説明

自己給電型電子表示装置

【課題】電子ペーパーの省電力化を実現する。
【解決手段】コレステリック液晶(12)を用いた電子ペーパー(10)の裏面に、コントラスト用の光反射面と光エネルギー吸収面を形成する太陽電池(8)を重ねて配置し、この太陽電池(8)の裏面に、電子ペーパー(10)の表示電子回路を駆動するための電子表示駆動基板(4)を重ねて配置する。太陽電池(8)で発電した電力は電子表示駆動基板(4)に供給され該電力で電子ペーパー(10)の表示回路が駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自己給電型電子表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙のような感覚で利用できる柔らかな素材の極薄の電子表示装置が電子ペーパーとして知られている(例えば特許文献1参照)。この電子ペーパーは、微粒子タイプと、コレステリック液晶タイプがあり、それぞれ開発や実用化が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−11189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ペーパーを用いた電子表示装置は、装置に書き込むときのみ電力を消費するが、この電力は外部電源から供給される。
そこで本発明は、電子ペーパーを駆動するための電力を電子表示装置自体に組み込まれた太陽電池の電力で賄い、電子表示装置は自己で電力管理を行うようにし、他からは給電しない究極の省電力化が達成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明は、特定の光波長のみを反射して文字図形等を表示でき、表示内容を保持するメモリー性を有する電子ペーパー(10)と、この電子ペーパー(10)の裏面に重ねて配置され、該裏面と接する表面がコントラスト用の光反射面と光エネルギー吸収面を形成する太陽電池(8)と、該太陽電池(8)の裏面に重ねて配置された前記電子ペーパー(10)の表示電子回路を駆動するための電子表示駆動基板(4)とを備え、前記太陽電池(8)で発電した電力を前記電子表示駆動基板(4)に供給し該電力で前記電子ペーパー(10)の表示電子回路を駆動するようにしたものである。
また本発明は、透明な太陽電池(22)と、該透明な太陽電池(8)の裏面に重ねて配置され、特定の光波長のみを反射して文字図形等を表示でき、表示内容を保持するメモリー性を有する電子ペーパー(26)と、この電子ペーパー(26)の裏面に重ねて配置され、該裏面と接する表面がコントラスト用の光反射面を形成する光反射層(28)と、該光反射層(28)の裏面に重ねて配置された前記電子ペーパー(26)の表示電子回路を駆動するための電子表示駆動基板(30)とを備え、前記太陽電池(22)で発電した電力を前記電子表示駆動基板(30)に供給し該電力で前記電子ペーパー(26)の表示回路を駆動するようにしたものである。
また本発明は、前記電子ペーパー(10)(26)をコレステリック液晶(12)(24)を用いて構成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は電子ペーパーを用いた電子表示装置の究極の省電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る電子表示装置の説明図である。
【図2】電子表示装置の他の実施形態を示す説明図である。
【図3】電子表示装置のブロック説明図である。
【図4】コレステリック液晶の内部状態を示す説明図である。
【図5】コレステリック液晶の内部状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る自己給電型電子表示装置2の第1の実施形態の原理的構造説明図を示している。電子表示装置2の主たる構成は、3層の積層構造となっており、図3に示す電子表示駆動基板4と、フィルム状のコントラスト用の光反射面と光エネルギー吸収層を兼ねた太陽電池(モジュール)8と、一層又は複数層のコレステリック液晶を用いた電子ペーパー10とから構成されている。
【0009】
本実施形態では電子ペーパー10にコレステリック液晶12を使用している。コレステリック液晶12は、図4に示すように、液晶分子がらせん状に配列され、層状構造となっている。
コレステリック液晶12は、波長がらせんピッチと等しく、しかもらせんの巻きと同じ向きの円偏光を反射する選択反射という性質を持つが、この選択波長反射状態でも他の波長は透過するという性質を有する。
【0010】
透過した光は、光反射板又は膜としても機能するように着色された太陽電池(モジュール)8に到達し、ここで反射し、且つエネルギーが吸収される。図5Aは、コレステリック液晶12の電源無し状態における双安定状態での光の選択反射のプレーナー状態を示し、図5Bは、弱い光の散乱であるフォーカルコニック状態を示している。これら、プレナー状態、フォーカルコニック状態のいずれの状態においても、太陽光、室内光などの光が、表示電子回路を構成する透明電極ガラス基板14,16間に配置されたコレステリック液晶12を透過し、太陽電池8に到達する。
【0011】
図5Cは、透明電極ガラス基板14,16間に 電源が印加されたホメオトロビック状態を示し、コレステリック液晶12の液晶分子は縦向きとなって光を透過する状態となる。コレステリック液晶12を透過した光は、太陽電池8に到達する。太陽電池8は、特定波長反射による光の色とのコントラストを出すために表面に、例えば黒又は白の着色がなされている。
【0012】
電子表示装置2は、太陽電池8を電子ペーパー10と電子表示駆動基板4とではさんだサンドイッチ状3層構造となっている。太陽電池8は電子ペーパー10の裏面に配置され、電子表示駆動基板4は太陽電池8の裏面に配置されている。電子表示駆動基板4は、主制御CPU6と、電源回路18と、無線モジュール20を備えている。太陽電池8の出力端は、電子表示駆動基板4の電源回路18に接続し、この電源回路18から、主制御CPU6に電源が供給されるとともに、電子ペーパー10の表示電子回路に、表示のための電源が供給される。
【0013】
図3に示すように、電子表示駆動基板4の主制御CPU6には無線モジュール20を介して、外部情報機器により、書き込みデータが入力されるように構成されている。電子ペーパー10の電極間電圧を供給する電子表示駆動基板4は、書くときのみ電力を消費するが、この電力は、太陽電池8からの電力で賄い、他からは給電せず電子表示装置2で自己電力管理を行うように構成されている。
電子表示装置2は、全体が樹脂製の外囲体(図示省略)で保護され、この外囲体は、電子ペーパー10の上面を透明樹脂により覆っている。
【0014】
次に本発明の他の実施形態について、図2を参照して説明する。
電子表示装置2は、透明な薄板フィルム状の太陽電池22と、表示電子回路を構成する透明電極ガラス基板にはさまれたコレステリック液晶24からなる一層又は複数層の電子ペーパー26と、特定波長反射の光の色とのコントラスト用の板状又は膜状の部材からなる、黒又は白の、光反射(吸収)層28と、電子ペーパー26の透明電極即ち表示電子回路を制御する電子表示駆動基板30とからなり、これらは4層を構成している。
【0015】
電子ペーパー26は透明太陽電池22の裏面に配置される。電子ペーパー26の上面に配置された太陽電池22は、太陽光又は、室内光から得られた起電力を電子表示駆動基板30に設けられた電源回路に供給する。本実施形態の電子表示駆動基板30、電子ペーパー26は、図1に示す第1の実施形態の電子表示駆動基板4、電子ペーパー10と同一である。尚、カラー表示の場合は、電子ペーパー10、26は色の3原色RGBに対応した3層の電子ペーパーが積層して構成される。
【符号の説明】
【0016】
2 電子表示装置
4 電子表示駆動基板
6 主制御CPU(中央処理装置)
8 太陽電池
10 電子ペーパー
12 コレステリック液晶
14 透明電極ガラス基板
16 透明電極ガラス基板
18 電源回路
20 無線モジュール
22 透明太陽電池
24 コレステリック液晶
26 電子ペーパー
28 光反射層
30 電子表示駆動基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の光波長のみを反射して文字図形等を表示でき、表示内容を保持するメモリー性を有する電子ペーパー(10)と、この電子ペーパー(10)の裏面に重ねて配置され、該裏面と接する表面がコントラスト用の光反射面と光エネルギー吸収面を形成する太陽電池(8)と、該太陽電池(8)の裏面に重ねて配置された前記電子ペーパー(10)の表示電子回路を駆動するための電子表示駆動基板(4)とを備え、前記太陽電池(8)で発電した電力を前記電子表示駆動基板(4)に供給し該電力で前記電子ペーパー(10)の表示回路を駆動するようにしたことを特徴とする自己給電型電子表示装置。
【請求項2】
透明な太陽電池(22)と、該透明な太陽電池(8)の裏面に重ねて配置され、特定の光波長のみを反射して文字図形等を表示でき、表示内容を保持するメモリー性を有する電子ペーパー(26)と、この電子ペーパー(26)の裏面に重ねて配置され、該裏面と接する表面がコントラスト用の光反射面を形成する光反射層(28)と、該光反射層(28)の裏面に重ねて配置された前記電子ペーパー(26)の表示電子回路を駆動するための電子表示駆動基板(30)とを備え、前記太陽電池(22)で発電した電力を前記電子表示駆動基板(30)に供給し該電力で前記電子ペーパー(26)の表示回路を駆動するようにしたことを特徴とする自己給電型電子表示装置。
【請求項3】
前記電子ペーパー(10)(26)をコレステリック液晶(12)(24)を用いて構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自己給電型電子表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−27829(P2011−27829A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171080(P2009−171080)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(509207357)オフィスワトー合同会社 (2)
【出願人】(509206453)株式会社スライブ (2)
【Fターム(参考)】