説明

自己免疫疾患の治療用のIL−12又はIL−23を含むワクチン

本発明は改良型ワクチン及び免疫原組成物、並びにかかるワクチン及び免疫原組成物を調製する方法に関する。特に本発明は、疾患、特に自己免疫に関与する疾患を治療するための、IL-12若しくはIL-23、又はそのサブユニット若しくは成分に対する免疫応答を生じさせることが可能なワクチン及び免疫原組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良型ワクチン及び免疫原組成物、並びにかかるワクチン及び免疫原組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン-12(IL-12)は、2種類のサブユニットであるP40及びP35を含むヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は、細菌、細菌産物及び細胞内寄生体に反応して大部分は食細胞によって産生され、そしてある程度はBリンパ球によって産生される。特に、IL-12は抗原提示細胞によって産生され、TH-1細胞応答の誘導に関与する。IL-12はマクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞及びTリンパ球からインターフェロン-γ(IFNγ)を誘導し、活性化NK細胞及びTリンパ球の増殖因子として作用し、NK細胞の細胞傷害活性を増強し、かつ細胞傷害性Tリンパ球生成を誘導する。IL-12は一次Th1応答の誘導及び大きさの双方で中心的な役割を果たし、そして細胞内病原体に対する長期防御を仲介する、in vivoでの記憶/エフェクターTh1リンパ球の十分な数を生じさせかつ維持するのに不可欠である。
【0003】
IL-12は細胞内病原体(リステリア菌、ミコバクテリア、リーシュマニア・メジャー(Leishmania major)又はトキソプラズマ等)に対する最適な耐性の維持にかなり寄与すると考えられる。加えて、IL-12受容体欠損症に罹患した個体はかかる病原体による感染のリスクが増加するが、感染への耐性は年齢と共に増加するように見える。しかし、IL-12の不在下でT細胞は、IL-10の不在下で保護的であった細胞内病原体に対するTh-1応答を依然として高めることができることが示されてきた(Jankovicら, 2002 Immunity 16:429-439)。さらに、ヒトにおけるIL-12受容体欠損の最初の報告で報告された感染のリスクの増加にも関わらず、IL-12機能が欠損した個体は感染に比較的耐性であり、耐性は年齢と共に増加するように見える(de Jongら,1998 Science 280:1435-1438)。完全なIL-12Rβ1欠損症(IL-12Rβ1もIL-23受容体の一部分として機能する)を有する41人の患者を観察したある報告は、ヒトIL-12はミコバクテリア及びサルモネラ以外の大部分の微生物に対する防御免疫中で豊富であると結論付けた(Fieschiら, 2003. J Exp Med 197:527-535)。
【0004】
IL-12は、例えばワクチン組成物に含まれる腫瘍抗原に対する免疫応答を指令する際に助力するアジュバントとしてワクチン組成物中に含まれている(WO98/57659)。
【0005】
インターロイキン-23(IL-23)はサブユニットP40(IL-12と共通)及びサブユニットP19を含むヘテロ二量体サイトカインである。
【0006】
自己抗原に対するin vivoでの免疫応答を生じさせることに課題が存在することが知られている。
【発明の開示】
【0007】
発明の説明
本発明は、(a)(i)IL-12、IL-23又はそのサブユニット若しくは成分;及び(ii)担体を含む免疫原と、(b)コレステロール;水中油型乳剤;低用量の水中油型乳剤;トコフェロール;リポソーム;QS21;及び3D-MPLの1以上を含むアジュバントとを含む免疫原組成物を提供する。
【0008】
本発明は、本明細書に記載される免疫原組成物の使用が、IL-12若しくはIL-23又はそのサブユニット若しくは成分に対する免疫応答をin vivoで生じさせるという驚くべき発見に基づく。さらに、本発明者らはかかる免疫原組成物が様々な疾患の改善、治療又は予防にかなり効果的であるという驚くべき発見をなした。
【0009】
本発明はさらに、本明細書に記載の免疫原と本明細書に記載のアジュバントとを混合することを含む、免疫原組成物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、本明細書に記載の免疫原組成物を製薬上許容される賦形剤、アジュバント又は担体との組合せで含む、ワクチン組成物に関する。
【0011】
本発明はさらに、本明細書に記載の免疫原組成物と製薬上許容される賦形剤、アジュバント又は担体とを混合することを含む、ワクチン組成物の製造方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、疾患、特に自己免疫に関与する疾患を、これらの疾患のリスクのある個体に本明細書に記載の免疫原組成物又はワクチン組成物を投与することによって予防又は治療する方法に関する。
【0013】
本発明はさらに、IL-12若しくはIL-23又はそのサブユニットもしくは成分に対して免疫応答を生じさせることが可能な本発明の免疫原組成物又はワクチン組成物の、疾患、特に自己免疫に関与する疾患を治療するための医薬の製造における使用を提供する。
【0014】
本発明にはさらに、本明細書に記載の免疫原と、コレステロール、水中油型乳剤、低用量の水中油型乳剤、トコフェロール、リポソーム、QS21及び3D-MPLの1以上を含むアジュバントとを含むキットが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
詳細な説明
本発明の免疫原組成物は障害(自己免疫に関与する疾患を含む)を予防又は治療するために、適切に免疫応答を刺激することが可能である。本発明は哺乳動物(例えば治療すべき哺乳動物はヒトである)の障害を治療するために使用し得る。
【0016】
免疫原成分
本発明の免疫原組成物の一部を形成する免疫原は、免疫応答を適切に刺激することが可能な物質である。一実施形態では、免疫応答はin vivoで刺激できる。
【0017】
IL-12
「IL-12」という用語は、ヒト若しくは他の哺乳動物の単離された天然のインターロイキン-12、又はヒト若しくは他の哺乳動物の組換えIL-12を指すべく本明細書で使用される。単離されたIL-12は、単離工程の開始時に存在しているかもしれない汚染物質を実質的に含まないIL-12を指す。IL-12のサブユニットは、IL-12に含まれる2種類のペプチドサブユニットであるP40又はP35のいずれかを指す。IL-12の成分は、IL-12、IL-12のフラグメント若しくはエピトープ又はそのサブユニットに対する免疫応答を刺激することが可能な、IL-12又はそのサブユニットの任意のフラグメント若しくはエピトープを指す。本発明の一実施形態では、IL-12、サブユニット又は成分はヒトである。
【0018】
IL-23
「IL-23」という用語は、ヒト若しくは他の哺乳動物の単離された天然のインターロイキン-23、又はヒト若しくは他の哺乳動物の組換えIL-23を指すべく本明細書で使用される。単離されたIL-23は、単離工程の開始時に存在しているかもしれない汚染物質を実質的に含まないIL-23を指す。IL-23のサブユニットは、IL-23に含まれる2種類のペプチドサブユニットであるP40又はP19のいずれかを指す。IL-23の成分は、IL-23、IL-23のフラグメント若しくはエピトープ又はそのサブユニットに対する免疫応答を刺激することが可能な、IL-23又はそのサブユニットの任意のフラグメント若しくはエピトープを指す。本発明の一実施形態では、IL-23、サブユニット又は成分はヒトである。
【0019】
本発明の一実施形態では、サブユニットはIL-12のP35又はIL-23のP19である。別の実施形態では、サブユニットはIL-12又はIL-23のP40である。別の実施形態では、免疫原は、本発明のサブユニットの一つの少なくとも1つの表面エピトープ又は不連続エピトープを含む。免疫原はP40の少なくとも1つの表面エピトープを含み得る。サブユニットP40を含む本発明の免疫原組成物は、IL-12若しくはそのサブユニット及び/又はIL-23若しくはそのサブユニットに対する免疫応答を刺激することが可能であり得る。
【0020】
担体
本発明の免疫原は、担体分子にコンジュゲートされた(例えば化学コンジュゲーション技術を用いる)又は担体分子と融合された(例えばIL-12、IL-23又はそのサブユニット若しくは成分と担体とを含む組換え融合タンパク質を生じさせる)、本明細書に記載のIL-12、IL-23又はそのサブユニット若しくは成分を含む。担体は免疫原に対する免疫応答の生成のためのT細胞ヘルプを提供し得る。
【0021】
本発明に使用し得る免疫原の一例は、P40に対する免疫応答の生成のためのT細胞ヘルプを生じさせるために、担体タンパク質とコンジュゲート又は融合された、IL-12又はIL-23のいずれかのP40サブユニットである。
【0022】
本発明に使用し得る非網羅的な担体のリストには、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン(ウシ又はヒト血清アルブミン(BSA又はHSA)、オボアルブミン(OVA)等)、不活性化細菌毒素(破傷風毒素(TT)若しくはジフテリア毒素(DT)、又はそれらの組換えフラグメント(例えば、TTのフラグメントCのドメイン1、若しくはDTの転座ドメイン)、精製したツベルクリンのタンパク質誘導体(PPD)等)が含まれる。担体タンパク質が動物起源(KLH又は血清アルブミン等)である本発明の実施形態では、担体タンパク質は組換え的に誘導し得る。
【0023】
本発明の一実施形態では、担体はインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のタンパク質Dであってもよい(参照により本明細書に組み入れるEP0594610B1)。タンパク質Dはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のIgD-結合性タンパク質であり、Forsgrenが特許を取得している(WO 91/18926、参照により本明細書に組み入れる特許EP 0 594 610 B1)。状況次第で、例えば組み換え免疫原発現系では、タンパク質Dのフラグメント、例えばタンパク質Dの3分の1(タンパク質DのN末端の100〜110アミノ酸を含む(参照により本明細書に組み入れるGB 9717953.5))を使用することが望まれ得る。
【0024】
本発明の一実施形態では、免疫原の免疫原性は「T細胞ヘルパー(Th)エピトープ」又は「Tヘルパーエピトープ」(これらはMHC分子に結合でき、動物種においてT細胞を刺激することができるペプチドである)の添加によって増強される。Tヘルパーエピトープは外来又は非自己エピトープであり得る。T細胞エピトープは雑多な(promiscuous)エピトープ、すなわち動物種又は集団において、MHCクラスII分子の多くの画分と結合するエピトープであり得る(参照により本明細書に組み入れる、Panina-Bordignonら, EJI. 1989, 19:2237-2242; Reeceら, JI 1993, 151:6175-6184)。
【0025】
したがって、本発明の免疫原成分は、IL-12若しくはIL-23又はそのサブユニット若しくは成分と雑多なThエピトープとを化学コンジュゲート又は純粋な合成ペプチド構築物として含み得る。免疫原は免疫原のN又はC末端のいずれかで、スペーサー(例えば、Gly-Gly)を介してThエピトープと結合し得る。本発明の免疫原成分が臨床的に十分に有効であるためには、数種の外来T細胞エピトープを含むことが必要であり得る。免疫原成分は1以上の雑多なThエピトープを含んでもよく、そして一実施形態では2〜5個のThエピトープを含み得る。
【0026】
Thエピトープは連続又は不連続エピトープから構成し得る。雑多なThエピトープは、広範に異なるMHCタイプを有する動物及びヒト集団において、高度かつ広く反応性である(Partidosら(1991)「Immune Responses in Mice Following Immunisation with chimaeric Synthetic Peptides Representing B and T Cell Epitopes of Measles Virus Proteins」J. of Gen. Virol. 72:1293-1299; US 5,759,551)。本発明に従って使用され得るThドメインは、約10〜約50個のアミノ酸、例えば約10〜約30個のアミノ酸を有する。複数のThエピトープが存在する場合、これらは全て同一であってもよいし(すなわちエピトープが同種である)、2以上のタイプのエピトープの組合せが使用されてもよい(すなわちエピトープが異種である)。
【0027】
Thエピトープには例として、肝炎表面又はコア(ペプチド50〜69、Ferrariら, J.Clin.Invest, 1991, 88, 214-222)抗原Thエピトープ、百日咳毒素Thエピトープ、破傷風毒素Thエピトープ(P2(参照により本明細書に組み入れるEP 0 378 881 B1)及びP30(参照により本明細書に組み入れるWO 96/34888、WO 95/31480、WO 95/26365))、麻疹ウイルスFタンパク質Thエピトープ、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)主外膜タンパク質Thエピトープ(P11等、Staggら, Immunology, 1993, 79, 1-9)、エルシニアのインベーシン(invasin)、ジフテリアトキソイド、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)及び熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)CS抗原が含まれる。
【0028】
他のThエピトープは文献(WO 98/23635; Southwoodら, 1998, J. Immunol., 160: 3363-3373; Sinigagliaら, 1988, Nature, 336: 778-780; Rammenseeら, 1995, Immunogenetics, 41: 4, 178-228; Chiczら, 1993, J. Exp. Med., 178:27-47; Hammerら, 1993, Cell 74:197-203;及びFalkら, 1994, Immunogenetics, 39: 230-242, US 5,759,551; Ceaseら, 1987, PNAS 84, 4249-4253; Partidosら, J.Gen.Virol, 1991, 72, 1293-1299; WO 95/26365及びEP 0 752 886 Bを含む)に記載されている。T細胞エピトープもPan D-Rペプチド「PADRE」等の人工配列であり得る(参照により本明細書に組み入れるWO 95/07707)。本発明の一実施形態では、使用される担体はPADREである。
【0029】
T細胞エピトープはヒト中で2以上のMHC II分子を発現する多くの個体に結合するであろうエピトープの群から選別し得る。例えば、具体的に意図されるエピトープはTT由来のP2及びP30エピトープである(Panina‐Bordignon Eur. J. Immunol 1989 19 (12) 2237)。一実施形態では、異種T細胞エピトープはTT由来のP2又はP30である。
【0030】
P2エピトープは配列QYIKANSKFIGITE(配列番号1)を有し、これは破傷風毒素のアミノ酸830〜843に対応する。
【0031】
P30エピトープ(破傷風毒素の残基947〜967)は配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(配列番号2)を有し、FNNFTV配列は場合により取り除かれる。
【0032】
他の普遍の(universal)Tエピトープは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)由来のスポロゾイト周囲タンパク質(特に配列DIEKKIAKMEKASSVFNVVNS(配列番号3)を有する領域378〜398)から誘導可能である(Alexander J, (1994) Immunity 1 (9), p 751-761)。
【0033】
使用し得る別のエピトープは、配列LSEIKGVIVHRLEGV(配列番号4)を有する麻疹ウイルス融合タンパク質の残基288〜302から誘導される(Partidos CD, 1990, J. Gen. Virol 71(9) 2099-2105)。
【0034】
使用し得るさらに別のエピトープは、B型肝炎ウイルス表面抗原、特に配列FFLLTRILTIPQSLD (配列番号5)を有するアミノ酸から誘導される。
【0035】
使用され得る別セットのエピトープはジフテリア毒素から誘導される。これらのペプチドの4種(アミノ酸271〜290、321〜340、331〜350、351〜370)はこの毒素のフラグメントBのTドメイン内に位置し、残りの2種(411〜430、431〜450)はRドメイン内に位置する:

(Raju R., Navaneetham D., Okita D., Diethelm-Okita B., McCormick D., Conti-Fine B. M. (1995) Eur. J. Immunol. 25: 3207-14)
【0036】
一実施形態では、免疫原はリポソーム担体と直接コンジュゲートされてもよく、これはT細胞ヘルプを与えることが可能な免疫原をさらに含み得る。
【0037】
担体分子に対する免疫原の比は、ほぼ約1:10〜約20:1程度であり得る。各担体は約3〜約15分子の免疫原を保有し得る。代替的な実施形態では、各免疫原は約3〜約15個の担体分子を有し得る。担体がPADRE又は破傷風ペプチドである本発明の一実施形態では、担体ペプチドに対する免疫原の比は約1:5〜約1:10である。
【0038】
コンジュゲーション又は融合タンパク質
本発明の免疫原は、当該技術分野で周知のコンジュゲーション方法によって担体と結合し得る。したがって、例えば直接的な共有結合のために、カルボジイミド、グルタルアルデヒド又はN-[γ-マレイミドブチリロキシ]スクシンイミドエステルを利用すること、CDAP及びSPDP等の市販のヘテロ二官能性リンカーを(製造説明書を用いて)利用することが可能である。結合反応後、コンジュゲート免疫原は透析法、ゲル濾過法、分別法等を用いて容易に単離及び精製することができる。グルタルアルデヒド又はマレイミド化学の使用によって生じたコンジュゲートは本発明で使用し得る。一実施形態において、マレイミド化学を使用できる。
【0039】
あるいは免疫原は担体と融合し得る。例えば、EP0421635B(参照により本明細書に組み入れる)は、ウイルス様粒子中に外来ペプチド配列を提供するための、キメラヘパドナウイルスコア抗原粒子の使用を記載する。したがって、融合分子は、例えばB型肝炎コア抗原からなるキメラ粒子中に提供された本発明の免疫原を含み得る。あるいは、組換え融合タンパク質はインフルエンザウイルスの免疫原及びNS1を含み得る。本発明の一部を形成する任意の組換え発現型タンパク質のために、前記タンパク質をコードする核酸も本発明の一態様を形成する。
【0040】
コンジュゲート及び融合タンパク質は、生物学的に十分に不活性であってもよく、その結果、実質的にIL-12又はIL-23受容体を介してシグナル伝達することができない。
【0041】
アジュバント
本発明のワクチン又は組成物はアジュバント又は免疫賦活剤を含む。使用し得るアジュバントは(これに限定されないが)以下のリストのものを含む:任意の供給源由来の解毒したリピドA及びリピドAの非毒性誘導体、サポニン及びTH1型応答を刺激することが可能な他の試薬。
【0042】
腸内細菌リポ多糖(LPS)は免疫系の強力な刺激因子であるが、アジュバントにおけるその使用はその毒作用によって削減されてきたことが長く知られている。還元末端グルコサミン由来のホスフェートとコアの炭水化物の除去によって作製される、LPSの非毒性誘導体、モノホスホリルリピドA(MPL)は、Ribiらによって記載され(1986, Immunology and Immunopharmacology of bacterial endotoxins, Plenum Publ. Corp., NY, p407-419)、以下の構造を有する:
【化1】

【0043】
MPLの別の解毒型は二糖骨格の3位からアシル鎖を除去することで生じ、これは3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)と称する。これはGB 2122204B(この参考文献はジホスホリルリピドA、及びその3-O-脱アシル化変異体の調製物も開示する)で教示される方法によって精製かつ調製することができる。
【0044】
使用し得る3D-MPLの一形態は、直径0.2μm未満の小粒子サイズの乳剤形態であり、その製造方法はWO 94/21292に開示される。モノホスホリルリピドA及び界面活性剤を含む水性製剤はWO9843670A2に記載されている。
【0045】
本発明の組成物中に製剤化されるべき細菌のリポ多糖由来のアジュバントは、細菌原から精製及び加工してもよく、あるいはこれらは合成であってもよい。例えば、精製したモノホスホリルリピドAはRibiら1986(前掲)に記載され、サルモネラ・エスピー(Salmonella sp.)由来の3-O-脱アシル化モノホスホリル又はジホスホリルリピドAは、GB 2220211及びUS 4912094に記載される。他の精製された及び合成のリポ多糖も記載されている(Hilgersら, 1986, Int.Arch.Allergy.Immunol., 79(4):392-6; Hilgersら, 1987, Immunology, 60(1):141-6;及びEP 0 549 074 B1)。使用し得る細菌のリポ多糖アジュバントは3D-MPLである。
【0046】
したがって、本発明で使用し得るLPS誘導体は、LPS、MPL又は3D-MPLの構造と類似する免疫賦活剤である。本発明の別の態様では、LPS誘導体はアシル化単糖であってもよく、これはMPLの上記構造に対する下位部分である。
【0047】
アジュバントはサポニン、例えばQS21をさらに含んでもよい。サポニンはLacaille-Dubois, M and Wagner H. (1996. A review of the biological and pharmacological activities of saponins. Phytomedicine vol 2 pp 363-386)中で教示される。サポニンは植物及び海生動物界に広く分布するステロイド又はトリテルペングリコシドである。サポニンは振盪時に泡立つコロイド溶液を水中で形成すること、及びコレステロールを沈殿させることで有名である。サポニンが細胞膜近くにある場合、これらは膜において膜の破裂を生じさせる細孔様構造を作り出す。赤血球の溶血はこの現象の一例であり、これは全てではないが特定のサポニンの性質である。
【0048】
サポニンは全身投与用のワクチンにおけるアジュバントとして知られる。アジュバント及び個々のサポニンの溶血作用は当該技術分野で大々的に研究されている(Lacaille-Dubois及びWagner、前掲)。例えば、クイルA(南アフリカの樹木であるキラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮由来)及びその画分はUS5,057,540及び「Saponins as vaccine adjuvants」, Kensil, C. R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2):1-55;及びEP 0 362 279 B1に記載される。クイルAの画分を含む、免疫刺激複合体(ISCOMS)と称する微粒子構造は溶血性であり、かつワクチンの製造に使用されてきた(Morein, B., EP 0 109 942 B1; WO 96/11711; WO 96/33739)。溶血性サポニンQS21及びQS17(クイルAのHPLC精製した画分)は強力な全身アジュバントとして記載されており、その生産方法は米国特許第5,057,540号及びEP 0 362 279 B1に開示される。全身ワクチン接種研究で使用されてきた他のサポニンには、他の植物種(ジプソフィリア(Gypsophila)及びサポナリア(Saponaria)等)に由来するものが含まれる(Bomfordら, Vaccine, 10(9):572-577, 1992)。
【0049】
増強された系には非毒性リピドA誘導体とサポニン誘導体の組合せを含む。使用し得る1つの系はWO 94/00153に開示されるQS21と3D-MPLの組合せであり、又はWO 96/33739に開示されるQS21がコレステロールで抑制された反応形成性の低い組成物を使用し得る。
【0050】
使用し得る特に強力なアジュバント製剤は、水中油型乳剤中にQS21及び3D-MPLを含む(WO 95/17210に記載)。
【0051】
製剤は水中油型乳剤をさらに含み得る。本発明の一実施形態では、アジュバントは水中油型乳剤からなる。使用し得る水中油型乳剤はPCT出願WO 95/17210に記載される。これらは高い比率のスクアレン:サポニン(240:1)(w/w)を有し得る。1:1〜200:1の範囲のスクアレン:QS21比を有する乳剤が本発明で使用し得る。実質的に48:1の範囲のスクアレン:QS21比を有する乳剤も本発明に使用し得る。成分の1つにおけるこの減少は、生じる免疫応答を質的に改善する驚くべき効果を有する。このアジュバント製剤を使用することで強力なTh2型応答は維持され得るが、さらにかかる製剤は、高いIFN-γ、T細胞増殖及びCTL応答によって特徴付けられる、Th1型応答に具体的に関与する増強型免疫応答を引き出す。
【0052】
本発明はまた、本発明の免疫原及び担体を製薬上許容されるアジュバント及び/又は賦形剤と共に混合することを含む、ワクチン製剤の製造方法を提供する。
【0053】
本発明における使用に適したアジュバントは、QS21、3D-MPL及び水中油型乳剤の組合せ、又は上述されるように3D-MPL及びコレステロールで抑制されたQS21の組合せである。
【0054】
本発明の組成物は、任意の適当な送達手段及び投与経路によって、適切には筋肉内注射によって送達し得る。
【0055】
本発明の一態様では、本発明の免疫原及び担体はリポソーム等の微粒子中に封入し得る。リポソーム内への封入は、例えばFullerton(米国特許第4,235,877号)によって記載される。
【0056】
典型的には、3D-MPLが使用される場合、抗原と3D-MPLはミョウバンを用いて送達されるか、水中油型乳剤又は複数の水中油型乳剤で提供される。3D-MPLはエフェクターT細胞応答の刺激因子であるので、3D-MPLの取り込みは有利である。
【0057】
したがって、本発明の一実施形態では、本明細書に記載される免疫原及び担体を、3D-MPL及びビヒクルとの組合せで含むワクチンが提供される。典型的に、ビヒクルは水中油型乳剤又はミョウバンであり得る。
【0058】
一実施形態では、本発明で使用するためのアジュバントは、モノホスホリルリピドA若しくはその誘導体(3D-MPL等)、QS21、QS21とコレステロールとの混合物、及びCpGオリゴヌクレオチドを含むアジュバントの群から選択し得る。使用し得る他の別のアジュバントは、モノホスホリルリピドA又はその誘導体(3D-MPL等)、QS21及びトコフェロールを水中油型乳剤中に含む。モノホスホリルリピドA又はその誘導体は3D-MPLであり得る。
【0059】
本発明での使用に適したアジュバントはQS21及び水中油型乳剤を含む製剤であって、水中油型乳剤がスクアレン、α-トコフェロール及びポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、TWEEN 80を含む)等の代謝性油を含み、該乳剤が油:QS21の比が20:1〜200:1(w/w)の範囲、例えば実質的に48:1(w/w)である点で特徴付けられる、上記製剤である。一度抗原又は抗原性調製物と組合された上記製剤は広範囲の一価又は多価ワクチンに適している。さらに水中油型乳剤はポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(SPAN 85)を含み得る。水中油型乳剤はコレステロールを含んでもよい。
【0060】
本発明の一実施形態におけるQS21:3D-MPL(w/w)の比は、典型的には1:10〜10:1、例えば1:5〜5:1の範囲であり、そして大抵の場合には実質的に1:1である。最適な相乗効果のための範囲は2.5:1〜1:1の3D MPL:QS21であり得る。典型的には、ヒト投与用のワクチン中のQS21及び3D-MPLの用量は、投与当たり1μg〜1000μg、例えば10μg〜500μg、例えば10〜100μgの範囲であろう。典型的には、水中油は2〜10%のスクアレン、2〜10%のα-トコフェロール、及び0.4〜2%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)を含むだろう。スクアレン:α-トコフェロール比は等しいか又はこれがより安定な乳剤を生じる限り1未満であってもよい。ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(SPAN 85)も0.5〜1%のレベルで存在し得る。いくつかの場合では、本発明のワクチンが安定剤、例えば他の乳化剤/界面活性剤(カプリル酸(メルクインデックス第10版、エントリナンバー1739)を含む)(Tricaprylinは一実施形態である)をさらに含むことが有利であり得る。
【0061】
したがって、本発明の別の実施形態は、QS21と所望の比率の範囲内である水中油型乳剤を含むワクチンであり、これはQS21によって与えられる局所反応形成性を低減するために、ステロール(例えばコレステロール)の存在下で製剤化される。本発明の具体的な実施形態中に存在するコレステロールに対するQS21の比(w/w)は、1:1〜1:20の範囲、実質的には1:10であることが予想される。
【0062】
PCT出願第WO 95/17210号で使用される乳剤、特に水中油型乳剤、MPL及びQS21を含むアジュバントは、本発明に用い得るアジュバントである。リポソームを含むコレステロールへのQS21の製剤化が注射部位で生じる壊死の予防に役立ち得ることが観察されている。この観察はPCT出願第PCT/EP96/01464号を前提としており、そこに開示されるアジュバント、特にリポソーム、MPL及びQS21を含むアジュバントも本発明での使用に適したアジュバントである。
【0063】
本発明の実施形態において使用し得るステロールはコレステロールである。本発明の実施形態において使用することができる他のステロールには、β-シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、エルゴカルシフェロール及びコレステロールが含まれる。ステロールは当該技術分野で周知である。コレステロールは周知であり、例えばメルクインデックス11版の341頁に、動物性脂肪中に見られる天然のステロールとして開示されている。
【0064】
上記調製物はワクチンアジュバント系として使用され、抗原又は抗原調製物と共に製剤化された時点で強力なワクチンに使用される。これらがTh1応答を引き起こし得ることが有利である。
【0065】
本発明の乳剤系は、サブミクロンの範囲の小さな油滴サイズを有し得る。例えば油滴サイズは直径120〜750nm、例えば120〜600nmの範囲であろう。
【0066】
3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAの形態は、直径0.2μmより小さな粒子サイズを有する乳剤の形態である。
【0067】
本発明の一実施形態では、アジュバントはSB62’cであり、これは水中油型乳剤とサポニンとを含み、その際、油が代謝性油でありかつ代謝性油:サポニンの比(w/w)が1:1〜200:1(低用量の水中油型乳剤)の範囲であるアジュバントであり、その全体の教示を参照により本明細書に組み入れるWO99/11241に記載される。一実施形態では、代謝性油:サポニンの比(w/w)は実質的に48:1である。サポニンはQS21等のクイルAである。一例において、代謝性油はスクアレンである。SB62’cアジュバント組成物はステロール(例えばコレステロール)をさらに含み得る。SB62’cアジュバント組成物はさらに又は代替的に、1以上の免疫賦活剤(例えば3D-MPL及び/又はα-トコフェロール)をさらに含み得る。3D-MPLを含むSB62’cの実施形態では、QS21:3D-MPLの比(w/w)は1:10〜10:1、例えば1:1〜1:2.5又は1:1〜1:20であり得る。
【0068】
したがって、アジュバントSB62’cの一実施形態では、代謝性油:サポニンの比(w/w)は1:1〜200:1の範囲であるか又は実質的に48:1であり、サポニンはQS21であり、アジュバントはさらに3D-MPLを含む(低用量の水中油型乳剤、QS21、3D-MPL)。
【0069】
本発明の別の実施形態では、アジュバントはトコール(例えばEP0382271に記載される)を含む水中油型乳剤からなる。別の実施形態では、使用し得る水中油型乳剤はα-トコフェロールを含む。
【0070】
一実施形態では、アジュバントは本明細書に記載されるアジュバント組成物であり、例えばEP822831に記載されるようにリポソーム内に提供される。
【0071】
ワクチン
本発明はまた、本明細書に記載の免疫原組成物を製薬上許容される賦形剤、アジュバント又はビヒクルと共に含むワクチンを提供する。本発明はまた、本明細書に記載の免疫原組成物を製薬上許容される適切なビヒクル、アジュバント又は賦形剤と混合することを含む、ワクチン組成物の製造方法を提供する。適当なビヒクル及び賦形剤は当該技術分野で周知であり、これには例えば水又は緩衝液が含まれる。ワクチンの調製はVaccine Design (「The subunit and adjuvant approach」(Powell M.F. & Newman M.J.編集) (1995) Plenum Press New York)に一般的に記載される。
【0072】
ペプチド合成
本発明で使用されるペプチドは当該技術分野で周知の固相手順によって容易に合成することができる。適当な合成は「T-boc」又は「F-moc」手順を利用することによって達成し得る。環状ペプチドは全自動化装置で周知の「F-moc」手順とポリアミド樹脂を使用する固相手順によって合成することができる。あるいは当業者はこの方法を手動で行うために必要な実験手順を知っているだろう。固相合成のための技術及び手順はE. Atherton及びR.C. Sheppardによる、Oxford University PressでIRLにより公開された「Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach」に記載される。あるいは、ペプチドは組換え方法(細菌又は哺乳動物細胞系でミモトープをコードする核酸を発現させて、その後、発現したミモトープを精製することを含む)によって作製し得る。ペプチド及びタンパク質の組換え発現のための技術は当該技術分野で公知であり、Maniatis, T., Fritsch, E.F.及びSambrookら, Molecular cloning, a laboratory manual, 第2版.; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989)に記載される。
【0073】
核酸
本発明の免疫原をコードする核酸又は免疫原を含む組換え融合タンパク質をコードする核酸も本発明の一部を形成する。具体的には、例えば担体と共に、本発明の免疫原をコードする単離された核酸分子が提供され、これはDNAワクチン接種に使用し得る。DNAワクチン接種に関して役立つ背景情報は、その開示が参照によりその全体が本明細書に含まれる「Donnelly, Jら Annual Rev. Immunol. (1997) 15:617-648」中で提供される。
【0074】
免疫原が核酸ワクチン接種に使用するための核酸によってコードされる本発明の一実施形態では、使用されるアジュバントは核酸ワクチン接種での使用に適したアジュバントであるものとする。係るアジュバントの例には、イミキモド(imiquimod)等の合成イミダゾキノリン[S-26308, R-837](Harrisonら. 「Reduction of recurrent HSV disease using imiquimod alone or combined with a glycoprotein vaccine」, Vaccine 19: 1820-1826, (2001));及びレシキモド(resiquimod)[S-28463, R-848]( Vasilakosら. 「Adjuvant activites of immune response modifier R-848: Comparison with CpG ODN」, Cellular immunology 204: 64-74 (2000))、抗原提示細胞及びT細胞表面上で構成的に発現されるカルボニル及びアミンのシッフ塩基(ツカレソール等)(Rhodes, Jら. 「Therapeutic potentiation of the immune system by costimulatory Schiff-base-forming drugs」, Nature 377: 71-75 (1995))、サイトカイン、ケモカイン及び共刺激分子(タンパク質若しくはペプチドのいずれか)(これにはインターフェロン、特にインターフェロン及びGM-CSF等の炎症促進(pro-inflammatory)サイトカイン、IL-1α、IL-1β、TGF-α及びTGF-βが含まれよう)、Th1誘導因子(インターフェロンγ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18及びIL-21等)、Th2誘導因子(IL-4、IL-5、IL-6、IL-10及びIL-13等)並びに他のケモカイン及び共刺激遺伝子(MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、RANTES、TCA-3、CD80、CD86及びCD40L等)、他の免疫刺激標的リガンド(CTLA-4及びL-セレクチン)、アポトーシス刺激タンパク質及びペプチド(Fas等(49))、脂質ベースの合成アジュバント(バクスフェクチン(vaxfectin) (Reyesら, 「Vaxfectin enhances antigen specific antibody titres and maintains Th1 type immune responses to plasmid DNA immunization」, Vaccine 19: 3778-3786)、スクアレン、α-トコフェロール、ポリソルベート80、DOPC及びコレステロール等)、内毒素、[LPS](Beutler, B., Endotoxin, 「Toll-like receptor 4, and the afferent limb of innate immunity」, Current Opinion in Microbiology 3: 23-30 (2000));CpGオリゴ及びジヌクレオチド(Sato, Y.ら, 「Immunostimulatory DNA sequences necessary for effective intradermal gene immunization」, Science 273 (5273):352-354 (1996). Hemmi, H.ら, 「A Toll-like receptor recognizes bacterial DNA」, Nature 408: 740-745, (2000))及びTh1誘導性サイトカインを産生するTollレセプターを作動させる他の強力なリガンド(合成ミコバクテリアリポタンパク質、マイクバクテリアタンパク質p19、ペプチドグリカン、テイコ酸及びリピドA等)が含まれる。他の細菌に由来する免疫刺激タンパク質には、コレラ毒素、大腸菌毒素及びその突然変異トキソイドが含まれる。主にTh-1型応答を誘起するのに好適な特定のアジュバントには、例えばリピドA誘導体(モノホスホリルリピドA、又は好ましくは3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA等)が含まれる。MPL(登録商標)アジュバントはCorixa Corporation(Seattle, WA;例えば米国特許第4,436,727号; 4,877,611号; 4,866,034号及び4,912,094号参照)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(CpGジヌクレオチドが非メチル化されている)も主にTh1応答を誘導する。係るオリゴヌクレオチドは周知であり、例えばWO 96/02555、WO 99/33488及び米国特許第6,008,200号及び5,856,462号に記載されている。免疫刺激性DNA配列も、例えばSatoら(Science 273:352, 1996)によって記載されている。別の好適なアジュバントはサポニン(クイルA等)又はその誘導体(QS21及びQS7(Aquila Biopharmaceuticals Inc., Framingham, MA);エスシン(Escin);デジトニン(Digitonin);又はジプソフィラ(Gypsophila)若しくはケノポジウム・キノア(Chenopodium quinoa)のサポニンを含む)を含む。
【0075】
免疫原がDNAワクチン接種の形態で投与される本発明の実施形態では、組成物はさらにビヒクルを含み得る。例えば、ビヒクルは金ビーズであるか又は金ビーズを含む。本明細書に記載される他のビヒクル又は賦形剤も使用し得る。核酸構築物は送達のためにプラスミド内に製剤化し得る。
【0076】
治療用途
本発明の製剤は予防及び治療目的の両方に使用し得る。本発明の別の態様では、医療での使用のために本明細書に記載される組成物が提供される。
【0077】
本発明の調製物は、疾患を患い易いか又は疾患に罹患した哺乳動物を、全身経路又は粘膜経路を介して前記ワクチンを投与することによって予防又は治療することに使用し得る。これらの投与には、筋肉内、腹腔内、皮内若しくは皮下経路を介した注射;又は口道/消化管、若しくは気道への粘膜投与が含まれ得る。
【0078】
本発明の一態様では、疾患(例えば神経疾患又は自己免疫に関与する疾患)を、本発明のワクチンの投与によって治療する方法が提供される。本発明のワクチンは神経疾患(多発性硬化症若しくはギラン・バレー症候群、重症筋無力症等);腸疾患(クローン病等);並びに非限定的に全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、橋本甲状腺炎を含む甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、糖尿病、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、ライター症候群、グレーブス病及び乾癬を含む自己免疫に関与する疾患、に関連する臨床症状の予防、治療及び/又は改善に有用である。例えば、本発明のワクチンは以下の症状の1以上に関連する臨床症状の予防、治療及び/又は改善に使用できる:多発性硬化症;クローン病;甲状腺炎;及び慢性関節リウマチ。
【0079】
投与レジメン
ワクチンは任意の適切な投与レジメン(1回、2回、3回以上の投与レジメン)で送達し得る。初回ワクチン投与後、被験体は適切な間隔で1又は複数回の追加免疫接種を受けてもよい。かかるワクチン製剤は初回又は追加ワクチン接種レジメンのいずれかであってもよく、例えば、経皮、皮下若しくは筋肉内経路を介して全身的に投与してもよいし、又は例えば鼻腔内若しくは経口経路を介して粘膜面に適用してもよい。
【0080】
ワクチン組成物を原則として1回だけ、又は繰り返し(例えば1〜7回、例えば1〜4回、約1日〜約18ヶ月、例えば1ヶ月の間隔で)投与すべきものとすることが可能である。これは場合により、最大で患者の残りの生涯にわたって、1〜12ヶ月の一定間隔での投与によって続けられてもよい。例えば、初回ワクチン接種後、被験体は約4週間で追加免疫を受け、その後、感染又は疾患のリスクが存在する間、6ヶ月毎に繰り返し追加免疫される。本発明のタンパク質に対する免疫応答は、アジュバント及び/又は免疫賦活剤の使用によって増強される。
【0081】
本発明の一実施形態では、患者は初回/追加免疫レジメンにおいて、異なる形態で抗原を接種するだろう。したがって、例えば抗原がDNAベースのワクチンとして最初に投与され、続いてその後タンパク質アジュバントベースの製剤として投与されるか、又はその逆である。しかし繰り返すが、この治療レジメンは、関連する動物のサイズ及び種、投与される核酸ワクチン及び/又はタンパク質組成物の量、投与の経路、使用される任意のアジュバント化合物の効能及び用量並びに熟練した獣医師又は開業医に明らかであろう他の要素に応じて、かなり変化するだろう。
【0082】
各ワクチン回分中のタンパク質の量は、典型的なワクチン接種を受けたヒトに有意な副作用なく免疫防御反応を誘起する量として選択される。係る量は採用される特定の免疫原及びワクチンが補助される(adjuvanted)か否かに応じて変化するだろう。一般的に、各用量が1〜1000μgのタンパク質、例えば1〜500μg、例えば1〜200μg、例えば1〜100μg、又は例えば1〜50μgを含むだろうことが予想される。特定のワクチンの最適な量は、被験体中の抗体力価及び他の応答の観察を含む、標準的な研究によって確認することができる。もちろんより高いか又は低い用量範囲が正当である場合も個々の例であり得、これも本発明の範囲内である。
【0083】
本発明はこれから以下の非限定的な実施例及び図によって説明される。
【実施例】
【0084】
材料と方法
実施例1
ワクチンの調製と免疫処理
p35にヒスチジンをタグ付けしたマウスIL-12をFallarinoら, JI, 1996 156(3): p.1095-1100に記載されるように調製した。この産物を0.1M リン酸緩衝液(pH 6)中20 mMのグルタルアルデヒドで冷却しながら一晩反応させることによって、Ova又はヘルパーペプチドと結合させた。この反応はTris-HCl pH 9(0.1M 最終濃度)の添加により停止し、生じた産物をPBSに対して透析した。Ovaへの結合のために、IL-12サブユニット当たり1/1モル比を用いた。強力なMHCクラスII結合のために選択した合成ヘルパーペプチドはPan DRエピトープペプチド(PADRE)(aKXVAAWTLKAAC)、及び破傷風ペプチド(CQYIKANSKFIGITEL)又は(cFNNFTVSFWLRVPKVSASHLE)を含んだ(Alexanderら, Immunity, 1994. 1(9): p. 751-61参照)。これらはIL-12サブユニット当たり5個のペプチドの比率で結合した。
【0085】
別の複合体は、マレイミド活性化担体(Ova、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)又は製造者プロトコールに従ってカチオン化したBSA(Pierce, IL, USA)を含む)とのコンジュゲーション前に、IL-12中のスルフヒドリル基に2−イミノチオラン(Traut's reagent)との反応を介して導入することによって調製した。
【0086】
ワクチンを以下のアジュバントの1つ:フロイントの完全アジュバント(CFA);リポソーム/3D-MPL/QS21(GSK);Immun-Easy Mouse Adjuvant (Qiagen, Valencia, Ca); ホスホロチオエート修飾を含むCpGオリゴデオキシヌクレオチド 1826 (5'-TCCATGACGTTCCTGACGTT-3')(Ballasら, JI 2001 167(9) p4878-86);及びSB62’c、3D-MPLを含むアジュバント、水中油型乳剤及びサポニン(ここで、オイルは代謝性油であり、代謝性油:サポニンの比(w/w)は1:1〜200:1の範囲である(GSK、その全体の教示は参照により本明細書に組み入れるWO99/11241に記載される))共に皮下投与又は筋肉内投与した。
【0087】
実施例2
抗IL-12抗体の評価
ELISAによる抗IL-12抗体の検出のために、Maxisorb Nunc-Immunoplates(Nalge Nunc International,Hereford, U. K.)を、20mM グリシンバッファー(pH 9.3)中、IL-12又はBSA(対照)(いずれも5μg/ml)でコートした。PBS中1%BSAでのブロッキング後、ブロッキングバッファーで希釈した血清をプレートに添加し、37℃で2時間インキュベートした。洗浄後、ペルオキシダーゼ結合型ヤギ抗マウスIgG(Transduction Laboratories, Lexington KY)、その後のUltra-TMB基質(Pierce, Rockford, IL, USA)を用いて結合した抗体を検出した。
【0088】
これらの抗血清の特異性を、IL-12をコートしたプレートでのインキュベーション前に、適切に希釈したサンプルをいずれも1μg/mlでIL-12ヘテロ二量体又はP40ホモダイマー(R & D, Minneapolis)と共にプレインキュベートすることによってさらに分析した。
【0089】
IL-12活性の阻害を、C57Bl/6脾臓細胞から調製したConA-ブラストのIL-12誘導型増殖の阻害を、Schoenhaut(Schoenhautら, JI, 1992. 148(11) p3433-40)に従って試験することによって、in vitroで測定した。あるいは、マウスIL-12レセプター(Jean-Christophe Renauld博士(LICR, Brussels Branch)の贈与物)でトランスフェクトした104個のBaf3細胞を96ウェルプレート(10% FCSを含む200μl DMEM)に入れ、トリチウム化したチミジンの添加の48時間後、最後の16時間の間に測定した。阻害力価を1ng/ml IL-12の50%阻害を生じる逆(reciprocal)血清希釈として算出した。
【0090】
実施例3
抗IL-12で免疫処理したマウスのin vitroでのIL-12活性の評価
抗IL-12-PADRE又はビヒクルで免疫処理したC57Bl/6マウスを500ngのIL-12で3日間連続で処理した。最後の注射後一日で、血液を収集し、IFNγ血清濃度を測定した。
【0091】
実施例4
実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)の誘導
EAEは、水中油型乳剤及びサポニンを含む(オイルは代謝性油であり、代謝性油:サポニンの比(w/w)は1:1〜200:1(GSK)の範囲である)アジュバント中のIL-12-PADRE複合体で、又はアジュバントのみで予め免疫処理したSJL及びC57Bl/6マウスで誘導した。SJLでは、200μgのマイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)(Difco Lab., Detroit, MI)と共に2×50μlで尾の基部に注射した、及び2×50μlアリコートで側腹部に皮下注射した、CFA中の150μgのプロテオリピドタンパク質(PLP)ペプチド139-151(HCLGKWLGHPDKF)を用いて、Weinberg(Weinbergら, JI, 1999. 162(3) p1818-26)に従ってEAEを誘起した。C57Bl/6では、100μgのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)ペプチド35-55(MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK)を、800μgのマイコバクテリウム・ブチリカムを含むCFAにおいて注射した(尾の基部に2×50μlの皮下注射)。次いで、マウスに1%NMSを含む100μlのPBS中の300ngの百日咳毒素(Calbiochem)を静脈注射した。百日咳毒素の注射は、Salvinによって記載されるプロトコール(Slavinら, Autoimmunity, 1998. 28(2) p109-20)に従って48時間後に反復した。疾患をHeremans(Heremansら, Eur Cytokine Netw, 1999. 10(2) p171-80)に従って体重の測定及びEAEスコアリングによって評価した。
【0092】
実施例5
PLPペプチドに対する抗体応答の測定
抗PLP IgG1及びIgG2a抗体をPLPペプチドを2μg/mlでコートしたMaxisorbプレートで試験した。1%BSAによるブロッキング後、連続的な血清希釈物を2時間インキュベートし、洗浄後、HRP(IMEX , Brussels, Belgium)と結合した抗IgG1(LOMG1)又は抗IgG2a(LOMG2a)ラット抗体を添加した。BSAでコートした平板はごくわずかなシグナルを生じた。
【0093】
EAE誘導後5〜14週間で収集した漆窩リンパ節をPLPを用いて72時間in vitroで刺激し、IFNγをそれぞれELISA(Biosource Europe Fleurus Belgium)又はバイオアッセイによって測定した。
【0094】
実施例6
ELISA
培養物上清のIFNγ濃度をサンドイッチELISAによって測定した。上清及び適当なサイトカイン標準(PharMingen, San Diego, CA)を3倍連続希釈で用いた。精製されたビオチニル化抗体をPharMingenから購入した。検出はアルカリホスファターゼ結合したストレプトアビジンを用いて行った(Southern Biotechnology, Birmingham AL)。IFNγの検出限界は46pg/mlであった。血清サンプル及び適当な免疫グロブリン標準(Southern Biotechnology, Birmingham, AL)を3番連続希釈で用いた。検出限界はIgG1については5ng/mlであり、IgG2aについては0.1ng/mlであった。総IgEを、コーティングについてmAbs 84.1Cを用い、検出についてアルカリホスファターゼ標識したEM95.3を用いて測定した。IgEの検出限界は10ng/mlであった。
【0095】
結果
実施例8
抗IL-12自己抗体の誘導
グルタルアルデヒドを用いてOvaと結合し、かつCFA中で乳化されたマウスIL-9によるマウスの免疫処理は、抗IL-9自己抗体の産生を誘発し、これはIL-9活性のin vivoでの有効な抑制に導く(Richardら, PNAS USA, 2000. 97 p767-772.)。しかし、IL-12用いてなされた同様の試行はうまくいかなかった。こうして、本発明者らはアジュバントをリポソーム/3D-MPL/QS21(GSK)に変えた。C57Bl/6マウスにおいて、これはELISAにより評価される有意な抗体力価の産生(図1A)とConA活性化T細胞のIL-12誘導型増殖の阻害(図1B)を生じた。この阻害の特異性はIL-2に対して同様に調製したブラストの応答が減少していないことによって証明された。
【0096】
これらの結果は上記免疫処理のためのアジュバントの重要性を強調した。したがって、本発明者らは免疫刺激性を有する他の幾つかの生成物(SB62’c(GSK);CpGを基礎とする市販(Qiagen)のアジュバントImmunEasy;及びCpG 1826、CpGモチーフを含むホスホロチオエート修飾したDNAを含む)を試験した。図2Aに示されるように、SB62’cはQS21又は3D-MPLを含まないアジュバントにより得られるよりも約10倍優れた応答を誘導した。同じ図でPADRE及び破傷風ヘルパーペプチドと結合したIL-12で得られた結果が示される。これらの複合体はIL-12-Ovaで得られたものと本質的に同一の結果を生じ、これは有効なワクチンはヘルパーペプチドの直接的な付加によって得ることができることを示唆している。
【0097】
グルタルアルデヒドを用いるよりもしばしばより洗練された非常に多くの方法がタンパク質架橋向けに開発されている。1つは目的のタンパク質に遊離のスルフヒドリル基を導入することであり、これはマレイミド置換型担体との反応を確実にする。係る複合体は、マレイミド置換型Ova、KLH又はcBSAとの架橋前にこのタンパク質をトラウト試薬と反応させることにより、IL-12と共に調製した。比較のために、マウスをグルタルアルデヒドと共に作製したIL12-OVA複合体で同様に免疫処理した。図2Bに示されるように、Ovaと結合したIl-12はいずれの方法も同一の結果を生じた。しかし他の担体は効果がなかった。これらの結果は、外来の担体タンパク質と結合したIL-12の単なる注射は、強力なアジュバントを伴うものであっても自己寛容を体系的に中断しないが、担体とアジュバンドの適切な組合せが有意な応答を誘導するために必要とされることを証明する。
【0098】
抗IL-12ワクチン接種の反応速度の分析は、中和力価が複数回の注射(通常は4又は5回)後にのみ観察され、最後の免疫処理後数週間の間に力価は増加し続け、無制限の期間で維持されたことを示した(図2C)。
【0099】
実施例9
抗IL-12抗体の特異性
免疫処理に使用される複合体は、組換えIL-12p70(p40-p35ヘテロ二量体)と共に作製した。抗血清はIL-12p70をコートしたプレートに結合する抗体を示したので、競合実験を実施してそのp40対p70との相対的相互作用を分析した。適切に希釈した血清をIL-12をコートしたプレートへの転移前にIL-12 p70又はp40ホモダイマーと共にインキュベートした。P40ダイマー及びIL-12ヘテロ二量体は共に同等の阻害活性を有し、これは大部分の抗IL-12抗体がp40サブユニットと反応したことを示す(図3)。
【0100】
実施例10
in vivoでもはやIL-12に応答しない抗IL-12ワクチン接種したマウス
正常なマウスへのIL-12の反復投与は、血清中のIFNγレベルの上昇を誘導する(Gatelyら, Int Immunol, 1994 6(1) p157-67)。本発明者らはこの手順を用いて抗IL-12ワクチン接種の機能的有効性を評価した。図4に示されるように、3日間連続でIL-12を注射した後、IFNγレベルは対照マウスではng/mlの範囲であったが、抗IL-12でワクチン接種した動物では検出不能なレベル(<0.03 ng/ml)を維持した。
【0101】
実施例11
抗IL-12ワクチンはEAE誘導を妨げる
PLPペプチドを用いた免疫処理によるEAEの誘導前に、SJLマウスをSB62’cアジュバントの存在下でIL-12-PADREペプチド又はビヒクルで免疫処理した。4回の注射後、逆抗IL-12中和抗体力価は6,513±2,012であった。図5に示されるように、EAE症状は対照のアジュバント処理マウスで12日目から現れ、20日付近でピークとなり(1個体の動物は17日目に死亡した)、その後徐々に減退したが、3分の1の動物は1ヶ月後も依然として検出可能であった。抗IL-12でワクチン接種したマウスでは、わずかな疾患の徴候のみが検出され、全てのマウスが生存した。さらに、PLP誘導型EAEの別の特徴である体重の減少をワクチン接種した動物では完全に欠いた。注目すべきは、SB62’cの単独での投与が単にPBSを受けたマウスと比較してわずかに防御活性を有したことである。
【0102】
IL-12ワクチン接種の防御効果を、IFNγ産生の抑制及び抗PLP抗体IgGサブクラスの変化を暗示すべく予測した。
【0103】
抗PLP IgG1及びIgG2a抗体の分析は、IgG1抗PLP力価の明らかな増加(p<0.001)及びIgG2aの減少(これは統計的有意性の極限であった(p=0.052))を示した(図6A)。総合して、これらの結果はIL-12ワクチン接種が抗PLP応答の根本的な変化を誘導することをはっきりと示している。
【0104】
先の仮説はPLPペプチドによりin vitroで刺激したリンパ節細胞を用いて試験した。IFNγ濃度は、8個体のIL-12でワクチン接種したマウスで430±139pg/mlであり、9個体のSB62’c対照で1939±634であった(P=0.0079 マンホイットニー)。EAE誘導後5〜14週間で収集した漆窩リンパ節(IL-12-PADRE及びSB62’c群における8及び9個体のマウス)をPLPペプチドによりin vitroで刺激した。IFNγ濃度を3日後に測定した(図6B)。
【0105】
抗IL-12ワクチン接種がMOGペプチドを用いた免疫接種によって誘導されるより侵攻性のEAE形態をも予防するか否かを試験するために、19,577±3,792の逆阻害力価を有するMOGを用いた免疫処理前に、C57Bl/6マウスをSB62’cの存在下でIL-12-PADRE複合体でワクチン接種した。極端に上昇したEAEスコアが対照群で示され、この集団の15個体のマウスの内の2個体はそれぞれ26日及び33日後に死亡した。抗IL-12でワクチン接種したマウスは、体重の減少だけなく、2〜3日の遅発性及び最大疾患スコアの低減を示した。さらに、これらのマウスで死亡した個体はなく、11/15は完全な回復を示した(これは4/15の対照でのみ生じた(フィッシャーの統計によりp=0.027))。またMOG誘導型EAEでは、PBS処理マウスと比較してSB62’cの防御効果が存在した。これは特に体重の回復を引き起こし、この回復は1週間以上高められた。
【0106】
本発明者らのワクチンの効能をさらに評価し、かつそれを抗IL-12抗体の投与によって取得された結果と比較するために、ある追加の群を先のMOG実験に含ませた。この群は、NODマウスでEAEを阻害することが既に示されている(Ichikawaら, J Neuroimmunol, 2000. 102(1) p56-66)ラット抗p40抗体であるC17.8の反復注射を受けた。表1に示されるように、C57Bl/6マウスの平均体重減少及びEAEスコアは、これらの抗体によりIL-12-PADREワクチンで観察されたのと同様のレベルまで低減された。この図は1群当たり15個体のC57Bl/6マウスにおいて9日目から51日目に作成した14個の測定値に対応する。確率はマンホイットニーのノンパラメトリック統計によって算出した。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1Aは、IL-12-Ovaを免疫処理したC57Bl/6マウスのリポソーム、3D-MPL及びQS21を含むアジュバントの存在下での結果を示す。図1Bは、ConAブラストが対照又は抗IL-12-Ova血清の存在下でIL-12又はIL-2と共にインキュベートされたConA活性化T細胞のIL-12誘導型増殖の阻害の結果を示す。48時間後、チミジンの取り込みを判定した(1群当たり5個体のマウスについて平均±SEM)。
【図2A】図2Aは、異なるアジュバントの存在下、Ova又はTヘルパーペプチド(PADRE若しくは破傷風)と結合したIL-12で免疫処理したC57Bl/6マウスを示す。IL-12阻害活性をIL-12-RでトランスフェクトしたBaF3細胞で試験した。
【図2B】図2Bは、IL-12-PADRE複合体で免疫処理したC57Bl/6マウス中の抗IL-12力価の持続性を示す。
【図3】図3は、IL-12でコートしたプレートへの転移前にIL-12ヘテロ二量体又はIL-12 p40ホモダイマーと共にプレインキュベートした、IL-12 PADRE複合体でワクチン接種したマウス由来の血清を示す。結合した抗体はヤギ抗マウスIgを用いて検出した。
【図4】図4は、抗IL-12でワクチン接種したマウスにおけるIL-12によるIFNγ誘導の阻害を示す。SB62’cアジュバント中のIL-12-PADRE複合体でワクチン接種したC57Bl/6マウスを3日間連続で500ngのIL-12で処理した。最後の注射後24時間で、IFNγ濃度を血清中で測定した。
【図5】図5は、抗IL-12でワクチン接種されたマウスでEAE重篤度が低減したことを示す。AS2V中のIL-12-PADREで予めワクチン接種した、又はアジュバント若しくはPBSのみのいずれかで処理した、13個体のSJLマウス群(A及びB)をEAE誘導用のPLPペプチドで免疫処理した。同様にワクチン接種した15個体のC57Bl/6マウスの対照群(C及びD)をMOG脳炎誘発性ペプチドで処理した。平均EAEスコア及び体重が示される。SJLマウスに関する双方の読み出しにおける差異は非常に有意であった(いずれの時点においてもp<0.003(マンホイットニー))。MOG誘導型EAEについては、体重における差異が26日目(P=0.06)を除く全ての時点で有意であった(p<0.5)。MOG誘導型疾患については、EAEスコアは11日目、14日目及び36日目から実験の終わりまで有意な差異を示した。体重減少は11、14、16、18、21、23、30、33及び36日目で有意に減少した。
【図6A】図6Aは、IgG1及びIgG2a抗PLP抗体の検出を示す。IL-12-PADRE中のPLP誘導型EAEの停止時に収集したSJLマウス(1群当たり12個体のマウス)又はビヒクル+SB62’cでワクチン接種した動物由来の血清の連続希釈物をPLPをコートしたプレート上でインキュベートした。結合した抗体をサブクラス特異的抗体を用いて検出した。
【図6B】図6Bは、PLPペプチドによりin vitroで刺激したリンパ節細胞におけるIFNγ濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)IL-12、IL-23又はそのサブユニット若しくは成分及び(ii)担体を含む免疫原と、
(b)コレステロール、水中油型乳剤、低用量の水中油型乳剤、トコフェロール、リポソーム、QS21及び3D-MPLの1以上を含むアジュバントと、
を含む免疫原組成物。
【請求項2】
免疫原がIL-12のP35サブユニットを含む、請求項1に記載の免疫原組成物。
【請求項3】
免疫原がIL-12又はIL-23のP40サブユニットを含む、請求項1に記載の免疫原組成物。
【請求項4】
免疫原がP35又はP40の少なくとも1つの表面エピトープを含む、請求項2又は3に記載の免疫原組成物。
【請求項5】
担体が、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、破傷風毒素(TT)、ジフテリア毒素(DT)、TTのフラグメントCのドメイン1、DTの転座ドメイン、Hep Bコアタンパク質、PADRE、P2及びP30の1以上を含む、請求項1に記載の免疫原組成物。
【請求項6】
成分(i)が直接的な共有結合によって担体と結合されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫原組成物。
【請求項7】
成分(i)が担体と融合されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫原組成物。
【請求項8】
アジュバントがリポソーム、3D-MPL及びQS21を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原組成物。
【請求項9】
アジュバントが低用量の水中油型乳剤、3D-MPL及びQS21を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原組成物。
【請求項10】
アジュバントが低用量の水中油型乳剤、3D-MPL及びQS21を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原組成物。
【請求項11】
アジュバントが水中油型乳剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原組成物。
【請求項12】
免疫原(a)とアジュバントとを混合することを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫原組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原組成物を、製薬上許容される賦形剤、アジュバント又はビヒクルとの組合せで含む、ワクチン組成物。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫原組成物と、製薬上許容される賦形剤、アジュバント又はビヒクルとを混合することを含む、請求項13に記載のワクチン組成物の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫原組成物又は請求項13に記載のワクチン組成物の投与により、疾患又は障害、特に自己免疫に関与する疾患を予防する又は治療する方法。
【請求項16】
疾患又は障害、特に自己免疫に関与する疾患又は障害の予防、療法又は治療のための医薬の製造における、請求項1〜11及び13のいずれか1項に記載の免疫原組成物の使用。
【請求項17】
医薬又は組成物が、哺乳動物の疾患又は障害の予防、療法又は治療用である、請求項15に記載の方法又は請求項16に記載の使用。
【請求項18】
医薬又は組成物がヒトの疾患又は障害の予防、療法又は治療用である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項19】
医薬又は組成物が、多発性硬化症、クローン病、甲状腺炎又は慢性関節リウマチの予防、療法又は治療用である、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の免疫原と、コレステロール、水中油型乳剤、低用量の水中油型乳剤、トコフェロール、リポソーム、QS21及び3D-MPLの1以上を含むアジュバントとを含むキット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2007−513992(P2007−513992A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544346(P2006−544346)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014379
【国際公開番号】WO2005/058349
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(397062700)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (37)
【出願人】(504378951)ルドウイッヒ インスティテュート フォア キャンサー リサーチ (2)
【Fターム(参考)】