説明

自動車用ウエザストリップ

【課題】ウエザストリップをより軽量化するとともに、フランジ部から抜けにくい、容易に安価に製造することができる自動車用ウエザストリップを得る。
【解決手段】自動車用ウエザストリップ10は、車体開口部周縁又は開口部開閉部材2の略上半分に取付けられる部分を型成形で形成される。車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ部7に取付けられるトリム部20と、シール部30を有する。トリム部20にインサート部材を埋設せずに、長手方向に並んで複数の係止リップ25を形成し、係止リップ25に対応した位置のフランジ部7に、長手方向に並んで複数個の係止部7aを形成し、係止部7aに係止リップ25を係合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材の略上半分の間をシールする自動車用ウエザストリップに関するものである。特に、車体開口部周縁又は開口部開閉部材に形成されたフランジ部に取付けられるトリム部と、開口部開閉部材又は車体開口部周縁に当接してシールするシール部を有する自動車用ウエザストリップに関するものである。
本願発明を車体開口部周縁のフランジ部の略上半分に取付けられ、自動車ドア閉時にドアと当接し、ドアと車体との間をシールするオープニングトリムウエザストリップを例に取り説明する。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、自動車の車体の車体開口部周縁6に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110は、押出成形により成形され、1本の部材を型成形部111で接続して環状に形成して、車体開口部周縁6に取付けられている。
その断面形状は、図7に示すように、トリム部120と、カバーリップ130と中空シール部140から構成されている。
【0003】
トリム部120は、断面略U字形をなし、車体開口部周縁6に形成されたフランジ部7を把持して、オープニングトリムウエザストリップ110を車体開口部の全周に亘り取付けるものである。トリム部120は、その内部にフランジ部7を保持する力を強化するため金属製のインサート部材126が埋設され、上記断面略U字形の内面にはフランジ部7を保持する車外側保持リップ124と車内側保持リップ125が形成されており、保持リップ124、125によって、車体1のフランジ部7に保持されている。
【0004】
近年、自動車の軽量化の要請が強くなり、金属製のインサート部材126を廃止する必要が生じている。
また、開口部開閉部材又は車体開口部周縁のコーナー部にオープニングトリムウエザストリップ110を装着するときに、コーナー部に沿って曲げたときに、中空シール部140が座屈したり、曲げた部分が直線方向に戻ったりすることを防止するため、コーナー部を型成形で形成することも行われている。しかしながら、この場合は押出成形と型成形の2回の工程が必要となり、手間がかかるとともにコストアップとなっていた。
【0005】
そのため、図8に示すように、トリム部220にインサート部材を埋設しないウエザストリップ210が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図8のウエザストリップ210は、トリム部220の内面に形成した保持突条226をフランジ部7の板金の折り返し部分に係合させているのみで、トリム部220をフランジ部7に係合するする力が充分でなかった。
【0006】
また、図9に示すように、図8と同様に、トリム部320にインサート部材を埋設しないウエザストリップ310が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
図9のウエザストリップ310は、フランジ部7への取付けは、トリム部320の一方の内面に取付けた両面接着テープ321をフランジ部7の側面に接着している。また、トリム部320の他方の内面に係止突起322を形成し、フランジ部7の突起7cに係合している。この場合は、両面接着テープ321を取付けるため、手間とコストが増加する。
【0007】
さらに、また、図10に示すように、図8と同様に、トリム部420にインサート部材を埋設しないウエザストリップ410が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
図10のウエザストリップ410は、断面U字形に折り曲げてフランジ部7の先端部分を形成し、トリム部420の一方の側壁422をその断面U字形の内部に挿入し、フランジ部7の折り曲げた先端を側壁422と側壁423の間に挿入している。この場合は、ウエザストリップ410を装着するときにトリム部420をフランジ部7に嵌め込む作業に手間がかかり、フランジ部7の形状も複雑となる。
【0008】
また、図11に示すように、インサート部材を埋設しないウエザストリップを取付けるために、フランジ部7に切り起し部7dを設け、この切り起し部7dにトリム部を係止することが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、この場合は、ウエザストリップのトリム部は中央にフランジ部7を挿入する溝が形成されているのみで、トリム部の保持力は充分でなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008―254547号公報
【特許文献2】特開2000−280833号公報
【特許文献3】特許第4147957号公報
【特許文献4】特表平11−502488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、ウエザストリップをより軽量化するとともに、フランジ部から抜けにくい、容易に安価に製造することができる自動車用ウエザストリップを得ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本願発明は、自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールする自動車用ウエザストリップにおいて、
自動車用ウエザストリップは、車体開口部周縁又は開口部開閉部材の略上半分に取付けられる部分を型成形で形成され、車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ部に取付けられウエザストリップを保持するトリム部と、トリム部の外面に一体的に形成され開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部を有し、
トリム部にインサート部材を埋設せずに、長手方向に並んで複数の係止リップを形成し、係止リップに対応したフランジ部の位置に、長手方向に並んで複数個の係止部を形成し、係止部に係止リップを係合したことを特徴とする自動車用ウエザストリップである。
【0012】
請求項1の本願発明では、自動車用ウエザストリップは、車体開口部周縁又は開口部開閉部材の略上半分に取付けられる部分を型成形で形成されたため、車体開口部周縁又は開口部開閉部材のコーナー部の形状に応じてウエザストリップを形成することができ、コーナー部においても、トリム部が倒れたり直線状に戻ろうとしたりすることや、シール部が座屈することがなく、見栄えが良く、シール性を確保することができる。また直線部分を押出成型して、コーナー部を型成形する必要がなく、1回の型成形で全体を成型することができ、生産性が高い。
【0013】
車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ部に取付けられウエザストリップを保持するトリム部と、トリム部の外面に一体的に形成され開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部を有する。このため、トリム部がフランジ部を保持して、シール部を確実に開口部開閉部材又は開口部周縁に当接させて、シール性を確保することができる。
【0014】
トリム部にインサート部材を埋設しないため、ウエザストリップの重量を軽減することができ、自動車の軽量化に貢献することができる。
長手方向に並んで複数の係止リップを形成し、係止リップに対応したフランジ部の位置に、長手方向に並んで複数個の係止部を形成し、係止部に係止リップを係合した。このため、確実にフランジ部の係止部にトリム部の係止リップを係合することができ、トリム部にインサート部材を埋設しなくても、フランジ部からトリム部が外れることがない。
【0015】
請求項2の本願発明は、トリム部の係止リップが形成された部分は、断面略U字形に形成し、トリム部の側壁から断面略U字形の内面に延出する係止リップを形成し、フランジ部は、係止部としてフランジ部の一部を切起こしたフランジ係止爪を形成し、フランジ係止爪に係止リップを係合した自動車用ウエザストリップである。
【0016】
請求項2の本願発明では、トリム部の係止リップが形成された部分は、断面略U字形に形成し、トリム部の側壁から断面略U字形の内面に延出する係止リップを形成し、フランジ部は、係止部としてフランジ部の一部を切起こしたフランジ係止爪を形成し、フランジ係止爪に係止リップを係合した。このため、トリム部内で断面略U字形の内面に延出する係止リップがフランジ係止爪を確実に係合することができる。
【0017】
請求項3の本願発明は、トリム部の係止リップが形成された部分は、断面略U字形に形成し、トリム部の側壁から断面略U字形の外面に延出する係止リップを形成し、フランジ部は、係止部としてフランジ部の一部を膨出させて内部にフランジ係止凹部を形成し、フランジ係止凹部に係止リップを係合した自動車用ウエザストリップである。
【0018】
請求項3の本願発明では、トリム部の係止リップが形成された部分は、断面略U字形に形成し、トリム部の側壁から断面略U字形の外面に延出する係止リップを形成し、フランジ部は、係止部としてフランジ部の一部を膨出させて内部にフランジ係止凹部を形成し、フランジ係止凹部に係止リップを係合した。このため、フランジ部のフランジ係止凹部に断面略U字形の外面に延出する係止リップを係合させて、確実にフランジ部にトリム部保持させることができる。
【0019】
請求項4の本願発明は、トリム部とシール部は、同じ材料で形成され、その硬度は国際ゴム硬度(IRHD)30度〜70度である自動車用ウエザストリップである。
【0020】
請求項4の本願発明では、トリム部とシール部は、同じ材料で形成されているため、1個の射出成形機で成型することができ、製造が容易である。
材料の硬度は国際ゴム硬度(IRHD)30度〜70度であるため、トリム部がフランジ部を充分に保持することができるとともに、シール部が柔軟に撓んで開口部開閉部材又は開口部周縁に当接して、シール性を確保することができる。
【0021】
請求項5の本願発明は、トリム部は、シール部よりも硬い材料で形成された自動車用ウエザストリップである。
【0022】
請求項5の本願発明では、トリム部は、シール部よりも硬い材料で形成されたため、トリム部はより強くフランジ部を保持することができるとともに、シール部はより柔軟に撓んでシール性を向上させることができる。
【0023】
請求項6の本願発明は、シール部は、リップタイプである自動車用ウエザストリップである。
【0024】
請求項6の本願発明では、シール部がリップタイプであるので、シール部が中空状を有しないため、型成形で中子を使用することなく成形することができ、製造が容易である。また、リップシール部が開口部開閉部材又は開口部周縁に当接するときに、開口部開閉部材又は開口部周縁の凹凸に応じて柔軟に撓んでシールすることができる。
【0025】
請求項7の本願発明は、フランジ部の係止部は、長手方向の長さが80mm〜120mmであり、トリム部の係止リップは、長手方向の長さが15mm〜30mmである自動車用ウエザストリップである。
【0026】
請求項7の本願発明では、フランジ部の係止部は、長手方向の長さが80mm〜120mmであるため、製造や組付けのバラツキがあってもトリム部の係止リップを確実に保持することができる。
トリム部の係止リップは、長手方向の長さが15mm〜30mmであるため、フランジ部の係止部に係合したときに、充分な係合力を有することができ、フランジ部からトリム部が外れることがない。
【発明の効果】
【0027】
自動車用ウエザストリップは、車体開口部周縁又は開口部開閉部材の略上半分に取付けられる部分を型成形で形成されたため、コーナー部の形状に応じてウエザストリップを形成することができ、トリム部が倒れたり直線状に戻ろうとしたりすることや、シール部が座屈することがなく、見栄えが良く、シール性を確保することができる。
【0028】
トリム部にインサート部材を埋設しないため、ウエザストリップの重量を軽減することができる。長手方向に並んで複数の係止リップを形成し、係止リップに対応した位置にフランジ部に、長手方向に並んで複数個の係止部を形成し、係止部に係止リップを係合したため、トリム部にインサート部材を埋設しなくても確実にフランジ部の係止部にトリム部の係止リップを係合することができ、フランジ部からトリム部が外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップをフランジ部に取付けた状態の断面形状であり、図5のA−A線に沿った断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップをフランジ部に取付けた状態の断面形状であり、図5のB−B線に沿った断面図である。
【図3】本願発明の第2の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップをフランジ部に取付けた状態の断面形状であり、図5のA−A線に沿った断面図である。
【図4】ドアを開けた状態で自動車を後方から見た斜視図である。
【図5】本願発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップと車体開口部周縁のフランジ部の正面図である。
【図6】従来のオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図7】従来のオープニングトリムウエザストリップをフランジ部に取付けた状態の断面形状である。
【図8】従来の他のオープニングトリムウエザストリップをフランジ部に取付けた状態の断面形状である。
【図9】従来の他のオープニングトリムウエザストリップをフランジ部に取付けた状態の断面形状である。
【図10】従来のオープニングトリムウエザストリップをフランジ部に取付けた状態の断面形状である。
【図11】従来のオープニングトリムウエザストリップを取付けるフランジ部の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本願発明の実施の形態を、オープニングトリムウエザストリップ10を例にとり、図1〜図5に基づき説明する。本願発明は、オープニングトリムウエザストリップ10以外にも、コーナー部に取付けられるトリム部20を有するルーフウエザストリップ、ドアウエザストリップ、バックドアウエザストリップ、ラッゲージウエザストリップ等に適用することができる。
【0031】
図1は、本願発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10をフランジ部7の係止部に取付けた断面図であり、図5は、オープニングトリムウエザストリップ10と車体開口部周縁6のフランジ部7の正面図である。図2は、本願発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10をフランジ部7の係止部のない部分に取付けた断面図である。
図3は、本願発明の第2の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10をフランジ部7の係止部に取付けた断面図である。図4は、ドア2を開いた状態の自動車を後方から見た斜視図である。
【0032】
まず、本願発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10について説明し、第2の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10については、後述する。
図5に示すように、本願発明のオープニングトリムウエザストリップ10は、開口部開閉部材であるドア2により開閉される車体の開口部の車体開口部周縁6の上半分側に形成されたフランジ部7に対して取付けられるように、上半分側用として型成形により一体的に形成されている。下半分側のオープニングトリムウエザストリップ10は、従来のように、押出成形により成型され、上半分と下半分で合わせて、全周に亘り環状に取付けられている。
【0033】
本願発明の第1の実施の形態のフランジ部7は、図5に示すように、車体開口部周縁6の上半分では、インナーパネル8とアウターパネル9の先端部分が重なり合わされてフランジ部7を形成し、スポット溶接された部分である溶接部7fとフランジ部7を構成するインナーパネル8の一部を切り起こして、フランジ部7の根元側が起き上がるように、フランジ係止爪7aが形成されている係止部7gが交互に長手方向に並んで多数形成されている。
【0034】
本願発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10は、車体開口部周縁6の略上半分に取付けられる部分を型成形で形成されたため、車体開口部周縁6のコーナー部の形状に応じてオープニングトリムウエザストリップ10を形成することができ、コーナー部においても、後述するトリム部20が倒れたり直線状に戻ろうとしたりすることや、シール部30が座屈することがなく、見栄えが良く、シール性を確保することができる。また直線部分を押出成型して、コーナー部を型成形する必要がなく、1回の型成形で全体を成型することができ、生産性が高い。
【0035】
第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10のトリム部20は、フランジ部7の係止部7gに取付けられる部分と、フランジ部7の溶接部7fに取付けられる部分とが、係止部7gと溶接部7fに対応して交互に長手方向に並んで多数形成されている。上述のとおり、オープニングトリムウエザストリップ10は型成形で形成されるためトリム部20の形状を変化させることができる。
【0036】
図1は、本願発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の車内側係止リップ25を有する部分が、フランジ部7のフランジ係止爪7aに取付けられた部分の断面図である。オープニングトリムウエザストリップ10は、取付部としてのトリム部20とシール部30からなる。トリム部20とシール部30は、同じ材料で一体的に形成されている。トリム部20とシール部30は、同じ材料で形成されているため、1個の射出成形機で成型することができ、製造が容易である。材料については後述する。
【0037】
シール部30は、リップ状に形成されている。このため、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ部7に取付けて、ドアを閉めた場合には、ドアフレームにリップ状のシール部が当接して、シールすることができる。
シール部30がリップ状であるため、オープニングトリムウエザストリップ10を成形するときに中子を使用する必要がなく、製造が容易である。また、車体開口部周縁6の曲面や凹凸に応じて撓んでシール性を向上させることができる。
【0038】
トリム部20は、その取付けられるフランジ部7の溶接部7fと係止部7gに対応して、図1に示す係止部7gに取付けられる車内側係止リップ25が形成された部分と、図2に示す溶接部7fに取付けられる車内側係止リップ25が形成されていない部分とが、交互に多数形成されている。
【0039】
図1に示すように、フランジ部7の係止部7gの取付けられるトリム部20は、車外側側壁21と、車内側側壁22と、底壁23から形成される断面略U字形をなし、内部にインサート部材が埋設されていない。また、底壁23の外面から車室内側に延びるカバーリップ29が設けられている。カバーリップ29の先端部分は、車内に取付けられたガーニッシュ40に当接して、ガーニッシュ40とオープニングトリムウエザストリップ10の間の隙間を覆い、見栄えを向上させている。ガーニッシュ40がない部分等では、車内の別の内装部材、天井内貼り材等に当接して隙間を覆っている。
【0040】
トリム部20の断面略U字形の車外側側壁21の内面には複数の車外側保持リップ26が形成されている。車内側側壁22の開口側先端から車外側側壁21側に向かって車内側係止リップ25が延設されている。保持リップを車内側側壁22の内面に形成し、係止リップを車外側側壁21の開口側先端に形成することもできる。
【0041】
車外側保持リップ26は、本実施の形態においては、短い2本のリップであり、トリム部20の車外側側壁21の内面に長手方向に連続して形成されている。車外側保持リップ26は、フランジ部7の側面に当接し、フランジ部7に対し車外側側壁21を平行に保持している。このため、トリム部20の車外側側壁21の外面に形成されているシール部30が確実に相手部材であるドア2に当接し、ドア2と車体開口部周縁6との間のシール性を確保することができる。
【0042】
車内側係止リップ25は、長手方向に並んでオープニングトリムウエザストリップ10の全長に亘り断続的に複数個形成されている。図1と図5に示すように、フランジ部7の上半分には、その全長に亘り係止部であるフランジ係止爪7aが長手方向に並んで複数個形成されている。
【0043】
オープニングトリムウエザストリップ10を車体開口部周縁6のフランジ部7に取付けると、車内側係止リップ25が係止部7gのフランジ係止爪7aに係合されて、トリム部20にインサート部材を埋設しなくても確実にフランジ部7にトリム部20を係合することができ、フランジ部7からトリム部20が外れることがない。
【0044】
フランジ部7の係止部であるフランジ係止爪7aは、長手方向の長さが80mm〜120mmに形成する。第1の実施の形態では、フランジ係止爪7aの幅は50mmであり、フランジ係止爪7aが形成される間隔は100mm程度である。また、車内側係止リップ25は、フランジ係止爪7aが形成された位置に対応して同様の間隔で形成され、車内側係止リップ25の幅は15mm〜30mmに形成される。第1の実施の形態では、車内側係止リップ25の幅は20mmである。
【0045】
フランジ係止爪7aの幅が50mm程度であり、車内側係止リップ25の幅が20mm程度であるため、フランジ係止爪7aに車内側係止リップ25を係合したときに、充分な係合力を有することができ、フランジ部7からトリム部20が外れることがない。また、フランジ係止爪7aの幅が50mm程度であるため、車内側係止リップ25の製造や組付けのバラツキがあっても、トリム部20の車内側係止リップ25を確実に保持することができる。
【0046】
図2に示すように、フランジ部7の溶接部7fに対応するオープニングトリムウエザストリップ10のトリム部20は、車内側側壁22の部分がなく、車外側側壁21と底壁23のみで形成されている。このため、フランジ部7の車外側の側面に、車外側保持リップ26が当接しているのみであるが、フランジ部7の複数の係止部7gでトリム部20の車内側係止リップ25がフランジ部7に保持されているため、オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ部7から外れることがない。
【0047】
第1の実施の形態では、トリム部20とシール部30は、同じ材料で形成されている。このため、1台の射出成形機で材料を金型に注入して、成型することができ、製造が容易である。
第1の実施の形態では、材料の硬度は国際ゴム硬度(IRHD)40度の材料を使用する。このため、トリム部20がフランジ部7を充分に保持することができるとともに、シール部30が柔軟に撓んでドア2の周囲に当接して、シール性を確保することができる。なお、材料として国際ゴム硬度(IRHD)30度〜70度のものを使用することができる。具体的材料としては、合成ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、架橋型エラストマー(TPV)を使用することができる。
【0048】
次に、本願発明の第2の実施の形態について図3に基づき説明する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比べて、フランジ部7の係止部7gの形状と、オープニングトリムウエザストリップ10のトリム部20の係止リップの形状が異なり、トリム部20とシール部30の硬度が異なる点が異なる。フランジ部7の溶接部7fの形状は、第1の実施の形態と同じであり、フランジ部7の溶接部7fに取付けられるフランジ部7の形状も、第1の実施の形態と同じである。このため、異なる点を中心に説明し、同様な点についての説明は省略する。
【0049】
第2の実施の形態において、車体開口部周縁6のフランジ部7は、図3に示すように、
フランジ部7の係止部7gでは、フランジ部7の一部を車内方向に膨出させて内部にフランジ係止凹部7bを形成した。フランジ係止凹部7bは断面が略三角形状に形成され内部に空間を有し、先端はフランジ部7の先端と近接して、トリム部20の車内側側壁22が進入可能な隙間が形成されている。
【0050】
オープニングトリムウエザストリップ10のトリム部20は、車内側側壁22の先端の外面に車内方向に延出する車内側係止リップ25を形成した。
オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ部7に取付けるときに、トリム部20の車内側側壁22がフランジ部7のフランジ係止凹部7bに進入して、フランジ係止凹部7bの内面に車内側係止リップ25が係合される。フランジ係止凹部7bは、出口側の隙間が小さいため、車内側係止リップ25は、フランジ係止凹部7bから出ることがなく、トリム部20はフランジ部7から外れることがなく、確実にフランジ部7にトリム部20を保持させることができる。
【0051】
第2の実施の形態では、トリム部20は、シール部30よりも硬い材料で形成されている。トリム部20の硬度は、国際ゴム硬度(IRHD)60度程度で、シール部30の硬度は、国際ゴム硬度(IRHD)40度程度である。このため、トリム部20はより強くフランジ部7を保持することができるとともに、シール部30はより柔軟に撓んでドアフレームに当接して、シール性を向上させることができる。
【0052】
さらに、オープニングトリムウエザストリップ10を型成形するときに、第1の実施の形態と同様に、シール部がリップ状であり中空状を有しないため、型成形で中空成形用の中子を使用することなく、材料が柔軟性を有するため成形することができ、製造が容易である。
【符号の説明】
【0053】
7 フランジ部
7a フランジ係止爪
7b フランジ係止凹部
7g 係止部
10 オープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部
25 車内側係止リップ
30 シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールする自動車用ウエザストリップにおいて、
該自動車用ウエザストリップは、車体開口部周縁又は開口部開閉部材の略上半分に取付けられる部分を型成形で形成され、上記車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ部に取付けられウエザストリップを保持するトリム部と、該トリム部の外面に一体的に形成され上記開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部を有し、
上記トリム部にインサート部材を埋設せずに、長手方向に並んで複数の係止リップを形成し、上記係止リップに対応した上記フランジ部の位置に、長手方向に並んで複数個の係止部を形成し、該係止部に上記係止リップを係合したことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記トリム部の上記係止リップが形成された部分は、断面略U字形に形成し、上記トリム部の側壁から断面略U字形の内面に延出する上記係止リップを形成し、上記フランジ部は、上記係止部として上記フランジ部の一部を切起こしたフランジ係止爪を形成し、該フランジ係止爪に上記係止リップを係合した請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記トリム部の上記係止リップが形成された部分は、断面略U字形に形成し、上記トリム部の側壁から断面略U字形の外面に延出する上記係止リップを形成し、上記フランジ部は、上記係止部として上記フランジ部の一部を膨出させて内部にフランジ係止凹部を形成し、該フランジ係止凹部に上記トリム部の側壁を挿入して上記係止リップを係合した請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記トリム部と上記シール部は、同じ材料で形成され、その硬度は国際ゴム硬度(IRHD)30度〜70度である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記トリム部は、上記シール部よりも硬い材料で形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項6】
上記シール部は、リップタイプである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項7】
上記フランジ部の係止部は、長手方向の長さが80mm〜120mmであり、上記トリム部の係止リップは、長手方向の長さが15mm〜30mmである請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−51397(P2011−51397A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200106(P2009−200106)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】