説明

自発光装置

【課題】道路付帯設備の支柱や縦桟、又は横桟のいずれにも取り付け可能な自発光装置を提供すること。
【解決手段】自発光装置本体と、該自発光装置本体の背面部に取り付けられる裏板とを備え、前記裏板には取付部が形成され、該取付部において道路付帯設備に備えられた支柱又は縦桟に取り付け可能であって、前記裏板は前記自発光装置本体の背面部に対して着脱可能であり、かつ該裏板は90度回転させて本体の背面部に取り付けできる形状を有するものとし、これによって道路付帯設備に備えられた横桟にも取付可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に道路の路肩や中央分離帯の近傍に設置され、車両の運転者の視線を誘導する自発光装置に関するものである。より詳しくは、既設の道路付帯設備に対し、あとから取付可能な自発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、既設の道路付帯設備に情報標識板などを取り付けることが行われていた。その方法としては、例えば特許文献1の従来技術に記載のようなものがある。この従来技術においては、設置される標識板の裏面に、リブ材がスポット溶接により固定されている。このリブ材は標識板の裏面に重ねられる底面部と、この底面部から立設するカギ型の1対の係止部とを有し、係止部の先端部は適長間隔をおいて相互に向き合っている。一方、帯状の止め金の両端部には、ボルトを挿通する孔が形成されており、ボルトの頭部をリブ材の係止部間に嵌入し、止め金をそのボルト孔にボルトを挿入した状態で支柱を抱くように配置し、ボルトにナットを螺合することにより、支持棒を止め金とリブ材との間に挟んだ状態で止め金をリブ材に緊締して固定する。これにより、標識板が支持棒に取り付けられるものである。
【0003】
また、既設の道路付帯設備に自発光体および太陽電池モジュールを備える自発光装置を取り付けることが行われていた。この自発光装置においては、取り付ける自発光装置本体の裏面に裏板を備えるようにすると共に、当該裏板に取付部(上記リブ材のような取付部)を設けて、当該取付部に対応した専用のバンド金具を係り止めることによって、既設の道路付帯設備が備える支柱に取り付けていた。
【特許文献1】特開平11−256524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような情報標識板や自発光装置には、製品および裏面のリブ材、あるいは裏板に方向性がある。したがって、支柱や縦桟に取り付けるときには、支柱又は縦桟取付用のリブ材を設けた製品や裏板、およびそれに対応するバンド金具を準備する必要があり、横桟に取り付けるときには、そのためのリブ材を設けた製品や裏板、およびバンド金具を準備する必要があった。
【0005】
一方で、実際の設置現場によっては、道路付帯設備の支柱ではなく支柱間に架設された横桟に取り付けたいという要請がある。しかし、上記のとおり、従来の自発光装置では、支柱・縦桟、又は横桟に取り付けるには、それぞれ専用の部材を必要としていたため、以下のような問題点があった。
【0006】
すなわち、取付態様に応じて専用の製品や裏板、バンド金具等の部材を作製する必要があり、これがコストアップの一因となっていた。
【0007】
また、取付態様に応じて専用の製品、裏板、バンド金具等の部材を予め手配する必要があり、それら在庫管理や現場に応じた部材の手配の手間などが煩雑であった。
【0008】
さらに、工場出荷時の裏板等部材の取り違いなどにより、設置現場での作業が行えなくなってしまって、納期の遅延を招くことがあった。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、道路付帯設備の支柱や縦桟、又は横桟のいずれにも取り付け可能な自発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題点を解決するため、本発明に係る自発光装置は、自発光装置本体と、該自発光装置本体の背面部に取り付けられる裏板とを備え、前記裏板には取付部が形成され、該取付部において道路付帯設備に備えられた支柱又は縦桟に取り付け可能であって、前記裏板は前記自発光装置本体の背面部に対して着脱可能であり、かつ該裏板は90度回転させて本体の背面部に取り付けできる形状を有するものとし、これによって道路付帯設備に備えられた横桟にも取付可能としたことを特徴とする。
【0011】
前記道路付帯設備とは、防護柵、ガードレールなど、道路上やその近傍に設置され、支柱や複数の支柱間に架設される横桟、縦桟等を備えるものである。
【0012】
本発明の自発光装置によれば、道路付帯設備の支柱や縦桟、又は横桟のいずれにも取り付けが可能な取付構造を有しているので、支柱・縦桟へ取り付けるための専用バンド金具等、および横桟へ取り付けるための専用バンド金具等をそれぞれ別個に作製する必要がない。それゆえ、コストの抑制を図ることができる。
【0013】
また、自発光装置を取り付ける現場で、支柱・縦桟、あるいは横桟への取り付けを適宜変更できるので、取付個所・態様に応じて専用バンド金具等の部材を予め手配する必要もない。さらに、それゆえ工場出荷時の部材の取り違いにより納期の遅延を招く、というような心配もない。
【0014】
尚、本発明に係る自発光装置の本体は、筐体内に複数の自発光体を有する発光部を備えたものであり、自発光体としては、LEDやエレクトロルミネッセンスなど、任意の自発光体を適用可能である。また、本発明に係る自発光装置は、前記自発光体に電力を供給する手段を備えるものである。
【0015】
本発明の自発光装置においては、前記自発光装置本体の上面に太陽電池モジュールを備えると共に、自発光装置本体内に前記太陽電池モジュールにおいて発電した電力を蓄電するバッテリー、および当該バッテリーから自発光体に電力を供給する電力供給手段を備えるようにするのが好ましい。このような構成により、太陽電池モジュールから発光部へ電源供給ができるようにすれば、別途外部に電源を設ける必要がなく、配線工事なども不要となる。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり、本発明に係る自発光装置によれば、道路付帯設備の支柱や縦桟、又は横桟のいずれにも取り付けることが可能となる。それゆえ、支柱・縦桟へ取り付けるための専用バンド金具等、あるいは横桟へ取り付けるための専用バンド金具等をそれぞれ別個に作製する必要がなく、コストの抑制を図ることができる。
【0017】
また、自発光装置を取り付ける現場で、支柱や縦桟への取り付け、あるいは横桟への取り付けを適宜変更できるので、取付個所・態様に応じて専用バンド金具等の部材を予め手配する必要もない。さらに、それゆえ工場出荷時の部材の取り違いにより納期の遅延を招く、というようなことを心配する必要もなくなり、スムーズな取り付けが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る自発光装置の最良の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る自発光装置の一実施形態を示す斜視図であり、支柱に取り付けた状態を示している。図2は、本実施形態における自発光装置の正面図であり、同じく支柱に取り付けた状態を示している。図3は、図2のA−A線間における自発光装置の側断面図である。
【0020】
図1に示すとおり、本発明に係る自発光装置1は、略立方体形状の自発光装置本体10の正面に発光部2を備えている。この実施形態においては、自発光装置1は、その背面において支柱60に取り付けられている。
【0021】
図3に示すとおり、発光部2は、自発光装置本体10の正面に設けた開口部内に嵌着された反射板21と、反射板21に複数設けられたレンズ部211の背面に配置された複数の自発光体22とを備えている。自発光体22は、基板23に取り付けられ、反射板21の背面に配置されている。レンズ部211は、自発光体22から放射される光線がレンズ部211の内側面からレンズ部211に入射し、略並行な光線となって前方へ放射されるように、レンズ部211の曲率半径や、レンズ部211と自発光体22との距離を調整すれば、効率よく前方へ光線を放射できるので好ましい。
【0022】
さらに図3に示すとおり、自発光装置本体10の上面には、太陽電池モジュール30が配置されると共に、自発光装置本体10内には、太陽電池モジュール30で発電した電力を蓄電するバッテリー40、および前記自発光体22の発光を制御する制御部50が備えられている。太陽電池モジュール30で発電されバッテリー40に蓄電された電力は、制御部50および自発光体22に供給され、制御部50の制御により自発光体22が発光するように構成されている。
【0023】
自発光体22には、複数のLEDが使用されている。自発光体22としては、LEDのほか、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、陰極管、エレクトロルミネッセンス、キセノンランプ等が適宜使用されるが、一般には高輝度かつ長期に亘る寿命を有するLEDが好適に使用される。
【0024】
反射板21は、裏面がプリズム加工され、前面より入射された光が前記プリズムにより光源方向に再帰反射されるようになされた反射板であって、蛍光染料を含有する透光性合成樹脂によって形成されている。
【0025】
これにより、日中は太陽紫外線の直射光または拡散光が反射板21の透光性合成樹脂を透過しプリズムによって屈折放射されて反射板21全体が蛍光発光するので、良好な視線誘導機能が得られる。また、夜間は太陽電池(バッテリー40)を電源として反射板21にLEDの光が照射され、これにより蛍光染料が励起して、反射板21が蛍光色に自発光する。従って、薄暮時未だヘッドライトが点灯されていない状態でも、かかる作用によって反射板21が蛍光色に自発光されるので、広域に渡って視認性が確保される。
【0026】
自発光装置本体10の筐体は、ポリエチレンやABS樹脂、FRP、ポリカーボネート、AAS等の合成樹脂、あるいはアルミニウム合金や鋼などの金属を成型して得られるものである。
【0027】
自発光装置本体10の上面に配置された太陽電池モジュール30は、図3に示すとおり、太陽電池セル301を透光性の合成樹脂302により封止して形成したものである。太陽電池セル301としては、色素増感型太陽電池や、その他の有機薄膜太陽電池、あるいはアモルファス太陽電池など、各種太陽電池を好適に使用することができる。
【0028】
自発光装置本体10の背面には、略正方形状の開口部があり、その開口部を覆うように裏板70が取り付けられている(図4)。
【0029】
図5は、この実施形態における裏板70の斜視図であり、略正方形状であって、四隅には挿通孔705が穿設されている。また、自発光体本体10の背面には、前記挿通孔705に対応する位置にネジ孔が形成されている。このような構成により、図4に示すとおり、裏板70はボルト73締めによって自発光装置本体10の背面に取り付けられている。なお、裏板の自発光体本体への取付方法は、上記の方法に限られず、裏板を自発光体本体にしっかりと固定できる方法であれば、どのような方法であってもよい。
【0030】
また、図4および図5に示すとおり、裏板70には、左右方向に取付ボルト81の頭部811を挿入するための取付溝702を有する取付部701が形成されている。
【0031】
このような構成にすることで、図6および図7に示すように自発光装置1を支柱60に取り付けることができる。すなわち、取付溝702に取付ボルト81の頭部811を挿入し、支柱60の外形に対応したバンド金具83を支柱60に外嵌すると共に該バンド金具83の両端に穿設した取付孔に前記取付ボルト81の螺子部812を挿通して突出させ、取付孔より突出した螺子部812にナット82を締結して自発光装置1を道路付帯設備の支柱60に取り付けることが可能となる。ここでは、支柱60は断面形状が円形状となっているため、バンド金具83には、当該支柱60の形状に対応するU字型バンドを使用しているが、支柱の形状に応じて適宜最適な形状のバンド金具を選択して使用するものである。尚、前記取付部71は、裏板70とは別体として成型して溶接などの方法により裏板70に固着してもよいし、裏板70と一体に形成するようにしてもよい。
【0032】
前記裏板70は、この実施形態においては、略正方形状としている。したがって、裏板70を左右いずれかの方向に90度回転させた場合でも、自発光装置本体の開口部を覆うことができるものとなっている。また、裏板70の四隅に穿設した挿通孔705は、左右いずれかの方向に90度回転させた場合でも、自発光装置本体10の背面に取り付けることができる位置に形成されており、当該挿通孔705の位置に対応するよう自発光体本体10背面の所定位置にネジ孔が形成されている。これにより、裏板70を左右いずれかの方向に90度回転させた場合でも、裏板70を自発光装置本体10の背面に取り付けることができる。したがって、この実施形態においては、図4のように、取付溝702が横方向(水平方向)になるよう裏板70を取り付けることも可能であるし、当該裏板70を左右いずれかの方向に90度回転して、図8のように、取付溝702が縦方向になるよう裏板70を取り付けることも可能である。
【0033】
図8のように取り付ければ、自発光装置1を道路付帯設備の横桟61にも取り付けることができる。図9は、この実施形態における自発光装置を3個、横桟61に取り付けた状態を示す平面図である。
【0034】
尚、この実施形態においては、裏板の形状を略正方形状としているが、これに限定されず、裏板を左右いずれかの方向に90度回転した状態でも自発光装置の背面に取り付けることができるような形状であれば、どのような形状とすることもできる。
【0035】
以上のように、本発明に係る自発光装置によれば、裏板を左右いずれかに90度回転して自発光装置本体の背面に取り付けることができるので、道路付帯設備の支柱や縦桟、又は横桟のいずれにも取り付けることが可能となる。したがって、支柱・縦桟へ取り付けるための専用バンド金具等、あるいは横桟へ取り付けるための専用バンド金具等をそれぞれ別個に作製する必要がなく、コストの抑制になる。
【0036】
また、それゆえ自発光装置を取り付ける現場で支柱や縦桟への取り付け、あるいは横桟への取り付けを適宜変更できるので、取付個所・態様に応じて専用バンド金具等の部材を予め手配する必要もない。さらに、工場出荷時のバンド金具等の部材の取り違いによる納期の遅延も無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る自発光装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る自発光装置の一実施形態を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線間における自発光装置の側断面図である。
【図4】本発明に係る自発光装置本体の一実施形態の背面側を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る自発光装置の裏板の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る自発光装置の一実施形態を示す側面図である。
【図7】本発明に係る自発光装置の一実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明に係る自発光装置の一実施形態において、取付溝が縦方向(垂直方向)になるように裏板を自発光体本体に取り付けた状態を示す背面側斜視図である。
【図9】本発明に係る自発光装置を複数横桟に取り付けた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 自発光装置
10 自発光装置本体
2 発光部
21 反射板
211 レンズ部
22 自発光体
30 太陽電池モジュール
70 裏板
701 取付部
702 取付溝
81 取付ボルト
82 ナット
83 バンド金具




【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光装置本体と、
該自発光装置本体の背面部に取り付けられる裏板とを備え、
前記裏板には取付部が形成され、該取付部において道路付帯設備に備えられた支柱又は縦桟に取り付け可能であって、
前記裏板は前記自発光装置本体の背面部に対して着脱可能であり、かつ該裏板は90度回転させて本体の背面部に取り付けできる形状を有するものとし、これによって道路付帯設備に備えられた横桟にも取付可能としたことを特徴とする自発光装置。
【請求項2】
自発光装置本体の上端面に太陽電池モジュールを備えると共に、自発光装置本体内に前記太陽電池モジュールにおいて発電した電力を蓄電するバッテリー、および該バッテリーから自発光体に電力を供給する電力供給手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の自発光装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−228362(P2009−228362A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77491(P2008−77491)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】