説明

自動車用樹脂製透明フロントピラーの製造方法

【課題】自動車の金属製フロントピラーは前方の視界が悪く、死角が生じ安全運転上問題となっていたため、周知の樹脂製透明フロントピラーを用いて対策を講じるものの、樹脂製透明フロントピラーの形状や構造的に製作上の問題があった。それに、従来のフロントピラーは、ルーフ及びボディーとで一体化構造であるため損傷時、フロントピラーの部分のみの修理交換ができず不便であるとの問題もあったので、これらの問題を解消するフロントピラーの製造方法を提供する。
【解決手段】透明な強化樹脂製成型加工によって、フロントピラー1の下部幅29を幅広拡大して三角窓状や四角窓状等の多角変形窓状に形成し、視界向上を図ると共に、且つ、フロントピラー1の損傷時、着脱構造手段として修理交換等のメンテナンスを容易にし、これらを実現するために、樹脂製で一体化に成型加工手段により製造する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の金属製フロントピラーの代わりとする樹脂製透明フロントピラーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の金属製フロントピラーを無くして代わりに透明な材料を用い、視界向上を図るボディー構造がある。
(例えば、特許文献1参照)
【0003】
それに、ガラス入り三角窓を設けた剛性を高めた金属製のフロントピラーの構造がある。
(例えば、特許文献2参照)
【0004】
更に、ガラス入り四角窓を設けた剛性を高めた金属製のフロントピラーの構造がある。
(例えば、特許文献3参照)
【0005】
また、樹脂製でルーフとフロントピラー、センターピラー、リヤピラーとが一体化形成とした構造のものがある。
(例えば、特許文献4参照)
【0006】
以下、特許文献1〜特許文献4に記載されている図に基づいて説明する。
【0007】
特許文献1に記載されている第1図〜第2図及び第5図に基づいて説明すると、第1図は従来の左右にある金属製フロントピラーを無くして剛性手段を講じて強度を増加させたピラーレスボディー構造であって、フロントピラーを無くした部分に、第2図による透明ピラー11を取付けて視界向上を図ったものがある。
透明ピラー11は、厚さtが15mm、幅wが56mm程度の平板状のものであって、フロントウインドシールドガラス10に外れないように接着で固定されている。
また、一方側をサッシレスドア(窓枠が無いドアガラス)のウインドーガラス15がウエザーストリップ13の部分に嵌まるようになっている。
【0008】
また、第5図は、図示しないルーフ前縁側端部とカウルトップアウタの側端部には、平板状透明ピラー21の上下の両端を保持するピラーホルダ20が設けられ、ピラーホルダ20と平板状透明ピラー21との間には、接着剤22が用いて透明ピラー21の両端をルーフとカウルトップに固着されている。
【0009】
続いて、特許文献2に記載されている図1には、金属製のフロントピラー4と一体となってフロントサイドウインドシールド5とするガラスが嵌め込まれた三角窓が取付けられ、前方側を前部フロントピラーと後方側を後部フロントピラーによる前後のダブルピラーで三角窓枠状が構成されている。
【0010】
特許文献3に記載されている図1には、金属製のフロントピラー20と一体となってサブウインドガラス7が嵌め込まれた四角窓が取付けられ前部フロントピラー40と後部フロントピラー80による前後のダブルピラーで四角窓枠状が構成されている。
【0011】
特許文献4に記載されている図1及び図11には、車体100の車体上部体101にルーフ20、及びフロントピラー5と、センターピラー6、リヤピラー7とが一体に樹脂製部材で形成され、車体下部体102は金属製部材で形成されたものがある。
【0012】
これら、樹脂製の車体上部体101と金属製の車体下部体102を各差込部25,26,27、とで接続した車体構造体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】 実開昭64−21070
【特許文献2】 特開平8−80868
【特許文献3】 特開2003−276638
【特許文献4】 特開2011−88495
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上に述べた従来の特許文献1記載の透明フロントピラーは、厚さtが15mmで幅wが56mm程度とする平板加工の変形のない透明ピラーであって、フロントガラスはルーフ側からボンネット側に反って緩やかなアール状に形成されているため平板状で反りがなく凹凸変形のない透明ピラーを用いて取付けるには困難で略不可能であった。
【0015】
また、特許文献1の第2図で示した透明ピラー11を間に介して取付けるフロントウインドガラス10の両側縁10a付近を接着して取付けているため剥がれる問題と、且つ、一方側のサッシレスドアのウインドーガラス15を嵌め込むウエザーストリップ13の気密、水密を保つための取付け方法や納まり構造が悪いためドアガラスの窓枠付き時、支障があってこれら各々、透明ピラー11に接する部分に問題があった。
【0016】
それに、特許文献1の第5図においても、透明ピラー21の両端を保持するそれぞれのピラーホルダ20との間に接着剤22が用いられているため剥がれる支障や、それぞれのピラーホルダ20及び透明ピラー21の両端をルーフとカウルトップアウタに接続する構成手段が不明瞭で記されず、透明ピラー21のみの損傷時の修理交換に対するメンテナンスに問題があった。
【0017】
因って、特許文献1で示した透明ピラー11、21は,接着22して固定する構造のものであって、これらの各透明ピラー11,21は損傷時の修理交換するための着脱構造手段としたものでなかった。
【0018】
更に、特許文献1の従来の平板状透明ピラー11,21は、三角窓状、四角窓状の形状に対しての対応も講じることが出来ず不便で、平板状の透明ピラー11,21の製作加工や製造方法に問題があった。
【0019】
以下特許文献2〜特許文献3の問題点を述べると、特許文献2の三角窓及び特許文献3の四角窓は、共にガラスが嵌め込まれた剛性構造手段とした金属製のフロントピラーであって、そのピラーがルーフ及びボディー構造と一体化で、複雑な鋼製板金曲げ加工や、数々の溶接の接合によって構成されている。そのため、手間がかかりコスト高の問題や、金属製のため視界が悪い問題等があった。
【0020】
また、ガラスが嵌められた三角窓及び四角窓は、ガラス自体には強度がなく剛性手段に活用できない問題点があって、そのためガラスの廻りの前後のピラーを含む補強部材の剛性構造を施す必要があった。
【0021】
そのため、金属製で剛性構造を施した廻りのフロントピラーを含む前部ピラー及び後部ピラーが太くなり、更に前後のダブルピラーとなって視界が一層悪くなる問題があった。
【0022】
それに、各ピラー部の破損時、各ピラーのみの着脱ができず部分的修理の交換ができない不便と、それらに伴いガラス入りのため破損時の交換も容易でなかった。
【0023】
続いて、特許文献4のフロントピラー5は、透明化を目的としたフロントピラーではなく、他の目的としての車体構造であって、フロントピラー5について詳細な説明に構造や形状、成型加工方法が記載されず不明瞭であった。
【0024】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであって、樹脂製で透明なフロントピラーを用いて多角形窓状を一体化に形成し、視界向上を図ると共に、フロントピラーを自在に着脱構造手段としてメンテナンスを容易にすることを目的とするものであって、これらを実現するため樹脂製の透明フロントピラーの形状を成型加工により製作加工や製造方法を構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
課題解決手段として、フロントガラスのアール状傾斜に反って凹凸変形反り状の縦長方向に形成した樹脂製の透明フロントピラーの前部ピラー側にフロントガラスのガラス受け部と、一方の後部ピラー側にドアの窓受け部を設け、前記透明フロントピラーのルーフ側方向に連れて上部幅を狭く、ボディー側方向に連れて下部幅を幅広に拡大して三角窓状或いは四角窓状等とした多角形窓状に形成し、これらを樹脂製で一体化に成型加工手段によって製造する。
【0026】
また、前記透明フロントピラーの前記上部幅と前記下部幅の幅広寸法を略同寸法幅としてスリム窓状に成型加工手段によって製造する。上述の三角窓状或いは四角窓状等に必ずしも限定せず、車種によって幅広の形状を選択し製造する。(図面、図5参照)
【0027】
前記透明フロントピラーの製造材質は透明な強化ポリカーボネイト樹脂製や、炭素繊維複合材料(CFRP)、(GFRP)、(FRP)等の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂によって一体化の成型加工による製造手段として形成する。ほかに、強化ガラス等を用いてもよいが剛性の問題を考慮する必要がある。
【0028】
本発明とする樹脂製の透明フロントピラーの製造方法は、上述の特許文献4で示したような、樹脂製の車体上部体とするルーフ及びフロントピラー、センターピラー、リヤピラーこれらを一体化として成型加工による製造手段を用いて形成することでもよい。そうすることにより、リヤピラーも透明にすることも可能となり、バック運転時の視界が一層高まる。或いは、下記に示す、単体物体の透明フロントピラーを接合してもよい。
【0029】
また、製造方法としては、前記透明フロントピラーを上端部と下端部とで、単体物体の独立として形成し、前記ルーフ側と前記ボディー側に各接続部を設けて前記透明フロントピラーの前記上端部と前記下端部とを前記各接続部に着脱手段可能に成型加工して製造する。(図4参照)
【0030】
このような単体物体として形成することによって、従来の金属製フロントピラーの代わりに金属製ボディー構造体と組み合わせることもでき、更に特許文献4で示した樹脂製の車体上部体のフロントピラー部分のみを、本発明の単体物体の透明フロントピラーを着脱構造手段として接続固定してもよい。
そうすれば、透明フロントピラー部分のみの損傷時の交換修理に便利になる。
【0031】
それに、前部ピラー側に設けたフロントガラスのガラス受け部をL状に形成してその部分にそってL状のガラス受けホルダー部材を装着し、もう一方の後部ピラー側に設けた窓受け部を階段状或いはL状に形成してその部分にそって窓受けホルダー部材を装着して前記透明フロントピラーの縦長形状方向にそって取付ける。
【0032】
ガラス受けホルダー部材及び窓受けホルダー部材の材質は金属製でもよく、樹脂製の透明フロントピラーの剛性手段とホルダーを兼ねながらガラス押さえモールやウエザーストリップの取付け下地として便利にする。
それに、透明なフロントピラーに直接フロントガラスやガラス押さえモール及びウエザーストリップ等が接した場合、裏側の取付け痕跡が表れて見えるのでそれらの目隠しカバーにする。
【0033】
上述の各ホルダー部材を取付けるためには、前記透明フロントピラーにホルダー部材の装着溝受け部をL状又は凹溝状等に形成し、成型加工して製造する。
【0034】
前記の透明フロントピラーは、外部面に一部露出しているので損傷防止として透明なガラス系等の保護カバー材を被せて覆うようにしてもよい。
多少の損傷であれば保護カバー部材のみの交換も可能としている。
必ずしも、保護カバー材を取付けねばならないと言うわけでもなく、取付けない場合の小さな損傷時には、研磨処理で修復できる。
【0035】
前記の透明フロントピラーは、上述した凹凸変形反り状の縦長方向に形成したものであって、且つ、幅広拡大の多角形窓状の凹凸変形状の部分に肉厚構造手段に形成した強化ポリカーボネイト樹脂製等であれば、従来の金属製フロントピラーに勝る剛性構造形状が可能なフロントピラーとなるので、従来の金属製フロントピラー以上の機能を発揮することができる。強化樹脂製は、周知の通り、鉄の略10倍の強度が証明されている。(日経エコロジー2011年12月号参照)
【発明の効果】
【0036】
上述したように本発明の樹脂製の透明フロントピラーは、凹凸変形反り状の縦長方向に形成されているため、ルーフからボンネット方向に緩やかに流れるフロントガラスのアール状傾斜反りに合せて密着し、結合装着させることができる。
【0037】
前部ピラー側に設けたガラス受け部に、ガラス受けホルダー部材を取付けているためガラス押さえモールで気密、水密を保たせて容易にフロントガラスを装着することができ、一方の後部ピラー側の窓受け部に窓受けホルダー部材を取付けてあるためウエザーストリップで水密、気密を保持する他、ドアの窓枠受けとして密着する。
【0038】
更に、各ホルダー部材で、透明フロントピラーの剛性補強材の役目や、フロントガラス及びモールやウエザーストリップ等の取付け時に見える痕跡かくしとしての目隠しカバーにもなる。
そのようにするためには、ホルダー部材の装着溝受け部を形成し、ホルダー部材の切断端面が同面となって切断端面が外面から露出せず納まりがよくなって合致する。
【0039】
前部ピラー側に、L状のガラス受け部と、後部ピラー側に階段形状又はL状の窓受け部を一体化形成することによって、上述の構成が可能となり便利になる。
【0040】
前部ピラー側と後部ピラー側とで、下部幅を広げ、幅広拡大して多角形窓状に形成することによって下方幅部の剛性を高めると共に、三角窓状或いは四角窓状として一層の視界向上を図ることができ、剛性で安全な効果が表れる。
【0041】
更に、多角形窓状にすると、最近特に多くなったフロントガラスの傾斜角度を緩やかにするキャブフォワード型車に用いれば、より一層の視界向上と共に、フロントガラスの空気抵抗も小さくなり走行時の燃費効率がよくなる。
【0042】
単体物体の透明フロントピラーを、ルーフ側とボディー側の各接続部に、着脱手段として接続固定することによって、損傷時の修理、交換が容易になる。
【0043】
樹脂製の透明フロントピラーは一部外部面に露出しているので損傷時の対応として、透明保護カバーで覆い保護することによりメンテナンスが容易となる。
多少のキズは、簡単な研磨で処理ができる。
【0044】
従来の金属製フロントピラーを製作する場合、複雑な鋼製板金曲げ加工や、溶接工程等によるコスト高であったが、本発明の透明フロントピラーは樹脂製で成型加工による製造方法であるため成形加工がしやすいメリットが発揮し、コストも安くできる効果がある。且つ強化樹脂製は鉄の略10倍の強度があるため金属ピラー以上に勝る。
【0045】
前記透明フロントピラーは、三角、四角窓形状に拘らず、スリムで細長のフロントピラー形状としても窓としての役目を果たし、外部の視界確認ができるため視界向上に役立つ。(図5参照)
【0046】
本発明の樹脂製透明フロントピラーは上述の成型加工による製造方法を用いて形成することにより、従来の金属製フロントピラー及び周知の樹脂製透明フロントピラーで存在しなかった効果が画期的に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】 本発明の実施形態を示すフロントピラーを取付けた正面左方斜視図
【図2】 同フロントピラーのA−A線断面図
【図3】 同フロントピラーの多角形窓状によるB−B線断面図
【図4】 同フロントピラーを運転席側から見た場合の取付け状態を示す破断斜視図
【図5】 本発明の他の実施形態を示す側部骨格体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0049】
図1においては、従来の金属製フロントピラーの代わりに、本発明である樹脂製の透明フロントピラー1を取付けた状態を示す図であって、従来取付けられていた金属製フロントピラーの位置に取付けた。
取付け方法は、ルーフ2方向に設けた接続部3と、ボディー4方向に設けた接続部3に装着して接続固定する。
【0050】
取付けた透明フロントピラー1はフロントガラス6と、閉じられたドア27のドア窓7との間に介し、ルーフ2からボンネット8方向まで緩やかなアール状のフロントガラス6の傾斜に反って取付いている。
【0051】
透明フロントピラー1の前方の前部ピラー側10には、フロントガラス6が装着され、後方の後部ピラー側11には、ドア27が閉められ窓枠18が接している。
透明フロントピラー1の形状は、上方のルーフ2方向に連れて上部幅28が狭く、下方のボディー4方向に連れて下部幅29が広く、下部を幅広に拡大して三角窓状に形成した。
【0052】
四角窓状形状時には、上部幅28と下部幅29の間隔幅広を同寸幅か、もしくは上部幅28を下部幅29よりやや狭くしてフロントガラス6の傾斜に反って形成し、上下の接続部3,3に接続し取付ければよい。
【0053】
尚、必ずしも三角、四角窓状とは限らず、上下方向ともにスリムな細長形状の略同幅寸法間隔で窓状に形成してもよく、自動車の車種によって窓形状を選択すればよい。
これらを下記の図5で説明する。
【0054】
図2においては、図1のA−A線断面図であって、透明フロントピラー1のフロントガラス6の方向面を前部ピラー側10とし、一方のドア窓7の方向面を後部ピラー側11として各々肉厚12、12を設けて形成した。
車内側を略凹部25、車外側を略凸部26にめりはりにフロントガラス6の傾斜反りに合せて形成した。
【0055】
略凹凸変形反り状に形成した透明フロントピラー1を、フロントガラス6とドア窓7との間に介して取付け、前部ピラー側10にL状のガラス受け部13を形成してその部分にガラス受けホルダー部材14を装着している。
一方の後部ピラー側11に階段形状とした窓受け部15を形成し、その部分に窓受けホルダー部材16を装着した。
尚、窓受け部15の形状は、必ずしも階段形状とは限らず、L状でも用を成すものであるから選択すればよい。
【0056】
ガラス受けホルダー部材14にフロントガラス6をガラス押さえモール24で押さえ水密、気密を高めて固定すると共に、一方の窓受けホルダー部材16にドアを閉めた場合、窓枠18に付いているウエザーストリップ17が密着し、水密、気密を保ちドアが閉められる。
【0057】
また、透明フロントピラー1の外部面には、損傷防止としてガラス系等の透明保護カバー材19で覆い小さなキズの防止を図る。
小さいキズ等は、保護カバー材19のみの修理交換が可能とした。
【0058】
透明フロントピラー1の前部ピラー側10と後部ピラー側11との間隔幅広9の寸法は、略30mm以上の幅広がよく、自動車の車種によって自由自在に幅広拡大し変形窓として形成すればよい。
【0059】
図3においては、三角窓状或いは四角窓状等の多角形窓状による幅広拡大時の図1のB−B線断面図の透明フロントピラー1であって、透明フロントピラー1の前部ピラー側10と、後部ピラー側11の間隔を広げて幅広9に拡大し、中央部分の形状を肉薄20にして前部ピラー側10と後部ピラー側11の部分を肉厚12,12形状として略凹凸変形反り状の窓状に形成した。
【0060】
前部ピラー側10のガラス受け部13と、ガラス受けホルダー部材14は、明瞭に説明するために分離して説明すると、ガラス受け部13の車外側と車内側の先端部にガラス受けホルダー部材14の切断端面30,30がかみ合って装着しやすいように、L状の溝受け部5,5を形成する。
【0061】
溝受け部5,5に合致してかみ合ったガラス受けホルダー部材14の装着時、切断端面30,30がカバーされて同面となり、納まりをよくするように成型加工を施す。
一方の窓受けホルダー部材16を装着する窓受け部15も同様な方法で形成する。
尚、L状の溝受け部5,5の形状で説明しているが、必ずしもそうとは限らず、例えば、凹溝部を形成して切断端部30,30の面を挿入して納まりをよくする方法もある。
【0062】
一方の後部ピラー側11に階段状の窓受け部15を設けてその部分に、窓受けホルダー部材16を装着し、ドアを閉じた場合の窓枠18に取付けたウエザーストリップ17が接して密着するようにした。
【0063】
上記は、窓枠18が付いているドア窓7で説明しているが、車種によって窓枠18が無いサッシレスドアのドア窓の場合には、窓受けホルダー部材16の部分に、直接ウエザーストリップを固着し取付けて対応することができる。
以下、図3は上記説明の他、上述の図2で説明した内容と同一なため説明を省略する。
【0064】
図4において説明すると、車内の運転席から見て左側に取付けた本発明の透明フロントピラー1であって、ルーフ2方向の上端部22と、ボディー4方向の下端部22とで単体物体の独立として形成している。
そして、ルーフ2方向の接続部3とボディー4方向の接続部3に上下各々、袋状ポケットブラケット21、21を取付けている。
袋状ポケットブラケット21,21の固定手段は、溶接又はボルト止め何れでもよく、これらを空洞挿入穴にした溝穴倹飩構造状を構成している。
【0065】
上下の袋状ポケットブラケット21,21に、透明フロントピラー1の上端部22と下端部22をやり送り(行って来い)し、倹飩式に挿入して各ボルト23、23で着脱自在に接続固定できるように透明フロントピラー1を成型加工した製造方法としている。
【0066】
上下の袋状ポケットブラケット21,21は、溶接又はボルト止め固定手段としているが、袋状ポケットブラケット21,21を固定手段とせず、透明フロントピラー1の装着と同時に各ボルト23,23で締め付け固定しても用を成すもので言うまででもない。
【0067】
取付けた透明フロントピラー1の前部ピラー側10には、フロントガラス6が嵌め込まれ、一方の後部ピラー側11には、ドア27を閉じた場合のドア窓7が密着する。
透明フロントピラー1の上部幅28を狭く、下部幅29を幅広拡大し、三角窓状に形成し取付けている。
【0068】
図5においては、側部骨格体31に本発明の透明フロントピラー1をルーフ2方向の接続部3及びボディー4方向の接続部3に着脱手段として取付けたものである。
側部骨格体31の製造は、金属製又は樹脂製でもよく、樹脂製の側部骨格体31を一体化の成型加工による製造方法であれば、本発明の透明フロントピラー1も同時に成型加工を行なってもよい。そのようにすれば、同時にリヤピラー32も透明ピラーにすることができる。
【0069】
このような一体化成型加工の場合は、本発明の透明フロントピラー1は着脱できず、着脱させるためには、単体物体として形成した本発明の透明フロントピラーを用いて接続すれば用を成すものである。
【0070】
図5に示す透明フロントピラー1は、上部幅28と下部幅29の間隔幅を同一か、もしくは下部幅29をやや広げて細長のスリム窓状の透明フロントピラー1に形成したものである。
上述の三角、四角窓状のような幅広拡大した方法とは若干イメージが違う窓としての透明フロントピラー1を形成することができる。
自動車の車種によって幅広拡大の形成方法を選択すればよい。
図5は、上記説明の他、上述の図2で説明した内容と略同一なため説明を省略する。
【0071】
このように、本発明は樹脂製の透明フロントピラーを形成することによって、視界向上による視角の防止を図る画期的な構造手段とした成型加工による製造方法である。
【符号の説明】
【0072】
1 透明フロントピラー
2 ルーフ
3 接続部
4 ボディー
5 溝受け部
6 フロントガラス
7 ドア窓
9 幅広
10 前部ピラー側
11 後部ピラー側
13 ガラス受け部
14 ガラス受けホルダー部材
15 窓受け部
16 窓受けホルダー部材
17 ウエザーストリップ
18 窓枠
19 保護カバー材
21 袋状ポケットブラケット
22 上、下端部
25 凹部
26 凸部
28 上部幅
29 下部幅
30 切断端面
31 側部骨格体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略変形反り状の縦長方向に形成した樹脂製の透明フロントピラーの前部ピラー側に、フロントガラスのガラス受け部と、一方の後部ピラー側にドアの窓受け部を設け、前記透明フロントピラーのルーフ側方向に連れて上部幅を狭く、ボディー側方向に連れて下部幅を幅広に拡大して略多角形窓状に形成し、これらを樹脂製で一体化に成型加工手段によって製造することを特徴とした自動車用樹脂製透明フロントピラーの製造方法
【請求項2】
前記透明フロントピラーの前記上部幅と前記下部幅の幅広寸法を略同寸法幅としてスリム窓状に成型加工手段によって製造することを特徴とした請求項1に記載の自動車用樹脂製透明フロントピラーの製造方法
【請求項3】
前記透明フロントピラーを上端部と下端部とで単体物体の独立として形成し、前記ルーフ側と、前期ボディー側に設けた各接続部に、前記透明フロントピラーの前記上端部と、前記下端部とを前記各接続部に自在に着脱構造として接続固定可能に成型加工手段によって製造することを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の自動車用樹脂製透明フロントピラーの製造方法
【請求項4】
前記前部ピラー側のガラス受け部に取付けたガラス受けホルダー部材及び、前記後部ピラー側の窓受け部に取付けた窓受けホルダー部材を前記透明フロントピラーの縦長形状方向にそって装着し、且つ、装着するための溝受け部を形成し、成型加工手段によって製造することを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の自動車用樹脂製透明フロントピラーの製造方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−75661(P2013−75661A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−256818(P2012−256818)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【出願人】(594195719)
【Fターム(参考)】