説明

自動車シートに用いるシート・バック・フレーム

【課題】自動車の衝突事故時、ヘッドレストが前方から衝撃を受ける場合、衝撃によるヘッドレストの後方回転、すなわち、後方反り返りを防止できて乗員の頭部傷害を確実に防止、軽減でき、構造を単純化でき生産性、コスト低減を図る。
【解決手段】フレーム・トップ、フレーム・ボトム、および左右のフレーム・サイド14で枠組みされるメイン・バック・フレームと、そのメイン・バック・フレームのフレーム・トップに固定的に取り付けられて前面に左右のスティ・ホルダー27を固定的に取り付け、左右のスティ・ホルダー27にヘッドスト40の左右のスティ42を対応的に差し込んでヘッドレスト40をメイン・バック・フレームに支持させるヘッドレスト・ブラケット24と、スティ・ホルダー27およびヘッドレスト・ブラケット24の何れかに固定的に取り付けられ、乗員50の背中を臨むように下方に適宜に伸長されるヘッドレスト反り返り抑え28とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車シートに用いるシート・バック・フレームに関し、詳細には、自動車の衝突事故でヘッドレストが前方から衝撃を受ける際、その衝撃によるそのヘッドレストの後方反り返りを抑制するところの自動車のリア・シートに用いるシート・バック・フレームの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車シートに用いられるヘッドレストは、自動車の衝突事故時、乗員の頭部を受け、衝撃を吸収しながらその乗員頭部の後方移動を制限してその乗員の頭部傷害の防止、軽減に活用されるが、通常のヘッドレストは、シート・バック・フレームのヘッドレスト・ブラケットに固定されたスティ・ホルダーに差し込まれてシート・バックに取り付けられるか、下方スティおよび上方スティでシート・バックとルーフとの間に支持される構造が採られる。
前者では、衝撃で後方に反り返って回転され、また、後者では、取付け構造が複雑で取付け作業が厄介になり、生産性も低くコストが嵩む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2010−208608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、自動車の衝突事故時、ヘッドレストが前方から衝撃を受ける場合、その衝撃によるそのヘッドレストの後方回転、すなわち、後方反り返りを防止できて乗員の頭部傷害を確実に防止、軽減でき、加えて、構造を単純化できて生産性、コスト低減に優れるところの自動車シートに用いるシート・バック・フレームを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の自動車シートに用いるシート・バック・フレームは、フレーム・トップ、フレーム・ボトム、および左右のフレーム・サイドで枠組みされるメイン・バック・フレームと、そのメイン・バック・フレームのそのフレーム・トップに固定的に取り付けられて前面に左右のスティ・ホルダーを固定的に取り付け、そして、その左右のスティ・ホルダーにヘッドストの左右のスティを対応的に差し込んでそのヘッドレストをそのメイン・バック・フレームに支持させるヘッドレスト・ブラケットと、そのスティ・ホルダーおよびヘッドレスト・ブラケットの何れかに固定的に取り付けられ、そして、乗員の背中を臨むように下方に適宜に伸長されるヘッドレスト反り返り抑えとを含む。
【発明の効果】
【0006】
この発明の自動車シートに用いるシート・バック・フレームでは、そのヘッドレスト反り返り抑えがそのスティ・ホルダーおよびヘッドレスト・ブラケットの何れかに固定的に取り付けられ、そして、乗員の背中を臨むように下方に適宜に伸長されるので、自動車の衝突事故時、そのヘッドレストが前方から衝撃を受ける際、そのヘッドレストに入力された力がそのヘッドレスト反り返り抑えでその乗員の背中、シート・バックに伝えられ、そのヘッドレストの後方回転、すなわち、後方反り返りが防止されてその乗員の頭部傷害が確実に防止、軽減され、加えて、そのヘッドレスト反り返り抑えがそのヘッドレスト・ブラケットおよびシート・バック・フレームに固定される構造を採ることによってヘッドレスト構造が単純化され、取付けが簡単で生産性、コスト低減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】乗用車のリア・シートのシート・バックに活用されるところのこの発明の自動車シートに用いるシート・バック・フレームの具体例を示した斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿って示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の自動車シートの用いるシート・バック・フレームは、フレーム・トップ、フレーム・ボトム、および左右のフレーム・サイドで枠組みされるメイン・バック・フレームと、そのメイン・バック・フレームのそのフレーム・トップに固定的に取り付けられて前面に左右のスティ・ホルダーを固定的に取り付け、そして、その左右のスティ・ホルダーにヘッドストの左右のスティを対応的に差し込んでそのヘッドレストをそのメイン・バック・フレームに支持させるヘッドレスト・ブラケットと、そのスティ・ホルダーおよびヘッドレスト・ブラケットの何れかに固定的に取り付けられ、そして、乗員の背中を臨むように下方に適宜に伸長されるヘッドレスト反り返り抑えとを含む。
【実施例1】
【0009】
以下、特定されて図示された具体例に基づいて、この発明の自動車シートに用いるシート・バック・フレームを説明するに、図1および図2は、乗用車のリア・シート30のリ
ア・シート・バック31に活用されるところのこの発明の自動車シートに用いるシート・バック・フレームの具体例10を示し、そして、そのリア・シート30は、その乗用車のボディ・フロアに据え付けられるベンチ型リア・シート・クッション(図示せず)、そのリア・シート・クッションの後端に位置されてその乗用車のそのボディ・フロアに固定的に取り付けられる左右一体型リア・シート・バック31、およびそのリア・シート・バック31の左右に取り外し可能に取り外し可能に取り付けられる左右のヘッドレスト40、40などから組み立てられる。
【0010】
そのリア・シート・クッション31は、予めシート・バック・ワイヤ・フレーム10に左右のヘッドレスト・ブラケット24、24を溶接し、成形型においてそのシート・バック・ワイヤ・フレーム10にシート・バック・パッド32を一体発泡させ、そして、それにシート・バック・トリム・カバー33を被せて固定して製造される。勿論、その左右のヘッドレスト・ブラケット24、24は、そのシート・バック・パッド32をそのシート・バック・ワイヤ・フレーム10に一体発泡させた後にそのシート・バック・ワイヤ・フレーム10に固定的に取り付けられてもかまわない。その場合、その左右のヘッドレスト・ブラケット24、24のそれぞれには、左右のスティ・ホルダー27、27やヘッドレスト反り返り抑え28、28が予め溶接される。
また、そのシート・バック・ワイヤ・フレーム10が、パイプ・フレームやパッドを一体発泡させないフレームに具体化される場合には、そのヘッドレスト反り返り抑え28、28は、予めシート・バック・フレームに固定的に取り付けられる。
【0011】
そのシート・バック・ワイヤ・フレーム10では、メイン・バック・ワイヤ・フレーム11がフレーム・トップ・ワイヤ12、フレーム・ボトム・ワイヤ13、左右のフレーム・サイド・ワイヤ14、15,アッパー・クロス・ワイヤ16、ロア・クロス・ワイヤ17、左右のインナー・スタッド・ワイヤ18、18,左右のアウター・スタッド・ワイヤ19、19,上下のスタッド・クロス・ワイヤ20、20および20、20、左右の補強サイド・クロス・ワイヤ21、21,および左右の形状出しワイヤ22、22で枠組みされ、そして、左右のフロア・ワイヤ23、23でその乗用車のそのボディ・フロアに固定的に取り付け可能にされ、そして、左右のヘッドレスト・ブラケット24、24がそのフレーム・トップ・ワイヤ12とそのアッパー・ワイヤ16との間に左右方向に伸長されて溶接される。
【0012】
その左右のヘッドレスト・ブラケット24、24は、所定の厚さの鋼板から短冊板に成形され、そして、それの前面25に段付け成形が施される。その前面25は、そのヘッドレスト40、40の取付け位置に合わせて、具体的には、その左右のスティ・ホルダー27、27の間隔に合わせて両端部分で段下げ面26、26にプレス成形される。
そのようにして成形されたその左右のヘッドレスト・ブラケット24、24は、その左右のヘッドレスト40、40の取付け箇所に左右方向に伸びてそのフレーム・トップ・ワイヤ12とそのアッパー・クロス・ワイヤ16との間に溶接される。
その左右のヘッドレスト・ブラケット24、24のそれぞれは、その段付け前面25にその左右のスティ・ホルダー27、27とそのヘッドレスト反り返り抑え28とが溶接で固定的に取り付けられる。
その左右のスティ・ホルダー27、27および27、27は、その左右のヘッドレスト40、40の左右のスティ42、42および42、42を対応的に差し込んでその左右のヘッドレスト・ブラケット24、24を介してそのシート・バック・ワイヤ・フレーム10に支持される。
【0013】
その左右のヘッドレスト反り返り抑え28、28は,所定の肉厚、太さの細長いスチール・パイプからU字曲げされる。この場合、乗員50の背中51を臨むようにそのヘッドレ
スト・ブラケット24、24から下方に適宜に伸長される長さに設定されてU字形状に折
り曲げ成形され、そして、その左右のスティ・ホルダー27、27および27、27間でその左右のヘッドレスト・ブラケット24、24のその前面25、25に両上端を溶接することによってその左右のヘッドレスト・ブラケット24、24に固定的に取り付けられる。勿論、この左右のヘッドレスト反り返り抑え28、28は、所定の厚さの鋼板から打ち抜かれて適宜にプレス成形されてもかまわない。
【0014】
その左右のヘッドレスト40、40のそれぞれは、ヘッドレスト・フレーム41が所定の肉厚、太さの細長いスチール・パイプから逆U字曲げされて両端部分をその左右のスティ
42、42に活用する通常のヘッドレスト・パイプ・フレームに衝撃エネルギー吸収バー45を溶接し、ヘッドレスト・パッド43がそのヘッドレスト・フレーム41に組み付けられ、そして、ヘッドレスト・トリム・カバー44がそのヘッドレスト・パッド43に被せられ、固定されて仕上げられるところの構造を採る。
その衝撃エネルギー吸収バー45は、所定の太さの細長いスチール・ワイヤからU字曲げ
される。この衝撃エネルギー吸収バー45は具体的には、それの両端を左右の短い連結アーム46、46に折り曲げ、そして、その左右の短い連結アーム46、46でそのヘッドレスト・パイプ・フレーム41の上方部分に溶接されてそのヘッドレスト・パイプ・フレーム41から前上り傾斜に突き出される。特に、その衝撃の入力方向に合わせてそのヘッドレスト・パイプ・フレーム41から前方に突き出され、そのヘッドレスト40、40に入力されるその衝撃を部分的に吸収緩和可能にしている。
【0015】
したがって、このシート・バック・ワイヤ・フレーム10では、そのヘッドレスト40がその乗用車の衝突事故でその乗員50の頭部52を受け、そして、前方からその衝撃を受ける際、そのヘッドレスト40がその衝撃で後方に反り返るように回転されようとすると、そのヘッドレスト40に入力された力がそのヘッドレスト反り返り抑え28でその乗員50のその背中51、そのリア・シート・バック31に伝えられ、そのヘッドレスト40の後方回転、すなわち、後方反り返りが防止されてその乗員50の頭部傷害が確実に防止、軽減され、加えて、そのヘッドレスト反り返り抑え24がそのヘッドレスト・ブラケット24およびシート・バック・ワイヤ・フレーム10に固定される構造を採ることによってヘッドレスト構造が単純化され、そして、取付けが簡単で生産性、コスト低減が図られる。勿論、そのシート・バック・ワイヤ・フレーム10は、シート・バック・パイプ・フレームやパイプ・フレーム部分とヒンジ・ブラケットの組合せフレームなどに具体化され
てもかまわない。また、そのヘッドレスト反り返り抑え24は左右のスティ・ホルダー27、27に溶接されてもかまわない。
【0016】
先に図面を参照して説明されたところのこの発明の特定された具体例から明らかであるように、この発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、この発明の内容は、その発明の性質(nature)および本質(substance)に由来し、そして、それらを内在させると客観的に認められる別の態様に容易に具体化される。勿論、この発明の内容は、その発明の課題に相応し(be commensurate with)、そして、その発明の成立に必須である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
上述から理解されるように、この発明の自動車シートに用いるシート・バック・フレームは、レーム・トップ、フレーム・ボトム、および左右のフレーム・サイドで枠組みされるメイン・バック・フレームと、そのメイン・バック・フレームのそのフレーム・トップに固定的に取り付けられて前面に左右のスティ・ホルダーを固定的に取り付け、そして、その左右のスティ・ホルダーにヘッドストの左右のスティを対応的に差し込んでそのヘッドレストをそのメイン・バック・フレームに支持させるヘッドレスト・ブラケットと、そのスティ・ホルダーおよびヘッドレスト・ブラケットの何れかに固定的に取り付けられ、そして、乗員の背中を臨むように下方に適宜に伸長されるヘッドレスト反り返り抑えとを含むので、この発明の自動車シートに用いるシート・バック・フレームでは、自動車の衝突事故時、そのヘッドレストが前方から衝撃を受ける際、そのヘッドレストに入力された力がそのヘッドレスト反り返り抑えでその乗員の背中、シート・バックに伝えられ、そのヘッドレストの後方回転、すなわち、後方反り返りが防止されてその乗員の頭部傷害が確実に防止、軽減され、加えて、そのヘッドレスト反り返り抑えがそのヘッドレスト・ブラケットおよびシート・バック・フレームに固定される構造を採ることによってヘッドレスト構造が単純化され、取付けが簡単で生産性、コスト低減が図られ、その結果、自動車のリア・シートにとって非常に有用で実用的である。
【符号の説明】
【0018】
10 シート・バック・フレーム/シート・バック・ワイヤ・フレーム
11 メイン・バック・ワイヤ・フレーム
12 フレーム・トップ・ワイヤ
13 フレーム・ボトム・ワイヤ
14 左のフレーム・サイド・ワイヤ
15 右のフレーム・サイド・ワイヤ
16 アッパー・クロス・ワイヤ
17 ロア・クロス・ワイヤ
18 左右のインナー・スタッド・ワイヤ
19 左右のアウター・スタッド・ワイヤ
20 上下のスタッド・クロス・ワイヤ
21 左右の補強サイド・ワイヤ
22 左右の形状出しワイヤ
23 左右のフロア・ワイヤ
24 左右のヘッドレスト・ブラケット
25 前面/段付け前面
26 段下げ面
27 左右のスティ・ホルダー
28 左右のヘッドレスト反り返り抑え
30 リア・シート
31 リア・シート・バック
32 シート・バック・パッド
33 シート・バック・トリム・カバー
40 左右のヘッドレスト
41 ヘッドレスト・フレーム/ヘッドレスト・パイプ・フレーム
42 左右のスティ
43 ヘッドレスト・パッド
44 ヘッドレスト・トリム・カバー
45 衝撃エネルギー吸収バー
46 左右の短い連結アーム
50 乗員
51 背中
52 頭部
60 衝撃/ヘッドレストに入力された力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム・トップ、フレーム・ボトム、および左右のフレーム・サイドで枠組みされるメイン・バック・フレームと、そのメイン・バック・フレームのそのフレーム・トップに固定的に取り付けられて前面に左右のスティ・ホルダーを固定的に取り付け、そして、その左右のスティ・ホルダーにヘッドストの左右のスティを対応的に差し込んでそのヘッドレストをそのメイン・バック・フレームに支持させるヘッドレスト・ブラケットと、そのスティ・ホルダーおよびヘッドレスト・ブラケットの何れかに固定的に取り付けられ、そして、乗員の背中を臨むように下方に適宜に伸長されるヘッドレスト反り返り抑えとを含む自動車シートに用いるシート・バック・フレーム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate