説明

自動車用の暖房およびエアコンデショニング・システム

自動車の運行中および自動車が静止しているとき、自動車の内部を暖房または冷房するための、自動車用、特に実用車用の暖房およびエアコンデショニング・システム(10)に関する。自動車の内部は別々に暖房または冷房することができる前部領域および後部領域に分割され、かつ、自動車の運行中、前部領域を暖房し冷房するために使用される前部システム(12)、自動車の運行中、後部領域を暖房し冷房するために使用される後部システム(14)、および自動車が静止しているとき、少なくとも後部領域を暖房し冷房するために使用される静止システム(16)を備える。本発明によれば、この静止システムは後部システムに一体化される。この発明はさらに、暖房およびエアコンデショニング・システム(10)によって自動車を暖房およびエアコンデショニングする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の走行状態および停止状態中の自動車の内部を暖房し、冷房するための、自動車、特に実用車用の暖房およびエアコンデショニング・システムすなわち、自動車の内部が前部領域と後部領域に分割され、それらを別々に暖房し冷房することができるシステムに関する。この暖房およびエアコンデショニング・システムは、自動車の走行状態中、前部領域を暖房および冷房するための前部システム、自動車の走行状態中、後部領域を暖房および冷房するための後部システム、および自動車が停止状態にあるとき、少なくとも後部領域を暖房および冷房するために使用される停止状態システムとを備える。
【0002】
本発明はさらに、自動車の暖房およびエアコンデショニング用の方法に関する。
【0003】
さらに、本発明は、暖房およびエアコンデショニング・システムを有する自動車に関する。
【背景技術】
【0004】
実用車、特にトラックでは、車両の内部を暖房および冷房する、すなわち一般的に言ってエアコンデショニングすることに関し個々の要求がなされる。車両の内部は一般に前部領域および後部領域に分割され、前部領域は車両が走行状態中占有される運転者座席および補助運転者座席を含み、後部領域は車両が停止状態にあるとき使用される寝室兼用運転台を備える。運転者が寝室兼用運転台内で過ごす休憩中に、運転者に快適な環境を提供するために、車両が停止状態にあるとき後部領域を必要に応じて暖房および冷房することができると便利である。
【0005】
この目的のために、最新の技術的考え方は、前部システムを後部システムと組み合わせること、特に、車両の後部領域を冷房するために、車両が停止状態にあるときもエアコンデショニング・システムの共通の圧縮機を駆動することを提案している。この考え方の欠点は、高い燃料消費量、車両が停止状態でいるときのエンジンの磨耗および断裂、およびエンジンの動作に起因する汚染物質および騒音のさらなる放出である。
【0006】
これらの欠点は、もっぱら車両の走行状態中に前部システムおよび後部システムの動作を可能にし、追加の自給自足できる停止状態エアコンデショニング・システムを設けることによって、ある程度は対処してきている。この停止状態システムは、例えば、補助モータまたは補助バッテリによって駆動力が供給される電気的にまたは機械的に駆動可能な圧縮機で動作する。この考え方は燃料消費量を低減させ、エンジン磨耗を減少させ、より少ない放出に結果としてなるけれども、自給自足できる停止状態エアコンデショニング・システムに起因する大規模な複雑性を必要とする欠点を有する。
【0007】
本開示の範囲内では、自動車の動作状態は術語「走行状態」および「停止状態」によって示される。この文脈では、「走行状態」は車両が通行または動作中であることを必ずしも必要としない動作状態を示すことを念頭に置くべきである。そうではなく、それは一般に車両のエンジンである動力供給集合体が運転していることで十分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、非常に合理的な配置を有する暖房およびエアコンデショニング・システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は独立請求項の特徴によって解決される。
【0010】
本発明の有利な実施形態は従属請求項で定義される。
【0011】
本発明は、停止状態システムが後部システムに一体化される汎用の暖房およびエアコンデショニング・システムを越えて確立されている。したがって、このシステムの全体配置は、停止状態システムおよび後部システムが共通の構成部品を提供することができるので、より合理的である。
【0012】
特に、停止状態システムが冷却熱交換器および冷熱アキュムレータを備え、そのようにすることによって冷却熱交換器、および後部システムの加熱熱交換器、および後部システムの蒸発器に同じブロアによって空気流を送ることを意図している。停止状態システムの冷熱アキュムレータは、自動車の走行状態中に冷熱アキュムレータの領域内の蒸発工程によって装填される。この停止状態システムの後部システムへの一体化はこの場合、冷熱アキュムレータと連通する冷却熱交換器に後部システムの蒸発器および加熱熱交換器と同じブロアからの空気を供給することによって実現される。
【0013】
この解決策によって、停止状態システムの冷却熱交換器および停止状態システムの冷熱アキュムレータを、それを通して熱運搬体がポンプによって運ばれる熱運搬回路内に配置することがさらに特に有益になる。その結果、この熱運搬媒体は、冷熱アキュムレータに貯蔵された冷熱を引き出し、この冷たい熱運搬媒体は電気的に駆動されるポンプの動力を介して冷却熱交換器に移送される。そこで、ブロアから来る空気は、冷たい熱運搬媒体に作用し、次いでそれは冷却された空気として車両の後部領域内に流れ込むことができる。
【0014】
さらに、前部システムの蒸発器、後部システムの蒸発器、および停止状態システムの冷熱アキュムレータが同じ凝縮器と連通すること、および1つの圧縮機を全体の暖房およびエアコンデショニング・システム用に設けることが特に有益である。その結果、全体システムの動作のために単一の凝縮器および単一の圧縮機を設けることが十分となる。凝縮器内で液化される冷却媒体は、前部システムの蒸発器、後部システムの蒸発器および停止状態システム冷熱アキュムレータに、バルブ制御された方法で到達することができる。これらの構成部品から、冷却媒体はこの装置の唯一の圧縮機に戻される。
【0015】
しかしながら、前部システムの蒸発器および後部システムの蒸発器が同じ凝縮器と連通すること、および停止状態システムがそれ自体の凝縮器およびそれ自体の圧縮機を備えることも可能である。そうすることによって、単一の圧縮機しか、および単一の凝縮器しか持たない実施形態と比較して適応できる複雑性は増加するが、しかしながら、停止状態エアコンデショニング・システムを一体化するとき、柔軟性において利益がある。停止状態エアコンデショニング・システムに別個の凝縮器および別個の圧縮機を設けることによって、停止状態エアコンデショニング・システムに別個に冷却媒体を装填し、それを全体システムに加えることが可能になる。
【0016】
さらに、後部システムの蒸発器と停止状態システムの冷熱アキュムレータが同じ凝縮器と連通すること、および前部システムがそれ自体の凝縮器およびそれ自体の圧縮機を備えるように設定することもできる。そうすることによって、前部システムは、組み合わされた後部停止状態エアコンデショニング・システムから切り離される。それによって前部システムの負荷が軽減され、前部領域と後部領域の間の長い冷却媒体導管が一切必要なくなり、後部停止状態エアコンデショニング・システムは、前部システムを考慮することなく柔軟な方法で一体化することができる。組み合わされた後部停止状態システムの圧縮機は、機械的にまたは電気的に駆動することができる。自動車の停止状態では通常、冷熱アキュムレータが停止状態エアコンデショニングに必要な冷熱を供給するので、圧縮機の動作は全く必要ない。
【0017】
しかしながら、後部システムおよび停止状態システムが、停止状態で動作可能な共通の圧縮機を備えることが有益である場合がある。この実施形態では、冷熱アキュムレータはなくても済む。停止状態で、この圧縮機は機械的にまたは電気的に動作可能である。これに必要な動力は、例えば、十分に充電された補助バッテリまたは燃料電池から得ることができる。
【0018】
さらに本発明は、停止状態システムが冷熱アキュムレータを備える点で、また停止状態システムおよび後部システムが、ポンプを介して冷熱アキュムレータと連通している共通の冷却熱交換器を備える点でさらに有益に発展する。この手段によって、後部システムに割り当てられた、走行状態エアコンデショニング用の別個の蒸発器はなくても済む。というよりむしろ、後部領域のエアコンデショニングを持つことが、冷熱アキュムレータを介在させることによって走行状態中に行われるのである。
【0019】
さらに、停止状態システムおよび後部システムが共通のアキュムレータ−蒸発器−熱交換器ユニットを備えるように設定することができる。この結果、冷熱を貯蔵するための冷熱アキュムレータは、停止状態中ブロアから空気が供給される熱交換器、および走行状態中ブロアから空気が供給される熱交換器として働く。
【0020】
本発明はさらに、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムによって自動車を暖房およびエアコンデショニングするための方法、および本発明よる暖房およびエアコンデショニング・システムを有する自動車に関する。この手段によって、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの利点および特別な特徴も方法および自動車の範囲内で実施される。
【0021】
本発明は、停止状態システムの後部システム内への一体化に起因して、全体システムに関する合理化のさらなる可能性を達成することができるという結論に基づく。さらにこの一体化は、エネルギー消費量および放出の低下、ならびに最新技術によるシステムと比較して、含まれる構成部品の磨耗および断裂を低減させるための必要条件をもたらす。
【0022】
次いで本発明を、具体的に選択された実施形態の添付の図面を参照して、例示的な方法で説明する。そうするために、以下の図画が示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、(100を法として)同一の参照番号は、同一または同様な構成部品を示す。
【0024】
図1は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第1の実施形態の概略図を示す。図2は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの構成部品の考え得る幾何学的配置の2つの例示的な図を示す。この暖房およびエアコンデショニング・システム10は、前部システム12、後部システム14および停止状態システム16を備え、この述べたシステムは互いに結合されている。これは特に、共通の圧縮機36、共通の凝縮器34ならびに前部システム12の蒸発器32、後部システム14の蒸発器24および停止状態システム16の冷熱アキュムレータ20と連通する共通のアキュムレータ42、ならびに図2に示すように、後部システム14の加熱熱交換器22、停止状態システム16の冷却熱交換器18、および後部システム14の冷却熱交換器として働く後部システム14の蒸発器24に作用する同じブロア26の空気流を示す。既に述べた構成部品に加えて、この暖房およびエアコンデショニング・システム10は、冷却水47を供給することができる前部システム12用の加熱熱交換器44、前部システム12の蒸発器32に割り当てられた膨張要素46、後部システム14の蒸発器24に割り当てられた膨張要素48および冷熱アキュムレータ20に割り当てられた膨張要素50を備える。既に述べたブロア26に加えて、前部システム12の蒸発器32および前部システム12の加熱熱交換器44に空気流を供給することができる追加のブロア52が設けられる。さらに、凝縮器34に空気流を供給するためのブロア54が設けられる。その上、電気的に動作可能な電磁弁56、58、60が設けられる。この電磁弁56の開いた状態では、前部システム12の蒸発器32に冷却剤が供給されるが、一方、電磁弁56の閉じた状態ではこれは妨げられる。電磁弁58の開いた状態では、後部システム14の蒸発器24に冷却剤が供給され、一方、電磁弁58の閉じた状態ではこれは妨げられる。電磁弁60の開いた状態では、冷熱アキュムレータ20に冷却剤が供給され、一方、電磁弁60の閉じた状態ではこれは妨げられる。さらに、冷熱アキュムレータ20に向かう方向の冷却剤の流れを防止するチェック・バルブ62が設けられる。この冷熱アキュムレータ20および冷却熱交換器18は、熱運搬回路28を介して互いに連結され、構成部品を通り熱運搬媒体を運ぶためのポンプ30が設けられる。さらに、停止状態加熱動作を可能にするために、後部システム14の加熱熱交換器22内に流れ込む冷却水66を加熱することができる水加熱器64が設けられる。
【0025】
走行状態では、圧縮された冷媒を凝縮器34に供給するように、圧縮機36が自動車のエンジンによって駆動される。これは次いでアキュムレータ42を介して電磁弁56、58、60の状態に応じて、前部システム12および後部システム14の蒸発器32、24、および冷熱アキュムレータ20に供給される。特に、冷熱アキュムレータ20は、電磁弁60を開いた状態で、この方法で装填される。車両の停止状態では、すなわちエンジンが停止しているとき、ポンプ30を動作させることによって冷却エネルギーを冷熱アキュムレータ20から引き出すことができる。この冷却エネルギーは、冷却熱交換18に作用する空気流26を通る冷却熱交換器18を介した冷却された空気流の形態で車両の後部領域に供給することができる(図2参照)。
【0026】
図3は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第2の実施形態の概略図を示す。本発明による暖房およびエアコンデショニング・システム10のこの実施形態では、前部システム12および後部システム14は、特に走行状態の動作に関しては、図1による暖房およびエアコンデショニング・システム10と類似の方式で設計されている。単に、走行状態中、前部システム12および後部システム14の選択的な動作を可能にするためのバルブが1つも設けられていない。勿論これは、膨張要素346および348の前に電磁弁を配置することによって可能である。
【0027】
停止状態システム16が、暖房およびエアコンデショニング・システム10内に図1に関して説明したのと異なる方法で一体化されている。この停止状態システムは、例えば、発電機からの直接的な電力、補助バッテリであることが好ましいバッテリからの電力、または燃料電池からの電力によって電気的に駆動することができることが好ましい、追加の圧縮機340を備える。圧縮された冷媒は、追加のブロア370によって冷却される追加の凝縮器338内に供給される。次いで圧縮された冷却媒体は、追加のアキュムレータ348および膨張要素350を介して冷熱アキュムレータ320に供給される。このように行われる冷熱アキュムレータ320の装填工程は、車両の走行状態中に行われることが好ましい。何故なら、そのときは圧縮機340を動作させるための十分な動力が使用可能であるからである。しかしながら、十分な量の電力が使用可能である場合は、車両の停止状態で装填工程を行うこともできる。次いで冷熱アキュムレータ320の放出が、図1による実施形態におけるように実施される。
【0028】
図3による本実施形態では、停止状態システム16の後部システム14内への一体化も、図2に関連して示すように、特に共通のブロア326からの空気流が後部システム14の加熱熱交換器322、停止状態システム16の冷却熱交換器318および後部システム14の蒸発器324の構成部品に作用することで特徴づけられる。
【0029】
図4は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第3の実施形態の概略図を示す。暖房およびエアコンデショニング・システム10のこの図示の実施形態では、圧縮機436および凝縮器434が前部システム12の動作のために設けられ、圧縮機440および凝縮器438が後部システム14の動作および停止状態システム16の動作のために設けられる。したがって、前部システム12と後部システム14および停止状態システム16の組合せは完全に切り離されている。特に電気的に駆動される圧縮機440は、蒸発器424を介して後部領域の走行状態エアコンデショニングを供給するために、かつ冷熱アキュムレータ420を装填するために、走行状態で動作させることが好ましい。放出はやはりポンプ430を動作させることによって熱運搬回路428を介して行われる。この場合も、図3に関して既に述べたように、圧縮機440の動作は、やはり必ず停止中にも考慮することができることに注目されたい。次いで、電磁弁458を開いた状態で蒸発器424を介した後部領域の直接冷却が可能であり、かつ/または冷熱アキュムレータ420から後でこの冷却エネルギーを引き出すために、電磁弁460を開いた状態で冷熱アキュムレータ420の装填が可能である。この場合も、図2に示すように、同じブロア426からの空気流が加熱熱交換器422、冷却熱交換器418および蒸発器424に作用する。
【0030】
図5は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第4の実施形態の概略図を示す。ここでもまた、一方では前部システム12の完全な分離と、他方では後部システム14および停止状態システム16の組合せが存在する。この前部システム12は図5のシステムに対応する。図4による解決策とは対照的に、後部システム14および停止状態システム16の組合せは冷熱アキュムレータを備えていない。したがって、停止状態エアコンデショニングであっても、圧縮機540を、蒸発器524内に冷熱を発生させることができるように動作させなくてはならない。したがって、圧縮機540用の補助モータによって電気的にまたは機械的に駆動可能な圧縮機を使用することが推薦できる。何故なら、この圧縮機は、車両の停止状態中、バッテリ、特に補助バッテリによって、あるいは燃料電池からの電力によって動作することができるからである。そして、例えば図4によるように、加熱熱交換器522に冷却水566が供給され、これによって停止状態中に水加熱器によって暖房の目的を達成することもできる。
【0031】
図6は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第5の実施形態の概略図を示す。暖房およびエアコンデショニング・システム10の本実施例は、図5に関連して説明したものに広い範囲で対応する。相違点は、前部システム12の加熱手段と後部システム14および停止状態システム16の組合せに関することのみであることに注目することができる。この前部システム12は、好ましくは蒸発器632をバイパスすることによって、ブロア652による空気が供給される空気加熱器672を備える。
【0032】
そのような空気加熱器は、例えば、従来型の燃料で動作する補助空気加熱装置として構成することができる。後部システム14および停止状態システム16の組合せは、電気加熱器674を備える。これに、車両のバッテリ、特に補助バッテリ、燃料電池または発電機からの電力が供給される。この電気加熱器674にも蒸発器624をバイパスすることによって、ブロア626による空気流を供給することが好ましい。
【0033】
図7は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第6の実施形態の概略図を示す。この場合も、一方では前部システム12が、他方では後部システム14および停止状態システム16の組合せが、互いに完全に分離された一実施例が示されている。この前部システム12は従来方式で構成されている。図4による実施形態と対照的に、後部システム14および停止状態システム16の組合せは、別個の蒸発器が欠けている。そうではなく、冷熱アキュムレータ720のみが冷却回路の蒸発器として設けられている。結果として、同様に走行状態で車両の後部領域の冷房が望まれる場合は、冷房に必要とされる冷熱は熱運搬回路728を介して冷熱アキュムレータ720から冷却熱交換器718を介してポンプ730によって引き出される。
【0034】
図8は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第7の実施形態の概略図を示す。これは、図7による実施形態に広い範囲で対応する。後部システムおよび停止状態システムの組合せの加熱器に関して相違点がある。
【0035】
この実施例では、好ましくは冷却熱交換器818をバイパスすることによって、ブロア826によって空気が供給される空気加熱器876が設けられる。そのような空気加熱器は、例えば、従来型の燃料で動作する補助空気加熱装置として構成することができる。
【0036】
図9は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第8の実施形態の概略図を示す。ここで示された本発明による暖房およびエアコンデショニング・システム10の実施形態は、図8による実施形態に広い範囲で対応する。しかしながら、後部システム14および停止状態システム16の組合せで、別個の冷却熱交換器が省略されている。そうではなく、車両の内部に冷熱を伝達するためにブロア926によって空気を直接供給することができるアキュムレータ−蒸発器−熱交換器ユニット920として、冷熱アキュムレータが指定されている。例えば図7に関連して説明したものなどの、例えばそれを通り冷却水が通過する加熱熱交換器、例えば図8に関連して説明したものなどの補助空気加熱装置、例えば図6に関連して説明したものなどの電気加熱器による加熱装置(図示せず)も設けることができる。
【0037】
図10は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第9の実施形態の概略図を示す。ここで、2つの別個の冷却回路、1084および1086が設けられる。冷却回路1084および1086の両者は、同じ蒸発器1076に接続され、蒸発器1076を別個に貫通して流れる物質の混合は蒸発器1076内で全く起きない。冷却回路1086は、補助モータ1080または補助バッテリ1080によって駆動可能な圧縮機1040を備える。この補助モータの動作は本発明の他の実施形態でのように機械的に直接的に生じさせることができ、あるいはそこでは、発電機を介してまたは発電機によって充電されるバッテリを挿入することによって補助モータが直接圧縮機1040を駆動する。第2の冷却回路1086はその他の点では、それが、それ自体の凝縮器1038、それ自体のアキュムレータ1082およびそれ自体の膨張要素1078を有するという意味では完結している。車両の走行状態中、通常、圧縮機1036は動作しており、一方圧縮機1040は動作しない。自動車の停止状態では、圧縮機1040が動作することによって停止状態エアコンデショニングが行われる。
【0038】
図11は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第10の実施形態の概略図を示す。この実施形態は、図10による実施形態に広い範囲で対応する。図10と対照的に、完全に別個の冷却回路は全く設けられていない。圧縮機1136が動作し、ならびに圧縮機1140が動作するこのシステムの正常な動作は、チェック・バルブ1188、1190、1192の配置によって保証される。圧縮機1036の動作中、かつ圧縮機1140の停止中、チェック・バルブ1192が、膨張要素1148をバイパスする導管を介した冷媒の流れが全く起きず、しかし全ての流れが膨張要素1148を通り進むことを確実にする。圧縮機1140は、凝縮器1138に向かう冷媒の流れを防止する。圧縮機1136の停止中、かつ圧縮機1140の動作中、チェック・バルブ1190が、膨張要素1178を通る流れが蒸発器1176に向かって進むことを確実にする。このチェック・バルブ1188は、蒸発器1132を通る流れが全く起きないことを確実にする。圧縮機1136は、凝縮器1134に向かう方向に起きる冷媒の所望されない流れを防止する責任がある。
【0039】
図12は、本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第11の実施形態の概略図を示す。この実施形態は、図10による実施形態に広い範囲で対応する。しかしながら、図10と対照的に、別個の蒸発器が走行状態用および停止状態用に、すなわち走行状態用に蒸発器1224が、停止状態用に蒸発器1270が設けられている。停止状態システム16の後部システム14内への一体化もやはり、特に後部システム14の加熱熱交換器1222、後部システム14の蒸発器1224および停止状態システム16の蒸発器1270が同じブロア1226によってどのように空気流が供給されるか、したがって、例えば、図2に関連して示すような配置を備えることを示し、このことは既に数回論じられてきた。したがって、図2による冷却熱交換器18は、図12による蒸発器1276によって単に置き換えられている。
【0040】
上記の説明、図面および特許請求の範囲で開示された本発明の特徴は、独立に、かつ組合せで、本発明の実施に対し不可欠であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第1の実施形態の概略図である。
【図2】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの構成部品の考え得る幾何学的配置の2つの例示的な図である。
【図3】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第2の実施形態の概略図である。
【図4】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第3の実施形態の概略図である。
【図5】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第4の実施形態の概略図である。
【図6】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第5の実施形態の概略図である。
【図7】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第6の実施形態の概略図である。
【図8】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第7の実施形態の概略図である。
【図9】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第8の実施形態の概略図である。
【図10】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第9の実施形態の概略図である。
【図11】本発明による暖房およびエアコンデショニング・システムの第10の実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0042】
10 エアコンデショニング・システム
12 前部システム
14 後部システム
16 停止状態システム
18 冷却熱交換器
20 冷熱アキュムレータ
20 アキュムレータ−蒸発器−熱交換器ユニット
22 加熱熱交換器
24 蒸発器
26 ブロア
28 熱運搬回路
30 ポンプ
32 蒸発器
34 凝縮器
36 圧縮機
38 凝縮器
40 圧縮機
42 アキュムレータ
44 加熱熱交換器
46 膨張要素
47 冷却水
48 膨張要素
50 膨張要素
52 ブロア
54 ブロア
56 電磁弁
58 電磁弁
60 電磁弁
62 チェック・バルブ
64 水加熱器
66 冷却水
70 ブロア
72 空気加熱器
74 加熱器
76 蒸発器
78 膨張要素
80 補助モータ/補助バッテリ
82 アキュムレータ
84 冷却回路
86 冷却回路
88 チェック・バルブ
90 チェック・バルブ
92 チェック・バルブ
100の整数倍を加えた参照番号は、同一のまたは同様な構成部品を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の走行状態および停止状態中、自動車の内部を暖房または冷房するための、自動車用、特に実用車用の暖房およびエアコンデショニング・システム(10)であって、前記自動車の前記内部は別々に暖房または冷房することができる前部領域および後部領域に分割され、
前記自動車の前記走行状態中、前記前部領域を暖房し、かつ冷房するための前部システム(12)と、
前記自動車の前記走行状態中、前記後部領域を暖房し、かつ冷房するための後部システム(14)と、
前記自動車が前記停止状態中、少なくとも前記後部領域を暖房し、かつ冷房するための停止状態システムとを備え、
前記停止状態システム(16)が前記後部システム(14)に一体化されていることを特徴とする、暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項2】
前記停止状態システム(16)が冷却熱交換器(18)および冷熱アキュムレータ(20)を備え、
前記冷却熱交換器(18)、前記後部システム(14)の加熱熱交換器(22)および前記後部システムの蒸発器(24)に同じブロア(26)によって空気流が供給されることを特徴とする、請求項1に記載の暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項3】
前記停止状態システム(16)の前記冷却熱交換器(18)および前記停止状態システム(16)の前記冷熱アキュムレータ(20)が、1つの熱運搬回路(28)に配置され、それを通る熱運搬がポンプ(30)によって行われることを特徴とする、請求項2に記載の暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項4】
前記前部システム(12)の蒸発器(32)、前記後部システム(14)の蒸発器(24)および前記停止状態システム(16)の冷熱アキュムレータ(20)が同じ凝縮器(34)と連通し、
全体の暖房およびエアコンデショニング・システムのために圧縮機(36)が設けられることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項5】
前記前部システム(12)の蒸発器(332)および前記後部システム(14)の蒸発器(334)が同じ凝縮器(334)と連通し、
前記停止状態システム(16)がそれ自体の凝縮器(338)およびそれ自体の圧縮機(340)を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項6】
前記後部システム(14)の蒸発器(424)および前記停止状態システム(16)の冷熱アキュムレータ(420)が同じ凝縮器(428)と連通し、
前記前部システム(12)がそれ自体の凝縮器(434)およびそれ自体の圧縮機(436)を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項7】
前記後部システムおよび前記停止状態システムが前記停止状態で動作可能な共通の圧縮機(540、640)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項8】
前記停止状態システムが冷熱アキュムレータ(720、820)を備え、
前記停止状態システムおよび前記後部システムが、ポンプ(730、830)を介して前記冷熱アキュムレータ(720、820)と連通する共通の冷却熱交換器(718、818)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項9】
前記停止状態システム(16)および前記後部システム(14)が、共通のアキュムレータ−蒸発器−熱交換器ユニット(920)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の暖房およびエアコンデショニング・システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の暖房およびエアコンデショニング・システム(10)を備える、自動車の暖房およびエアコンデショニングのための方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の暖房およびエアコンデショニング・システム(10)を備える自動車。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−510586(P2007−510586A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538873(P2006−538873)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003973
【国際公開番号】WO2005/102746
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(591018763)ベバスト・アクチィエンゲゼルシャフト (102)
【Fターム(参考)】