説明

自律神経機能年齢の判定システム及び判定方法

【課題】自律神経機能年齢の判定システム及び判定方法等を提供する。
【解決手段】被験者の交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値との和({LF+HF}値)によって、自律神経機能年齢を判定する処理を行う。本判定システムは、被験者のLF値とHF値とを解析する生体情報解析装置と、LF値とHF値の和によって算出される{LF+HF}値と自律神経機能年齢との関係を示す自律神経機能年齢基準曲線を格納する記憶装置と、生体情報解析装置で解析したLF値とHF値の和と、記憶装置に格納された自律神経機能年齢基準曲線とを比較して、被験者の自律神経機能年齢を判定する判定部と、判定部によって判定された被験者の自律神経機能年齢を出力する出力装置と、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律神経系の機能解析に関し、特に、自律神経機能年齢を判定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、疲労を客観的に評価するための指標として、自律神経系の機能解析が注目されている。自律神経は、主に起きているときや緊張しているときに働く交感神経と、主に寝ているときやリラックスしているときに働く副交感神経とがあり、両者がバランスを取りながら機能し、生理的機能を調節していることが知られている。
【0003】
交感神経と副交感神経はストレスの影響を受けやすく、そのバランスが崩れると、本来活動しているときに働いてくれる交感神経が働かずに、やる気が出なかったり、逆に休息の時に働いてくれる副交感神経がうまく働かず、眠れないといったことが起こる。また、疲労病態では、交感神経系の緊張が高まり、副交感神経系の活動が低下することが報告されている。
【0004】
本発明者らは、疲労時に見られる交感神経と副交感神経のバランスの崩れに着目し、交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値の比(LF/HF)に基づいて、疲労度を定量的に判定する処理システムを提供している(特許文献1)。例えば、この処理システムを用いて指先加速度脈波を2分間計測、最大エントロピー法による周波数解析にて自律神経系の評価を行うと、健常者(安静時 座位)でLF値とHF値の比(LF/HF)は通常1〜1.5程度であるのに対して、慢性疲労症候群患者では明らかに増加することが観察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−201113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、自律神経機能の解析は、疲労度を客観的に評価するために重要な検査の1つであると考えられる。しかしながら、従来の自律神経機能の解析手法としては、心電変動解析によりLF値やHF値を求めることまでは行われているものの、被験者の自律神経機能のレベルを年齢に換算して、客観的に評価することは行われていない。また、被験者の実年齢と自律神経機能年齢とを比較し、自律神経機能レベルの評価をすることも行われていない。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、自律神経機能年齢の判定システム及び判定方法等を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を鑑みて鋭意検討を行った結果、被験者の年齢が増加するのに伴って、LF値とHF値との和、すなわち{LF+HF}値が減衰する傾向があることを見出した。そこで、{LF+HF}値と年齢との関係を示す自律神経機能年齢判定基準曲線を確立し、被験者の交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値との和によって算出される{LF+HF}値と自律神経機能年齢判定基準曲線とを対比し、被験者の自律神経機能年齢を判定する処理を行う判定システムを確立した。
【0009】
すなわち、本発明の一実施形態に係る自律神経機能年齢判定システムは、被験者の交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値とを解析する生体情報解析装置と、LF値とHF値の和によって算出される{LF+HF}値と自律神経機能年齢との関係を示す自律神経機能年齢基準曲線を格納する記憶装置と、生体情報解析装置で解析したLF値とHF値の和と、記憶装置に格納された自律神経機能年齢基準曲線とを比較して、被験者の自律神経機能年齢を判定する判定部と、判定部によって判定された被験者の自律神経機能年齢に関する情報を出力する出力装置と、備える。
【0010】
好適には、生体情報解析装置は、脈拍計もしくは心電計を用いて測定して得られる被験者の脈拍データもしくは心電データを、高速フーリエ変換もしくは最大エントロピー法により解析して、被験者のLF値およびHF値を得る。
【0011】
好適には、被験者の年齢を入力するための入力装置をさらに備え、出力装置は、入力装置で入力された被験者の年齢と、判定された被験者の自律神経機能年齢とを比較した報告を出力する。
【0012】
好適には、被験者ごとの年齢とLF値及びHF値を格納するデータベースと、データベースに格納されたデータから、{LF+HF}値と年齢との関係を解析し、自律神経機能年齢基準曲線を求め、当該自律神経機能年齢基準曲線を記憶装置に格納する基準曲線解析部と、をさらに備える。
【0013】
好適には、出力装置は、判定部によって判定された被験者の自律神経機能年齢を出力する。また好適には、出力装置は、入力装置に入力された被験者の年齢と、判定部によって判定された被験者の自律神経機能年齢とを比較して評価された、自律神経機能レベルの評価結果を出力する。
【0014】
また、本発明の一実施例における自律神経機能年齢の判定方法は、被験者の交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値の和によって算出される{LF+HF}値と自律神経機能年齢との関係を示す自律神経機能年齢基準曲線を格納する記憶装置と、演算装置とを備える自律神経機能年齢判定システムにおいて、自律神経機能年齢を判定する方法であり、演算装置が、LF値とHF値とを解析するステップと、解析されたLF値とHF値の和と、記憶装置に格納された自律神経機能年齢基準曲線とを比較して、被験者の自律神経機能年齢を判定するステップと、判定された被験者の自律神経機能年齢を出力するステップと、を備える。
【0015】
本発明のプログラムは、本発明の自律神経機能年齢の判定方法の各ステップを、自律神経機能年齢基準曲線が格納された記憶装置にアクセス可能なコンピュータに実行させることを特徴とする。本発明のプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自律神経機能年齢の判定システム及び判定方法等を提供することができるという優れた効果を奏し得る。そして被験者は自己の自律神経機能年齢に関する情報を知ることによって、自身の疲労度を客観的に把握することが可能であり、必要な措置を取るための目安となることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る自律神経機能年齢判定システム100の構成を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る自律神経機能年齢判定システム100の構成を示す図である。
【図3】(A)〜(F)はそれぞれ20代から70代までの年代別の{LF+HF}値の分布を示すグラフである。
【図4】20代から70代までの年代別の{LF+HF}値の分布を一つにまとめたものである。
【図5】基準曲線の一例を示すグラフである。
【図6】勤労者のみの被験者グループに対して、本発明の一実施形態に係る基準曲線を用いて推定された自律神経機能年齢と、問診回答の結果とを比較した表である。
【図7】本発明の一実施形態における自律神経機能年齢判定システム100の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態における自律神経機能年齢判定システム100の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る自律神経機能年齢判定システム100の構成を示す図である。本実施形態において自律神経機能年齢判定システム100は、入力装置110と、生体情報取得装置120と、生体情報解析装置130と、基準曲線記憶部160と、判定部170と、出力装置180とを備える。
【0020】
入力装置110は、被験者に関するデータを入力するための装置であり、例えば、キーボードやタッチパネル上の入力インタフェースなどにより構成される。一実施例において、被験者の自律神経機能年齢を、被験者の実際の年齢と比較して診断する場合には、被験者に関するデータとして、少なくとも被験者の年齢を入力装置110で入力する。また、他の実施例において、自律神経機能年齢の判定結果のレポートを後日送付する場合には、被験者に関するデータとして、年齢のほかに、被験者の氏名、住所、性別などを入力する。さらに他の実施例において、被験者の自律神経機能年齢を単に判定するだけであれば、被験者に関するデータを入力しなくてもよい。
【0021】
生体情報取得装置120は、被験者の生体情報を収集するための装置である。ここで被験者の生体情報とは、好適には、心拍データまたは脈拍データもしくは加速度脈波データを意味する。市販の心電計や脈拍計を生体情報取得装置120として利用してもよい。
【0022】
生体情報解析装置130は、生体情報取得装置120で収集した被験者の生体情報を解析して、被験者の交感神経及び副交感神経の働きを定量化するための装置である。本実施形態では、被験者の生体情報データを周波数解析して、周波数領域の低周波数成分からLF値を算出し、高周波数成分からHF値を算出する。一般に、LF値は被験者の交感神経の働きを示す指標であり、HF値は被験者の副交感神経の働きを示す指標であるとされている。
【0023】
生体情報を解析するための基となる生体情報データは、生体情報取得装置120から生体情報解析装置130に随時入力されるものであってもよいし、生体情報取得装置120にて一定期間のデータを取得した後に、まとめて生体情報解析装置130に入力されるものであってもよい。
【0024】
生体情報データからLF値やHF値を得るために周波数解析が行われるが、周波数解析(時間周波数解析)の手法は公知の解析手法を利用可能であり、例えば、最大エントロピー法(MEM法)、高速フーリエ変換法(FFT法)、ウェーブレット法等が挙げられる。これらの中でも、最大エントロピー法を用いるのが好ましい。最大エントロピー法によれば、時間分解能の高い解析を行うことができる。用いられる生体情報データは、心拍(心電図)のR−R間隔(心拍のパターン)や、加速度脈波のa−a間隔である。例えば、心拍(心電図)のR−R間隔を最大エントロピー法(MEM)を用いて周波数領域の低周波数成分(LF:0.04−0.15Hz)と高周波数成分(HF:0.15−0.40Hz)に分離し、低周波数成分及び高周波数成分のパワーの総和をそれぞれLF値及びHF値として算出する。
【0025】
具体的には、LF値とHF値は、例えば、以下の式により算出することができる。
【数1】

【数2】

【数3】

ここで、LF(t)はLF値、HF(t)はHF値、P(f)はパワースペクトル関数、C(t)は心拍(心電図)のR−R間隔の自己相関関数、tは時間、fは周波数を示す。数3に示すとおり、数式上P(f)は全時間領域で積分するものとしているが、実際は、観測領域で積分すれば足りる。
【0026】
ここでLF値やHF値の上限及び下限とした周波数は欧州心電図学会で定義されているなど一般に広く使われている数値であるが、LF値及びHF値を分離するための周波数帯はこれに限定されるものではなく、他の周波数帯によってLF値とHF値を定義付けてもよい。また、測定誤差等が許容されることは言うまでもない。なお、市販の自律神経測定器を、生体情報取得装置120及び生体情報解析装置130として利用してもよい。
【0027】
基準曲線記憶部160は、LF値とHF値の和(以下、LF値とHF値の和の値を「{LF+HF}値」という。)と、年齢との関係を示す自律神経機能年齢判定基準曲線(以下「基準曲線」という。)を格納する記憶装置である。後述するように、本発明者らは、{LF+HF}値は加齢によって減衰する傾向があることを新たに見出した。本発明はこの知見に基づくものであり、基準曲線は、{LF+HF}値から自律神経機能年齢を推定可能な関数などの形式で表現され得る。例えば、多数の被験者の年齢と{LF+HF}値のデータを収集して統計的に解析することにより、予め基準曲線を求めておき、当該基準曲線を自律神経機能年齢判定システム100の備えるメモリなどの記憶装置に格納しておけばよい。
【0028】
判定部170は、被験者の自律神経機能年齢を判定する処理を行う。判定部170は、生体情報解析装置130によって計測された被験者のLF値及びHF値を受け取り、{LF+HF}値を求める。そして、基準曲線記憶部160に格納された基準曲線と比較して、被験者の自律神経機能年齢を判定する。
【0029】
出力装置180は、判定部170によって判定された自律神経機能年齢に関する情報を出力するための装置である。出力される情報としては、自律神経機能年齢を出力するようにしてもよいし、被験者の実年齢と自律機能神経年齢とを比較して評価された自律機能神経レベルの評価結果を出力するようにしてもよい。また、被験者の自律神経機能年齢と自律神経機能レベルの評価結果の詳細をレポート形式で出力してもよい。出力装置180としては、ディスプレイなどの表示出力装置やプリンタなどの印刷出力装置を利用可能である。
【0030】
なお、自律神経機能年齢判定システム100を構成する各構成要素、すなわち入力装置110、生体情報取得装置120、生体情報解析装置130、基準曲線記憶部160、判定部170及び出力装置180は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。任意の構成要素を実現するコンピュータは、当該構成要素が備える機能を実現するためのプログラムが記憶された記憶媒体を備え、演算装置がこの記憶媒体を読み込んでプログラムに従った所定の処理を実行することによって、各構成要素として機能する。
【0031】
図2は、本発明の他の実施形態に係る自律神経機能年齢判定システム100の構成を示す図である。本実施形態における自律神経機能年齢判定システム100は、図1に記載の各構成に加え、さらに、データベース140と基準曲線解析部150とを備える。
【0032】
データベース140は、被験者毎に、入力装置110で入力された被験者の年齢を含むデータと、生体情報解析装置130で解析した被験者のLF値及びHF値とを格納するデータベースである。
【0033】
基準曲線解析部150は、データベース140から、複数の被験者について、被験者の年齢とLF値及びHF値とを読み出して、LF値とHF値の和、すなわち{LF+HF}値と、年齢との関係を示す基準曲線を、統計的手法を用いて解析する装置である。こうしてプロットされた基準曲線は、基準曲線記憶部160に格納される。
【0034】
なお、自律神経機能年齢判定システム100を構成する各構成要素、すなわち入力装置110、生体情報取得装置120、生体情報解析装置130、データベース140、基準曲線解析部150、基準曲線記憶部160、判定部170及び出力装置180は、前述の実施形態と同様に、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。
【0035】
図3の(A)〜(F)は、それぞれ20代から70代までの年代別の{LF+HF}値の分布を示すグラフである。図4は、これらを一つにまとめたものである。{LF+HF}値を算出する基となるLF値及びHF値は、心電を安静閉眼座位で5分間1000Hzでサンプリングし、最大エントロピー法により解析したものである。
【0036】
グラフの横軸は{LF+HF}値の対数であり、縦軸は確率密度を表している。グラフ上の逆三角形のマークは、各年代ごとの{LF+HF}値の平均値をプロットしたものである。図2及び図3に示すように、健常者の{LF+HF}値を年齢別に分析することによって、年齢を経るごとに健常者の{LF+HF}値の値が減衰していく様子が観察される。
【0037】
図5は、基準曲線の一例を示すグラフである。グラフの横軸は{LF+HF}値の対数であり、縦軸は自律神経機能年齢の推定値である。同図に示すように、基準曲線は、{LF+HF}値とその値に対応する自律神経機能年齢とが対応付けられていて、被験者の{LF+HF}値に基づいて、自律神経機能年齢が推定できるようになっている。図中の実線は{LF+HF}値から推定される自律神経機能年齢をプロットしたものであり、点線はその±2σ(標準偏差の2倍)の値をプロットしたものである。
【0038】
図6は、勤労者のみの被験者グループに対して、本発明の一実施形態に係る基準曲線を用いて推定された自律神経機能年齢と、問診回答の結果とを比較した表である。同図は、30代及び40代で自律神経機能年齢が50歳以上と判定された被験者を、30代及び40代で自律神経機能年齢が50歳未満と判定された被験者と比較した場合、及び、50代の被験者とを比較した場合を示している。同図に示されているとおり、30代及び40代で自律神経機能年齢が50歳以上の被測定者群は、長期的な労働負担があったことを示す問診回答が有意に多かったことが確認された。
【0039】
次に、上記のように構成される自律神経機能年齢判定システム100の動作の概要について説明する。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態における自律神経機能年齢判定システム100の処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
まず、被験者の年齢を含む個人情報を入力装置110で入力する(S210)。これと並行して、生体情報取得装置120を用いて、被験者の心電図などの生体情報を計測し、生体情報解析装置130により、被験者のLF値とHF値を解析する(S220)。
【0042】
そして、判定部170は、ステップS220で解析されたLF値とHF値とを受け取ると、{LF+HF}値を算出し、基準曲線記憶部160に格納された基準曲線から、被験者の{LF+HF}値に対応する自律神経機能年齢を判定する(S250)。判定された自律神経機能年齢に関する情報は、自律神経機能年齢判定システム100のディスプレイに表示出力したり、プリンタで印刷出力したりされる(S260)。
【0043】
図8は、本発明の他の実施形態における自律神経機能年齢判定システム100の処理の流れを示すフローチャートである。この実施形態の処理は、図6に記載した処理に加え、被験者のLF値及びHF値をデータベース140に格納し、データベース140に格納されたデータを読み出して基準曲線を求める点を追加したものである。
【0044】
同図中ステップS210〜S220及びステップS250〜S260の処理は、図6における処理と同様である。ステップS210で入力した個人情報と、ステップS220で解析したLF値及びHF値は、被験者ごとに、データベース140に蓄積される(S230)。そして、基準曲線解析部150は、所定のタイミングでデータベース140に格納されたデータの中から、少なくとも複数の被験者の年齢とLF値及びHF値とを読み出して統計的に解析し、基準曲線を求め、基準曲線記憶部160に格納する(S240)。
【0045】
なお、本実施形態および各変形例において示した各処理のステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。さらに本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。さらにまた、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。また、任意の実施形態において、コンテンツアクセスシステムを実現するプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【符号の説明】
【0046】
100 自律神経機能年齢判定システム
110 入力装置
120 生体情報取得装置
130 生体情報解析装置
140 データベース
150 基準曲線解析部
160 基準曲線記憶部
170 判定部
180 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値とを解析する生体情報解析装置と、
LF値とHF値の和によって算出される{LF+HF}値と自律神経機能年齢との関係を示す自律神経機能年齢基準曲線を格納する記憶装置と、
前記生体情報解析装置で解析したLF値とHF値の和と、前記記憶装置に格納された前記自律神経機能年齢基準曲線とを比較して、被験者の自律神経機能年齢を判定する判定部と、
前記判定部によって判定された被験者の自律神経機能年齢に関する情報を出力する出力装置と、
を備える自律神経機能年齢判定システム。
【請求項2】
前記生体情報解析装置は、脈拍計もしくは心電計を用いて測定して得られる被験者の脈拍データもしくは心電データを、高速フーリエ変換もしくは最大エントロピー法により解析して、被験者のLF値およびHF値を得ることを特徴とする請求項1に記載の自律神経機能年齢判定システム。
【請求項3】
被験者の年齢を入力するための入力装置をさらに備え、
前記出力装置は、前記入力装置で入力された被験者の年齢と、判定された被験者の自律神経機能年齢とを比較した報告を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の自律神経機能年齢判定システム。
【請求項4】
被験者ごとの年齢とLF値及びHF値を格納するデータベースと、
前記データベースに格納されたデータから、{LF+HF}値と年齢との関係を解析し、自律神経機能年齢基準曲線を求め、当該自律神経機能年齢基準曲線を前記記憶装置に格納する基準曲線解析部と、
をさらに備える請求項1乃至3のいずれかに記載の自律神経機能年齢判定システム。
【請求項5】
前記出力装置は、前記判定部によって判定された被験者の自律神経機能年齢を出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自律神経機能年齢判定システム。
【請求項6】
前記出力装置は、前記入力装置に入力された被験者の年齢と、前記判定部によって判定された被験者の自律神経機能年齢とを比較して評価された、自律神経機能レベルの評価結果を出力することを特徴とする請求項3又は4記載の自律神経機能年齢判定システム。
【請求項7】
被験者の交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値の和によって算出される{LF+HF}値と自律神経機能年齢との関係を示す自律神経機能年齢基準曲線を格納する記憶装置と、演算装置とを備える自律神経機能年齢判定システムにおいて、自律神経機能年齢を判定する方法であって、
前記演算装置が、被験者のLF値とHF値とを解析するステップと、
前記解析されたLF値とHF値の和と、前記記憶装置に格納された前記自律神経機能年齢基準曲線とを比較して、被験者の自律神経機能年齢を判定するステップと、
前記判定された被験者の自律神経機能年齢に関する情報を出力するステップと、
を備える自律神経機能年齢判定方法。
【請求項8】
被験者の交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値の和によって算出される{LF+HF}値と自律神経機能年齢との関係を示す自律神経機能年齢基準曲線を格納する記憶装置にアクセス可能なコンピュータに、
被験者のLF値とHF値とを解析するステップと、
前記解析されたLF値とHF値の和と、前記記憶装置に格納された前記自律神経機能年齢基準曲線とを比較して、被験者の自律神経機能年齢を判定するステップと、
前記判定された被験者の自律神経機能年齢に関する情報を出力するステップと、
を実行させることにより、被験者の自律神経機能年齢を判定するためのプログラム。
【請求項9】
被験者の交感神経の働きを示す指標であるLF値と副交感神経の働きを示す指標であるHF値の和によって算出される{LF+HF}値と自律神経機能年齢との関係を示す自律神経機能年齢基準曲線を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータに、
被験者のLF値とHF値とを解析するステップと、
前記解析されたLF値とHF値の和と、前記自律神経機能年齢基準曲線とを比較して、被験者の自律神経機能年齢を判定するステップと、
前記判定された被験者の自律神経機能年齢に関する情報を出力するステップと、
を実行させることにより被験者の自律神経機能年齢を判定するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−147879(P2012−147879A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7680(P2011−7680)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(505183680)株式会社疲労科学研究所 (2)
【Fターム(参考)】