説明

自動車の窓ガラスの清掃のためのワイパーブレード

【課題】従来のワイパーブレードの有する問題を解決したワイパーブレードを提供する。
【解決手段】風除け条片142は横断面で見て2つの脚部44,46を有しており、該脚部が共通の1つのベース48で互いに結合されている。脚部44,46の自由な端部50,52に鉤爪状の延長部56,58を設けてあり、該延長部がばねレール30の外側の縁部ストリップ36の周囲に密接に係合している。両方の脚部44,46がワイパーブレードの端部若しくは部分片140の端部で壁部144によって互いに結合されており、壁部がベース48から鉤爪状の延長部56,58まで延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス、殊に自動車の窓ガラスの清掃のためのワイパーブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワイパーブレードにおいては、支持部材が、ワイパーブレードによって拭かれる拭き取り領域全体にわたって、ワイパーアームによって窓ガラスに対して生ぜしめられるワイパーブレード・圧着力のできるだけ均一な分布を保証しようとするものである。負荷されていない状態で、即ちワイパーブレードが窓ガラスに接触していない状態での支持部材の適当な湾曲に基づき、ワイパーブレードの作動時に完全に窓ガラスに当て付けられるワイパー条片の端部は、球面状に湾曲された車両窓ガラスの湾曲半径が各ワイパーブレード位置で変動する場合でも、張設された支持部材によって窓ガラスに向けて負荷される。即ち、ワイパーブレードの湾曲は窓ガラスの拭き取り領域の最も強い湾曲よりもいくらか強くなっている。従って、支持部材はワイパー条片内に配置された2つのばねレールを備えた高価な支持ハンガー構造を成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに公知のワイパーブレード(例えば、特許文献2参照)においては、支持部材がいわゆる風除け条片を備えており、これによって、高い走行速度に際して窓ガラスからのワイパーブレードの空気流に起因する浮揚作用に対して、窓ガラスに向けられた力成分が逆向きに生ぜしめられる。このために風除け条片の、走行風によって負荷される前側が流過面として形成されている。風除け条片の横断面がほぼ直角三角形の形状を成しており、該三角形の直角を挟む1つの辺が支持部材に向けられており、前記三角形の斜辺が流過面を成している。該流過面がワイパーブレードの揺動・移動平面若しくは窓ガラスの表面と鋭角を成している。用いられるこのような三角形プロフィールは風除け条片の製造にとって著しい多くの材料を必要とし、このことはワイパーブレードのコストに反映する。さらに、ワイパーブレードの重量が不都合に著しく増大する。従って、揺動・ワイパー作動時に加速すべき大きな質量は大きな駆動装置、並びに相応に大きな揺動伝動装置を必要とする。前述のように形成された風除け条片の形状で規定された曲げ剛性によって、支持部材若しくはワイパーブレードの作動特性が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第1505357号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19736368号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記従来のワイパーブレードの有する問題を解決したワイパーブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る自動車の窓ガラスの清掃のためのワイパーブレードは、帯状に長く延びたばね弾性的な支持部材(12)を備えており、支持部材の、窓ガラス(22)に向けられた下側の面(13)に、長く延びていてゴム弾性的でガラス窓に当接可能なワイパー条片(14)が縦軸線平行に配置されており、支持部材の上側の面(11)に、支持部材(12)の長手方向へ延びていて走行風・主空気流へ向けられた該走行風・主空気流が流過する流過面(54)を備える弾性材料製の風除け条片(142,242)が配置されている形式のものにおいて、風除け条片(142,242)が、横断面で見て互いに発散する2つの脚部(44,46)を有しており、該脚部が共通の1つのベース(48)で互いに結合されており、前記脚部の、窓ガラス(22)に向けられた自由な端部がワイパーブレード(10)に支えられており、前記1つの脚部(44)の外面が流過面(54)として形成されており、風除け条片(142,242)の両方の脚部(44,46)がワイパーブレードの両方の端部の領域で壁部(144,244)によって互いに結合されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、風除け条片(42)の横断面の形状が全長にわたって同じである。
【0008】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、壁部(144)が支持部材(12)に対して垂直に向けられている。
【0009】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、壁部(144)の外面(246)が支持部材(12)と鋭角(α)を成している。
【0010】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、壁部(144,244)が、窓ガラス(22)に向けられた縁部で開いた切欠き(146,246)を備えており、該切欠きの幅(148)がワイパー条片(14)の幅(150)よりも大きくなっており、かつ前記切欠きの深さ(152)が支持部材(12)の上側の面(11)まで達している。
【0011】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、風除け条片(142,242)の自由な脚部端部(50,52)がワイパーブレード(10)に堅く結合されている。
【0012】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、風除け条片(142,242)の自由な脚部端部(50,52)がワイパーブレード(10)に接着されている。
【0013】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、風除け条片(142,242)の自由な脚部端部(50,52)がワイパーブレード(10)の支持部材(12)に接着されている。
【0014】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、風除け条片(142,242)の自由な脚部端部(50,52)が少なくとも一部分に鉤爪状の延長部(56,58)を備えており、該延長部が支持部材(12)の互いに逆向きの外側の縁部ストリップ(36)の周囲に密接に係合している。
【0015】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、鉤爪状の延長部が脚部端部(50,52)から壁部(154,254)の領域内へ延びていて、支持部材(12)の端面側の端部領域(112)の周囲に密接に係合している。
【0016】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、接着結合が鉤爪状の延長部(56,58)の領域で行われている。
【0017】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、支持部材(12)の上側の面(11)に接触する鉤爪面(60)が、下側の面(13)に係合する鉤爪面(64)よりも大きな幅(62)を有している。
【0018】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、風除け条片(142,242)の、1つの脚部(44)の外壁における流過面(54)が、凹み部として形成されている。
【0019】
本発明に係るワイパーブレードにおいて、支持部材(12)は支持部材の中央区分で、ワイパーブレード(10)と揺動駆動可能なワイパーアーム(16)との結合のための装置のワイパーブレード側の部分(15)によって保持されている。
【0020】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、結合装置のワイパーブレード側の部分(15)が凹み部(70)を備えており、該凹み部が風除け条片の流過面(54)としての凹み部の延長線に沿って延びている。
【0021】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、風除け条片(142,242)のための材料の硬さが、ワイパー条片(14)のための材料の硬さを最大で40パーセントしか超えていない。
【0022】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、風除け条片(142,242)のための材料の硬さが、ワイパー条片(14)のための材料の硬さを最大で20パーセントしか超えていない。
【0023】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、ワイパー条片(14)が64と71との間のショア硬度Aを有しており、風除け条片(142,242)が70と78との間のショア硬度Aを有している。
【0024】
本発明に係るワイパーブレードにおいては、ワイパー条片(14)が68のショア硬度Aを有しており、風除け条片(142,242)が72のショア硬度Aを有している。
【発明の効果】
【0025】
本発明に基づくワイパーブレードにおいては、風除け条片の重量がアングル成形体の横断面構造によって著しく減少させられている。さらに材料節減のほかに、運動質量の減少が達成され、ひいては駆動装置及び揺動伝動装置の構造が簡単になる。さらに風除け条片の曲げ剛性が減少され、その結果、ワイパーブレード・支持部材のたわみ及びばね特性への曲げ剛性の影響が著しく減少される。
【0026】
また、風除け条片の両方の脚部がワイパーブレードの両方の端部の領域で壁部によって互いに結合されている。射出成形で製造可能な風除け条片を用いる場合には、支持部材若しくはワイパーブレードの端部に配置する端部キャップが省略でき、それというのは壁部が風除け条片の閉鎖部を成すからである。前述のように製造される風除け条片は任意の形状で形成でき、支持部材が長手方向で見て中央区分から端部に向かって横断面を減少されている場合でも支持部材の任意の形状に容易に適合され得る。
【0027】
支持部材の中央区分で上側の面に、ワイパーブレードと揺動駆動可能(旋回駆動可能)なワイパーアームとの結合のための装置のワイパーブレード側の部分(構成部分)が保持しており、支持部材の両方の端部にそれぞれ閉鎖・端部キャップが配置されており、この場合に、支持部材が2つの部分片から成っており、各部分片がそれぞれ端部キャップと前記構成部分との間を延びていると、支持部材の簡単な組立が可能である。
【0028】
本発明の改善のために、風除け条片の横断面の形状が全長にわたって同じである。これによって、風除け条片が特に経済的に押し出し成形で製造できる。
【0029】
さらに、風除け条片の端部へ向かった横断面の経過を様式的若しくは形式的な観点から構成することができる。有利には、壁部が支持部材に対して実質的に垂直に向けられている。
【0030】
他面において、壁部を相応に傾斜させて配置することによって、風除け条片の形の美しい閉鎖部(formschoener Abschluss)を得ることができ、この場合、壁部の外面が支持部材と鋭角αを成している。もちろん、1つの風除け条片に所属する2つの部分片の両方の各端部は前述の手段を用いて互いに異なって形成されていてよい。
【0031】
さらにワイパーブレードの組立を簡単にするために、有利には、壁部が、窓ガラスに向けられた縁部で開いた切欠きを備えており、該切欠きの幅が支持部材若しくはワイパー条片の幅よりも大きくなっており、かつ前記切欠きの深さが支持部材の上側の面まで達している。
【0032】
ワイパーブレードでの風除け条片の確実な支持が、風除け条片の脚部端部とワイパーブレードとの堅い結合によって実施される。脚部端部とワイパーブレードとのこのような結合が、接着結合によって簡単かつ経済的に達成される。
【0033】
風除け条片の自由な脚部端部をワイパーブレードの支持部材に結合、有利には接着すると、ワイパーブレードにおける風除け条片の正確な位置決めが保証される。
【0034】
位置決めは、本発明の思想に基づき、風除け条片の自由な脚部端部が少なくとも部分的に鉤爪状の延長部を備えており、該延長部が支持部材の互いに逆向きの外側の縁部ストリップの周囲に密接に係合、若しくは該縁部ストリップに嵌合していることによってさらに改善される。
【0035】
前述の閉鎖壁部を備えた風除け条片を用いる場合に有利には、鉤爪状の延長部が脚部端部から壁部の領域内へ延びていて、支持部材の端面側の端部領域の周囲に密接に係合している。
【0036】
位置決め手段として用いられる鉤爪状の延長部が、接着結合のための特に有利な領域を成している。
【0037】
支持部材への風除け条片の特に安定的なかつ確実な取り付けのために、支持部材の上側の面に接触する鉤爪面が、支持部材の下側の面に係合する鉤爪面よりも大きな幅を有している。
【0038】
有利には、風除け条片の、1つの脚部の外壁における流過面が、凹み部として形成されている。
【0039】
ワイパーブレードの端部の領域でワイパーブレードに沿って流過する走行風の不都合な流動状態を避けるために、端部キャップが凹み部を備えており、該凹み部が風除け条片の流過面としての凹み部の延長線に沿って延びている。
【0040】
前述の欠点をワイパーブレードの中央区分でも避けるために、結合装置のワイパーブレード側の部分が凹み部を備えており、該凹み部が風除け条片の流過面としての凹み部の延長線に沿って延びている。
【0041】
窓ガラスへのワイパーブレード・圧着力の分布を風除け条片の個別に形成される支持部材によって著しく妨げないために、風除け条片のための材料の硬さが、ワイパー条片のための材料の硬さを最大で40パーセントしか超えていない。これに関連して特に有利には、風除け条片のための材料の硬さが、ワイパー条片のための材料の硬さを最大で20パーセントしか超えていない。多くの場合に有利には、ワイパー条片が64と71との間のショア硬度Aを有しており、風除け条片が70と78との間のショア硬度Aを有している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に基づくワイパーブレードの斜視図。
【図2】ワイパーブレードの図1の線II−IIに沿った断面図。
【図3】ワイパーブレードに所属する風除け条片の、ワイパー条片及び支持部材を除いた状態で図2に対応して示す断面図。
【図4】本発明の異なって形成されたワイパーブレードの、図1に類似の部分斜視図。
【図5】図4のワイパーブレードの、矢印Vの方向で見て示す拡大図。
【図6】図4のワイパーブレードに所属する風除け条片の一方の端部の図4及び図5の線VI−VIに沿った断面図。
【図7】本発明に基づくワイパーブレードに所属する風除け条片の別の実施例の、図6に類似する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の有利な構成を、以下に図示の実施例に基づき詳細に説明する。
【0044】
図1に示すワイパーブレード10は、帯状に長く延びた(bandartig langgestreckt)ばね弾性的な支持部材12を有しており(図1及び図2)、支持部材の、窓ガラスに向いた下側の面(帯面)13に、長く延びたゴム弾性的なワイパー条片(拭き取り条片若しくは拭い条片)14が縦軸線平行に取り付けられている。ばねレールとも呼ばれる支持部材12の、窓ガラスと逆側の上側の面11で、該支持部材の中間区分に接続装置のワイパーブレード側の部分15が配置されており、該部分(構成部分)を用いてワイパーブレード10が、図1に鎖線で示すワイパーアーム16にヒンジ的に結合され得る。図1の二重矢印18の方向で揺動駆動可能なワイパーアーム16が、矢印24の方向で、拭くべき窓ガラス、例えば自動車の風防ガラス(ガラスの表面が図1に鎖線22で示唆してある)に向けて負荷されている。鎖線22が窓ガラス表面の最も強い湾曲を示しているのは、両方の端部で窓ガラスに接触しているもののまだ負荷されていないワイパーブレードの湾曲が最大の窓ガラス湾曲よりも強くなっていることを明瞭にするためである。圧着力(矢印24)を受けて、ワイパーブレード10がワイパーリップ(拭いリップ)26で以て全長にわたって窓ガラス表面22に接触している。この場合、金属製のばね弾性的な支持部材12が応力を生ぜしめており、該応力が、窓ガラス表面22へのワイパー条片14若しくはワイパーリップ26の全長にわたる正確な接触並びに圧着力(矢印24)の均一な分布に役立っている。
【0045】
以下においては本発明に基づくワイパーブレードの特別な構造について詳細に述べる。
【0046】
図2に示してあるように、支持部材12が実施例では2つのばねレール30を有しており、該ばねレールが窓ガラス表面22にほぼ平行な共通の1つの平面内に配置されている。両方のばねレール30は互いに向き合わされた内側の縁部ストリップ(Randstreifen)32で以てワイパー条片14の縁部側の開いた縦溝34内に差し込まれていて、かつ外側の縁部ストリップ36で縦溝34から突出している。両方のばねレール30は、ワイパーブレードの中央の領域に配置された接続装置の構成部分15及び、ワイパーブレードの各端部に配置された端部キャップ38によって縦溝34内に確保されている。このために、前記構成部材15,38がばねレール30の外側の縁部ストリップ36の周囲に係合(umgreifen)している。構成部分15と各端部キャップ38との間に、風除け条片42の部分片40が配置してある。風除け条片42の配置及び構造が図2及び図3に示してある。弾性的な材料、例えばプラスチックから成る風除け条片42若しくは、該風除け条片42の両方の部分片40は、支持部材12の上側の面(帯面)11に装着されている。風除け条片42は横断面で見て互いに発散する2つの脚部44,46を有しており、該脚部は共通の1つのベース48で互いに結合されている。脚部44,46の自由な端部50,52が窓ガラス22に向けられていて、ワイパーブレード10に若しくはワイパーブレードの支持部材12に支えられている。1つの脚部44の外側の外面が実施例では凹まされた流過面54として形成されており、該流過面がワイパーブレードの作動中に主として走行風によって流過される。風除け条片42若しくは部分片40の図2及び図3に示す横断面形状は、全長にわたって同じであり、これによって該部分片は経済的に押し出し成形できる。風除け条片42の部分片40は脚部の自由な端部(脚部端部)50,52でワイパーブレード若しくは支持部材12に堅く結合されている。このために有利には、風除け条片42の自由な脚部端部がワイパーブレード10の支持部材12に接着されている。このために、脚部44,46の自由な端部50,52が鉤爪状の延長部56,58を備えており、該延長部が支持部材12の互いに逆向きの外側の縁部ストリップ36の周囲に密接に係合している。鉤爪状の延長部56,58の、縁部ストリップ36に接触する面が接着面(Klebeflaeche)として用いられ、該接着面を用いて風除け条片42の部分片40が支持部材に接着されている。特に安定的な接着結合のために、支持部材12の上側の面11に接触する鉤爪面60(図3)が、下側の面13に係合する鉤爪面64の幅66よりも大きな幅62を有している。
【0047】
図1から明らかなように、部分片40の凹まされた流過面54が端部キャップ38にも接続装置の部分15にも続いている。端部キャップ38の凹み部に図1で符号68が付けられており、構成部分15に符号70が付けられている。風除け条片42が若しくは該風除け条片の部分片40が全長にわたって同じ横断面を有しており、従って風除け条片若しくは部分片が経済的に押し出し成形できる。
【0048】
図4乃至図6に、本発明に基づくワイパーブレードの別の実施例が示してある。ワイパーブレード10との相違点が風除け条片にしかなく、図4にはワイパーブレード110の1つの部分片だけしか示してなく、該部分片が一方の端部から接続装置の部分(図示せず)まで延びている。ワイパーブレード110に所属する風除け条片142の構造は、該風除け条片と支持部材12の支持部材・ばねレール30の外側の縁部ストリップ36との結合に関連しては前述の実施例に相応しており、従って同じ符号を付けられている。風除け条片142も横断面で見て2つの脚部44,46を有しており、該脚部が共通の1つのベース48で互いに結合されている。脚部44,46の自由な端部50,52に同じく鉤爪状の延長部56,58を設けてあり、該延長部がばねレール30の外側の縁部ストリップ36の周囲に密接に係合している。該実施例でも、風除け条片142の、1つの射出成形型内で形成された両方の部分片がワイパーブレード10の支持部材12に接着される。鉤爪状の延長部が支持部材上への風除け条片の簡単なクリップ止め、ひいては接着過程の際の正確な位置決めを可能にする。接着箇所も確実にカバーされる。さらに風除け条片142の脚部44若しくは風除け条片の部分片140に、流過断面54が形成されている(図5)。
【0049】
図1乃至図3に示す実施例と異なって、両方の脚部44,46がワイパーブレードの端部若しくは部分片140の端部で壁部144によって互いに結合されており、壁部がベース48から鉤爪状の延長部56,58まで延びている。この場合、壁部144は支持部材12に対して実質的に垂直に若しくは、該支持部材に係合する鉤爪状の延長部56,58に対して実質的に垂直に向けられている。
【0050】
図5及び図6に示してあるように、壁部144が窓ガラスに向かった縁部で開いた切欠き146を備えており、切欠きの幅148が図5に鎖線で示すワイパー条片14の幅150よりも大きくなっている。切欠き146の深さ152が支持部材12の上側の面11まで達している。このことは、図5で上側の鉤爪面60によって明らかであり、該鉤爪面が支持部材と風除け条片との接着に際して支持部材12の上側の面11に、即ちばねレール30の上面に接触する。さらに図6から明らかなように、鉤爪状の延長部が脚部44,46の端部から壁部144の領域内に延びていて、鎖線で示す支持部材12の端面側の端部領域112の周囲に密接に係合している。図6では、部分片140の壁部144の鉤爪状の延長部に符号154が付けられている。図1乃至図3及び図4乃至図6の実施例の鉤爪状の延長部56,58は、支持部材12の露出したシャープエッジ状の縁部のカバーのために役立ち、かつ部分片40,140と支持部材12とを接着する場合に部分片のための確実な位置決め手段としても役立っている。
【0051】
図7には、壁部144(図6)の別の配置が示してある。風除け条片242の端部領域に配置された壁部244が次のように配置されており、即ち、壁部の外面246が支持部材12と鋭角αを成している。このことは、鉤爪状の延長部58によって明らかであり、該延長部が支持部材と風除け条片242との結合に際して支持部材の周囲に密接に係合してかつ、該延長部の鉤爪面60が支持部材12の上側の面11に接触している。該実施例においても、壁部244が、若しくは該壁部の鉤爪状の延長部254が切欠き248を備えており、該切欠きの配置及び寸法は図4乃至図6の実施例の切欠き146の配置及び寸法に相応している。さらに図7から明らかなように、壁部244に同じく鉤爪状の延長部254を配置してあり、該延長部が鎖線で示す支持部材12の端面側の端部領域112の周囲に密接に係合している。
【0052】
ワイパーブレードの、支持部材の構成によって得られる特性が不都合に損なわれないために、風除け条片42の材料の硬さがワイパー条片14の材料の硬さを最大で40%しか越えていない。特に有利にはこの値は20%に制限される。実際には、広い走行速度範囲にわたるワイパー特性に関する良好な結果は、ワイパー条片14が68のショア硬度Aを有しており、風除け条片42が72のショア硬度Aを有している場合に得られる。
【0053】
特別な値が、脚部44,46の厚さを風除け条片及びワイパー条片のための材料の選ばれた硬さに適合させることによっても得られる。
【0054】
すべての実施例において共通な点として、風除け条片42,142,242が横断面で見て互いに発散する、即ち末広がりに延びる2つの脚部44,46を有しており、該脚部が共通の1つのベース48で互いに結合されており、脚部の窓ガラス22に向けられた自由な端部50,52がワイパーブレード10に支えられており、この場合、1つの脚部44の外面が流過面54として形成されている。
【0055】
前述の実施例とは異なって考えられる別の実施態様では、風除け条片42の2つの部分片40の代わりに風除け条片が一体的で装置部分15を越えて延びていて、該装置部分を被って、即ちカバーしている。この場合、風除け条片が適切な少なくとも1つの切欠きを有しており、該切欠きがワイパーアームとワイパーブレードとの間のヒンジ的な結合を可能にしている。
【0056】
さらに所定の基準に基づき、図1若しくは図4のワイパーブレードが風除け条片の1つの部分片40若しくは140だけを備えており、該部分片がワイパーブレードの揺動軸に近い側の領域で若しくは揺動軸に遠い側の領域で該ワイパーブレードに取り付けられている場合も有利である。
【符号の説明】
【0057】
10 ワイパーブレード
11,13 面
12 支持部材
14 ワイパー条片
15 構成部分
16 ワイパーアーム
22 窓ガラス表面
24 矢印(圧着力)
26 ワイパーリップ
30 ばねレール
32 縁部ストリップ
34 縦溝
36 縁部ストリップ
38 端部キャップ
40,140 部分片
42,142,242 風除け条片
44,46 脚部
48 ベース
50,52端部
56,58 延長部
60 鉤爪面
62,66,148,150 幅
64 鉤爪面
112 端部領域
144,244 壁部
146,248 切欠き
152 深さ
154 延長部
246 外面
254 延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の窓ガラスの清掃のためのワイパーブレードであって、帯状に長く延びたばね弾性的な支持部材(12)を備えており、支持部材の、窓ガラス(22)に向けられた下側の面(13)に、長く延びていてゴム弾性的でガラス窓に当接可能なワイパー条片(14)が縦軸線平行に配置されており、支持部材の上側の面(11)に、支持部材(12)の長手方向へ延びていて走行風・主空気流へ向けられた該走行風・主空気流が流過する流過面(54)を備える弾性材料製の風除け条片(142,242)が配置されている形式のものにおいて、風除け条片(142,242)が、横断面で見て互いに発散する2つの脚部(44,46)を有しており、該脚部が共通の1つのベース(48)で互いに結合されており、前記脚部の、窓ガラス(22)に向けられた自由な端部がワイパーブレード(10)に支えられており、前記1つの脚部(44)の外面が流過面(54)として形成されており、風除け条片(142,242)の両方の脚部(44,46)がワイパーブレードの両方の端部の領域で壁部(144,244)によって互いに結合されていることを特徴とする、自動車の窓ガラスの清掃のためのワイパーブレード。
【請求項2】
風除け条片(42)の横断面の形状が全長にわたって同じである請求項1記載のワイパーブレード。
【請求項3】
壁部(144)が支持部材(12)に対して垂直に向けられている請求項1又は2記載のワイパーブレード。
【請求項4】
壁部(144)の外面(246)が支持部材(12)と鋭角(α)を成している請求項1又は2記載のワイパーブレード。
【請求項5】
壁部(144,244)が、窓ガラス(22)に向けられた縁部で開いた切欠き(146,246)を備えており、該切欠きの幅(148)がワイパー条片(14)の幅(150)よりも大きくなっており、かつ前記切欠きの深さ(152)が支持部材(12)の上側の面(11)まで達している請求項1乃至4のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項6】
風除け条片(142,242)の自由な脚部端部(50,52)がワイパーブレード(10)に堅く結合されている請求項1乃至5のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項7】
風除け条片(142,242)の自由な脚部端部(50,52)がワイパーブレード(10)に接着されている請求項1乃至6のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項8】
風除け条片(142,242)の自由な脚部端部(50,52)がワイパーブレード(10)の支持部材(12)に接着されている請求項1乃至7のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項9】
風除け条片(142,242)の自由な脚部端部(50,52)が少なくとも一部分に鉤爪状の延長部(56,58)を備えており、該延長部が支持部材(12)の互いに逆向きの外側の縁部ストリップ(36)の周囲に密接に係合している請求項1乃至8のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項10】
鉤爪状の延長部が脚部端部(50,52)から壁部(154,254)の領域内へ延びていて、支持部材(12)の端面側の端部領域(112)の周囲に密接に係合している請求項9記載のワイパーブレード。
【請求項11】
接着結合が鉤爪状の延長部(56,58)の領域で行われている請求項9又は10記載のワイパーブレード。
【請求項12】
支持部材(12)の上側の面(11)に接触する鉤爪面(60)が、下側の面(13)に係合する鉤爪面(64)よりも大きな幅(62)を有している請求項9乃至11のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項13】
風除け条片(142,242)の、1つの脚部(44)の外壁における流過面(54)が、凹み部として形成されている請求項1乃至12のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項14】
支持部材(12)は支持部材の中央区分で、ワイパーブレード(10)と揺動駆動可能なワイパーアーム(16)との結合のための装置のワイパーブレード側の部分(15)によって保持されている請求項1乃至13のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項15】
結合装置のワイパーブレード側の部分(15)が凹み部(70)を備えており、該凹み部が風除け条片の流過面(54)としての凹み部の延長線に沿って延びている請求項14記載のワイパーブレード。
【請求項16】
風除け条片(142,242)のための材料の硬さが、ワイパー条片(14)のための材料の硬さを最大で40パーセントしか超えていない請求項1乃至15のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項17】
風除け条片(142,242)のための材料の硬さが、ワイパー条片(14)のための材料の硬さを最大で20パーセントしか超えていない請求項1乃至15のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項18】
ワイパー条片(14)が64と71との間のショア硬度Aを有しており、風除け条片(142,242)が70と78との間のショア硬度Aを有している請求項1乃至17のいずれか1項記載のワイパーブレード。
【請求項19】
ワイパー条片(14)が68のショア硬度Aを有しており、風除け条片(142,242)が72のショア硬度Aを有している請求項18記載のワイパーブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−51573(P2012−51573A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246642(P2011−246642)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【分割の表示】特願2001−588059(P2001−588059)の分割
【原出願日】平成13年4月4日(2001.4.4)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】