説明

自己分解タンパク質インテインを使用することによる標的組換えタンパク質を精製するための方法およびキット

自己分解タンパク質インテインを使用する組換えタンパク質の精製のための方法であって;宿主細胞において標的タンパク質ドメイン、自己分解インテインおよび1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインを含む融合タンパク質を組換え的に発現させ(該自己分解インテインは該標的タンパク質ドメインおよび該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメイン間に位置する);宿主細胞から該融合タンパク質を放出させ、次に疎水性顆粒をそれに加え、それらをインキュベートし;インキュベートした疎水性顆粒を回収し、融合タンパク質の自己分解インテインが自己分解できるように溶解バッファーを加え;疎水性顆粒を分離および除去し、実質的に精製されている標的タンパク質溶液を得る工程を含む方法を提供する。該方法に有用なキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、組換えタンパク質の精製、特に、自己分解タンパク質インテインを使用することによる標的組換えタンパク質の精製のための方法およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
現在、タンパク質発現技術は十分に開発されている。多数のオリゴペプチドおよびポリペプチドを生産することができる。しかしながら、これらの産物、例えば、生物学的分野における種々の酵素および臨床用途のための種々のタンパク質医薬は、通常、さらなる適用のためにさらなる精製をしなければならない。伝統的なタンパク質精製方法において、クロマトグラフィーによるいくつかの分離工程が必要であり、そして、異なる最適化プロトコールが異なるタンパク質に対して必要である。加えて、それぞれの工程は、時間がかかり、面倒であり、比較的高価である。さらに、分離および精製の複数の工程は標的タンパク質の収率を大きく減少させる。得られるタンパク質の活性にも、ある程度影響する。
【0003】
今日までに市販されているアフィニティー精製システムは精製工程が非常に簡略化されたが、しかしながら、付加的なアフィニティータグセグメント、例えば、6 His−タグを標的タンパク質に加えなければならない。あるタグ−リムーバブル精製システムにおいて、アフィニティー吸着セグメントを標的タンパク質から開裂するために、高価なプロテアーゼが必要である。しかしながら、このような状況において、得られた標的タンパク質は使用されるプロテアーゼにより汚染され、これらの分離は他の分離工程を必要とする。加えて、プロテアーゼは標的タンパク質内に非特異的開裂をもたらし、標的タンパク質を不活性化させ得る(Guan C. et al., Gene 67 (1987) 21-30; Martinez et al., Biochem. J. 306 (1995) 589-597)。
【0004】
インテインとして知られている自己分解タンパク質は、NEBにより生産されたIMPACT−TWINシステムおよびIMPACT−CNシステムに包含されている(New England Biolabs, 240 County Road, Ipswich, MA 01938-2723, United States)。インテインは、25℃、pH6.0−7.0または4℃、pH8.0−8.5にて、40mMのメルカプトエタノールの存在下でそれ自体および標的タンパク質間の分解を誘導し、したがって精製されたタンパク質を得ることができる(Evans T. C. et al., J. Biol. Chem. 274 (1999) 18359-18363; Evans T. C. et al., J. Biol. Chem. 274 (1999) 3923-3926; Mathys S. et al., Gene 231 (1999) 1-13; Southworth M. W. et al., Biotechniques 27 (1999) 110-121.)。このようなシステムは伝統的なタンパク質精製方法における多数の欠点を克服するが、しかしながら、比較的低い効率および高価なキチンクロマトグラフィーカラムの使用のため、未だ大規模生産に適当ではない。
【0005】
ポリヒドロキシアルカン酸(以下、略語PHA)は、炭素源およびエネルギー源の貯蔵のための不均衡の培養条件下(例えば、窒素、酸素、リン、マグネシウムなどの不足下)で多数の微生物により合成されるポリマーである(Doi et al., Microbial. 69 (2002) 2498-2504; Anderson et al., Microb. Rev., 54 (1990) 450-472; Lee et al., Biotech. Bioeng., 49 (1996) 1-14)。それは、不溶性の脂肪顆粒の形態にて、種々のPHAを生産する細菌の細胞に存在する。PHA顆粒はPHAシンターゼ(PhaC)、PHAデポリメラーゼ(PhaZ)、顆粒関連タンパク質(PhaP/phasin)、リプレッサータンパク質(または自己調節因子、略語PhaR)、リン脂質単分子層などからなる単分子層膜により覆われていることが報告された(Steinbuechel et al., Can. J. Microbiol. 41 (1995) 94-105; York et al., J. Bacteriol. 183 (1002) 2394-2397; Yamada et al., J. Bacteriol. 189 (2007) 1118−1127)。
【0006】
PHA顆粒は、タンパク質発現のための多数の典型的な株、例えば、大腸菌(Fidler et al., FEMS Microbiol. Rev. 9 (1992) 231-235)、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Leaf et al., Microbiology 142 (1996) 1169-1180)、ピキア・パストリス(Poirier et al., FEMS Microbiol. Lett. 207 (2002) 97-102)などにおいて成功裏に生産された。PHA−合成に関する遺伝子を含むプラスミドでこれらの株を形質転換すると、PHA顆粒が通常ではない程度で合成される。
【0007】
Banki et al.は、タンパク質精製のための新たな恩恵を提供し、タンパク質精製システムの低コストの生産に大きく寄与する、PHA顆粒に基づくタンパク質精製システムを発明している。このシステムにおいて、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)−合成遺伝子を含むプラスミドおよびPPPI:M(Phasin−Phasin−Phasin−インテイン−MBD)(マルトース結合タンパク質のマルトース結合ドメイン、略語MBD)を含むプラスミドの両方で、大腸菌を同時に形質転換させる。発現される融合タンパク質 PPPI:Mは、PHA顆粒に吸着するPhasinの能力によって、細胞におけるPHA顆粒に結合する。超音波破壊後、純粋なPHA顆粒をスクロース勾配遠心分離により得る。自己分解タンパク質インテインおよびMBDは、pH6.0および18−23℃にて分解および分離を引き起こす。さらなる遠心分離後、標的タンパク質は上清から高純度にて達成される(Banki et al., Protein Sci. 14 (2005) 1387-1395; Banki et al.、US公開第US2006/0141570A1号(これらを出典明示により全体を本明細書に包含させる))。この方法の主な利点は、高価なアフィニティーカラムおよびプロテアーゼを使用することなく大規模にて精製されたタンパク質の生産を可能にし、精製のための費用を大きく減少させることである。しかしながら、このような方法の適用は、以下の理由のためある程度限定される:PHAおよび融合タンパク質は同じ宿主細胞にて発現すべきである;融合タンパク質およびPHA顆粒の結合を、複雑な操作を必要とする原核生物の細菌細胞内で起こす;および、PHAを生産することができる株が限定される。加えて、純粋なPHA顆粒は、処理が難しく、そして精製費用が増加するスクロース勾配遠心分離により得られる。さらに、臨床用途のためのタンパク質医薬は、活性化されるための翻訳後修飾を受ける必要があり、ほとんど真核生物細胞由来である。しかしながら、PHAを生産することができる真核細菌、例えば、酵母菌は、有効なタンパク質単離を可能にするために十分でない非常に低い収率にてPHAを生産する。これらの因子は、特に医薬の開発においてこのようなシステムの適用を限定する。
【0008】
PHAデポリメラーゼ(PhaZ)は2つの機能性ドメイン、基質結合ドメイン(略語SBD)および触媒ドメインを含む。試験によって、これらの2つのドメインがリンカー領域により分離され、独立して機能することが示されている(Hisano et al., J. Mol. Biol. 356 (2006) 993-1004)。Lee et al.は、PhaZのSBDを緑色蛍光タンパク質EGFPと融合させて発現させ、PHBミクロスフェア顆粒上に固定させた(Lee et al., Anal. Chem. 77 (2005) 5755-5759)。PhaZのSBDが良い吸着タグであり得ることが示唆される。
【0009】
PHA合成のリプレッサータンパク質であるPhaRは、PHA顆粒の形成前のphaP遺伝子およびphaR遺伝子のプロモーター領域に結合し、したがって両方の遺伝子の発現を抑制することができる。PHA顆粒の段階的な形成と共に、リプレッサータンパク質PhaRはプロモーターから分離され、次にPHA顆粒に結合する(Maehara et al., J. Bacteriol. 184 (2002) 3992-4002)。phaR遺伝子変異における試験は、リプレッサータンパク質PhaRが、また、2つの独立の機能性ドメイン、DNA結合ドメインおよび基質結合ドメインを含むことを示す(Yamada et al., J. Bacteriol. 189 (2007) 1118-1127)。PHB表面に加えて、PhaRは、ポリエチレン、ポリスチレンおよびポリ乳酸の表面上に吸着することができ(Yamashita et al., Biomacromolecules, 7 (2006) 2449-2454)、これはPhaRおよびPHB間の結合は非特異的であり、恐らく疎水性相互作用によるのみであることが証明される。
【0010】
したがって、未だ、簡単に操作され、コスト的に有効であり、大規模生産のために適当である、組換えタンパク質を精製するための方法を開発することが望まれている。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明の目的は、迅速に、効率的に、安価に操作することができ、大規模生産のために適当であり、それによって、例えば、あまりにも多数の工程であり、複雑な操作であり、高い費用がかかり、小規模生産のためのみに適当である現在使用されているタンパク質精製システムの不利益を克服し、高価な物質、例えば、アフィニティーカラムおよびプロテアーゼを使用することを避けることができるタンパク質精製システムを開発することである。
【0012】
したがって、1の局面において、本発明は、組換え標的タンパク質を精製するための方法であって:
(1)宿主細胞において融合タンパク質を組換え的に発現させ(該融合タンパク質は標的タンパク質ドメイン、自己分解インテインおよび1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインを含み、そして該自己分解インテインは該標的タンパク質ドメインおよび該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメイン間に位置する);
(2)該宿主細胞から該融合タンパク質を放出させ、該融合タンパク質を含有する溶液を得;
(3)疎水性顆粒を該溶液に加え、該融合タンパク質と該疎水性顆粒との結合が可能である条件下で溶液をインキュベートし;
(4)インキュベートした疎水性顆粒を該溶液から回収し;
(5)溶菌液を該疎水性顆粒に加え、該融合タンパク質における自己分解インテインが分解することが可能である条件下で該疎水性顆粒を処理し;そして
(6)該疎水性顆粒を除去し、実質的に精製されている該標的タンパク質を含有する溶液を得る
工程を含む方法を提供する。
【0013】
該方法は、工程(4)後に該疎水性顆粒を洗浄する任意の工程をさらに含み得る。
【0014】
他の局面において、本発明は、組換え標的タンパク質を精製するためのキットであって:宿主細胞において融合タンパク質を組換え的に発現させるための発現ベクター(該融合タンパク質は標的タンパク質ドメイン、自己分解インテインおよび1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインを含み、そして自己分解インテインは該標的タンパク質ドメインおよび該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメイン間に位置する);および疎水性顆粒を含むキットを提供する。
【0015】
本発明の方法は、Banki et al.のPHA顆粒−ベースのタンパク質精製システムの不利益を克服することができる。本発明の方法において、PHAの生産および融合タンパク質の発現は独立して行われる。原核生物タンパク質は原核生物細胞において発現させることができるが、真核生物タンパク質は真核細胞において発現させることができる;次に融合タンパク質はインビトロにおいて疎水性顆粒に結合することができ、これは精製方法の適用の範囲を拡張する。本発明において、疎水性顆粒は、安価で容易に利用できる一般的に使用される疎水性物質、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリ乳酸などから作られ、したがって精製方法の適用の範囲を拡張する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、吸着タグとして親油性タンパク質を使用することによる組換えタンパク質精製技術の方法を説明する
【0017】
【図2】図2は、大腸菌において原核生物的に発現される融合タンパク質のプラスミドマップを説明する。該マップにおいて、“T7プロモーター”はT7プロモーターを示し;“T7ターミネーター”はT7ターミネーターを示し;“SD配列”はリボソーム結合部位(SD配列)を示し;“lacオペレーター”はラクトースオペレーターのオペレーター遺伝子を示し;“laqI”はリプレッサーを発現する遺伝子を示し、そして“Ssp DnaB インテイン”はシネコシスティス種PCC6803由来のインテインを示す。
【0018】
【図3】図3は、ピキア・パストリスにより真核生物的に発現される融合タンパク質のプラスミドマップを説明する。“起点”の用語は複製の起点を示し;“α−ファクター”はα−ファクターを示し;“ORM1”はヒトα1−酸糖タンパク質を示し;そして“Mth RIR1 インテイン”はメタノサーモバクター・サームオートトロフィカス由来のインテインを示す。
【0019】
【図4】図4は、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−コ−3−ヒドロキシヘキサン酸)(PHBHHx)疎水性顆粒に関するSEM図を表す。
【0020】
【図5】図5は、疎水性顆粒結合ドメインが2つの異なる顆粒関連タンパク質PhasinからなるpP’PI−EGFPのプラスミドマップを説明する。
【0021】
【図6】図6は、プラスミドpPI−EGFPを使用することにより精製された緑色蛍光タンパク質(EGFP)のSDS−PAGE電気泳動パターンを表す。M:タンパク質分子量標準;1:非誘導全細胞;2;誘導全細胞;3:細胞分解後に得られる上清;4:顆粒への結合後に得られる上清;5:結合したタンパク質を有する顆粒;6:第1の溶離剤;7;第2の溶離剤;8:インテイン分解後に得られる顆粒;9:標的タンパク質、EGFP。
【0022】
【図7】図7は、pPI−lacZのプラスミドマップを説明する。
【0023】
【図8】図8は、プラスミドpPI−lacZを使用することにより精製されたβ−ガラクトシダーゼのSDS−PAGE電気泳動パターンを表す。M:タンパク質分子量標準;1:非誘導全細胞;2;誘導全細胞;3:細胞分解後に得られる上清;4:顆粒への結合後に得られる上清;5:結合したタンパク質を有する顆粒;6:第1の溶離剤;7;第2の溶離剤;8:インテイン分解後に得られる顆粒;9:標的タンパク質、β−ガラクトシダーゼ。
【0024】
【図9】図9は、pPI−phaCのプラスミドマップを説明する。
【0025】
【図10】図10は、プラスミドpPI−phaCを使用することにより精製されたPHAシンターゼ(PhaC)のSDS−PAGE電気泳動パターンを表す。M:タンパク質分子量標準;1:非誘導全細胞;2;誘導全細胞;3:細胞分解後に得られる上清;4:顆粒への結合後に得られる上清;5:結合したタンパク質を有する顆粒;6:第1の溶離剤;7;第2の溶離剤;8:インテイン分解後に得られる顆粒;9:標的タンパク質、PhaC。
【0026】
【図11】図11は、pRI−EGFPのプラスミドマップを説明する。
【0027】
【図12】図12は、プラスミドpPI−EGFPを使用することにより精製された緑色蛍光タンパク質(EGFP)のSDS−PAGE電気泳動パターンを表す。M:タンパク質分子量標準;1:非誘導全細胞;2;誘導全細胞;3:結合後に得られる上清;4:第1の溶離剤;5:第1の洗浄後に得られる顆粒;6:第2の溶離剤;7:第2の洗浄後に得られる顆粒;8:標的タンパク質、EGFP;9:分解後に得られる顆粒。
【0028】
【図13】図13は、pSBDI−EGFPのプラスミドマップを説明する。
【0029】
【図14】図14は、pPI−taqのプラスミドマップを説明する。
【0030】
【図15】図15は、pPI−malEのプラスミドマップを説明する。
【0031】
【図16】図16は、プラスミドpPI−malEを使用することにより精製されたマルトース結合タンパク質(MBP)のSDS−PAGE電気泳動パターンを表す。M:タンパク質分子量標準;1:非誘導全細胞;2;誘導全細胞;3:細胞分解後に得られる上清;4:顆粒への結合後に得られる上清;5:結合したタンパク質を有する顆粒;6:溶離剤;7:インテイン分解後に得られる顆粒;8:標的タンパク質、MBP。
【0032】
【図17】図17は、pPI−GSTのプラスミドマップを説明する。
【0033】
【図18】図18は、pPI−lucのプラスミドマップを説明する。
【0034】
【図19】図19は、PHAシンターゼ(PhaC)を吸着タグとして使用したpCI−EGFPのプラスミドマップを説明する。
【0035】
【図20】図20は、疎水性顆粒結合ドメインが3つの顆粒関連タンパク質PhasinからなるpPPPI−EGFPのプラスミドマップを説明する。
【0036】
【図21】図21は、疎水性顆粒結合ドメインが2つの異なる親油性タンパク質、PhaZのSBDおよびPhasinからなるpPSI−EGFPのプラスミドマップを説明する。
【0037】
【図22−27】図22−27は配列番号:1−10の核酸配列を表す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
1の局面において、本発明は、組換え標的タンパク質を精製するための方法であって:
(1)宿主細胞において融合タンパク質を組換え的に発現させ(該融合タンパク質は標的タンパク質ドメイン、自己分解インテインおよび1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインを含み、そして該自己分解インテインは該標的タンパク質ドメインおよび該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメイン間に位置する);
(2)該宿主細胞から該融合タンパク質を放出させ、該融合タンパク質を含有する溶液を得;
(3)疎水性顆粒を該溶液に加え、該融合タンパク質と該疎水性顆粒との結合が可能である条件下で溶液をインキュベートし;
(4)インキュベートした疎水性顆粒を該溶液から回収し;
(5)溶菌液を該疎水性顆粒に加え、該融合タンパク質における自己分解インテインが分解することが可能である条件下で該疎水性顆粒を処理し;そして
(6)該疎水性顆粒を除去し、実質的に精製されている該標的タンパク質を含有する溶液を得る
工程を含む方法を提供する。
【0039】
該方法は、工程(4)後に該疎水性顆粒を洗浄する任意の工程をさらに含み得る。
【0040】
組換え融合タンパク質の発現は、該融合タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを該宿主細胞に導入し、次に、該宿主細胞を培養することにより作ることができる。融合タンパク質の発現後、宿主細胞は超音波破壊および/またはリゾチーム処理に付され、該宿主細胞から融合タンパク質を放出し得る。
【0041】
宿主細胞は原核生物または真核生物由来であり得る。本発明のために適当な典型的な原核生物は、大腸菌、ラルストニア・ユートロファ、シュードモナス属、バチルス属などを含むが、これらに限定されない。典型的な真核生物は、サッカロマイセス・セレヴィシエ、ピキア・パストリスなどを含むが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書において使用される“標的タンパク質”なる用語は、本発明のタンパク質精製方法により得られるタンパク質を示す。特に本発明のために適当な標的タンパク質は、例えば、緑色蛍光タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、ヒトα1−酸糖タンパク質、taqDNAポリメラーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼなどを含む。本発明の方法は、治療タンパク質、例えば、ヒト酸性繊維芽細胞増殖因子aFGF、インスリン、インターロイキンなどを精製するために特に適当である。
【0043】
本明細書において使用される“自己分解インテイン”、“インテイン”および“自己分解タンパク質インテイン”なる用語は互換的に使用することができる。それらは翻訳後修飾のために使用されるタンパク質スプライシングエレメントを示す。タンパク質精製において、このようなエレメントは、しばしば、標的タンパク質ドメインおよびアフィニティータグタンパク質ドメイン間に置かれる。それは標的タンパク質およびアフィニティータグタンパク質と融合させ、発現させることができる。次に温度、pH、塩濃度および/またはメルカプト基の濃度を、インテインの自己分解を誘導して標的タンパク質を放出するように調節するが、インテインおよびアフィニティータグタンパク質の融合フラグメントは固相培地上に吸着して維持され、したがって標的タンパク質の精製を成し遂げることができる。通常、一般的に使用されるインテインは、N−末端またはC−末端各々を自己分解することができる。本発明のために適当な自己分解インテインは、Ssp DnaB ミニインテイン、Mxe GyrA インテイン、Mth RIR1 インテイン、Sce VMA1 インテインなどを含むが、これらに限定されない。
【0044】
本発明において使用される自己分解インテインは、標的タンパク質のN−末端開裂可能なインテイン、例えば、Ssp DnaB ミニインテイン(Wu et al., Biochim. Biophys. Acta. 1387 (1998) 422-432);または標的タンパク質のC−末端開裂可能なインテイン、例えば、Mxe GyrA インテイン(Telenti et al., J. Bacteriol. 179 (1997) 6378-6382)、Mth RIR1 インテイン(Smith et al., J. Bioteriol. 179 (1997) 7135-7155)などであり得る。C−末端開裂可能なインテインは温度およびpH値に感受性である。温度が25℃に上昇するか、またはpHが8.5から6.0に減少したとき、インテインは有効に分解し得る。pH値の変化が小さいため、pH変化により引き起こされるタンパク質変性の発生も、ある程度避けられ得る(Chong S. et al., Gene 192 (1997))。メルカプト化合物は分解のために誘導物質を必要とし、したがって有効にコントロールすることができるため、N−末端開裂可能なインテインがより好ましい。95%の分解比率(disruption ratio)を達成することができる(Chong S. et al., Nucleic Acids Research, 22 (1998) 5109-5115)。
【0045】
本発明のために特に適当なインテインは、pH6.0−7.0および/または18−25℃にて自己分解することができるN−末端開裂可能なSsp DnaB ミニインテイン;40mMのメルカプト基の存在下でpH8.5にて自己分解することができるC−末端開裂可能なMth RIR1 インテインおよびMxe GyrA インテインを含む。他のインテインに関する詳細はNEBのインテインデータベースにおいて見出すことができる(http://www.neb.com/neb/inteins.html、2008年5月9日にアクセスされた)。
【0046】
インテインの自己分解を誘導するために加えられる溶菌液は、水、緩衝液またはメルカプト化合物を含有する水溶液であり得る。当業者は使用されるインテインに基づいて溶菌液を合理的に選択し得る。例えば、Ssp DnaB ミニインテインに対して、好ましい溶菌液は20mMのTris−Cl、500mMのNaClおよび1mMのEDTA、pH6.0−7.0である。Mth RIR1 インテインに対して、好ましい溶菌液は20mMのTris−HCl、500mMのNaCl、1mMのEDTAおよび40mMのDTT、pH8.0−8.5である。
【0047】
本明細書において使用される“疎水性顆粒結合ドメイン”なる用語は、疎水性顆粒にしっかりと結合することができる融合タンパク質の部分を示す。本発明における“疎水性顆粒結合ドメイン”は、無傷の疎水性顆粒結合タンパク質、例えば、顆粒関連タンパク質(Phasin/PhaP)、PHAシンターゼ(PhaC)、PHAデポリメラーゼ(PhaZ)、リプレッサータンパク質(PhaR)およびリパーゼ;または疎水性顆粒結合タンパク質の基質結合ドメイン、例えば、PHAデポリメラーゼの基質結合ドメイン(PhaZの基質結合ドメイン、ZSBD)およびPhaRの基質結合ドメイン(RSBD)であり得る。
【0048】
本発明の“疎水性顆粒結合ドメイン”の数は、1、2、3またはそれ以上であり得る。複数の疎水性顆粒結合ドメインがあるとき、それらは同じ、または互いに異なっていてよい、例えば、Phasin−Phasin、Phasin−Phasin−Phasin、ZSBD−ZSBD−ZSBD、RSBD−RSBD−RSBD、PhaC−PhaC−PhaC、Phasin−ZSBD、ZSBD−RSBD、Phasin−ZSBD−RSBDなど。何ら特定の理論に束縛されることなく、ドメインの数の増加は、疎水性顆粒へのそれらの結合を強化させ、それによって得られた標的タンパク質の純度を増加させ得る。
【0049】
好ましくは、複数の疎水性顆粒結合ドメインはリンカーにより結合している。適当なリンカーは、活性形態への両側に隣接するタンパク質の正確なフォールディングを確実にするあらゆる柔軟な短ペプチドであり得る。例えばpTWIN2におけるリンカー1、Asn Asn Gly Asn Asn Gly Leu Glu Leu Arg Glu Ser Glyを含む(Evans T. C. et al., J. Biol. Chem. 274 (1999) 18359-18363)。
【0050】
好ましくは、自己分解インテインはリンカーを介して1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインに結合している。何ら特定の理論に束縛されることなく、リンカーの使用が正確な三次元構造へのそれぞれのタンパク質のフォールディングを確実にすることに寄与すると発明者は考えている。
【0051】
好ましくは、自己分解インテインは標的タンパク質ドメインに直接結合している。
【0052】
本発明の好ましい態様において、標的タンパク質ドメイン、自己分解インテインおよび少なくとも1つの疎水性顆粒結合ドメインは同じリーディング・フレーム内である。
【0053】
好ましくは、親油性タンパク質、自己分解タンパク質および標的タンパク質は、微生物において可溶性タンパク質として存在し、これは通常、精製処理を簡単にする。
【0054】
本明細書において使用される“疎水性顆粒”なる用語は、疎水性物質により形成され、疎水性表面を有する顆粒を示す。本発明の疎水性顆粒は、特定の形に限定されず、疎水性顆粒結合ドメインにしっかりと結合することができる限り、球形、卵形、オリーブ形、四角形または不規則な形であり得る。疎水性顆粒の回収および/または単離は一般的に遠心分離および/または濾過により行うことができる。
【0055】
本発明の疎水性顆粒は、エマルジョン製造(Sanders et al., J. Am. Chem. Soc. 116 (1993) 2695-2702)またはモノマー重合(Yang et al., Journal of magnetism and magnetic Materials 293 (2005) 187-192)により製造され得る。
【0056】
例えば、疎水性顆粒を製造するための典型的な方法は以下の通りである:
(1)油相溶液:クロロホルム中に疎水性ポリマー物質(例えば、PHA、PCL、PMMAなど)を5%(w/v)にて溶解し;
(2)水相溶液:水中に界面活性剤(例えば、10mMのオレイン酸ナトリウム、1% w/v PVAなど)を溶解し;
(3)水相溶液を油相溶液へ体積比20:1(油性/水性)にて注ぎ、超音波処理を適用してエマルジョンを形成し(出力:50%;稼働期間:1秒;断続期間:1秒;全期間:10−30分);そして
(4)ロータリー・エバボレーターによりクロロホルムをエマルジョンから除去し、疎水性顆粒の所望のエマルジョンを得、室温で保存し;使用前に、エマルジョンを遠心し、沈殿した顆粒を回収する。
【0057】
例えば、図4は、本発明において特に好ましいポリ(3−ヒドロキシ酪酸−コ−3−ヒドロキシヘキサン酸)(PHBHHx)疎水性顆粒に関するSEM図を表す。
【0058】
本発明の疎水性顆粒のサイズにおける特定の要件は存在しない。原則として、より小さい顆粒のサイズ、より広いタンパク質との接触表面は、単位顆粒重量あたりの負荷されるタンパク質の量をより多くするため、顆粒を回収するための遠心分離における困難さが増す。
【0059】
本発明の疎水性顆粒を製造するために使用される物質は、良い脂溶性を有する疎水性ポリマー物質またはモノマー重合を介して微粉体を形成することができる疎水性ポリマー物質であり得る。適当な特定の疎水性物質は、疎水性ポリマー物質、例えば、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、ポリメチル・メタクリレート、ポリ塩化ビニルなど、特に、疎水性PHA物質、例えば、ポリヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシ吉草酸のコポリマー、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、ポリヒドロキシカプリル酸、ポリヒドロキシエナント酸、ポリヒドロキシデカン酸、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシカプリル酸のコポリマー、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸およびヒドロキシヘキサン酸のコポリマーを含む。ポリヒドロキシ酪酸ならびにヒドロキシ酪酸およびヒドロキシ吉草酸のコポリマーが特に好ましい疎水性PHA物質である。
【0060】
本発明の特に好ましい態様において、磁性顆粒は疎水性顆粒内に包まれている。このような場合において、磁石が疎水性顆粒を回収および/または単離するために便利に使用され得、精製工程を簡単にする。好ましい態様において、疎水性顆粒は超常磁性粉からなるコアを含み、コアは疎水性物質により覆われている。特に好ましい態様において、超常磁性粉はFe磁性粉である。本発明における磁性粉は、高い磁気誘導係数を有する。
【0061】
本発明の特に好ましい態様において、結合溶液はTris−Cl、10mM、pH8.5を含み;そして洗浄溶液はTris−CL、10mM、pH6.5を含む。
【0062】
本明細書において使用される“任意”なる用語は、“有していてもよく、有していなくてもよい”、“必須ではない”などを示す。“任意の洗浄工程”は、洗浄工程が含まれるか、または含まれないかを当業者により決定されることを意味する。
【0063】
本明細書において使用される“実質的に精製されている”標的タンパク質なる用語は、通常のアッセイまたは標的タンパク質が純粋であると分子生物学の分野において一般的に認識される基準に基づいて、当業者が確かめることができることを意味する。例えば、クロマトグラフィー、例えば、HPLCが標的タンパク質の純度を分析するために使用されるとき、タンパク質の純度は90%以上、好ましくは、95%以上であるか;または、SDS−PAGEが標的タンパク質の純度を分析するために使用されるとき、分子生物学の分野において共通基準に基づいて存在しないと見なされ得るほど、汚染されているタンパク質のバンドがほとんど見えない。
【0064】
本発明の組換えタンパク質は以下の典型的な手順により精製することができる:
1)原核生物発現系、例えば、大腸菌または真核生物発現系、例えば、ピキア・パストリスにおいて、標的タンパク質を含む本発明の融合タンパク質を発現させ;
2)リゾチームまたは超音波処理により細胞を溶解させ、遠心分離により上清を回収し;
3)融合タンパク質が疎水性顆粒の表面に結合できるように、上清を疎水性顆粒または包まれている磁性顆粒を有する疎水性顆粒とインキュベートし;
4)遠心分離により、または磁石を使用して疎水性顆粒を回収し、顆粒を数回洗浄し;
5)溶菌液を加え、適当な期間インキュベートし;そして
6)遠心分離により、または磁石を使用して顆粒を沈殿させ、標的タンパク質の溶液である上清を高純度にて回収する。
【0065】
他の局面において、本発明は、組換え標的タンパク質を精製するためのキットであって:宿主細胞において融合タンパク質を組換え的に発現させるための発現ベクター(該融合タンパク質は標的タンパク質ドメイン、自己分解インテインおよび1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインを含み、そして自己分解インテインは該標的タンパク質ドメインおよび該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメイン間に位置する);および疎水性顆粒を含むキットを提供する。
【0066】
キットは溶菌液を保持するための容器をさらに含み得る。磁性顆粒が疎水性顆粒内に包まれている場合、疎水性顆粒を回収および/または単離するために、キットは磁石をさらに含み得る。
【0067】
本発明は、説明の目的のためのみである以下の実施例にて更なる詳細について説明されるが、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0068】
試験において使用される株およびプラスミドは表1に挙げられている。すべての制限エンドヌクレアーゼはNEB Co. Ltd.から購入した。DNAポリメラーゼ、2×Pfu Master MixはBeijing Tiangen Biotech Co., Ltd.から購入し、これは4kb未満のサイズの遺伝子フラグメントをクローニングするために使用した。長い遺伝子フラグメントをクローニングするために使用したPrimeSTAR HS DNAポリメラーゼは、Takara Co. Ltd.から購入した。DNA ligation Ver. 2.0はTakara Co. Ltd.から購入した。他の生化学試薬はShanghai Bioengineering Co. Ltd.から購入した。ポリメラーゼ連鎖反応、DNAライゲーション、酵素開裂および他の遺伝子操作のための方法の説明は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(Sambrook et al., 1989)において見出すことができる。
【実施例】
【0069】
実施例1 顆粒関連タンパク質Phasin、自己分解タンパク質インテインおよび緑色蛍光タンパク質EGFPの融合タンパク質の製造ならびにEGFPの精製
I.融合タンパク質phasin−インテイン−EGFPおよび融合タンパク質phasin’−phasin−インテイン−EGFP各々を発現するための、融合発現プラスミドpPI−EGFP(図2)およびpP’PI−EGFP(図5)の構築
所望の発現プラスミドをプラスミドpTWIN1の修飾に基いて構築した。pPI−EGFPを構築するために、最初に顆粒関連タンパク質phasinをコードする発現遺伝子phaP1(配列番号:1、図22参照)を得るためにPCRを行った。phaP1は、鋳型としてアエロモナス細菌4AK4のゲノムを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃22s);72℃5分および4℃で維持)により得た。次に、CBD1を含まないpTWINプラスミドにおけるフラグメントは、PCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃7分10秒);72℃5分および4℃で維持)により得た。得られたphaP1フラグメントおよびCBD1を含まないpTWINプラスミドをさらなる修飾なしに平滑ライゲーションした。次に、緑色蛍光タンパク質遺伝子EGFPをXhoIおよびBamHI制限酵素認識部位間に挿入した。EGFPは、鋳型としてプラスミドpEGFP−N1を使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃45s);72℃5分および4℃で維持)により得た。プラスミドpP’PI−EGFPを構築するために、他の顆粒関連タンパク質phasin’の発現遺伝子phaP2(配列番号:2、図22参照)をプラスミドpPI−EGFPのNdeI部位に挿入した。phaP2は、鋳型としてラルストニア・ユートロファH16のゲノムを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃35s);72℃5分および4℃で維持)により得た。最後に構築されたプラスミドを正確な配列を確認するためにシーケンシングするためInvitrogen Co. Ltd.に送った。遺伝子操作の簡便なため、対応する酵素開裂部位をPCRプライマーに組み込んだ。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0070】
II. タンパク質の発現
1. 構築された発現プラスミドにて大腸菌BL21(DE3)を形質転換させた。単一コロニーを20mlのLB培地(Amp、100μg/ml)に取り、これを一晩37℃にてインキュベートし、播種用液体を得た。
【0071】
2. 2ミリリットル(2ml)の播種用液体を200mlのLB培地(Amp、100μg/ml)に植菌比率1%にて加えた。培地をOD6000.4−0.6まで37℃にてインキュベートした。IPTGを最終濃度0.5mMに加えた。誘導を一晩15℃にて行った。
【0072】
III. 細胞回収および分解
1. 細胞を遠心分離により回収し、20mlの蒸留水を使用することにより1回洗浄した。次に細胞をさらなる遠心分離により回収した。
【0073】
2. 20ミリリットル(20ml)の結合溶液(Tris−CL、10mM、pH8.5)を加えた。得られた液体を完全に混合し、氷上に維持した。
【0074】
3. 超音波破壊を適用した(出力:50%;稼働期間:1秒;断続期間:2秒;全期間:約10分、細胞が半透明になるまで)。
【0075】
4. 上清を遠心分離により回収し(11000rpm、4℃、30分)、−20℃にて保存した。
【0076】
IV. 結合実験
1. 20ミリリットル(20ml)のPHBHHx疎水性顆粒エマルジョンを10分11000rpmにて遠心した。顆粒を回収した。
【0077】
2. 2ミリリットル(2ml)のタンパク質上清を加え、ピペットチップにより吹き付けた。顆粒を再懸濁した(わずかにボルテックスミックスさせてもよい)。
【0078】
3. 懸濁液を4℃にて1−4時間維持した。
【0079】
V. 洗浄および溶菌
1. 結合した顆粒を10mlの結合溶液(Tris−CL、10mM、pH8.5)により2回洗浄した。顆粒をピペットにより吹き付け、次にわずかにボルテックスミックスすることに注意する。
【0080】
2. 顆粒を2mlの溶菌液(Tris−CL、10mM、pH6.5)により1回洗浄した。
【0081】
3. 1ミリリットル(1ml)の溶菌液を加えピペットにより混合した。インテイン分解を誘導するために、得られた液体を12−36時間25℃にて維持した。
【0082】
4. 上清を遠心分離により回収した。得られた上清は、高純度での標的タンパク質の溶液であった。SDS−PAGE電気泳動パターンに関して図6参照。
【0083】
結果は、標的タンパク質EGFPが高純度にて得られたことを示した。
【0084】
実施例2 顆粒関連タンパク質phasin、自己分解タンパク質インテインおよびβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)の融合タンパク質の製造ならびにβ−ガラクトシダーゼの精製
I. 融合タンパク質phasin−インテイン−β−galを発現するための融合発現プラスミドpPI−lacZ(図7)の構築
β−ガラクトシダーゼをコードするlacZ遺伝子(配列番号:3、図23参照)は、鋳型として大腸菌S17−1のゲノムを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃3分10秒);72℃5分および4℃で維持)により得た。次に、遺伝子をプラスミドpPI−EGFPのBsrGI/BamHI部位に挿入した。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0085】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリ乳酸(PLA)から作った。SDS−PAGE電気泳動パターンに関して図8参照。
結果は、標的タンパク質β−ガラクトシダーゼが高純度にて得られたことを示した。
【0086】
実施例3 顆粒関連タンパク質phasin、自己分解タンパク質インテインおよびPHAシンターゼPhaCの融合タンパク質の製造ならびにPhaCの精製
I. 融合タンパク質phasin−インテイン−PhaCを発現するための、融合発現プラスミドpPI−phaC(図9)の構築
phaC遺伝子(配列番号:4、図24参照)は、鋳型としてラルストニア・ユートロファH16のゲノムを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃1分50秒);72℃5分および4℃で維持)により得た。次に、遺伝子をプラスミドpPI−EGFPのBsrGI/BamHI部位に挿入した。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0087】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリ−3−ヒドロキシ酪酸−コ−3−ヒドロキシ吉草酸(PHBV)から作った。SDS−PAGE電気泳動パターンに関して図10参照。
PHAシンターゼPhaCは、また、強い顆粒結合能を有し、インテイン分解の誘導後に得られたすべてのPhaCは疎水性顆粒の表面に結合した。したがって、精製されていない標的タンパク質PhaCを得た。
【0088】
実施例4 リプレッサータンパク質PhaR、自己分解タンパク質インテインおよび緑色蛍光タンパク質EGFPの融合タンパク質の製造ならびにEGFPの精製
I. 融合タンパク質PhaR−インテイン−EGFPを発現するための、融合発現プラスミドpRI−EGFP(図11)の構築
phaR遺伝子(配列番号:5、図22参照)は、鋳型としてラルストニア・ユートロファH16のゲノムを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃25s);72℃5分および4℃で維持)により得た。phasinを含まないフラグメントIEを、鋳型としてプラスミドpPI−EGFPを使用するPCR(PCR条件:98℃2分;30サイクル(98℃10s、55℃10sおよび72℃7分10秒);72℃5分および4℃で維持)により増幅した。次に、phaRおよびIEフラグメントをBglIIおよびHindIII二重酵素開裂部位によりライゲーションした。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0089】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリ−3−ヒドロキシ酪酸(PHB)から作った。SDS−PAGE電気泳動パターンに関して図12参照。
結果は、標的タンパク質EGFPが高純度にて得られたことを示した。
【0090】
実施例5 PHAデポリメラーゼPhaZの基質結合ドメイン(ZSBD)、自己分解タンパク質インテインおよび標的タンパク質EGFPの融合タンパク質の製造
I. 融合タンパク質ZSBD−インテイン−EGFPを発現するための、融合発現プラスミドpSBDI−EGFP(図13)の構築
ZSBD遺伝子(配列番号:6、図22参照)は、鋳型としてラルストニア・ユートロファH16のゲノムを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃20s);72℃5分および4℃で維持)により得た。phasinを含まないフラグメントIEを、鋳型としてプラスミドpPI−EGFPを使用するPCR(PCR条件:98℃2分;30サイクル(98℃10s、55℃10sおよび72℃7分10秒);72℃5分および4℃で維持)により増幅した。次に、ZSBDおよびIEフラグメントをBglIIおよびHindIII二重酵素開裂部位によりライゲーションした。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0091】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリカプロラクトン(PCL)から作った。
結果は、標的タンパク質EGFPが高純度にて得られたことを示した。
【0092】
実施例6 真核生物発現系ピキア・パストリスG115における発現のための顆粒関連タンパク質phasin、自己分解タンパク質インテインおよびヒトα1−酸糖タンパク質(ORM1)の融合タンパク質の製造ならびにORM1の精製
I. 融合タンパク質ORM1−インテイン−phasinを発現するための、酵母菌発現プラスミドpSIOP(図3)の構築
修飾をプラスミドpGAPZαAに基づいて作った。最初に、phaP遺伝子(配列番号:2)をKpnI/XbaI二重酵素開裂部位に挿入した。ORM1遺伝子(配列番号:7、図25参照)をNsiI/KpnI二重酵素開裂部位に挿入した。次に、インテイン遺伝子をKpnI酵素開裂部位に挿入した。得られたプラスミドはpSIOPであった。phaP遺伝子は、鋳型としてラルストニア・ユートロファH16のゲノムを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃35s);72℃5分および4℃で維持)により得た。インテイン遺伝子は、鋳型としてpTWIN1を使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃30s);72℃5分および4℃で維持)により得た。ヒトα1−酸糖タンパク質(ORM1)遺伝子は、PCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃36s);72℃5分および4℃で維持)によりヒト肝臓cDNAライブラリーから得た。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0093】
II. タンパク質の発現
1. 構築された発現プラスミドにてピキア・パストリスGS115を電気的形質転換させ、次にこれを100μg/mlのZeocinを含むYPDS培地プレートに置いた。単一コロニーを20mlのYPD培地(Zeocin、100μg/ml)に取り、これをOD600が約1に達するまで30℃にてインキュベートし、それにより播種用液体を得た。
【0094】
2. 2ミリリットル(2ml)の播種用液体を200mlのYPD培地に植菌比率1%にて加えた。培地を2−3日間30℃にてインキュベートした。
【0095】
III. 結合実験
1. 上清を遠心分離(11000rpm、4℃、30分)により回収し、次に−20℃にて貯蔵した。
【0096】
2. 20ミリリットル(20ml)のPHB疎水性顆粒エマルジョンを10分11000rpmにて遠心した。顆粒を回収した。
【0097】
3. 2ミリリットル(2ml)のタンパク質上清を加え、ピペットチップにより吹き付けた。顆粒を再懸濁した(わずかにボルテックスミックスさせてもよい)。
【0098】
4. 懸濁液を4℃にて1−4時間維持した。
【0099】
IV. 洗浄および溶菌
1. 結合した顆粒を10mlの結合溶液により2回洗浄した。顆粒をピペットにより吹き付け、次にわずかにボルテックスミックスすることに注意する。
【0100】
2. 顆粒を2mlの溶菌液(Tris−CL、10mM、pH6.5)により1回再洗浄した。
【0101】
3. 1ミリリットル(1ml)の溶菌液を加えピペットにより混合した。インテイン分解を誘導するために、得られた液体を12−36時間25℃にて維持した。
【0102】
4. 上清を遠心分離により回収した。得られた上清は、高純度での標的タンパク質の溶液であった。
【0103】
結果は、標的タンパク質ORM1が高純度にて得られたことを示した。
【0104】
実施例7 顆粒関連タンパク質phasin、自己分解タンパク質インテインおよびtaqDNAポリメラーゼの融合タンパク質の製造ならびにtaqDNAポリメラーゼの精製
I. 融合タンパク質phasin−インテイン−taqを発現するための融合発現プラスミドpPI−taq(図14)の構築
PCRを介して得られたTaqポリメラーゼ遺伝子(配列番号:8、図26参照)をプラスミドpPI−EGFPのBsrGIおよびBamHI部位に挿入した。PCR条件(94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃2分30秒);72℃5分および4℃で維持)。taq遺伝子はBamHI酵素開裂部位を含み、したがって、BglII(BamHIのイソカウダーナー(isocaudarner))をプライマーを設計するためにBamHIの代わりに使用した。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0105】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリエチレン(PE)から作った。
結果は、標的タンパク質taqDNAポリメラーゼが高純度にて得られたことを示した。
【0106】
実施例8 顆粒関連タンパク質phasin、自己分解タンパク質インテインおよび標的タンパク質マルトース結合タンパク質(MBP)の融合タンパク質の製造ならびにMBPの精製
I. 融合タンパク質phasin−インテイン−MBPを発現するための融合発現プラスミドpPI−malE(図15)の構築
malE遺伝子(MBPタンパク質をコードする、配列番号:9、図25参照)は、鋳型としてpMAL−C2xを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃1分10秒);72℃5分および4℃で維持)により得た。次に、malE遺伝子をプラスミドpPI−EGFPのBsrGIおよびBamHI部位に挿入した。使用されるプライマーに関して表2参照。SDS−PAGE電気泳動パターンに関する図16参照。
【0107】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はPHBHHxから作った。
結果は、標的タンパク質MBPが高純度にて得られたことを示した。
【0108】
実施例9 顆粒関連タンパク質phasin、自己分解タンパク質インテインおよびグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の融合タンパク質の製造ならびにGSTの精製
I. 融合タンパク質phasin−インテイン−GSTを発現するための融合発現プラスミドpPI−GST(図17)の構築
GST遺伝子(配列番号:10、図27参照)は、鋳型としてpGEX−4T3を使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃40s);72℃5分および4℃で維持)により得た。次に、GST遺伝子をプラスミドpPI−EGFPのBsrGIおよびBamHI部位に挿入した。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0109】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はPHBから作った。
結果は、標的タンパク質GSTが高純度にて得られたことを示した。
【0110】
実施例10 顆粒関連タンパク質phasin、自己分解タンパク質インテインおよびルシフェラーゼの融合タンパク質の製造ならびにルシフェラーゼの精製
I. 融合タンパク質phasin−インテイン−ルシフェラーゼを発現するための融合発現プラスミドpPI−luc(図18)の構築
Luc遺伝子(配列番号:11、図27参照)は、NcoIおよびBamHI二重酵素開裂によりプラスミドpGL−プロモーターから開裂されたluc遺伝子部分である。次に、luc遺伝子をpPI−EGFPの対応する部位に挿入した。
【0111】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリスチレン(PS)から作った。
結果は、標的タンパク質ルシフェラーゼが高純度にて得られたことを示した。
【0112】
実施例11 PHAシンセターゼPhaC、自己分解タンパク質インテインおよび緑色蛍光タンパク質EGFPの融合タンパク質の製造ならびにEGFPの精製
I. 融合タンパク質PhaC−インテイン−EGFPを発現するための融合発現プラスミドpCI−EGFP(図19)の構築
phaC遺伝子(配列番号:4)は、鋳型としてラルストニア・ユートロファH16のゲノムを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃1分50秒);72℃5分および4℃で維持)により得た。次に、遺伝子をプラスミドpRI−EGFPのBglIIおよびBamHI部位に挿入した。phaC遺伝子はBglII酵素開裂部位を含み、したがって、BamHI(BglIIのイソカウダーナー)をプライマーを設計するためにBglIIの代わりに使用した。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0113】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリプロピレン(PP)から作った。
結果は、標的タンパク質EGFPが高純度にて得られたことを示した。
【0114】
実施例12 3つの顆粒関連タンパク質Phasin、自己分解タンパク質インテインおよび緑色蛍光タンパク質EGFPの融合タンパク質の製造ならびにEGFPの精製
I. 融合タンパク質phasin−phasin−phasin−インテイン−EGFPを発現するための融合発現プラスミドpPPPI−EGFP(図20)の構築
修飾をpRI−EGFPに基づいて作った。最初に、phaP2(phaP+リンカー)フラグメントをBglII/HindIII部位間に挿入した。次にphaP1(phaP+リンカー)をBglII部位に挿入し、phaP3(phaP)をHindIII部位に挿入した。同程度のサイズのphaP1、phaP2およびphaP3は、鋳型としてプラスミドpPI−EGFPを使用するPCR(PCR条件は同じであった:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃25s);72℃5分および4℃で維持)により得た。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0115】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリメチルメタクリレート(PMMA)から作った。
結果は、標的タンパク質EGFPが高純度にて得られたことを示した。
【0116】
実施例13 顆粒関連タンパク質phasin、PHAデポリメラーゼの基質結合ドメイン(ZSBD)、自己分解タンパク質インテインおよび緑色蛍光タンパク質EGFPの融合タンパク質の製造ならびにEGFPの精製
I. 融合タンパク質phasin−ZSBD−インテイン−EGFPを発現するための融合発現プラスミドpPSI−EGFP(図21)の構築
修飾をpRI−EGFPに基づいて作った。最初に、phaPフラグメント(phaP+リンカー)をBglII/HindIII部位間に挿入した。次にZSBDをHindIII部位に挿入した。phaP遺伝子は、鋳型としてプラスミドpPI−EGFPを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃25s);72℃5分および4℃で維持)により得た。SBD遺伝子は、鋳型としてプラスミドpRI−EGFPを使用するPCR(PCR条件:94℃3分;30サイクル(94℃30s、55℃30sおよび72℃20s);72℃5分および4℃で維持)により得た。使用されるプライマーに関して表2参照。
【0117】
II. 発現および精製工程は、実施例1における工程IIからVと同じであった。使用される疎水性顆粒はポリ塩化ビニル(PVC)から作った。
結果は、標的タンパク質EGFPが高純度にて得られたことを示した。
【0118】
特許文献、科学論文および刊行物を含むすべての文献は、全体を出典明示により本明細書に包含させる。
【0119】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変化および修飾が本発明の形態および範囲において当業者により行うことができることを理解すべきである。すべての変化および修飾は本発明の範囲内であると意図する。
【0120】
表1:株およびプラスミド
【表1】

【0121】
表2:融合発現プラスミドを構築するために必要であるプライマー
【表2】

【0122】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換え標的タンパク質を精製するための方法であって:
(1)宿主細胞において融合タンパク質を組換え的に発現させ、ここで該融合タンパク質は標的タンパク質ドメイン、自己分解インテインおよび1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインを含み、そして該自己分解インテインは該標的タンパク質ドメインおよび該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメイン間に位置する;
(2)該宿主細胞から該融合タンパク質を放出させ、該融合タンパク質を含有する溶液を得;
(3)疎水性顆粒を該溶液に加え、該融合タンパク質と該疎水性顆粒との結合が可能である条件下で溶液をインキュベートし;
(4)インキュベートした疎水性顆粒を該溶液から回収し;
(5)溶菌液を該疎水性顆粒に加え、該融合タンパク質における自己分解インテインが分解することが可能である条件下で該疎水性顆粒を処理し;そして
(6)該疎水性顆粒を除去し、実質的に精製されている該標的タンパク質を含有する溶液を得る
工程を含む方法。
【請求項2】
工程(4)後に該疎水性顆粒を洗浄する任意の工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該宿主細胞が原核生物由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該原核生物が大腸菌、ラルストニア・ユートロファ、シュードモナス属およびバチルス属からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該宿主細胞が真核生物由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該真核生物がサッカロマイセス・セレヴィシエおよびピキア・パストリスからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該自己分解インテインがSsp DnaB ミニインテイン、Mxe GyrA インテイン、Mth RIR1 インテインおよびSce VMA1 インテインからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
該疎水性顆粒結合ドメインがPhasin、PhaZ、PhaR、PhaC、リパーゼ、ZSBDおよびRSBDからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
該疎水性顆粒結合ドメインの数が1つ、2つまたは3つである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
該複数の疎水性顆粒結合ドメインが正確に同じではない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインがPhasin−Phasin、Phasin−Phasin−Phasin、ZSBD−ZSBD−ZSBD、RSBD−RSBD−RSBD、PhaC−PhaC−PhaC、Phasin−ZSBD、ZSBD−RSBDおよびPhasin−ZSBD−RSBDからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
該複数の疎水性顆粒結合ドメインがリンカーを介して結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
該自己分解インテインがリンカーを介して該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインに結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
該自己分解インテインが該標的タンパク質ドメインに直接結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
該標的タンパク質ドメイン、該自己分解インテインおよび該少なくとも1つの疎水性顆粒結合ドメインが同じリーディング・フレーム内である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
該組換え発現が、該融合タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを該宿主細胞に導入し、次に、該宿主細胞を培養することにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
該疎水性顆粒がポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、ポリメチル・メタクリレートおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される疎水性ポリマー物質から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
該疎水性顆粒が、ポリヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシ吉草酸のコポリマー、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、ポリヒドロキシカプリル酸、ポリヒドロキシエナント酸、ポリヒドロキシデカン酸、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシカプリル酸のコポリマー、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸およびヒドロキシヘキサン酸のコポリマーからなる群から選択される疎水性PHA物質から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
該疎水性顆粒の回収および/または単離を遠心分離および/または濾過により行う、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
磁性顆粒が該疎水性顆粒内に包まれている、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
該疎水性顆粒が超常磁性粉からなるコアを含み、コアが疎水性物質により覆われている、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
該超常磁性粉がFe磁性粉である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
磁石が該疎水性顆粒を回収および/または単離するために使用される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
組換え標的タンパク質を精製するためのキットであって:
宿主細胞において融合タンパク質を組換え的に発現させるための発現ベクター、ここで該融合タンパク質は標的タンパク質ドメイン、自己分解インテインおよび1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメインを含み、そして自己分解インテインは該標的タンパク質ドメインおよび該1つまたは複数の疎水性顆粒結合ドメイン間に位置する;および
疎水性顆粒を含むキット。
【請求項25】
該疎水性顆粒がポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、ポリメチル・メタクリレートおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される疎水性ポリマー物質から形成される、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
該疎水性顆粒がポリヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシ吉草酸のコポリマー、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシヘキサン酸のコポリマー、ポリヒドロキシカプリル酸、ポリヒドロキシエナント酸、ポリヒドロキシデカン酸、ヒドロキシ酪酸およびヒドロキシカプリル酸のコポリマー、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸およびヒドロキシヘキサン酸のコポリマーからなる群から選択される疎水性PHA物質から形成される、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
磁性顆粒が該疎水性顆粒内に包まれている、請求項24に記載のキット。
【請求項28】
該疎水性顆粒が超常磁性粉からなるコアを含み、コアが疎水性物質により覆われている、請求項24に記載のキット。
【請求項29】
該超常磁性粉がFe磁性粉である、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
磁石をさらに含む、請求項24に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2011−521917(P2011−521917A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510799(P2011−510799)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001006
【国際公開番号】WO2009/140795
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510310200)汕頭大學 (1)
【Fターム(参考)】