することになり、このタイプのモジュールを、車体の内部に組み込む上で問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、カットオフビームが得られるようにすると同時に、高い部分における全体の寸法を小とした照明モジュールを提供することにある。
【0005】
光源は、一般に少なくとも1つの発光ダイオードから成り、満足できる光束を得るために、単一平面に配置され、溶接接続およびダイオードの冷却を可能にするようになっている複数のダイオードを使用している。従って、プリント回路基板(PCB)の寸法は、横の整合方向に比較的大きくなり、その結果、複数の並置されたモジュールから構成されたライトのヘッドランプを組み込まなければならないという問題も生じている。
【0006】
本発明の別の目的は、横方向の全体の寸法が小さいライトを備えるヘッドランプを形成できるように、他のモジュールと容易に組み合わせることができるようになっている、上記タイプの照明モジュールを提供することにある。
【0007】
最後に、この照明モジュールを、製造が比較的容易であり、かつ安価なものとすることも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記タイプの自動車用ヘッドランプのための照明モジュールは、前記フォルダが、光軸を含む実質的な垂直平面への直交射影において、前記第2レフレクタの焦点とピークとの間の前記第2レフレクタの光軸に交差する、前記第1レフレクタから生じた光線の通過を可能にすると共に、前記第2レフレクタの焦点に対して前記ピークから離間した側で、前記第2レフレクタの光軸に交差する、前記第1レフレクタから生じた光線を反射し、よって、前記レフレクタにより前方に向かって反射された光線が、前記第2レフレクタの光軸から離間し、
前記モジュールが自動車に取り付けられたときに、前記第2レフレクタが、前記光軸を貫通する水平平面よりも下方に位置するようになっている。
【0009】
前記光源を、前記フォルダの中心平面に位置させることができる。
【0010】
上に使用した「光軸を含む実質的に垂直な平面への直交射影」なる用語は、説明を簡単にするための二次元的な表現である。
【0011】
三次元で表現した場合、当該特徴は、次のように説明できる。すなわち、フォルダは、第1レフレクタから生じた光線の通過を可能にするようになっており、光線は、第1レフレクタの焦点とピークとの間で光軸を含む(実質的に)水平な平面と交差している。
【0012】
前記楕円タイプの第1レフレクタの凹状反射表面は、前方を向いており、前記光源は、後方に光を放出し、一方、前記フォルダは、前記第1レフレクタに向く反射表面を有し、前記フォルダの下方エッジは、カットオフエッジを形成している。
【0013】
前記フォルダの中心平面は、前記光軸と90°未満、特に約45°未満の角度をなしていることが好ましい。
【0014】
前記光源は、後方を向く少なくとも1つの発光ダイオードから構成でき、前記ダイオードが発生する熱を放散させるためのフィンヒートシンクは、前方を向いている。
【0015】
前記フォルダのカットオフエッジは、水平接線を有するピークの両側で、降下する凸状ラインに沿って、フォルダと垂直な平面内で湾曲し、本モジュールが発生するビームのカットオフラインを直線状にしている。
【0016】
第2の実施例によれば、前記光源は、前方に向けて光を放出するようになっており、他方、前記第1レフレクタは、後方に向けて光を反射するようになっており、前記光源は、第1レフレクタの第1焦点に位置し、第1レフレクタの第2焦点は、前記第1焦点よりも更に後方に位置しており、前記焦点に向く光線を遮るよう、前記光源の下方に反射ミラーが配置されており、前記光線は、前記レフレクタと前記ミラーによって形成される組の焦点を形成する焦点で収束するように反射され、前記焦点は、前記パラボラ状第2レフレクタの焦点とマージするか、またはその近くに位置している。
【0017】
このモジュールは、前記第1レフレクタのほかに、前記第1レフレクタの高い端部に楕円状レフレクタセクターを備え、このセクターは、前記第1レフレクタの第1焦点とマージする第1焦点と、前記焦点とマージする第2焦点とを有し、前記セクターによって光源が放出する光を回収できるようになっている。
【0018】
第3実施例によれば、前記フォルダは、前記楕円ミラーを前方に接近させるようになっており、光源は、前方に向けて光を放出するようになっている。
【0019】
前記フォルダの中心平面は、前記光源の平面と所定の角度をなし、前記フォルダのカットオフエッジは、前記第2レフレクタの焦点を貫通するフォルダの下方エッジによって形成されている。
【0020】
−集光ミラーが光源の中心から誘導された球面波表面を波表面に変換し、特定の光路に対し、フォルダの前方エッジに縮小し、二次元曲線を形成し、
−反射ミラーが垂直軸を有する円筒形波となるように、前の波表面を変換し、フォルダの前方エッジを横断面として受け入れ、
−フォルダは、前方エッジに垂直な垂直ラインの群から成り、構築マーカーの平面と一定の角度をなす一定の表面となるよう、前記2つのレフレクタおよび前記フォルダの表面は、共役表面となっている。
【0021】
前記フォルダのカットオフエッジを、直線状とすることができ、前記第1レフレクタは、パラボラ状円筒体である。
【0022】
前記フォルダのカットオフエッジを、実質的にサイン形状の4分の1の部分に沿って湾曲させることがある。
【0023】
また本発明は、上記の、少なくとも1つのモジュールを下方部分に含む、ライトのヘッドランプにも関する。
【0024】
ライトのヘッドランプは、光を前方に向けて放出する光源を有するモジュールと、光源の前方に位置し、光を後方に向けて反射させる楕円タイプのレフレクタとを高い部分に備え、前記光源は、前記下方モジュールのフォルダと平行な平面に位置しており、光源の平面は、前方において、前記光源の上に位置するフォルダを含み、前記フォルダの上部エッジは、上部モジュールのカットオフエッジを形成し、この上部モジュールは、前記第1レフレクタよりも上に位置するパラボラタイプの第2のレフレクタを備えることがある。
【0025】
前記高低モジュールの光源は、単一支持体の両面に配置された2つの発光ダイオード、または一連の発光ダイオードから成っていることが好ましい。
【0026】
別の実施例によれば、ライトのヘッドランプは、低い部分に、少なくとも1つのモジュールを備え、前記光源は、光を前方に放出するようになっており、の少なくとも1つのモジュールを底部に備え、前記高低モジュールの光源は、プリント回路基板の支持体の同じ側に配置された発光ダイオード、または一連の発光ダイオードから成り、これらのダイオードは、整合していることが好ましい。
【0027】
第1レフレクタによって、ビーム内に形成されるデッドゾーンの高さが低くなるように、前記ヘッドランプの高低モジュールの前記第1レフレクタが、垂直方向のほぼ同じ領域内に配置されていることが好ましい。
前記ヘッドランプは、前記デッドゾーンの前方に、高さの低い照明機能を有するものとするのがよい。
【0028】
好ましい実施例によれば、前記ヘッドランプは、複数の重ねられたモジュールの組を含んでいる。
【0029】
上に説明した構造とは別に、本発明は、添付図面を参照して行う、本発明を限定しない実施例について、以下に説明する他の構造を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、カットオフビーム、特にディップビームを発生するようになっている自動車のライトのヘッドランプのための照明モジュールMを、略示するものである。このモジュールは、光を前方に向けて、例えば図1に示す直線に向けて放出するように、自動車に取り付けられた位置で示されており、このモジュールの光軸は、水平となっている。
【0031】
このモジュールは、楕円タイプの第1のレフレクタR1に向けて光を放出する少なくとも1つの発光ダイオード1から構成された光源Sを備え、レフレクタR1は、凹状反射表面を前方に向ける楕円部分、または楕円状表面を有する部分から成っている。
【0032】
このレフレクタR1は、第1焦点F1と第2焦点F2とを備え、第1焦点(またはその近く)には、光を後方に向けて放出する光源Sが配置されており、第2焦点F2は、モジュールの光軸Aの上またはその近くに位置している。
【0033】
基本的には、図1に示すように平面状であるフォルダBは、第1レフレクタR1に向いた反射表面を有する。このフォルダBの中心平面は、光軸Aと角度ωをなす。この角度ωは、90°未満、特に約45°であることが好ましい。
【0034】
図1に示すように、光源Sは、フォルダBを含む平面に位置している。「光源の平面」なる用語は、光源を通過すると共に、光源からの光線の中心方向に直交する平面を意味している。フォルダの下方エッジCは、カットオフエッジを形成している。
【0035】
モジュールの前方に向けて、カットオフビームを反射するように、パラボラタイプの第2のレフレクタR2が配置されている。この第2のレフレクタの焦点φは、第1レフレクタR1の第2焦点F2とマージするか、または第2焦点の近くに位置している。
【0036】
モジュールの光軸Aは、このレフレクタの幾何学的軸線とマージする第2レフレクタR2の光軸から成っている。レフレクタR2は、幾何学的軸線上に位置するパラボラ部分の幾何学的ピーク2の前で停止する表面部分のみから構成できる。
【0037】
フォルダのカットオフエッジCは、第2レフレクタの焦点φを貫通するか、またはその近くに位置している。レフレクタR2が発生するエッジCの像は、モジュールの光ビームのカットオフラインを定めている。
【0038】
フォルダBは、ρ1のような光線が直接通過できるように配置されており、この光線は、この第2レフレクタの焦点φとピーク2との間で、第2レフレクタR2の光軸Aに交差している。光線ρ1は、光源Sから発生した光線i1が反射された後に、第1レフレクタR1から生じる。このタイプの光線ρ1は、後方から前方に向けて光軸Aから離間する方向に、R2によりμ1として前方に向けて反射される。
【0039】
第2レフレクタR2は、自動車に設けられているとき、光軸Aを貫通する水平平面よりも下に位置する。この条件下で、反射光線μ1は、レフレクタR2が発生するエッジCの像が形成するカットオフよりも下方で、下を向いている。従って、反射された光線μ1は、反対方向からくるドライバーを眩惑することはない。
【0040】
カットオフエッジCと同一面となっているρ2のような光線は、レフレクタR2の焦点φを貫通し、光軸Aと平行な光線μ2に従って反射される。
【0041】
焦点φに対し、ピーク2と反対側にあるポイント3において、レフレクタR2の光軸Aと交差するρ3のような光線は、焦点φとピーク2の間で光軸Aに交差する光線γ3に従って、フォルダBにより反射される。この光線γ3は、光線μ3に従い、第2レフレクタR2により前方に向かって反射され、光軸Aから離間するので降下する。
【0042】
図1のモジュールでは、第1レフレクタR1よりも大きいパラボラタイプの第2のレフレクタR2が下方部分内にあり、一般に自動車にある湾曲した表面のために、車体に組み込むのがより容易となっている。ビームは、少なくとも部分的に水平ラインよりも下方のカットオフタイプのままであり、反対方向からくるドライバーを眩惑することはない。
【0043】
図1の例に示すように、モジュールの光学的表面は、簡単な楕円およびパラボラ状とすることができる。光の分布は、集光レフレクタR1を変形することによってモニタされ、カットオフの形状は、出力パラボラ体R2によってイメージされる、フォルダのエッジCによって決定される。
【0044】
自動車で一般的である湾曲した表面のため、および全体の所定のサイズを有するモジュール内の有効光束を最適にするため、約45度の小さい角度ωを選択することが好ましい。
【0045】
発光ダイオードが後方を向いている位置では、ダイオードが発生する熱を放散させるためのフィン状のヒートシンク4は、前方を向いている。このような構造によって、自動車の前方にいる観察者が、ヒートシンク4を見ることができるという、デザイン上の効果を生じさせることができる。
【0046】
図2は、ヘッドランプの断面略図であり、このヘッドランプは、下方部分に、図1と類似するモジュールMを備えている。このモジュールは、光軸を貫通する水平平面の下方に位置する第2レフレクタR2を有する。このヘッドランプの高い部分には、米国特許第6,966,675号に記載されているタイプのモジュールHが設けられている。
【0047】
このモジュールHは、好ましくは、1つ以上の発光ダイオードによって形成され、光を前方に向けて放出する光源5と、光源5の前方に位置し、光を後方に向けて反射する楕円タイプのレフレクタ6とを備えている。
【0048】
光源5は、下方モジュールMのフォルダBに平行な平面内にあって、モジュールの前方に位置している。光源5の平面は、光源5の上に位置するフォルダ7を含んでいる。フォルダ7の上方エッジ8は、パラボラタイプの第2のレフレクタ9を備えるモジュールHのカットオフエッジを形成している。
【0049】
レフレクタ9は、第1レフレクタ6およびレフレクタ9の光軸にマージするモジュールHの光軸10よりも上に位置している。この光軸10は、光軸Aと平行になっており、フォルダ7のカットオフエッジ8は、レフレクタ6の第2焦点にマージするレフレクタ9の焦点に位置し、光源5は、レフレクタ6の第1焦点に位置している。
【0050】
第1レフレクタR1および6は、これらのレフレクタによりビーム内に生じるデッドゾーン11の高さが低くなるように、垂直方向の同じ領域内に実質的に位置していることが好ましい。このデッドゾーン11の前方に、高さの低い照明機能、例えばDRL(日中走行ライト)機能を設置することができる。
【0051】
単一の支持体12の2つの両側の面には、関連するフォルダBおよび7のように、発光ダイオード1、5がそれぞれ配置されている。従って、ダイオード1、5のためのプリント回路基板(PCB)は分離されており、支持体12の2つの両側の面に位置している。
【0052】
このタイプの構造では、各ダイオードが発生する熱を放散させるために、例えば支持体12内の通路(図示せず)を通るように空気を吹き付けることにより、冷却するための装置が設けられている。
【0053】
フォルダBのカットオフエッジCが直線状である場合、下方モジュールMのビームは、上方を向く凸状のカットオフラインを有する。高いモジュールHに対し、カットオフエッジ8が直線状である場合、得られるビームのカットオフラインは、実質的に類似する上方向に凹状の形状を有する。
【0054】
低いモジュールMが発生するビームのカットオフラインは、フォルダに対して垂直であって、イメージエッジを含む平面13(図3)内で、フォルダCのエッジを湾曲することによって直線状とすることができる。
【0055】
図5には、正面から見たこの湾曲したエッジ14が示されている。このエッジは、実質的にサイン部分に対応し、水平接線を有するこのサイン部分のピークは、モジュールMの光軸の近くに位置している。エッジ14の横方向端部は、実質的に切線状に接線している。
【0056】
モジュールHが発生するビームのカットオフラインを直線状とするために、フォルダのエッジは、エッジ14に対して反対の方向に湾曲している。
【0057】
水平線に対して、15度の角度で立ち上がるカットオフラインを有する光ビームを形成するために、フォルダのカットオフエッジCから、図4に示すような対応する形状15をカットし、光線が、ビームのゾーンに15°で到達しやすいようにしてある。
【0058】
図2の解決方法により、高い光束が発生させられる。全体の横方向のサイズは、高いモジュールタイプのモジュールHを2つ並置する解決案と比較して、比較的小さい。しかし、発光ダイオード1、5を、ヘッドからテールまで配置するには、支持体12の各側に1つずつ、計2つのプリント回路基板が必要となり、このようにするには、追加のコストが必要となる。
【0059】
図6に示す実施例によれば、発光ダイオード1は、光を前方に向けて放出するようになっているが、楕円タイプの第1レフレクタR1の向きは、光を後方に向けて反射するようになっている。
【0060】
レフレクタR1の第1焦点F1にダイオード1が位置しており、レフレクタR1の第2焦点F2は、更に第1焦点よりも後方に向いている。基本的には平面である垂直反射ミラー16が、実質的にミラーの平面内にあるダイオード1の下方に位置し、焦点F2に向かう光線を遮っている。
【0061】
これらの光線は、ミラー16によって生じるF2の画像に対応する焦点F’2で収束するように反射される。レフレクタR1およびミラー16によって形成される組の焦点を形成するこの焦点F’2は、下方部分にあるパラボラタイプの第2レフレクタR2の焦点φとマージするか、またはその近くに位置している。フォルダBは、基本的には垂直な面に位置し、フォルダの下方エッジが形成するカットオフエッジCは、焦点φを貫通している。
【0062】
レフレクタR1のほかに、レフレクタの高い端部に、楕円レフレクタセクター17を設けることがある。このセクターは、F1とマージする第1焦点、およびポイントF’2とマージする第2焦点を有する。このセクター17により、垂直線に近い方向に、ダイオード1によって放出される光を回収することが可能となり、この光は、R1によって反射された場合、ダイオード1の支持体により遮られ、失われることになる。
【0063】
図6の実施例では、前方を向く発光ダイオード1を設けてあり、図6のモジュールと、図2のHのような高いモジュールとを組み合わせることにより、2つのモジュールの発光ダイオードは、すべての光を前方に向けて放出し、プリント回路基板PCBの同じ面に、これらダイオードを設置できる。従って、電気接続部の製造が簡単となっている。
【0064】
ダイオードが放出する熱は、ダイオードから離間したPCBの面に位置する従来のヒートシンクによって放熱できる。しかし、図6に示すレフレクタのセットは、比較的複雑であり、1回の工程で、モールドから取り外すことはできない。
【0065】
図7は、フォルダBおよびレフレクタR1、R2の他方の表面の相対的位置が変更された好ましい例を示す。これにより、上に述べたような製造上の利点が得られる。
【0066】
楕円タイプのレフレクタR1、およびパラボラタイプのレフレクタR2は、前の実施例と実質的に同じ相対的位置を保持しているが、フォルダBは、レフレクタR1の前方部分に接近している。フォルダBの中心平面は、光軸Aと鋭角βをなしている。
【0067】
フォルダのカットオフエッジCは、レフレクタR1の第2焦点F2とマージするか、または実質的にマージするレフレクタR2の焦点φを貫通している。フォルダBは、カットオフエッジCから前方に立ち上がり、レフレクタR1の下方エッジと接合している。レフレクタR1の第1焦点F1には、発光ダイオード1が位置し、このダイオードは、このレフレクタR1の方向に、前方に向けて光を放出する。
【0068】
レフレクタR1の幾何学的軸線は、水平の光軸Aと角度ωをなし、更に垂直方向と角度γ=π/2−ωをなしている。
【0069】
Δは、レフレクタR2の端部に接触する水平線の間の距離を示し、fは、レフレクタR2からの焦点距離を示す。この距離fは、レフレクタの焦点φとピーク2との間の距離に対応している。Δおよびγが固定されている場合、焦点fは、最後の光線ρd(図7)の反射によって決定される。角度βは、光軸Aに沿った第1光線ρpの反射によって決定される。
【0070】
実際には、角度βは、光束の収率を改善するために、厳密に正の角度σ(好ましくは10°)だけ大きくなっている。従って、こうしない場合、後方およびダイオード1の支持体に向かって反射されるはずの一部の光線を回収することが可能となっている。
【0071】
この変形例によれば、フォルダBは、その配向に鑑み、集光楕円体R1の軸線のいずれも含まないか、またはこれらに垂直でない平面において、第2焦点F2の集光スポットを対称にしている。光ビームは、変形しなければならず、ビームの一様性を制御できるようにするために、第1ミラーR1は変形されている。
【0072】
フラットなカットオフ光ビームの場合に、カットオフエッジCによって実行されるビームのカットオフの制御は、次のようにして実行できる。
【0073】
−集光ミラーR1が、光源1の中心から誘導された球面波表面を波表面に変換し、特定の光路に対し、フォルダの前方エッジCに縮小して、二次元曲線を形成し、
−反射ミラーR2が、垂直軸を有する円筒形波となるように、前の波表面を変換し、フォルダの前方エッジCを横断面として受け入れ、
−フォルダが、前方エッジCに垂直な垂直ラインの群から成り、構築マーカーの平面(O、x、y)と一定の角度をなす定規表面となるよう、レフレクタR1、R2およびフォルダBの3つの簡単な表面は、共役表面と置換されている。
【0074】
これらの条件下で、Δ、ω、ダイオード1の中心から、フォルダの前方エッジCの中心までの距離λ1、およびダイオード1の中心から集光レフレクタR1のベースまでの距離をλ2とすると、所望する表面は単一の面となり、明示的なパラメータ方程式によって決定できる。従って、極めてクリアなカットオフ、およびフォルダのエッジCに対して与えられる形状によって、分布を制御できるビームが得られる。
【0075】
図8は、カットオフエッジCが直線状となっているフォルダBを有する上記のようなモジュールを示す略斜視図である。出力レフレクタR2は、パラボラ状の円筒体である。
【0076】
図9は、モジュールから所定距離に位置するスクリーン上で得られる等照度曲線18を示す。図9の曲線のネットワークは、モジュールの光ビームが比較的集中していることを示している。
【0077】
図10は、実質的にサイン形状の4分の1の部分に沿う3つの共役表面(この表面に従い、フォルダのカットオフエッジCが湾曲している)を有するモジュールの変形例を示す。
【0078】
図11に示すこのタイプのモジュールによって生じる光ビームの等照度ネットワークL10は、図8のモジュールの場合よりも、ビームがより広く拡散することを示している。
【0079】
図7〜図11の第3実施例は、極めてクリアなカットオフを提供し、ぼけたカットオフおよび眩惑が生じる危険を解消している。射出装置における引出しの存在を必要とするモジュールを製造するために、これら表面のすべてを、単一部品で成型することが可能である。
【0080】
図12は、2つのモジュールM1とH1の一組を示している。ここで、ダイオード1と5は、図2の場合とは異なり、単一プリント回路基板に設けられた支持体の一方の側に位置している。この場合、ダイオード1と5は、ダイオード支持体の後方に配置された1つ以上のヒートシンク要素18により、従来どおりに冷却できる。
【0081】
図13は、2つのレフレクタR1およびR2と、レフレクタR1の下方部分を閉じるフォルダCの側面図である。フォルダBとカットオフエッジCに直交する平面との交点は、直線D1、D2、D3となっており、これら直線を、片側から見ると、平行となっている。
【0082】
図14は、本発明にかかわる3つの高いモジュールH1、H2、H3と、3つの低いモジュールM1、M2、M3から構成されたヘッドランプPを、正面から見た略図である。このようにヘッドランプPは、中心水平平面に対して、実質的に互いに対称的な2つの重なった列のモジュールを有し、このランプの横方向の全体の寸法は、比較的低く、ヘッドランプの光フラックスは、同じ光フラックスを発生するために、1列に並置された6つの高いモジュールタイプのモジュールを含むヘッドランプと比較して、大きくなっている。
【0083】
溶接のためのワイヤーを用いることなく、工業的製造のために、1つの平面に発光ダイオードを配置することにより、製造がかなり簡略化されている。第2レフレクタから離間した光ストリップの側に、ダークストリップが位置する状態で、光ストリップが基本的に発生される。このタイプのダークストリップは、別の照明機能を埋め込むことによって、マスクすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係わるモジュールの光軸を通過する垂直断面略図である。
【図2】2つのモジュールの一組の図1に類似する略断面図である。
【図3】モジュールの変形例の、図1と類似する断面図である。
【図4】図3における矢印IVの方向に見た、フォルダの変形例の拡大図である。
【図5】図3における矢印IVの方向に見た、フォルダのカットオフエッジの拡大図である。
【図6】本発明に係わるモジュールの変形例の垂直断面略図である。
【図7】本発明に係わるモジュールの別の変形例の垂直断面略図である。
【図8】図7に示されたモジュールのうちのレフレクタおよびフォルダの斜視略図である。
【図9】図8のモジュールで得られる等照度曲線ネットワークを示す図である。
【図10】図8と同じように、1つの変形例を示す図である。
【図11】図10のモジュールで得られる等照度曲線ネットワークを示す図である。
【図12】2つの重なったモジュールのうちの1組の垂直断面略図である。
【図13】共役表面を有するモジュールのレフレクタおよびフォルダの側面図である。
【図14】図12に示されたモジュールの3つの組から形成されたヘッドランプの正面図である。
【符号の説明】
【0085】
M 照明モジュール
S 光源
R1 第1レフレクタ
R2 第2レフレクタ
A 光軸
B フォルダ
C 下方エッジ
F1 第1焦点
F2 第2焦点
1 発光ダイオード
2 ピーク
5 光源
6 楕円タイプのレフレクタ
7 フォルダ
8 上部エッジ
9 パラボラタイプの第2レフレクタ
11 デッドゾーン
12 支持体
14 湾曲したエッジ
17 レフレクタセクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源(S)と、
第1焦点(F1)および第2焦点(F2)を有する楕円タイプの第1レフレクタ(R1)とを備え、前記第1焦点またはその近くには、前記第1レフレクタに向けて光を放出するための前記光源(S)が配置されており、前記第2焦点は、本モジュールの光軸上またはその近くに位置しており、
更に反射表面およびカットオフエッジ(C)を有するフォルダ(B)と、
モジュールの前方に向けてカットオフビームを発生するためのパラボラタイプの第2レフレクタ(R2)とを備え、
この第2レフレクタの焦点(φ)は、前記第1レフレクタの第2焦点(F2)とマージするか、またはその近くに位置しており、
前記第2レフレクタの光軸は、本モジュールの光軸(A)とマージしており、前記フォルダのカットオフエッジ(C)は、前記第2レフレクタの焦点(φ)を通過するか、またはその近くに位置しており、
光軸(A)を受け入れて、カットオフビームを発生するようになっている、自動車のライトのヘッドランプのための照明モジュールにおいて、
前記フォルダ(B)は、光軸を含む実質的な垂直平面への直交射影において、前記第2レフレクタの焦点(φ)とピーク(2)との間の前記第2レフレクタの光軸と交差する、前記第1レフレクタ(R1)から生じた光線(ρ1)の通過を可能にすると共に、前記第2レフレクタの焦点(φ)に対して前記ピーク(2)から離間した側で、前記第2レフレクタの光軸と交差する、前記第1レフレクタから生じた光線(ρ3)を反射し、もって、前記レフレクタにより前方に向かって反射された光線(μ1、μ3)は、前記第2レフレクタの光軸(A)から離間し、
前記モジュールを自動車に取り付けたときに、前記第2レフレクタ(R2)は、前記光軸(A)を貫通する水平平面よりも下方に位置するようになっていることを特徴とする照明モジュール。
【請求項2】
前記光源(S)は、前記フォルダ(B)の中心平面に位置していることを特徴とする、請求項1記載のモジュール。
【請求項3】
前記楕円タイプの第1レフレクタR1の凹状反射表面は、前方を向いており、前記光源(S)は、後方に光を放出し、前記フォルダ(B)は、前記第1レフレクタ(R1)に向く反射表面を有し、前記フォルダの下方エッジは、カットオフエッジ(C)を形成していることを特徴とする、請求項2記載のモジュール。
【請求項4】
前記フォルダ(B)の中心平面は、前記光軸(A)と90°未満、特に約45°未満の角度(ω)をなしていることを特徴とする、請求項3記載のモジュール。
【請求項5】
前記光源は、後方に向いた少なくとも1つの発光ダイオード(1)から成り、前記ダイオードが発生する熱を放散させるためのフィンヒートシンク(4)は、前方を向いていることを特徴とする、請求項3または4記載のモジュール。
【請求項6】
前記フォルダのカットオフエッジ(C)は、水平接線を有するピークの両側で、降下する凸状ライン(14)に沿ってフォルダと垂直な平面(13)内で湾曲し、本モジュールは、発生するビームのカットオフラインを直線状にしていることを特徴とする、請求項1〜5のうちの1つに記載のモジュール。
【請求項7】
前記光源(S)は、前方に向けて光を放出するようになっており、前記第1レフレクタ(R1)は、後方に向けて光を反射するようになっており、前記光源(S)は、第1レフレクタ(R1)の第1焦点(F1)に位置し、第1レフレクタの第2焦点(F2)は、第1焦点よりも更に後方に位置しており、前記焦点(F1)に向く光線を遮るよう、前記光源(S)の下方に反射ミラー(16)が配置されており、前記光線は、レフレクタ(R1)とミラー(16)によって形成されるセットの焦点を形成する焦点(F’2)で収束するように反射され、前記焦点(F’2)は、前記パラボラ状第2レフレクタ(R2)の焦点(φ)とマージするか、またはその近くに位置していることを特徴とする、請求項1または2記載のモジュール。
【請求項8】
前記第1レフレクタ(R1)のほかに、前記第1レフレクタの高い端部に楕円状レフレクタセクター(17)を備え、このセクターは、前記第1レフレクタ(R1)の第1焦点(F1)とマージする第1焦点と、前記焦点(F’2)とマージする第2焦点とを有し、前記セクター(17)によって前記光源(S)が放出する光を回収できるようになっていることを特徴とする、請求項7記載のモジュール。
【請求項9】
前記フォルダ(B)は、前記楕円ミラー(R1)を前方に接近させるようになっており、前記光源は、前方に向けて光を放出するようになっていることを特徴とする、請求項1または2記載のモジュール。
【請求項10】
前記フォルダ(B)の中心平面は、前記光源(S)の平面とある角度(β)をなし、前記フォルダのカットオフエッジ(C)は、前記第2レフレクタ(R2)の焦点(φ)を貫通するフォルダの下方エッジによって形成されていることを特徴とする、請求項9記載のモジュール。
【請求項11】
−集光ミラー(R1)は、光源1の中心から誘導された球面波表面を波表面に変換し、特定の光路に対し、フォルダの前方エッジ(C)に縮小して、二次元曲線を形成し、
−反射ミラー(R2)は、垂直軸を有する円筒形波となるように、前の波表面を変換し、フォルダの前方エッジ(C)を断面として受け入れ、
−フォルダは、前方エッジ(C)に垂直な垂直ラインの群から成り、構築マーカーの平面(O、x、y)と一定の角度をなす定規表面となるよう、前記2つのレフレクタ(R1、R2)、および前記フォルダ(B)の表面は、共役表面となっていることを特徴とする、請求項9または10記載のモジュール。
【請求項12】
前記フォルダ(B)の前記カットオフエッジ(C)は、直線状であり、前記第1レフレクタ(R2)は、パラボラ状円筒体であることを特徴とする、請求項11記載のモジュール。
【請求項13】
前記フォルダ(B)のカットオフエッジ(C)は、実質的にサイン形状の4分の1の部分に沿って湾曲していることを特徴とする、請求項11記載のモジュール。
【請求項14】
請求項1〜13のうちのいずれかに記載の、少なくとも1つのモジュールを、下方部分に含むことを特徴とする、自動車用ライトのヘッドランプ。
【請求項15】
光を前方に向けて放出する光源(5)を有するモジュール(H)と、前記光源(5)の前方に位置し、光を後方に向けて反射させる楕円タイプのレフレクタ(6)とを、高い部分に備え、前記光源(5)は、前記下方モジュール(M)のフォルダ(B)に平行な平面に位置しており、前記光源(5)の平面は、前方において前記光源(5)の上に位置するフォルダ(7)を有し、前記フォルダ(7)の上部エッジ(8)は、上部モジュール(H)のカットオフエッジを形成し、この上部モジュール(H)は、前記第1レフレクタ(6)よりも上に位置するパラボラタイプの第2のレフレクタ(9)を有することを特徴とする、請求項14記載のライト用ヘッドランプ。
【請求項16】
前記光源は、単一支持体(12)の両面に配置された2つの発光ダイオード、または一連の発光ダイオード(1、5)から成っていることを特徴とする、請求項15記載のライト用ヘッドランプ。
【請求項17】
光を前方に向けて放出する光源を高い部分に有する少なくとも1つのモジュールを備える、自動車のライトのヘッドランプであって、
請求項9〜13のうちのいずれかに記載の少なくとも1つのモジュールを底部部分に備え、前記光源は、プリント回路基板の支持体の同じ側に配置された発光ダイオード、または一連の発光ダイオードから成っていることを特徴とする、自動車のライトのヘッドランプ。
【請求項18】
第1レフレクタ(R1、6)によってビーム内に形成されるデッドゾーン(11)の高さが低くなるように、前記第1レフレクタ(R1、6)は、垂直方向のほぼ同じ領域内に配置されていることを特徴とする、請求項16または17に記載のライト用ヘッドランプ。
【請求項19】
前記デッドゾーン(11)の前方に、高さの低い照明機能を有することを特徴とする、請求項18記載のライトのヘッドランプ。
【請求項20】
複数の重ねられたモジュール(M1、M2、M3)(H1、H2、H3)の2つの組を含むことを特徴とする、請求項14〜19のいずれかに記載のライトのヘッドランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−280959(P2007−280959A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−100056(P2007−100056)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】