説明

自立袋および自立袋の製造方法

【課題】袋本体側面全周において、手で持つ部分には不快感を与えるエッジが全くない自立袋を提供する。
【解決手段】袋本体としての筒状の胴部(11)と、胴部(11)の一方の開口を閉じる共に、筒状の胴部(11)の内部に設けられる、折り線(12a)で二つ折にされた底部(12)とからなる自立袋であって、底部(12)は、折り線(12a)を上端として第1及び第2の二つの底面部(12b、12c)に区画され、各底面部は折り線(12a)と直交する左右の両側端(12b1、12b2、12c1、12c2)及び折り線(12a)と平行な下端(12b3、12c3)とを有し、底部(12)は、底部(12)の側端において前記底面部(12b、12c)と胴部(11)とを結合する結合材(13、14)により結合され、かつ下端(12b3、12c3)で胴部(11)と結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手で持った際に、手に不快感を与えない自立袋および自立袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム等からなる軟質包材において、自立性を有する袋体、いわゆる自立袋が知られている。その中で最も一般的なものの一つに、スタンディングパウチと呼ばれるものがある。このスタンディングパウチは、表部材と、裏部材と、これらの底部に挿入され、半分に折ったガゼットからなる底部材とを有する。スタンディングパウチの両側部は表部材と裏部材、底部は表部材と底部材、裏部材と底部材がそれぞれヒートシールされることで、底ガゼット付き自立袋を形成している。
【0003】
このスタンディングパウチは両側部にヒートシール部を有している。このため、手で両側部を持った際に、この両側部のヒートシール部がナイフエッジのように働き、手に不快感を与えるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するため、特許文献1には、両側部にヒートシール部のない底ガゼット付き自立性袋20を開示されている。この自立性袋20は、両側に折り癖が付与され、ループになっている扁平筒21と、上端が閉じ、下端が開いている矩形状のポケット形状からなる底ガゼット22からなる。底ガゼット22は、扁平筒21内の底部に収容されている。底ガゼット22の両側が扁平筒21の内側両側に一致し、底ガゼット22の開いた下端が扁平筒21の内側底部に一致するように、底ガゼット22の両側及び下端の三方の端縁を扁平筒21の内面に接着されている。ここで、扁平筒21は、例えば、基材層211とシーラント層212とを有し、底ガゼット22は、例えば、基材層221とシーラント層222とを有している。
【0005】
底ガゼット22は、例えば、四角形の包材22Aよりなり、以下のように作製される。第1に、四角形の包材22Aの両側部22b、22cを、ヒートシール性を有しない面同士が密着するように折り線L21、L22において折り重ねて折り重ね面部を形成する(図30(A)参照)。第2に、折り重ね面部の折り方向に対し直角方向に、折り重ね面部のヒートシール性を有する面同士、及び中央部のヒートシール性を有しない面同士が重なるように折り線L23において二つ折りにする(図30(B)参照)。第3に、両側の折り重ね面部のヒートシール性を有する面同士をヒートシールにより結合してポケット形状からなる底ガゼット22を得る(図30(C)参照)。
【0006】
この自立性袋20の底部近傍における、折り重ね面部を含む部分の断面図、すなわち図29に示すC1−C1に沿った断面図を図31に示す。自立性袋20の作製時に、扁平筒21内で、扁平筒21内面とポケット形状からなる底ガゼット22の外面とが接するように重ね合せ底部形成用のヒートシールを施しても、a−a間は基材層221−基材層221であるのでヒートシールされることがない。このように、この自立性袋20は、両側部に突き出るヒートシール部を有さず、手で持った際に不快感を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−161288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の底ガゼット付き自立性袋20は、底ガゼット22で底ガゼット22の折り重ね面部同士が重なり合った合掌部と扁平筒21内面とが当接してヒートシールされる合掌シール部A2を有する。この合掌シール部A2は、底ガゼット22の上端から下端までのうち少なくとも一部でも密着していない部分があれば、その部分から内容物が漏れてしまう。また、製袋上、底ガゼット22の上端縁に合わせたヒートシールが困難である。このため、底部形成用のヒートシールであるボトムヒートシール部S21は底ガゼット上端から上側に少々はみ出す形で施される(図29の部位A1)。図29のB1−B1断面図を図32に示す。図29、図32の部分A1、A5のようなはみ出したボトムヒートシール部S21は、扁平筒21の内面同士の融着部分となる。この融着部はエッジが立ってしまい、手で持った際には、不快感を与えてしまう。さらには、融着部がきっかけとなり折れ曲がり易くなるため、自立性が低下する。
【0009】
扁平筒21と底ガゼット22が重なるX12区間では6枚の積層体が重なり、扁平筒21の内部同士が重なる部分A5を含むY12区間では2枚の積層体が重なる。従って、ボトムヒートシール部S21は、X12及びY12区間の間の大きな段差、すなわち、積層体4枚の枚数差をまたがってヒートシールされることになる(図32の部位A6参照)。この段差により、扁平筒21と底ガゼット22間で、隙間SP1が生じてヒートシール不良が起こりやすく、内容物が漏れてしまう可能性がある。このため、この段差部分にポイントシールを施すことも記載されている(図33参照)。しかし、このポイントシール部S24に、荷重が集中しやすく、特に内容物が液体の場合は、この部分で破袋が生じ内容物が漏れてしまう恐れがある。
【0010】
さらに、特許文献1においては、底ガゼット22と扁平筒21をそれぞれの下端を自立袋の底端でヒートシールする際には、底ガゼット22の折り重ね部を有する部分と折り重ね部を有しない部分の積層枚数が異なる。このため、総厚の大きく異なる領域をまたいだヒートシールを施さなければならない。具体的には、折り重ね部を有する部分は6枚の積層体のX11区間と、折り重ね部を有さない部分は4枚の積層体のY11区間との大きな段差、すなわち積層体2枚の枚数差をまたいでヒートシールされることになる(図31参照)。このような総厚の異なる領域をまたいだヒートシールを施すことは、図31の部位A3、A4においてヒートシール不良を起こしやすい。そのため自立性袋20に内容物が充填された後、内容物が底ガゼット付き自立性袋20より漏れてしまうという問題が発生する。
【0011】
本願発明は、袋本体側面全周において、手で持つ部分には不快感を与えるエッジが全くない自立袋を提供することを課題とする。
【0012】
また、本願発明は袋本体とガゼットの接着部において、接着不良が生ずることはなく、内容物の漏れる恐れのない自立袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、符号を付して発明の特徴を説明する。なお、符号は発明の特徴を実施形態に限定しない。
【0014】
第1の発明の特徴は、袋本体としての筒状の胴部(11)と、胴部(11)の一方の開口を閉じる共に、筒状の胴部(11)の内部に設けられる、折り線(12a)で二つ折りにされた底部(12)とからなる自立袋であって、底部(12)は、折り線(12a)を上端として第1及び第2の二つの底面部(12b、12c)に区画され、各底面部は折り線(12a)と直交する左右の両側端(12b1、12b2、12c1、12c2)及び折り線(12a)と平行な下端(12b3、12c3)とを有し、底部(12)は、底部(12)の側端において前記底面部(12b、12c)と胴部(11)とを結合する結合材(13、14)により結合され、かつ下端(12b3、12c3)で胴部(11)と結合されている自立袋である。
【0015】
上記自立袋において、結合材(13、14)は第1及び第2のうち一方の底面部の側端を全て覆うように配置され、結合材(13、14)は前記第1及び第2のうち一方の底面部と前記胴部(11)とを結合している。
【0016】
また、結合材(13A、13B、14A、14B)は第1及び第2の両方の底面部(12b、12c)の側端(12b1、12b2、12c1、12c2)を全て覆うように配置され、前記結合材は、第1の底面部(12b)外側に配置される第1の結合部(13A1、13B1、14A1、14B1)及び、第2の底面部(12c)外側に配置される第2の結合部(13A2、13B2、14A2、14B2)を有し、第1の結合部(13A1、13B1、14A1、14B1)は、第1の底面部(12b)と胴部(11)とを結合し、第2の結合部(13A2、13B2、14A2、14B2)は、第1の結合部(13A1、13B1、14A1、14B1)と連続して、かつ第1の結合部(13A1、13B1、14A1、14B1)と第2の底面部(12c)とを結合している。
【0017】
また、第1及び第2の結合部(13A1、14A1、13A2、14A2)は、左右方向に折り線を有する一つの結合材(13A、14A)からなり、折り線(12a)によって第1及び第2の結合部(13A1、14A1、13A2、14A2)に区画され、第1及び第2の底面部(12b、12c)の側端において、各底面部の上端側から底部を挟み込むように配置されている。
【0018】
また、第1及び第2の結合部(13B2、13B3、14B2、14B3)は、上下方向に折り線(13B1、14B1)を有する一つの結合材(13B、14B)からなり、折り線(13B1、14B1)によって第1及び第2の結合部(13B2、13B3、14B2、14B3)に区画され、第1及び第2の底面部(12b、12c)の側端(12b1、12b2、12c1、12c2)において、各底面部の側端側から底部(12)を挟み込むように配置されている。
【0019】
また、底部(12)の折り線(12a)と底部(12)の下端(12b3、12c3)との間の長さから下端結合部の長さを除いた長さが、底部(12)の両側端(12b1、12b2、12c1、12c2)間の長さの半分である。
【0020】
また、結合材(13、13A、13B、14、14A、14B)は胴部(11)の下端から上端まで延びている。
【0021】
また、胴部(11)の他方の開口が、底部(12)と同形状の頂部(12)で閉鎖されている。
【0022】
また、胴部(11)に注出口(16)が取り付けられる。
【0023】
また、前記結合材(13、14)が、折り曲げられた状態で左右の側端(12c1、12c2)が一致しておらずずれている。
【0024】
本発明の第2の特徴は、袋本体としての筒状の胴部(11)と、胴部(11)の一方の開口を閉じると共に、筒状の胴部(11)の内部に設けられる、二つの部材が一辺で結合された底部とからなる自立袋であって、前記底部は、結合された一辺を上端として第1及び第2の二つの底面部に区画され、各底面部は前記結合された一辺と直交する左右の両側端及び前記結合された一辺と平行な下端とを有し、前記底部は、前記底部の側端において前記底面部と前記胴部とを結合する結合材により結合され、かつ前記下端で前記胴部と結合されている自立袋である。
【0025】
本発明の第3の特徴は、袋本体としての筒状の胴部(11)と、胴部(11)の一方の開口を閉じると共に、筒状の胴部(11)の内部に設けられる、筒状の一方の開放端が結合された底部とからなる自立袋であって、前記底部は、結合された開放端を上端として第1及び第2の二つの底面部に区画され、各底面部は前記結合された開放端と直交する左右の両側端及び前記結合された開放端と平行な下端を有し、前記底部は、前記底部の側端において前記底面部と前記胴部とを結合する結合材により結合され、かつ前記下端で前記胴部と結合されている自立袋である。
【0026】
本発明の第4の特徴は、胴部を構成する本体フィルム(11A)と、前記底部を構成する底フィルム(12A)とを用意し、底フィルム(12A)を折り曲げて、折り線(12a)に対して第1及び第2の底面部(12b、12c)を形成する工程、本体フィルム(11A)上に第1の底面部(12b)が重なり、かつ本体フィルム(11A)の下端と、底フィルム(12A)の下端が略一致するように底フィルム(12A)を配置する工程、底フィルム(12A)の側端(12b1、12b2、12c1、12c2)を全て覆うように結合材(13、14)を配置する工程、底フィルム(12A)と本体フィルム(11A)とを前記結合材(13、14)で結合する工程、本体フィルム(11A)を、底フィルム(12A)を結合(13、14)した面を内側にして筒状を形成して本体フィルム(11A)の両側端同士を互いに結合する工程、及び本体フィルム(11A)の下端と前記第1及び第2の底面部(12b、12c)の下端とを結合する工程を含む自立袋の製造方法である。
【0027】
上記自立袋の製造方法において、底フィルム(12A)の側端を全て覆うように結合材(13、14)を配置する工程が、結合材(13、14)を、本体フィルム(11A)と第2の底面部(12c)のみにまたがって配置する工程である。
【0028】
また、底フィルム(12A)の側端を全て覆うように結合材(13A、14A)を配置する工程が、結合材(13A、14A)を、左右方向に折り曲げて、底フィルム(12A)の折り線側から底フィルム(12A)を挟み込むように、前記第1の底面部(12b)外側と第2の底面部(12c)外側とに配置する工程であり、その後本体フィルム(11A)上に第1の底面部(12b)が重なるように、結合材(13A、14A)が配置された底フィルム(12)を配置する。
【0029】
また、底フィルム(12A)の側端を全て覆うように結合材(13B、14B)を配置する工程が、結合材(13B、14B)を上下方向に折り曲げて、底フィルム(12A)の側端側から底フィルム(12A)を挟み込むように、第1の底面部(12b)外側と第2の底面部(12c)外側とに配置する工程であり、その後本体フィルム(11A)上に第1の底面部(12b)が重なるように、結合材(13B、14B)が配置された底フィルム(12A)を配置する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の自立袋によれば、袋本体の側面部の内部同士が貼り合わされる部分は存在せず、袋本体側面部が丸みを帯びているため、袋本体を手で持った際に不快感がない。また底部の開口は楕円形状、円形に開くため自立性が優れている。さらに、胴部と底部との間の密着性に優れているので、内容物が漏れる恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の実施形態の自立袋の立面図である。
【図2】図1に示す自立袋の背面図である。
【図3】(A)は矩形状フィルムの側端同士の接合構造を示す概略図であり、(B)及び(C)は変形に係わる接合構造を示す概略図である。
【図4】(A)は図1に示す自立袋の展開図であり、(B)は変形に係わる自立袋の展開図である。
【図5】(A)はヒートシールHS1を施す前の自立袋10の一部拡大展開図であり、(B)ヒートシール後の自立袋の一部拡大展開図である。
【図6】(A)は図2のVIA-VIAに沿った断面図であり、(B)は図1のVIB−VIBに沿った断面図である。
【図7】図4に示すVII−VIIに沿った断面図である。
【図8】(A)は第2の実施形態に係わる自立袋の底部並びに第1及び第2の貼り合わせ部材の展開図であり、(B)は折り曲げられた同底部並びに第1及び第2の貼り合わせ部材の斜視図である。
【図9】(A)はヒートシールHS3を施す前の自立袋10Aの拡大展開図であり、(B)ヒートシール後の自立袋の拡大展開図である。
【図10】図9(B)のX−Xに沿った断面図である。
【図11】図2のVIA-VIA沿った図6(A)に相当する断面図であり、(B)は図2のVIB−VIBに沿った図6(B)に相当する断面図である。
【図12】(A)は第3の実施形態の自立袋の底部並びに第1及び第2の貼り合わせ部材の斜視図であり、(B)は配置の同底部並びに第1及び第2の貼り合わせ部材の斜視図である。
【図13】(A)はヒートシールHS5を施す前の自立袋10Bの拡大展開図であり、(B)ヒートシール後の自立袋の拡大展開図である。
【図14】図13(B)に示すXIV−XIVに沿った断面図である。
【図15】(A)、(B)は図2のVIA−VIA沿った図6(A)に相当する断面図であり、(A)は展開前、(B)は展開後の構造を示すし、(C)は図2のVIB−VIBに沿った図6(B)に相当する断面図である。
【図16】第1の実施形態の変形に係わる自立袋の平面図である。
【図17】(A)、(B)は第1の実施形態の変形に係わる自立袋の平面図である。
【図18】(A)、(B)は第1の実施形態の変形に係わる底部12を貼り合わせるヒートシール前の自立袋の一部平面図である。
【図19】(A)は図18(A)に対応する図6(A)に相当する断面図であり、(B)は図18(B)に対応する図6(A)に対応する断面図である。
【図20】(A)、(B)は第2の実施形態の変形に係わる底部12を貼り合わせるヒートシール前の自立袋の一部平面図である。
【図21】(A)は図20(A)に対応する図6(A)に相当する断面図であり、(B)は図20(B)に対応する図6(A)に対応する断面図である。
【図22】(A)、(B)は、第3の実施形態の変形に係わる底部12及び貼り合わせ部材13B、14Bの断面図である。
【図23】(A)は図22(A)に対応する図6(A)に相当する断面図であり、(B)は図22(B)に対応する図6(A)に対応する断面図である。
【図24】底及び天井に底部を備えた自立袋10Cの斜視図である。
【図25】図24の自立袋10Cを開封した斜視図である。
【図26】注出口を備えた自立袋10Dの斜視図である。
【図27】第1の実施形態の変形に係る自立袋10Eの斜視図である。
【図28】図27に示す自立袋の展開平面図である。
【図29】従来技術に係わる自立袋の一部立面図である。
【図30】(A)、(B)、(C)は従来技術に係わる底ガゼットの作製方法を示す平面図である。
【図31】図29に示すC1−C1に沿った断面図である。
【図32】図29に示すB1−B1に沿った断面図である。
【図33】ポイントシールの方法を示す自立袋の一部立面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
【0033】
第1の実施形態
本発明の第1の実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
【0034】
第1の実施形態である自立袋10は、筒状の袋本体としての胴部11と、胴部11の底を形成する底部12と、底部12及び胴部11の貼り合わせに用いる結合材としての貼り合わせ部材13、14と、胴部11の筒状を形成する貼り合わせ部材15を有する。
【0035】
次に、胴部11について説明する。
【0036】
胴部11はフィルム状の積層体からなる。この積層体は、少なくとも基材層111とシーラント層112を有する(図6参照)。なお、胴部11は単層フィルムを用いてもよい。
【0037】
積層体を構成する層のフィルムは特に限定されるものではない。基材層111は、印刷適性に優れ、さらに突き刺し強度、引っ張り強度、耐衝撃性等を備えているフィルムが望ましい。例えば、ポリエチレンレテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体等の二軸延伸フィルム又は一軸延伸フィルムの単体又は積層体が挙げられる。またこれらに、酸素や水蒸気のバリア性を付与するため、基材層111は、アルミニウム、マグネシウム等の金属、又は酸化珪素等の酸化物を蒸着させた蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のバリア性コート剤等をコートしたコートフィルムなどを用いてもよい。
【0038】
シーラント層112は熱融着可能なフィルムを用いる。シーラント層112は、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの未延伸フィルムや、これらの樹脂を層状に押し出したものを用いる。
積層体は、必要に応じて、基材層111とシーラント層112との間に中間層を用いてもよい。中間層には、自立袋の用途によって酸素バリア性、水蒸気バリア性、引裂き性等の機能性を備えたフィルムを備える。中間層は、例えば、アルミニウム等の金属箔や上述の蒸着フィルム、コートフィルムを用いる。また、一方向への引裂き性を必要とする場合、中間層は引裂きを必要とする方向へ一軸延伸させたフィルムを用いる。基材層111、シーラント層112、及び、必要に応じた中間層は、接着剤を用いたドライラミネーションや熱接着性樹脂を用いた押し出しラミネートなどの公知の方法で積層される。
【0039】
胴部11は、本体フィルムとしての矩形状フィルム11Aの両側端同士11a、11bを突き合わせ、貼り合わせ部材15を用いて両側端同士11a、11bを閉じて、筒状とする(図3A参照)。なお、この貼り合わせ部材15を用いる代わりに、両側端11a、11bを重ね合わせて貼り合わされている封筒貼り(図3B参照)、又は、両側端11a、11bのシーラント層112同士を貼り合わせられている合掌貼り(図3C参照)としてもよい。
【0040】
次に、底部12について説明する。
【0041】
底部12は、フィルム状の積層体からなる。この積層体は、少なくとも基材121とシーラント層122を有する(図6参照)。なお、底部12は、単層フィルムを用いてもよい。
【0042】
積層体は、胴部11と同一の積層体であっても、異なる積層体であってもよい。ただし、胴部11のシーラント層112と、底部12のシーラント層122は、熱融着により貼り合わされ、本実施形態では、両シーラント層112、122は相互に熱融着可能であることが望ましく、同種樹脂であることが好ましい。
【0043】
図4に示すように、展開前の底部12は、折り線12aに沿って、自立袋10の内面となるシーラント層122を表にし、半分に折られている。底部12は、折り線12aを境に第1の底面部12b、及び第2の底面部12cを有する。これらの第1の底面部12bは、それぞれ折り線12aとしての上端と、両側端12b1、12b2と、下端12b3を有する。第2の底面部12cは、折り線12aとしての上端と、両側端12c1、12c2と、下端12c3を有する。
【0044】
底部12を半分に折った状態で第1の側端12b1、及び12c1、並びに第2の側端12b2、及び12c2はそれぞれ重なり合う。
【0045】
次に、貼り合わせ部材13、14、15について説明する。
【0046】
貼り合わせ部材13、14、15は両面がヒートシール性を有する。具体的には、例えば、両面にシーラント層を有する積層体のフィルム、単層のフィルム、共押し出しフィルムが挙げられる。本実施形態は、単層の合成樹脂フィルムからなる貼り合わせ部材を用いる。これは、貼り合わせ部材にヒートシールによる熱が加わることで、貼り合わせ部材の厚み方向において全てが溶融可能であり、より薄くなり得るためである。また胴部11や底部12と貼り合わせる際、積層体の枚数差で段差が生じる場合でも、その段差に容易に入り込み、ヒートシール不良が生じ難くなるためである。このため、貼り合わせ部材の材質は、胴部11のシーラント層112、底部12のシーラント層122の樹脂とヒートシール可能な同種の樹脂であることが好ましい。
【0047】
次に、自立袋10について説明する。
【0048】
図1に示すように、自立袋10では、胴部11の内側に底部12が折り線12aを上にして挿入されており、自立袋10の頂部は開口している。筒状の胴部11の中で、第1及び第2の底面部12b、12cの第1の側端同士12b1、12c1が重なり合わされている(図5(A)参照)。同様に、第2の側端同士12b2、12c2が重なり合わされている。図5(B)に示すように、この例では、貼り合わせ部材13が第1の側端12b1、12c1、に重なる。貼り合わせ部材13の一方の面が第2の底面部12cと胴部11に接するように配置される。貼り合わせ部材13は、第1の側端12c1を含むように第2の底面部12cと胴部11とを貼り合わせている。また、貼り合わせ部材14は第2の側端12b2、12c2の上に重なる。貼り合わせ部材14の一方の面は第2底面部12cと胴部11に接するように配置される。貼り合わせ部材14は、第2の側端12c2を含むように第2の底面部12cと胴部11とを貼り合わせている。このように、貼り合わせ部材13、14は底部12と胴部11とを貼り合わせている。さらに、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3が下端結合部として貼り合わされている(図1参照)。
【0049】
本発明の第1の実施形態に係わる自立袋10の製造方法を説明する。
【0050】
図4に示すように、胴部11を構成する矩形状フィルム11Aの下端に底部12を形成する底フィルム12Aを半分に折って重ねる。その際、矩形状フィルム11Aのシーラント層112の面と半分に折った第1の底面部12bのシーラント層122の面とを合わせ、また、矩形状フィルム11Aの下端11cと、底フィルム12Aの下端12b3、12c3とを略一致させる。矩形状フィルム11Aの両側端11a、11b間の長さh1は、底フィルム12Aの両側端12b1、12b2間、又は両側端12c1、12c2間の長さh2の2倍の長さとする。
【0051】
貼り合わせ部材13は、底部12の第1の側端12b1、12c1を全て覆い、且つ第1の側端12b1、12c1を横切って矩形状フィルム11Aのシーラント層112と第2の底面部12cのシーラント層122とに重なるように、配置される。また同様に、貼り合わせ部材14は、底部12の第2の側端12b2、12c2を全て覆い、且つ第2の側端12b2、12c2を横切って矩形状フィルム11Aのシーラント層112と第2の底面部12cのシーラント層122とに重なるように、配置される。
【0052】
次いで、底フィルム12Aの第1の側端12b1、12c1を全て覆い、矩形状フィルム11A、底フィルム12A、貼り合わせ部材13とをヒートシールHS1により貼り合わせる。この際、矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aの第1の底面部12bは互いにシーラント層同士が向き合っているため、ヒートシールHS1により一体化される。また、貼り合わせ部材13は、ヒートシールHS1により矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aの第2の底面部12cと一体化される。従って、ヒートシールHS1により、底フィルム12Aの第1の側端12b1、12c1において矩形状フィルム11A、底フィルム12Aの第1、第2の底面部12b、12cと貼り合わせ部材13とは一体化される。
【0053】
また同様に、底フィルム12Aの第1の側端12b2、12c2を全て覆い、矩形状フィルム11A、底フィルム12A、貼り合わせ部材14とをヒートシールHS2により貼り合わせる。この際、矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aの第1の底面部12bとは互いにシーラント層同士が向き合っているため、ヒートシールHS2により一体化される。また、貼り合わせ部材14は、ヒートシールHS2により矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aの第2の底面部12cと一体化される。従って、ヒートシールHS2により、底フィルム12Aの第2の側端12b2、12c2において矩形状フィルム11A、底部12の第1、第2の底面部12b、12cと貼り合わせ部材14とは一体化される。
【0054】
このように、矩形状フィルム11Aに底フィルム12Aが底部12として一体化される。
【0055】
次いで、底部12を貼り合わせた面が内側となるように矩形状フィルム11Aで筒状を形成し、矩形状フィルム11Aの両側端11a、11b同士を自立袋10の背面で突き合わせる。シーラント層112側から、貼り合わせ部材15を用いて、両側端11a、11b同士をヒートシールにより貼り合わせ筒状の胴部11を形成する。なお、矩形状フィルム11Aの両側端11a、11b同士の突き合わせは、封筒貼りでも合掌貼りでもよく、その突き合わせ場所は、本発明の目的を逸脱しない範囲で何処に設けても構わない。封筒貼り、合掌貼りの場合、長さh1は長さh2の2倍の長さと貼り合わせ部を合わせた長さとなる。
【0056】
最後に、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3とを下端12b3の全長でヒートシールにより、かつ、胴部11の下端11cと底部12の下端12c3とを下端12c3の全長でヒートシールにより貼り合わせる。これにより、筒状の胴部11の下端11c全長にわたり下端結合部としての底シール部S1(図6(B)参照)を形成し図1の自立袋10を製造する。
【0057】
なお、必要に応じて、底シール部S1形成後に底シール部S1近傍を所望の形になるように除去してもよい。
【0058】
次に、自立袋10の効果について説明する。
【0059】
上記製造方法を用いて作製された自立袋10は、矩形状フィルム11Aに底フィルム12Aを貼り合わせた際、図4(A)の中間形態をとる。この形態で矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aとを貼り合わせる部位P2について、VII−VIIに沿った断面図を図7に示す。ここで、底フィルム12Aを有するX2区間は3枚の積層体と1枚の貼り合わせ部材13とが重なり合う。底フィルム12Aを有さないY2区間は、1枚の積層体と1枚の貼り合わせ部材とが重なり合っている。従って、ヒートシールHS1は、積層体の2枚分の総厚の異なる領域にまたがってされることになる。しかし、ここで貼り合わせ部材13は両面ヒートシール性を有する単層フィルムである。矩形状フィルム11Aのシーラント層112、底フィルム12Aのシーラント層122のみでなく、貼り合わせ部材13も、両面ヒートシールHS1を施す際の熱により溶融し、総厚の差が生じる段差に溶融して入り込む。よって、矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aとはヒートシール不良のない状態で貼り合わせることができる。自立袋10を形成した際には図2に示すVIB−VIBに対応する断面図は図6(B)に示される。自立袋10の背面において、胴部11と底部12の間に隙間が生じるが、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3は底シール部S1により密封されているため、内容物が自立袋10から内容物が漏れることがない。
【0060】
また、本発明の自立袋10では、図6(B)の部位P1や、他の部分においても背面に合掌貼りした場合を除き、胴部11の内面同士が貼り合わされる部分は存在しない。そのため、自立袋10を形成した際にも、胴部11からなる袋本体の側面にはエッジの立つようなヒートシール部は存在せず、手で自立袋10を持った際も、手に不快感を与えることはない。また、背面に合掌貼りをした場合であっても、自立袋側部にヒートシール部を有しないため、従来のスタンディングパウチと比較して、手で自立袋10を持った際の不快感が極めて少ない。
【0061】
これは貼り合わせ部材14のヒートシールHS2を施す箇所においても同様である。
【0062】
さらに、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3を貼り合わせる底シール部S1のうち、貼り合わせ部材13を使用している側の側部断面図(図2に示すVIA−VIAに沿った断面図)は、図6(A)に示すようになる。貼り合わせ部材13が重なるX1区間では4枚の積層体と2枚の貼り合わせ部材とが重なり合い、貼り合わせ部材13が重ならないY1区間では4枚の積層体が重なり合っている。従って、底シール部S1のヒートシールは、2枚分の貼り合わせ部材の総厚の異なる領域をまたがってされることになる。しかし、貼り合わせ部材13は両面にヒートシール性を有する。このため、底シール部S1のヒートシールにより胴部11のシーラント層112、底部12のシーラント層122のみでなく、貼り合わせ部材13も溶融し、総厚の異なる段差へ入り込むことで段差によって生じた隙間が埋まる。よって、自立袋10は、ヒートシール不良を発生し難く、内容物を充填した後も内容物の漏れを生じない。
【0063】
これは底シール部S1で貼り合わせ部材14を使用している側の側部においても同様である。
【0064】
なお、本実施形態に係わる製造方法は他の実施形態と比較して一番容易である。
【0065】
第2の実施形態
第2の実施形態について、図1、図8を参照して説明する。
【0066】
自立袋10Aは、胴部11と、胴部11の底を形成する底部12と、底部12及び胴部11の貼り合わせには貼り合わせ部材13A、14Aと、胴部11の筒状を形成する貼り合わせ部材15とを用いる。なお、胴部11、底部12及び貼り合わせ部材15に関しては第1の実施形態と同様である。また貼り合わせ部材13A、14Aは第1の実施形態の貼り合わせ部材13、14と同材質である。
【0067】
図1に示す自立袋10と同様、自立袋10Aは、胴部11の内側に、底部12が折り線12aを上にして挿入されており、自立袋10Aの頂部は開口している。筒状の胴部11の中で、第1及び第2の底面部12b、12cの第1の側端同士12b1、12c1が重ね合わされる。同様に、第2の側端同士12b2、12c2が重ね合わされている。図8に示すようにこの例では、貼り合わせ部材13Aは左右方向に折り線13A3を有し、折り線13A3によって第1及び第2の貼り合わせ部13A1及び13A2に区画されている。この貼り合わせ部材13Aは、第1及び第2の底面部12b及び12cの第1の側端12b1及び12c1において、第1の貼り合わせ部13A1は第1の底面部12bの外側、第2の貼り合わせ部13A2は第2の底面部12cの外側に配置されるように、各底面部12b及び12cの上端側、すなわち底部12の折り線12a側から底部12を挟み込むように配置されている。
【0068】
同様に、貼り合わせ部材14Aは左右方向に折り線14A3を有し、折り線14A3によって第1及び第2の貼り合わせ部14A1及び14A2に区画されている。この貼り合わせ部材14Aは、第1及び第2の底面部12b及び12cの第2の側端12b2及び12c2において、第1の貼り合わせ部14A1は第1の底面部12bの外側、第2の貼り合わせ部14A2は第2の底面部12cの外側に配置されるように、各底面部12b及び12cの上端側、すなわち底部12の折り線12a側から底部12を挟み込むように配置されている。
【0069】
底部12の両側端において、第1の貼り合わせ部13A1、14A1が第1の底面部12bと胴部11とを貼り合わせることによって、底部12と胴部11とが貼り合わされている。
【0070】
さらに、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3とが下端結合部として貼り合わされている。
【0071】
本発明の第2の実施形態に係わる自立袋10Aの製造方法を説明する。図8に示すように、底部12を構成する底フィルム12Aの第1の側端12b1、12c1において、底フィルム12Aの第1の側端12b1、12c1を全て覆うように第1及び第2の底面部12b、12cの両方の外側に、貼り合わせ部材13Aを重ねて配置する。具体的には、貼り合わせ部材13Aを左右方向の折り線13A3において折り曲げて、底フィルム12Aの上端側、すなわち底フィルム12Aの折り線12a側から底フィルム12Aを挟み込むように配置する。このとき、貼り合わせ部材13Aは折り線13A3により区画され、第1の底面部12bの外側に配置された部分を第1の貼り合わせ部13A1、第2の底面部12cの外側に配置された部分を第2の貼り合わせ部13A2とする。
【0072】
同様に、底フィルム12Aの第2の側端12b2、12c2において、底フィルム12Aの第2の側端12b2、12c2を全て覆うように第1及び第2の底面部12b、12cの両方の外側に、貼り合わせ部材14Aを重ねて配置する。具体的には、貼り合わせ部材14Aを左右方向の折り線14A3において折り曲げて、底フィルム12Aの上端側、すなわち底フィルム12Aの折り線12a側から底部12を挟み込むように配置する。このとき、貼り合わせ部材14Aは折り線14A3により区画され、第1の底面部12bの外側に配置された部分を第1の貼り合わせ部14A1、第2の底面部12cの外側に配置された部分を第2の貼り合わせ部14A2とする。
【0073】
その後、図9(A)に示すように、胴部11を構成する矩形状フィルム11Aの下端に半分に折った上記底フィルム12Aを重ねる。その際、矩形状フィルム11Aのシーラント層112面と、第1の底面部12bのシーラント層122の面とを合わせる。また、矩形状フィルム11Aの下端部と、底フィルム12Aの下端12b3、12c3とを略一致させる。矩形状フィルム11Aの両側端11a、11b間の長さh1は、底フィルム12Aの両側端12b1、12b2間、又は12c1、12c2間の長さh2の2倍の長さとする。
【0074】
次いで、図9(B)に示すように、底フィルム12Aの第1の側端12b1、12c1を全て覆い、矩形状フィルム11A、底フィルム12A、貼り合わせ部材13AとをヒートシールHS3により貼り合わせる。この際、矩形状フィルム11A、第1の貼り合わせ部13A1、底フィルム12Aの第1の底面部12bは互いにシーラント層同士が向き合っており、ヒートシールHS3により一体化される。また第2の貼り合わせ部13A2は、ヒートシールHS3により矩形状フィルム11Aと一体化された第1の貼り合わせ部13A1と底フィルム12Aの第2の底面部12cと一体化される。従って、ヒートシールHS3により、矩形状フィルム11A、底フィルム12Aの第1、第2の底面部12b、12cと貼り合わせ部材13Aは一体化させる。
【0075】
また同様に、底フィルム12Aの第2の側端12b2、12c2を全て覆い、矩形状フィルム11A、底フィルム12A、貼り合わせ部材14AとをヒートシールHS4により貼り合わせる。この際、矩形状フィルム11A、第1の貼り合わせ部14A1、底フィルム12Aの第1の底面部12bは互いにシーラント層同士が向き合っており、ヒートシールHS4により一体化される。また第2の貼り合わせ部14A2は、ヒートシールHS4により矩形状フィルム11Aと一体化された第1の貼り合わせ部14A1と底フィルム12Aの第2の底面部12cと一体化される。従って、ヒートシールHS4により、矩形状フィルム11A、底フィルム12Aの第1、第2の底面部12b、12cと貼り合わせ部材14Aは一体化される。
【0076】
このように、矩形状フィルム11Aに底フィルム12Aが底部12として一体化される。
【0077】
以下、自立袋10と同様に自立袋10Aを作製する。
【0078】
次に、自立袋10Aの効果について説明する。
【0079】
上記製造方法を用いて作製された自立袋10Aは、矩形状フィルム11Aに底フィルム12Aを貼り合わせた際、図9に示す中間形態をとる。この形態で矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aとを貼り合わせる。図9(B)の部位P3について、X−Xに沿った断面図を図10に示す。ここで、底フィルム12Aを有するX3区間は3枚の積層体と2枚の貼り合わせ部材とが重なり合っている。底フィルム12Aを有さないY3区間は、1枚の積層体である。従ってヒートシールHS3は、積層体の2枚分と貼り合わせ部材の2枚分の総厚の異なる領域にまたがってされることになる。しかし、ここで貼り合わせ部材13Aは両面ヒートシール性を有するフィルムである。矩形状フィルム11Aのシーラント層112、底フィルム12Aのシーラント層122のみでなく、貼り合わせ部材13Aも、ヒートシールHS3を施す際の熱により溶融し、総厚の差が生じる段差に溶融して入り込む。よって、矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aはヒートシール不良のない状態で貼り合わせすることができる。自立袋10Aを形成した際には、図2のVIB−VIBに沿った断面図に相当する断面図は図11(B)に示され、自立袋10Aの背面において、胴部11と底部12の間に隙間が生じるが、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3は下端結合部としての底シール部S2により密封されているため、内容物が自立袋10Aから内容物が漏れることがない。
【0080】
また、本発明の自立袋10Aでは、図11(B)の部位P4や、他の部分においても背面に合掌貼りした場合を除き、胴部11の内面同士が貼り合わされる部分は存在しない。そのため、自立袋10Aを形成した際にも、胴部11からなる袋本体の側面にはエッジの立つようなヒートシール部は存在せず、手で自立袋10Aを持った際も、手に不快感を与えることはない。また背面に合掌貼りをした場合であっても、自立袋側部にヒートシール部を有しないため、従来のスタンディングパウチと比較して、手で自立袋10Aを持った際の不快感が極めて少ない。
【0081】
これは貼り合わせ部材14AのヒートシールHS4を施す箇所においても同様である。
【0082】
さらに、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3とを貼り合わせる底シール部S2のうち、貼り合わせ部材13Aを使用している側の側部断面図(図2のVIA−VIAに沿った断面図に相当)は、図11(A)に示すようになる。貼り合わせ部材13Aが重なるX4区間は4枚の積層体と4枚の貼り合わせ部材とが重なり合う。貼り合わせ部材13Aが重ならないY4区間では4枚の積層体が重なり合っている。従って、底シール部S2のヒートシールは、貼り合わせ部材4枚分の総厚の異なる領域をまたがってされることになる。しかし、貼り合わせ部材13Aは両面にヒートシール性を有する。このため、底シール部S2のヒートシールにより胴部11のシーラント層112、底部12のシーラント層122のみでなく、貼り合わせ部材13Aも溶融し、総厚の異なる段差へ入り込むことで段差が生じる隙間が埋まる。よって自立袋10Aは、ヒートシール不良が発生し難く、内容物を充填した後も内容物の漏れることがない。
【0083】
これは底シール部S2の貼り合わせ部材14Aを使用している側の側部においても同様である。
【0084】
本実施形態における自立袋10Aは、貼り合わせ部材13A、14Aが両底面部12b、12c外側に配置されていることから、より内容物の漏れが防げる。
【0085】
第3の実施形態
本発明の第3の実施形態について、図1、図12を参照して説明する。
【0086】
自立袋10Bは、胴部11と、胴部11の底を形成する底部12と、底部12及び胴部11を貼り合わせる貼り合わせ部材13B、14Bと、胴部11の筒状を形成する貼り合わせ部材15とを用いる。なお、胴部11と底部12及び貼り合わせ部材15に関しては第1、第2の実施形態と同様である。また貼り合わせ部材13B、14Bは第1の実施形態の貼り合わせ部材13、14、第2の実施形態の貼り合わせ部材13A、14Aと同材質である。
【0087】
図1に示す自立袋10と同様、自立袋10Bは、胴部11の内側に、底部12が折り線12aを上にして挿入されており、自立袋10Bの頂部は開口している。筒状の胴部11の中で、第1及び第2の底面部12b、12cの第1の側端同士12b1、12c1が重ね合わされる。同様に、第2の側端同士12b2、12c2が重ね合わされている。図12に示すように、この例では、貼り合わせ部材13Bは上下方向に折り線13B1を有し、折り線13B1によって第1及び第2の貼り合わせ部13B2及び13B3に区画されている。この貼り合わせ部材13Bは、第1及び第2の底面部12b及び12cの第1の側端12b1及び12c1において、第1の貼り合わせ部13B2は第1の底面部12bの外側、第2の貼り合わせ部13B3は第2の底面部12cの外側に配置されるように、各底面部12b及び12cの左側端部側、すなわち第1の側端部12b1及び12c1側から底部12を挟み込むように配置されている。
【0088】
同様に、貼り合わせ部材14Bは上下方向に折り線14B1を有し、折り線14B1によって第1及び第2の貼り合わせ部14B2及び14B3に区画されている。この貼り合わせ部材14Bは、第1及び第2の底面部12b及び12cの第2の側端12b2及び12c2において、第1の貼り合わせ部14B2は第1の底面部12bの外側、第2の貼り合わせ部14B3は第2の底面部12cの外側に配置されるように、各底面部12b及び12cの右側端部側、すなわち第2の側端部12b2及び12c2側から底部12を挟み込むように配置されている。
【0089】
底部12の両側端において、第1の貼り合わせ部13B2、14B2が第1の底面部12bと胴部11とを貼り合わせることによって底部12と胴部11とを貼り合わされている。
【0090】
さらに、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3が下端結合部として貼り合わされている。
【0091】
次に、本発明の第3の実施形態に係わる自立袋10Bの製造方法を説明する。
【0092】
図12に示すように、底部12を構成する底フィルム12Aの側端12b1、12c1において、底フィルム12Aの側端12b1、12c1を全て覆うように第1及び第2の底面部12b及び12cの両方の外側に、貼り合わせ部材13Bを重ねて配置する。具体的には、貼り合わせ部材13Bを上下方向の折り線13B1において折り曲げて、底部12の左側端側、すなわち第1の側端部12b1及び12c1側から半分に折った底フィルム12Aを挟み込むように配置する。このとき、貼り合わせ部材13Bは折り線13B1により区画され、第1の底面部12bの外側に配置された部分を第1の貼り合わせ部13B2、第2の底面部12cの外側に配置された部分を第2の貼り合わせ部13B3とする。
【0093】
同様に底部12を構成する底フィルム12Aの側端12b2、12c2において、底フィルム12Aの側端12b2、12c2を全て覆うように第1及び第2の底面部12b及び12cの両方の外側に、貼り合わせ部材14Bを重ねて配置する。具体的には、貼り合わせ部材14Bを上下方向の折り線14B1において折り曲げて、底部12の右側端側、すなわち第2の側端部12b2及び12c2側から半分に折った底フィルム12Aを挟み込むように配置する。このとき、貼り合わせ部材14Bは折り線14B1により区画され、第1の底面部12bの外側に配置された部分を第1の貼り合わせ部14B2、第2の底面部12cの外側に配置された部分を第2の貼り合わせ部14B3とする。
【0094】
その後、図13(A)に示すように、胴部11を構成する矩形状フィルム11Aの下端に半分に折った底部12を構成する底フィルム12Aを重ねる。その際、矩形状フィルム11Aのシーラント層112面と第1の底面部12bのシーラント層122の面とを合わせる。また、矩形状フィルム11Aの下端11cと、底フィルム12Aの下端12b3、12c3とを略一致させる。矩形状フィルム11Aの両側端11a、11b間の長さh1は、底フィルム12Aの両側端12b1、12b2間、又は12c1、12c2間の長さh2の2倍の長さとする。
【0095】
次いで、底フィルム12Aの第1の側端12b1、12c1を全て覆い、矩形状のフィルム11A、底フィルム12A、貼り合わせ部材13BとをヒートシールHS5により貼り合わせる。この際、矩形状フィルム11A、第1の貼り合わせ部13B2、底フィルム12Aの第1の底面部12bは互いにシーラント層同士が向き合っており、ヒートシールHS5により一体化される。また第2の貼り合わせ部13B3は、第1の貼り合わせ部13B2と連続し、ヒートシールHS5により底フィルム12Aの第2の底面部12cと一体化される。従って、ヒートシールHS5により、矩形状フィルム11A、底フィルム12Aの第1、第2の底面部12b、12cと貼り合わせ部材13Bは一体化される。
【0096】
また同様に、底フィルム12Aの第2の側端12b2、12c2を全て覆い、矩形状フィルム11A、底フィルム12A、貼り合わせ部材14BとをヒートシールHS6により貼り合わせる。この際、矩形状フィルム11A、第1の貼り合わせ部14B2、底フィルム12Aの第1の底面部12bは互いにシーラント層同士が向き合っており、ヒートシールHS6により一体化される。また第2の貼り合わせ部14B3は、第1の貼り合わせ部14B2と連続し、ヒートシールHS6により底フィルム12Aの第2の底面部12cと一体化される。従って、ヒートシールHS6により、矩形状フィルム11A、底フィルム12Aの第1、第2の底面部12b、12cと貼り合わせ部材14Bは一体化される。
【0097】
このように、矩形状フィルム11Aに底フィルム12Aが底部12として一体化される。
【0098】
以下、自立袋10、10Aと同様に自立袋10Bを作製する。
【0099】
次に、自立袋10Bの効果について説明する。
【0100】
上記製造方法を用いて作製された自立袋10Bは、矩形状フィルム11Aに底部12を貼り合わせた際、図13に示す中間形態をとる。この形態で矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aを貼り合せる図13(B)の部位P5について、XIV−XIV線に沿った断面図を図14に示す。ここで、底部を有するX5区間では3枚の積層体と2枚の貼り合わせ部材が重なり合っている。底部を有さないY5区間では、1枚の積層体、2枚の貼り合わせ部材が重なり合っている。従って、ヒートシールHS5は積層体2枚分の総厚の異なる領域にまたがってされることになる。しかし、ここで貼り合わせ部材13Bは両面にヒートシール性を有するフィルムである。矩形状フィルム11Aのシーラント層112、底部12のシーラント層122のみでなく、貼り合わせ部材13Bは、ヒートシールHS5を施す際の熱により溶融し、総厚の差が生じる段差に溶融して入り込む。よって、矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aはヒートシール不良のない状態で貼り合わせすることができる。自立袋10Bを形成した際には、図2のVIB−VIBに沿った断面図に相当する断面図は図15(C)に示すようになる。自立袋10Bの背面において、胴部11と底部12の間に隙間が生じるが、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3は下端結合部としての底シール部S3により密封されているため、内容物が自立袋10Bから内容物が漏れることがない。
【0101】
また、本発明の自立袋10Bでは、図15(C)の部位P6や、他の部分においても背面に合掌貼りした場合を除き、胴部11の内面同士が貼り合わされる部分は存在しない。そのため、自立袋10Bを形成した際にも、胴部11からなる袋本体の側面にはエッジの立つようなヒートシール部は存在せず、手で自立袋10Bを持った際も、手に不快感を与えることはない。また、背面に合掌貼りをした場合であっても、自立袋側部にヒートシール部を有しないため、従来のスタンディングパウチと比較して、手で自立袋10Bを持った際の不快感が極めて少ない。
【0102】
これは貼り合わせ部材14BのヒートシールHS6を施す箇所においても同様である。
【0103】
さらに、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3を貼り合わせる底シール部S3のうち、貼り合わせ部材13Bを使用している側の側部断面図(図2のVIA−VIAに沿った断面図に相当)は、図15(A)、(B)に示すようになる。貼り合わせ部材13Bが重なるX6区間では、4枚の積層体と2枚の貼り合わせ部材とが重なり合い、貼り合わせ部材13Bが重ならないY6区間では4枚の積層体が重なり合っている。従って、底シール部S3のヒートシールが、貼り合わせ部材2枚分の総厚の異なる領域をまたがってされることになる。しかし、貼り合わせ部材13Bは両面にヒートシール性を有する。このため、底シール部S3のヒートシールにより胴部11のシーラント層112、底部12のシーラント層122のみでなく、貼り合わせ部材13Bも溶融し、総厚の異なる段差に入り込むことで、段差を生じさせる隙間が埋まる。よって自立袋10Bは、ヒートシール不良を発生し難く、内容物を充填した後も内容物の漏れることがない。
【0104】
これは底シール部S3の貼り合わせ部材14Bを使用している側の側部においても同様である。
【0105】
本実施形態における自立袋10Bは、貼り合わせ部材13B、14Bが両底面部12b、12c外側に配置されていることから、より内容物の漏れが防げる。
【0106】
第1の変形形態
底シール部の変形例を以下に示す。自立袋10について、底シール部を施す際に、自立袋10の胴部11と底部12とを部分的に貼り合わせる円弧状シール部17を設けることが好ましい(図16参照)。この円弧状シール部17を底部12の開きに合わせることで、自立袋10は、形よく自立する。また、底部の強度が強くなることで、自立性、保形性に優れる。
【0107】
本発明の自立袋10の底シール部を円弧状シール部17とする場合は、円弧状シール部17の上端が、貼り合わせ部材13、14の上端に一致、又はそれより下になるように設ける。さらには、円弧状シール部17の上端は底部12の折り線12aに一致、又はそれより下になるように設けることが好ましい。逆に、円弧状シール部17の上端が、貼り合わせ部材13、14の上端より上になるように設ける場合、図16の部位P7において、胴部11の内面同士が直接貼り合わされ、エッジができてしまい、手で持った際に不快感を与えてしまうからである。さらに円弧状シール部17の上端を貼り合わせ部材13、14の上端より下、且つ底部12の折り線12aより上に設ける場合、図16の部位P7において、貼り合わせ部材13、14が両面にヒートシール性を有しているため、向き合っている貼り合わせ部材13、13同士、14、14同士がそれぞれ貼り合わされてしまい、この場合も緩いエッジができてしまう。この場合も手で持った際に若干の不快感を与えてしまう恐れがある。そこで、円弧状シール部17の上端が底部12の折り線12aに一致、又はそれより下になるように設ける場合は、図16のP7において、胴部11の内面同士、貼り合わせ部材13、13同士、14、14同士が貼り合わされることがなく、エッジができることはなく、手に持った際の不快感も与えない。
【0108】
本発明の自立袋10の製造方法によると、底シール部を円弧状シール部17とした場合も、底シール部を施す以前に、胴部11と底部12は貼り合わされている。よって、円弧状シール部17の上端を底部12の折り線12aより下に設けても、内容物が漏れることはない。同様に円弧状シール部17の代わりに、図17(A)に示すような台形状シール部17A、又は、図17(B)に示すような三角形状シール部17Bを用いてもよい。
【0109】
これに対し図27に示す先行文献1の自立性袋は、ボトムヒートシール部S21にて本発明の底部に対応する底ガゼット22と本発明の胴部に対応する扁平筒21とを貼り合わせている。このため、図27のように、ボトムヒートシール部S21上端は底ガゼット22上端より少々はみ出す形で施さなければ、自立性袋から内容物が漏れてしまう。そのため、ボトムヒートシール部S21の上端は必ず、底ガゼット22上端より少々はみ出した形で設ける。このため先行文献1の自立性袋は、図27のA1部分において、扁平筒21の内面同士が貼り合わされてしまい必ずエッジができてしまう。
【0110】
自立袋10A及び自立袋10Bにも円弧状シール部17、台形状シール部又は三角形状シール部を形成することで、同様の効果が得られる。
【0111】
第2の変形形態
貼り合わせ部材13、14の配置の変形例を以下に示す。自立袋10において、貼り合わせ部材13、14が、自立袋10を筒状に形成した際に折り曲げられた状態で、左右の端縁が一致しておらずにずれていてもよい(図18(A)、(B))。これにより、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3を貼り合わせる底シール部S1のうち、貼り合わせ部材13を使用している側の側部断面図(図2のVIA−VIA断面図に相当)は、図19(A)又は図19(B)のようになる。この形態では、X7区間では、4枚の積層体と2枚の貼り合わせ部材が重なり合っている。Y7区間では、4枚の積層体と1枚の貼り合わせ部材が重なり合っている。Z7区間では、4枚の積層体が重なっている。底シール部S1のヒートシールは、X7区間、Y7区間及びZ7区間にまたがってされることになる。従って、ヒートシールは貼り合わせ部材が1枚分ずつ異なり、総厚が段々に異なる領域にまたがってされることになり、段差が緩和される。これにより、よりヒートシール不良が発生し難く、自立袋10に内容物を充填した後も内容物が漏れることがない。
【0112】
同様に、自立袋10Aにおいて、貼り合わせ部材13A、14Aが、自立袋10Aを筒状に形成した際に折り曲げられた状態で、左右の端縁が一致しておらずにずれていてもよい(図20参照)。これにより、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3を貼り合わせる底シール部S2のうち、貼り合わせ部材13Aを使用している側の側部断面図(図2のVIA−VIAに沿った断面図に対応)は、図21(A)又は図21(B)のようになる。この形態では、X8区間では、4枚の積層体と4枚の貼り合わせ部材が重なり合っている。Y8区間では、4枚の積層体と2枚の貼り合わせ部材が重なり合っている。Z8区間では、4枚の積層体が重なっている。底シール部S2のヒートシールは、X8区間、Y8区間及びZ8区間にまたがってされることになる。従って、ヒートシールは貼り合わせ部材が2枚分ずつ異なり、総厚が段々に異なる領域にまたがってされることになり、段差が緩和される。これにより、よりヒートシール不良が発生し難く、自立袋10Aに内容物を充填した後も内容物が漏れることがない。
【0113】
自立袋10Bにおいて、貼り合わせ部材13B、14Bが折り曲げられた状態で、左右の端縁が一致しておらずにずれていてもよい(図22参照)。これにより、胴部11の下端11cと底部12の下端12b3、12c3を貼り合わせる底シール部S3のうち、貼り合わせ部材13Bを使用している側の側部断面図(図2のVIA−VIAに沿った断面図に相当)は、図23(A)、又は、図23(B)のようになる。この形態では、X9区間では、4枚の積層体と2枚の貼り合わせ部材が重なり合っている。Y9区間では4枚の積層体と1枚の貼り合わせ部材とが重なり合っている。Z9区間では4枚の積層体が重なっている。底シール部S3のヒートシールは、X9区間、Y9区間及びZ9区間にまたがってされることになる。従って、ヒートシールは貼り合わせ部材が1枚分ずつ異なり、総厚が段々に異なる領域にまたがってされることになり、段差が緩和される。これにより、よりヒートシール不良が発生し難く、自立袋10Bに内容物を充填した後も内容物が漏れることがない。
【0114】
第3の変形形態
自立袋10において、底部12の底面部12b、12cの底シール部S1を除いた高さh3が、自立袋10を折り畳んだ際の幅h4の半分でもよい(図4(A)参照)。なぜならば、自立袋10を自立させた際に、自立袋10の幅方向に対して垂直な方向への底部12の開きが、底部12の幅方向と同様の長さに展開されるため、自立袋10の自立性が向上するからである。また、底シール部S1を円弧状シール部17とすることで、底部12は真円に展開され、より自立袋10の自立性が向上する。さらに底シール部を三角形状シール部とすることで底部12は正方形に展開され自立性が向上する。
【0115】
自立袋10A、10Bにおいても同様に底部12の底面部12b、12cの底シール部S2、S3を除いた高さh3が、自立袋10A、Bを折り畳んだ際の幅h4の半分とすることで、同様の効果が得られる。
【0116】
第4の変形形態
自立袋10において、貼り合わせ部材13、14の長さh5を胴部11の高さh6と同様の長さにし、胴部11の上端から下端までとする。さらに、貼り合わせ部材13、14の全長に渡り、ヒートシールHS1、HS2を施す(図4(B)参照)。これにより、貼り合わせ部材13、14及びヒートシールHS1、HS2により、自立袋10の両側部が、貼り合わせ部材13又は14の幅を有する。このため、自立袋10の頂部は開口しやすく、保形性に優れることから自立性にも優れる。
【0117】
自立袋10Bの貼り合わせ部材13B、14Bの長さも、胴部11の高さと同様の長さにすることで、同様の効果が得られる。
【0118】
第5の変形形態
自立袋10において、底部12と同様の部材を自立袋10の頂部にも設けることにより、上下対象の容器10Cが形成される(図24参照)。この容器10Cは自立性がよく、さらに縦にも積み重ねることが可能である。
【0119】
また、胴部11の側端11a、11bを貼り合わせている部分を切り裂いたり、貼り合わせ部材15を剥がすことにより、トレイのように利用することができる。貼り合わせ部材15を剥がすために、貼り合わせ部材15はイージーピールフィルムを用いてもよい。図25には側端11a、11bを切り裂いた図を示す。
【0120】
自立袋10A、自立袋10Bについても同様に底部12を上端にも設けることにより、同様の効果が得られる。
【0121】
また、底部と頂部において、貼り合わせ部材の形状が異なっていてもよい。
【0122】
第6の変形形態
自立袋10において、胴部11の頂部に注出部16を用いることにより、注出部つき容器10Dとなる(図26参照)。この容器10Dには内容物として飲料、シャンプー、リンス、石鹸などの液体、流体が充填される場合が多い。手で持った際に不快感を与えないため、飲料を携帯する際、シャンプー、リンス、石鹸などを使用する際に、便利である。同様に自立袋10A、10Bに注出部16を設けてもよい。
また、注出部16は頂部に限られず胴部のいずれの位置に設けてもよい。
【0123】
第7の変形形態
図27に示すように、本変形の形態に係る自立袋10Eは、自立袋10の胴部11と底部12とを結合している貼り合わせ部材14と貼り合わせ部材15とが1つの部材であること以外は、自立袋10と同様である。すなわち、貼り合わせ部材14により底部12の第1の側端12b1、12c1と胴部11とが結合され、かつ、矩形状フィルム11Aの両側端11a、11bを閉じるように結合され、胴部11が筒状に形成されている。従って、自立袋10Eの胴部11の接合部位は自立袋の側端付近に形成されているため、胴部11一面にデザインすることが可能であり、胴部11にデザインを付与しやすく、見た目もよい。なお、貼り合わせ部材14の代わりに貼り合わせ部材13と貼り合わせ部材15とが1つの部材であってもよい。
【0124】
次に、自立袋10Eの製造方法を説明する。
自立袋10Eを製造するにあたり、自立袋10における貼り合わせ部材14と貼り合わせ部材15を1つの部材とするために自立袋の矩形状フィルム11Aと底フィルム12Aの側端11b、12b2、12c2同士を一致させてしまうと自立袋10Eは形成されない。
【0125】
図28(B)に示すように、矩形状フィルム11Aの側端11bより少し内側に底フィルム12Aを位置決めする。同図(A)に示すように、底フィルム12Aの第2の側端12b2、12c2と矩形状フィルム11Aの側端11bとの双方を覆うように1枚の貼り合わせ部材14を配置する。貼り合わせ部材13は自立袋10と同様に底フィルムの第1の側端12b1、12c1を覆うように配置する。
【0126】
次に、矩形状フィルム11Aの両側端部11a、11bを突き合わせ、貼り合わせ部材14の位置について、底フィルム12Aの第2の側端12b2、12c2を全て覆い、かつ、矩形状フィルム11Aの両側端部11a、11bを全て覆うようにヒートシールHS8を行う。これにより、底フィルム12Aの第2の側端12b2、12c2と矩形状フィルム11Aと貼り合わせ部材14とを一体化させ、かつ、矩形状フィルム11Aの両側端部11a、11bと貼り合わせ部材14とを一体化させて矩形状フィルム11Aから筒状の胴部11を形成する。また、貼り合わせ部材13の位置について、底フィルム12Aの第2の側端12b1、12c1と矩形状フィルム11Aとを一体化させる。
【0127】
最後に、自立袋10と同様にヒートシールにより底シール部S4を形成し、自立袋10Eを製造する。
【0128】
この形態によれば、矩形状フィルム11Aの側端11a、11b同士を結合する貼り合わせ部材15を必要としないので、部材点数、および、工程数を省略できので、製造コストを低減することができる。
【0129】
なお、本発明の各実施形態及び各変形形態は、発明の趣旨の範囲で修正又は変更可能である。例えば、ヒートシールの代わりに、接着剤を用いて、第1及び第2の貼り合わせ部材13、14を胴部11又は底部12に貼り付けてもよい。
【0130】
また、底部12の側端があらかじめ閉じられていてもよい。具体的には、溶断シールにより閉じられているもの、折り込むことにより閉じられているものなどが挙げられる。また、底部12は二つの部材が一辺で結合されたものでもよい。結合された一辺を底部の上端とし、該一辺が自立袋の内部方向に突き出していても、外部方向へ突き出してもよい。
【0131】
さらに、底部12はインフレーションチューブなどの筒状形状であってもよい。その場合は、一方の開放端を結合し、結合された開放端を底部の上端とする。該結合された開放端は自立袋の内部方向に突き出していても、外部方向へ突き出していてもよい。
【0132】
さらに、本発明における貼り合わせ部材の形状は、底部の第1の側端部、第2の側端部で異なる形状であってもよい。
【符号の説明】
【0133】
10、10A、10B 自立袋
11 胴部
11A 矩形状フィルム
12 底部
13、13A、13B 第1の貼り合わせ部材
14、14A、14B 第2の貼り合わせ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋本体としての筒状の胴部と、
前記胴部の一方の開口を閉じる共に、前記筒状の胴部の内部に設けられる、折り線で二つ折りにされた底部とからなる自立袋であって、
前記底部は、前記折り線を上端として第1及び第2の二つの底面部に区画され、各底面部は折り線と直交する左右の両側端及び折り線と平行な下端とを有し、
前記底部は、前記底部の側端において前記底面部と前記胴部とを結合する結合材により結合され、かつ前記下端で前記胴部と結合されている自立袋。
【請求項2】
前記結合材は前記第1及び第2のうち一方の底面部の側端を全て覆うように配置され、
前記結合材は前記第1及び第2のうち一方の底面部と前記胴部とを結合している請求項1に記載の自立袋。
【請求項3】
前記結合材は前記第1及び第2の両方の底面部の側端を全て覆うように配置され、
前記結合材は、前記第1の底面部外側に配置される第1の結合部及び、前記第2の底面部外側に配置される第2の結合部を有し、
前記第1の結合部は、前記第1の底面部と前記胴部とを結合し、
前記第2の結合部は、前記第1の結合部と連続して、かつ前記第1の結合部と前記第2の底面部とを結合している請求項1に記載の自立袋。
【請求項4】
前記第1及び第2の結合部は、左右方向に折り線を有する一つの結合材からなり、前記折り線によって第1及び第2の結合部に区画され、
第1及び第2の底面部の側端において、各底面部の上端側から前記底部を挟み込むように配置されている請求項3に記載の自立袋。
【請求項5】
前記第1及び第2の結合部は、上下方向に折り線を有する一つの結合材からなり、前記折り線によって第1及び第2の結合部に区画され、
第1及び第2の底面部の側端において、各底面部の側端側から前記底部を挟み込むように配置されている請求項3に記載の自立袋。
【請求項6】
前記底部の折り線と前記底部の下端との間の長さから下端結合部の長さを除いた長さが、前記底部の両側端間の長さの半分である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自立袋。
【請求項7】
前記結合材は前記胴部の下端から上端まで延びている請求項1乃至請求項3、請求項5及び請求項6のいずれかに記載の自立袋。
【請求項8】
前記胴部の他方の開口が、前記底部と同形状の頂部で閉鎖されている、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の自立袋。
【請求項9】
前記胴部に注出口が取り付けられた請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の自立袋。
【請求項10】
前記結合材が、折り曲げられた状態で左右の側端が一致しておらずずれている請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の自立袋。
【請求項11】
袋本体としての筒状の胴部と、
前記胴部の一方の開口を閉じると共に、前記筒状の胴部の内部に設けられる、二つの部材が一辺で結合された底部とからなる自立袋であって、
前記底部は、結合された一辺を上端として第1及び第2の二つの底面部に区画され、各底面部は前記結合された一辺と直交する左右の両側端及び前記結合された一辺と平行な下端とを有し、
前記底部は、前記底部の側端において前記底面部と前記胴部とを結合する結合材により結合され、かつ前記下端で前記胴部と結合されている自立袋。
【請求項12】
袋本体としての筒状の胴部と、
前記胴部の一方の開口を閉じると共に、前記筒状の胴部の内部に設けられる、筒状の一方の開放端が結合された底部とからなる自立袋であって、
前記底部は、結合された開放端を上端として第1及び第2の二つの底面部に区画され、
各底面部は前記結合された開放端と直交する左右の両側端及び前記結合された開放端と平行な下端を有し、
前記底部は、前記底部の側端において前記底面部と前記胴部とを結合する結合材により結合され、かつ前記下端で前記胴部と結合されている自立袋。
【請求項13】
胴部を構成する本体フィルムと、前記底部を構成する底フィルムとを用意し、
前記底フィルムを折り曲げて、前記折り線に対して第1及び第2の底面部を形成する工程、
前記本体フィルム上に第1の底面部が重なり、かつ前記本体フィルムの下端と、前記底フィルムの下端が略一致するように前記底フィルムを配置する工程、
前記底フィルムの側端を全て覆うように結合材を配置する工程、
前記底フィルムと前記本体フィルムとを前記結合材で結合する工程、
前記本体フィルムを、前記底フィルムを結合した面を内側にして筒状を形成して前記本体フィルムの両側端同士を互いに結合する工程、及び
前記本体フィルムの下端と前記第1及び第2の底面部の下端とを結合する工程を含む自立袋の製造方法。
【請求項14】
前記底フィルムの側端を全て覆うように結合材を配置する工程が、前記結合材を、前記本体フィルムと前記第2の底面部のみにまたがって配置する工程である請求項13に記載の自立袋の製造方法。
【請求項15】
前記底フィルムの側端を全て覆うように結合材を配置する工程が、前記結合材を、左右方向に折り曲げて、前記底フィルムの折り線側から前記底フィルムを挟み込むように、前記第1の底面部外側と前記第2の底面部外側とに配置する工程であり、
その後前記本体フィルム上に第1の底面部が重なるように、前記結合材が配置された前記底フィルムを配置する請求項13に記載の自立袋の製造方法。
【請求項16】
前記底フィルムの側端を全て覆うように結合材を配置する工程が、前記結合材を上下方向に折り曲げて、前記底フィルムの側端側から前記底フィルムを挟み込むように、前記第1の底面部外側と前記第2の底面部外側とに配置する工程であり、
その後前記本体フィルム上に第1の底面部が重なるように、前記結合材が配置された前記底フィルムを配置する請求項13に記載の自立袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−105741(P2010−105741A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215769(P2009−215769)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】