説明

自己復帰スイッチ

【課題】指や手足が上手く使えない高齢者、要介護者、手術後の患者等であっても、簡単かつ確実に、スイッチのオン・オフができ、かつスイッチの作動時のクリック感がはっきりわかる自己復帰スイッチを提供する
【解決手段】袋状シートが被せられた可撓性を有する凹形状の長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字形の自己復帰本体部と、前記自己復帰本体部の両端を固定する台座とを備えた自己復帰スイッチにおいて、前記凹形状の長材の内側底面の所定の位置に設けられた第1の電極と、前記袋状シートの内側表面であって前記第1の電極と対向する位置に第2の電極を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己復帰スイッチに関し、特に、医療・介護・リハビリ現場などにおいて、体の不自由な人であっても簡便にスイッチのオン・オフができ、かつ適度なクリック感(スイッチを押した時のカチカチといった感触)が得られる自己復帰スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
病院、介護施設、リハビリ施設等においては、体の自由が十分でない人であっても容易にスイッチのオン・オフができるよう、用途や場面に応じた様々な種類・形状のスイッチが用いられている。例えばその一つとして、患者がベッドに居ながらにして看護士に用事がある旨を伝えるためのナースコール用スイッチがある。
【0003】
現在のナースコール用スイッチは、例えば、手でスイッチを掴み、親指で先端に設けられているボタンを押すことでスイッチをオン状態とし、指をそこから離すと中に設けれているバネにより自動的にオフ状態になる、といった構造になっている。
【0004】
また、腕や足でボタンを押しつけることでスイッチをオン状態にする、といった仕組みのものもある。また、スイッチを設置したボードをマジックテ−プ(登録商標)等でベッドの柵等に固定して使用するといったものもある。
【0005】
これらのスイッチは、健常者が使用する場合には問題にならないが、手術後の体力の弱った患者や、足や腰、あるいは顎などの、体の一部を使ってスイッチを押さなければならない人達にとっては、スイッチを押すこと自体が必ずしも容易ではない。また、これらのスイッチは、それを使う人によっては十分なクリック感が得られず、押したのか未だ押していないのか良くわからない、という問題がある。
【0006】
また、上肢や下肢、又は頭部を動かすことで操作可能なロッド形と呼ばれるナースコール用スイッチもあるが、これはセンサーの設置場所や、それを設置する位置の調節が必要であり、またそれを使用する者の体型ごとにサイズ等の調整が必要であり、その対応が容易でないという問題がある。
【0007】
これらの他、筋ジストロフィー患者用のナースコール用スイッチは、両足でスイッチを押して操作するという構造となっているため、ベットなどの足元にそれを設置することになる。そのため、それにつまずいたり誤って踏んでしまう等の誤動作を招くという問題もある。
【0008】
このようにナースコール用のスイッチ一つをとってみても、誰でも簡単かつ確実にスイッチのオン・オフができ、かつスイッチを作動させたときのクリック感が明瞭に伝わるものは現在のところ実用化されていない。また、医療や介護、リハビリ等、様々な場面において、同じ操作で特別な付属品等も必要とせず、誰でも簡単かつ確実に使うことができるスイッチは、未だ開発されていない。
【0009】
一方、スイッチの作動時にクリック感がなく、押したことがわかりづらいという課題を解決する技術として特許文献1がある。この技術は、軽い操作力により、十分な操作ストロークと適度なクリック感とを得ることができるプッシュスイッチを提供するため、固定接触子に対して、可動接触子である自己復帰型のコイルバネが操作子の操作に応じて接離するプッシュスイッチであって、前記コイルバネを保持する保持板と、この保持板の保持ベース部に形成された前記コイルバネの径より若干広い孔と、この孔の内側に対向させて突設された支持片部とを備え、前記コイルバネの端部が前記突設片部によって支持されるとともに、前記コイルバネの中央部が前記操作子側に向けて径方向に突出した湾曲状態とされ、前記操作子の径方向からの押圧によって前記操作子側に向けて突出した湾曲状態から水平状態を経て、さらに前記操作子の押圧方向に向けて突出した湾曲状態となり、前記固定接触子に接触することを特徴とする。
【0010】
また、スイッチを押す力の大きさや、押す力の作用方向に多少の違いがあっても、スイッチのオン・オフが確実に行われることを課題とした技術としては、下記特許文献2がある。この技術は、長手方向に沿って折り曲げられた可撓性を有する絶縁性シートの折り曲げ時に内側となる各面に電極を設けて上下電極を形成し、対抗する上下電極間に空間を形成するように折り曲げられたシートで押圧あるいは曲げられると上下電極が接触してオン状態となる帯状感圧スイッチであって、折り曲げられた絶縁性シートの少なくとも片側に絶縁性シートの上下電極の接触を戻す方向への自己復帰性を備えた合板を添える恰好で設けたことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−134666号
【特許文献2】特開平3−291818号 特許文献1、特許文献2に記載の技術によれば、スイッチを押す力や方向に多少のバラツキがあっても、従来のスイッチよりも確実に、スイッチのオン・オフを行うことができると思われる。しかし、いずれの技術もその構造が複雑であるという問題がある。また、スイッチのオン・オフ時における適度なクリック感が得られないという問題もある。更に、スイッチが用いられる様々な用途、及びそのスイッチを使う者の身体的状況(ハンディキャップの状況)によっては、本体であるスイッチとは別の付属品が必要となる。あるいはその形状の変更等が必要になるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで本発明の課題は、指や手足が上手く使えない高齢者、要介護者、手術後の患者等、であっても、簡単かつ確実に、スイッチのオン・オフができ、かつスイッチの作動時のクリック感がはっきりわかる自己復帰スイッチを提供するものである。また、医療や介護、リハビリ等、様々な場面において、同じ操作で特別な付属品等も必要とせず、誰でも簡便に使うことができ、かつ医療機関、介護施設等、衛生面に十分な配慮が必要とされる機関においても、除菌等に手間がかからないスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、袋状シートが被せられた可撓性を有する凹形状の長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字形の自己復帰本体部と、折り曲げられた前記自己復帰本体部の両端を固定する台座とを備えた自己復帰スイッチにおいて、前記凹形状の長材の内側底面の所定の位置に設けられた第1の電極と、前記袋状シートの内側表面であって前記第1の電極と対向する位置に設けられた第2の電極とを備えたことを特徴とする自己復帰スイッチ。
【0014】
前記凹形状の長材とは、いわゆるコンベックス形状や雨樋のような形状のことである。このような長材を中央で折り曲げると、折れ曲がった部分(逆U字形の部分)の凹は平坦になるが、その他部分については元の凹形状が保持されている。かかる凹形状の内側であってその底面部分に第1の電極を設け、凹形状の長材を覆っている袋状シートの内側表面であって、第1の電極に対抗する部位に第2の電極を設けると、第1の電極と第2の電極間には所定の空間が生じ、通常の状態ではスイッチはオフ状態となっている。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自己復帰スイッチであって、前記自己復帰本体部に加わる外力により変形し、当該変形部分の前記凹形状が平坦となり前記第1の電極と前記第2の電極が接触し、オン状態となることを特徴とする。
【0016】
凹形状の部分に押圧力や変形力が加わることで、凹形状部分が平坦な形状に変形し、それにより第1の電極と第2の電極間の空間が消滅し、第1の電極と第2の電極とが接触しオン状態となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の自己復帰スイッチであって、外力の解除により前記自己復帰本体部が前記凹形状に自己復帰し、前記第1の電極と第2の電極とが離れオフ状態となることを特徴とする。
【0018】
一方、外力が解除されるとコンベックス形状由来の復元力により、元の凹形状にもどり、その結果、1の電極と第2の電極間に空間が再び生じオフ状態に復帰する。また、コンベックス形状の長材を押圧又は変形させると、その形状由来のクリック感が得られる。そのためこのスイッチによれば、作動時のオン・オフ感であるクリック感を明瞭に体感することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の自己復帰スイッチであって、前記第1の電極及び/又は前記第2の電極は導電性高分子で形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の自己復帰スイッチであって、前記第1の電極の端部が所定の長さで絶縁性のシートで覆われていることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、袋状シートが被せられた可撓性を有する凹状長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字型の自己復帰本体部と、前記自己復帰本体部の両端を固定する台座とを備えた自己復帰スイッチにおいて、前記凹状長材は導電体であり前記凹状長材自体が第1の電極を兼ね、前記袋状シートは絶縁体であり、その内側であって前記凹部の底面に対向し、かつ前記凹状長材に接触しない位置に第2の電極が設けられていることを特徴とする自己復帰スイッチ。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の自己復帰スイッチであって、前記自己復帰本体部に外力が加わることで、当該変形部分の前記凹形状が平坦となり前記第1の電極と前記第2の電極が接触しオン状態となることを特徴とする。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の自己復帰スイッチであって、外力の解除により前記自己復帰本体部が元の前記凹形状に自己復帰し、前記第1の電極と第2の電極とが離れオフ状態となることを特徴とする。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項6から8のいずれかに記載の自己復帰スイッチであって、前記第2の電極は導電性高分子で形成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれかに記載の自己復帰スイッチであって、前記逆U字形の折り曲がり部分の内側には、変形を保護する保護部材が設けられていることを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の自己復帰スイッチであって、前記台座に固定されている前記自己復帰本体部の両端間には、変形を保護する保護部材が設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項12に記載の発明は、袋状シートが被せられた可撓性を有する凹形状の長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字形の自己復帰本体部と、前記自己復帰本体部の両端を固定する台座とからなる逆U字形自己復帰変形部と、前記逆U字形自己復帰変形部が変形した際に、該変形部の押圧及び/又は変形力によりオン又はオフ状態となるスイッチが、前記台座の近傍に設けられていることを特徴とする自己復帰スイッチ。
【0028】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の自己復帰スイッチであって、前記逆U字形の折り曲がり部分の内側には、変形を保護する保護部材が設けられていることを特徴とする。
【0029】
請求項14に記載の発明は、袋状シートが被せられた可撓性を有する凹形状の長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字形の自己復帰本体部と、前記自己復帰本体部の両端を固定する台座とを備えた自己復帰スイッチにおいて、前記凹形状の長材の内側底面の所定の位置に設けられた第1の電極と、前記袋状シートの内側に設けられ、前記凹形状の上部を覆う中間シートと、前記中間シートの前記第1の電極と対向する面側であって、該第1の電極と対向する位置に設けられた第2の電極とを備えたことを特徴とする自己復帰スイッチ。
【0030】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の自己復帰スイッチであって、前記自己復帰本体部に加わる外力により変形し、当該変形部分の前記凹形状が平坦となり前記第1の電極と前記第2の電極が接触し、オン状態となることを特徴とする。
【0031】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の自己復帰スイッチであって、外力の解除により前記自己復帰本体部が前記凹形状に自己復帰し、前記第1の電極と第2の電極とが離れ、オフ状態となることを特徴とする。
【0032】
請求項17に記載の発明は、請求項14から16のいずれかに記載の自己復帰スイッチであって、前記第1の電極及び/又は前記第2の電極は導電性高分子で形成されていることを特徴とする。
【0033】
請求項18に記載の発明は、請求項14から17のいずれかに記載の自己復帰スイッチであって、前記逆U字形の折り曲がり部分の内側には、変形を保護する保護部材が設けられていることを特徴とする。
【0034】
請求項19に記載の発明は、請求項14から17のいずれかに記載の自己復帰スイッチであって、前記台座に固定されている前記自己復帰本体部の両端間には、変形を保護ずる保護部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、指や手が上手く使えない高齢者、要介護者、手術後の患者等、体の自由の効かない人であっても、簡単かつ確実にスイッチのオン・オフができ、かつスイッチの作動時のクリック感が明瞭にわかる自己復帰スイッチを提供することができる。また、医療や介護、リハビリ等、様々な場面において、同じ操作で特別な付属品等も必要とせず、誰でも簡便に使うことができ、かつ医療機関、介護施設等、衛生面に十分な配慮が必要とされる施設機関においても、除菌等に手間がかからないスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】凹形状の長材11に電極12と不感体13とを設けた図である。
【図2】凹形状の長材11に被せる袋状シート20の外観を示した図である。
【図3】凹形状の長材11に袋状シート20を被せた状態を示した図である。
【図4】凹形状の長材11に袋状シート20を被せた状態の断面を示した図である。
【図5】凹形状の長材11に袋状シート20を被せた状態で、袋状シート20の一部を剥がしたときの状態を示した図である。
【図6】凹形状の長材11に袋状シート20を被せ、凹形状の長材11の上部を中間シート23で覆い、中間シート23の下面に電極22を設けた状態の断面を示した図である。
【図7】凹形状の長材11に袋状シート20を被せ、凹形状の長材11の上部を中間シート23で覆、中間シート23の下面に電極23を設けた状態で、袋状シート20の一部を剥がしたときの状態を示した図である。
【図8】第1の実施例である自己復帰スイッチ30の外観等を示した図である。
【図9】第2の実施例である自己復帰40スイッチの外観を示した図である。
【図10】第3の実施例である自己復帰スイッチ50の外観を示した図である。
【図11】自己復帰スイッチ1の適用事例として、車止めセンサーとして用いた場合の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
図1は、本発明の一実施の形態である、凹形状の長材11に第1の電極12とを設けた自己復帰長材部14を示した図である。第1の電極12の一端部は絶縁シートで覆われ不感体13が設けられている。なお、この実施の形態における凹形状の長材11は、いわゆるコンベックスのような形状、あるいは雨樋のような形状である。
【0039】
凹形状の長材11の材質はバネ質の鋼材、例えばSK材であることは好ましい。従って、長材11は導電体であり、それ自体を第1の電極として使用しても良い。一方において、本実施の形態のように樹脂等により表面塗装を行うことで絶縁性のものとしても良い。
【0040】
絶縁性である長材11の窪みの領域(凹部の底面)に第1の電極12が設けられている。電極12は、例えば銅の網線、導電性の薄板等を用いることは好適である。そして、その端部に外部と接続する端子を設けることは好ましい。また、電極12の一端側には、例えば絶縁性のシートにより電極12を覆うことで不感体13形成する。これにより当該部分においては電極12が作動しないようにしておくことは好ましい。
【0041】
図2は凹形状の長材11に被せる袋状シート20の外観を示した図である。袋状シート20は伸縮性が適度にあり、かつ絶縁性であることが好ましい。袋状シート20の材質としては、例えばゴム性のものは好ましく、更には抗菌性を備えていることはより好ましい。細菌の付着や繁殖が少なく、細菌が付着しても洗い流すことで簡単に落とせるという利点があるからである。
図3は、凹形状の長材11に袋状シート20の途中まで被せた自己復帰本体部10の状態を示した図であり、図4はその断面を示した図である。袋状シート20の内側には、第2の電極22が形成されている。第2の電極22は、第1の電極12と対抗するように形成されている。第2の電極も第1の電極と同様に、銅の網線や導電性の薄板等により形成しても良い。また、銅箔、あるいはエンボス構造の薄板、銅箔は好ましい。エンボス構造とすることで接触の確実性、耐久性が増すためである。
【0042】
第2の電極が設けられる袋状シート20は、例えばゴム製の材料であるため、第2の電極を導電性高分子などを材料とし、印刷技術や塗布技術を用いて形成することは好適である。もちろん第1の電極についても導電性高分子を材料を塗布すること等により形成しても良い。
図4に示す通り、第1の電極12と第2の電極22との間には空間21があり、通常の状態においては、この空間21により第1の電極12と第2の電極22とは接触していない状態、即ち、スイッチはオフ状態となっている。
図5は、凹形状の長材11に袋状シート20を被せた状態で、袋状シート20の一部を剥がしたときの状態を示した図である。第2の電極22は、袋状シート20の裏面側であって、第1の電極12と対向する位置に設けられている。
図6は、凹形状の長材11に袋状シート20を被せ、凹形状の長材11の上部を中間シート23で覆い、中間シート23の下面に電極22を設けた状態の断面を示した図である。図6に示す通り、第1の電極12と第2の電極22との間には空間21があり、通常の状態においては、この空間21により第1の電極12と第2の電極22とは接触していない状態、即ち、スイッチはオフ状態となっている。
【0043】
図7は、図6に示す凹形状の長材11に袋状シート20を被せ、凹形状の長材11の上部を中間シート23で覆、中間シート23の下面に電極22を設けた状態で、袋状シート20の一部を剥がしたときの状態を示した図である。
【実施例1】
【0044】
図8は、自己復帰本体部10を逆U字形に折り曲げ、その両端を台座33に嵌め込んだ本発明の第1の実施例である自己復帰スイッチ30の外観等を示した図である。
図8(d)は自己復帰スイッチ30に外力が加わり、自己復帰本体部10が変形したときの様子を示した図である。また、図8(e)は自己復帰本体部10に外力が両側から加わったときの状態を示した図である。図8(d)、(e)に示す変形部においては、凹形状が潰れ、フラットの形状となっている。そのため、図4に示す空間21がつぶれ、第1の電極12と第2の電極22とが接触し、スイッチがオン状態となる。
【0045】
図8(a)、(b)に示すように、台座33の正面中央部にはランプ32が設けられている。第1の電極12と第2の電極22とが接触しオン状態になると、それによりランプ32が点灯する。なおランプ32に代えて、ブザー等の聴覚にうったえるものであっても良い。
【0046】
図8(c)に示すよう、凹形状の長材11の端部には不感帯13が設けられている。これは台座33に近い部分を押してもオン状態とならないようにするためである。これにより、ある程度のクリック感が得られないと、スイッチはオン状態とならない。クリック感は凹形状の長材11の幅や長さを変えることで、所望のクリック感を自在に得ることができる。
【実施例2】
【0047】
図9は本発明の第2の実施例である自己復帰スイッチ40の外観を示した図である。第2の実施例と第1の実施例との違いは、変形保護部45の有無の違いである。台座43に嵌め込まれている自己復帰本体部10の両端間に変形保護部45を設けることにより、自己復帰本体部10の台座30近傍の変形を保護することができる。
【実施例3】
【0048】
図10は、第3の実施例である自己復帰スイッチ50の外観を示した図である。この自己復帰スイッチ50は、上述した第1の実施例、及び第2の実施例と異なり、袋状シートと凹形状の長材の内部には、第1の電極も第2の電極も設けられていない。その代わりに台座53の上部であって、逆U字変形部51の端部にスイッチ53が設けられている。外力により逆U字変形部51が変形することでスイッチ53が押圧され、それによりオン状態となるものである。
【0049】
図11は、自己復帰スイッチの適用事例として、車止めセンサーとして用いた場合の状態を示した図である。駐車場などの壁面に自己復帰スイッチ1を取り付けることにより、車止め位置を知らせることができる。
【0050】
以上、これまで説明してきた通り、本発明の自己復帰スイッチは、指や手が上手く使えない高齢者、要介護者、手術後の患者等、体の自由の効かない人であっても、簡単かつ確実に、スイッチのオンオフができる。また、スイッチの作動時のクリック感を明瞭に伝えることもできる。
【0051】
また、逆U字形の長さを調節することにより、押圧力や変形力を変えることができる。また、その幅を広くすることや長さを変えることで、押圧力や変形力、更にはクリック感を変えることもできる。また、電極の一部に設ける不感体をどのように設けるかにより、曲がった方向をセンシングできるセンサーとすることもできる。
【0052】
また、両端を押した場合には両方のランプが点灯し、右を押したときは右側のランプのみが点灯するようにもできる。そのためどの部分に外力が加わったかをセンシングするセンサーにすることもできる。さらに、全体的に鋭利な部分がないので、極めて安全であり、ベッドサイド等、どこにも設置することができる。
【0053】
この自己復帰スイッチは、机の裏側に取り付ける。あるいは足下に置くこと等により、コンビニや銀行の防犯スイッチとして利用や、窓枠に設置することで防犯スイッチとしても利用することもできる。さらに、人形のなかに組み込むことで、人形を抱きしめればスイッチが入るという人形にも応用することができる。このように本発明の適用範囲は極めて広範囲である。
【符号の説明】
【0054】
1 自己復帰スイッチ
10 自己復帰本体部
11 凹形状の長材
12 第1の電極
13 不感帯
14 自己復帰長材部
20 袋状シート
23 凹形状の長材の上部を覆う中間シート
30 40 自己復帰スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状シートが被せられた可撓性を有する凹形状の長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字形の自己復帰本体部と、前記自己復帰本体部の両端を固定する台座とを備えた自己復帰スイッチにおいて、
前記凹形状の長材の内側底面の所定の位置に設けられた第1の電極と、
前記袋状シートの内側表面であって前記第1の電極と対向する位置に設けられた第2の電極
とを備えたことを特徴とする自己復帰スイッチ。
【請求項2】
前記自己復帰本体部に加わる外力により変形し、当該変形部分の前記凹形状が平坦となり前記第1の電極と前記第2の電極が接触し、オン状態となることを特徴とする請求項1に記載の自己復帰スイッチ。
【請求項3】
外力の解除により前記自己復帰本体部が前記凹形状に自己復帰し、前記第1の電極と第2の電極とが離れ、オフ状態となることを特徴とする請求項1に記載の自己復帰スイッチ。
【請求項4】
前記第1の電極及び/又は前記第2の電極は導電性高分子で形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自己復帰スイッチ。
【請求項5】
前記第1の電極の端部が所定の長さで絶縁性のシートで覆われていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自己復帰スイッチ。
【請求項6】
袋状シートに包まれた可撓性を有する凹状長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字型の自己復帰本体部と、前記自己復帰本体部の両端部を固定する台座とを備えた自己復帰スイッチにおいて、
前記凹状長材は導電体であり、前記凹状長材自体が第1の電極を兼ね、
前記袋状シートは絶縁体であり、その内側であって前記凹部の底面に対向し、かつ前記凹状長材に接触しない位置に第2の電極が設けられていることを特徴とする自己復帰スイッチ。
【請求項7】
前記自己復帰本体部に加わる外力により変形し、当該変形部分の前記凹形状が平坦となり前記第1の電極と前記第2の電極が接触し、スイッチオンとなることを特徴とする請求項6に記載の自己復帰スイッチ。
【請求項8】
外力の解除により前記自己復帰本体部が元の前記凹形状に自己復帰し、前記第1の電極と第2の電極とが離れ、オフ状態となることを特徴とする請求項6又は7に記載の自己復帰型スイッチ。
【請求項9】
前記第2の電極は導電性高分子で形成されていることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の自己復帰スイッチ。
【請求項10】
前記逆U字形の折り曲がり部分の内側には、変形を保護する保護部材が設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の自己復帰スイッチ。
【請求項11】
前記台座に固定されている前記自己復帰本体部の両端間には、変形を保護ずる保護部材が設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の自己復帰スイッチ。
【請求項12】
袋状シートが被せられた可撓性を有する凹形状の長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字形の自己復帰本体部と、前記自己復帰本体部の両端部を固定する台座とからなる逆U字形自己復帰変形部と、
前記台座に固定されている前記自己復帰本体部の端部のいずれか近傍に設けられたボタン式スイッチとを備えたことを特徴とする自己復帰スイッチ。
【請求項13】
前記逆U字形の折り曲がり部分の内側には、変形を保護する保護部材が設けられていることを特徴とする請求項12に記載の自己復帰スイッチ。
【請求項14】
袋状シートが被せられた可撓性を有する凹形状の長材を、ほぼ中央で折り曲げた逆U字形の自己復帰本体部と、前記自己復帰本体部の両端を固定する台座とを備えた自己復帰スイッチにおいて、
前記凹形状の長材の内側底面の所定の位置に設けられた第1の電極と、
前記袋状シートの内側に設けられ、前記凹形状の上部を覆う中間シートと、
前記中間シートの前記第1の電極と対向する面側であって、該第1の電極と対向する位置に設けられた第2の電極
とを備えたことを特徴とする自己復帰スイッチ。
【請求項15】
前記自己復帰本体部に加わる外力により変形し、当該変形部分の前記凹形状が平坦となり前記第1の電極と前記第2の電極が接触し、オン状態となることを特徴とする請求項14に記載の自己復帰スイッチ。
【請求項16】
外力の解除により前記自己復帰本体部が前記凹形状に自己復帰し、前記第1の電極と第2の電極とが離れ、オフ状態となることを特徴とする請求項15に記載の自己復帰スイッチ。
【請求項17】
前記第1の電極及び/又は前記第2の電極は導電性高分子で形成されていることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の自己復帰スイッチ。
【請求項18】
前記逆U字形の折り曲がり部分の内側には、変形を保護する保護部材が設けられていることを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載の自己復帰スイッチ。
【請求項19】
前記台座に固定されている前記自己復帰本体部の両端間には、変形を保護ずる保護部材が設けられていることを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載の自己復帰スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−20773(P2013−20773A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152388(P2011−152388)
【出願日】平成23年7月9日(2011.7.9)
【出願人】(591085710)株式会社オーテックエレクトロニクス (3)
【Fターム(参考)】