自動車用ルーフ構造
【課題】 ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネルとルーフラックとを容易かつ適正に車体に組み付ける。
【解決手段】 透明ルーフパネル4とルーフラック7とを備えた自動車用ルーフ構造において、ルーフサイドレール1のレールアウタパネル8およびレールインナパネル9に互いに接合されるルーフ側フランジ14,16を設けるとともに、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に上記ルーフラック7を固定する固定ボルト23またはこの固定ボルト23に締結されるナット41の何れか一方をルーフラック7に配設し、この固定ボルト23のねじ軸を上記透明ルーフパネル4の側辺部およびルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に挿通させて上記ナット41を締結することにより、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定した。
【解決手段】 透明ルーフパネル4とルーフラック7とを備えた自動車用ルーフ構造において、ルーフサイドレール1のレールアウタパネル8およびレールインナパネル9に互いに接合されるルーフ側フランジ14,16を設けるとともに、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に上記ルーフラック7を固定する固定ボルト23またはこの固定ボルト23に締結されるナット41の何れか一方をルーフラック7に配設し、この固定ボルト23のねじ軸を上記透明ルーフパネル4の側辺部およびルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に挿通させて上記ナット41を締結することにより、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、車室の前面部に設置されたフロントウインドガラスに連続するガラス製の透明ルーフパネルを、車体の側面部に設けられたセンターピラーの設置部近傍まで延出させ、あるいは下記特許文献2に示されるように、車体のルーフ部全体を覆う透明ガラス材または透明プラスチック材からなるルーフパネルを設置することにより、車体のルーフ部における光の透過領域を大きくした、いわゆるパノラマ式のルーフ構造が知られている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1405744A1号明細書
【特許文献2】特開2002−104240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1,2に開示されているように、車体のルーフ部に透明ルーフパネルを設けた場合には、ルーフ部の車体前後方向における光の透過領域を大きくして車室内の開放感を効果的に向上させることができるという利点を有する反面、上記透明ルーフパネルをルーフサイドレールに取り付けるための取付部材を設ける必要があり、これによってルーフ部の車幅方向における光の透過領域が狭められるという問題がある。
【0004】
例えば、特許文献2に開示された車両の屋根構造では、車体の側辺部に沿って前後方向に延びるルーフサイドレールの上面に、中空チャンバ輪郭部を有するフレーム側部の上フレーム部材を接着して固定し、この上フレーム部材に透明ルーフパネルの側辺部を固着するとともに、上記上フレーム部材の内側端部とルーフサイドレールの下端部との間を覆うように下フレーム部材を設置している。しかし、上記上フレーム部材の内側端部がルーフサイドレールよりも車体の内方側に突出することにより、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域が狭められるとともに、上フレーム部材および下フレーム部材を有する上記フレーム側部を設けることにより部品点数が増大し、その組付作業が繁雑になる等の問題があった。
【0005】
特に、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックを備えた自動車では、このルーフラックの設置部を避けて上記透明ルーフパネルを固定するように構成されているため、透明ルーフパネルの幅寸法が小さくなることが避けられず、これによってもルーフ部の車幅方向における光の透過領域が狭められるため、車室内の開放感がさらに損なわれるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネルとルーフラックとを容易かつ適正に車体に組み付けることができる自動車用ルーフ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネルおよびレールインナパネルを有する左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレールのレールアウタパネルおよびレールインナパネルに、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジを設けるとともに、ルーフサイドレールのルーフ側フランジに上記ルーフラックを固定する固定ボルトまたはこの固定ボルトに締結されるナットの何れか一方をルーフラックに配設し、この固定ボルトのねじ軸を上記透明ルーフパネルの側辺部およびルーフサイドレールのルーフ側フランジに挿通させて上記ナットを締結することにより、ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定したものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車用ルーフ構造において、ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定ボルトにより固定する際に、ルーフサイドレールのルーフ側フランジと透明ルーフパネルとの間隔を一定値に規制するための間隔規制部を設けたものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、上記自動車用ルーフ構造において、車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネルおよびレールインナパネルを有する左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレールのレールアウタパネルおよびレールインナパネルに、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジを設け、上記ルーフラックに、透明ルーフパネルの側端部が嵌着されるパネル保持溝を形成するとともに、上記ルーフサイドレールのルーフ側フランジにルーフラックを固定する固定ボルトまたはこの固定ボルトに締結されるナットの何れか一方をルーフラックに配設したものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車用ルーフ構造において、レールアウタパネルとレールインナパネルとの間にレールレイフォースメントを配設するとともに、このレールレイフォースメントに、レールアウタパネルおよびレールインナパネルの両ルーフ側フランジにより挟持されるルーフ側フランジを設けたものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車用ルーフ構造において、サンシェードを摺動可能に支持するシェード保持部材を備え、このシェード保持部材をルーフラックおよび透明ルーフパネルとともに固定ボルトによりルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、固定ボルトおよびこの固定ボルトのねじ軸に螺着されるナットからなる固定部材により、上記透明ルーフパネルとルーフラックとの両方をルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定するように構成したため、透明ルーフパネルとルーフラックをそれぞれ別々にルーフサイドレールに取り付けるように構成した場合に比べて上記取付部の構成を簡略化して透明ルーフパネルおよびルーフラックの組付作業を容易に行うことができるとともに、上記ルーフラック、透明ルーフパネルおよびルーフサイドレールのルーフ側フランジを平面視において互いに重合した位置に配設することにより、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を充分に確保して車室内の開放感を向上させることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定ボルトにより固定する際に、このルーフ側フランジと透明ルーフパネルとの間隔を一定値に規制するためのスペーサからなる間隔規制部を設けたため、この間隔規制部により上記固定ボルトの締結力を支持することにより、ガラス材等からなる透明ルーフパネルに過大な締結力が作用するのを効果的に防止した状態で、上記透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに安定して支持できるという利点がある。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ルーフラックに形成されたパネル保持溝に透明ルーフパネルの側端部を嵌着するように構成したため、透明ルーフパネルに固定ボルトの挿通孔を形成することなく、この固定ボルトにより上記透明ルーフパネルおよびルーフラックの両方をルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定することができる。したがって、透明ルーフパネルに固定ボルトの挿通孔が形成されることによる強度低下を防止しつつ、上記透明ルーフパネルおよびルーフラックの取付作業を簡略化できるとともに、車室内の上方視界を確保して開放感を向上できる等の利点がある。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、レールアウタパネルとレールインナパネルとの間に配設されたレールレイフォースメントによってルーフサイドレールを効果的に補強することにより、透明ルーフパネルおよびシェード保持部材の支持剛性を効果的に向上させることができるとともに、ルーフサイドレールおよびルーフ部全体の歪みを効果的に抑制でき、ルーフ部に大きな歪みが発生することに起因してガラス材等からなる透明ルーフパネルが破損するという事態の発生を効果的に防止しつつ、この透明ルーフパネルを車体に安定して保持させることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、透明ルーフパネルの下方に配設されたサンシェードを摺動可能に支持するシェード保持部材を、上記ルーフラックおよび透明ルーフパネルとともに固定ボルトによりルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定するように構成したため、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネル、ルーフラックおよびシェード保持部材を容易かつ適正に車体に組み付けることができるとともに、上記ルーフ側フランジの下方に配設されたシェード保持部材を透明ルーフパネルに対して容易に近接させることにより、サンシェードを上方に位置させて車室内高さを充分に確保できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図3は、本発明に係る自動車用ルーフ構造の実施形態を示している。この自動車用ルーフ構造は、ルーフ部の左右両側辺部に沿って車体の前後方向に延びる左右一対のルーフサイドレール1と、フロントウインドガラス2の上端部からセンターピラー3の設置部までの範囲内において上記両ルーフサイドレール1の間を覆うように設置されたガラス材または透明プラスチック材等からなる透明ルーフパネル4と、この透明ルーフパネル4の下面に沿ってスライド自在に配設された不透明のプラスチック製パネル材またはシート材等からなるサンシェード5と、このサンシェード5の側端部を摺動可能に支持するシェード保持部材6と、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラック7とを備えている。
【0018】
上記ルーフサイドレール1は、図3に示すように、車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネル8およびレールインナパネル9と、このレールアウタパネル8およびレールインナパネル9の間に配設されて上記閉断面を外方部と内方部との二個所に分割するレールレインフォースメント10とにより構成されている。
【0019】
上記レールアウタパネル8には、サイドドアSの上端面に沿って設置されたドア側壁11と、このドア側壁11の外側端部から斜め上方に向けて円弧状に延びる円弧壁12と、この円弧壁12の内側端部から下方に延びる縦壁13と、この縦壁13の下端部から車幅方向の内方側に突出するルーフ側フランジ14と、上記ドア側壁11の内側端部からサイドドアSの開口部側に突出するドア側フランジ15とが設けられている。
【0020】
また、上記レールインナパネル9には、レールアウタパネル7のルーフ側フランジ14に対向して車幅方向の内方側に突出するルーフ側フランジ16と、このルーフ側フランジ16の内側端部から下方に延びる縦壁17と、この縦壁17の下端部から斜め外方側に延びる傾斜壁18と、この傾斜壁18の下端部からサイドドアSの開口部側に突出するドア側フランジ19とが設けられている。
【0021】
上記レールレインフォースメント10は、レールアウタパネル8のドア側壁11および円弧壁12と所定間隔をおいて略平行に延びるレイン本体20と、上記レールアウタパネル8およびレールインナパネル9の両ルーフ側フランジ14,16により挟持されて一体にスポット溶接されるルーフ側フランジ21と、上記レールアウタパネル8およびレールインナパネル9の両ドア側フランジ15,19により挟持されて一体にスポット溶接されるドア側フランジ22とを有している。
【0022】
ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21には、上記ルーフラック7をルーフサイドレール1に固定する固定ボルト23の挿通孔が形成されるとともに、レールアウタパネル8のルーフ側フランジ14には、固定ボルト23の設置部よりも車外側の位置において透明ルーフパネル4をシール接着する接着剤24の塗布面が設けられている。また、上記ルーフサイドレール1のドア側フランジ15,19,22には、サイドドアSの上端部内面に当接して風雨等の浸入を防止するウェザーストリップ25が取り付けられるように構成されている。
【0023】
また、上記シェード保持部材6は、レールインナパネル9のルーフ側フランジ16の下面に固定される固定部26と、この固定部26から車内側に突出する突出部27とを有するアルミニウム製の押出成形材等からなり、上記固定部26には、固定ボルト23の挿通孔が形成されている。また、上記シェード保持部材6の突出部27には、サンシェード5の外側端部をスライド自在に支持する断面コ字状の支持溝部28と、その下方側においてルーフサイドレール1の内壁面に沿って設置されるルーフサイドトリム材29または図外のフロントピラートリム材の上端部(ルーフ側の端部)が取り付けられる取付部30となる水平板とが設けられている。そして、上記ルーフサイドトリム材29の上端部と上記シェード保持部材6の取付部30とが樹脂製クリップ材31によって一体に挟持されることにより、ルーフサイドトリム材29の上端部が上記取付部30に取り付けられるようになっている。
【0024】
上記ルーフラック7は、鋼管材またはアルミニウムパイプ材等からなる心材32が埋設されたルーフラック本体33と、車体に対する取付部となる第1〜第3脚部34〜36とを有している。上記ルーフラック7の前端部に設けられた第1脚部34には、図4に示すように、前後一対の固定ボルト23が配設され、この固定ボルト23の頭部が第1脚部34の下端部に埋め込み成形されることにより、固定ボルト23のねじ軸が下方に突設されている。また、透明ルーフパネル4の側辺部には、上記固定ボルト23のねじ軸およびこのねじ軸に外嵌されるスペーサ37の上方部40が嵌入される挿通孔38が形成されている。
【0025】
上記スペーサ37は、固定ボルト23のねじ軸に外嵌される透孔が形成された大径の下方部39と小径の上方部40とを有している。そして、上記固定ボルト23によりルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に固定する際に、このレールインナパネル1のルーフ側フランジ14,16,21と透明ルーフパネル4との間隔を一定値に規制する間隔規制部が上記スペーサ37により構成されている。なお、図4において、ルーフ側フランジ14,16,21の図示を省略している。
【0026】
具体的には、図3に示すように、上記固定ボルト23のねじ軸を、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21、透明ルーフパネル4およびシェード保持部材6の固定部26に形成された挿通孔に挿通させて固定ボルト23のねじ軸にナット41を螺着し、このナット41と上記ルーフラック7の第1脚部34とにより透明ルーフパネル4、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21およびシェード保持部材6の固定部26を一体に挟持してこれらを固定する際に、スペーサ37の上方部40が透明ルーフパネル4の挿通孔38に嵌入されるとともに、スペーサ37の上方部と下方部39との間に設けられた段部が透明ルーフパネル4の下面に当接することにより、上記ルーフ側フランジ14,16,21と透明ルーフパネル4との間隔が一定値に規制されるように構成されている。
【0027】
上記ルーフラック7の前後方向中央部に設けられた第2脚部35および後端部に設けられた第3脚部36には、第1脚部34と同様に固定ボルト23の頭部が埋設されている。そして、上記ルーフラック7の第2,第3脚部35,36は、上記透明ルーフパネル4の後方側において車室の後部上方を覆うように設置された鋼板製等からなる後部ルーフパネル42に、上記固定ボルト23およびこの固定ボルト23に螺着されるナット41からなる固定部材により固定されるようになっている。
【0028】
また、上記第1脚部34の設置部を除く透明ルーフパネル4の側端部には、図5に示すように、合成樹脂材からなる固定部材59が外嵌されるとともに、この固定部材59の下面に塗布された接着剤43により、上記透明ルーフパネル4の側端部がレールアウタパネル8のルーフ側フランジ14に接着されるように構成されている。図5において、44は、上記接着剤の流動を規制するスポンジ材等からなる流動規制部材である。
【0029】
さらに、図6に示すように、車室の上方前端部に設けられたフロントヘッダ45の上面には、上記フロントウインドガラス2の上端部および透明ルーフパネル4の前端部が接着剤46,47により固定されることにより、透明ルーフパネル4の前端部がフロントウインドガラス2の上端部に連続した状態で設置されている。図6において、48は、透明ルーフパネル4の前端部とフロントウインドガラス2の上端部との間をシールするウェザーストリップ、49,50は、上記接着剤46,47の流動を規制するスポンジ材等からなる流動規制部材、51は、サンシェードの前端部を支持するシェード保持部材、52は、フロントヘッダ45の下面を被覆するフロントヘッダトリム材である。上記シェード保持部材51は、サンシェード5の支持溝部53と、フロントヘッダトリム材52の取付部54とを有し、このシェード保持部材51の取付部54とフロントヘッダトリム材52の上端部とが樹脂製クリップ材55により一体に挟持されるようになっている。
【0030】
一方、上記透明ルーフパネル4の後端部は、図7に示すように、車室の後部上方を覆う後部ルーフパネル42の前部上面に接着剤56により固定されている。図7において、57は、上記接着剤56の流動を規制するスポンジ材等からなる流動規制部材、58は、上記後部ルーフパネル42の下面を被覆するトップシーリング材である。このトップシーリング材58と、後部ルーフパネル42との間における車体の後方側には、上記シェード保持部材6の支持溝部28に沿ってサンシェード5をスライド変位させることにより、このサンシェード5を前方の使用位置と後方の格納位置とに移動させる下記シェード駆動部61が配設されている。
【0031】
シェード駆動部61は、図8および図9に示すように、サンシェード5の後端部から車体の後方側に延びるとともに、先端部が後部ルーフパネル42の後端部下面に沿って車体の他側辺部側に延びる左右一対の駆動ケーブル62と、この駆動ケーブル62の周面に形成された雄ねじ部に歯合するピニオンギア63と、このピニオンギア63を回転駆動する駆動モータ64とを有している。そして、図外のガイド部材により上記両駆動ケーブル62をガイドしつつ、駆動モータ64を作動させて両駆動ケーブル62の先端部を、図8の矢印Dに示す方向、つまり車体の他側辺部側に移動させる方向にピニオンギア63を回転駆動することにより、図2の実線および図8に示すように、後部ルーフパネル42の下方側に設けられた格納位置にサンシェード5を後退させるようになっている。また、上記両駆動ケーブル62の先端部を、図9の矢印Eに示す方向、つまり車体の中央部側に移動させる方向にピニオンギア63を回転駆動することにより、図2の仮想線および図9に示すように、透明ルーフパネル4の下面を覆う使用位置にサンシェード5を前進させるように構成されている。
【0032】
上記のように車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネル8およびレールインナパネル9を有する左右一対のルーフサイドレール1と、両ルーフサイドレール1の間を覆うように設置された透明ルーフパネル4と、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラック7とを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレール1のレールアウタパネル8およびレールインナパネル9に、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジ14,16を設けるとともに、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に上記ルーフラック7を固定する固定ボルト23をルーフラック7に埋設し、この固定ボルト23のねじ軸を上記透明ルーフパネル4の側辺部およびルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に挿通させてナット41を締結することにより、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定したため、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネル4とルーフラック7とを容易かつ適正に車体に組み付けることができるという利点がある。
【0033】
すなわち、上記固定ボルト23およびこの固定ボルト23のねじ軸に螺着されるナット41からなる固定部材により、上記透明ルーフパネル4とルーフラック7との両方をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定するように構成したため、透明ルーフパネル4とルーフラック7とをそれぞれ別々にルーフサイドレール1に取り付けるように構成した場合に比べて上記取付部の構成を簡略化して透明ルーフパネル4およびルーフラック7の組付作業を容易に行うことができる。しかも、従来技術のように、ルーフラック7の設置部を避けて透明ルーフパネル4を固定するように構成されることにより、透明ルーフパネル4の幅寸法が小さくなるという事態を生じることがなく、上記ルーフラック7、透明ルーフパネル4およびルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16を平面視において互いに重合した位置に配設することにより、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を充分に確保して車室内の開放感を向上させることができる。
【0034】
また、上記実施形態に示すように、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定ボルト23により固定する際に、このルーフ側フランジ14,16と透明ルーフパネル4との間隔を一定値に規制するための上記スペーサ37からなる間隔規制部を設けた場合には、この間隔規制部により上記固定ボルト23の締結力を支持することができるため、ガラス材等からなる透明ルーフパネル4に過大な締結力が作用することに起因して透明ルーフパネル4が破損するという事態の発生を効果的に防止し、上記透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に安定して支持できるという利点がある。
【0035】
さらに、上記実施形態では、レールアウタパネル8とレールインナパネル9との間にレールレイフォースメント10を配設するとともに、このレールレイフォースメント10に、レールアウタパネル8およびレールインナパネル9の両ルーフ側フランジ14,16により挟持されるルーフ側フランジ21を設けたため、上記透明ルーフパネル4およびシェード保持部材6の支持剛性を効果的に向上させることができるとともに、ルーフサイドレール1およびルーフ部全体の歪みを効果的に抑制できるという利点がある。したがって、ルーフ部に大きな歪みが発生することに起因してガラス材等からなる透明ルーフパネル4が破損するという事態の発生を効果的に防止し、この透明ルーフパネル4を車体に安定して保持させることができる。
【0036】
また、上記実施形態に示すように、透明ルーフパネル4の下方に配設されたサンシェード5を摺動可能に支持するシェード保持部材6をルーフラック7および透明ルーフパネル4とともに固定ボルト23によりルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に固定するように構成した場合には、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネル4、ルーフラック7およびシェード保持部材6を容易かつ適正に車体に組み付けることができるとともに、上記ルーフ側フランジ14,16,21の下方に配設されたシェード保持部材6を透明ルーフパネル4に対して容易に近接させることにより、サンシェード5を上方に位置させて車室内高さを充分に確保できるという利点がある。
【0037】
なお、上記実施形態では、図2および図6に示すように、フロントウインドガラス2と透明ルーフパネル4とを別体に形成するとともに、フロントヘッダ45の設置部においてフロントウインドガラス2と透明ルーフパネル4とを連続させるように構成した例について説明したが、車室の前面を覆うフロントウインドガラス2と、車室の上部を覆う透明ルーフパネル4とを一体に形成し、上記フロントヘッダ45を省略した車両においても本発明を適用可能である。
【0038】
また、ルーフラック7の第1脚部34に固定ボルト23の頭部を埋め込み成形してなる上記実施形態に代え、図10および図11に示すように、ルーフラック7の第1脚部34とルーラック本体33との間に形成された空間部65にナット41を配設するとともに、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21の下方に固定ボルト23の頭部を固着し、そのねじ軸を上記ルーフ側フランジ14,16,21の上方に突出させた構造としてもよい。そして、上記透明ルーフパネル4の側辺部に形成された挿通孔38を上記ねじ軸に外嵌させるとともに、このねじ軸にナット41に螺着することにより、上記透明ルーフパネル4、シェード保持部材6およびルーフラック7をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に対して一体に固定するように構成してもよい。
【0039】
図10および図11において、66は、透明ルーフパネル4の上面に当接するフランジ部67と透明ルーフパネル4の挿通孔38に上方から挿入される内筒部68とを有する上部カラー、69は、ルーフ側フランジ14の上面に当接するフランジ部70と上記上部カラー66の内筒部68に下方から外嵌される外筒部71とを有する下部カラー、72,73,74は、上記固定ボルト23の設置部をシールするゴム製のシールリング、75は、ナット41の下方に配設される座金、76は、透明ルーフパネル4とルーフサイドレール1との間をシールするシール部材である。
【0040】
上記のようにルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に上記ルーフラック7を固定する固定ボルト23に締結されるナット41をルーフラック7側に配設し、上記固定ボルト23のねじ軸を上記透明ルーフパネル7の側辺部およびルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に挿通させ、このねじ軸に上記ナット41を締結することにより、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に固定するように構成した場合においても、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネル4とルーフラック7とを容易かつ適正に車体に組み付けることができるという利点がある。
【0041】
特に、上記上部カラー66および下部カラー69からなる間隔規制部により、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に固定ボルト23により固定する際に、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21と透明ルーフパネル4との間隔を一定値に規制するとともに、上記ゴム製のシールリング72,73,74により固定ボルト23の設置部をシールするように構成した場合には、上記固定ボルト23の締結力を上記間隔規制部において支持することにより、ガラス材等からなる透明ルーフパネル4に過大な締結力が作用するのを抑制して上記透明ルーフパネル4の破損を効果的に防止できるとともに、上記透明ルーフパネル4の挿通孔38を介して車室内に雨水等が進入するのを効果的に防止という利点がある。
【0042】
また、図12に示すように、上記ルーフラック7の第1脚部34に、透明ルーフパネル4の側端部が嵌着されるパネル保持溝77を形成するとともに、上記固定ボルト23の頭部を埋め込み成形し、この固定ボルト23のねじ軸をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に形成された挿通孔に挿通させて上記ねじ軸にナット41を螺着することにより、上記ルーフ側フランジ14,16,21にルーフラック7を固定するとともに、このルーフラック7を介して透明ルーフパネル4を固定するように構成してもよい。なお、図12において、78は、ルーフラック7とルーフサイドレール1および透明ルーフパネル4との間をシールするシール部材である。
【0043】
上記のように車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネル8およびレールインナパネル9を有する左右一対のルーフサイドレール1と、両ルーフサイドレール1の間を覆うように設置された透明ルーフパネル4と、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラック7とを備えた自動車用ルーフ構造において、上記ルーフサイドレール1のレールアウタパネル8およびレールインナパネル9に、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジ14,16を設けるとともに、上記ルーフラック7に形成されたパネル保持溝77に透明ルーフパネル4の側端部を嵌着するように構成した場合には、透明ルーフパネル4に固定ボルト23の挿通孔を形成することなく、この固定ボルト23により上記透明ルーフパネル4およびルーフラック7の両方をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定することができる。したがって、透明ルーフパネル4に固定ボルト23の挿通孔が形成されることによる強度低下を防止しつつ、上記透明ルーフパネル4およびルーフラック4の取付作業を簡略化できるとともに、車室内の上方視界を確保して開放感を向上できる等の利点がある。
【0044】
なお、図13に示すように、ルーフラック7の固定ボルト23が螺着されるナット41をルーフラック7の第1脚部34に埋設し、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に形成された挿通孔に固定ボルト23のねじ軸を下方側から挿通させて上記ナット41に螺着することにより、上記ルーフ側フランジ14,16,21にルーフラック7を固定するとともに、このルーフラック7を介して透明ルーフパネル4を固定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る自動車用ルーフ構造の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】ルーフラックの取付部の構造を示す側面断面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】図1のVI−VI線断面図である。
【図7】図1のVII−VII線断面図である。
【図8】サンシェードの格納状態を示す平面図である。
【図9】サンシェードの使用位置に前進させた状態を示す平面図である。
【図10】本発明に係る自動車のルーフ構造の別の実施形態を示す図5相当図である。
【図11】本発明に係る自動車のルーフ構造の別の実施形態を示す図3相当図である。
【図12】本発明に係る自動車のルーフ構造のさらに別の実施形態を示す図3相当図である。
【図13】本発明に係る自動車のルーフ構造のさらに別の実施形態を示す図3相当図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ルーフサイドレール
4 透明ルーフパネル
5 サンシェード
6 シェード保持溝
7 ルーフラック
8 レールアウタパネル
9 レールインナパネル
10 レールレインフォースメント
14 レールアウタパネルのルーフ側フランジ
16 レールインナパネルのルーフ側フランジ
21 レールレイフォースメントのドア側フランジ
23 固定ボルト
37 スペーサ(間隔規制部)
41 ナット
69 下部カラー(間隔規制部)
77 パネル保持溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、車室の前面部に設置されたフロントウインドガラスに連続するガラス製の透明ルーフパネルを、車体の側面部に設けられたセンターピラーの設置部近傍まで延出させ、あるいは下記特許文献2に示されるように、車体のルーフ部全体を覆う透明ガラス材または透明プラスチック材からなるルーフパネルを設置することにより、車体のルーフ部における光の透過領域を大きくした、いわゆるパノラマ式のルーフ構造が知られている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1405744A1号明細書
【特許文献2】特開2002−104240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1,2に開示されているように、車体のルーフ部に透明ルーフパネルを設けた場合には、ルーフ部の車体前後方向における光の透過領域を大きくして車室内の開放感を効果的に向上させることができるという利点を有する反面、上記透明ルーフパネルをルーフサイドレールに取り付けるための取付部材を設ける必要があり、これによってルーフ部の車幅方向における光の透過領域が狭められるという問題がある。
【0004】
例えば、特許文献2に開示された車両の屋根構造では、車体の側辺部に沿って前後方向に延びるルーフサイドレールの上面に、中空チャンバ輪郭部を有するフレーム側部の上フレーム部材を接着して固定し、この上フレーム部材に透明ルーフパネルの側辺部を固着するとともに、上記上フレーム部材の内側端部とルーフサイドレールの下端部との間を覆うように下フレーム部材を設置している。しかし、上記上フレーム部材の内側端部がルーフサイドレールよりも車体の内方側に突出することにより、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域が狭められるとともに、上フレーム部材および下フレーム部材を有する上記フレーム側部を設けることにより部品点数が増大し、その組付作業が繁雑になる等の問題があった。
【0005】
特に、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックを備えた自動車では、このルーフラックの設置部を避けて上記透明ルーフパネルを固定するように構成されているため、透明ルーフパネルの幅寸法が小さくなることが避けられず、これによってもルーフ部の車幅方向における光の透過領域が狭められるため、車室内の開放感がさらに損なわれるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネルとルーフラックとを容易かつ適正に車体に組み付けることができる自動車用ルーフ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネルおよびレールインナパネルを有する左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレールのレールアウタパネルおよびレールインナパネルに、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジを設けるとともに、ルーフサイドレールのルーフ側フランジに上記ルーフラックを固定する固定ボルトまたはこの固定ボルトに締結されるナットの何れか一方をルーフラックに配設し、この固定ボルトのねじ軸を上記透明ルーフパネルの側辺部およびルーフサイドレールのルーフ側フランジに挿通させて上記ナットを締結することにより、ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定したものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車用ルーフ構造において、ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定ボルトにより固定する際に、ルーフサイドレールのルーフ側フランジと透明ルーフパネルとの間隔を一定値に規制するための間隔規制部を設けたものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、上記自動車用ルーフ構造において、車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネルおよびレールインナパネルを有する左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレールのレールアウタパネルおよびレールインナパネルに、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジを設け、上記ルーフラックに、透明ルーフパネルの側端部が嵌着されるパネル保持溝を形成するとともに、上記ルーフサイドレールのルーフ側フランジにルーフラックを固定する固定ボルトまたはこの固定ボルトに締結されるナットの何れか一方をルーフラックに配設したものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車用ルーフ構造において、レールアウタパネルとレールインナパネルとの間にレールレイフォースメントを配設するとともに、このレールレイフォースメントに、レールアウタパネルおよびレールインナパネルの両ルーフ側フランジにより挟持されるルーフ側フランジを設けたものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車用ルーフ構造において、サンシェードを摺動可能に支持するシェード保持部材を備え、このシェード保持部材をルーフラックおよび透明ルーフパネルとともに固定ボルトによりルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、固定ボルトおよびこの固定ボルトのねじ軸に螺着されるナットからなる固定部材により、上記透明ルーフパネルとルーフラックとの両方をルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定するように構成したため、透明ルーフパネルとルーフラックをそれぞれ別々にルーフサイドレールに取り付けるように構成した場合に比べて上記取付部の構成を簡略化して透明ルーフパネルおよびルーフラックの組付作業を容易に行うことができるとともに、上記ルーフラック、透明ルーフパネルおよびルーフサイドレールのルーフ側フランジを平面視において互いに重合した位置に配設することにより、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を充分に確保して車室内の開放感を向上させることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定ボルトにより固定する際に、このルーフ側フランジと透明ルーフパネルとの間隔を一定値に規制するためのスペーサからなる間隔規制部を設けたため、この間隔規制部により上記固定ボルトの締結力を支持することにより、ガラス材等からなる透明ルーフパネルに過大な締結力が作用するのを効果的に防止した状態で、上記透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに安定して支持できるという利点がある。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ルーフラックに形成されたパネル保持溝に透明ルーフパネルの側端部を嵌着するように構成したため、透明ルーフパネルに固定ボルトの挿通孔を形成することなく、この固定ボルトにより上記透明ルーフパネルおよびルーフラックの両方をルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定することができる。したがって、透明ルーフパネルに固定ボルトの挿通孔が形成されることによる強度低下を防止しつつ、上記透明ルーフパネルおよびルーフラックの取付作業を簡略化できるとともに、車室内の上方視界を確保して開放感を向上できる等の利点がある。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、レールアウタパネルとレールインナパネルとの間に配設されたレールレイフォースメントによってルーフサイドレールを効果的に補強することにより、透明ルーフパネルおよびシェード保持部材の支持剛性を効果的に向上させることができるとともに、ルーフサイドレールおよびルーフ部全体の歪みを効果的に抑制でき、ルーフ部に大きな歪みが発生することに起因してガラス材等からなる透明ルーフパネルが破損するという事態の発生を効果的に防止しつつ、この透明ルーフパネルを車体に安定して保持させることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、透明ルーフパネルの下方に配設されたサンシェードを摺動可能に支持するシェード保持部材を、上記ルーフラックおよび透明ルーフパネルとともに固定ボルトによりルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定するように構成したため、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネル、ルーフラックおよびシェード保持部材を容易かつ適正に車体に組み付けることができるとともに、上記ルーフ側フランジの下方に配設されたシェード保持部材を透明ルーフパネルに対して容易に近接させることにより、サンシェードを上方に位置させて車室内高さを充分に確保できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図3は、本発明に係る自動車用ルーフ構造の実施形態を示している。この自動車用ルーフ構造は、ルーフ部の左右両側辺部に沿って車体の前後方向に延びる左右一対のルーフサイドレール1と、フロントウインドガラス2の上端部からセンターピラー3の設置部までの範囲内において上記両ルーフサイドレール1の間を覆うように設置されたガラス材または透明プラスチック材等からなる透明ルーフパネル4と、この透明ルーフパネル4の下面に沿ってスライド自在に配設された不透明のプラスチック製パネル材またはシート材等からなるサンシェード5と、このサンシェード5の側端部を摺動可能に支持するシェード保持部材6と、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラック7とを備えている。
【0018】
上記ルーフサイドレール1は、図3に示すように、車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネル8およびレールインナパネル9と、このレールアウタパネル8およびレールインナパネル9の間に配設されて上記閉断面を外方部と内方部との二個所に分割するレールレインフォースメント10とにより構成されている。
【0019】
上記レールアウタパネル8には、サイドドアSの上端面に沿って設置されたドア側壁11と、このドア側壁11の外側端部から斜め上方に向けて円弧状に延びる円弧壁12と、この円弧壁12の内側端部から下方に延びる縦壁13と、この縦壁13の下端部から車幅方向の内方側に突出するルーフ側フランジ14と、上記ドア側壁11の内側端部からサイドドアSの開口部側に突出するドア側フランジ15とが設けられている。
【0020】
また、上記レールインナパネル9には、レールアウタパネル7のルーフ側フランジ14に対向して車幅方向の内方側に突出するルーフ側フランジ16と、このルーフ側フランジ16の内側端部から下方に延びる縦壁17と、この縦壁17の下端部から斜め外方側に延びる傾斜壁18と、この傾斜壁18の下端部からサイドドアSの開口部側に突出するドア側フランジ19とが設けられている。
【0021】
上記レールレインフォースメント10は、レールアウタパネル8のドア側壁11および円弧壁12と所定間隔をおいて略平行に延びるレイン本体20と、上記レールアウタパネル8およびレールインナパネル9の両ルーフ側フランジ14,16により挟持されて一体にスポット溶接されるルーフ側フランジ21と、上記レールアウタパネル8およびレールインナパネル9の両ドア側フランジ15,19により挟持されて一体にスポット溶接されるドア側フランジ22とを有している。
【0022】
ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21には、上記ルーフラック7をルーフサイドレール1に固定する固定ボルト23の挿通孔が形成されるとともに、レールアウタパネル8のルーフ側フランジ14には、固定ボルト23の設置部よりも車外側の位置において透明ルーフパネル4をシール接着する接着剤24の塗布面が設けられている。また、上記ルーフサイドレール1のドア側フランジ15,19,22には、サイドドアSの上端部内面に当接して風雨等の浸入を防止するウェザーストリップ25が取り付けられるように構成されている。
【0023】
また、上記シェード保持部材6は、レールインナパネル9のルーフ側フランジ16の下面に固定される固定部26と、この固定部26から車内側に突出する突出部27とを有するアルミニウム製の押出成形材等からなり、上記固定部26には、固定ボルト23の挿通孔が形成されている。また、上記シェード保持部材6の突出部27には、サンシェード5の外側端部をスライド自在に支持する断面コ字状の支持溝部28と、その下方側においてルーフサイドレール1の内壁面に沿って設置されるルーフサイドトリム材29または図外のフロントピラートリム材の上端部(ルーフ側の端部)が取り付けられる取付部30となる水平板とが設けられている。そして、上記ルーフサイドトリム材29の上端部と上記シェード保持部材6の取付部30とが樹脂製クリップ材31によって一体に挟持されることにより、ルーフサイドトリム材29の上端部が上記取付部30に取り付けられるようになっている。
【0024】
上記ルーフラック7は、鋼管材またはアルミニウムパイプ材等からなる心材32が埋設されたルーフラック本体33と、車体に対する取付部となる第1〜第3脚部34〜36とを有している。上記ルーフラック7の前端部に設けられた第1脚部34には、図4に示すように、前後一対の固定ボルト23が配設され、この固定ボルト23の頭部が第1脚部34の下端部に埋め込み成形されることにより、固定ボルト23のねじ軸が下方に突設されている。また、透明ルーフパネル4の側辺部には、上記固定ボルト23のねじ軸およびこのねじ軸に外嵌されるスペーサ37の上方部40が嵌入される挿通孔38が形成されている。
【0025】
上記スペーサ37は、固定ボルト23のねじ軸に外嵌される透孔が形成された大径の下方部39と小径の上方部40とを有している。そして、上記固定ボルト23によりルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に固定する際に、このレールインナパネル1のルーフ側フランジ14,16,21と透明ルーフパネル4との間隔を一定値に規制する間隔規制部が上記スペーサ37により構成されている。なお、図4において、ルーフ側フランジ14,16,21の図示を省略している。
【0026】
具体的には、図3に示すように、上記固定ボルト23のねじ軸を、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21、透明ルーフパネル4およびシェード保持部材6の固定部26に形成された挿通孔に挿通させて固定ボルト23のねじ軸にナット41を螺着し、このナット41と上記ルーフラック7の第1脚部34とにより透明ルーフパネル4、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21およびシェード保持部材6の固定部26を一体に挟持してこれらを固定する際に、スペーサ37の上方部40が透明ルーフパネル4の挿通孔38に嵌入されるとともに、スペーサ37の上方部と下方部39との間に設けられた段部が透明ルーフパネル4の下面に当接することにより、上記ルーフ側フランジ14,16,21と透明ルーフパネル4との間隔が一定値に規制されるように構成されている。
【0027】
上記ルーフラック7の前後方向中央部に設けられた第2脚部35および後端部に設けられた第3脚部36には、第1脚部34と同様に固定ボルト23の頭部が埋設されている。そして、上記ルーフラック7の第2,第3脚部35,36は、上記透明ルーフパネル4の後方側において車室の後部上方を覆うように設置された鋼板製等からなる後部ルーフパネル42に、上記固定ボルト23およびこの固定ボルト23に螺着されるナット41からなる固定部材により固定されるようになっている。
【0028】
また、上記第1脚部34の設置部を除く透明ルーフパネル4の側端部には、図5に示すように、合成樹脂材からなる固定部材59が外嵌されるとともに、この固定部材59の下面に塗布された接着剤43により、上記透明ルーフパネル4の側端部がレールアウタパネル8のルーフ側フランジ14に接着されるように構成されている。図5において、44は、上記接着剤の流動を規制するスポンジ材等からなる流動規制部材である。
【0029】
さらに、図6に示すように、車室の上方前端部に設けられたフロントヘッダ45の上面には、上記フロントウインドガラス2の上端部および透明ルーフパネル4の前端部が接着剤46,47により固定されることにより、透明ルーフパネル4の前端部がフロントウインドガラス2の上端部に連続した状態で設置されている。図6において、48は、透明ルーフパネル4の前端部とフロントウインドガラス2の上端部との間をシールするウェザーストリップ、49,50は、上記接着剤46,47の流動を規制するスポンジ材等からなる流動規制部材、51は、サンシェードの前端部を支持するシェード保持部材、52は、フロントヘッダ45の下面を被覆するフロントヘッダトリム材である。上記シェード保持部材51は、サンシェード5の支持溝部53と、フロントヘッダトリム材52の取付部54とを有し、このシェード保持部材51の取付部54とフロントヘッダトリム材52の上端部とが樹脂製クリップ材55により一体に挟持されるようになっている。
【0030】
一方、上記透明ルーフパネル4の後端部は、図7に示すように、車室の後部上方を覆う後部ルーフパネル42の前部上面に接着剤56により固定されている。図7において、57は、上記接着剤56の流動を規制するスポンジ材等からなる流動規制部材、58は、上記後部ルーフパネル42の下面を被覆するトップシーリング材である。このトップシーリング材58と、後部ルーフパネル42との間における車体の後方側には、上記シェード保持部材6の支持溝部28に沿ってサンシェード5をスライド変位させることにより、このサンシェード5を前方の使用位置と後方の格納位置とに移動させる下記シェード駆動部61が配設されている。
【0031】
シェード駆動部61は、図8および図9に示すように、サンシェード5の後端部から車体の後方側に延びるとともに、先端部が後部ルーフパネル42の後端部下面に沿って車体の他側辺部側に延びる左右一対の駆動ケーブル62と、この駆動ケーブル62の周面に形成された雄ねじ部に歯合するピニオンギア63と、このピニオンギア63を回転駆動する駆動モータ64とを有している。そして、図外のガイド部材により上記両駆動ケーブル62をガイドしつつ、駆動モータ64を作動させて両駆動ケーブル62の先端部を、図8の矢印Dに示す方向、つまり車体の他側辺部側に移動させる方向にピニオンギア63を回転駆動することにより、図2の実線および図8に示すように、後部ルーフパネル42の下方側に設けられた格納位置にサンシェード5を後退させるようになっている。また、上記両駆動ケーブル62の先端部を、図9の矢印Eに示す方向、つまり車体の中央部側に移動させる方向にピニオンギア63を回転駆動することにより、図2の仮想線および図9に示すように、透明ルーフパネル4の下面を覆う使用位置にサンシェード5を前進させるように構成されている。
【0032】
上記のように車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネル8およびレールインナパネル9を有する左右一対のルーフサイドレール1と、両ルーフサイドレール1の間を覆うように設置された透明ルーフパネル4と、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラック7とを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレール1のレールアウタパネル8およびレールインナパネル9に、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジ14,16を設けるとともに、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に上記ルーフラック7を固定する固定ボルト23をルーフラック7に埋設し、この固定ボルト23のねじ軸を上記透明ルーフパネル4の側辺部およびルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に挿通させてナット41を締結することにより、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定したため、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネル4とルーフラック7とを容易かつ適正に車体に組み付けることができるという利点がある。
【0033】
すなわち、上記固定ボルト23およびこの固定ボルト23のねじ軸に螺着されるナット41からなる固定部材により、上記透明ルーフパネル4とルーフラック7との両方をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定するように構成したため、透明ルーフパネル4とルーフラック7とをそれぞれ別々にルーフサイドレール1に取り付けるように構成した場合に比べて上記取付部の構成を簡略化して透明ルーフパネル4およびルーフラック7の組付作業を容易に行うことができる。しかも、従来技術のように、ルーフラック7の設置部を避けて透明ルーフパネル4を固定するように構成されることにより、透明ルーフパネル4の幅寸法が小さくなるという事態を生じることがなく、上記ルーフラック7、透明ルーフパネル4およびルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16を平面視において互いに重合した位置に配設することにより、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を充分に確保して車室内の開放感を向上させることができる。
【0034】
また、上記実施形態に示すように、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定ボルト23により固定する際に、このルーフ側フランジ14,16と透明ルーフパネル4との間隔を一定値に規制するための上記スペーサ37からなる間隔規制部を設けた場合には、この間隔規制部により上記固定ボルト23の締結力を支持することができるため、ガラス材等からなる透明ルーフパネル4に過大な締結力が作用することに起因して透明ルーフパネル4が破損するという事態の発生を効果的に防止し、上記透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に安定して支持できるという利点がある。
【0035】
さらに、上記実施形態では、レールアウタパネル8とレールインナパネル9との間にレールレイフォースメント10を配設するとともに、このレールレイフォースメント10に、レールアウタパネル8およびレールインナパネル9の両ルーフ側フランジ14,16により挟持されるルーフ側フランジ21を設けたため、上記透明ルーフパネル4およびシェード保持部材6の支持剛性を効果的に向上させることができるとともに、ルーフサイドレール1およびルーフ部全体の歪みを効果的に抑制できるという利点がある。したがって、ルーフ部に大きな歪みが発生することに起因してガラス材等からなる透明ルーフパネル4が破損するという事態の発生を効果的に防止し、この透明ルーフパネル4を車体に安定して保持させることができる。
【0036】
また、上記実施形態に示すように、透明ルーフパネル4の下方に配設されたサンシェード5を摺動可能に支持するシェード保持部材6をルーフラック7および透明ルーフパネル4とともに固定ボルト23によりルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に固定するように構成した場合には、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネル4、ルーフラック7およびシェード保持部材6を容易かつ適正に車体に組み付けることができるとともに、上記ルーフ側フランジ14,16,21の下方に配設されたシェード保持部材6を透明ルーフパネル4に対して容易に近接させることにより、サンシェード5を上方に位置させて車室内高さを充分に確保できるという利点がある。
【0037】
なお、上記実施形態では、図2および図6に示すように、フロントウインドガラス2と透明ルーフパネル4とを別体に形成するとともに、フロントヘッダ45の設置部においてフロントウインドガラス2と透明ルーフパネル4とを連続させるように構成した例について説明したが、車室の前面を覆うフロントウインドガラス2と、車室の上部を覆う透明ルーフパネル4とを一体に形成し、上記フロントヘッダ45を省略した車両においても本発明を適用可能である。
【0038】
また、ルーフラック7の第1脚部34に固定ボルト23の頭部を埋め込み成形してなる上記実施形態に代え、図10および図11に示すように、ルーフラック7の第1脚部34とルーラック本体33との間に形成された空間部65にナット41を配設するとともに、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21の下方に固定ボルト23の頭部を固着し、そのねじ軸を上記ルーフ側フランジ14,16,21の上方に突出させた構造としてもよい。そして、上記透明ルーフパネル4の側辺部に形成された挿通孔38を上記ねじ軸に外嵌させるとともに、このねじ軸にナット41に螺着することにより、上記透明ルーフパネル4、シェード保持部材6およびルーフラック7をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に対して一体に固定するように構成してもよい。
【0039】
図10および図11において、66は、透明ルーフパネル4の上面に当接するフランジ部67と透明ルーフパネル4の挿通孔38に上方から挿入される内筒部68とを有する上部カラー、69は、ルーフ側フランジ14の上面に当接するフランジ部70と上記上部カラー66の内筒部68に下方から外嵌される外筒部71とを有する下部カラー、72,73,74は、上記固定ボルト23の設置部をシールするゴム製のシールリング、75は、ナット41の下方に配設される座金、76は、透明ルーフパネル4とルーフサイドレール1との間をシールするシール部材である。
【0040】
上記のようにルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に上記ルーフラック7を固定する固定ボルト23に締結されるナット41をルーフラック7側に配設し、上記固定ボルト23のねじ軸を上記透明ルーフパネル7の側辺部およびルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に挿通させ、このねじ軸に上記ナット41を締結することにより、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に固定するように構成した場合においても、ルーフ部の車幅方向における光の透過領域を確保しつつ、透明ルーフパネル4とルーフラック7とを容易かつ適正に車体に組み付けることができるという利点がある。
【0041】
特に、上記上部カラー66および下部カラー69からなる間隔規制部により、ルーフラック7および透明ルーフパネル4をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に固定ボルト23により固定する際に、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21と透明ルーフパネル4との間隔を一定値に規制するとともに、上記ゴム製のシールリング72,73,74により固定ボルト23の設置部をシールするように構成した場合には、上記固定ボルト23の締結力を上記間隔規制部において支持することにより、ガラス材等からなる透明ルーフパネル4に過大な締結力が作用するのを抑制して上記透明ルーフパネル4の破損を効果的に防止できるとともに、上記透明ルーフパネル4の挿通孔38を介して車室内に雨水等が進入するのを効果的に防止という利点がある。
【0042】
また、図12に示すように、上記ルーフラック7の第1脚部34に、透明ルーフパネル4の側端部が嵌着されるパネル保持溝77を形成するとともに、上記固定ボルト23の頭部を埋め込み成形し、この固定ボルト23のねじ軸をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に形成された挿通孔に挿通させて上記ねじ軸にナット41を螺着することにより、上記ルーフ側フランジ14,16,21にルーフラック7を固定するとともに、このルーフラック7を介して透明ルーフパネル4を固定するように構成してもよい。なお、図12において、78は、ルーフラック7とルーフサイドレール1および透明ルーフパネル4との間をシールするシール部材である。
【0043】
上記のように車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネル8およびレールインナパネル9を有する左右一対のルーフサイドレール1と、両ルーフサイドレール1の間を覆うように設置された透明ルーフパネル4と、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラック7とを備えた自動車用ルーフ構造において、上記ルーフサイドレール1のレールアウタパネル8およびレールインナパネル9に、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジ14,16を設けるとともに、上記ルーフラック7に形成されたパネル保持溝77に透明ルーフパネル4の側端部を嵌着するように構成した場合には、透明ルーフパネル4に固定ボルト23の挿通孔を形成することなく、この固定ボルト23により上記透明ルーフパネル4およびルーフラック7の両方をルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16に固定することができる。したがって、透明ルーフパネル4に固定ボルト23の挿通孔が形成されることによる強度低下を防止しつつ、上記透明ルーフパネル4およびルーフラック4の取付作業を簡略化できるとともに、車室内の上方視界を確保して開放感を向上できる等の利点がある。
【0044】
なお、図13に示すように、ルーフラック7の固定ボルト23が螺着されるナット41をルーフラック7の第1脚部34に埋設し、ルーフサイドレール1のルーフ側フランジ14,16,21に形成された挿通孔に固定ボルト23のねじ軸を下方側から挿通させて上記ナット41に螺着することにより、上記ルーフ側フランジ14,16,21にルーフラック7を固定するとともに、このルーフラック7を介して透明ルーフパネル4を固定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る自動車用ルーフ構造の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】ルーフラックの取付部の構造を示す側面断面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】図1のVI−VI線断面図である。
【図7】図1のVII−VII線断面図である。
【図8】サンシェードの格納状態を示す平面図である。
【図9】サンシェードの使用位置に前進させた状態を示す平面図である。
【図10】本発明に係る自動車のルーフ構造の別の実施形態を示す図5相当図である。
【図11】本発明に係る自動車のルーフ構造の別の実施形態を示す図3相当図である。
【図12】本発明に係る自動車のルーフ構造のさらに別の実施形態を示す図3相当図である。
【図13】本発明に係る自動車のルーフ構造のさらに別の実施形態を示す図3相当図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ルーフサイドレール
4 透明ルーフパネル
5 サンシェード
6 シェード保持溝
7 ルーフラック
8 レールアウタパネル
9 レールインナパネル
10 レールレインフォースメント
14 レールアウタパネルのルーフ側フランジ
16 レールインナパネルのルーフ側フランジ
21 レールレイフォースメントのドア側フランジ
23 固定ボルト
37 スペーサ(間隔規制部)
41 ナット
69 下部カラー(間隔規制部)
77 パネル保持溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネルおよびレールインナパネルを有する左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレールのレールアウタパネルおよびレールインナパネルに、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジを設けるとともに、ルーフサイドレールのルーフ側フランジに上記ルーフラックを固定する固定ボルトまたはこの固定ボルトに締結されるナットの何れか一方をルーフラックに配設し、この固定ボルトのねじ軸を上記透明ルーフパネルの側辺部およびルーフサイドレールのルーフ側フランジに挿通させて上記ナットを締結することにより、ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定したことを特徴とする自動車用ルーフ構造。
【請求項2】
ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定ボルトにより固定する際に、ルーフサイドレールのルーフ側フランジと透明ルーフパネルとの間隔を一定値に規制するための間隔規制部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ルーフ構造。
【請求項3】
車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネルおよびレールインナパネルを有する左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレールのレールアウタパネルおよびレールインナパネルに、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジを設け、上記ルーフラックに、透明ルーフパネルの側端部が嵌着されるパネル保持溝を形成するとともに、上記ルーフサイドレールのルーフ側フランジにルーフラックを固定する固定ボルトまたはこの固定ボルトに締結されるナットの何れか一方をルーフラックに配設したことを特徴とする自動車用ルーフ構造。
【請求項4】
レールアウタパネルとレールインナパネルとの間にレールレイフォースメントを配設するとともに、このレールレイフォースメントに、レールアウタパネルおよびレールインナパネルの両ルーフ側フランジにより挟持されるルーフ側フランジを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車用ルーフ構造。
【請求項5】
サンシェードを摺動可能に支持するシェード保持部材を備え、このシェード保持部材をルーフラックおよび透明ルーフパネルとともに固定ボルトにより.ルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車用ルーフ構造。
【請求項1】
車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネルおよびレールインナパネルを有する左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレールのレールアウタパネルおよびレールインナパネルに、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジを設けるとともに、ルーフサイドレールのルーフ側フランジに上記ルーフラックを固定する固定ボルトまたはこの固定ボルトに締結されるナットの何れか一方をルーフラックに配設し、この固定ボルトのねじ軸を上記透明ルーフパネルの側辺部およびルーフサイドレールのルーフ側フランジに挿通させて上記ナットを締結することにより、ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定したことを特徴とする自動車用ルーフ構造。
【請求項2】
ルーフラックおよび透明ルーフパネルをルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定ボルトにより固定する際に、ルーフサイドレールのルーフ側フランジと透明ルーフパネルとの間隔を一定値に規制するための間隔規制部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ルーフ構造。
【請求項3】
車体の前後方向に延びる閉断面を形成するレールアウタパネルおよびレールインナパネルを有する左右一対のルーフサイドレールと、両ルーフサイドレールの間を覆うように設置された透明ルーフパネルと、ルーフ部の上面左右に固定されて車体の前後方向に延在するルーフラックとを備えた自動車用ルーフ構造であって、上記ルーフサイドレールのレールアウタパネルおよびレールインナパネルに、それぞれ車幅方向の内方側に突出して互いに接合されるルーフ側フランジを設け、上記ルーフラックに、透明ルーフパネルの側端部が嵌着されるパネル保持溝を形成するとともに、上記ルーフサイドレールのルーフ側フランジにルーフラックを固定する固定ボルトまたはこの固定ボルトに締結されるナットの何れか一方をルーフラックに配設したことを特徴とする自動車用ルーフ構造。
【請求項4】
レールアウタパネルとレールインナパネルとの間にレールレイフォースメントを配設するとともに、このレールレイフォースメントに、レールアウタパネルおよびレールインナパネルの両ルーフ側フランジにより挟持されるルーフ側フランジを設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車用ルーフ構造。
【請求項5】
サンシェードを摺動可能に支持するシェード保持部材を備え、このシェード保持部材をルーフラックおよび透明ルーフパネルとともに固定ボルトにより.ルーフサイドレールのルーフ側フランジに固定したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車用ルーフ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−327257(P2006−327257A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149775(P2005−149775)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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