説明

自動車用自動倉庫及び非接触充電用アダプタ

【課題】車両を搭載するパレットに充電関連の設備を設けずに、かつ非接触充電用の受電装置を装備せずに接触充電式の充電インレットを備えた車両に対しても、保管中にバッテリの充電を非接触で行うことを可能にする。
【解決手段】自動車用自動倉庫10は車両14をパレット15に搭載した状態で保管する車両保管棚11に、保管された状態の車両14のバッテリに非接触充電方式で充電を行うための給電電源24からケーブル24aを介して電力が供給される送電コイル26を備えている。また、自動車用自動倉庫10は、接触充電式の充電インレットを備えた車両14の充電インレットに接続可能で、送電コイル26からの電力を非接触で受電する受電コイルを備えた非接触充電用アダプタ30を受け渡す非接触充電用アダプタ受渡部と、送電コイル26への送電を制御する制御装置を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用自動倉庫及び非接触充電用アダプタに係り、詳しくは保管中の自動車に搭載されているバッテリに非接触充電可能な自動車用自動倉庫及び充電時に使用する非接触充電用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題や石油の高騰等の問題からバッテリを搭載し電気を動力源とする電気自動車が注目されている。ところが、電気自動車のバッテリへの充電は、充電方法によっても異なるが、充電が完了するまでの時間は、従来のガソリンエンジン自動車やディーゼルエンジン自動車の給油時間と比べて、急速充電の場合でも長時間を必要とする。しかし、従来のガソリンスタンドのように充電を目的とした充電スタンドを設けて、充電スタンドで電気自動車に長時間をかけて充電することは困難であるため、駐車中に充電することができる充電装置を備えた駐車装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1では、車両用昇降台を有するエレベータ方式の昇降装置を挟んだ両側に車両を収納する複数の駐車部を備えた立体駐車装置において、電気自動車は、駐車部の駐車棚上に移動自在なパレットに搭載された状態で、駐車部と入出庫口との間を移送される。パレットには前記駐車部に駐車している電気自動車のバッテリ側接続部に着脱自在な充電側接続部が設けられている。駐車棚とパレットとの間には、前記充電側接続部と充電装置の充電用電源とを電気的に接続するケーブルの途中に設けられた断接自在な回路接続部が設けられている。回路接続部は、パレットが駐車棚上に移動配置された状態において接続状態となり、充電側接続部にケーブルを介して充電装置の充電電源から電力を供給可能となっている。充電装置は充電用の直流電源を備えており、電気自動車のバッテリ側接続部に充電側接続部を接続した状態で、バッテリには直流電源から直流電力が直接充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−366283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の立体駐車装置は、電気自動車が搭載された状態で移動されるパレットと駐車棚との間に、断接自在の回路接続部が設けられているため、パレットが昇降装置の車両用昇降台上から駐車棚上の所定位置に移動した際に、回路接続部が確実に接続される必要がある。そのため、パレットを所定位置に正確に移動させる必要があるため移動装置の構成が複雑になるだけでなく、回路接続部を接続する際や、回路接続部を切り離す際に、端子部に無理な力が加わり易くなり、回路接続部の耐久性が悪くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、車両を搭載するパレットに充電関連の設備を設けずに、かつ非接触充電用の受電装置を装備せずに接触充電式の充電インレットを備えた車両に対しても、保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる自動車用自動倉庫を提供することにある。また、第2の目的はそれに必要な非接触充電用アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両をパレットに搭載した状態で車両保管棚に保管する自動車用自動倉庫である。そして、前記車両保管棚に保管された状態の車両のバッテリに非接触充電方式で充電を行うための給電電源と、前記車両保管棚に設けられるとともに前記給電電源からケーブルを介して電力が供給される送電コイルとを備えている。また、接触充電式の充電インレットを備えた車両の前記充電インレットに接続可能で、前記送電コイルからの電力を非接触で受電する受電コイルを備えた非接触充電用アダプタを受け渡す非接触充電用アダプタ受渡部と、前記送電コイルへの送電を制御する制御装置を備えている。
【0008】
この発明では、車両はパレットに搭載された状態で車両保管棚の収納部と車両移載台との間をスタッカクレーンにより搬送される。車両が車両保管棚の収納部に収納された状態で、車両保管棚に設けられた送電コイルから車両の受電コイルを介して非接触充電が行われる。接触充電式の充電インレットを備えているが、非接触充電用の設備を備えていない車両に対しては、非接触充電用アダプタ受渡部で受け渡された非接触充電用アダプタが充電インレットに接続された状態で充電が行われる。したがって、車両を搭載するパレットに充電関連の設備を設けずに、車両の保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる。また、非接触充電用の受電装置を装備せずに接触充電式の充電インレットを備えた車両に対しても、車両の保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記非接触充電用アダプタは、前記受電コイルで受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器を備えている。車両に装備されている充電インレットは、家庭用電源である交流電力で充電可能とするため、交流電力を入力する構成のものが多い。しかし、交流電力ではなく直流電力を入力する構成の充電インレットもある。この発明では、車両に装備されている充電インレットが、交流電力ではなく直流電力を入力する構成のものであっても、送電コイル26から非接触伝送される交流電力が非接触充電用アダプタのAC/DC変換器で直流電力に変換されてから充電インレットに入力されるため、支障なく充電することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記送電コイルは、少なくとも前記車両保管棚の連方向へ移動調整可能に構成されている。車両は、運転者によりパレット上に停止された後、パレットに搭載された状態でスタッカクレーンにより車両保管棚の収納部まで搬送されるとともに、パレットが棚板上に載置された状態で収納部に収納される。そのため、車両のパレット上への停車位置のバラツキ、スタッカクレーンから棚板上に移載された際のパレットの位置のバラツキ、あるいは車両の長さの違い等により、収納部に収納された車両に取り付けられた非接触充電用アダプタの受電コイルの中央と、送電コイルの中央とがずれた状態になる場合がある。そのようなずれが大きいと、非接触充電の効率が低下する。この発明では、送電コイルは、少なくとも車両保管棚の連方向へ移動調整可能に構成されているため、受電コイルの中央と送電コイルの中央とがずれた状態の場合、送電コイルの位置を移動させてそのずれを小さくすることができ、非接触充電の効率が低下するのを抑制することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記送電コイルは、前記非接触充電用アダプタが取り付けられて前記車両保管棚に保管された車両の前記受電コイルの中央と前記送電コイルの中央とがずれた状態においても送電を支障なく実施できるように、前記受電コイルより大きく形成されている。この発明では、収納部に収納された車両に取り付けられた非接触充電用アダプタの受電コイルの中央と、送電コイルの中央とがずれた状態になっても、送電コイルと受電コイルとの位置関係を調整しなくても、非接触充電の効率が低下するのを抑制することができる。
【0012】
第2の目的を達成するため、請求項5に記載の発明は、送電コイルからの電力を非接触で受電する受電コイルと、前記受電コイルで受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、車両に装備された接触充電式の充電インレットに接続可能なコネクタとを備えている。この発明の非接触充電用アダプタを使用することにより、非接触受電装置を装備しておらず、接触充電式の充電インレットを備えた車両に対しても、非接触式充電装置を備えた自動車用自動倉庫において、保管中に非接触充電を行うことができる。また、自動車用自動倉庫に限らず、非接触式充電装置から非接触充電を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、車両を搭載するパレットに充電関連の設備を設けずに、かつ非接触充電用の受電装置を装備せずに接触充電式の充電インレットを備えた車両に対しても、保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる自動車用自動倉庫を提供することができる。また、請求項5に記載の発明によれば、それに必要な非接触充電用アダプタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は自動車用自動倉庫の部分模式図、(b)は車両の保管状態を示す模式側面図。
【図2】自動車用自動倉庫の部分模式平面図。
【図3】非接触送電装置の模式図。
【図4】(a),(b),(c)は、車両が収納部に収納された状態の送電コイルと受電コイルとの位置関係を示す模式図。
【図5】(a)は別の実施形態の送電コイルと受電コイルとの関係を示す模式図、(b),(c)は別の実施形態の車両が収納部に収納された状態の送電コイルと受電コイルとの位置関係を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をカーシェアリング用あるいはレンタカー用の車両の保管に使用される自動車用自動倉庫に具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1(a)及び図2に示すように、自動車用自動倉庫10は、通路を挟んで左右両側に一対の車両保管棚11が設けられている。なお、図1(a)では片側(図では右側)の車両保管棚11の図示を省略している。各車両保管棚11は、通路の長手方向(図1(a)の紙面と垂直方向)に沿って配設された複数本の支柱12と、隣り合う支柱12で対をなすように通路の高さ方向(段方向)に沿って配設された棚板13とから構成されている。そして、各車両保管棚11には、支柱12と棚板13との枠組みにより車両14をパレット15に搭載された状態で収納する収納部16が、連方向及び段方向にそれぞれ複数ずつ区画形成されている。
【0016】
自動車用自動倉庫10の入出口には車両移載台17が設けられている。通路の底部には、通路の長手方向に沿って走行レール18が敷設されている。車両14を車両移載台17と、各収納部16との間で搬送・移載するスタッカクレーン19は、走行レール18上を走行可能に配置されている。スタッカクレーン19は、走行レール18上を走行可能な走行輪20aを有する走行台20と、走行台20上に立設された一対のマスト21と、一対のマスト21間に上下動(昇降動作)可能に配設された昇降キャリッジ22とを備えている。昇降キャリッジ22は、図示しないワイヤを介してマスト21間に吊り下げられている。昇降キャリッジ22上には、収納部16にパレット15と共に車両14を出し入れするフォーク装置23が設けられている。
【0017】
図1(b)及び図2に示すように、収納部16は、車両14の前後方向が自動車用自動倉庫10の連方向となる状態で車両14を収納するようになっている。自動車用自動倉庫10の入出口側には、車両移載台17が2個設けられている。図2に示すように、車両移載台17は、車両移載台17上に載置されたパレット15上に、車両14が自動車用自動倉庫10の連方向に沿って停車した状態、スタッカクレーン19のフォーク装置23がパレット15を移載可能に設けられている。そして、車両14は自動車用自動倉庫10の入出口から進入して、車両移載台17上に載置されたパレット15上に停止するようになっている。
【0018】
なお、送電コイルユニット25は、各収納部16の奥側に設けられているため、車両14に取り付けられた非接触充電用アダプタ30と、送電コイルユニット25とが対向するように、車両保管棚11の左側(図2の上側)と右側(図2の下側)では、図2に示すように、車両14の向きが反対になる状態で保管される。そのため、左側の車両移載台17上に停車する場合は前向きで停車させ、右側の車両移載台17上に停車する場合は後ろ向きで停車させる必要がある。自動車用自動倉庫10の入出口には、その旨の注意を喚起する表示がされている。
【0019】
図1(a)に示すように、自動車用自動倉庫10は、車両保管棚11に保管された状態の車両14のバッテリ(図示せず)に非接触充電で充電を行うための給電電源24と、車両保管棚11に設けられるとともに給電電源24からケーブル24aを介して電力が供給される送電コイルユニット25とを備えている。給電電源24は、送電コイルユニット25に装備された送電コイル26への送電(給電)を制御する制御装置27(図3に図示)を備えている。給電電源24は、送電コイル26毎に設けられている。また、自動車用自動倉庫10は、非接触充電用アダプタ受渡部28(図2に図示)と、管理装置29とを備えている。非接触充電用アダプタ受渡部28は、利用条件確認部28aを備えている。
【0020】
非接触充電用アダプタ受渡部28は、送電コイル26からの電力を非接触で受電する非接触受電装置を装備しておらず、接触充電式の充電インレットを備えた車両に対して、送電コイル26を介しての非接触充電を可能にする非接触充電用アダプタ30を、車両の利用者(運転者等)に対して受け渡すものである。非接触充電用アダプタ受渡部28は、係員が非接触充電用アダプタ30を利用者へ手渡ししたり、回収したりする受渡・回収部であっても、非接触充電用アダプタ30を自動的に利用者が取り出せる状態にしたり、返却される非接触充電用アダプタ30を回収したりする受渡・回収装置であってもよい。
【0021】
利用条件確認部28aは、利用者が車両14を利用する際、希望車種やバッテリが満充電でなくてもよいか否か等の条件の確認を行うためのものである。利用条件確認部28aは、担当者が応対するものでも利用者が表示画面を見ながらタッチパネル等の操作部を操作して確認するものでもよい。
【0022】
図2に示すように、車両保管棚11の各収納部16の奥側には移動装置31が設けられ、送電コイルユニット25は、移動装置31に取り付けられ、移動装置31の駆動により車両保管棚11の連方向(図2の左右方向)へ移動調整可能に構成されている。収納部16に保管される車両14には、充電インレット37の配設位置が異なる車両(例えば、軽車両と普通車両)が混在する。そのため、収納部16は、充電インレット37の配設位置に合わせて、移動装置31の取り付け高さが異なっている。
【0023】
図3に示すように、非接触充電用アダプタ30は、送電コイル26からの交流電力を非接触で受電する受電コイル32、受電コイル32で受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器33、制御信号機34、通信器35、送受信器35a、ICタグ36及び充電インレット37に接続されるコネクタ(プラグ)38を備えている。制御信号機34は、非接触充電用アダプタ30が充電インレット37に適正な状態で接続されているか否か、即ちコネクタ38が充電インレット37に正しく接続されているか否かの信号を出力したり、AC/DC変換器33を制御する制御信号を車両側充電制御装置39から受けたりする。
【0024】
図3に示すように、送電コイル26を備えた送電コイルユニット25は、通信器41と、送受信器41aと、ICタグ36の記憶情報を非接触無線通信にて読み取り及び書き換え自在なリーダ/ライタ装置42とを備えている。また、送電コイルユニット25には、非接触充電用アダプタ30に設けられた被検出部43を検出するセンサ44が設けられている。制御装置27は、センサ44の検出信号に基づき、収納部16に収納された車両14に取り付けられている非接触充電用アダプタ30の受電コイル32の送電コイル26に対する位置関係を把握する。そして、受電コイル32の中央と、送電コイル26の中央とのずれが大きな場合、そのずれを解消するように移動装置31を駆動制御する。
【0025】
給電電源24は、制御装置27による制御によって非接触電力伝送を効率良く行う所定周波数の交流電力を送電コイル26に給電するように構成されている。制御装置27は、通信器41、送受信器41a、送受信器35a及び通信器35を介して車両側充電制御装置39との間で、バッテリの充電状態に関する情報を受信して、その情報に基づいて送電コイル26ヘの給電開始及び給電停止を行う。車両側充電制御装置39は、充電中にバッテリの充電状態を図示しない充電状態検出装置を介して把握し、その情報を制御装置27に送信する。
【0026】
管理装置29は、各制御装置27と図示しない通信装置を介して通信可能に構成されている。管理装置29は、各収納部16に保管されている車両14の管理に必要な情報を制御装置27から入手し、そのデータに基づいて車両保管棚11に保管されている車両14の管理を行う。管理に必要な情報としては、例えば、バッテリが満充電か否か、充電途中であればその時点での充電量と満充電までの予想時間等がある。管理装置29は、各制御装置27から入手した情報を収納部16毎にデータとしてメモリに記憶し、そのデータに基づいてスタッカクレーン19の制御装置に対して入庫、出庫の作業指令を行う。
【0027】
自動車用自動倉庫10に保管される全ての車両14には管理番号が付されている。そして、車両移載台17には、車両14が車両移載台17上の所定位置に停止した状態において、管理番号を検出する管理番号検出装置(図示せず)が設けられている。管理装置29は、前記管理番号検出装置の検出結果に基づき、その車両14が軽車両か否かを判断し、軽車両の場合は、軽車両用の収納部16へ保管するようにスタッカクレーン19の制御装置に指令する。
【0028】
また、車両移載台17には、利用者(運転者等)に非接触充電用アダプタ30の車両14への取り付けや取り外しを促す報知装置45も設けられている。報知装置45には目視で確認可能な表示装置や音声で知らせるスピーカー等がある。管理装置29は、前記管理番号検出装置の検出結果と、車両管理データとに基づき、その車両14が入庫のために車両移載台17上に存在するのか、出庫のために車両移載台17上に存在するのかを判断する。そして、入庫の場合は非接触充電用アダプタ30の取り付けを促し、出庫の場合は非接触充電用アダプタ30の取り外しを促す報知動作を行わせるように報知装置45を駆動して報知動作を行わせる。
【0029】
次に前記のように構成された自動車用自動倉庫10の作用を説明する。
車両14が、自動車用自動倉庫10の入出口から進入して車両移載台17上に載置されたパレット15上の所定位置に停止すると、管理番号検出装置により車両14の管理番号が検出され、管理装置29はその検出結果に基づき、報知装置45を駆動して非接触充電用アダプタ30の取り付けを促す報知動作を行わせる。報知装置45の報知作動により、車両14の利用者は、非接触充電用アダプタ30の取り付けが必要であることを認識する。そして、車両14から降りた後、非接触充電用アダプタ受渡部28で非接触充電用アダプタ30を受け取り、非接触充電用アダプタ30を充電インレット37に取り付けた後、車両移載台17から離れる。
【0030】
次に管理装置29は、スタッカクレーン19の制御装置に車両14を搬送、移載すべき収納部16を指令する。そして、スタッカクレーン19は制御装置からの指令により、フォーク装置23で車両移載台17上から車両14が搭載されたパレット15を昇降キャリッジ22上に移載した後、指令された収納部16と対応する位置まで移動し、パレット15と共に車両14を収納部16の棚板13上に移載する。
【0031】
車両14がパレット15と共に収納部16に収納されると、リーダ/ライタ装置42が非接触充電用アダプタ30のICタグ36を確認する。リーダ/ライタ装置42がICタグ36を確認すると、制御装置27は、センサ44を介して収納部16に収納された車両14に取り付けられた非接触充電用アダプタ30の受電コイル32と送電コイル26との位置関係を把握する。
【0032】
車両14が収納部16に収納された場合、図4(a)に示すように、車両14に取り付けられた非接触充電用アダプタ30の受電コイル32の中央と、送電コイル26の中央とが対応する状態になるとは限らない。例えば、利用者が車両14を車両移載台17上に停車させた際の停止位置や、スタッカクレーン19がパレット15を棚板13上に移載した際のずれあるいは車両14の長さ等により、図4(b),(c)に示すように、受電コイル32の中央と、送電コイル26の中央とが車両保管棚11の連方向にずれた状態となる場合がある。管理装置29は、受電コイル32の中央と、送電コイル26の中央とのずれが大きな場合、そのずれを解消するように移動装置31を駆動制御する。そして、図4(a)に示すように、受電コイル32の中央と、送電コイル26の中央とが対応する状態で非接触充電を行う。
【0033】
制御装置27は、車両側充電制御装置39に給電、即ち非接触充電を開始してよいか否かを確認し、よい場合に給電を開始する。車両側充電制御装置39は制御信号機34から非接触充電用アダプタ30のコネクタ38が充電インレット37に確実に接続されている状態のとき、給電を開始してよい旨を制御装置27に送信する。車両側充電制御装置39は、充電中にバッテリの充電状態を充電状態検出装置を介して把握し、その情報を制御装置27に送信する。制御装置27は、車両側充電制御装置39からバッテリの充電状態に関する情報を受信して、その情報に基づいて送電コイル26ヘの給電を制御する。
【0034】
制御装置27は、車両側充電制御装置39からの情報によりバッテリが満充電になったことを確認すると給電を停止し、バッテリの非接触充電を終了する。制御装置27は、基本的には車両側充電制御装置39からバッテリが満充電になったことの情報を受信した後に、送電コイル26への給電を停止するが、送電コイル26への給電中であっても、管理装置29から非接触充電中止の指令を受けると、送電コイル26への給電を停止して非接触充電を中止する。管理装置29は、車両14の利用要求があると、基本的にバッテリが満充電の車両14を優先して出庫するが、非接触充電中の車両14しかない場合は、非接触充電中の車両14のうち充電量が満充電に近い車両14と対応する給電電源24の制御装置27に非接触充電中止の指令を送信する。
【0035】
制御装置27は、非接触充電を終了あるいは中止すると、リーダ/ライタ装置42により充電結果を示すデータをICタグ36に書き込む。このデータは、非接触充電用アダプタ30の使用履歴を示すデータとなる。充電結果を示すデータとしては、例えば、ICタグ番号、充電日時、充電時間、充電開始時のバッテリの充電量、充電終了時のバッテリの充電量、充電を行った車両14の管理番号等がある。このデータは、管理装置29へ送信され、管理装置29は、そのデータを、例えば、使用頻度が特定の非接触充電用アダプタ30に偏ったり、特定の非接触充電用アダプタ30の使用頻度が低くなったりしていないかの管理や、各車両14のバッテリの積算充電回数の管理等に用いる。
【0036】
車両14を利用する場合、利用者は、利用条件確認部28aで利用条件の確認を行う。利用者は、先ず希望車種が利用可能か否かの確認を行う。希望車種が利用可能な場合は、バッテリが満充電の車両14の有無の確認を行う。満充電の車両14がない場合は、それらの車両14の充電量を確認して、利用するか否かの判断を行う。利用条件の確認は、管理装置29の管理データに基づいて行われる。
【0037】
管理装置29は、利用条件確認部28aから、保管中の車両14に対する車種やバッテリの充電状態に関する問い合わせがあると、管理データに基づいて応答する。そして、利用条件が確認されると、保管中の車両14から条件に合った車両14の出庫をスタッカクレーン19の制御装置に指令する。管理装置29は、満充電の希望の車両14が複数ある場合は、非接触充電用アダプタ30の使用頻度や車両14のバッテリの積算充電回数を考慮して出庫すべき車両14を決定する。充電中の車両14しか希望の車両14がない場合は、充電量を利用者に報知して利用者がそれを了解した場合は、充電量の最も多い車両14を出庫することに決定し、スタッカクレーン19の制御装置にその車両14の出庫指令を行うとともに、対応する送電コイル26の制御装置27に充電中止指令を行う。
【0038】
スタッカクレーン19は、出庫指令を受けると指令された収納部16と対応する位置まで移動し、その収納部16から車両14をパレット15に搭載された状態で昇降キャリッジ22上に移載して車両移載台17まで搬送する。スタッカクレーン19により車両14がパレット15と共に車両移載台17上に移載されると、管理番号検出装置により車両14の管理番号が検出され、管理装置29はその検出結果に基づき、報知装置45を駆動して非接触充電用アダプタ30の取り外しを促す報知動作を行わせる。報知装置45の報知動作により、車両14の利用者は、非接触充電用アダプタ30の取り外しが必要であることを認識する。そして、非接触充電用アダプタ30を充電インレット37から取り外して非接触充電用アダプタ受渡部28に返却した後、車両14に乗って車両移載台17から降りる。
【0039】
管理装置29は、車両保管棚11が車両14で満車以外の状態においては、いずれか一方の車両移載台17上にパレット15が載置された状態となり、車両保管棚11で保管対象のすべての車両14が出庫されている状態では、両方の車両移載台17上にパレット15が載置された状態となるようにパレット15を管理する。そして、管理装置29は、車両14がパレット15上から移動した後、待機中のスタッカクレーン19にパレット15をパレット15のない収納部16へ搬送するための指令をスタッカクレーン19の制御装置に出力する。スタッカクレーン19は、その指令に基づいて、車両移載台17上のパレット15を指令された収納部16まで搬送する。
【0040】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)自動車用自動倉庫10は、車両14をパレット15に搭載した状態で車両保管棚11に保管する。自動車用自動倉庫10は、車両保管棚11に保管された状態の車両14のバッテリに非接触充電方式で充電を行うための給電電源24と、車両保管棚11に設けられるとともに給電電源24からケーブル24aを介して電力が供給される送電コイル26と、送電コイル26への送電を制御する制御装置27とを備えている。そして、車両保管棚11に設けられた送電コイル26から車両14の受電コイル32を介して非接触充電が行われる。したがって、車両14を搭載するパレット15に充電関連の設備を設けずに、車両14の保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる。
【0041】
(2)自動車用自動倉庫10は、接触充電式の充電インレット37を備えた車両14の充電インレット37に接続可能で、送電コイル26からの電力を非接触で受電する受電コイル32を備えた非接触充電用アダプタ30を受け渡す非接触充電用アダプタ受渡部28を備えている。そして、接触充電式の充電インレット37を備えているが、非接触充電用の設備を備えていない車両14を保管する場合は、非接触充電用アダプタ受渡部28で受け渡された非接触充電用アダプタ30が充電インレット37に接続され状態で車両保管棚11に保管する。したがって、非接触充電用の受電装置を装備せずに接触充電式の充電インレット37を備えた車両14に対しても、保管中にバッテリの充電を非接触で行うことができる。
【0042】
(3)非接触充電用アダプタ30は、受電コイル32で受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器33を備えている。したがって、車両14に装備されている充電インレット37が交流電力ではなく直流電力を入力する構成のものであっても、送電コイル26から非接触伝送される交流電力が非接触充電用アダプタ30のAC/DC変換器33で直流電力に変換されてから充電インレット37に入力されるため、支障なくバッテリを充電することができる。
【0043】
(4)送電コイル26は、移動装置31により車両保管棚11の連方向へ移動調整可能に構成されている。したがって、車両14を搭載した状態のパレット15が収納部16の棚板13上に移載された状態で、受電コイル32の中央と、送電コイル26の中央とがずれた場合は、移動装置31により送電コイル26の位置を移動させてそのずれを小さくすることができ、非接触充電の効率が低下するのを抑制することができる。
【0044】
(5)非接触充電用アダプタ30は、非接触充電用アダプタ30が充電インレット37に適正な状態で接続されているか否か、即ちコネクタ38が充電インレット37に正しく接続されているか否かの信号を出力する制御信号機34を備えている。したがって、非接触充電用アダプタ30が充電インレット37に適正に接続されている状態で非接触充電を行うことにより、非接触充電を効率良く行うことができる。
【0045】
(6)非接触充電用アダプタ30はICタグ36を備えており、ICタグ36には非接触充電用アダプタ30の使用履歴を示すデータ、例えば、ICタグ番号、充電日時、充電時間、充電開始時のバッテリの充電量、充電終了時のバッテリの充電量、充電を行った車両14の管理番号等が書き込まれる。したがって、そのデータを、例えば、使用頻度が特定の非接触充電用アダプタ30に偏ったり、特定の非接触充電用アダプタ30の使用頻度が低くなったりしていないかの管理や、各車両14のバッテリの積算充電回数の管理等に用いることができる。
【0046】
(7)車両保管棚11の収納部16は、軽車両用と普通車両用とに区別され、軽車両用の収納部16に設けられる送電コイル26と、普通車両用の収納部16に設けられる送電コイル26とは、それぞれ軽車両あるいは普通車両に適した位置に取り付けられている。したがって、移動装置31は、送電コイル26と受電コイル32との上下方向の位置ずれを考慮せずに、連方向への位置ずれを解消するだけでよい。
【0047】
(8)管理装置29は、車両14の入庫時に充電インレット37の位置を認識して、充電インレット37の高さ位置に合わせて送電コイル26が設けられた収納部16へ車両14を保管するように、スタッカクレーン19の制御装置に入庫指令を行う。したがって、車両14は、装備する充電インレット37の高さ位置に合わせて送電コイル26が設けられた収納部16へ格納される。
【0048】
(9)自動車用自動倉庫10は、カーシェアリング用あるいはレンタカー用の車両の保管に使用される。そのため、一般の駐車装置と異なり、保管される車両に対して予め管理番号を付与して管理することができる。したがって、管理番号から車両の長さや高さあるいは充電インレット37の取り付け高さ等を確認することができ、管理装置29による車両14の管理が容易になる。また、この実施形態では保管される車両14を、全て充電インレット37を備えた車両14としたが、走行モータを備えていない車両、即ち保管中に充電を必要としない車両が保管車両に混在する場合も、管理番号で区別ができ、管理装置29による車両14の管理が容易になる。
【0049】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 非接触充電用アダプタ30が取り付けられて車両保管棚11に保管された車両14の受電コイル32の中央と、送電コイル26の中央とがずれた状態においても送電を支障なく実施可能にするため、図5(a)に示すように、送電コイル26を受電コイルより大きく形成してもよい。この場合、受電コイル32の中央と送電コイル26の中央とがずれた状態においても、送電コイル26から受電コイル32への送電を支障なく実施することができる。したがって、送電コイル26を車両保管棚11の連方向へ移動調整可能に構成するための移動装置31が不要になる。
【0050】
○ 車両14が収納部16に収納された場合、利用者が車両14を車両移載台17上に停車させた際の停止位置や、非接触充電用アダプタ30の充電インレット37への取り付け状態によっては、受電コイル32と送電コイル26とが互いに平行な状態になるとは限らない。例えば、非接触充電用アダプタ30が適切に取り付けられていても、車両14が斜めに停車された場合は、図5(b)に示すように、受電コイル32と送電コイル26とが平行にならない。また、車両14が適切に停車されていても、非接触充電用アダプタ30が斜めに取り付けられた場合は、図5(b)に示すように、受電コイル32と送電コイル26とが平行にならない。送電コイル26の位置調整では、非接触充電用アダプタ30の向きのズレによる効率低下を補償することは難しい。この場合は、送電コイル26の位置調整を行うのではなく、給電電源24側に給電効率補償機能を設ける。例えば、送電コイル26へ給電する交流電力の周波数を変更調整したり、給電電源24と送電コイル26との間に可変コンデンサを接続して、可変コンデンサの容量を変更してインピーダンス整合を行う構成にしたりしてもよい。
【0051】
○ 送電コイル26の取り付け位置は、収納部16に収納された車両14の横(側面)と対向する位置に限らず、車両14に装備されている充電インレット37の位置に対応して変更される。例えば、充電インレット37が車両14の後部に装備されていれば送電コイル26は収納部16の側面(自動車用自動倉庫10の連方向と直交する面)に設けられる。
【0052】
○ 非接触充電用アダプタ30として、AC/DC変換器33を備えずに、受電コイル32で受電した交流電力を直流に変換せずに交流のまま充電インレット37出力する構成のものを設けてもよい。近年、エンジン(内燃機関)だけでなく、走行モータでも走行可能な所謂ハイブリッド車において、家庭用電源(系統電源)でバッテリを充電可能な所謂プラグイン・ハイブリッド車が考えられ、また実用化されている。プラグイン・ハイブリッド車では、家庭用電源の交流電力によりバッテリを充電するため、充電インレットには交流電力が給電される。したがって、非接触充電用アダプタ30として、交流電力を出力するものを準備すれば、家庭用電源で充電する充電インレットを備えた車両14に対しても、保管中に非接触充電を行うことが可能になる。
【0053】
○ 自動車用自動倉庫10は、接触充電式の充電インレット37を備えた車両14のみを保管するのではなく、充電インレット37を装備していないガソリン車やディーゼル車等の普通自動車の両方を保管するようにしてもよい。この場合、車両保管棚11に送電コイル26を備えた収納部16と、送電コイル26を備えていない収納部16とを設け、充電インレット37を備えた車両14のみ送電コイル26を備えた収納部16に保管する。
【0054】
○ 車両14として、充電インレット37を装備せずに非接触受電用の受電コイルを備えた車両も考えられる。そのような車両は非接触充電用アダプタ30を取り付けずに、送電コイル26から非接触で電力を受電することにより、給電電源24から給電される電力でバッテリの非接触充電を行うことができる。
【0055】
○ 給電電源24を送電コイル26毎に設ける構成に代えて、1個の給電電源24から複数の送電コイル26へ給電するように構成してもよい。また、1個の給電電源24から2個の送電コイル26へ給電可能に構成するとともに、原則として両方の送電コイル26へ同時には給電しないようにしてもよい。自動車用自動倉庫10に保管されている全ての車両14に対して同時に非接触充電が行われることはあまりない。したがって、充電を必要な車両14を1個の給電電源24から給電される2個の送電コイル26のうち一方が給電中の場合は、その給電電源24に対応する送電コイル26の存在する収納部16への車両14の入庫を避けるように入庫管理を行うことにより、支障なく非接触充電を行うことが可能になる。
【0056】
○ 送電コイル26を各収納部16に設けずに、半分あるいは2/3程度の収納部16に送電コイル26を設けるようにする。前述したように、全ての収納部16で同時に非接触充電を行う可能性は低いため、充電が必要な車両14を送電コイル26が設けられた収納部16へ先ず入庫する。そして、満充電になったらその車両14を送電コイル26が設けられていない収納部16へスタッカクレーン19で移動させるようにする。この場合、送電コイル26が設けられている収納部16と、送電コイル26が設けられていない収納部16とを隣り合わせに設ければ、スタッカクレーン19による移動に要する時間を短くすることができる。
【0057】
○ 車両14に非接触充電用アダプタ30が取り付けられているか否かを確認する方法は、非接触充電用アダプタ30にICタグ36を設ける代わりに、磁気タグやバーコードを取り付けるとともに、送電コイルユニット25に磁気タグやバーコードを検出する検出装置を設けてもよい。
【0058】
○ 管理装置29は、管理データに基づき、充電完了した車両14のみを出庫可能にして、充電できていない(満充電でない)車両14を出庫しないようにしてもよい。
○ 入庫時に非接触充電用アダプタ30の取り付け忘れを防止する機能として、非接触充電用アダプタ30に取り付けられたICタグ36等を検出する検出装置をスタッカクレーン19の昇降キャリッジ22等に設ける。そして、検出装置がICタグ36等を検出しないときには、報知装置によって取り付け忘れを報知する。そして、検出装置がICタグ36等を検出した後に、取り付け忘れの報知を終了して、指令された収納部16への車両14の搬送を開始する。
【0059】
○ 出庫時に非接触充電用アダプタ30の取り外し忘れを防止する機能として、非接触充電用アダプタ30に取り付けられたICタグ36等を検出する検出装置をスタッカクレーン19の昇降キャリッジ22等に設ける。そして、スタッカクレーン19は、車両14を車両移載台17と対向する位置で停止した状態で、検出装置がICタグ36等を検出すると、利用者に非接触充電用アダプタ30を充電インレット37から取り外すように促す。そして、検出装置がICタグ36等を検出しなくなると、車両14をパレット15と共に車両移載台17上へ移載する。この場合、非接触充電用アダプタ30が充電インレット37から取り外されていない状態では、利用者は車両14を利用できないため、非接触充電用アダプタ30が充電インレット37に取り付けられたまま、出庫される虞がない。
【0060】
○ 出庫時に非接触充電用アダプタ30の取り外し忘れを防止する機能として、車両移載台17の入出側に遮断機を設け、出庫時に非接触充電用アダプタ30が充電インレット37から取り外されたことを確認した後、遮断機が開かれるようにしてもよい。
【0061】
○ 自動車用自動倉庫10の入出口を長手方向の両側に設けて、各入出口に車両移載台17を1個ずつ設ける。この場合、図2のように左側の車両保管棚11に保管される車両14の向きと、右側の車両保管棚11に保管される車両14の向きが逆向きであっても、車両14は、車両移載台17に前進で進入して停止してもよくなり、バックで車両移載台17上まで進入する場合に比べて利用者が入庫し易くなる。
【0062】
○ 収納部16に設ける送電コイル26の高さを全て同じにして、移動装置31として移動方向がX軸方向(連方向)及びY軸方向(上下方向)の両方向の装置を使用してもよい。この場合、送電コイル26と受電コイル32との連方向のずれはX軸方向への移動で調整され、上下方向のずれはY軸方向への移動で調整される。したがって、充電インレット37の高さによって車両14を収納する収納部16を決める必要がなくなり、入庫時に入庫用の収納部16を設定する際の自由度が大きくなる。
【0063】
○ 移動装置31としてZ軸方向(収納部16の奥行き方向)へも移動可能な装置、例えば、X軸方向とZ軸方向へ移動可能な装置あるいはX軸方向とY軸方向とZ軸方向の3方向へ移動可能な装置を設けてもよい。この場合、収納部16に車両14が収納された際、送電コイル26と受電コイル32との距離が遠い場合に、移動装置31をZ方向に移動させて送電コイル26を受電コイル32に近づけた後、非接触充電を行うことにより、非接触充電を効率良く行うことができる。
【0064】
○ 非接触給電を行うための部品の故障を検知して、その部品が関与している収納部16を、故障が回復するまで使用しないようにする機能を持たせてもよい。例えば、非接触給電用の給電電源24の故障、送電コイル26の断線等の故障、非接触充電用アダプタ30の故障等の故障検知を行う。例えば、非接触充電用アダプタ30が適切に充電インレット37に取り付けられた状態で、非接触給電を実施した場合に、非接触充電が良好に行われない場合、故障と判断される。
【0065】
○ 管理装置29は、制御装置27から故障情報を受信すると、スタッカクレーン19の制御装置に対してその制御装置27に対応する収納部16の使用を禁止する指令を行う。また、故障がある旨を管理者に通知する。管理者は、その通知を確認すると、修理のための処置を行う。
【0066】
○ 非接触で電力を伝送する送電コイル26と電力を受電する受電コイル32とは電磁誘導を利用して電力伝送を行うものに限らず、磁場共鳴を利用して電力伝送を行うものであってもよい。磁場共鳴を利用して電力伝送を行う場合は、送電コイル26と受電コイル32との距離を、電磁誘導を利用して電力伝送を行う場合に比べて大きくできる。
【0067】
○ 自動車用自動倉庫10は、カーシェアリング用あるいはレンタカー用の車両の保管に使用されるものに限らず、一般の駐車装置のように、不特定多数の車両を保管するのに使用してもよい。その場合、車両14が車両移載台17のパレット15上に停車した状態で、車両14が充電インレット37を備えているか否かの確認を行うことが必須になる。
【0068】
○ 非接触充電用アダプタ30は、非接触式充電装置が装備された自動車用自動倉庫10に限らず、非接触式充電装置が装備された立体駐車装置やその他の非接触式充電装置において、接触充電式の充電インレット37を備えた車両14に対して非接触充電を行う際に使用してもよい。
【0069】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の自動車用自動倉庫は、前記非接触充電用アダプタ受渡部で受け渡す非接触充電用アダプタとして、前記受電コイルで受電した交流電力を交流のまま前記充電インレットへ出力するものと、前記受電コイルで受電した交流電力を直流電力に変換して前記充電インレットへ出力するためAC/DC変換器を備えたものとの2種類を備えている。
【0070】
(2)接触充電式の充電インレットを備えた車両のバッテリに対して非接触充電方式で充電を行うための給電電源から非接触充電を行う充電方法であって、前記給電電源からケーブルを介して電力が供給される送電コイルからの送電電力を非接触で受電可能な受電コイルを備えた非接触充電用アダプタを前記充電インレットに接続した状態で前記給電電源から前記送電コイルへ給電する充電方法。
【符号の説明】
【0071】
10…自動車用自動倉庫、11…車両保管棚、14…車両、15…パレット、24…給電電源、24a…ケーブル、26…送電コイル、27…制御装置、28…非接触充電用アダプタ受渡部、30…非接触充電用アダプタ、32…受電コイル、33…AC/DC変換器、37…充電インレット、38…コネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両をパレットに搭載した状態で車両保管棚に保管する自動車用自動倉庫であって、
前記車両保管棚に保管された状態の車両のバッテリに非接触充電方式で充電を行うための給電電源と、
前記車両保管棚に設けられるとともに前記給電電源からケーブルを介して電力が供給される送電コイルと、
接触充電式の充電インレットを備えた車両の前記充電インレットに接続可能で、前記送電コイルからの電力を非接触で受電する受電コイルを備えた非接触充電用アダプタを受け渡す非接触充電用アダプタ受渡部と、
前記送電コイルへの送電を制御する制御装置と
を備えていることを特徴とする自動車用自動倉庫。
【請求項2】
前記非接触充電用アダプタは、前記受電コイルで受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器を備えている請求項1に記載の自動車用自動倉庫。
【請求項3】
前記送電コイルは、少なくとも前記車両保管棚の連方向へ移動調整可能に構成されている請求項1又は請求項2に記載の自動車用自動倉庫。
【請求項4】
前記送電コイルは、前記非接触充電用アダプタが取り付けられて前記車両保管棚に保管された車両の前記受電コイルの中央と前記送電コイルの中央とがずれた状態においても送電を支障なく実施できるように、前記受電コイルより大きく形成されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の自動車用自動倉庫。
【請求項5】
送電コイルからの電力を非接触で受電する受電コイルと、前記受電コイルで受電した交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器と、車両に装備された接触充電式の充電インレットに接続可能なコネクタとを備えていることを特徴とする非接触充電用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−169043(P2011−169043A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34631(P2010−34631)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】