自動車空調装置の空気案内ハウジング用ドア
【課題】 自動車空調装置の空気案内ハウジング用のドアについて、特に取付空間の利用が最適化され、冷空気経路の横断面の塞がれることが極力少なくされる。
【解決手段】 自動車空調装置(1)の空気案内ハウジング(7)用ドアにおいて、ドア(6)が空気成層を可能とするために複数の領域を有する。ドア(6)が直接に隣り合う複数の領域(16、17)を有し、これらの領域がドア(6)の一部たる隔壁によって分割されている。
【解決手段】 自動車空調装置(1)の空気案内ハウジング(7)用ドアにおいて、ドア(6)が空気成層を可能とするために複数の領域を有する。ドア(6)が直接に隣り合う複数の領域(16、17)を有し、これらの領域がドア(6)の一部たる隔壁によって分割されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車空調装置の空気案内ハウジング用ドアであって、ドアが空気成層を可能とするために複数の領域を有するドアと、自動車用暖房または空調機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は空気案内ハウジング内で多数のドアが使用され、ドアはさまざまな空気ダクト内で空気の流れを制御する。これは特に、成層流れを生成すべき場合に該当し、このために冷空気と暖空気は温度成層を形成しつつ適切に一部では混合され、一部では互いに平行に案内される。このためふつう複数の空気ダクトが相応に構成されており、ドアは空気ダクト内に、一般に相互に離間配置されており、相互に依存して一般に個々に制御され、1つのサーボモータによって操作される。
【0003】
さらに、相応に分割構成されるドアを使用することができ、ドアは空気案内ハウジングの隔壁によって分割され、隔壁が空気ダクトを相互に分離する。相互に分離構成される個々の領域からなるこのようなドアは簡単に制御できるが、しかし特に取付空間需要に関してなお要望が残る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、自動車空調装置の空気案内ハウジング用の改良されたドアを提供することである。特に取付空間の利用が最適化され、冷空気経路の横断面の塞がれることが極力少なくされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、ドアが直接に隣り合う複数の領域を有し、これらの領域がドアの一部たる隔壁によって分割されていることによって解決される。有利な諸構成は従属請求項の対象である。
【発明の実施形態】
【0006】
本発明によれば自動車空調装置の空気案内ハウジング用ドアが設けられており、ドアは空気成層を可能とするために直接に隣り合う複数の領域を有し、これらの領域が隔壁によって分割されており、隔壁は従来のドアとは異なり空気案内ハウジングの一部ではなく、ドアの一部であり、ドア自体が空気ダクトを形成し、これらの空気ダクトは相応するドア位置のとき空気を適切に誘導し、他の空気ダクトに供給する。ドアの領域で隔壁をドアに一体化することによって、従来のドアに設けられている隔壁を省くことができるので取付空間需要が減少する。
【0007】
ドアは主に2つの外側領域とその間にある1つの中央領域とを有する。その際ドアは好ましくは、揺動軸に垂直に延設される中心面に関して鏡像対称に構成されている。その際好ましくは、2つの外側領域の流れ横断面は中央領域の流れ横断面とほぼ同じ大きさである。
【0008】
主に、ドアはドラムドア形状の少なくとも1つの領域を有する。すなわち、この領域においてドアの外壁は好ましくはドアの揺動軸に関して同軸に配置されている。
【0009】
それに加えてドアは好ましくは、揺動軸と平行に延びる平らなおよび/または揺動軸に向かって湾曲した少なくとも1つの領域を有し、この領域は主に中央領域である。
【0010】
ドアの異なる領域の少なくとも2つは主にドアの周面に関して異なる幅にわたって延設されている。
【0011】
ドアの少なくとも1つの領域は好ましくは、少なくとも一方の側に、揺動軸に関して斜めに延びる1つの末端を有し、ドアの回転時に空気通路はゆっくりと開く。その場合、この末端は直線的推移、またはその他の任意の特に弧状推移を有することができる。その場合特に、制御特性をドアの形状に簡単に一体化することができ、相応する調整運動を簡素化することができる。
【0012】
安定性を高めるためにドアは好ましくは、特に平らな領域または僅かに湾曲した領域に、1つの領域の隔壁を互いに結合する1つの橋絡部を有する。その場合、橋絡部は誘導機能を果たすために湾曲構成しておくことができる。
【0013】
少なくとも1つの端位置で密封するためにドアは好ましくは、外方に延設される少なくとも1つの縁部を有し、この端位置のとき縁部は空気案内ハウジングの相応する当接部に密封当接する。この縁部に、例えば弾性密封要素等の付加的密封手段を設けておくことができる。
【0014】
密封機能を最適化するために縁部は好ましくは正面を越えて、極力揺動軸または相応する支承部にまで延設されている。
【0015】
ドアは好ましくは一体に、特にプラスチック射出成形品として構成されている。このような構成は安価な製造を可能にする。
【0016】
ドアの特殊構成、例えば個々のドア領域の斜めに延びる末端、外方に張り出す縁部、ドア周面に関して個々の領域が異なる幅にわたって延設されていることによって、空気案内ハウジングの相応する構成と合わせて、制御が簡素になる。というのも、主要な制御特性は既にドア形状およびそれと協動する空気案内ハウジング形状に含まれており、調整運動が簡素になり、それゆえに一層単純なサーボモータおよび/または一層単純な制御装置を使用することができるからである。
【0017】
以下、図面を参考に1実施例に基づいて本発明が詳しく説明される。
【実施例】
【0018】
多部分構成の空気案内ハウジング7内に配置される送風機2、蒸発器3、ヒータ4および補助ヒータ5を有する自動車空調装置1が、需要に即して温度調節しかつ成層空気流れを発生するために1つの混合ドア6を有する。
【0019】
温度調節された空気は、ドアによって制御される空気ダクトを介して車室内のさまざまな領域に供給することができる。空気案内ハウジング7から分岐された1つの空気ダクト8が設けられており、この空気ダクトはウインドシールドガラスのデフロストに役立つ。デフロスト空気ダクト8を通して案内される空気量はデフロストドア9によって制御される。他の空気ダクト10は側部ノズルと中央ノズルとに通じ、1つのドア11によって制御可能である。さらに1つの足元空間空気ダクト12が設けられており、これは足元空間ドア13で制御可能である。
【0020】
図1から明らかとなるように、換気空気ダクト10は3部分構成であり、ここでは3つの部分ダクトがそれぞれほぼ同じ横断面を有する。部分ダクトはドア6と協動して中央ノズルと側部ノズルとの間での空気成層に役立つ。
【0021】
隔壁または特殊構成された冷空気ダクトを無用とし、それとともに取付空間需要が多少少ない単一のドアによってこの空気成層を可能とするために、この実施例によれば3部分構成のドア6が設けられている。このドアはその揺動軸に2つのピン14を有し、これらのピンは正面15に配置されている。ドア6は、揺動軸に垂直にドア6の中心を延びる平面に関して鏡像対称に構成されており、この平面とドア6との交線が図12に示してある。
【0022】
ドア6はその対称性のゆえに2つの外側領域16と1つの中央領域17とを有し、その外側領域16はドラムドア状に構成されている。すなわち、ドア6は中空円筒の一部の形状を有する。ドア6の縦方向に延設される片側18で領域16、17が同じ高さで成端しており、密封向上のために半径方向外方に延設される1つの縁部19が設けられており、この縁部は正面15も越えてピン14にまで延設されている。両方の外側領域16の流れ横断面は両方で、この実施例によれば中央領域17の流れ横断面にほぼ一致する。
【0023】
中央領域17は揺動軸の方向で湾曲もしくは凹面に構成され、側部領域16から壁20によって分離されている。壁20の揺動軸側末端でこれらの壁は1つの橋絡部21によって結合されており、この橋絡部は中央領域17に合わせて僅かに湾曲している。この橋絡部21は一方で空気誘導機能を有する一種のスポイラとして役立ち、他方でドア6の安定性を高めるのに役立つ。
【0024】
側18とは相反するドア6の側22で領域16、17は、特に図13から明らかとなるように、異なる高さで成端している。開口挙動を向上するために外側領域16は斜めにして構成されており、すなわちそれは特に揺動軸と平行に延びているのではない。中央領域17は揺動軸と平行に成端しており、やはり外方に延設される1つの縁部23が設けられており、この縁部は外側領域16の外面と正面15も越えてピン14にまで、従って縁部19にまで延設されている。
【0025】
以下、図3〜図10を参考にドア6の機能が詳しく説明される。
【0026】
図3と図4は100%暖位置を示しており、すなわちドア6は蒸発器3から直接到来する冷空気に対してすべての領域16、17との経路を閉鎖している。その場合ドア6はその縁部19が、相応に構成される空気案内ハウジング7に当接しており、冷空気が空気ダクト8、12に達することはできない。ヒータ4および補助ヒータ5から到来する暖空気の流れ経路が、デフロストドア9および足元空間ドア13の開口事例について、実線の矢印によって示してある。側部ノズルおよび中央ノズルへの空気供給用ドア11はこの図によれば閉鎖されている。
【0027】
図5と図6に示すようにドア6がゆっくりとその他方の端位置に動かされると、ドア6の中央領域17の両側で1つの冷空気通路が開放され、この冷空気通路を通して冷空気が特にデフロスト空気ダクト8に流入する。これにより、足元空間内に誘導される空気の温度がデフロスト空気ダクト8内に達する空気の温度よりも高いことが達成される。幅広に構成される外側領域16のゆえに冷空気通路はこれらの領域内でなお閉鎖されている。冷空気の流れ経路が図には点線の矢印で示してある。
【0028】
図7と図8に示すようにドア6が継続して動かされると中央領域17内の冷空気通路がさらに一層開口され、温度がさらに低下する。外側領域16において冷空気通路は斜面のゆえにゆっくりと開口しはじめ、冷空気は外側領域16内で特にデフロスト空気ダクト8に達する。ここでも、乗員にとって快適と感じられる温度成層は、足元空間内に誘導される空気の温度がデフロスト空気ダクト8内に達する空気の温度よりも高いことによって達成される。
【0029】
空気ダクト10の開口または少なくとも部分的開口を引き起こすドア位置(図3〜図8には図示せず)のとき、中央空気ダクトと側部空気ダクトとの間で温度成層が得られる。ドア6の上記形状によって、単数または複数の中央ノズルに供給される空気の温度は側部ノズル内の空気温度よりも低く、そのことがやはり室内の快適性向上に寄与する。というのも、サイドウインドを介した熱放射は車室内の中央よりも大きく、前記温度成層によって、少なくとも乗員によって感じられる温度分布の均一化が生じるからである。
【0030】
図9と図10に示すように暖空気通路が完全に閉じられていると、すべての領域16、17において冷空気は相応する空気ダクト8、10、12に達する。その際、図示実施例ではデフロスト空気ダクト8も足元空間内の空気ダクト12も閉じられており、均一に冷たい空気のみが側部ノズルおよび中央ノズル用ダクト10内に達する。
【0031】
それとともに空気の成層を可能とすることができ、ドア6のすべての混合位置または中間位置のとき、ウインドシールドガラスに供給される空気は足元空間に供給される空気よりも冷たく、もしくは中央ノズルに供給される空気は側部ノズルに供給される空気よりも冷たい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】空気案内ハウジングの斜視図である。
【図2】図1の空気案内ハウジングを一部切欠いて示す同じ斜視図である。
【図3】100%暖のドア位置におけるドア中央部の空気案内ハウジングの断面図である。
【図4】図3のドア位置におけるドア側部領域の空気案内ハウジングの断面図である。
【図5】75%暖のドア位置におけるドア中央部の空気案内ハウジングの断面図である。
【図6】図5のドア位置におけるドア側部領域の空気案内ハウジングの断面図である。
【図7】50%暖のドア位置におけるドア中央部の空気案内ハウジングの断面図である。
【図8】図7のドア位置におけるドア側部領域の空気案内ハウジングの断面図である。
【図9】0%暖のドア位置におけるドア中央部の空気案内ハウジングの断面図である。
【図10】図9のドア位置におけるドア側部領域の空気案内ハウジングの断面図である。
【図11】ドアの斜視図である。
【図12】図3〜図10の交線を図示した図11の図である。
【図13】ドアの他の斜視図である。
【図14】ドアの横断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 自動車空調装置
2 送風機
3 蒸発器
4 ヒータ
5 補助ヒータ
6 ドア
7 空気案内ハウジング
8 デフロスト空気ダクト
9 デフロストドア
10 空気ダクト
11 ドア
12 足元空間空気ダクト
13 足元空間ドア
14 ピン
15 正面
16 外側領域
17 中央領域
18 側
19 縁部
20 壁
21 橋絡部
22 側
23 縁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車空調装置の空気案内ハウジング用ドアであって、ドアが空気成層を可能とするために複数の領域を有するドアと、自動車用暖房または空調機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は空気案内ハウジング内で多数のドアが使用され、ドアはさまざまな空気ダクト内で空気の流れを制御する。これは特に、成層流れを生成すべき場合に該当し、このために冷空気と暖空気は温度成層を形成しつつ適切に一部では混合され、一部では互いに平行に案内される。このためふつう複数の空気ダクトが相応に構成されており、ドアは空気ダクト内に、一般に相互に離間配置されており、相互に依存して一般に個々に制御され、1つのサーボモータによって操作される。
【0003】
さらに、相応に分割構成されるドアを使用することができ、ドアは空気案内ハウジングの隔壁によって分割され、隔壁が空気ダクトを相互に分離する。相互に分離構成される個々の領域からなるこのようなドアは簡単に制御できるが、しかし特に取付空間需要に関してなお要望が残る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、自動車空調装置の空気案内ハウジング用の改良されたドアを提供することである。特に取付空間の利用が最適化され、冷空気経路の横断面の塞がれることが極力少なくされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、ドアが直接に隣り合う複数の領域を有し、これらの領域がドアの一部たる隔壁によって分割されていることによって解決される。有利な諸構成は従属請求項の対象である。
【発明の実施形態】
【0006】
本発明によれば自動車空調装置の空気案内ハウジング用ドアが設けられており、ドアは空気成層を可能とするために直接に隣り合う複数の領域を有し、これらの領域が隔壁によって分割されており、隔壁は従来のドアとは異なり空気案内ハウジングの一部ではなく、ドアの一部であり、ドア自体が空気ダクトを形成し、これらの空気ダクトは相応するドア位置のとき空気を適切に誘導し、他の空気ダクトに供給する。ドアの領域で隔壁をドアに一体化することによって、従来のドアに設けられている隔壁を省くことができるので取付空間需要が減少する。
【0007】
ドアは主に2つの外側領域とその間にある1つの中央領域とを有する。その際ドアは好ましくは、揺動軸に垂直に延設される中心面に関して鏡像対称に構成されている。その際好ましくは、2つの外側領域の流れ横断面は中央領域の流れ横断面とほぼ同じ大きさである。
【0008】
主に、ドアはドラムドア形状の少なくとも1つの領域を有する。すなわち、この領域においてドアの外壁は好ましくはドアの揺動軸に関して同軸に配置されている。
【0009】
それに加えてドアは好ましくは、揺動軸と平行に延びる平らなおよび/または揺動軸に向かって湾曲した少なくとも1つの領域を有し、この領域は主に中央領域である。
【0010】
ドアの異なる領域の少なくとも2つは主にドアの周面に関して異なる幅にわたって延設されている。
【0011】
ドアの少なくとも1つの領域は好ましくは、少なくとも一方の側に、揺動軸に関して斜めに延びる1つの末端を有し、ドアの回転時に空気通路はゆっくりと開く。その場合、この末端は直線的推移、またはその他の任意の特に弧状推移を有することができる。その場合特に、制御特性をドアの形状に簡単に一体化することができ、相応する調整運動を簡素化することができる。
【0012】
安定性を高めるためにドアは好ましくは、特に平らな領域または僅かに湾曲した領域に、1つの領域の隔壁を互いに結合する1つの橋絡部を有する。その場合、橋絡部は誘導機能を果たすために湾曲構成しておくことができる。
【0013】
少なくとも1つの端位置で密封するためにドアは好ましくは、外方に延設される少なくとも1つの縁部を有し、この端位置のとき縁部は空気案内ハウジングの相応する当接部に密封当接する。この縁部に、例えば弾性密封要素等の付加的密封手段を設けておくことができる。
【0014】
密封機能を最適化するために縁部は好ましくは正面を越えて、極力揺動軸または相応する支承部にまで延設されている。
【0015】
ドアは好ましくは一体に、特にプラスチック射出成形品として構成されている。このような構成は安価な製造を可能にする。
【0016】
ドアの特殊構成、例えば個々のドア領域の斜めに延びる末端、外方に張り出す縁部、ドア周面に関して個々の領域が異なる幅にわたって延設されていることによって、空気案内ハウジングの相応する構成と合わせて、制御が簡素になる。というのも、主要な制御特性は既にドア形状およびそれと協動する空気案内ハウジング形状に含まれており、調整運動が簡素になり、それゆえに一層単純なサーボモータおよび/または一層単純な制御装置を使用することができるからである。
【0017】
以下、図面を参考に1実施例に基づいて本発明が詳しく説明される。
【実施例】
【0018】
多部分構成の空気案内ハウジング7内に配置される送風機2、蒸発器3、ヒータ4および補助ヒータ5を有する自動車空調装置1が、需要に即して温度調節しかつ成層空気流れを発生するために1つの混合ドア6を有する。
【0019】
温度調節された空気は、ドアによって制御される空気ダクトを介して車室内のさまざまな領域に供給することができる。空気案内ハウジング7から分岐された1つの空気ダクト8が設けられており、この空気ダクトはウインドシールドガラスのデフロストに役立つ。デフロスト空気ダクト8を通して案内される空気量はデフロストドア9によって制御される。他の空気ダクト10は側部ノズルと中央ノズルとに通じ、1つのドア11によって制御可能である。さらに1つの足元空間空気ダクト12が設けられており、これは足元空間ドア13で制御可能である。
【0020】
図1から明らかとなるように、換気空気ダクト10は3部分構成であり、ここでは3つの部分ダクトがそれぞれほぼ同じ横断面を有する。部分ダクトはドア6と協動して中央ノズルと側部ノズルとの間での空気成層に役立つ。
【0021】
隔壁または特殊構成された冷空気ダクトを無用とし、それとともに取付空間需要が多少少ない単一のドアによってこの空気成層を可能とするために、この実施例によれば3部分構成のドア6が設けられている。このドアはその揺動軸に2つのピン14を有し、これらのピンは正面15に配置されている。ドア6は、揺動軸に垂直にドア6の中心を延びる平面に関して鏡像対称に構成されており、この平面とドア6との交線が図12に示してある。
【0022】
ドア6はその対称性のゆえに2つの外側領域16と1つの中央領域17とを有し、その外側領域16はドラムドア状に構成されている。すなわち、ドア6は中空円筒の一部の形状を有する。ドア6の縦方向に延設される片側18で領域16、17が同じ高さで成端しており、密封向上のために半径方向外方に延設される1つの縁部19が設けられており、この縁部は正面15も越えてピン14にまで延設されている。両方の外側領域16の流れ横断面は両方で、この実施例によれば中央領域17の流れ横断面にほぼ一致する。
【0023】
中央領域17は揺動軸の方向で湾曲もしくは凹面に構成され、側部領域16から壁20によって分離されている。壁20の揺動軸側末端でこれらの壁は1つの橋絡部21によって結合されており、この橋絡部は中央領域17に合わせて僅かに湾曲している。この橋絡部21は一方で空気誘導機能を有する一種のスポイラとして役立ち、他方でドア6の安定性を高めるのに役立つ。
【0024】
側18とは相反するドア6の側22で領域16、17は、特に図13から明らかとなるように、異なる高さで成端している。開口挙動を向上するために外側領域16は斜めにして構成されており、すなわちそれは特に揺動軸と平行に延びているのではない。中央領域17は揺動軸と平行に成端しており、やはり外方に延設される1つの縁部23が設けられており、この縁部は外側領域16の外面と正面15も越えてピン14にまで、従って縁部19にまで延設されている。
【0025】
以下、図3〜図10を参考にドア6の機能が詳しく説明される。
【0026】
図3と図4は100%暖位置を示しており、すなわちドア6は蒸発器3から直接到来する冷空気に対してすべての領域16、17との経路を閉鎖している。その場合ドア6はその縁部19が、相応に構成される空気案内ハウジング7に当接しており、冷空気が空気ダクト8、12に達することはできない。ヒータ4および補助ヒータ5から到来する暖空気の流れ経路が、デフロストドア9および足元空間ドア13の開口事例について、実線の矢印によって示してある。側部ノズルおよび中央ノズルへの空気供給用ドア11はこの図によれば閉鎖されている。
【0027】
図5と図6に示すようにドア6がゆっくりとその他方の端位置に動かされると、ドア6の中央領域17の両側で1つの冷空気通路が開放され、この冷空気通路を通して冷空気が特にデフロスト空気ダクト8に流入する。これにより、足元空間内に誘導される空気の温度がデフロスト空気ダクト8内に達する空気の温度よりも高いことが達成される。幅広に構成される外側領域16のゆえに冷空気通路はこれらの領域内でなお閉鎖されている。冷空気の流れ経路が図には点線の矢印で示してある。
【0028】
図7と図8に示すようにドア6が継続して動かされると中央領域17内の冷空気通路がさらに一層開口され、温度がさらに低下する。外側領域16において冷空気通路は斜面のゆえにゆっくりと開口しはじめ、冷空気は外側領域16内で特にデフロスト空気ダクト8に達する。ここでも、乗員にとって快適と感じられる温度成層は、足元空間内に誘導される空気の温度がデフロスト空気ダクト8内に達する空気の温度よりも高いことによって達成される。
【0029】
空気ダクト10の開口または少なくとも部分的開口を引き起こすドア位置(図3〜図8には図示せず)のとき、中央空気ダクトと側部空気ダクトとの間で温度成層が得られる。ドア6の上記形状によって、単数または複数の中央ノズルに供給される空気の温度は側部ノズル内の空気温度よりも低く、そのことがやはり室内の快適性向上に寄与する。というのも、サイドウインドを介した熱放射は車室内の中央よりも大きく、前記温度成層によって、少なくとも乗員によって感じられる温度分布の均一化が生じるからである。
【0030】
図9と図10に示すように暖空気通路が完全に閉じられていると、すべての領域16、17において冷空気は相応する空気ダクト8、10、12に達する。その際、図示実施例ではデフロスト空気ダクト8も足元空間内の空気ダクト12も閉じられており、均一に冷たい空気のみが側部ノズルおよび中央ノズル用ダクト10内に達する。
【0031】
それとともに空気の成層を可能とすることができ、ドア6のすべての混合位置または中間位置のとき、ウインドシールドガラスに供給される空気は足元空間に供給される空気よりも冷たく、もしくは中央ノズルに供給される空気は側部ノズルに供給される空気よりも冷たい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】空気案内ハウジングの斜視図である。
【図2】図1の空気案内ハウジングを一部切欠いて示す同じ斜視図である。
【図3】100%暖のドア位置におけるドア中央部の空気案内ハウジングの断面図である。
【図4】図3のドア位置におけるドア側部領域の空気案内ハウジングの断面図である。
【図5】75%暖のドア位置におけるドア中央部の空気案内ハウジングの断面図である。
【図6】図5のドア位置におけるドア側部領域の空気案内ハウジングの断面図である。
【図7】50%暖のドア位置におけるドア中央部の空気案内ハウジングの断面図である。
【図8】図7のドア位置におけるドア側部領域の空気案内ハウジングの断面図である。
【図9】0%暖のドア位置におけるドア中央部の空気案内ハウジングの断面図である。
【図10】図9のドア位置におけるドア側部領域の空気案内ハウジングの断面図である。
【図11】ドアの斜視図である。
【図12】図3〜図10の交線を図示した図11の図である。
【図13】ドアの他の斜視図である。
【図14】ドアの横断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 自動車空調装置
2 送風機
3 蒸発器
4 ヒータ
5 補助ヒータ
6 ドア
7 空気案内ハウジング
8 デフロスト空気ダクト
9 デフロストドア
10 空気ダクト
11 ドア
12 足元空間空気ダクト
13 足元空間ドア
14 ピン
15 正面
16 外側領域
17 中央領域
18 側
19 縁部
20 壁
21 橋絡部
22 側
23 縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車空調装置(1)の空気案内ハウジング(7)用ドアであって、ドア(6)が空気成層を可能とするために複数の領域を有するものにおいて、ドア(6)が直接に隣り合う複数の領域(16、17)を有し、これらの領域がドア(6)の一部たる隔壁によって分割されていることを特徴とするドア。
【請求項2】
ドア(6)が2つの外側領域(16)とその間にある1つの中央領域(17)とを有することを特徴とする、請求項1記載のドア。
【請求項3】
ドア(6)が鏡像対称に構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のドア。
【請求項4】
両方の外側領域(16)の流れ横断面が両方で中央領域(17)の流れ横断面に一致することを特徴とする、請求項2または3のいずれか記載のドア。
【請求項5】
ドア(6)がドラムドア形状の少なくとも1つの領域(16)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項6】
領域(16)がドア(6)の揺動軸に関して同軸に配置されていることを特徴とする、請求項5記載のドア。
【請求項7】
ドア(6)が、揺動軸と平行に延びる平らなおよび/または揺動軸に向かって湾曲した少なくとも1つの領域を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項8】
ドア(6)の異なる領域(16、17)の少なくとも2つがドアの周面に関して異なる幅にわたって延設されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項9】
ドア(6)の少なくとも1つの領域(16)が、少なくとも一方の側(22)に、揺動軸に関して斜めに延びる1つの末端を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項10】
ドア(6)が、1つの領域(17)の隔壁を互いに結合する1つの橋絡部(21)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項11】
橋絡部が湾曲構成されていることを特徴とする、請求項10記載のドア。
【請求項12】
ドア(6)が、外方に延設される少なくとも1つの縁部(19、23)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項13】
縁部(19、23)が正面(15)を越えて延設されていることを特徴とする、請求項12記載のドア。
【請求項14】
ドア(6)が一体に構成されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項15】
ドア(6)が1つのプラスチック射出成形品であることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項記載の1つのドア(6)を特徴とする自動車用暖房または空調機構。
【請求項17】
暖房または空調機構が、熱交換器、ヒータコア、蒸発器、フィルタ、温度混合ドア、混合室、単数または複数の流れ経路、空気を吐出しダクトに分配するための単数または複数の制御ドア:以上の部材の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項16記載の暖房または空調機構。
【請求項1】
自動車空調装置(1)の空気案内ハウジング(7)用ドアであって、ドア(6)が空気成層を可能とするために複数の領域を有するものにおいて、ドア(6)が直接に隣り合う複数の領域(16、17)を有し、これらの領域がドア(6)の一部たる隔壁によって分割されていることを特徴とするドア。
【請求項2】
ドア(6)が2つの外側領域(16)とその間にある1つの中央領域(17)とを有することを特徴とする、請求項1記載のドア。
【請求項3】
ドア(6)が鏡像対称に構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載のドア。
【請求項4】
両方の外側領域(16)の流れ横断面が両方で中央領域(17)の流れ横断面に一致することを特徴とする、請求項2または3のいずれか記載のドア。
【請求項5】
ドア(6)がドラムドア形状の少なくとも1つの領域(16)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項6】
領域(16)がドア(6)の揺動軸に関して同軸に配置されていることを特徴とする、請求項5記載のドア。
【請求項7】
ドア(6)が、揺動軸と平行に延びる平らなおよび/または揺動軸に向かって湾曲した少なくとも1つの領域を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項8】
ドア(6)の異なる領域(16、17)の少なくとも2つがドアの周面に関して異なる幅にわたって延設されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項9】
ドア(6)の少なくとも1つの領域(16)が、少なくとも一方の側(22)に、揺動軸に関して斜めに延びる1つの末端を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項10】
ドア(6)が、1つの領域(17)の隔壁を互いに結合する1つの橋絡部(21)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項11】
橋絡部が湾曲構成されていることを特徴とする、請求項10記載のドア。
【請求項12】
ドア(6)が、外方に延設される少なくとも1つの縁部(19、23)を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項13】
縁部(19、23)が正面(15)を越えて延設されていることを特徴とする、請求項12記載のドア。
【請求項14】
ドア(6)が一体に構成されていることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項15】
ドア(6)が1つのプラスチック射出成形品であることを特徴とする、先行請求項のいずれか1項記載のドア。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項記載の1つのドア(6)を特徴とする自動車用暖房または空調機構。
【請求項17】
暖房または空調機構が、熱交換器、ヒータコア、蒸発器、フィルタ、温度混合ドア、混合室、単数または複数の流れ経路、空気を吐出しダクトに分配するための単数または複数の制御ドア:以上の部材の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項16記載の暖房または空調機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−506600(P2007−506600A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516002(P2006−516002)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006634
【国際公開番号】WO2005/000611
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006634
【国際公開番号】WO2005/000611
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(594042033)ベール ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (222)
【Fターム(参考)】
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