説明

自己重付加反応性化合物、重合物及びその製造方法

【課題】自己重付加反応性を有する新規な化合物を提供すること、また、自己重付加反応による新規な重合物、及び、その製造方法を提供すること。
【解決手段】同一分子内にオキセタニル基と、アミド結合と、カルボキシル基又はその前駆基とを有し、下記式(I)で表されることを特徴とする化合物、前記化合物の自己重付加反応により得られる重合物及びその製造方法。式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は単結合又は二価の連結基を表し、R3及びR5はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、R4はアミノ酸残基を表す。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己重付加反応性化合物、並びに、その化合物の自己重付加反応により得られる重合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環状エーテル化合物は、環内の酸素原子の電気陰性度に起因する電荷の偏りにより、種々の試薬に対し高い反応性を示すことが知られている。中でも三員環エーテル構造のエポキシ類は、その大きな歪みエネルギーにより他の環状エーテル類にはない多様な反応性を示すことから、有機合成や高分子合成において大変有用であり、多くの詳細な検討がなされている。さらに、エポキシ化合物を用いた高分子材料は耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れることから、塗料、接着剤、電気絶縁材料などに幅広く使われている。しかし、その反応性の高さから保存安定性が悪く、さらに変異原性も指摘され始めている。
四員環エーテル構造であるオキセタン類は、エポキシ類と比較して環の歪みエネルギーは同程度であるが保存安定性に優れており、エポキシ化合物で指摘され始めている変異原性は現在認められていない。
オキセタン類を用いた重合物の合成としては、反復構造単位の側鎖に1個のオキセタン環を有する重合体と分子中に2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸との付加反応について報告されている(例えば、特許文献1参照。)。また、オキセタン化合物と多官能性カルボン酸化合物との重付加反応による方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
自己重付加反応とは、同一分子内に異なる反応性基を二つ有するモノマーを用いる反応である。したがって、二分子で行う重付加反応とは異なり、モノマーの比率を制御する必要がない。さらに、自己重付加反応により得られたポリマーは、末端に異なる官能性基を有することから、容易にブロック共重合体を合成することができる。しかし、自己重付加反応は、モノマーの反応性等に起因して、モノマーの慎重な分子設計が必要である。
【0003】
また、ポリアミノ酸は、現在、生化学的・医学的研究の対象として、日本のみならず世界各国で研究が行われており、その研究分野は、医薬、人工臓器、動物性合成繊維、界面活性剤、樹脂など多岐に渡っている。利用用途についても医薬、衣料、食品、洗剤、化粧品などに幅広く用いられている。中でも、最も注目を浴びているのが、医薬・医療分野への応用である。ポリアミノ酸は、たんぱく質同様アミノ酸から構成されており、生体適合性材料として、医療方面への利用拡大が見込まれている。
【0004】
ポリアミノ酸の合成法は大きく分けて二つある。第一は、アミノ酸残基を一つ一つ結合させていく方法(非特許文献1及び2等)、第二は、アミノ酸を主成分とする単量体を作りそれを重縮合反応させる方法がある(非特許文献2等)。
第一の方法は、アミノ酸配列を厳密に規制できる反面、収率はアミノ酸残基数に比例して低下してしまう。
第二の方法は、N−カルボキシ−α−アミノ酸無水物(NCA)を合成し、これを開環重合させる方法であり、NCA法として知られている。この方法はモノマーが純粋な状態で得られ、かつ高分子量のポリマーが生成できるポリアミノ酸の合成の主流となる合成方法であるが、NCA合成の際、毒性の高いホスゲンを用いなければならず、装置の管理等、慎重な操作が必要である。このように、ポリアミノ酸は、世の中で広く使われているにもかかわらず、その合成法には短所が多い。これらの短所を改善した新たな合成法が確立されるならば、ポリアミノ酸は生産量の増大、利用用途の応用・拡大など更なる発展が期待できる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−236438号公報
【特許文献2】特開2002−003585号公報
【非特許文献1】E. Muller, “Methoden der Organishen Chemie”, Bd. XV/I, XV/II, Georg Thieme Verlag (1974)
【非特許文献2】岩月誠、遠藤剛 監著“アミノ酸ポリマー 合成と応用”, シーエムシー, p.55 (1988)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、自己重付加反応性を有し、主鎖にアミノ酸骨格を有する新規な化合物を提供することである。
本発明の他の目的は、自己重付加反応による主鎖にアミノ酸骨格を有する新規な重合物、及び、その製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記従来技術における問題点を克服するために鋭意検討した結果、以下の<1>、<4>及び<5>により上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。好ましい実施態様である<2>、<3>、<6>及び<7>と共に以下に記載する。
<1> 同一分子内にオキセタニル基と、アミド結合と、カルボキシル基又はその前駆基とを有し、下記式(I)で表されることを特徴とする化合物、
【0008】
【化1】

(式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は単結合又は二価の連結基を表し、R3及びR5はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、R4はアミノ酸残基を表す。)
<2> R4が光学活性部位を有するアミノ酸残基である上記<1>に記載の化合物、
<3> 下記式(II)〜(V)のいずれか1つで表される上記<1>又は<2>に記載の化合物、
【0009】
【化2】

<4> 上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の化合物を自己重付加反応させて得られる重合物、
<5> 塩基性触媒存在下に自己重付加反応を行う工程を含む上記<4>に記載の重合物の製造方法、
<6> 前記塩基性触媒が、第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体類、又は、第3アミンである上記<5>に記載の重合物の製造方法、
<7> 前記塩基性触媒がテトラフェニルホスホニウムブロミドである上記<5>又は<6>に記載の重合物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自己重付加反応性を有し、主鎖にアミノ酸骨格を有する新規な化合物を提供することができる。
また、本発明によれば、自己重付加反応による主鎖にアミノ酸骨格を有する新規な重合物、及び、その製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の化合物は、同一分子内にオキセタニル基と、アミド結合と、カルボキシル基又はその前駆基とを有し、下記式(I)で表されることを特徴とする。
【0012】
【化3】

(式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は単結合又は二価の連結基を表し、R3及びR5はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、R4はアミノ酸残基を表す。)
以下に、本発明の化合物、これより得られる重合物、及び、重合物の製造方法について詳述する。
【0013】
(同一分子内にオキセタニル基と、アミド結合と、カルボキシル基又はその前駆基とを有する化合物)
本発明の化合物は、同一分子内にオキセタニル基と、アミド結合と、カルボキシル基又はその前駆基とを有し、前記式(I)で表される化合物(以下、「自己重付加反応性化合物」ともいう。)である。
本発明の化合物を用いることにより、主鎖にアミノ酸骨格を有するポリマーの簡便であり、汎用性に優れた合成方法を確立することができる。また、このことはポストポリアミノ酸として展開可能であることを示す。すなわち、生体適合性、生分解性、光学活性ポリマーとしての多岐にわたる展開が可能である。
【0014】
式(I)におけるR1〜R5としては、以下に示す範囲であることが、反応性、汎用性やコストの面で好ましい。
式(I)のR1は、水素原子、又は、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルキル基であり、その中でも水素原子、メチル基、又は、エチル基が好ましい。
式(I)のR2は、単結合又は二価の連結基を表し、単結合又は二価の炭化水素基であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
2における二価の炭化水素基としては、直鎖状であっても分岐を有していてもよい、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、及び、これらを2以上組み合わせた基が例示できるが、炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましい。
式(I)のR3及びR5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。
3における炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、及び、これらを2以上組み合わせた基が例示できる。
3としては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、又は、炭素数7〜11のアラルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
また、R3は、R4と結合して環構造を有していてもよく、その環構造が含窒素5員環構造であることが好ましい。
【0015】
式(I)のR4は、アミノ酸残基を表す。
本発明における「アミノ酸残基」とは、アミノ酸からカルボキシル基(COOH基)及びアミノ基(NH2基又はNHR’基、R’は任意の一価の置換基)を除いた残基を表すものとする。また、本発明におけるアミノ酸残基は、アミノ酸の多量体(ポリペプチド)からカルボキシル基及びアミノ基を除いた残基であってもよい。アミノ酸残基が、アミノ酸の多量体由来の基である場合、2量体又は3量体の残基であることが好ましい。
4におけるアミノ酸残基としては、二価の炭化水素基、及び、二価の炭化水素基と二価のヘテロ連結基とを組み合わせた基が好ましく挙げられる。
二価の炭化水素基としては、直鎖状であっても、分岐を有していても、環状構造であってもよい、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、及び、これらを2以上組み合わせた基を好ましく例示できる。また、下記二価のヘテロ連結基とを組み合わせた多価の複素環基であることも好ましい。
二価のヘテロ連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR−(Rは、炭化水素基を表す。)、−SO−、−SO2−が例示できる。
また、R4としては、光学活性部位を有することが好ましい。
式(I)のR5は、水素原子又は炭化水素基を表し、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は、これらを2以上組み合わせた基であることが好ましい。また、R5における炭化水素基としては、後述するエステル保護基であることも好ましく、メチル基、t−ブチル基、ベンジル基、又は、p−メトキシベンジル基がより好ましい。
【0016】
なお、前記炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びこれらの組み合わせ)、及び、二価の炭化水素基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基及びこれらの組み合わせ)は、直鎖型であっても、分岐を有していてもよく、下記に示す置換基を有していてもよい。また、可能であるなら、置換基がさらに置換していてもよい。
前記置換基としては、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルキル基、炭素数1〜6の分岐を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、又は、ニトロ基が好ましく挙げられる。
また、式(I)のR1〜R5においては、ヒドロキシ基、無置換アミノ基、一置換アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基等の自己重付加反応を阻害する可能性のある阻害基は置換基として有さないことが好ましいが、前記各阻害基に保護基を導入し、保護することで置換基として有することができる。
前記保護基としては、「Protective Groups in Organic Synthesis」(3rd Edition、Theodora. D. Greene and Peter G. M. Wuts著、Wiley, John & Sons社発行、1999年刊)等に記載の保護基を反応条件等により好ましく選ぶことができる。
【0017】
式(I)の−NR3−R4−COO−部位としては、アミノ酸部位であることが好ましく、α−アミノ酸部位又はβ−アミノ酸部位であることがより好ましく、α−アミノ酸部位であることがさらに好ましい。また、光学活性を有するアミノ酸部位であることが好ましい。
−NR3−R4−COO−部位として具体的には、以下に示すA−1〜A−20のアミノ酸構造を好ましく例示でき、その中でも、A−2及びA−11の構造であることが好ましい。なお、下記の構造中、Pgは保護基を表し、H(Pg)は水素原子であっても保護基であってもよいことを表す。1つの化合物に2以上のPgがある場合、2つ以上のPgはそれぞれ、同じであっても、異なっていてもよい。また、波線部は光学活性を有する部位を表し、R体又はS体のどちらであってもよく、ラセミ体であってもよい。
【0018】
【化4】

【0019】
【化5】

【0020】
また、前記式(I)で表される化合物は、下記式(II)〜(V)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
【0021】
【化6】

【0022】
本発明の化合物の合成法としては、特に制限されるわけではないが、以下のScheme1〜3に示す方法が好ましく例示できる。
【0023】
【化7】

(Scheme1〜3中、R1〜R8は、式(1)のR1〜R5と同義であり、好ましい範囲も同様である。)
【0024】
前記Scheme1に示すように、前記式(a)に示すアミノ酸のカルボキシル基に保護基を導入し、前記式(b)に示すエステル化合物を得ることができる。続いて前記Scheme2に示すように、前記エステル化合物に対し式(b)に示すオキセタン化合物を、縮合剤を用いて反応させ、前記式(d)に示す本発明の化合物(エステル体)を得ることができる。さらに、前記Scheme3に示すように、前記エステル体(d)を脱保護することにより、前記式(e)に示す本発明の化合物(カルボキシル体)を得ることができる。
【0025】
前記Scheme1及び3において、カルボキシル基に導入することができる保護基としては、前記「Protective Groups in Organic Synthesis」に記載の保護基が好ましく挙げられる。また、保護又は脱保護の反応条件についても、特に制限はなく、公知の文献を参考にすることができ、また、前記文献も好適に参考とすることができる。
【0026】
前記Scheme1におけるカルボキシル基への保護基の導入方法としては、アルコール存在下塩化チオニルを反応させ、式(b)に示すエステル化合物の塩酸塩を得る方法が簡便であり好ましい。
この場合、塩化チオニルの使用割合としては、前記式(a)に示すアミノ酸1モルに対して、1〜2モル用いることが好ましい。
又、アルコールの使用割合としては、前記式(a)に示すアミノ酸に対して1〜2モル用いることが好ましい。
この反応に用いられる溶媒としては、アルコール、又は、原料及び反応生成物に対して不活性な化合物を用いることができる。好適な反応溶媒としては、アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、クロロベンゼン及びジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0027】
前記Scheme2において、(c)で示す化合物は、(b)のエステル化合物に対して、1〜2モル用いることが好ましい。
前記Scheme2に用いるカルボン酸とアミンとの縮合剤としては、公知のペプチド縮合剤であれば、特に制限無く用いることができる。縮合剤としては、カルボジイミド系縮合剤やホスフィネート系縮合剤が例示でき、反応性やコストの面から、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)や1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(塩酸塩)(EDC)であることが好ましく、また、カルボジイミド系縮合剤を用いる場合、反応性の向上やラセミ化を防止するため、添加剤としてHOBt(1-Hydroxybenzotriazole)、HOOBt(3,4-Dihydro-3-hydroxy-4-oxo-1,2,3-benzotriazine)、又は、HOAt(7-Aza-1-hydroxy-1,2,3-benzotriazole)等を併用することも好ましい。縮合反応の反応条件についても、特に制限はなく、公知の文献を参考にすることができる。
前記Scheme2においては、式(b)に示すエステル化合物の塩酸塩と式(c)で示す化合物を、EDCを使用して式(c)で示す化合物を製造する方法が簡便であり好ましい。
この場合に用いられる溶媒としては、原料および反応生成物に対して不活性な化合物を用いることができる。反応溶媒としては、原料及び反応生成物に対して不活性な化合物を用いることができる。好適な反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、クロロベンゼン及びジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0028】
前記Scheme3におけるR5の脱保護の方法としては、加水分解が好ましい。
この場合に用いる塩基としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩等が例示できる。具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
加水分解に用いられる溶媒としては、原料および反応生成物に対して不活性な化合物を用いることができる。反応溶媒としては、水と前記Scheme2のEDCを使用する例で用いることのできる溶媒とを併用するのが好ましく、中でも水とテトラヒドロフランとの混合溶媒がより好ましい。
【0029】
前記Scheme1の出発物質であるアミノ酸は、市販のもの用いる、又は、市販の化合物より誘導し得てもよく、特に合成法は限定されない。
前記アミノ酸としては、ヒドロキシ基、無置換アミノ基、一置換アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基等の自己重付加反応を阻害する可能性のある基は置換基として有さないアミノ酸であればよく、α−アミノ酸であっても、β−以上のアミノ酸であってもよい。具体的には、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン又はフェニルアラニンが好ましく例示でき、これらの中でも、アラニン又はフェニルアラニンがより好ましい。アミノ酸としては、L体、D体、又は、これらの任意の割合の混合体を例示でき、L体、D体又はDL体を好ましく使用できるが、より好ましくはL体又はD体であり、さらに好ましくはL体である。
【0030】
(重合物、及び、その製造方法)
本発明の重合物は、本発明の同一分子内にオキセタニル基と、アミド結合と、カルボキシル基又はその前駆基とを有する化合物を自己重付加反応させて得られる重合物である。
本発明の重合物は、塩基性触媒存在下に自己重付加反応を行う工程を含む製造方法により製造することが好ましい。
この製造方法によりポリマー中の繰り返し構造が、下記式(VI)で代表される重合物が得られる。また、得られた重合物を再度重合させて高分子量化する工程(後重合工程)を行うこともできる。
したがって、この重合物は、オキセタニル基とカルボキシル基とを末端に有する重合物である。
また、本発明の重合物の製造方法においては、式(I)で表される化合物のうち、エステル体を用い、エステル基をカルボキシル基に変換しながら自己重付加反応を行ってもよく、事前にカルボキシル基体に変換しておき、自己重付加反応を行ってもよい。
【0031】
【化8】

【0032】
前記式(VI)のR1〜R4は、前記式(I)のR1〜R4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記式(VI)のn(重合度)は、2〜1,000が好ましく、2〜100が特に好ましい。nが上記範囲であると、溶媒などに対する重合物の溶解性が十分得られるため好ましい。
【0033】
従来のポリアミノ酸の合成方法としては、例えば、N−カルボキシ−α−アミノ酸無水物(NCA)モノマーを経由して合成する方法が挙げられるが、NCAは毒性の非常に強いホスゲンを用いて合成しなくてはならないという問題点があった。
本発明の重合物及びその製造方法は、従来のポリアミノ酸に代わる、アミノ酸を主鎖に有するポリマーの一般的合成法の確立をすることができる。また、本発明の重合物及びその製造方法は、非常にクリーンな製造方法であり、合成された重合物には一級の水酸基を有するため、基盤安定性、及び、重合物の機能化に関し、優れた重合物及びその製造方法であり好ましい。
【0034】
(塩基性触媒)
本発明で行う自己重付加反応には、第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体または第3アミンなどを塩基性触媒として用い、これらの存在下に共重合反応させることが好ましい。これらの塩基性触媒の中でも、オキセタニル基とカルボキシル基との反応性の面から、第4オニウム塩又はクラウンエーテル錯体の使用が好ましい。
【0035】
第4オニウム塩としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルクロライド、テトラエチルアイオダイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムブロマイド、セチルピリジウムサルフェート、テトラエチルアンモニウムアセテート、トリメチルベンジルアンモニウムベンゾエート、トリメチルベンジルアンモニウムボレート、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネニウムクロライド、及び5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネウムテトラフルオロボレート等の第4アンモニウム塩類が例示でき、並びに、アンモニウムテトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、トリフェニルメトキシメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエトキシカルボニルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチリベンジルホウホニウムクロライド、トリオクチルメチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムアセテート、及び、テトラオクチルホスホニウムクロライド、トリオクチルエチルホスホニウムジメチルホスフェートなどの第4ホスホニウム塩類が例示できる。これらの中でも第4ホスホニウム塩類を用いることが好ましく、反応性の面からテトラフェニルホスホニウムブロミドが特に好ましい。
【0036】
クラウンエーテル錯体としては、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、21−クラウン−7、及び、24−クラウン−8などが挙げられる。これらは、KF、KCl、KBr、CsF、CsCl、CsBr、チオシアン酸カリウム、ナトリウムフェノキサイド、カリウムフェノキサイド、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸ナトリウム、又は、酢酸カリウムなどの無機塩類あるいは有機塩類との錯体として用いられる。これらの中でもジベンゾ−18−クラウン−6が好ましい。
【0037】
第3アミンとしては、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ベンジルジメチルアミン及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどが例示できる。
【0038】
本発明の重合物の製造方法における反応条件は、自己重付加反応性化合物の種類により、決定すればよい。具体的には、以下の各条件で行うことが好ましい。また、反応は連続式及び回分式のいずれでも行うことができる。
【0039】
(触媒濃度)
前記塩基性触媒の使用量は、自己重付加反応性化合物に対して、1〜20mol%であることが好ましく、より好ましくは3〜15mol%であり、特に好ましくは10mol%である。上記範囲であると、反応速度が速く、コストの面でも好適である。
【0040】
(反応温度、及び、反応時間)
前記自己重付加反応における反応温度は、120〜200℃の範囲で行うことが好ましく、130〜190℃がより好ましく、130〜170℃が特に好ましい。一方、反応時間については特に限定はないが、反応温度との兼ね合いで、6〜30時間の反応時間が好ましく、24時間が特に好ましい。
【0041】
(反応溶媒)
前記自己重付加反応は、無溶媒で行っても、反応溶媒を用いて行ってもよい。反応溶媒としては、例えば、トルエン、アニソール、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン及びジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本発明の重合物は、本発明の化合物が自己重付加反応したものであり、その結果、機械的性質(引っ張り強度など)、電気的特性(電気絶縁性など)、耐熱性、耐薬品性、接着性などに優れた樹脂であり、各種用途で利用することができる。
この場合、本発明の重合物の効果を損なわない範囲内であれば他の樹脂と配合して用いても良い。また、公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤(熱安定剤又は耐候性改良剤など)、増量剤、粘度調節剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、及び/又は離型剤などを添加・混合することができる。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、及び、金属錯塩染料などの染料、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、及び、マイカなどの無機顔料、並びに、カップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、及びフタロシアニン系などの有機顔料などが挙げられる。また、上記安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、及び、オキザリックアシッドアニリド系などの化合物が挙げられる。さらに、上記無機充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊維、及びステンレス鋼繊維などの無機質及び金属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、金、及び、銀などの金属粉末、木粉、マグネシア、カルシアなどの酸化物、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、石英粉末、タルク、クレイ、各種金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩及びその他の塩基性塩、ガラス中空球、ガラスフレークなどのガラス材料、炭化珪素、窒化アルミ、ムライト、コージェライトなどのセラミック、フライアッシュ、及び、ミクロシリカなどが挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、Mnは数平均分子量、Mw/Mnは分子量分布である。
【0044】
以下に、実施例に用いた試薬及び溶媒を示す。
テトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)、水酸化カリウム(KOH)、塩酸、硫酸は市販品をそのまま使用した。
トリエチルアミン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(EHO)は、東亞合成(株)から提供されたサンプルを減圧蒸留にて精製し用いた。
塩化チオニル、酸化クロム(VI)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC塩酸塩)、L−アラニン、D−アラニン、L−フェニルアラニン、D−フェニルアラニンは市販品をそのまま使用した。
溶媒として用いたアセトン、テトラヒドロフラン(THF)、n−ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、塩化メチレンは、市販品をそのまま使用した。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、CaCl2により予備乾燥後、減圧蒸留にて精製を行った。
o−ジクロロベンゼンは、CaCl2により予備乾燥後、P25存在下、減圧蒸留にて精製を行った。
【0045】
また、実施例に用いた測定機器は、以下の通りである。
・赤外分光光度計(IR):日本分光(株)製 FT-IR 420型
1H 核磁気共鳴装置:
500 MHz-NMR;日本電子(株)製 JEOL ECA-500,
600 MHz-NMR;日本電子(株)製 JEOL ECA-600
13C 核磁気共鳴装置:125 MHz-NMR;日本電子(株)製 JEOL ECA-500
・ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC):東ソー(株)製 HLC-8220(カラム;TSKgelSuperAW3000+2500×3 標準;ポリスチレン、溶媒;20 mM リチウムブロミド、20 mM リン酸含有ジメチルホルムアミド溶液、検出器;RI、UV-8220(内蔵))
・融点測定機:柳本製作所(株)製 Yanaco MP-500D
・旋光計:日本分光(株)製 P-1020型旋光計
・円二色性分散計:日本分光(株)製 J-600
【0046】
(合成例1)
<3−エチル−3−カルボキシルオキセタン(ECO)の合成>
500 mL三角フラスコにJones試薬22.8 mL、アセトン180 mLを注入し、0℃にて撹拌した。これに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(EHO)2.78 g(24 mmol)とアセトン180 mLの混合物を加え−5℃にて2h、続いて室温にて4h撹拌を行った。反応終了後、0℃にてイソプロピルアルコールを3 mL加えクエンチを行った。得られた混合物をセライトにてろ過し、適量のアセトンを使用して洗浄した。次に、得られたろ液を減圧留去した。残留した液体にNaOHを溶解させた水溶液を加え塩基性にさせた後、CH2Cl2を用いて洗浄を3回行った。次に、水相にH2SO4を加え酸性条件下にて、CH2Cl2による抽出操作を3回行い、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別し溶媒を減圧留去後、減圧条件下にて蒸留操作を行い、無色液体を得た。この得られた液体を冷凍庫に放置し白色粉末固体を得た。
【0047】
収率:72.2 % (収量:2.50 g)
沸点:81.0-82.0 ℃(3 mmHg)
融点:31.0-31.9 ℃
IR (KBr,cm-1):1724 (νC=O carboxylic acid), 970 (νC-O-C oxetane ring).
1H NMR(600 MHz,DMSO-d6,TMS)δ(ppm) = 0.83 (t,3.0 H, Ha), 1.93 (q,2.0 H, Hb), 4.33 and 4.70 (AB qualtet,Jbb = 6.0 Hz,4.0 H, Hb), 12.64 (s,1.0 H, Hd).
【0048】
【化9】

【0049】
13C NMR (150 MHz,DMSO-d6,TMS)δ(ppm) = 8.76 (Ca), 28.3 (Cb), 48.4 (Cd), 76.9 (Cc), 175.2 (Ce).
【0050】
【化10】

【0051】
元素分析 C14H20O5:計算値 (%) C : 55.37 H : 7.74、実測値 (%) C : 55.32 H : 7.91
【0052】
(合成例2)
<L−フェニルアラニンメチルエステルの合成>
300 mL三角フラスコ中に、0℃にて撹拌しつつ、メタノール(MeOH) 100 mL、塩化チオニル(SOCl2) 30 mL、L−フェニルアラニン(L−Phenylalanine) 16.5 g(100 mmol)を加え、室温にて12h撹拌した。反応終了後、減圧留去を行い、溶媒を取り除いた。その後、残留物にヘキサンを加え、固体を析出させた。
【0053】
収率:86.1 % (収量:15.42 g)
IR (KBr, cm-1)3397 (ν-NH2 ), 1745 (νC=O ester), 1585 and 1496 (νC=C aromatic), 1241 (νC-O-C ester).
1H NMR (500 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 3.15 (dq, 2.0 H, Jdbe = 5.0 Hz, Hd), 3.66 (s, 3.0 H, Hc), 4.26 (t, 1.0 H, Jab = 5.0 Hz Hb), 7.23-7.36 (m, 5.0 H, He-i), 8.56 (s, 2.0 H, Ha).
【0054】
【化11】

【0055】
(実施例1)
<3−エチル−3−(カルボキシ−L−フェニルアラニン)−オキセタン(EC−L−PAO)の合成>
300 mL三つ口フラスコに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩(EDC塩酸塩)3.83 g(20 mmol)とCH2Cl2 20 mLを加え、0℃、窒素雰囲気下中、10分間撹拌した。次に、ECO 2.88 g (20 mmol),L−フェニルアラニンメチルエステル 3.58 g(20 mmol),トリエチルアミン 5.57 mL(40 mmol)、そしてCH2Cl2を70 mL加え、室温にて24h撹拌しながら反応を行った。反応終了後、得られた反応母液を1N HClで2回洗浄、次に重曹水で2回洗浄し、さらに水洗を2回行った後、溶媒を減圧留去した。
次に、得られた粘性液体をTHF 100 mLに溶解させた。このTHF溶液に、KOH 1.12 gを溶解させた水溶液(40 mL)を加え、室温で24時間反応を行った。反応終了後、THFを減圧留去し酸析を行った。次に、酢酸エチルを用いて抽出操作を3回行い、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、有機相を減圧留去後、得られた粘性液体をn-hexaneに落とし固体を析出させた。この固体を酢酸エチル:n−ヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶精製し、無色針状結晶を得た。構造確認はIR、1H NMR、13C NMRにて行った。
【0056】
収率:56.5 % (収量:3.13 g)
融点 : 132.7-133.8 ℃
IR (KBr, cm-1) 3303 (ν NH), 1735 (νC=O carboxylate), 1544 and 1455 (νC=C aromatic), 1218 and 1186 (νC-O-C carboxylate), 971 (νC-O-C cyclic ether).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 0.53 (t, 3.0 H, Jab = 6.5 Hz, Ha), 1.85 (q, 2.0 H, Jba = 6.5 Hz, Hb), 2.86-3.12 (m, 2.0 H, Hg), 4.18, 4.54 (ABq, 4.0 H, Hc), 4.47 (s, 1.0 H, He), 7.19-7.26 (m, 5.0 H, Hh,i,j,k,l), 8.03 (s, 1.0 H, Hd), 12.69 (s, 0.48 H, Hf).
【0057】
【化12】

【0058】
13C NMR (150 MHz,DMSO-d6,TMS)δ(ppm) = 8.09 (Ca), 29.11 (Cb), 36.28 (Cg), 48.86 (Cd), 53.10 (Cf), 76.87, 77.23 (Cc), 126.22 (Cl), 127.98 (Cj), 128.95 (Ck), 137.82 (Ci), 173.13 (Cg), 179.42 (Ce).
【0059】
【化13】

【0060】
(実施例2)
<EC−L−PAOの自己重付加反応>
ドライバッグ中 (湿度<10 %)でアンプル管にテトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)を0.021 g (5 mol%)と回転子を入れ、60℃、5時間減圧乾燥をした。その後ドライバッグ中で、アンプル管にEC−L−PAOを0.277 g (1.0 mmol)、o−ジクロロベンゼンを0.1 mL量り取った。アンプル管に二方コックを接続し、密閉状態でドライバッグから取り出し、次の方法で脱気した。アンプル管を液体窒素に入れ、試料が完全に凍結してから減圧し数分後アンプル管を水中にいれ解凍し、乾燥高純度窒素で置換した。この操作を二回続けて行い、再び凍結させ減圧状態でアンプル管を封管した。試料が解凍したのを確認し、150℃のオイルバスで24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を少量のクロロホルムで希釈し、水で三回洗浄した。その後、クロロホルム層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後クロロホルムを減圧留去した。得られた液体をヘキサンで二回再沈殿精製を行った。その後、減圧乾燥を行い、白色粉末の固体を得た。また、円二色性分散計により測定を行ったところ、一方向の螺旋性を有する立体規則性ポリマーであることが示唆された。
【0061】
収率:86 % (収量 : 0.24 g)
Mn=1,400
Mw/Mn:2.0
旋光度:[α]D25=−0.8(c=0.10,CHCl3
IR (KRS, cm-1) 3389 (νO-H), 3336 (ν-NM), 1737 (νC=O ester), 1536, 1455 (νC=C aromatic), 1243 (νC-O-C ester).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 0.49-0.59 (m, 3.0 H, Ha), 1.25-1.41 (m, 2.0 H, Hb), 2.94-2.99 (m, 2.0 H, Hh), 3.43-3.49 (m, 2.0 H, Hd), 4.09-4.17 (m, 2.0 H, Hc), 4.55-4.66 (m, 2.0 H, Hg), 4.88 (s, 0.3 H, He), 7.18-7.23 (m, 5.0 H, Hi,j,k), 7.77-7.97 (m, 1.0 H, Hf).
【0062】
【化14】

【0063】
(合成例3)
<D−フェニルアラニンメチルエステルの合成>
300 mL三角フラスコ中に、0 ℃にて攪拌しつつ、MeOH 100 mL、SOCl2 30 mL、D-Phenylalanine 16.5 g(100 mmol)を加え、室温にて12h撹拌した。反応終了後、減圧留去を行い、溶媒を取り除いた。その後、残留物にヘキサンを加え、固体を析出させた。
【0064】
収率:89.83 % (収量:16.08 g)
IR (KBr, cm-1) 3397 (ν-NH2 ), 1745 (νC=O ester), 1604 and 1494 (νC=C aromatic), 1241 (νC-O-C ester).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 3.17 (dq, 2.0 H, Jdbe = 5.0 Hz, Hd), 3.66 (s, 3.0 H, Hc), 4.25 (t, 1.0 H, Jab = 5.0 Hz Hb), 7.23-7.35 (m, 5.0 H, He-i), 8.64 (s, 2.0 H, Ha).
【0065】
【化15】

【0066】
(実施例3)
<3−エチル−3−(カルボキシ−D−フェニルアラニン)−オキセタン(EC−D−PAO)の合成>
300 mL三つ口フラスコに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩(EDC塩酸塩)3.83 g(20 mmol)とCH2Cl2 20 mLを加え、0℃、窒素雰囲気下中、10分間撹拌した。次に、ECO 2.88 g (20 mmol),D−フェニルアラニンメチルエステル 3.58 g(20 mmol),トリエチルアミン 5.57 mL(40 mmol)、そしてCH2Cl2を70 mL加え、室温にて24h撹拌反応を行った。反応終了後、得られた反応母液を1N HClで2回洗浄、次に重曹水で2回洗浄し、さらに水洗を2回行った後、溶媒を減圧留去した。
次に、得られた粘性液体をTHF 100 mLに溶解させた。このTHF溶液に、KOH 1.12 gを溶解させた水溶液(40 mL)を加え、室温で24時間反応を行った。反応終了後、THFを減圧留去し酸析を行った。次に、酢酸エチルを用いて抽出操作を2回行い、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、有機相を減圧留去後、得られた粘性液体をn-hexaneに落とし固体を析出させた。この固体を酢酸エチル:n−ヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶精製し、無色針状結晶を得た。構造確認はIR、1H NMR、13C NMRにて行った。
【0067】
収率:52.4 % (収量:2.88 g)
融点:136.3-136.9 ℃
IR (KBr, cm-1) 3303 (ν NH), 1735 (νC=O carboxylate), 1546 and 1455 (νC=C aromatic), 1218 and 1184 (νC-O-C carboxylate), 971 (νC-O-C cyclic ether).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 0.54 (t, 3.0 H, Jab = 6.5 Hz, Ha), 1.83 (q, 2.0 H, Jba = 6.5 Hz, Hb), 2.85-3.13 (m, 2.0 H, Hg), 4.21, 4.56 (ABq, 4.0 H, Hc), 4.53 (s, 1.0 H, He), 7.21-7.28 (m, 5.0 H, Hh,i,j,k,l), 8.11 (d, 1.0 H, Hd), 12.71 (s, 0.28 H, Hf).
【0068】
【化16】

【0069】
13C NMR (150 MHz,DMSO-d6,TMS)δ(ppm) = 8.10 (Ca), 29.31 (Cb), 35.95 (Ch), 46.66 (Cd), 53.10 (Cf), 76.88 (Cc), 125.59 (Cl), 127.99 (Cj), 128.95 (Ck), 148.71 (Ci), 174.80 (Cg), 180.64 (Ce).
【0070】
【化17】

【0071】
(実施例4)
<EC−D−PAOの自己重付加反応>
ドライバッグ中 (湿度<10 %)でアンプル管にテトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)を0.021 g (5 mol%)と回転子を入れ、60℃、5時間減圧乾燥をした。その後ドライバッグ中で、アンプル管にEC−D−PAOを0.277 g (1.0 mmol)、o−ジクロロベンゼンを0.1 mL量り取った。アンプル管に二方コックを接続し、密閉状態でドライバッグから取り出し、次の方法で脱気した。アンプル管を液体窒素に入れ、試料が完全に凍結してから減圧し数分後アンプル管を水中にいれ解凍し、乾燥高純度窒素で置換した。この操作を二回続けて行い、再び凍結させ減圧状態でアンプル管を封管した。試料が解凍したのを確認し、150℃のオイルバスで24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を少量のクロロホルムで希釈し、水で三回洗浄した。その後、クロロホルム層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後クロロホルムを減圧留去した。得られた液体をヘキサンで二回再沈殿精製を行った。その後、減圧乾燥を行い、白色粉末の固体を得た。また、円二色性分散計により測定を行ったところ、一方向の螺旋性を有する立体規則性ポリマーであることが示唆された。
【0072】
収率:84 % (収量 : 0.23 g)
Mn=2,200
Mw/Mn:1.7
IR (KRS, cm-1) 3388 (νO-H), 3332 (ν-NM), 1739 (νC=O ester), 1536, 1455 (νC=C aromatic), 1216 (νC-O-C ester).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 0.35-0.80 (m, 3.0 H, Ha), 1.24-1.41 (m, 2.0 H, Hb), 2.93-2.99 (m, 2.0 H, Hh), 3.43-3.48 (m, 2.0 H, Hd), 3.89-4.09 (m, 2.0 H, Hc), 4.55-4.65 (m, 2.0 H, Hg), 4.91 (s, 0.3 H, He), 7.17-7.23 (m, 5.0 H, Hi,j,k), 7.77-7.97 (m, 1.0 H, Hf).
【0073】
【化18】

【0074】
(合成例4)
<L−アラニンメチルエステルの合成>
300 mL三角フラスコ中に、0℃にて撹拌しつつ、MeOH 100 mL、SOCl2 30 mL、L-Alanine 8.91 g(100 mmol)を加え、室温にて12h撹拌した。反応終了後、減圧留去を行い、溶媒を取り除いた。その後、残留物にヘキサンを加え、固体を析出させた。
【0075】
収率:82.2 % (収量:8.47 g)
IR (KBr, cm-1) 3411 (νC=O ester), 1602 (ν-NH2 ), 1251 (νC-O-C ester).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 1.41 (d, 3.0 H, Jab = 6.5 Hz, Ha), 3.89 (s, 3.0 H, Hc), 4.09 (q, 1.0 H, Jba = 6.5 Hz, Hb), 8.55 (s, 2.0 H, Hd).
【0076】
【化19】

【0077】
(実施例5)
<3−エチル−3−(カルボキシ−L−アラニン)−オキセタン(EC−L−AO)の合成>
300 mL三つ口フラスコに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩(EDC塩酸塩)3.83 g(20 mmol)とCH2Cl2 20 mLを加え、0℃、窒素雰囲気下中、10分間撹拌した。次に、ECO 2.88 g (20 mmol),L−アラニンメチルエステル 2.06 g(20 mmol),トリエチルアミン 5.57 mL(40 mmol)、そしてCH2Cl2を70 mL加え、室温にて12h撹拌反応を行った。反応終了後、得られた反応母液を1N HClで2回洗浄、次に重曹水で2回洗浄し、さらに水洗を2回行った後、溶媒を減圧留去した。
次に、得られた粘性液体をTHF 100 mLに溶解させた。このTHF溶液に、KOH 1.12 gを溶解させた水溶液(40 mL)を加え、室温で24時間反応を行った。反応終了後、THFを減圧留去し酸析を行った。次に、酢酸エチルを用いて抽出操作を3回行い、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、有機相を減圧留去後、得られた粘性液体をn-hexaneに落とし固体を析出させた。構造確認はIR、1H NMR、13C NMRにて行った。
【0078】
収率:43.26 % (収量:1.74 g)
融点:141.8-142.8 ℃
IR (KBr, cm-1) 3297 (ν NH ), 1729 (νC=O carboxylate), 1220 and 1186 (νC-O-C carboxylate), 960 (νC-O-C cyclic ether).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 0.78 (t, 3.0 H, Jab = 6.5 Hz, Ha), 1.28 (d, 3.0 H, Jed = 6.5 Hz, He), 1.94 (q, 2.0 H, Jba = 6.5 Hz, Hb), 4.23-4.68 (m, 5.0 H, Hc, Hd), 8.06 (s, 1.0 H, Hg), 12.47 (s, 0.75 H, Hf).
【0079】
【化20】

【0080】
13C NMR (150 MHz,DMSO-d6,TMS)δ(ppm) = 8.49 (Ca), 16.92 (Cg), 29.39 (Cb), 47.55 (Cd), 48.94 (Cf), 77.27 (Cc), 173.41 (Ch), 174.21 (Ce).
【0081】
【化21】

【0082】
(実施例6)
<EC−L−AOの自己重付加反応>
ドライバッグ中 (湿度<10 %)でアンプル管にテトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)を0.021 g (5 mol%)と回転子を入れ、60℃、5時間減圧乾燥をした。その後ドライバッグ中で、アンプル管にEC−L−AOを0.201 g (1.0 mmol)、o−ジクロロベンゼンを0.1 mL量り取った。アンプル管に二方コックを接続し、密閉状態でドライバッグから取り出し、次の方法で脱気した。アンプル管を液体窒素に入れ、試料が完全に凍結してから減圧し数分後アンプル管を水中にいれ解凍し、乾燥高純度窒素で置換した。この操作を二回続けて行い、再び凍結させ減圧状態でアンプル管を封管した。試料が解凍したのを確認し、150℃のオイルバスで24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を少量のクロロホルムで希釈し、水で三回洗浄した。その後、クロロホルム層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後クロロホルムを減圧留去した。得られた液体をヘキサンで二回再沈殿精製を行った。その後、減圧乾燥を行い、白色粉末の固体を得た。また、円二色性分散計により測定を行ったところ、一方向の螺旋性を有する立体規則性ポリマーであることが示唆された。
【0083】
収率: 79 % (収量 : 0.16 g)
Mn=1,700
Mw/Mn:1.5
旋光度:[α]D25=−1.2(c=0.10,CHCl3
IR (KRS, cm-1) 3374 (νO-H), 3340 (ν-NM), 1740 (νC=O ester), 1226 (νC-O-C ester).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 0.75 (m, 3.0 H, Ha), 1.25 (m, 3.0 H, Hh), 1.47-1.53 (m, 2.0 H, Hb), 3.49-3.60 (m, 1.0 H, Hg), 4.03-4.26 (m, 4.0 H, Hd,c), 4.65 (s, 0.8 H, He), 7.81-8.16 (m, 1.0 H, Hf).
【0084】
【化22】

【0085】
(合成例5)
<D−アラニンメチルエステルの合成>
300 mL三角フラスコ中に、0℃にて撹拌しつつ、MeOH 100 mL、SOCl2 30 mL、D-Alanine 8.91 g(100 mmol)を加え、室温にて12h撹拌した。反応終了後、減圧留去を行い、溶媒を取り除いた。その後、残留物にヘキサンを加え、固体を析出させた。
【0086】
収率:82.60 % (収量:9.21 g)
IR (KBr, cm-1) 3409 (ν-NH2 ), 1747 (νC=O ester) , 1249 (νC-O-C ester).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 1.41 (d, 3.0 H, Jab = 6.5 Hz, Ha), 3.74 (s, 3.0 H, Hc), 4.08 (q, 1.0 H, Jba = 6.5 Hz, Hb), 8.59 (s, 2.0 H, Hd).
【0087】
【化23】

【0088】
(実施例7)
<3−エチル−3−(カルボキシ−D−アラニン)−オキセタン(EC−D−AO)の合成>
300 mL三つ口フラスコに1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩(EDC塩酸塩)3.83 g(20 mmol)とCH2Cl2 20 mLを加え、0℃、窒素雰囲気下中、10分間撹拌した。次に、ECO 2.88 g (20 mmol),D−アラニンメチルエステル 2.06 g(20 mmol),トリエチルアミン 5.57 mL(40 mmol)、そしてCH2Cl2を70 mL加え、室温にて24h撹拌反応を行った。反応終了後、得られた反応母液を1N HClで2回洗浄、次に重曹水で2回洗浄し、さらに水洗を2回行った後、溶媒を減圧留去した。
次に、得られた粘性液体をTHF 100 mLに溶解させた。このTHF溶液に、KOH 1.12 gを溶解させた水溶液(40 mL)を加え、室温で24時間反応を行った。反応終了後、THFを減圧留去し酸析を行った。次に、酢酸エチルを用いて抽出操作を3回行い、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、有機相を減圧留去後、得られた粘性液体をn-hexaneに落とし固体を析出させた。構造確認はIR、1H NMR、13C NMRにて行った。
【0089】
収率:47.34 % (収量:1.81 g)
融点:146.0-146.6 ℃
IR (KBr, cm-1) 3299 (ν NH ),1731 (νC=O carboxylate), 1220 and 1186 (νC-O-C carboxylate), 968 (νC-O-C cyclic ether).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 0.77 (t, 3.0 H, Jab = 6.5 Hz, Ha), 1.26 (d, 3.0 H, Jed = 6.5 Hz, He), 1.92 (q, 2.0 H, Jba = 6.5 Hz, Hb), 4.25-4.65 (m, 5.0 H, Hc, Hd), 8.07 (s, 1.0 H, Hg), 12.04 (s, 0.75 H, Hf).
【0090】
【化24】

【0091】
13C NMR (150 MHz,DMSO-d6,TMS)δ(ppm) = 8.49 (Ca), 16.93 (Cg), 29.37 (Cb), 47.57 (Cd), 48.96 (Cf), 77.27 (Cc), 174.21 (Ch), 181.2 (Ce).
【0092】
【化25】

【0093】
(実施例8)
<EC−D−AOの自己重付加反応>
ドライバッグ中 (湿度<10 %)でアンプル管にテトラフェニルホスホニウムブロミド(TPPB)を0.021 g (5 mol%)と回転子を入れ、60℃、5時間減圧乾燥をした。その後ドライバッグ中で、アンプル管にEC−D−AOを0.201 g (1.0 mmol)、o−ジクロロベンゼンを0.1 mL量り取った。アンプル管に二方コックを接続し、密閉状態でドライバッグから取り出し、次の方法で脱気した。アンプル管を液体窒素に入れ、試料が完全に凍結してから減圧し数分後アンプル管を水中にいれ解凍し、乾燥高純度窒素で置換した。この操作を二回続けて行い、再び凍結させ減圧状態でアンプル管を封管した。試料が解凍したのを確認し、150℃のオイルバスで24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を少量のクロロホルムで希釈し、水で三回洗浄した。その後、クロロホルム層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後クロロホルムを減圧留去した。得られた液体をヘキサンで二回再沈殿精製を行った。その後、減圧乾燥を行い、白色粉末の固体を得た。また、円二色性分散計により測定を行ったところ、一方向の螺旋性を有する立体規則性ポリマーであることが示唆された。
【0094】
収率:79.5 % (収量 : 0.16 g)
Mn=1,500
Mw/Mn:1.4
IR (KRS, cm-1) 3398 (νO-H), 3326 (ν-NM), 1741 (νC=O ester), 1209 (νC-O-C ester).
1H NMR (600 MHz, DMSO, TMS) : σ ppm = 0.73 (s, 3.0 H, Ha), 1.23 (s, 3.0 H, Hh), 1.45-1.52 (m, 2.0 H, Hb), 3.48-3.57 (m, 1.0 H, Hg), 4.13-4.24 (m, 4.0 H, Hd,c), 4.64 (s, 0.4 H, He), 7.80-8.13 (m, 1.0 H, Hf).
【0095】
【化26】

【0096】
(合成例6)
<グリシンメチルエステルの合成>
L−フェニルアラニンをグリシンに代える以外は、合成例2と同様にして、グリシンメチルエステルを得ることができる。
【0097】
(実施例9)
<3−エチル−3−(カルボキシ−グリシン)−オキセタン(EC−GO)の合成>
L−フェニルアラニンメチルエステルをグリシンメチルエステルに代える以外は、実施例1と同様にして、EC−GOを得ることができる。
【0098】
(実施例10)
<EC−GOの自己重付加反応>
EC−L−PAOをEC−GOに代える以外は、実施例2と同様にして、EC−GOの重付加反応物を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一分子内にオキセタニル基と、アミド結合と、カルボキシル基又はその前駆基とを有し、
下記式(I)で表されることを特徴とする
化合物。
【化1】

(式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R2は単結合又は二価の連結基を表し、R3及びR5はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、R4はアミノ酸残基を表す。)
【請求項2】
4が光学活性部位を有するアミノ酸残基である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記式(II)〜(V)のいずれか1つで表される請求項1又は2に記載の化合物。
【化2】

【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物を自己重付加反応させて得られる重合物。
【請求項5】
塩基性触媒存在下に自己重付加反応を行う工程を含む
請求項4に記載の重合物の製造方法。
【請求項6】
前記塩基性触媒が、第4オニウム塩、クラウンエーテル錯体類、又は、第3アミンである請求項5に記載の重合物の製造方法。
【請求項7】
前記塩基性触媒がテトラフェニルホスホニウムブロミドである請求項5又は6に記載の重合物の製造方法。

【公開番号】特開2007−210946(P2007−210946A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32657(P2006−32657)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】