説明

自動食器洗いシステムのためのスケール低減添加剤

【課題】少なくリン酸塩不使用または低リン酸塩自動食器洗いシステムにおける混合無機沈着物を最小限にする配合物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のC−Cカルボン酸モノマーの重合残基およびヒドロキシ末端基を含むポリマーとニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリシン−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、グルタミン酸−N,N−二酢酸、3−ヒドロキシ−2,2−イミノジスクシナート、S,S−エチレンジアミンジスクシナートアスパラギン酸−二酢酸、N,N’−エチレンジアミンジコハク酸、イミノジコハク酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸−N,N−ジアセタート、ベータ−アラニン二酢酸、ポリアスパラギン酸、これらの塩およびこれらの組み合わせから選択される生分解性ビルダーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、リン酸塩不使用または低リン酸塩自動食器洗いシステムにおける混合無機沈着物を最小限にする配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動食器洗い洗剤は、概して、織物洗濯または水処理に使用されるものとは別の種類の洗剤組成物として認識されている。自動食器洗い洗剤は、清浄化サイクル完了後に、洗浄された物品上に斑点がなく膜のない外観を生じさせることを必要とする。リン酸塩非含有または低リン酸塩組成物は非リン酸塩ビルダー、例えば、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、ジシリケート塩、重炭酸塩、アミノカルボン酸塩などを利用しており、硬水からカルシウムおよびマグネシウムを封鎖し、乾燥時に不溶性で目に見える沈着物を残す場合がある。(メタ)アクリル酸およびマレイン酸から製造されたポリマーは非リン酸塩ビルダーから生じるスケールまたは他の不溶性沈着物を抑制する使用について知られている。例えば、国際公開第2009/123322号は、生分解性ビルダーを含む組成物におけるアクリル酸、マレイン酸およびスルホン化モノマーから製造されるポリマーを開示する。しかし、この文献は本発明の組成物を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/123322号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明により取り組まれる課題は、混合無機沈着物の形成を低減することができる組成物を見いだすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)少なくとも1種のC−Cカルボン酸モノマーの重合残基およびヒドロキシ末端基を含むポリマーであって、5モル%未満のスルホン酸モノマーを有するポリマー;並びに、(b)ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリシン−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、グルタミン酸−N,N−二酢酸、3−ヒドロキシ−2,2−イミノジスクシナート、S,S−エチレンジアミンジスクシナート アスパラギン酸−二酢酸、N,N’−エチレンジアミンジコハク酸、イミノジコハク酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸−N,N−ジアセタート、ベータ−アラニン二酢酸、ポリアスパラギン酸、これらの塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される生分解性ビルダー:を含む、自動食器洗い洗剤組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
他に示されない限りは、全てのパーセンテージは重量パーセンテージ(重量%)であり、他に示されない限りは全ての温度は℃単位である。重量平均分子量、すなわち、Mは、当該技術分野において知られているように、ポリアクリル酸標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される。GPCの技術はW.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;ウイリーインターサイエンス(Wiley−Interscience)1979のモダンサイズ排除クロマトグラフィ(Modern Size Exclusion Chromatography)、および物質の特徴付けおよび化学分析の指針(A Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis) J.P.Sibilia;VCH,1988、81〜84ページに詳細に論じられている。本明細書において報告される分子量はダルトンの単位である。本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリル」はアクリルまたはメタクリルをいう。好ましくは、生分解性ビルダーはナトリウム塩、カリウム塩またはリチウム塩;好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩;好ましくはナトリウム塩として存在する。好ましい生分解性ビルダーには、グリシン−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ポリアスパラギン酸、イミノジコハク酸、3−ヒドロキシ−2,2−イミノジスクシナート、グルタミン酸−N,N−二酢酸およびこれらの塩が挙げられる。好ましくは、本組成物は、「リン非含有」であり、すなわち、本組成物は0.5重量%未満、あるいは0.2重量%未満、あるいは0.1重量%未満のリン(元素リンとして)しか含まず、あるいは検出可能なリンを含まない。好ましくは、本組成物は「低リン酸塩」であり、すなわち本組成物は0.5〜3重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%のリン(元素リンとして)を含む。好ましくは、本組成物は2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の低分子量(1,000未満)のホスホナート化合物(例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、および塩)を含む。「C−Cカルボン酸モノマー」は、1または2個のカルボン酸基を有するモノエチレン性不飽和化合物、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸などである。好ましくは、ポリマーは少なくとも1種のC−Cカルボン酸モノマーの重合残基を少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%、好ましくは少なくとも99重量%含む。好ましくは、C−Cカルボン酸モノマーはC−Cカルボン酸モノマーであり、好ましくは(メタ)アクリル酸およびマレイン酸から選択されるものであり;好ましくはC−Cカルボン酸モノマーはメタクリル酸、アクリル酸およびマレイン酸を含む。
【0007】
好ましくは、ポリマーは55〜80重量%のアクリル酸、10〜30重量%のメタクリル酸および5〜20重量%のマレイン酸を含み;好ましくは、60〜75重量%のアクリル酸、15〜25重量%のメタクリル酸および7〜15重量%のマレイン酸を含み;好ましくは、65〜72重量%のアクリル酸、15〜25重量%のメタクリル酸および8〜13重量%のマレイン酸を含む。
【0008】
好ましくはヒドロキシ末端基は過酸化水素を含む開始剤を用いて構成モノマーを重合することにより製造されるものである。この方法によって製造される場合、ポリマーはヒドロキシ末端基を有するものの他に、スルファート末端基を有するポリマー鎖を有することが予想される。
【0009】
「スルホン酸モノマー」は炭素−炭素二重結合およびスルホン酸またはそのアルカリ金属もしくはアンモニウム塩を有するモノマーである。好ましくは、ポリマーは3モル%未満、好ましくは2モル%未満、好ましくは1モル%未満、好ましくは0.5モル%未満、好ましくは0.1モル%未満のスルホン酸モノマーを含む。スルホン酸モノマーとしては、スルホンアクリル系モノマー、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルスルホン酸および(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、並びにこれらの塩が挙げられる。
【0010】
ポリマー中に存在しうる他の重合されたモノマー残基には、例えば、非イオン性(メタ)アクリラートエステル、カチオン性モノマー、モノ不飽和ジカルボキシラート、飽和(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、ビニルアミド(例えば、N−ビニルピロリドン)、スルホン化モノマー、スチレンおよびα−メチルスチレンが挙げられうる。
【0011】
組成物中の生分解性ビルダーの全重量は、組成物の全重量の2〜40重量%である。好ましくは、生分解性ビルダーの全重量は少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも8重量%、好ましくは少なくとも9重量%、好ましくは少なくとも10重量%である。好ましくは、生分解性ビルダーの全重量は35重量%以下、好ましくは30重量%以下、好ましくは25重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは17重量%以下、好ましくは15重量%以下、好ましくは14重量%以下、好ましくは13重量%以下、好ましくは12重量%以下である。好ましくは、組成物はアルカリ金属のクエン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩および/またはアミノカルボン酸塩をさらに含む。好ましくは、アルカリ金属クエン酸塩の量は0.01〜40重量%、好ましくは35重量%以下、好ましくは30重量%以下、好ましくは25重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0012】
好ましくは、ポリマーはアクリル酸のエステルもしくはメタクリル酸のエステルの重合残基を40重量%以下、好ましくは30重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは10重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下含む。好ましくは、ポリマーは(メタ)アクリル酸およびマレイン酸から選択されるモノマーの重合残基を少なくとも70重量%、並びにアクリル酸のエステルもしくはメタクリル酸のエステルの重合残基を30重量%以下含み;好ましくは、(メタ)アクリル酸およびマレイン酸から選択されるモノマーの重合残基を少なくとも80重量%、並びにアクリル酸のエステルもしくはメタクリル酸のエステルの重合残基を20重量%以下含む。
【0013】
好ましくは、ポリマーは1,000〜90,000のMを有する。好ましくは、Mは少なくとも2,000、好ましくは少なくとも3,000、好ましくは少なくとも5,000、好ましくは少なくとも7,000、好ましくは少なくとも10,000である。好ましくは、Mは70,000以下、好ましくは50,000以下、好ましくは40,000以下、好ましくは30,000以下、好ましくは20,000以下である。
【0014】
ポリマーは、自動食器洗い機における不溶性沈着物を抑制するのに有用な他のポリマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸もしくは他の二酸モノマー、アクリル酸のエステルもしくはメタクリル酸のエステル、例えば、ポリエチレングリコールエステル、オレフィンモノマー、スチレンモノマー、AMPSおよび他のスルホン酸モノマー、並びに置換アクリルアミドもしくは置換メタクリルアミドの残基の組み合わせを含むポリマーなどと組み合わせて使用されうる。
【0015】
本発明のポリマーは、アクリル系モノマーの重合についての何らかの既知の技術、例えば、溶液重合および乳化重合によって製造されることができ、溶液重合が好ましい。好ましくは、開始剤はリンを含まない。好ましくはポリマーは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満のリンを含み、好ましくはポリマーはリンを含まない。ポリマーは水溶性溶液ポリマーの形態、スラリー、乾燥粉体もしくは顆粒、または他の固体形態であることができる。
【0016】
自動食器洗い洗剤組成物の他の成分には、例えば、界面活性剤、酸素および/または塩素漂白剤、漂白活性化剤、酵素、抑泡剤、着色剤、香料、抗バクテリア剤およびフィラーが挙げられうる。典型的な界面活性剤量は使用される具体的な界面活性剤に応じて変化するが、典型的には0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%である。錠剤または粉体におけるフィラーは不活性で水可溶性の物質であり、典型的には、ナトリウム塩もしくはカリウム塩、例えば、硫酸ナトリウムもしくは硫酸カリウムおよび/または塩化ナトリウムもしくは塩化カリウムであり、典型的には、0重量%〜75重量%、好ましくは5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%の範囲の量で存在する。ゲル配合物におけるフィラーは、上述したものおよび水を含むことができる。香料、染料、抑泡剤、腐蝕抑制剤、酵素および抗バクテリア剤は通常、合計で、組成物の5重量%以下の量である。
【0017】
好ましくは、組成物は過炭酸塩を5〜20重量%、好ましくは7〜15重量%、好ましくは8〜13重量%含む。好ましくは、組成物は(水中1重量%で)少なくとも9、好ましくは少なくとも10.5のpHを有し;好ましくは、pHは12.5以下、好ましくは11.5以下である。
【0018】
好ましくは、組成物は38重量%以下、好ましくは36重量%以下、好ましくは34重量%以下、好ましくは32重量%以下の全炭酸塩(すなわち、炭酸塩、重炭酸塩および過炭酸塩);並びに、少なくとも12重量%、好ましくは少なくとも14重量%、好ましくは少なくとも16重量%、好ましくは少なくとも18重量%のクエン酸塩を含み;好ましくは全炭酸塩は少なくとも25重量%であり、クエン酸塩は25重量%以下である。好ましくは、組成物は少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも4重量%、好ましくは少なくとも6重量%、好ましくは少なくとも8重量%のケイ酸塩類(例えば、シリケート、ジシリケート)を含む。
【0019】
組成物は典型的な形態、例えば、錠剤、粉体、モノドース(monodose)、多コンポーネントモノドース、小袋、ペースト、液体もしくはジェルで配合されうる。組成物は、典型的な自動食器洗い機についての典型的な操作条件下で使用されうる。洗浄プロセス中の典型的な水温は好ましくは20℃〜85℃、好ましくは30℃〜70℃である。組成物の典型的な濃度は、食器洗い機における全液体のパーセンテージとして0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%である。好適な製品形態および添加時点の選択に関して、組成物はプレ洗浄、主洗浄、最後から二番目のすすぎ、最終すすぎ、またはこれらのサイクルの何らかの組み合わせにおいて存在することができる。本発明のポリマーは食器洗い洗剤に多くの方法で配合されうる。例えば、ポリマーは無機ビルダー、生分解性ビルダー、フィラー、界面活性剤、漂白剤、酵素などと配合されることができた。あるいは、例えば、ポリマーは界面活性剤、クエン酸、溶媒および他の任意成分と配合されることができた。さらに、洗浄サイクル中で生分解性ビルダーとは異なる点で放出するように、ポリマーは設計された単位投与製品の中の1以上の区画に配置されることができた。
【0020】
好ましくは、組成物は0.5〜12重量%の前記ポリマーを含む。好ましくは、組成物は少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも2.5重量%のポリマーを含む。好ましくは、組成物は10重量%以下、好ましくは8重量%以下、好ましくは6重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは4重量%以下のポリマーを含む。本発明のポリマーはスルホン酸モノマーから製造されたポリマーとブレンドされることができる。
【実施例】
【0021】
ポリマー合成:
比較ポリマーCの合成:
機械式攪拌機、加熱マントル、熱電対、凝縮器、並びにモノマー、開始剤および鎖調節剤の添加のための入口を備えた2リットルの丸底フラスコに、38グラムの無水マレイン酸および345グラムの脱イオン水を入れた。この混合物を攪拌するようにセットし、72℃(±2℃)に加熱した。一方、315グラムの精製(glacial)アクリル酸および90グラムのメタクリル酸のモノマー溶液をメスシリンダーに入れ、フラスコへの添加のために完全に混合した。12.4グラムの過硫酸ナトリウムの開始剤溶液を45グラムの脱イオン水に溶解させ、ケトルへの添加のためのシリンジに入れた。67.5グラムの脱イオン水に溶解した27グラムのピロ亜硫酸ナトリウムの鎖調節剤溶液が、ケトルへの添加のためのシリンジに入れられた。鎖調節剤プレチャージ溶液は、8グラムの脱イオン水に1.08グラムのピロ亜硫酸ナトリウムを溶解することにより製造され、取っておいた。0.15%硫酸鉄七水和物溶液5.81グラムのプロモーター溶液がバイアルに入れられ、取っておかれた。ケトル内容物が72℃の反応温度に到達したら、プロモーター溶液が添加され、次いでピロ亜硫酸ナトリウムプレチャージ溶液が添加された。反応温度が72℃に回復した後で、モノマー、開始剤および鎖調節剤溶液が開始された。72℃で、モノマー供給物は90分間にわたって添加され、鎖調節剤共供給物は80分間にわたって添加され、および開始剤共供給物は95分間にわたって添加された。
【0022】
これら供給の完了時に、8グラムの脱イオン水がモノマー供給容器にすすぎとして添加された。反応は72℃で15分間保持された。一方、0.68グラムのピロ亜硫酸ナトリウムおよび15グラムの脱イオン水のチェイサー溶液が混合され、取って置かれ、0.68グラムの過硫酸ナトリウムおよび15グラムの脱イオン水が混合され、取って置かれた。
この保持の完了時に、上記溶液を5分間にわたって線形的に添加し、72℃で15分間保持した。チェイサー溶液調製が繰り返され、5分間にわたってケトルに添加され、次いで15分間保持された。
最終の保持の完了時に、80グラムの脱イオン水の添加で冷却が開始された。50℃以下で、50%水酸化ナトリウム溶液420グラムを添加漏斗に入れ、温度を65℃未満に維持するように発熱を制御しつつ、ケトルにゆっくりと添加した。次いで、この漏斗は20グラムの脱イオン水ですすがれた。最終的に、35%過酸化水素のスカベンジャー溶液6グラムをケトルに添加した。次いで、反応物は冷却され包装された。
最終ポリマーは(強制ドラフトオーブン内で150℃で60分間で測定して)40.0%の固形分含量を有していた。溶液のpHは5.3であり、最終分子量(M)はゲル浸透クロマトグラフィで測定して16622であった。このポリマーはスルファート/スルホナート末端基を有する。
【0023】
ポリマーAの合成:
機械式攪拌機、加熱マントル、熱電対、凝縮器、並びにモノマーおよび開始剤の添加のための入口を備えた2リットルの丸底フラスコに、175グラムの脱イオン水を入れた。この混合物を攪拌するようにセットし、92℃(±2℃)に加熱した。一方、210グラムの精製(glacial)アクリル酸および60グラムのメタクリル酸のモノマー溶液をメスシリンダーに入れ、フラスコへの添加のために完全に混合した。50%水酸化ナトリウム41.2グラムを添加した64.9グラムの脱イオン水に25.3グラムの無水マレイン酸を添加することによりマレイン酸ナトリウム共供給物を調製した。ケトルへの添加のために、この溶液をメスシリンダーに入れた。13.2グラムの過硫酸ナトリウムおよび24.0グラムの35%過酸化水素の開始剤溶液を40グラムの脱イオン水に溶解させ、次いで、ケトルへの添加のためのシリンジに入れた。5グラムの脱イオン水と混合された過硫酸ナトリウム3.6グラムおよび35%過酸化水素4.0グラムの開始剤プレチャージ溶液が取って置かれた。0.15%硫酸鉄七水和物26.64グラムのプロモーター溶液がバイアルに入れられ、取っておかれた。
【0024】
ケトル内容物が90℃の反応温度に到達したら、プロモーター溶液が添加された。温度が91℃に戻った後で、開始剤再添加物が添加された。ピーク発熱の1分後、共供給溶液が開始された。マレイン酸塩溶液を70分間にわたって添加し、モノマーおよび開始剤共供給物を90分間にわたって添加した。
供給の完了時に、4グラムの脱イオン水がモノマー供給容器にすすぎとして添加された。反応は91℃で15分間維持された。一方、過硫酸ナトリウム1.6グラムおよび脱イオン水15グラムのチェイサー溶液が混合され、取って置かれた。
この保持の完了時に、チェイサー溶液は10分間にわたって線形的に添加され、91℃で15分間保持された。チェイサー溶液調製が繰り返され、5分間にわたってケトルに添加され、次いで20分間保持された。
保持の完了時に、25グラムの脱イオン水をケトルに添加し、次いで、反応は70℃に冷却された。70℃で、50%水酸化ナトリウム溶液80グラムを添加漏斗に入れ、30分間にわたってケトルにゆっくりと添加し、20グラムの脱イオン水をすすぎとして添加した。ケトルのpHは5を超えており、よって、10グラムのピロ亜硫酸ナトリウムおよび25グラムの脱イオン水のマレイン酸スカベンジャー溶液を5分間にわたって添加し、2分間保持した。次いで、追加の水酸化ナトリウム50%溶液30グラムをケトルに添加した。この内容物は、亜硫酸塩存在確認のための亜硫酸塩試験ストリップでチェックされ、5グラムのピロ亜硫酸ナトリウムおよび12グラムの脱イオン水の別のマレイン酸スカベンジャー溶液を1回添加でケトルに添加した(5℃の発熱温度を示した)。水酸化ナトリウム50%溶液の追加の30グラムをケトルに添加した。5グラムのピロ亜硫酸ナトリウムおよび12グラムの脱イオン水の別のマレイン酸スカベンジャー溶液が1回添加でケトルに添加された。残留する亜硫酸塩についてのわずかな存在の表示が達成され、そして35%過酸化水素2グラムの最終亜硫酸塩スカベンジャー溶液が添加された。45グラムの脱イオン水の最終希釈剤がケトルに添加され、次いで冷却され包装された。
最終ポリマーは(強制ドラフトオーブン内で150℃で60分間で測定して)41.4%の固形分含量を有していた。溶液のpHは5.4であり、ゲル浸透クロマトグラフィで測定した最終分子量は26607であった。
【0025】
ポリマーBの合成:
以下の変更を伴って上記プロセスが繰り返された。18.7グラムの過硫酸ナトリウムおよび41.2グラムの35%過酸化水素の開始剤溶液を40グラムの脱イオン水に溶解させ、次いで、ケトルへの添加のためのシリンジに入れた。5グラムの脱イオン水と混合された4.1グラムの過硫酸ナトリウムおよび6.9グラムの35%過酸化水素の開始剤プレチャージ溶液を取って置いた。0.15%硫酸鉄七水和物溶液33.3グラムのプロモーター溶液をバイアルに入れて、取って置いた。
保持の完了時に、45グラムの脱イオン水をケトルに添加し、次いで反応は70℃に冷却された。70℃で、50%水酸化ナトリウム溶液80グラムを添加漏斗に入れ、30分間にわたってケトルにゆっくりと添加し、20グラムの脱イオン水をすすぎとして添加した。ケトルのpHは5を超えており、ピロ亜硫酸ナトリウム10グラムおよび脱イオン水25グラムのマレイン酸スカベンジャー溶液を5分間にわたって添加し、2分間保持した。次いで、水酸化ナトリウム50%溶液の追加の30グラムをケトルに添加した。この内容物は亜硫酸塩の存在確認のための亜硫酸塩試験ストリップでチェックされ、5グラムのピロ亜硫酸ナトリウムおよび12グラムの脱イオン水の別のマレイン酸スカベンジャー溶液が1回添加でケトルに添加された(5℃の発熱温度を示した)。pHおよび残留亜硫酸塩は再びチェックされ、水酸化ナトリウム50%溶液の追加の30グラムがケトルに添加された。5グラムのピロ亜硫酸ナトリウムおよび12グラムの脱イオン水の別のマレイン酸スカベンジャー溶液を1回添加でケトルに添加した。残留亜硫酸塩についてのわずかな存在の表示が達成されたので、35%過酸化水素6グラムの最終亜硫酸塩スカベンジャー溶液が添加された。反応物は次いで冷却され、包装された。
最終ポリマーは(強制ドラフトオーブン内で150℃で60分間で測定して)40.6%の固形分含量を有していた。溶液のpHは5.4であり、ゲル浸透クロマトグラフィで測定した最終分子量は15174であった。
比較ポリマーAおよびBはヒドロキシ末端基を有しないポリマーである。
【0026】
ポリマー試験:全てのポリマーは以下に記載されるように2.5重量%(ポリマー固形分基準)でそれらを組み込み、ケンモアクワイエットガード(KENMORE QUIETGUARD)食器洗い機(主洗浄サイクルに固体を添加)において、400ppmの硬度(2:1=Ca2+:Mg2+)の水を用いて、130°F(54.4℃)で、食べ物汚れなしに、5サイクル、グラスを洗浄することによりスケール低減について試験された。グラスはASTM方法3556−85の評定(1=清浄、5=重度の膜)を用いて1、3および5サイクル後に評価された。
【0027】
【表1】

【0028】
膜形成抑制に対するポリカルボン酸塩の効果(プロトタイプ1A:ADW粉体w/oABB、シリケートなし)
【表2】

【0029】
膜形成抑制に対するポリカルボン酸塩の効果(プロトタイプ1B:ADW粉体w/oABB、w/シリケート)
【表3】

【0030】
膜形成抑制に対するポリカルボン酸塩の効果(プロトタイプ1C:ADW粉体w/ABB、シリケートなし)
【表4】

【0031】
膜形成抑制に対するポリカルボン酸塩の効果(プロトタイプ1D:ADW粉体w/ABB、w/シリケート)
【表5】

【0032】
膜形成抑制に対するポリカルボン酸塩の効果(プロトタイプ1E:ADW粉体w/ABB、シリケートなし、低ソーダ灰)
【表6】

【0033】
膜形成抑制に対するポリカルボン酸塩の効果(プロトタイプ1F:ADW粉体w/ABB、w/シリケート、低ソーダ灰)
【表7】

【0034】
TRILON(トリロン)Mは、BASF Corp.から入手可能なメチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩(Na3MGDA)の水溶液である。
【0035】
ポリマーサンプル:
比較ポリマーA(M=2220)=90%アクリル酸/10%マレイン酸、ナトリウム塩、ホスホノ末端基を有する。
比較ポリマーB(M=21,000)=70%アクリル酸/30%2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩、スルホナート末端基を有する。
比較ポリマーC:開始剤重量%=6.24%ピロ亜硫酸ナトリウム/2.76%過硫酸ナトリウム;重量%=70%アクリル酸/20%メタクリル酸/10%マレイン酸;M=16,622。
ポリマーA:開始剤重量%=5.6%過硫酸ナトリウム(NaPS)/3.2%H;重量%=70%アクリル酸/20%メタクリル酸/10%マレイン酸;M=26,607。
ポリマーB:開始剤重量%=7.6%NaPS/5.6%H;重量%=70%アクリル酸/20%メタクリル酸/10%マレイン酸;M=15.174。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のC−Cカルボン酸モノマーの重合残基およびヒドロキシ末端基を含むポリマーであって、5モル%未満のスルホン酸モノマーを有するポリマー;並びに、
(b)ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリシン−N,N−二酢酸、メチルグリシン−N,N−二酢酸、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、グルタミン酸−N,N−二酢酸、3−ヒドロキシ−2,2−イミノジスクシナート、S,S−エチレンジアミンジスクシナート アスパラギン酸−二酢酸、N,N’−エチレンジアミンジコハク酸、イミノジコハク酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸−N,N−ジアセタート、ベータ−アラニン二酢酸、ポリアスパラギン酸、これらの塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される生分解性ビルダー:
を含む、自動食器洗い洗剤組成物。
【請求項2】
ポリマーが少なくとも1種のC−Cカルボン酸モノマーの重合残基を少なくとも50重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリマーが5,000〜50,000のMを有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
1〜8重量%のポリマーを含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマーが1モル%未満のスルホン酸モノマー残基を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸の重合残基を少なくとも70重量%含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が5〜20重量%の生分解性ビルダーを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ポリマーが50〜80重量%のアクリル酸、10〜30重量%のメタクリル酸および5〜20重量%のマレイン酸を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ポリマーが10,000〜40,000のMを有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
メチルグリシン−N,N−二酢酸、グリシン−N,N−二酢酸、グルタミン酸−N,N−二酢酸、これらの塩またはこれらの組み合わせを含む請求項9に記載の組成物。

【公開番号】特開2011−190436(P2011−190436A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−26962(P2011−26962)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】