説明

自動車用ナビゲーションシステムの作動方法及びナビゲーションシステム

本発明は、道路網における自動車用ナビゲーションシステムの作動方法並びにナビゲーションシステムに関する。前記道路網の少なくとも1つの規制区域は、排出物質規制クラスに依存する通行制限を有し、前記自動車には少なくとも1つの排出物質規制クラスが割り当てられる。ここではまずナビゲーションシステムの第1のデータベースに、少なくとも1つの規制区域の地理的位置に関する情報と、乗り入れを許可される自動車の排出物質規制クラスに関する情報が記憶され、次にナビゲーションシステムの第2のデータベースに当該自動車の少なくとも1つの排出物質規制クラスに関する情報が入力され、その後で前記入力された情報が目的地案内のために考慮される。ここで自動車の少なくとも1つの排出物質規制クラスが前記規制区域内への通行制限に該当している場合には前記規制区域を通過する目的地案内が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念による自動車用ナビゲーションシステムの作動方法、並びに請求項13の上位概念による自動車用ナビゲーションシステムに関している。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を備えた自動車の作動には有害物質の排出が伴っている。この有害物質排出は特に濃度(例えば大気中の有害物質の濃度)が高い場合に人体、動物及び環境に悪影響を与える可能性がある。このような理由から自動車には有害物質排出量(排気ガス、微粒子、騒音など)を低減させるための技術装置が備えられている。それにもかかわらず人口密集地帯においては、とりわけ粒子状物質に関する大気汚染の法的規制値を超えることが日常的に起こっている。そのため、低排出ガス車両のみしか乗り入れを許されていないいわゆる"排出物質規制区域"ないし"排気ガス規制区域"(ローエミッションゾーン)の指定を受けるところがますます増えている。それに対して目下のほとんどの自動車は"排出物質規制クラス"ないし"排気ガス規制クラス"に応じて4つのグループに分けられており、さらにそのような"排出物質規制区域"の周辺には、どのクラスの自動車がその排出物質規制クラスに応じて当該規制区域内への乗り入れを許可され、どのクラスの自動車は許可されないかを示す交通標識が立てられている。
【0003】
そのような法規制の監視のために、各車両にはその排出物質規制クラス毎に区分された異なる色のステッカーが貼り付けられている。
【0004】
本発明が目標としていることは、前述したような排出物質規制区域と、その区域内で排出された排気ガス等による汚染レベルの高い道路網(ないし街路網)の領域を、大気汚染に係わる度合いの非常に高い自動車の通行から守ることである。
【0005】
前述したような方法において欠点として検証されていることは、排出物質規制区域の正確な地理的位置を知らない道路利用者が、所要の排出物質規制クラスを持たない自動車でその通行が禁止されているにもかかわらずそのような排ガス規制区域内に誤って乗り入れてしまうような事態が起こり得ることである。このような欠点の他にも、例えばハイブリッド車両のような自動車では、その作動モードに応じて排ガス特性が異なってしまうという事実が挙げられる。そのような特性は、自動車毎に固有の排ガス規制クラスが固定的に割り当てられている現行の制度にとっては不都合なものになっている。
【0006】
それ故に本発明の課題は、排出物質規制区域と自身の自動車の排出物質規制クラスの比較結果に基づく通行制限の監視において自動車のドライバーを支援することである。この場合の本発明のさらなる課題は、異なる作動モードを有する自動車と排出物質規制区域構想との統合化である。
【0007】
前記課題の解決手段は、道路網の少なくとも1つのゾーンが排出物質規制クラスに依存する通行制限を有しており、自動車には少なくとも1つの排出物質規制クラスが割り当てられている、道路網における自動車のためのナビゲーションシステムの作動方法から出発している。この場合まず最初にナビゲーションシステムのデータベースには、少なくとも1つのゾーンの地理的位置に関する情報と、前記ゾーンへの乗り入れを許可される自動車に少なくとも要求される1つ若しくは複数の排出物質規制クラスに関する情報とが記憶される。次にナビゲーションシステムの前記データベース若しくはその他のデータベースにさらに当該ナビゲーションシステムを備えた自動車の少なくとも1つの排出物質規制クラスに関する少なくとも1つの情報が入力される。入力されたこれらの情報は目的地案内のために考慮される。その場合には当該自動車の有している少なくとも1つの排出物質規制クラスが、排ガス規制区域内への排出物質規制クラスに応じた通行制限に該当しているときには当該規制区域内に入るか若しくは通過するような目的地案内は回避される。この方法によれば、前記規制区域(排出物質規制区域)内への通行制限(乗り入れ禁止;通過禁止)を監視するように自動車がナビゲートされる。その際にはナビゲーションシステムは、使用している自動車の排出物質規制クラスを、前記規制区域に対して"許可されている"若しくは"通行禁止"されている排出物質規制クラスと比較することによって法的規制の遵守を保証している。なお本願で用いている"排出物質規制クラス"とは一般に有害物質排出に対する条件または規制値を表すものであり、ここでは様々な排気物のタイプ、例えば種々異なるガス状の有害物質、排気騒音のみならず、実際の車両重量などにも基づいて、これらの条件が組み合わされて排出物質規制クラスに統合されたものであってもよいし、個別の有害物質排出クラスとしてそれぞれ個別に各規制値に従って監視されるものであってもよい。後者のケースでは、排出物質規制区域内での目的地案内が有利には次のような場合に回避される。すなわち自動車の少なくとも1つの(現状での)有害物質排出クラスないしは少なくとも1つの排気ガス規制値が通行制限に適合していない場合である。第2のステップにおいて入力された自動車の排出物質規制クラスに関する情報は、種々の形式でナビゲーションシステムに転送ないしはこれに入力される。その場合特に簡単な形式では、それらの情報が手動でナビゲーションシステムに入力される。快適な代替手段によれば、排出物質規制クラスが有利には車両側のデータベースを介して電子的な手段(例えばエンジン管理システム又は車両管理システム)により自動車の情報メモリからナビゲーションシステムに転送される。特にモバイル型ナビゲーションシステムに対しては有利には、これらの情報がワイヤレスで車両に接続されている情報メモリからナビゲーションシステムに転送される。それに対して有利にはRFIDトランスポンダが用いられる。このトランスポンダは例えば検査局側で車両に割り当てられる排出物質規制クラスのステッカーに集積されていてもよい。そのような(大抵は色分けされている)ステッカーはいずれにせよ排出物質規制クラス(排気ガス規制クラス)に関する情報を伴っており、そのためステッカーの可視的効果の他にワイヤレスによる情報伝送の利点も備えることができる。もちろんその他の無線接続(例えばブルトゥース規格IEEE802.15.1)または光学的走査手段、例えばナビゲーション機器に対応付けられた"バーコード読み取り装置"やステッカー表面に印刷された相応の表示を利用して行うことも可能である。
【0008】
さらに本発明の課題の解決手段は、道路網のためのデータベースを備えている自動車用ナビゲーションシステムから出発している。この場合ナビゲーションシステムのデータベースは、道路網の少なくとも1つの規制区域に対する、少なくとも1つの排出物質規制クラスに依存した、通行制限の記憶のために構成されている。さらに前記ナビゲーションシステムは、当該ナビゲーションシステムが作動される自動車に割り当てられている少なくとも1つの排出物質規制クラスの記憶のためにセットアップされている。このナビゲーションシステムは、自動車に割り当てられている少なくとも1つの排出物質規制クラスに関する、排出物質規制クラスに依存した規制区域通行制限の考慮のために構成されている。その場合当該規制区域内への乗り入れ及び/又は当該規制区域の通過が次のような場合に回避される。すなわち自動車の少なくとも1つの排出物質規制クラスが通行制限に相応する場合である。このようなナビゲーションシステムは、通行制限に相応する排出物質規制クラスを有するかないしは当該排出物質規制クラスに割り当てられている自動車が当該規制区域内に乗り入れるようなことが起きないことを保証する。これにより車両ドライバーは法的規制の遵守を容易に達成し得る。
【0009】
本発明の有利な改善例は従属請求項に記載されている。その中で用いられている特徴部分や利点は本発明によるナビゲーションシステムにも合目的に利用され得る。
【0010】
走行目的地が規制区域内に存在している場合、及びこの規制区域がそこで要求している排出物質規制クラスに基づいて当該自動車の乗り入れを許可しない場合には、有利には当該規制区域外のパーキングスペース(例えば"パークアンドライド"駐車場、バス停車場など)への目的地案内が行われる。その場合有利には所望の目的地にできるだけ近い誘導案内又は代替目的地案内が行われる。そのような代替目的地はナビゲーションシステムによって例えば走行時間(走行プラン)と、公共の交通機関によるコストを考慮した選択がなされる。走行目的地までの直接的な径路が規制区域を通過して走行しているケースにおいて、自動車に割り当てられている1つまたは複数の排出物質規制クラスに基づき当該規制区域の乗り入れないしは通過が許可されていない場合には、ナビゲーションシステムによって有利には当該規制区域を回避した走行ルートが計算され、そのルートが目的地案内に利用される。またそれによって具体的な車両の通行禁止が定められている区域(排出物質規制区域)内への規制に反する乗り入れが避けられる。
【0011】
交通の流れのより良好な制御は、次のことによって達成され得る。すなわち前記規制区域に対し、異なる時間帯で異なる排出物質規制クラスが通行制限のための基準として適用されることによって達成される。その場合第3のステップにおいてそれぞれの走行時間に対して適用される排出物質規制クラスに係わる通行制限が考慮される。この時間に関する制約が予め定められているかないしは固定のタイムパターンないしタイムグリッドに相応している場合には、第1のステップにおいてて入力された情報が、時刻依存性の制約及び/又は週日依存性の制約及び/又はその他の時間情報を備えていてもよい。この場合第3のステップにおいて、各時刻毎ないしは各週日毎に適用される通行制限に対してそれぞれ適用されるべき排出物質規制クラスに関する情報が考慮される。このような時間的制御の側からみれば、要求される排出物質規制クラス(最小の排出物質規制クラス)は"動的に"定められてもよい。例えば規制区域内の実際の(瞬時の)有害物質汚染度の規則的な測定若しくは連続的な測定によって制御してもよい。その際に有利には、そのつどの時間帯に有効な排出物質規制クラスに依存した通行制限に関する情報及び/又はその変更に関する情報が無線ベースのサービスを介してナビゲーションシステムに転送され、当該ナビゲーションシステムによってデーターベースに記憶され、目的地案内のために考慮される。それに対しては、公共交通情報(TMC=traffic message channel)かそれに類似した無線手段が用いられてもよい。
【0012】
本発明による方法は有利には次のような自動車での使用に供される。すなわち少なくとも2つの異なる作動モードでの適用に対してセットアップされるような自動車であり、この場合は各作動モード毎に1つの固有の排出物質規制クラスが割り当てられている。それに対して1つの排出物質規制クラスに依存した通行制限が伴う規制区域内での自動車の作動の際には、ナビゲーションシステムによって次のような作動モードの選択が制御される。すなわちそれに対応付けられる排出物質規制クラスに基づき通行制限に合致する作動モードが提供されるように制御される。特にこの方法は、自動車として次のようなハイブリッド車両、すなわち内燃機関による作動のための第1の作動モードと、電気モータによる作動のための第2の作動モードが伴うハイブリッド車両に対して有利に使用することができる。その際当該自動車が規制区域内への乗り入れに際して、その排出物質規制クラスに依存した通行制限が第1の作動モードでの自動車の運転に対してそぐわない場合には、ナビゲーションシステムにより当該自動車の駆動方式に対する制御命令として第2の作動モードへの切り換えが送出される。その際有利には第1の作動モードの適用が、当該の規制区域から自動車が抜け出すまでの間は沮止され続ける。また有利には、規制区域内でも内燃機関の作動を例外的に可能にする"緊急スイッチ"を用いることも可能である。この方法によれば、自動車を規制区域外で専ら内燃機関を用いて作動させることが可能となる。それにより内燃機関の作動が可能かないしは許容される道路網の領域においてはバッテリないしは蓄電池を充電させることが可能になる。別の側では特に注意を要する領域、例えば保養地、病院内へのエントランス街路やパーキングスペース、地下ガレージ、歩行者ゾーンなど、厳しい制限の伴う排出物質規制区域("ゼロ排出物質規制区域")が自動車に起因する有害物質からほぼ完全に保護されるようになる。
【0013】
また有利には、複数の有害物質タイプを考慮することも可能である。これにより例えば騒音に注意を要する区域では、大きな排気音につながるエンジンの高回転の運転が自動的に回避されるようになる。そのような区域では音響式の警報装置(クラクション、ホーン、サイレンなど)も相応に自動的に減衰されるようにしてもよい。なぜなら閑静な区域では、そのような音響装置の可聴性が音量の減衰によって提供できるからである。
【0014】
以下の明細書では本発明による方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。これらの図面は同時に本発明によるナビゲーションシステムの実施例の説明にも用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】道路網を複数の街路と1つの自動車と1つのパーキングと4つの交通標識と2つの目的地と共に概略的に描写した図
【図2】排出物質規制区域に対する交通標識を表した図
【図3】自動車を1つのナビゲーションシステムと1つのエンジン管理システムと衛星航法式ナビゲーションシステムの3つの衛星と共に示した図
【0016】
実施例
図1には規制区域として排出物質規制区域UZを有している道路網VNが示されている。この道路網VNには自動車KFZが乗り入れており、この自動車KFZは図3に概略的に描写されている。この道路網VNを介してパーキングスペースPと目的地Z1,Z2には到達し得る。この場合前記目的地Z1は前記排出物質規制区域UZ内に存在しており、それに対して前記目的地Z2は排出物質規制区域UZ外に存在している。この排出物質規制区域UZは、実際の道路網VNにおいては交通標識Sによって指示されている。そのような交通標識Sは図2に描写されている。
【0017】
前述したように、図2は交通標識Sの一例を示しており、ここではこの交通標識Sを用いて道路交通網のユーザーに次のようなことが示唆されている。すなわち当該箇所では規定外の排出物質規制クラスを有している全ての自動車の通過が制限されることを示唆している。図示の実施例では、排出物質規制クラス1,2又は3が割り当てられている自動車の全てが当該区域内への乗り入れを許可されている。
【0018】
図3は自動車KFZが概略的に示されている。この自動車KFZはナビゲーションシステムNSYSとエンジン管理システムMMを装備している。前記ナビゲーションシステムNSYSとエンジン管理システムMMはCANバスを介して相互接続されている。ナビゲーションシステムNSYSは、ナビゲーション衛星SAT1,SAT2,SAT3の信号を検出するための衛星受信アンテナANTに接続されている。さらにこのナビゲーションシステムNSYSは構成データメモリKDS(顧客データメモリ)を有しており、さらにデーターケーブルを介してデータメモリ(道路網情報)VN1と接続されており、該データメモリは道路網VNに対するデータベース(マップデータ)を含んでいる。ここに示されている別個の手段の代わりに、交通網(道路網VN)の道路データを備えたデータベースが当該ナビゲーションシステムに統合されていてもよい。
【0019】
以下では1つの実施例として、目的地Z1までの自動車KFZのナビゲーションシステムに支援された走行を説明する。この場合当該自動車KFZは走行の開始時点では排出物質規制区域UZ外に存在している。それに対して目的地Z1は排出物質規制区域UZ内に存在している。この自動車KFZには排出物質規制クラス0が割り当てられている。この値0は、ナビゲーションシステムNSYSの取付けの際にデータベースに入力されたものである。これとは代替的に排出物質規制クラスに関する情報は、データバスCANを介してエンジン管理システムMMから一度だけ読み出されるものであってもよいし、繰り返し読み出されるものであってもよい。
【0020】
別の実施形態では、ナビゲーションシステムNSYSはモバイル型ナビゲーションシステムとして構成されている。そこでは既に説明した手動入力の他に、自動車のユーザーによって排出物質規制クラスに関する情報がエンジン管理システムMMとしてのその他の情報メモリ、例えばワイヤレス方式で車両と接続されているRFIDトランスポンダから読み出されてもよい。このトランスポンダは当該実施例においてはいわゆる"排出物質規制クラスのステッカー"に埋め込まれている。このステッカーは、陸運局から当該自動車に割り当てられたものであって、例えばフロントウインドウの領域に貼り付けられる。さらに別の代替的実施例によれば、このステッカーは機械読み出し可能なコード、例えばバーコードを備えていてもよい。このバーコードは当該ナビゲーションシステムNSYSによって光学的に走査される。
【0021】
データメモリVNIは当該実施例においては再書き込み可能なメモリカードに記憶されており、このカードがナビゲーションシステムと接続される。もちろんその他の記憶媒体、例えばDVDのような記憶媒体も可能である。代替的な実施形態によれば、ナビゲーションシステムNSYSは、例えばGSM移動無線接続を介して中央のセンターに記憶されている道路データにワイヤレスでアクセス可能である。
【0022】
データメモリVNI(電子的な道路マップ)には排出物質規制区域UZの地理的位置と、当該区域UZに所属している道路ないし道路区分に関する情報も記憶されている。当該実施例によれば、排出物質規制区域UZに関する情報は"電子的なロードマップ"、すなわちデータメモリVNIに統合され、それらのメーカから供給されている。しかしながら代替的にこれらの情報は、ナビゲーションシステムNSYSの別のデータメモリに別個に記憶されていてもよい。このことは特に次のような実施例に対しても当てはまる。すなわち排出物質規制区域UZの地理的位置及び/又はそこで"許可される"ないしは"禁止される"排出物質規制クラスが"動的に"、つまり時間的な変化に左右される実施例にも当てはまる。それに対してこの排出物質規制区域UZに関する情報は、デジタルの交通無線("TMC")を介して、あるいはその他のワイヤレス接続を介して、規則的に又は必要に応じて当該ナビゲーションシステムNSYSに反映されるものであってもよい。また排出物質規制区域UZに関する情報は、時間的な条件と結び付けてもよい。例えば週末においては排出物質規制クラス1,2,3が当該排出物質規制区域内への乗り入れを許可され、それに対して平日においては例えば排出物質規制クラス3を割り当てられている自動車KFZのみが当該の排出物質規制区域UZ内での運転を許可されていてもよい。
【0023】
以下では、自動車KFZが排出物質規制クラス0を割り当てられていることを前提とする。このことは、図示の排出物質規制区域UZへの乗り入れが禁止されていることを意味する。なぜならそこではより高いレベルの排出物質規制クラス1,2,3(若しくはそれ以上)を有している自動車KFZしか乗り入れを許可されていないからである。ナビゲーションシステムNSYSは所望の走行目的地Z1までのルート計算の際に、排出物質規制クラス"0"は当該目的地への直接の到達を充たさないことを確定する。それにより当該走行目的地Z1に隣接するパーキングスペースPが"迂回目的地"として選択される。パーキングスペースPまでの走行ルートはこの場合次のように選択される。すなわち前記排出物質規制区域UZへの乗り入れないしは通過が回避されるように選択される。自動車KFZのドライバーが径路案内の目的においてナビゲーションシステムNSYSの使用を省いたときには、ナビゲーションシステムは当該排出物質規制区域UZ内への乗り入れを試みた際に、ドライバーに対して当該排出物質規制区域UZの通過制限規定を損なうアクセス状況であることを通知する。また任意付加的に、公共の交通手段を用いた手頃な継続走行とそれに適したパーキングスペースの推奨が行われるようにしてもよい。
【0024】
さらに別の類似の実施例によれば、走行目的地Z2がここでは排出物質規制区域UZ該に存在しているが、しかしながらこの場合目下の自動車KFZの自車位置から走行目的値Z2までの有利な交通径路は当該排出物質規制区域を通過するものであると仮定する。ルート計算の際にはナビゲーションシステムNSYSによって当該の通過制限が考慮される。そのため自動車KFZのドライバーには当該の排出物質規制区域UZを迂回する代替的な目的地案内が提供される。これにより、当該の通過制限に従うこととなる。
【0025】
さらに別の実施例では、当該自動車KFZが次のようなハイブリッド車両であるものと仮定する。すなわち内燃機関の投入された作動モードでは排出物質規制クラス"3"を充たし、それに対して電気的な作動モードにおいては排出物質規制クラス"Z(Zero)"を充たすハイブリッド車両である。この排出物質規制クラスZ(ゼロ)とは、一切のガス状の有害物質排出が伴わないことを意味する。さらにこの実施形態においては排出物質規制区域UZが排出物質規制クラス"4"(もしくはそれ以上)の自動車でしか乗り入れが許されないものとする。ナビゲーションシステムNSYSは、当該自動車KFZの車両管理システムの読み出しの際に、作動モードに依存して排出物質規制クラス"3"と"Z"を有するハイブリッド車両である旨の情報を供給する。ユーザーとの対話式のやりとりにおいてナビゲーションシステムNSYSはさらに電気的な作動モードにおける自動車KFZの到達範囲がどれくらいかに関する情報を提供する。この情報は代替的に当該自動車KFZの走行管理システムから自動的に送出されるものであってもよい。
【0026】
ここにおいてナビゲーションシステムNSYSは走行目的地Z1までの自動車KFZのルート計算の際に、次のような情報、すなわち排出物質規制区域UZは電気的な作動モードでしか乗り入れできないことを確定する情報を考慮する。なぜなら内燃機関を用いた作動モードにおいては当該自動車KFZの排出物質規制クラスは"3"となり、これは通過制限に該当するものだからである。さらにナビゲーションシステムは、電気的駆動部の充電電池による航続距離が走行目的地Z1への到達と、排出物質規制区域UZ外の道路網までの引き返しに対して十分であることを確定する。このナビゲーションシステムNSYSは、このような状況をユーザー(車両ドライバー)に通知し、当該排出物質規制区域への到達に伴って、純粋な電気的作動モードへの切り換えを促す制御命令を車両管理システムに送出する。それに伴う内燃機関駆動部の"遮断"は、、自動車KFZが再び排出物質規制区域から逸脱すると同時に当該ナビゲーションシステムNSYSからの相応の命令によって解除される。
【0027】
電気的な作動モードへの"ハードな"切り換えに代えて、実際の(目下の)有害物質排出量を低減するために、要求される有害物質排出規制値に応じて、内燃機関のエンジン出力低減や、回転数低減又はその他の技術的な手段を自動的に投入するようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路網(VN)における自動車(KFZ)のためのナビゲーションシステム(NSYS)の作動方法であって、
前記道路網(VN)の少なくとも1つの規制区域(UZ)は、排出物質規制クラスに依存する通行制限を有しており、
前記自動車(KFZ)には少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)が割り当てられており、
第1のステップにおいて、ナビゲーションシステム(NSYS)の第1のデータベース(VNI)に、少なくとも1つの規制区域(UZ)の地理的位置に関する情報と、前記区域(UZ)への乗り入れを許可される自動車(KFZ)に対して少なくとも要求される排出物質規制クラス(1,2,3)に関する情報とが記憶され、
第2のステップにおいて、ナビゲーションシステム(NSYS)の第2のデータベース(VNI)に当該ナビゲーションシステム(NSYS)を備えた自動車(KFZ)の少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)に関する情報が入力され、
第3のステップにおいて、前記第1のステップと第2のステップにおいて入力された情報が目的地案内のために考慮され、ここで前記自動車(KFZ)の少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)が、排出物質規制クラスに依存した前記規制区域(UZ)内への通行制限に該当している場合には前記規制区域(UZ)内に入るか若しくは通過する目的地案内が回避される形式の方法において、
前記第2のステップにて、車両側情報メモリから排出物質規制クラス(1,2,3)がナビゲーションシステム(NSYS)に転送され、
前記ナビゲーションシステムとしてモバイル型ナビゲーションシステム(NSYS)が用いられ、さらに、
少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)に関する情報がナビゲーションシステム(NSYS)によってワイヤレスで車両側情報メモリから読み出されるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項2】
第2のステップにおいて自動車(KFZ)の排出物質規制クラス(1,2,3)が手動でナビゲーションシステム(NSYS)に入力される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
自動車(KFZ)に割り当てられている少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)が自動車(KFZ)のエンジン管理システム(MM)又は車両管理システムに記憶され、車両側データベースを介してナビゲーションシステムに転送される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
車両側情報メモリとしてトランスポンダシステムを備えたステッカーが用いられ、該ステッカーから少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)に関する情報がワイヤレスで読み出される、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第3のステップにおいて、走行目的地(Z1)が前記規制区域(UZ)内に存在し、当該規制区域(UZ)で要求されている排出物質規制クラス(1,2,3)に基づき当該自動車による乗り入れが許可されていない場合には、前記規制区域(UZ)外のパーキングスペースへの目的地案内が行われる、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
走行目的地(Z2)までの直接的な径路が規制区域を通過しており、かつ自動車(KFZ)に割り当てられている1つまたは複数の排出物質規制クラス(1,2,3)に基づき当該規制区域(UZ)への乗り入れが許可されない場合には、ナビゲーションシステムによって当該規制区域(UZ)を回避した走行ルートが計算され、そのルートが目的地案内に利用される、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記規制区域(UZ)に対し、異なる時間帯で異なる排出物質規制クラス(1,2,3)が通行制限のための基準として適用され、前記第3のステップにおいて、それぞれの走行時間に対して適用される排出物質規制クラスに係わる通行制限が考慮され、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
そのつどの時間帯に適用される排出物質規制クラスに依存した通行制限に関する情報及び/又はその変更に関する情報が無線ベースのサービスを介してナビゲーションシステム(NSYS)に転送され、当該ナビゲーションシステム(NSYS)によってデーターベースに記憶され、目的地案内のために考慮される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記自動車(KFZ)は、少なくとも2つの異なる作動モードに対してセットアップされており、この場合各作動モード毎に1つの排出物質規制クラス(1,2,3)が割り当てられており、排出物質規制クラスに依存した通行制限が伴う規制区域(UZ)内での自動車(KFZ)の作動の際に、割り当てられている排出物質規制クラス(1,2,3)に基づき通行制限に合致した作動を伴う作動モードが選択される、請求項1から8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記自動車(KFZ)として、内燃機関による作動のための第1の作動モードと電気モータによる作動のための第2の作動モードが伴うハイブリッド車両が使用され、当該自動車(KFZ)の規制区域(UZ)内への乗り入れの際に、その排出物質規制クラスに依存した通行制限が第1の作動モードでの自動車(KFZ)の作動に対してそぐわない場合には、前記ナビゲーションシステム(NSYS)によって当該自動車(KFZ)の駆動方式に対する制御命令が第2の作動モードへの切り換えのために送出される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
第1の作動モードの適用は、前記規制区域(UZ)から自動車(KFZ)が抜け出すまでの間沮止され続ける、請求項10記載の方法。
【請求項12】
第1のステップにおいてて入力された情報は、時刻依存性及び/又は週日依存性を備えており、前記第3のステップにおいて、各時刻毎ないしは各週日毎に適用される通行制限に対して適用されるべき排出物質規制クラス(1,2,3)に関する情報が考慮される、請求項1から11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
道路網(VN)のためのデータベース(VNI)を備えている自動車(KFZ)用ナビゲーションシステム(NSYS)であって、
前記ナビゲーションシステム(NSYS)は、道路網(VN)の少なくとも1つの規制区域(UZ)に対する、排出物質規制クラスに依存した少なくとも1つの通行制限の記憶のために構成されており、
前記ナビゲーションシステム(NSYS)は、当該ナビゲーションシステム(NSYS)が作動される自動車(KFZ)に割り当てられている少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)の記憶のためにセットアップされており、さらに、
前記ナビゲーションシステム(NSYS)は、自動車(KFZ)に割り当てられている少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)に関する、排出物質規制クラスに依存した規制区域(UZ)通行制限の考慮のために構成されており、
この場合当該規制区域(UZ)内への乗り入れ及び/又は当該規制区域(UZ)の通過は、自動車(KFZ)の少なくとも1つの排出物質規制クラス(1,2,3)が通行制限に相応している場合には回避されるように構成されている形式のナビゲーションシステム(NSYS)において、
前記ナビゲーションシステム(NSYS)が、車両側の情報メモリから排出物質規制クラスをワイヤレスで読み出すように構成されていることを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−530061(P2010−530061A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510715(P2010−510715)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054980
【国際公開番号】WO2008/148606
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(507366083)シーメンス エンタープライズ コミュニケーションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (9)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Enterprise Communications GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Hofmannstrasse 51, D−81379 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】