説明

自己補償容量性液体レベル検出器

【課題】信頼性の高いアウトプット信号を与えることのできる液体レベル検出方法を提供する。
【解決手段】容量性液体レベル検出器(14)が液体レベルを検出方法及び装置において、容量性液体レベル検出器(14)の所定の感度に対応する所定のオンタイム(t1)を伴うクロック信号を生成する工程と、基準生成器(12)と容量性液体レベル検出器(14)の両方に供給される工程と、基準生成器(12)がクロック信号のオン/オフ比から導出する制御値を生成し比較器(18)の制御インプット(19)に供給する工程と、クロック信号に応答して容量性液体レベル検出器(14)の液体検出応答信号を比較器(18)の信号インプット(20)に供給する工程と、液体検出応答信号が容量性液体レベル検出器(14)のインプット容量(C)の変化に応答して閾値を超えると、比較器(18)がアウトプット(21)にてアウトプット信号を誘発する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、液体レベル検出のための方法、及び、マルチチャネルの液体レベル検出のための方法に関する。
【0002】
本発明は更に、対応する液体レベル検出ユニット、及び多重液体レベル検出ユニットを含むマルチチャネル液体レベル検出システムに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
液体レベル検出器は、様々な目的で及び様々な動作モードで、種々の分野にて利用される。液体レベル検出器は特に、研究用液体の取扱設備で用いられる所謂ピペットチャネルで利用され、非常に少量の液体でさえも正確に検出/計測されなければならないものである。
【0004】
一つの特定タイプの液体レベル検出は、容量性液体レベル検出として知られており、それは、液体の存在若しくはレベルが、先端と接地されたワーク面との間で見られるキャパシタンスの突然の変化をモニタすることにより検出される、というものであるが、キャパシタンスにおけるこの突然の変化は、先端と液体との間の物理的接触が確立されたり遮断されたりすることにより生じる。
【0005】
流体が存在するかどうか、即ちインプットキャパシタンスのこの変化に基づいてそのレベルを示すアウトプット信号を与えることができるような、種々の回路が開発されてきた。この分野で十分に確立された、一つの特定の回路は、キャパシタを充電する原理により動作するが、それは、望ましい液体キャパシタンスに加えて、放電の後に生じる望ましくないケーブル及びフィルタリング回路キャパシタンスも含む。インプットの際に全体のキャパシタンスを充電するのに必要な時間は、インプットキャパシタンスに比例するパルス幅変調デューティサイクルに変換される。次のバンドパスフィルタ及び増幅器は、直流成分を除去して電圧変化のみ増幅しセンサーインプットにおけるキャパシタンス変化に比例する電圧パルスとする。上記パルスが所定の電圧、閾値を超えるならば、アウトプット信号が生成される。クロック信号は、充電/放電サイクルを制御するのに用いられる。クロック信号の周波数は、液体レベル検出の感度に直接比例する。よって、周波数を変更することは、閾値の変更によって、若しくは、信号増幅器の増幅利得を変更して液体検出インプット信号の振幅変化を増幅することによって、補償されなければならない。
【0006】
従来の実施例では、クロック周波数は、これらの回路のための生産段階において予め決定されて固定され、要求された感度が補償されるように対応する基準電圧及び/又は増幅利得が計算されて固定された。しかしながら、クロック周波数が変化することを求める実施例もある。結果として、基準電圧及び/又は増幅利得も夫々変化されなければならない。さもなければ感度が影響を受け、誤ったアウトプットが生成される。
【0007】
クロック周波数が変えられなければならない理由のひとつは、これらの容量性液体レベル検出器及びそれらの制御回路は、干渉に対して非常に敏感である、ということである。クロック信号と類似の若しくは同一の周波数で動作する、近くにある他の電子装置により、それら干渉は生じ得る。全ての干渉と同様に、近傍の周波数で動作する2つのデバイス間の距離が小さくなる程、この問題は悪化する。実験装置に関するいわゆる多重軸若しくはマルチチャネル構成の場合に、このことは顕著となる。この場合多重液体レベル検出器は上記多重軸上に搭載される。
【0008】
多重容量性液体レベル検出器が近接近している容量性液体レベル検出のための現存するデザインは、システム内部の全ての容量性液体レベル検出器を同期させる要求、若しくは誤った検出に繋がる干渉から回避するためにクロック周波数を相互に独立して設定する要求を、伴うものである。
【0009】
全ての容量性液体レベル検出器の同期は、全ての軸が相互の関係で固定して位置付けされるかどうかの、受け入れ可能な解決策を表すに過ぎない。それらの軸が独立して配置される他の全ての場合は、配線の制約及び起こり得る電磁気的干渉の問題による困難を、生じてしまう。全ての容量性液体レベル検出器の同期のために、それらの間の更なるクロス接続、若しくは、相互接続ボードなどに搭載される中央クロック生成器が、必要とされる。
【0010】
干渉を回避するための、即ち、相互に独立して周波数を設定するための、第2のアプローチは、感度が夫々変化する結果となる。このことは、デジタル信号を利用して、若しくは、レベル比較器の場合には基準電圧及び/又は増幅器利得を調節することにより、補償され得る。基準電圧及び/又は増幅利得を調節することは、ある種のスイッチやジャンパ設定により若しくはプログラム可能な電圧基準により設定される、個々の周波数のための様々な組み合わせによって、為され得る。しかしながら、増幅利得の調節には、全ての増幅領域の増幅器の正確性と線形性に強く依存する、という欠点がある。これらの解決策のすべては、エラーが見えること無く潜在的なミスリーングの結果に繋がる誤った感度の設定のコスト及び/又はリスクを、増すものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の目的
よって、本発明の目的は、液体の存在を示す信頼性の高いアウトプット信号を与えることができる液体レベル検出の方法を提供することであり、上記方法は、クロック周波数の変化に感度が無く、上記方法は、更なるデジタル信号処理も、個々の周波数変化に関する、基準電圧及び/又は増幅利得の個別の設定も、要求することが無いが、同時に周波数独立感度調節を可能にする。
【0012】
本発明の更なる目的は、マルチチャネル液体検出のための方法を提供することであり、上記多重チャネル間の干渉は回避されており、上記方法は、更なるデジタル信号処理も、個々の周波数変化に関する、基準電圧及び/又は増幅利得の個別の設定も、要求することが無い。
【0013】
本発明の更なる目的は、液体の存在を示す信頼性の高いアウトプット信号を与えることができる液体レベル検出のための液体レベル検出ユニットを提供することであり、上記ユニットは、クロック周波数の変化に感度が無いが同時に所定の感度を維持するものであり、更なるデジタル信号処理も、個々の周波数変化に関する、基準電圧及び/又は増幅利得の個別の設定も、必要では無い。
【0014】
本発明の更なる目的は、マルチチャネル液体レベル検出システムを提供することであり、多重液体レベル検出ユニット間の干渉は回避され、個々のチャネルの感度は個別に設定され、該感度は周波数の変化に影響されないものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
本発明の上述の目的は、インプット容量を有する容量性液体レベル検出器により液体レベルを検出する方法により、達成される。上記インプット容量は、容量性液体レベル検出器の少なくとも一部が液体に接触すると変化する。上記方法は、
容量性液体レベル検出器の所定の感度に対応する、所定のオンタイムを伴うクロック信号を生成するステップと、
上記クロック信号を、基準生成器と、容量性液体レベル検出器の容量性液体レベル検出器インプットとの両方に、供給するステップと、
上記基準生成器が、上記クロック信号のオン/オフ比から導出される制御値(CV)を生成し、該制御値を比較器の制御インプットに供給するステップと、
インプット容量の上記変化に応答して上記容量性液体レベル検出器の液体検出インプット信号を比較器の信号インプットに供給するステップと、
上記制御値により比較器の制御パラメータを決定するステップと、
容量性液体レベル検出器の上記液体検出インプット信号が、上記容量性液体レベル検出器のインプット容量の変化に応答して、閾値を超えると、上記比較器が、アウトプットにおいてアウトプット信号を誘発するステップと
を含む。
【0016】
本発明の更なる目的は、更に以下の特徴を備える上述の方法により達成される。多重液体レベル検出ユニットが相対的に近接して搭載され、
液体レベル検出ユニットの間の干渉を回避するために、個々の液体レベル検出ユニットは異なる周波数の異なるクロック信号が供給され、個々のクロック信号は夫々の容量性液体レベル検出器の所定の感度に対応する所定のオンタイムを有し、
更にクロック信号周波数の差異により生じる、個々の液体レベル検出ユニットの容量性液体レベル検出器の感度におけるバリエーションは、個々の液体レベル検出ユニットの個々の比較器に、上記異なるクロック信号に基づいて個々の液体レベル検出ユニットの基準生成器により生成される様々な制御値を供給することにより、自己補償される。
【0017】
本発明の上述の目的は、更に、容量性液体レベル検出のための液体レベル検出ユニットによって達成される。該液体レベル検出ユニットは、
インプット容量を有する容量性液体レベル検出器であって、容量性液体レベル検出器の所定の感度に対応する所定のオンタイムを伴うクロック信号を供給され、容量性液体レベル検出器の少なくとも一部が液体に接触すると上記インプット容量が変化する、容量性液体レベル検出器と、
クロック信号を供給され、上記クロック信号のオン/オフ比から導出される制御値を生成する、基準生成器と、
上記制御値)を供給される制御インプットを備える比較器であって、上記制御値は比較器)の制御パラメータを決定する、比較器と
を備え、
信号インプットは、上記容量の変化に応答して、上記容量性液体レベル検出器の液体検出インプット信号を供給され、上記比較器は、容量性液体レベル検出器の上記液体検出インプット信号が、上記容量性液体レベル検出器のインプット容量の変化に応答して、上記閾値を超えると、アウトプットにおいてアウトプット信号を誘発する。
【0018】
本発明の更なる目的は、液体レベル検出ユニットを多重的に含むマルチチャネル液体レベル検出システムにより達成される。該マルチチャネル液体レベル検出システムは以下のような特徴を備える。
上記多重液体レベル検出ユニットが相対的に近接して搭載され、
液体レベル検出ユニットの間の干渉を回避するために、個々の液体レベル検出ユニットは様々な周波数の異なるクロック信号が供給され、個々のクロック信号は夫々の容量性液体レベル検出器の所定の感度に対応する所定のオンタイムを有し、
更にクロック信号周波数の差異により生じる、個々の液体レベル検出ユニットの容量性液体レベル検出器の感度におけるバリエーションは、個々の液体レベル検出ユニットの個々の比較器に、上記異なるクロック信号に基づいて個々の液体レベル検出ユニットの基準生成器により生成される様々な制御値を供給することにより、自己補償される。
【0019】
結論として、本発明の本質は以下の点にある。基準値/閾値及び/又は増幅利得はクロック周波数により直接決定される。振幅利得は上記クロック信号のオン/オフ比に直接比例し、全てのクロック信号に対するオンタイムは所望の感度に従って決定され、よってオフタイムは周波数の変化に比例して変わり、結果としてクロック信号のオン/オフ比は然るべく変化し、閾値及び/又は増幅利得が周波数の変化に比例することになる。
【発明の効果】
【0020】
発明の効果
本発明の最も重要な効果は、先行技術に存在する問題点を適切に解決することにあり、同期は必要とされず、更に、感度の補償のための特別なステップも必要ではない。クロック周波数を設定することにより、感度は本来的に、周波数変化に対して補償をするように自ら自身を調節する。このことは同時に、コスト、配線の要求、及び誤りのある結果の可能性を、減少させる。よって、方法及び装置は、更なるデジタル信号処理等を利用するための基準/閾値及び/又は増幅利得を予め決定して予め設定する必要無く、環境から独立して用いられ得る。本発明の更なる効果は、周波数とは独立して、クロック信号のオンタイムを変更することで感度を個別に調節でき、これにより、異なる感度が必要な様々なシナリオでの利用や、干渉の問題により種々の周波数を必要とする種々の構成での利用を可能とする、ということである。よって、周波数と感度の両方のパラメータは、一つのみの信号、即ちクロック信号のみで、処理され得るものであり、一つ以上の周波数が用いられる場合に同じレベルで感度を維持するために感度を調節する必要は無い。なぜならこれは自己補償のものであるからである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面の簡単な説明
【図1A】同じ時間軸上での、クロック信号、放電機能、及びパルス幅変調信号を示す信号図である。
【図1B】クロック信号のオン/オフ比と基準電圧との間の関係を示す信号図であり、クロック信号は第1の周波数を有する。
【図1C】クロック信号のオン/オフ比と基準電圧との間の関係を示す信号図であり、クロック信号はより低い第2の周波数を有する。
【図1D】クロック信号のオン/オフ比と基準電圧を変更することによる感度調節を示す信号図であり、クロック信号は同じより低い第2の周波数を有するが異なるオン/オフ比を有する。
【図2A】インプット容量の変化を追う液体検出インプット信号を示す信号図である。
【図2B】異なる閾値となる異なるクロック信号周波数におけるインプット容量の同じ変化を追う、更なる液体検出インプット信号を示す信号図である。
【図2C】異なる増幅利得となる異なるクロック信号周波数におけるインプット容量の同じ変化を追う、更なる液体検出インプット信号を示す信号図である。
【図3】本発明に係る液体レベル検出ユニットの第1の実施形態の構造ブロック図である。
【図4A】本発明に係る液体レベル検出ユニットの好適な実施形態の構造ブロック図であり、ディップインアウトプットとディップアウトアウトプットの両方を伴う。
【図4B】種々のインプット容量での放電機能と、対応するパルス幅変調信号との間の関係を示す信号図である。
【図5A】液体検出インプット信号とディップインアウトプットとディップアウトアウトプットを示す信号図と一緒に、液体レベル検出ユニットを示す、構造図であり、液体レベル検出ユニットが液体と接触する前のものである。
【図5B】液体検出インプット信号とディップインアウトプットとディップアウトアウトプットを示す信号図と一緒に、液体レベル検出ユニットを示す、構造図であり、液体レベル検出ユニットが液体と接触するとき、即ち、ディップインフェーズのものである。
【図5C】液体検出インプット信号とディップインアウトプットとディップアウトアウトプットを示す信号図と一緒に、液体レベル検出ユニットを示す、構造図であり、液体レベル検出ユニットが液体との接触を停止するとき、即ち、ディップアウトフェーズのものである。
【図6A】単体のアームに搭載された多重液体レベル検出ユニットを含むマルチチャネル液体レベル検出システムを示す側面構造図であり、ディップインフェーズにある。
【図6B】単体のアームの搭載された多重液体レベル検出ユニットを含むマルチチャネル液体レベル検出システムの斜視構造図であり、システムの多重軸とサンプルプレートを示している。
【図7】システムの多重軸の様々なアームに搭載された多重液体レベル検出ユニットを含むマルチチャネル液体レベル検出システムの斜視構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好適な実施形態の説明
幾つかの用語が本特許出願にて用いられているが、本願の実施形態は選択された特定の用語によって限定して解釈されるべきものではなく、特定の用語の背後にある一般的概念に関連させて解釈されるべきものである。
【0023】
「ディップインフェーズ」という用語は、容量性液体レベル検出器が液体に接触する直前に開始し容量性液体レベル検出器が液体に接触する位置に到達するときに終了する期間を記載するのに、本願の文脈で用いられる。
【0024】
「ディップアウトフェーズ」という用語は、容量性液体レベル検出器が液体に接触する一にあるときに開始し容量性液体レベル検出器が液体にもはや接触しなくなった直後に終了する期間を記載するのに、本願の文脈で用いられる。
【0025】
液体は、本願の文脈においては、容量性液体レベル検出器により存在及び/又はレベルが検出されるあらゆる種類の液体のことである。種々の泡がこのカテゴリに含まれ得る。本発明に係る容量性液体レベル検出は導電性液体のみと互換性がある。但し、このことは非常に低い導電性の液体もなお含む。
【0026】
クロック信号は、本願の文脈では、所与の周波数における通常の順序で交互に生じる「オンタイム」と「オフタイム」に対応する高値と低値を有する本質的に矩形である信号である。本発明においては、全てのクロック信号に対するオンタイムは予め決定されており、この場合オフタイムは周波数の変化に比例して、つまり信号のオンオフ比率の変動により、変化する。クロック信号CLKのオンタイムは、所望の感度によって予め決められ、よってオンタイムは個別に設定され得る。利用例での利用に拠るのであるが、信頼性の高い検出を保証するように、感度は夫々調節されることが必要である。レベル検出ユニットにより観察される容量の変化のレベルに影響する、典型的なパラメータは、検出される液体の伝導性、その液体の量、及びサンプルプレートの形状及び/又は部材である。
【0027】
パルス幅変調信号は、「オンタイム」と「オフタイム」に対応する交互の高値と低値を有する本質的な矩形状を伴う信号のことであり、「オンタイム」と「オフタイム」の間の比率が信号データを坦持する。
【0028】
液体検出インプット信号は、容量性液体レベル検出器14の容量の変化を追う信号のことである。
【0029】
図1Aは、同じ時間軸上での、クロック信号、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cのバリエーション、及びパルス幅変調信号PWM−Sを示す信号図である。所与の周波数における通常の順序で交互に生じる「オンタイム」t1と「オフタイム」t2に対応する高値と低値を有する矩形によって、上記のクロックCLKが示され、ここでt1とt2の和は信号の周期Tに等しい。中間部には、放電機能Iが示され、そのオフタイムには該機能が増え、そのオンタイムには該機能は略ゼロにまで落ちる。放電機能Iのオンタイムとオフタイムは、クロック信号CLKのオンタイムとオフタイムとは異なるのであるが、クロック信号CLKの立ち上がりエッジにてクロック信号CLKと同期する。実線で示されるバリエーション1は、低い方のインプット容量Cに対応し、点線で示されるバリエーション2は、高い方のインプット容量Cに対応する。高い方の容量Cに対応するバリエーション2は、急激には立ち上がらない。というのは、より大きいキャパシタンスはよりゆっくりと充電するからである。本発明においては、クロックCLKの立ち上がりエッジのみが同期のために用いられる。即ち、インプット容量Cは、クロックCLKの立ち上がりエッジにおいて放電される。放電機能Iのオンタイムの間、容量性液体レベル検出器14のキャパシタは放電され、放電機能Iのオンタイムは固定されているので、インプット容量Cの放電時間も固定される。放電パルスの完了の後、容量性液体レベル検出器14のキャパシタは放電され、新しい充電サイクルが開始する。プラスの過渡のみが固定時間の放電パルスを誘発するのに用いられ、それ故にクロック信号CLKのオンタイムは放電機能には何ら影響を与えない。底部では、インプット容量Cの変化に直接依存するパルス幅変調比較器32のデューティサイクルが示されており、ここではより長いデューティサイクルはインプット容量Cのより高い変化に対応する。
【0030】
図1Bは、クロックCLKの信号図を示し、該クロックCLKは第1の周波数を有し、更に該クロックCLKは約1のオンオフ比であり、該オンオフ比は制御値CVを決定し、該制御値は比較器18のある制御パラメータを、図示の実施形態では、グラフに更に示される閾値TVを、決定する。
【0031】
図1Cは、クロックCLKの信号図を示し、該クロックCLKは第2の周波数を有し、更に該クロックCLKは異なるオンオフ比であり、該オンオフ比は異なる制御値CVを決定し、該制御値は、破線で示される図1Bからの閾値TVと比較して、グラフに更に実線で示される異なる閾値TVを、決定する。よって、本発明においては、より低いクロックCLK周波数は結果としてより低い閾値TVとなり、より高いクロックCLK周波数は結果としてより高い閾値TVとなる。このことは、クロックCLK周波数の変化に対応する容量性液体レベル検出器14の感度の変化の自己補償を保障する。
【0032】
図1Dは、クロックCLKの信号図を示し、該クロックCLKは図1Cと同じ第2の周波数を有するが、該クロック信号CLKは異なるオンオフ比であり、該オンオフ比は、点線で示される図1Cからの閾値TVと比較して、グラフに更に実線で示される異なる閾値TVを、決定する。よって、本発明においては、クロック信号CLKのより高いオンオフ比は、より高い閾値TVとなる。このことは、感度調節と称され、所望の感度に従ってクロック信号CLKのオンタイムが決定される。周波数変化に関わり無くオンタイムは所定のオンタイムと同一であるように保持されるので、周波数変化は感度に影響しないことに留意されたい。
【0033】
図1Bから図1Dは、制御値CV、即ち、比較器18の閾値TVに基づいて決定される制御パラメータの具体的な例を示す。本発明によると、比較器18の信号インプット20に関して受信される信号に適用される増幅のレベルを決定する比較器18の信号インプット20の増幅利得などの、更なる制御パラメータに、同じ原理が適用され得る。よって、クロックCLK周波数の変化により感度が変化するならば、増幅利得は自己補償されるものである。
【0034】
よって、図1Bと図1Cを比較することにより、周波数の変化によるいわゆる“所望で無い”感度の変化が明白であり、その“所望で無い”感度の変化は、本発明の回路により補償される。一方、図1Cと図1Dを比較することにより、いわゆる“所望の”感度の変化が明白であり、その場合、同一周波数においてクロック信号CLKのオンタイムが変化し、特定の所望の感度の変化に到達する。
【0035】
図2A及び図2Bは、2つの異なる周波数に対応する容量性液体レベル検出器14の液体検出応答信号RSを示す。図示される液体検出応答信号RSにおけるパルスの振幅は、インプット容量Cの変化に直接比例するが、クロックCLK周波数にも直接比例する。従って、液体レベル検出器14がインプット容量Cと同じ変化をするとき、液体検出応答信号RSの増幅は、周波数の変化に比例して変化する。このことは“所望で無い感度の変化”と称される。つまり、より高い周波数はより高い液体検出応答信号RSの増幅となり、より低い周波数は(インプット容量Cの同じ変化に対して)より低い増幅となる。
【0036】
図2Aは、容量の増加を追う液体検出応答信号RSと、クロックCLKの上記第1の周波数に対応する正の閾値TV+及び負の閾値TV−を示す、信号図を示す。図1Bに関連して示されるが、第1の周波数を伴うクロックCLKは、第1の閾値TVを決定する第1の制御値CVに対応する。この図では、正の閾値TV+と負の閾値TV−の両方が示されている。
【0037】
図2Bは、図2Aのインプット容量と同じ増加を追随するが、第2の周波数のものである液体検出応答信号RSを示す、信号図を示す。図1Cに関連して示されるが、第2の周波数を伴うクロックCLKは、第2の閾値TVを決定する第2の制御値CVに対応する。この図では、正の閾値TV+と負の閾値TV−の両方が示されている。比較のため、第1のクロックCLK周波数に対応する第1の正の閾値TV+及び第1の負の閾値TV−が、破線により示されている。この図では、容量性液体レベル検出器14の感度の変化を見ることができ、ここでその変化は液体検出応答信号RSにて比例的に増幅が低くなっていることである。閾値TVがクロックCLK周波数により決定されるという、本発明に係る発明概念がなかったら、液体検出応答信号RSの振幅は、破線で示される、第1の閾値TVを超えることはなく、よって全体の液体レベル検出ユニット10は信頼できないものとなる。
【0038】
クロックCLK周波数の変動による容量性液体レベル検出器14の感度の自己補償は、この図から明白であり、自己補償された閾値TVは液体検出応答信号RSのより低い振幅に比例して調整されるが、該振幅は正の閾値TV+及び負の閾値TV−を超える/下回るのであり、よって液体レベル検出ユニット10は正確な検出アウトプットを提供する。
【0039】
図2Cは、図2Aのインプット容量と同じ増加を追随するが、第2の周波数のものである液体検出応答信号RSを示す、信号図を示す。この図は、更なる制御パラメータの、即ち、比較器20の信号インプット20の増幅利得の、自己補償の効果を示す。図2Aの第1の周波数を伴うクロックCLKが第1の増幅利得を決定すると仮定すると、第2の周波数を伴うクロックCLKは第2の制御値CVに対応するのであり、該第2の制御値CVは、液体検出応答信号RSの異なる増幅となる図2Cの第2の増幅利得を決定する。比較のために、第1のクロックCLK周波数に対応する第1の増幅利得を伴う液体検出応答信号RSが、破線により示されている。この図では、容量性液体レベル検出器14の感度の変化を、見ることができ、該変化は、(増幅されない)液体検出応答信号RSについての比例的により低い振幅につながる。閾値TVがクロックCLK周波数により決定されるという、本発明に係る発明概念がなかったら、液体検出応答信号RSの振幅は、第1の閾値TVを超えることはなく、よって全体の液体レベル検出ユニット10は信頼できないものとなる。
【0040】
クロックCLK周波数の変動による容量性液体レベル検出器14の感度の自己補償は、図2Cから明白であり、自己補償された増幅利得は(増幅されない)液体検出応答信号RSのより低い振幅に比例して調整されるが、適切な増幅利得が適用されると、該振幅は正の閾値TV+及び負の閾値TV−を夫々超える/下回るのであり、よって液体レベル検出ユニット10は正確な検出アウトプットを提供する。
【0041】
図3は、本発明に係る液体レベル検出ユニット10の第1の実施形態の構造ブロック図であり、発明概念である自己補償の感度の概念を実施するものである。
【0042】
容量性液体レベル検出のための液体レベル検出ユニット10は、第1の場所に容量性液体レベル検出器14を含む。これは、インプット容量Cにより特徴付けられる。インプット容量Cは、容量性液体レベル検出器14と好ましくは接地したワーク面400との間で計測されるのであり、ここで容量性液体レベル検出器14が液体Lに接触するときは液体Lは電極の表面にまで延在しており、よってインプット容量Cは突然変化する。容量性液体レベル検出器14はピペット先端14.2を取り付けることができ、これにより、このピペット先端14.2のみが液体Lに接触することになる。この場合、ピペット先端14.2と接地されたワーク面400との間の容量は、インプット容量Cである。容量性液体レベル検出器14にはクロックCLKが与えられる。本発明の好適な実施形態では、このピペット先端14.2は、実験液体処理装置のピペットデバイスの一部である。
【0043】
液体レベル検出ユニット10は更に、同一のクロックCLKを与えられる基準生成器12を含み、この基準生成器12は制御値CVを生成し、この制御値CVは、先の段落に記載したようにクロックCLKのオン/オフ比から導出される。
【0044】
制御値CVは、比較器18の制御インプット19に与えられ、この比較器は信号インプット20も有し、そこには液体検出応答信号RSが与えられる。比較器18は、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cの放電に追随する液体検出応答信号RSの振幅を、基準生成器12により生成される制御値CVと比較し、更に比較器18は、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cの十分に大きい変化に応答して液体検出応答信号RSが閾値TVを超えるときに、アウトプット21にて対応する信号を誘発する。先の段落にて記載したように、上記制御値は、上記閾値、若しくは比較器18の信号インプット20における増幅利得などの、比較器18の制御パラメータを決定する。
【0045】
図4Aは、本発明に係る液体レベル検出ユニット10の特に好適な実施形態の構造ブロック図を示し、ここではディップインアウトプット21.1及びディップアウトプット21.2の両方が備わる。この実施形態の基準生成器12は、2つの閾値TV、正の閾値TV+と負の閾値TV−を決定する制御値CVを生成する。正の閾値TV+は、ディップイン検出のために、即ち、容量性液体レベル検出器14のピペット先端14.2が液体Lに接触するときに、利用され、負の閾値TV−は、ディップアウト検出のために、即ち、容量性液体レベル検出器14のピペット先端14.2が液体Lとの接触を停止するときに、利用される。2つの区別された閾値TV、正の閾値TV+と負の閾値TV−は、夫々、ディップイン比較器18.1とディップアウト比較器18.2との、正の閾値インプット19.1と負の閾値インプット19.2とに、与えられる。
【0046】
ディップイン比較器18.1とディップアウト比較器18.2は類似の構造の比較器である。但し以下のような差異を伴う。ディップアウト比較器18.2は、負の閾値TV−を下回る液体検出器応答信号RSの負のパルスを検出するように設計されており、一方で、ディップイン比較器18.1は、正の閾値TV+を超える液体検出器応答信号RSの正のパルスを検出するように設計されている。このために、ディップイン比較器18.1とディップアウト比較器18.2は、夫々、信号インプット20.1と信号インプット20.2を含み、その両方共に同一の液体検出応答信号RSが供給される。
【0047】
ディップイン比較器18.1は、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cの増加に追随する液体検出応答信号RSの振幅を、その信号インプット20.1で受けられ基準生成器12により生成される正の閾値TV+と比較し、更にディップイン比較器18.1は、上記ピペット先端14.2が液体Lに接触するときの、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cの十分に大きい増加に応答して、液体検出応答信号RSが上記正の閾値TV+を超えるときに、そのディップインアウトプット21.1にて対応する信号を誘発する。
【0048】
ディップアウト比較器18.2は、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cの減少に追随する液体検出応答信号RSの振幅を、その信号インプット20.2で受けられ基準生成器12により生成される負の閾値TV−と比較し、更にディップアウト比較器18.2は、上記ピペット先端14.2が液体Lと接触することを停止するときの、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cの十分に大きい減少に応答して、液体検出応答信号RSが上記負の閾値TV−を下回るときに、そのディップアウトアウトプット21.2にて対応する信号を誘発する。
【0049】
図4Aに示される本発明の好適な実施形態では、クロックCLKは、不活性状態及び活性状態を有する放電器30を介して液体レベル検出器14に与えられる。ここで、上記不活性状態ではインプット容量Cは常に充電され、上記活性状態ではインプット容量Cは放電が生じている。このことは、図1Aにて放電機能に対して見られる充電/放電サイクルとなる。活性状態は所定の長さを有し、クロック信号CLKの立ち上がりエッジにより誘発される。図1A、図2A及び本明細書の対応する段落はこのことをより詳細に記述している。放電機能Iのオンタイム及びオフタイムは、クロック信号CLKのオンタイム及びオフタイムとは異なるが、クロック信号CLKの立ち上がりエッジにおいてクロック信号CLKと同期する。連続線で示されるバリエーション1は、より低いインプット容量Cに対応し、一方で、破線で示されるバリエーション2は、より高いインプット容量Cに対応する。より高い容量Cはより遅く充電するので、より高い容量Cに対応するバリエーション2は急激には立ち上がらない。本発明によると、クロックCLKの立ち上がりエッジのみが、同期のために用いられ、即ち、インプット容量CはクロックCLKの立ち上がりエッジにて放電される。オンタイムの間、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cは放電され、オンタイムが固定されるのでインプット容量Cの放電時間も固定される。放電の完了の後、容量性液体レベル検出器14のインプット容量Cは放電されて新しい充電サイクルが開始する。プラスの過渡のみが固定時間の放電パルスを誘発するのに用いられ、従って、クロック信号CLKのオンタイムは放電器30に何ら影響を与えない。
【0050】
図4Aに示す本発明の好適な実施形態では、液体レベル検出ユニット10はパルス幅変調比較器32も含み、該パルス幅変調比較器32は、インプット容量Cに比例するデューティサイクルで、放電機能Iをパルス幅変調信号PWM−Sに変換する。図4Bに示されるように、パルス幅変調信号PWM−Sのデューティサイクルは、常時インプット容量Cに比例する。よって、より高い容量2は(破線で示される)より高いデューティサイクル4に対応し、より低い容量1はより低いデューティサイクル3に対応する。
【0051】
本発明の更なる好適な実施形態では、液体レベル検出ユニット10は、比較器18、18.1、18.2の信号インプット20、20.1、20.2に位置してパルス幅変調信号PWM−Sが供給される、フィルタ及び増幅器ステージ33も含む。ここで、該ファイルタ及び増幅器ステージ33は、直流成分を除去し、電圧変化のみを増幅して、インプット容量Cの容量変化に比例する電圧パルスとする。
【0052】
図5Aから図5Cのシーケンスは、液体検出応答信号RS、並びに、ディップインアウトプット21.1及びディップアウトアウトプット21.2における信号を示す信号図と共に、動作の種々の相にある液体レベル検出ユニット10を示す。
【0053】
図5Aは、容量性液体レベル検出器14が、ワーク面400上に配置されたサンプルプレート300のウエル301内に蓄えられた液体Lと接触する前の、液体レベル検出ユニット10を示す。この場合、液体検出応答信号RSの振幅は、正の閾値TV+を超えることも無く、負の閾値TV−を下回ることも無い。図5Aは、液体検出応答信号RSが常に0である理想的状況を示す。しかしながら、振動などの効果により、若しくは、単に、ピペット先端14.2とワーク面400の間の減少する距離により、(図5B及び図5Cの夫々に示される)ディップインやディップアウトの間の典型的な形状に必ずしも類似しないランダム形状のノイズが常時存在しているが、しかしながら、これらは正の閾値TV+を超えることも、負の閾値TV−を下回ることも無い。
【0054】
図5Bは、容量性液体レベル検出器14がサンプルプレート300のウエル301内に蓄えられた液体Lとの接触に入りつつあるときの、即ち、ディップインフェーズの液体レベル検出ユニット10を示す。液体Lとの接触に入りつつある容量性液体レベル検出器14は、インプット容量Cに突然の増加を生じ、これにより今度は、液体検出応答信号RSにおいて振幅が正の閾値TV+を超えることになる。ディップイン比較器18.1はこれを検出し、ディップインアウトプット21.1にて「ディップイン」を示す対応する信号を誘発する。
【0055】
図5Bは、容量性液体レベル検出器14がサンプルプレート300のウエル301内に蓄えられた液体Lとの接触を停止するときの、即ち、ディップアウトフェーズの液体レベル検出ユニット10を示す。液体Lとの接触から待避する容量性液体レベル検出器14は、インプット容量Cに突然の現象を生じ、これにより今度は、液体検出応答信号RSにおいて振幅が負の閾値TV−を下回ることになる。ディップアウト比較器18.2はこれを検出し、ディップアウトアウトプット21.2にて「ディップアウト」を示す対応する信号を誘発する。
【0056】
図6Aは、マルチチャネル液体レベル検出システムの側面構造図を示し、該システムは、ディップインフェーズにある多重液体レベル検出ユニット10を含む。本発明の好適な実施形態では、多重液体レベル検出ユニット10が、y軸アーム101とも称される単一のy軸モジュールに搭載されている。液体処理実験セットアップでは、個々の液体レベル検出ユニット10は、いわゆるピペットチャネル若しくはz軸に対応し、対応するウエル301はサンプルプレート300内にある。
【0057】
図6Bは、多重液体レベル検出ユニット10を含むマルチチャネル液体レベル検出システム100を示し、マルチチャネル液体レベル検出システム100の多重軸と、ウエル301のアレイが接地されたワーク面400上に配置されたサンプルプレートとを、示している。生じ得る干渉に対処しなければならない理由である、液体レベル検出ユニット10の近接が、この図でよく見てとれる。図6Bに示される実施形態には、x軸アーム105により運ばれるy軸アーム101に搭載された複数の液体レベル検出ユニット10が、含まれる。個々の液体レベル検出ユニット10は、個別のy軸と個別のz軸とを同様に有しており、個々の液体レベル検出ユニット10は個別に動作するので個別の容量性液体レベル検出器14が必要とされる。マルチチャネル液体レベル検出システム100は、以下のように動作すべきものである。
a)−ウエル301のアレイを伴うサンプルプレートが、マルチチャネル液体レベル検出システム100の下の、接地されたワーク面400上に配置される。
b)−ウエル301のアレイのうちの特定の行が、y軸アーム101がその所望の行の上に来るまでz軸アーム103をx軸に沿って動かすことにより、選択される。
c)−個別の液体レベル検出ユニット10をそのy軸に沿ってずらすことにより、特定のウエル301が選択される。
d)−一つ若しくはそれ以上の液体レベル検出ユニット10の先端14.2が対応するウエル301内にダイブするまで、それら液体レベル検出ユニット10がそのz軸に沿って動かされる。
e)−個別の液体レベル検出ユニット10をz軸に沿って反対方向に動かすことにより、夫々の液体レベル検出ユニット10をウエル301から待避する。
f)処理すべきウエル301のアレイの個々の行のために、上記ステップb)からe)を繰り返す。
g)アレイのうちの個々の行に対応するステップb)からd)の個々のシーケンスに対して、個々の液体レベル検出ユニット10のアウトプット21からの信号の格納及び/又は分析を行なう。
【0058】
図7は、システムの多重軸の様々なアームに搭載された多重液体レベル検出ユニット10を含む、マルチチャネル液体レベル検出システム100の構造斜視図を示す。この構成では、本発明の更なる利点が明白であり、異なるアームに搭載された多重液体レベル検出ユニット10を同期させようとしても、配線の制約があることや、個々の液体レベル検出ユニット10に対して可能であれば異なる感度を備えさせようとする要求により、困難であることになる。この図では、多重y軸アーム101の各々に、単体の多重液体レベル検出ユニット10が搭載されており、個々のy軸アーム101は個別のz軸アーム103により坦持される。z軸アーム103は、個別のx軸キャリッジに搭載されても良いし、共通のx軸キャリッジに搭載されても良い。
【0059】
更なる実施形態では、マルチチャネル液体レベル検出システム100の多重液体レベル検出ユニット10の各々が、本発明の同一のコンセプトが適用されている、即ち、感度と閾値TVの両方が個々の液体レベル検出ユニット10のための夫々のクロック信号CLKにより共通して調整される、個別に自在に制御可能なロボットアームに搭載される。
【0060】
当然のことながら、添付の請求項に記載される発明の範囲から乖離すること無く本明細書に記載する特定の構成に基づいて、多数の変形が適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
符号リスト
10・・・液体レベル検出ユニット、
12・・・基準生成器、
14・・・容量性液体レベル検出器、
14.2・・・ピペット先端、
18・・・比較器、
19・・・制御ユニット、
20・・・信号インプット、
21・・・アウトプット、
18.1・・・ディップイン比較器、
19.1・・・正の閾値インプット、
20.1・・・信号インプット、
21.1・・・ディップインアウトプット、
18.2・・・ディップアウト比較器、
19.2・・・負の閾値インプット、
20.2・・・信号インプット、
21.2・・・ディップアウトアウトプット、
30・・・放電器、
32・・・パルス幅変調比較器、
33・・・フィルタ及び増幅器ステージ、
100・・・マルチチャネル液体レベル検出システム、
101・・・y軸アーム、
103・・・z軸アーム、
105・・・x軸アーム、
300・・・サンプルプレート、
301・・・ウエル、
400・・・ワーク面、
C・・・インプット容量、
RS・・・液体検出応答信号、
I・・・放電機能、
PWM−S・・・パルス幅変調信号、
CLK・・・クロック、
CV・・・制御値、
TV・・・閾値、
TV+・・・正の閾値、
TV−・・・負の閾値、
L・・・液体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプット容量(C)を有する容量性液体レベル検出器(14)により液体レベルを検出する方法であって、容量性液体レベル検出器(14)が液体に接触すると上記インプット容量(C)が変化する、方法において、
上記方法は、
容量性液体レベル検出器(14)の所定の感度に対応する、所定のオンタイム(t1)を伴うクロック信号(CLK)を生成するステップと、
上記クロック信号(CLK)を基準生成器(12)と容量性液体レベル検出器(14)の両方に供給するステップと、
上記基準生成器(12)が、上記クロック信号(CLK)のオン/オフ比から導出される制御値(CV)を生成し、該制御値(CV)を比較器(18)の制御インプット(19)に供給するステップと、
インプット容量(C)の上記変化に応答して上記容量性液体レベル検出器(14)の液体検出応答信号(RS)を比較器(18)の信号インプット(20)に供給するステップと、
上記制御値(CV)により比較器(18)の制御パラメータを決定するステップと、
容量性液体レベル検出器(14)の上記液体検出応答信号(RS)が、容量性液体レベル検出器(14)のインプット容量(C)の変化に応答して、閾値(TV)を超えると、上記比較器(18)が、アウトプット(21)においてアウトプット信号を誘発するステップと
を含む方法。
【請求項2】
上記制御パラメータが、比較器(18)の信号インプット(20)の増幅利得、及び/又は、比較器(18)の閾値(TV)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記比較器(18)が、ディップイン比較器(18.1)とディップアウト比較器(18.2)を含み、
上記基準生成器(12)が、正の閾値(TV+)と負の閾値(TV−)を生成し、両方の値は上記クロック信号(CLK)のオン/オフ比から導出され、更に上記基準生成器(12)が、上記正の閾値(TV+)をディップイン比較器(18.1)の正の閾値インプット(19.1)に供給し、上記負の閾値(TV−)をディップアウト比較器(18.2)の負の閾値インプット(19.2)に供給し、
上記容量性液体レベル検出器(14)のインプット容量(C)の増加に応答して、容量性液体レベル検出器(14)の液体検出応答信号(RS)が上記正の閾値(TV+)を超えるとき、上記ディップイン比較器(18.1)が、ディップインアウトプット(21.1)にてアウトプット信号を誘発し、
上記容量性液体レベル検出器(14)のインプット容量(C)の減少に応答して、容量性液体レベル検出器(14)の液体検出応答信号(RS)が上記負の閾値(TV−)を下回るとき、上記ディップアウト比較器(18.2)が、ディップアウトアウトプット(21.2)にてアウトプット信号を誘発する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体レベルを検出する方法。
【請求項4】
上記クロック信号(CLK)は、放電器(30)を介して容量性液体レベル検出器(14)に供給され、上記放電器(30)は不活性状態及び活性状態を有するものであり、上記不活性状態ではインプット容量(C)は常に充電され、上記活性状態ではインプット容量(C)は放電され、上記活性状態は所定の長さを有し、クロック信号(CLK)の立ち上がりエッジにより誘発される
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
インプット容量(C)の上記変化は、上記容量性液体レベル検出器(14)のピペット先端(14.2)が上記液体との接触に入りこれによりインプット容量(C)が変わることである
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
上記容量性液体レベル検出器(14)が、容量性電極の面拡張として作用しよって容量性液体レベル検出器(14)のインプット容量(C)を変化させる上記液体に接触するピペット先端(14.2)を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
容量性液体レベル検出器(14)の放電機能(I)がパルス幅変調比較器(32)内に供給され、上記パルス幅変調比較器(32)は、インプット容量(C)に比例するデューティサイクルにより放電機能(I)をパルス幅変調信号(PWM−S)に変換し、上記パルス幅変調信号(PWM−S)はフィルタ及び増幅器ステージ(33)によりフィルタされ且つ増幅され、
上記フィルタ及び増幅器ステージ(33)は直流成分を除去し、インプット容量(C)の容量変化に比例して電圧変化を増幅し、フィルタされ増幅された液体検出応答信号(RS)の電圧パルスとする
ことを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
多重液体レベル検出ユニット(10)は相対的に近接して搭載され、
液体レベル検出ユニット(10)の間の干渉を回避するために、個々の液体レベル検出ユニット(10)は様々な周波数の異なるクロック信号(CLK)が供給され、個々のクロック信号(CLK)は個々の容量性液体レベル検出器(14)の所定の感度に対応する所定のオンタイムを有し、
更にクロック信号(CLK)周波数の差異により生じる、個々の液体レベル検出ユニット(10)の容量性液体レベル検出器(14)の感度におけるバリエーションは、個々の液体レベル検出ユニット(10)の個々の比較器(18)に、上記異なるクロック信号(CLK)に基づいて個々の液体レベル検出ユニット(10)の基準生成器(12)により生成される様々な制御値(CV)を供給することにより、自己補償される
ことを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
容量性液体レベル検出のための液体レベル検出ユニット(10)において、
インプット容量(C)を有する容量性液体レベル検出器(14)であって、容量性液体レベル検出器(14)の所定の感度に対応する所定のオンタイム(t1)を伴うクロック信号(CLK)を供給され、容量性液体レベル検出器(14)の少なくとも一部が液体に接触すると上記インプット容量(C)が変化する、容量性液体レベル検出器(14)と、
クロック信号(CLK)を供給され、上記クロック信号(CLK)のオン/オフ比から導出される制御値(CV)を生成する、基準生成器(12)と、
上記制御値(CV)を供給される制御インプット(19)を備える比較器(18)であって、上記制御値(CV)は比較器(18)の制御パラメータを決定する、比較器(18)と
を備え、
上記信号インプット(20)は、インプット容量(C)の上記変化に応答して、上記容量性液体レベル検出器(14)の液体検出応答信号(RS)を供給され、上記比較器(18)は、容量性液体レベル検出器(14)の上記液体検出応答信号(RS)が、インプット容量(C)の変化に応答して、閾値(TV)を超えると、アウトプット(21)においてアウトプット信号を誘発する
ことを特徴とする液体レベル検出ユニット。
【請求項10】
上記制御パラメータが、比較器(18)の信号インプット(20)の増幅利得、及び/又は、比較器(18)の閾値(TV)であることを特徴とする請求項9に記載の液体レベル検出ユニット(10)。
【請求項11】
上記比較器(18)が、ディップイン比較器(18.1)とディップアウト比較器(18.2)を含み、
上記基準生成器(12)が、正の閾値(TV+)と負の閾値(TV−)を生成し、両方の値は上記クロック信号(CLK)のオン/オフ比から導出され、
上記正の閾値(TV+)が、ディップイン比較器(18.1)の正の閾値インプット(19.1)に供給され、
上記負の閾値(TV−)が、ディップアウト比較器(18.2)の負の閾値インプット(19.2)に供給され、
上記容量性液体レベル検出器(14)のインプット容量の変化に応答して、容量性液体レベル検出器(14)の上記液体検出応答信号(RS)が上記正の閾値(TV+)を正に超えるとき、上記ディップイン比較器(18.1)が、ディップインアウトプット(21.1)にてアウトプット信号を誘発し、
上記容量性液体レベル検出器(14)のインプット容量(C)の変化に応答して、容量性液体レベル検出器(14)の上記液体検出応答信号(RS)が上記負の閾値(TV−)を下回るとき、上記ディップアウト比較器(18.2)が、ディップアウトアウトプット(21.2)にてアウトプット信号を誘発する
ことを特徴とする請求項10に記載の液体レベル検出ユニット(10)。
【請求項12】
更に、容量性液体レベル検出器(14)の前に配置され、上記クロック信号(CLK)を供給される放電器(30)を含み、
上記放電器(30)は不活性状態及び活性状態を有するものであり、上記不活性状態ではインプット容量(C)は常に充電され、上記活性状態ではインプット容量(C)は放電され、上記活性状態は所定の長さを有し、クロック信号(CLK)の立ち上がりエッジにより誘発される
ことを特徴とする請求項9乃至11のうちのいずれか一に記載の液体レベル検出ユニット(10)。
【請求項13】
インプット容量(C)の上記変化は、上記容量性液体レベル検出器(14)のピペット先端(14.2)が上記液体との接触に入りこれによりインプット容量(C)が変わることである
ことを特徴とする請求項9乃至12のうちのいずれか一に記載の液体レベル検出ユニット(10)。
【請求項14】
上記容量性液体レベル検出器(14)が、容量性電極の面拡張として作用しよって容量性液体レベル検出器(14)のインプット容量(C)を変化させる上記液体に接触するピペット先端(14.2)を含む
ことを特徴とする請求項13に記載の液体レベル検出ユニット(10)。
【請求項15】
更に、比較器(18)の上記信号インプット(20)の前に配置されるパルス幅変調比較器(32)を含み、
上記パルス幅変調比較器(32)は、インプット容量(C)に比例するデューティサイクルにより容量性液体レベル検出器(14)の放電機能(I)をパルス幅変調信号(PWM−S)に変換し、上記パルス幅変調信号(PWM−S)はフィルタ及び増幅器ステージ(33)によりフィルタされ且つ増幅され、
上記フィルタ及び増幅器ステージ(33)は直流成分を除去し、インプット容量(C)の容量変化に比例して電圧変化を増幅し、フィルタされ増幅された液体検出応答信号(RS)の電圧パルスとする
ことを特徴とする請求項9乃至14のうちのいずれか一に記載の液体レベル検出ユニット(10)。
【請求項16】
請求項9乃至15のうちいずれか一に記載の液体レベル検出ユニット(10)を多重的に含むマルチチャネル液体レベル検出システムであって、
上記多重液体レベル検出ユニット(10)が相対的に近接して搭載され、
液体レベル検出ユニット(10)の間の干渉を回避するために、個々の液体レベル検出ユニット(10)は様々な周波数の異なるクロック信号(CLK)が供給され、個々のクロック信号(CLK)は個々の容量性液体レベル検出器(14)の所定の感度に対応する所定のオンタイムを有し、
更にクロック信号(CLK)周波数の差異により生じる、個々の液体レベル検出ユニット(10)の容量性液体レベル検出器(14)の感度におけるバリエーションは、個々の液体レベル検出ユニット(10)の個々の比較器(18)に、上記異なるクロック信号(CLK)に基づいて個々の液体レベル検出ユニット(10)の基準生成器(12)により生成される様々な制御値(CV)を供給することにより、自己補償される
ことを特徴とするマルチチャネル液体レベル検出システム(100)。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−17691(P2011−17691A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−112249(P2010−112249)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(501442699)テカン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】TECAN Trading AG
【Fターム(参考)】