説明

自己乳化性エステルを用いる農薬のスプレードリフトの制御

スプレーすべき液体に自己乳化性エステルを配合することによって、農薬の施用中のスプレードリフトを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年10月31日出願の米国仮出願第61/110,060号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、スプレーすべき液体に自己乳化性エステルを配合することによって、農薬の施用中のスプレードリフトを低減する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0003】
経済的で利用可能な技術による農業用スプレーでは、広範囲のスプレー液滴サイズを生成するものである水力式スプレーノズルが使用される。これらのスプレー液滴が、施用初期の所望の場所からドリフトする可能性は、おり、より小さな液滴は、標的外移動する傾向が非常に高いことから、液滴サイズの関数となることが見出されている。多くの野外実験、風洞試験、およびその後の予測的数学モデルの創出を含めた、多大な研究努力のおかげで、スプレー液滴サイズと標的外ドリフトする可能性との間の関係について理解がかなり深まってきた。気象状態およびスプレーブーム高さなどの他の要因がドリフトの可能性の一因となるが、スプレー液滴サイズ分布が、主な要因であることが見出された。Teskeら(Teske M.E.、Hewitt A.J.、Valcore,D.L.2004年、The Role of Small Droplets in Classifying Drop Size Distributions ILASS Americas 17th Annual Conference、Arlington VA)は、ドリフトの一因となるスプレー液滴分布の部分として、<156ミクロン(μ)の値を報告した。Wolfは、(インターネット、www.bae.ksu.edu/faculty/wolf/drift.htm)ドリフトし得る部分として<200μの値を挙げている。したがって、ドリフトの一因となる可能性の高い液滴サイズの妥当な見積もりは、175μ未満の部分である。
【0004】
標的外移動のマイナスの結果は、非常に明らかである。ある種の除草剤は、極めて低い百万分率(ppm)レベル、または十億分率(ppb)レベルでも、特定の植物種に対して非常に敏感な植物毒性があることが実証され、感受性作物、果樹園、および居住地の植込みの周辺の施用が制限されている。例えば、カリフォルニア州農薬規制局は、サンホーキンバレー(San Joaquin valley)では、空中施用されるプロパニル含有除草剤について、1/2〜2マイル(0.8〜3.2キロメートル)の緩衝域(buffers)を課している。
【0005】
液滴サイズを大きくし、これによりドリフトを低減するために、タンクミックスとして、高分子量の水溶性ポリマーが、現在、スプレー組成物に添加されている(例えば、WO2008/101818A2、および米国特許第6,214,771B1号を参照されたい)。しかし、高分子量の水溶性ポリマーは、液滴サイズを実質的に大きくするために必要な濃度で使用するには、高価になるので、全く満足するものではない。さらに、市販の多くのドリフト抑止剤は、高速の空中施用条件において、より顕著になるポンプせん断作用、ウインドシアおよび他の性能問題のために、空中施用される多くの除草剤タンクミックスには、通常、機能しないことが研究により示された。Hewitt,A.J.2003年、Drift Control Adjuvants in Spray Applications:Performance and Regulatory Aspects.Proc.Third Latin American Symposium on Agricultural Adjuvants(サンパウロ、ブラジル)を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自己乳化性エステルを農業用スプレー混合物に配合することによって、施用中のスプレードリフトを低減できることが、今や見出された。本発明は、農薬の施用中のスプレードリフトを低減する方法であって、0.01%から5%(vol/vol)の自己乳化性エステルまたはその混合物を、殺虫性スプレー剤に配合することを含む方法に関する。スプレードリフトの低減は、スプレー微細液滴(直径<175μ)の生成の減少、およびスプレー液滴の体積中位径(VMD)の増加を含めた種々の要因に起因し得る。所与のスプレー装置、施用、および条件に対して、および自己乳化性エステルを基準とすると、スプレー液滴の多くは、中位径が、前記自己乳化性エステルを含まないスプレー組成物の中位径よりも大きくなる。
【0007】
本発明の別の実施形態では、1重量%から90重量%の農薬、および0.05重量%から30重量%の自己乳化性エステルを含むプレミックス製剤である。プレミックス製剤は、好ましくは、溶液、乳液、懸濁液、水和剤または水溶剤、あるいは水分散性顆粒または水溶性顆粒の製剤である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
スプレードリフトを低減するための方法は、除草剤、殺真菌剤および殺虫剤を含む、任意の農薬または作物保護剤の施用に適用される。本方法が適用される特に好ましい除草剤には、シハロホップ−ブチル、ハロキシホップ、ペノキシスラム、フルメトスラム、クロランスラム−メチル、フロラスラム、ピロキシスラム、ジクロスラム、フルロキシピル、クロピラリド、アセトクロル、トリクロピル、イソキサベン、2,4−D、MCPA、ジカンバ、MSMA、オキシフルオルフェン、オリザリン、トリフルラリン、ベンフルラリン、エタルフルラリン、アミノピラリド、アトラジン、ピクロラム、テブチウロン、ペンジメタリン、プロパニル、プロピザミド、グリホセートおよびグルホシネートが含まれる。本方法が適用される特に好ましい殺虫剤には、クロルピリホスなどのオルガノホスフェート、ハロフェノジド、メトキシフェノジドおよびテブフェノジドなどのMAC、ガンマ−シハロトリンおよびデルタメトリンなどのピレトロイド、ならびにスピノサドおよびスピネトラムなどのバイオ農薬が含まれる。本方法が適用される特に好ましい殺真菌剤には、マンコゼブ、ミクロブタニル、フェンブコナゾール、ゾキサミド、プロピコナゾール、キノキシフェンおよびチフルザミドが含まれる。本発明は、除草剤の施用に特に有用であり、2,4−D、ジカンバ、グリホセートおよびグルホシネートなどの除草剤に耐性となる改変がなされていない感受性作物の周辺での施用が制限されている除草剤に、非常に有用である。
【0009】
本発明で使用される自己乳化性エステル(SEE)とは、単一分子内に、油(疎水性)、親水性の非イオン性、および場合により陰イオン性の官能性を合わせもち、水相において均一かつ安定な乳液を形成することができる分子として特徴付けられる。1種または複数の油が、1種または複数の界面活性剤(乳化剤)と一緒にブレンドされる従来の乳液とは対照的に、本発明に開示の乳液には、このような添加物を必要としない。均一で安定な水性の乳液は、追加の乳化剤または油を使用することなく、これらのSEEを用い、SEEおよび水の混合物を小から中程度撹拌することによって形成され得る。これらのSEEの例は、以下のものが含まれるが、それらに限定されない。(1)C54の親油性骨格、ならびに非イオン性および陰イオン性の界面活性剤官能性の両方を含有する分子のエステル部を有する、オレイン酸およびリノール酸の重合によって生成される三量体酸系の自己乳化性エステル(例えば、米国特許第5,688,750号および第5,707,945号を参照されたい。Croda Uniqema,Inc.製品のPriolubeという商標名で市販)、(2)脂肪酸およびジカルボン酸無水物によるエトキシ化トリメチロールプロパンのエステル化によって調製されるエステル(例えば、WO1990/005714を参照されたい)、(3)高分子量の二塩基酸、ポリオキシアルキレングリコールおよび一官能性脂肪族アルコールから誘導されるエステル(例えば、米国特許第3,912,642号を参照されたい)、(4)米国特許第5,219,479号に開示されている、エトキシ化トリメチロールプロパンを、カルボン酸またはその反応性誘導体(無水物など)と反応させることにより調製される自己乳化するエステル化合物、(5)植物または陸生動物由来のマレイン酸化トリグリセリド油から誘導されるコハク酸トリグリセリド油(例えば、WO2005/071050A1を参照されたい)、Lubrizol,Inc.製品のVEG−ESTERという商標名として市販(6)エトキシ化脂肪酸エステル(例えば、WO1996/022109を参照されたい)、(7)米国特許第4,559,226号に開示されている、アルコールをエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドと反応させて、得られたアルコキシレートをアルカン酸または芳香族酸でキャッピングすることにより調製されるアルコキシレートエステル(Bernel Chemical Company,Inc.(Alzo International,Inc.の一部門)の商標名Hetesterの製品として市販)、および(8)Cognis,Inc.の製品Aqnique RSOおよびAgnique SBOという商標名として市販のアルコキシ化トリグリセリド。
【0010】
自己乳化性エステルは、希釈した殺虫性製剤と直接タンクミックスとすることにより、または最終スプレー容量に希釈する前に、殺虫性製剤とのプレミックスとして用意されることによって、殺虫性スプレー剤に配合され得る。自己乳化性エステルは、最終スプレー容量の0.01容量%から5容量%、好ましくは、最終スプレー容量の0.05容量%から1.0容量%、およびもっとも好ましくは、最終スプレー容量の0.05容量%から0.2容量%の濃度で配合される。
【0011】
本方法は、空中施用および地上施用の両方において、目標を離れる殺虫性スプレー剤の浮遊を低減する。
【0012】
最適な液滴サイズは、組成物が使用される用途によって変わる。液滴が大きすぎる場合、スプレーによる範囲は狭いことになる、すなわち大きい液滴は、ある領域には地表に到達するが、一方、間の領域はスプレー組成物をほとんど受けない、または全く受けないことになる。許容される最大の液滴サイズは、単位面積当たりに施用される組成物の量、およびスプレー範囲における均一性の要求に依存し得る。より小さな液滴は、より均一な対象範囲を提供するが、スプレー中のドリフトがより起こりやすくなる。スプレー中、特に風が強い場合、より大きな液滴が好ましい可能性があるが、一方、より穏やかな日は、より小さな液滴が好ましい場合がある。
【0013】
スプレー液滴サイズはまた、スプレー装置、例えばノズルサイズおよび構造にも依存し得る。当業者であれば、所与の装置、施用、および状態に対して、望ましい液滴サイズをもたらすように、組成物中の界面活性剤および/またはポリマーの割合を、容易に調節することができるであろう。いかなる場合においても、所与のスプレー装置、施用、および状態に対して、および自己乳化性エステルを基準とすると、スプレー液滴の多くは、中位径が、前記自己乳化性エステルを含まないスプレー組成物の中位径よりも大きくなる。
【0014】
上記の方法の他に、本発明はまた、農薬を1重量%から90重量%、好ましくは5重量%から70重量%、もっとも好ましくは20重量%から60重量%、および自己乳化性エステルを0.05重量%から30重量%、好ましくは1.0重量%から20重量%、もっとも好ましくは、1.0重量%から10重量%含むプレミックス製剤も包含する。
【0015】
場合により、本発明の組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、性質が陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性でありうる。典型的な界面活性剤には、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウム塩などのアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩、ノニルフェノール−C18エトキシレートなどのアルキルおよび/またはアリールアルキルフェノール−アルキレンオキシド付加生成物、トリデシルアルコール−C16エトキシレートなどのアルコール−アルキレンオキシド付加生成物、ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウムなどのスルホコハク酸塩のジアルキルエステル、オレイン酸ソルビトールなどのソルビトールエステル、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどの第四級アミン、エトキシ化されたタローアミンなどのエトキシ化アミン、ココアミドプロピルベタインなどのベタイン界面活性剤、ステアリン酸ポリエチレングリコールなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、モノおよびジアルキルリン酸エステルの塩、ならびにそれらの混合物が含まれる。界面活性剤または界面活性剤の混合物は、通常、製剤の1重量%から20重量%の濃度で存在する。
【0016】
上記製剤の他に、本発明はまた、1種または複数の追加の適合可能な成分との組合せの製剤も包含する。他の追加の成分には、例えば、1種または複数の他の農薬、色素、ならびに例えば、安定化剤、着香剤、粘度低下添加物および凝固点降下剤などの機能的な利便性をもたらす任意の他の追加の成分が含まれてもよい。
【0017】
プレミックス製剤は、好ましくは溶液、乳液、懸濁液、水和剤または水溶剤、あるいは水分散性顆粒または水溶性顆粒の製剤である。
【0018】
以下の実施例で本発明を例示する。
【実施例】
【0019】
実施例1
表1のように、2,4−Dの各濃縮製剤AからGを作製するために、始めに68.8%の2,4−Dジメチルアンモニウム塩水溶液を含むDMA 6 SEQUESTERED 90gを、機械的撹拌器を備えたステンレススチール製ビーカーに投入した。次に、表1の組成に従って、総量10gのPriolube製品を、異なる組合せで加えた。各液体混合物を撹拌して、組成物をホモジナイズし、製剤を得た。
【0020】
1%v/vの希釈液を作製するために、各製剤1mLを脱イオン水99mLに添加することによって、スプレー水溶液を作製した。次に、スプレー溶液をTeeJet 8002フラットファンノズルによって、40psi(276キロパスカル(kPa))でスプレーし、Sympatec Helos粒径測定器を用いることによって、液滴サイズを測定した。ノズルの先端が、粒径測定器の測定ゾーンから6インチまたは12インチ(15.24センチメートルまたは30.48センチメートル(cm))のいずれかの位置で、測定を行った。結果を表2(6インチ、15.24cm)、および表3(12インチ、30.48cm)に報告する。これらの結果から分かるように、本発明のスプレー組成物によって、175μm未満の液滴サイズを有するドリフトの可能性があるな微細液は、かなり低減している。本発明は、大きな液滴を有意に増加させることなく、したがってスプレーの対象範囲および質に関して最小限の影響で、液滴(drop)サイズ分布プロファイルを狭小化することによって、ドリフトの可能性があるな微細液滴を効率的に低減させる。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
実施例2
HからNの製剤の1%v/vスプレー溶液を、実施例1と同一の手順に従って作製した。次に、2,4−Dおよびグリホセート間の酸当量比が1:1に達するように、適切な量のグリホセートジメチルアンモニウム塩を、各スプレー溶液に添加した。希釈液を撹拌して均一化し、スプレー溶液を得た。次に、このスプレー溶液を実施例1の記載と同一の手順および設定に従ってスプレーした。結果を表4(スプレーノズルから6インチ(15.24cm)の測定)および、表5(ノズルから12インチ(30.48cm)の測定)に示す。これらの結果から分かるように、グリホセートの添加は、先の実施例からのスプレー分布にはほとんど影響を及ぼさず、ドリフトの可能性があるな微細液の制御における本発明の頑健性を示す。
【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
実施例3
表4に示されている各濃縮除草製剤OからQを作製するために、始めに95gの除草製剤(DMA 6 SEQ、Garlon 3AまたはMilestone**)、および5gのHetester PCA(Alzo Internationl Inc.から入手)を、機械的撹拌器を備えたステンレススチール製ビーカーに投入した。各液体混合物を撹拌して組成物をホモジナイズし、後の希釈用およびスプレー解析用の製剤を得た。
【0028】
2%v/vの希釈液を作製するために、脱イオン水98mLに、各製剤2mLを添加することによって各製剤のスプレー水溶液を作製した。次に、実施例1の記載と同一の手順および設定に従って、溶液を粒径測定器の測定ゾーンから12インチ(30.48cm)にあるスプレーノズルでスプレーした。結果を表6に示す。これらの結果から分かるように、本発明は、大きな液滴を有意に増加させることなく、したがってスプレーの対象範囲および質に関して最小限の影響で、液滴(drop)サイズ分布プロファイルを狭小化することによって、ドリフトの可能性があるな微細液滴を効果的に低減させる。
Garlon 3A、3lb(1.36kg)ae/gal トリクロピルトリエチルアミン塩(Dow AgroSciences,LLCの市販製品)
**Milestone、2lb(0.91kg)ae/gal アミノピラリドトリイソプロパノールアミン塩(Dow AgroSciences,LLCの市販製品)
【0029】
【表6】

【0030】
実施例4
表7に示されている各除草製剤RからTを作製するために、始めに脱イオン水294mL、次に市販の除草製剤(DMA6 SEQ、Clarity、またはAccord XR II**)6mLをサンプルジャーに投入し、製剤の2%v/v希釈液を作製した。次に、均一になるまで、サンプルを振とうした。次に、これらの各溶液に、希釈除草製剤の0.1%w/wと等量のVeg−Ester GY−350(Lubrizol,Inc)を加えた。均一になるまで、サンプルを再度振とうした。次に、実施例1の記載と同一の手順および設定に従って、溶液を粒径測定器の測定ゾーンから12インチ(30.48cm)にあるスプレーノズルでスプレーした。結果を表5に示す。これらの結果から分かるように、本発明は、大きな液滴を有意に増加させることなく、したがってスプレーの対象範囲および質に関して最小限の影響で、液滴(drop)サイズ分布プロファイルを変化させることによって、ドリフトの可能性があるな微細液滴を効果的に低減させる。
Clarity、4lb(1.81kg)ae/gal ジカンバジグリコールアミン塩(BASF corp.の市販製品)
**Accord XR TII、4lb(1.81kg)ae/gal グリホセートジメチルアミン塩(Dow AgroSciences,LLCの市販製品)
【0031】
【表7】

【0032】
実施例5
1.40mlのジカンバジメチルアンモニウム塩(ジカンバDMA、46.9%w/w a.e.、560.92g a.e./L)水溶液、および0.649gのPriolube 3952を、324mlの脱イオン水に加え、手で振とうし、0.43%v/vのジカンバDMAおよび0.2%w/wのPriolube 3952を含む溶液を得た。同様の方法で、1.45mlのジカンバジメチルアンモニウム塩溶液および0.70gのAgnique SBO−10を、335mlの脱イオン水に加え、0.43%v/vのジカンバDMAおよび0.2%w/wのAgnique SBO−10を含む溶液を得た。対照として、1.45mlのジカンバDMA濃縮液を、336mlの脱イオン水に加え、0.43%v/v溶液を得た。最後に、Clarityの0.43%v/v溶液を比較のために調製した。得られた溶液をスプレーし、実施例1に記載したように、粒径測定器の測定ゾーンから12インチ(30.48cm)にあるスプレーノズルで、これらの液滴サイズ分布を測定した。結果を表8にまとめる。これらの結果から分かるように、本発明は、大きな液滴を有意に増加させることなく、したがってスプレーの対象範囲および質に関して最小限の影響で、液滴(drop)サイズ分布プロファイルを変化させることによって、ドリフトの可能性があるな微細液滴を効果的に低減させる。
【0033】
【表8】

【0034】
実施例6
359.07gの脱イオン水に、2.75gの2,4−Dジメチルエタノールアンモニウム塩溶液(53.6% a.e.)、0.15gのAgnique SBO−10、0.38gのプロピレングリコール、および3.52gのグリホセートジメチルアンモニウム塩溶液(42.2% a.e.)を、この順に加えた。対照として、Agnique SBO−10を、0.15gの追加の脱イオン水に代替した以外、記載したものと全く同じように、第2のサンプルを調製した。得られた溶液を短時間手で振とうし、次に、実施例1に記載したように、粒径測定器の測定ゾーンから12インチ(30.48cm)にあるスプレーノズルで、これらのスプレーの液滴分布を分析した。結果を表9に示す。
【0035】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬の施用中のスプレードリフトを低減する方法であって、0.01%vol/volから5%vol/volの自己乳化性エステルまたはその混合物を、殺虫性スプレー剤に配合することを含む方法。
【請求項2】
農薬が除草剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
除草剤が2,4−D、グリホセート、トリクロピル、アミノピラリド、ジカンバ、またはそれらの混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
農薬が殺虫剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
農薬が殺真菌剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記自己乳化性エステルが、(1)C54の親油性骨格、ならびに非イオン性および陰イオン性の界面活性剤官能性の両方を含有する分子のエステル部を有するオレイン酸およびリノール酸の重合によって生成される、三量体酸系の自己乳化性エステル、(2)脂肪酸およびジカルボン酸無水物によるエトキシ化トリメチロールプロパンのエステル化によって調製されるエステル、(3)高分子量の二塩基酸、ポリオキシアルキレングリコールおよび一官能性脂肪族アルコールから誘導されるエステル、(4)エトキシ化トリメチロールプロパンを、カルボン酸またはその反応性誘導体と反応させることにより調製される自己乳化するエステル化合物、(5)植物または陸生動物由来のマレイン酸化トリグリセリド油から誘導されるコハク酸トリグリセリド油、(6)エトキシ化脂肪酸エステル、(7)アルコールを、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドと反応させて、得られたアルコキシレートをアルカン酸または芳香族酸でキャッピングすることにより調製されるアルコキシレートエステル、および(8)アルコキシ化トリグリセリドである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1重量%から90重量%の農薬、および0.05重量%から30重量%の自己乳化性エステルを含むプレミックス製剤。
【請求項8】
20重量%から60重量%の農薬、および1.0重量%から10重量%の自己乳化性エステルを含む、請求項6に記載のプレミックス製剤。

【公表番号】特表2012−507561(P2012−507561A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534804(P2011−534804)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/062734
【国際公開番号】WO2010/051435
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】