説明

自動車のリアルタイム駐車支援方法と、それに対応する装置

本発明は、初期位置から一つのスペースへの車両の移動を支援する、自動車のリアルタイム駐車支援方法に関し、本方法は、スペース及び前記スペースの周囲の障害物を認識する予備ステップ(20)を含む。本発明による方法では、運転者に伝達されるステアリングホイール角の連続設定ポイント(Cpar)を決定し、前記設定ポイントによって、車両の最適な駐車軌道をモニタリングすることができる。最適な軌道の決定は、車両の旋回中心の第1の軌跡(LG1)と第2の軌跡(LG2)の交点(F)を求めることにより、車両後部の最適な位置を車両の初期位置に従って求め、車両後部の最適な位置は、車両の旋回中心が交点(F)を通過し、車両が最大舵角設定ポイントに従って逆進するときに得られる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、概して自動車の駐車支援に関し、特に自動駐車システムを援用する駐車に関する。
【0002】
本発明は、有利にはスロット式スペースへの駐車に関して適用されるが、特に「斜め」のスペース、又は「角度付き」スペースへのあらゆる種類の駐車に使用することができる。
現在、駐車支援手順への取り組みにおいては、運転者が決定した位置に車両を誘導しており、例えば利用可能なスペースの観点、又は車両の初期位置の観点から最適な位置に誘導するのではない。
【0003】
更に、現在の駐車支援システムでは、運転中にステアリングホイール角の連続設定ポイントを得ることはできない。
具体的には、これらのシステムは、車両が一旦停止する中間位置までの最初の設定ポイント、及びこの中間位置から最終位置までの2番目の設定ポイントを供給する。
【0004】
例えば、欧州特許出願第1170171号(TOYOTA)は、第1フェーズにおいてリアアクスルの中心の円形軌道が決定される一駐車手順を提案している。この旋回は、ステアリングホイールの舵角設定ポイントを最大にして行なわれる。次に、リアアクスルの中心が、その旋回サークルが別の旋回サークルに接する旋回サークルの一点に達したときに逆旋回を行なう。運転操作の最後は最大舵角で行なわれる。
フランス特許出願第2785383号(RENAULT)は、駐車軌道を次のようにして決定する一手順を提示している。即ち、第1フェーズにおいて、車両が駐車ラインに平行に真っ直ぐ逆進し、第2フェーズにおいて、車両がホイールを右側に最大限に切りながら切り返し、第3フェーズにおいて、車両を真っ直ぐ切り返し、最後に最終フェーズにおいて車両がホイールを左側に最大限に切りながら切り返す。
【0005】
米国特許出願公開2001/0030688号には、スロットでの駐車フェーズにおいて車両の軌道を計算することを可能にする方程式が提供される一駐車手順が提案されており、この場合、駐車収納フェーズにおいて舵角を最大にする。次に、旋回フェーズ及び逆旋回フェーズがそれぞれ最大角度で行なわれるので、任意の位置P0において静止状態で逆旋回が行われる。次の逆進フェーズによって、車両を駐車させることができる。このフェーズは、車両のホイールを最大限に切ることにより行なわれる。
フランス特許出願第2630075号(Industrial Technology Research Institute)は、最大舵角から直接始まる軌道を供給する機能を備える装置に関する。逆旋回は、一方の側の最大舵角から他方の側の最大舵角への切り替えが必要であるとすると、静止状態で行なわれる。
【0006】
これらの特許出願では、駐車手順は、中間値を用いずに最大舵角設定ポイントを利用するので、逆旋回操作を静止状態で行なう必要があり、このような走行は運転者の自然な挙動に逆らうものである。
本発明は、これらの問題に対する解決法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の目的は、駐車を支援するために生成される操舵設定ポイントを改善して、運転操作中に変更することができる設定ポイントを利用できるようにすることである。
本発明の目的は更に、自動車の駐車を、利用可能なスペースの観点から、又は自動車の現在位置の観点から最適な方法で可能にすることである。
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、車両の初期位置を始点として一つのスペースに移動する自動車の駐車をリアルタイムで支援する方法を提案し、本方法は、スペース及び当該スペースの周囲の障害物を認識する予備ステップを含む。
本発明の一般的な特徴によれば、本方法は、運転者に供給されるステアリングホイール角の連続設定ポイントを定式化し、前記設定ポイントによって車両が最適な駐車軌道を辿ることを可能にするステップと、車両の旋回中心の第1の幾何学的軌跡と第2の幾何学的軌跡の交点を求めることからなる前記最適な駐車軌道を求めるステップであって、第1の幾何学的軌跡が、前記スペースの側部及び/又は後部を画定する障害物に車両の2つの後部の角を接触させるときに車両の後部が取り得る位置の集合の前記旋回中心の位置を表わし、第2の幾何学的軌跡が、フロント側の角の一方を前記スペースの前面を画定する障害物の対向する角に接触させるときに、車両の取り得る位置の集合の前記旋回中心の位置を表わすステップとを含む。
【0009】
従って、車両後部の最適な位置が前記車両の初期位置に応じて決定され、この車両後部の最適な位置は、車両の旋回中心が前記交点を通過し、次いで車両が最大旋回設定ポイントを辿りながら逆進するときに得られる。
特別の事情がない限り、2つの後部の角がそれぞれ、スペースを長さ方向に画定する障害物と、例えばスペースの側部を画定する歩道とに接するように車両を収納したいと考える。「ダブルコンタクト」位置と表記される2つの後部の角のこのような位置は、車両が駐車しているか、又はホイールを最大限に切って前進すると最適な駐車位置に到達することが可能な位置であるので、自動車の最適な駐車位置に相当する。
【0010】
このようにして得られる軌道は、利用可能なスペースに関して最適な最終位置に達するという利点を有し、更に先行技術による解決法が提案する軌道よりもはるかに流線に近い。従って、この軌道は、静止状態で逆旋回を行うことを提案する軌道より自然な軌跡にずっと近い。
好適には、最適な軌道を決定するステップは更に、
−前記スペースから外れて、前記最適な後部位置から初期位置にまで進む車両の軌道をシミュレーションするステップであって、車両の旋回方向がそれぞれ反対である2つのサブステップを含み、第1サブステップでは、車両が前記スペースの前面に位置する障害物から所定の距離に位置するときの、最適な後部位置から中間位置への車両の第1の移動をシミュレーションし、第2サブステップでは、前記中間位置から前記車両の初期位置への車両の第2移動をシミュレーションし、固定基準座標系に関連付けられる車両ヨー角を徐々にゼロに近づけるシミュレーションステップ、及び
−最適な駐車軌道を、シミュレーションされた軌跡を反転することにより計算するステップ
を含む。
【0011】
特に断らない限り、所望の最終位置から車両の初期位置まで逆方向に追跡することにより、問題を分析する。更に、ヨー角を徐々にゼロに近づけることにより、逆旋回を静止状態で実行する必要がある既存の手順とは異なり、角度を連続的に変更することができる。
一実行モードによれば、第2サブステップは更に、中間位置と初期位置の間で軌道を最適化するステップを含み、当該ステップにおいて、最適な軌道を辿ることができるようにステアリングホイール角の一連の値を生成し、且つ最適な軌道に一定の誤差内で一致する駐車軌道の取得を可能にする最適な一連の値を選択する。
【0012】
一実行モードによれば、車両の軌道は、ステアリングホイール角に基づき、所定の変数を援用して取得される。
この変数は、例えば距離

とすることができ、ここで、x及びyはそれぞれ自動車の中心の横座標及び縦座標であり、θは正規直交座標系における自動車のヨー角であり、正規直交座標系の中心は前記車両のリアアクスルの中心であり、ヨー角はステアリングホイール角に応じて変化する。
【0013】
本発明の別の態様によれば、車両の初期位置から一つのスペースへの自動車の駐車をリアルタイムで支援する装置が提案され、この装置は、前記スペース及び前記スペースの周囲の障害物を測定及び評価できるセンサの組を備える。
本発明のこの別の態様の一般的な特徴によれば、前記装置は、運転者に供給されるステアリングホイール角の連続設定ポイントを定式化することができる手段であって、前記設定ポイントによって車両が最適な駐車軌道を辿ることを可能とする手段と、車両の旋回中心の第1の幾何学的軌跡及び第2の幾何学的軌跡を決定することが可能な前記最適な軌道を決定する第1手段であって、第1の幾何学的軌跡が、前記スペースの側部及び/又は後部を画定する障害物に車両の2つの後部の角を接触させるときの、車両の後部が取り得る位置の集合の前記旋回中心の位置を表わし、第2の幾何学的軌跡が、前部の角の一方を前記スペースの前面を画定する障害物の対向する角と接触させるときに車両が取り得る位置の集合の前記旋回中心の位置を表わす第1の手段と、第1の幾何学的軌跡と第2の幾何学的軌跡との交点を決定することにより、前記車両の初期位置に応じた最適な後部位置を取得することができる第2手段とを備える。
【0014】
一実施形態によれば、設定ポイントを定式化する手段は更に、
−前記最適な後部位置から初期位置まで前記スペースから出る車両の軌道をシミュレーションする手段であって、2つのサブ手段を含み、第1サブ手段は、車両が前記スペースの前面に位置する障害物から一定の距離に位置するとき、ステアリングホイールを第1回転角で操舵することにより、最適な後部位置から中間位置まで移動する車両の第1移動をシミュレーションすることができ、第2サブ手段は、固定基準座標系に関連付けられるヨー角を徐々にゼロに近づけながら、前記中間位置から初期位置までの車両の第2移動をシミュレーションすることができるシミュレーション手段、及び
−シミュレーションされた軌道を反転することにより、最適な駐車軌道を決定することができる反転手段
を含む。
一実施形態によれば、第2サブ手段は、第2移動の軌道を最適化する手段であって、ステアリングホイール角の一連の値を生成して、最適な軌道の追従を可能にする機能を有する手段と、一定の誤差内で最適な軌道に一致する駐車軌道の取得を可能にする最適な一連の値を選択する機能を有する選択手段とを含む。
【0015】
一実施形態によれば、車両の軌道は、好適にはステアリングホイール角に基づき、所定の変数を援用して取得される。
好適には、前記変数は距離

であり、ここで、x及びyはそれぞれ自動車の中心の横座標及び縦座標であり、θは正規直交座標系における自動車のヨー角であり、正規直交座標系の中心は前記車両のリアアクスルの中心であり、ヨー角はステアリングホイール角に応じて変化する。
【0016】
上述の装置は、自動車の駐車を支援するシステム内で使用することができる。
本発明の他の利点及び特徴は、本発明の完全に非制限的な実施形態についての詳細な説明、及び添付図面を吟味することにより明らかになる。
【実施例】
【0017】
図1に矩形により自動車1を模式的に示す。自動車1は、2つの操舵可能なフロントホイール2及び3と、同一の幾何学軸6に取り付けられた2つのリアホイール4及び5とを備える。
車両の中心CVは、2つのリアホイール4及び5を結ぶ線分の中心、即ち、軸6の中心とする。
【0018】
この実施例では、車両1の移動が一平面内で行なわれると仮定し、よって中心CVの高さは考慮しない。
固定基準座標系Rにおける車両の位置は、自動車の中心座標(x,y,θ)によって認識され、この中心座標は、中心CVの横座標、中心CVの縦座標、及び車両1のヨー角をそれぞれ表わす。
【0019】
この実施例では、路面に対するこれらのホイールのグリップ力に関連する一連の要素は無視できると考える。
図2には、舵角φで旋回する自動車1を示す。旋回の軌道は、旋回半径をRBとし、旋回中心をCBとする曲率半径を持つ。旋回中心CBと車両の中心CVを結ぶ線分と、旋回中心CBとフロントアクスルの中心点7を結ぶ線分とが形成する角度が舵角φである。
【0020】
この状態を前提として、速度v及び舵角φが既知の場合の車両1の挙動をモデル化できる運動方程式は以下である。

上式中、Lは車両のホイールベース、即ち、リアアクスルとフロントアクスルの間の距離である。
【0021】
更に、図2に示すように、ホイールの舵角φを、車両1の旋回半径RBに関連付けることができる。従って、次式が得られる:

この関係によって、車両1が旋回フェーズの間に一定の低速度でどのように挙動するか、即ち、車両が旋回中心CBを中心としてどのように旋回するかを幾何学的に視覚化することができる。
【0022】
次に、図3を参照すると、本発明による駐車方法の実施例が示されている。
この実施例は、左側のスロットに駐車する場合を示しているが、右側のスロットへの駐車にも適用できることは明白である。これには、関係する角度の向きを反転させるだけで十分である。
【0023】
まず、第1ステップ20では、車両の周りの障害物を決定する。このステップによって、車両に近接する環境の再構成、特に車両がこのスロットのスペースに沿って位置するときのこのフリースペースの再構成が可能になる。ステップ20の結果として、自動車に近接する障害物に関するデータの組が収集される。
これらの障害物データに基づいて、2つの幾何学的軌跡LG1及びLG2を、2つのステップ21及び22の間に定式化する。
【0024】
第1の幾何学的軌跡LG1を図4に示す。この図は、スペース8に位置する自動車1を表わし、このスペースはフロント側では車両9によって、リア側では車両10によって、画定されている。更に、スペース8の側面は歩道11で区切られている。
第1の幾何学的軌跡LG1は、旋回中心CRが辿るポイントの集合である。旋回中心CRは、舵角が最大で、且つ図4において2つの円で特定される車両1の2つの後部の角が、車両1のリア側及び側面でスペースを画定する障害物と接触するときの旋回中心に相当する。
【0025】
「ダブルコンタクト」位置とも表記されるこの位置は、最適な駐車操作の実現に対応する。従って、軌道は、自動車の2つの後部の角が、スペースを長さ方向に制限する障害物、及び歩道とそれぞれ接するように、車両を位置させることを目的とする。車両はいわゆる「ダブルコンタクト」位置に位置する。
このようにして得られる第1の幾何学的軌跡LG1は楕円である。
【0026】
ステップ22(図3)の間に、図5に示される第2の幾何学的軌跡LG2が決定される。
幾何学的軌跡LG2は旋回中心CRの移動の跡を表わし、旋回中心CRは、上に定義したように、車両1のフロント左側の角が、スペース8をフロント側で画定する車両9のリア右側の角と接するように舵角を最大としたときの旋回中心を表わす。幾何学的軌跡LG2は円になる。
【0027】
この円は、車両がスペース8のフロント左側の角に、最大の舵角で逆旋回することによりフロント側の障害物にぶつかることなく入り込むことができるような旋回中心CRの位置の集合を表わす。
図3に示すように、ステップ21及び22の終了後、ステップ23で2つの幾何学的軌跡LG1及びLG2の交点を決定する。極めて明らかなことに、交点Fは操作側に位置し、歩道側には位置しない。
【0028】
交点Fは車両の軌道にとって重要な位置を表わす。具体的には、駐車操作の間に、自動車がこの位置に達したら、最大の舵角で逆旋回することにより、スペースをフロント側で画定する障害物、この場合は車両9に出来る限り近接して通り抜けることが可能となり、更に車両が後方の車両10及び歩道11と接する状況、即ち、ダブルコンタクト位置に到達することができる。
従って、ポイントFが決定された後、旋回中心がポイントFに一致するときの車両の位置に対応するダブルコンタクト位置を始点とする車両の出車を、ステップ24の間にシミュレーションする。このようにして、シミュレーションにより得られる軌跡Cparsimの駐車設定ポイントが得られる。
【0029】
次に、図6を参照すると、ステップ241で車両が出車するときの軌道をシミュレーションする間に、車両は第1の移動を行なって、最大の舵角で、最適なダブルコンタクト位置から中間位置まで進む。
次に、車両のヨー角は一定の値、例えば40°となり、選択された距離、例えば60cmの距離だけ、車両1のフロント左側の角をフロント側の障害物車両9のリア右側の角から離す。この距離は、所望の制約条件に従って他のあらゆる値を採ることができる。
【0030】
中間位置12は、例えば図7に示される。この実施例では、車両1は、図7において車両の後部の角の位置の2つの円によってマークされるダブルコンタクト位置から、最大の蛇角に対応する旋回円をCBRとし、且つ旋回中心をCRとしながら離れる。
再度図6によれば、中間位置を始点として、中間位置から初期位置までの第2の移動をステップ242で計算することにより、最適な軌道の定式化を継続する。
【0031】
次に、蛇角(ヨー角に関連する)の一連の値を、この場合は40°の値であるヨー角が徐々にゼロになるようにステップ2421で計算する(図8)。
その後、該当する旋回設定ポイントが、一定の誤差内で、決定された最適な軌道を辿るように、この一連の値をステップ2422で最適化する。
【0032】
図9は例示的な最適化手順を示している。
このように、タイムステップをΔTとして、ヨー角を徐々にゼロに近づけるように、ゼロ旋回の角度設定ポイント、又は振れ幅の角度設定ポイント±Δφを生成する。
【0033】
角度変化±Δφは、舵角設定ポイントを連続量とするために、タイムステップΔTに対して十分に小さい振れ幅が得られるように計算される。
舵角のこのような一連の値は、ステアリングホイール角に応じて変化するヨー角、従って上に説明した舵角に基づいて車両の軌跡を計算することを可能にする一つの変数を援用して前記軌道に関連付けられる。この変数は、例えば次式により表わされる距離とすることができる。

上式中、x及びyはそれぞれ自動車の中心の横座標及び縦座標であり、θは正規直交座標系における自動車のヨー角であり、正規直交座標系の中心は前記車両のリアアクスルの中心である。
【0034】
当然ながら、この変数は選択される基準座標系及び最初の仮定に応じて変化する。該変数を適合させる方法は、本技術分野の当業者には既知である。
従って、最適な軌道を辿ることを可能にする一連の舵角変化を選択することが容易である(図6のステップ242参照)。
【0035】
次に、ステアリングホイール角設定ポイントCparsimを供給する。これにより、シミュレーションされた最適な軌道を辿ってスペースから出て行くことが可能になる。
当然ながら、舵角設定ポイントの定式化は、車両の制約条件を満たし、例えば所定の値の間でホイールの舵角を飽和させる。
【0036】
静止状態で逆旋回を行なう必要がある先行技術による解決法とは異なり、ヨー角θを徐々に変化させることにより、軌跡を流線に近い形状にすることができる。
再度図3を参照すると、最適化が行なわれた後、ステップ25において、シミュレーションにより得られるスペース8からの出車軌跡Cparsimを反転させることにより、駐車設定ポイントCparが生成される。
【0037】
図10は、図3に示す方法を実行することができる装置30の一実施形態を示す。この装置30は、例えば、駐車支援システム29に組み込むことができる。
装置30は、自動車の周囲環境の一部を構成する障害物を検出できる種々のセンサ31、32、33に接続される。これらのセンサは、例えば、カメラ、レーダ、又はLIDAR(光検出と測距)式のレーダとすることができる。
【0038】
これらの種々のセンサ31、32、及び33は、それぞれ接続35、36、及び37によって装置30に接続される。
センサ31、32、33から得られるデータは、装置30内に配置される第1決定手段34に供給される。
【0039】
第1決定手段34は、センサによって供給される種々の測定値に基づいて幾何学的軌跡LG1及びLG2を定式化する。
幾何学的軌跡LG1及びLG2を表わすデータは、接続39を経由して第2決定手段38に送信される。この第2手段38は、第1の幾何学的軌跡LG1と第2の幾何学的軌跡LG2の交点を決定することができる。この交点Fは接続41を経由してシミュレーション手段40に供給される。
【0040】
シミュレーション手段40は第1サブ手段42を含み、第1サブ手段は入力として接続41aを経由して交点Fを受信する。この第1サブ手段42は、ダブルコンタクト位置から中間位置までの第1移動を行なうための設定ポイントを定式化する。
シミュレーション手段40は更に第2サブ手段43を含み、第2サブ手段は入力として接続41bを経由して交点Fを受信する。
【0041】
この第2サブ手段43は第1ブロック44を含み、第1ブロックは、ヨー角θが徐々にゼロに近づくように、中間位置から初期位置までの舵角の一連の値を生成及び最適化することができる。
第2サブ手段43は更に、接続46によってブロック44に接続される第2ブロック45を含み、この第2ブロックの機能は、一連の舵角の値を選択することにより、最良の方法で最適な駐車軌道を辿ることが可能となるように駐車設定ポイントを定式化することである。
【0042】
次に、ブロック40は、実際の駐車設定ポイントCparの反転に対応するシミュレーションされた駐車設定ポイントCparsimを供給する。
ブロック40は接続47を経由して反転ブロック48に接続され、反転ブロックは、シミュレーションされた駐車設定ポイントCparsimを反転することにより実際の駐車設定ポイントCparを定式化する。駐車設定ポイントCparは接続49を経由して供給される。
【0043】
この設定ポイントCparは、例えばステアリングホイールに伝わる振動、可聴信号、又は車両に組み込まれたナビゲーション画面上の画像を援用して運転者に伝達することができる。
本駐車支援装置は、自動車に搭載される駐車支援システムの中で使用することができる。つまり、本駐車支援装置を使用して、例えば旋回指示を運転者に与える運転操作支援システムを援用し、リアルタイムで自動車に最適な軌道を辿らせることができる。
【0044】
従って、本発明による装置を援用し、特に狭い駐車スペースにおいて駐車操作を行なうことが可能になる。
本発明は更に、駐車の際の視野範囲が狭い小型バン又は小型トラックの種類の自動車に特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】基準座標系において、本発明による装置を備えた自動車を模式的に示す。
【図2】自動車及び当該自動車の旋回半径を示す。
【図3】本発明による方法の一実行モードを示す。
【図4】本発明の範囲内の第1の幾何学的軌跡の一例を示す。
【図5】本発明の範囲内の第2の幾何学的軌跡の一例を示す。
【図6】図3に示す方法の一ステップを更に詳細に示す。
【図7】本発明による最適な駐車軌道の決定の間の自動車の中間位置を示す。
【図8】図6に示す方法のステップを更に詳細に示す。
【図9】決定した軌道の関数として舵角設定ポイントを計算する一実施例を示す。
【図10】本発明による駐車支援装置の一実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期位置から一つのスペースへと移動する自動車の駐車をリアルタイムで支援する方法であって、スペース及び前記スペースの周囲の障害物を認識する予備ステップ(20)を含み、運転者に供給されるステアリングホイール角の連続設定ポイント(Cpar)を定式化するステップであって、前記設定ポイントによって車両が最適な駐車軌道を辿ることを可能にするステップと、車両の旋回中心の第1の幾何学的軌跡(LG1)と第2の幾何学的軌跡(LG2)との交点(F)を決定することからなる前記最適な駐車軌道を決定するステップであって、第1の幾何学的軌跡(LG1)が、前記スペースの側部及び/又は後部を画定する障害物に車両の2つの後部の角を接触させるときに、車両の後部が取り得る位置の集合の前記旋回中心の位置を表わし、第2の幾何学的軌跡(LG2)が、フロント側の角の一方を前記スペースの前面を画定する障害物の対向する角と接触させるときに車両の取り得る位置の集合の前記旋回中心の位置を表わしており、よって前記車両の初期位置に応じて車両後部の最適な位置が設定され、この車両後部の最適な位置は、車両の旋回中心が前記交点(F)を通過し、次いで車両が最大旋回設定ポイントを辿りながら逆進するときに得られるステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
最適な軌道を決定するステップが更に、
−前記最適な後部位置から初期位置まで前記スペースから出る車両の軌道をシミュレーションするステップ(24)であって、車両の旋回方向が互いに反対である2つのサブステップを含み、第1サブステップ(241)では、車両が前記スペースの前面に位置する障害物から所定の距離に位置するときの、最適な後部位置から中間位置への車両の第1移動をシミュレーションし、第2サブステップ(242)では、前記中間位置から前記車両の初期位置への車両の第2移動をシミュレーションし、固定基準座標系に関連付けられる車両ヨー角(θ)を徐々にゼロに近づけるステップ、及び
−シミュレーションされた軌道(Cparsim)を反転することにより最適な駐車軌道(Cpar)を計算するステップ(25)
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第2サブステップが更に、中間位置と初期位置との間で軌跡を最適化するステップを含み、このステップにおいて、最適な軌道を辿ることが可能となるようにステアリングホイール角の一連の値を生成し、最適な軌道に一定の誤差内で一致する駐車軌道の取得を可能にする最適な一連の値を選択する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
車両の軌道を、ステアリングホイール角に基づき、所定の変数を援用して取得する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記変数が距離

であり、x及びyはそれぞれ自動車の中心の横座標及び縦座標であり、θは正規直交座標系における自動車のヨー角であり、正規直交座標系の中心は前記車両のリアアクスルの中心であり、ヨー角はステアリングホイール角に応じて変化する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
初期位置から一つのスペースに移動する自動車の駐車をリアルタイムで支援する装置であって、前記スペース及び前記スペースの周囲の障害物を測定及び評価できるセンサの組(31、32、33)を備え、運転者に供給されるステアリングホイール角の連続設定ポイント(Cpar)を定式化することができる定式化手段(30)であって、前記設定ポイントによって車両が最適な駐車軌道を辿ることができる決定手段(30)と、車両の旋回中心の第1の幾何学的軌跡(LG1)及び第2の幾何学的軌跡(LG2)を決定することができる前記最適な駐車軌道を求める第1手段(34)であって、第1の幾何学的軌跡が、前記スペースの側部及び/又は後部を画定する障害物に車両の2つの後部の角を接触させるときに車両の後部が取り得る位置の集合の前記旋回中心の位置を表わし、第2の幾何学的軌跡が、前部の角の一方を、前記スペースの前面を画定する障害物の対向する角に接触させるときに車両の取り得る位置の集合の前記旋回中心の位置を表わす第1手段(34)と、第1の幾何学的軌跡と第2の幾何学的軌跡の交点(F)を決定することにより、前記車両の初期位置に応じた最適な後部位置を取得することができる第2の決定手段(38)とを備えることを特徴とする、装置。
【請求項7】
設定ポイントを定式化する手段が更に、
−前記最適な後部位置から初期位置まで前記スペースから出る車両の軌道をシミュレーションする手段(40)であって、2つのサブ手段を含み、第1サブ手段(42)が、車両が前記スペースの前面に位置する障害物から一定の距離に位置するときに、ステアリングホイールを第1回転角で操舵することにより、最適な後部位置から中間位置までの車両の第1移動をシミュレーションすることができ、第2サブ手段(43)が、固定基準座標系に関連付けられるヨー角(θ)が徐々にゼロに近づけて、前記中間位置から初期位置への車両の第2移動をシミュレーションすることができるシミュレーション手段、及び
−シミュレーションされた軌跡(Cparsim)を反転することにより最適な駐車軌道(Cpar)を決定することができる反転手段(48)
を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
第2サブ手段(43)が、最適な軌道を辿ることができるようにステアリングホイール角の一連の値を生成することができる第2移動の軌道を最適化する手段(44)と、最適な軌道に一定の誤差内で一致する駐車軌道の取得を可能にする最適な一連の値を選択することができる選択手段(45)とを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ステアリングホイール角に基づき、所定の変数を援用して、車両の軌道を取得する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記変数が距離

であり、x及びyはそれぞれ自動車の中心の横座標及び縦座標であり、θは正規直交座標系における自動車のヨー角であり、正規直交座標系の中心は前記車両のリアアクスルの中心であり、ヨー角はステアリングホイール角に応じて変化する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
自動車の駐車支援システムの内部における、請求項6ないし10のいずれか一項に記載の装置の使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−502646(P2009−502646A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524553(P2008−524553)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050696
【国際公開番号】WO2007/015020
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】