説明

自走式農作業機における昇降装置

【課題】ハンドルフレーム8を備えて成る走行機体4を支持する走行車輪3を,単動式油圧シリンダ17にて上下動するように構成し,この油圧シリンダに対する油圧切換弁21を,前記ハンドルフレームに設けた昇降用操作レバー18にて,前記油圧シリンダに油圧ポンプからの油圧を供給する機体上げ位置と,前記シリンダにおける油圧及び油圧ポンプからの油圧を開放する機体下げ位置とに切り換えるように構成して成る自走式農作業機において,前記走行機体が大きく上昇した状態から不測に下降することを回避する。
【解決手段】前記油圧切換弁21から前記油圧シリンダ17に至る油圧供給経路20中に開閉弁26を設け,この開閉弁に対する開閉操作手段27aを,前記昇降用操作レバー18の近傍の部位に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,苗を圃場に植付けるようにした自走式苗移植機等のような自走式農作業機において,その走行機体を上下昇降するための昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,この種の自走式苗移植機は,例えば,先行技術としての特許文献1,2,3,4に記載されているように,走行車輪にて支持した走行機体に,苗を一本ずつ間欠的に搬送する苗搬送機構と,この苗搬送機構にて移送した苗を植付け体にて圃場に対して植付けるようにした苗植付け機構と,前記苗植付け機構にて苗を植付けた後の圃場面を鎮圧体にて固めるようにした鎮圧機構とを設けるという構成にしている。
【0003】
また,従来の自走式苗移植機においては,走行車輪を走行機体に対して上下動する単動式油圧シリンダに対する油圧切換弁を上げ位置又は下げ位置に切り換えることにより,前記走行機体の上下昇降を行うように構成している。
【特許文献1】特開2005−80620号公報
【特許文献2】特開2006−87369号公報
【特許文献3】実開平4−30809号公報
【特許文献4】特開2004−344012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし,前記した従来における昇降装置の構造では,単動式油圧シリンダを使用することで,復動式の油圧シリンダを使用する場合に比べて,小型・軽量化できるという利点を有するが,その反面,走行機体を大きく上昇動した状態において,油圧切換弁における油圧の漏れ又は油圧ポンプの停止等により前記油圧シリンダに対する油圧が抜けたときに,走行機体が,その自身の重量によって不測に下降するおそれが大きいという問題がある。
【0005】
本発明は,この問題を解消した自走式農作業機における昇降装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を達成するため請求項1は,
「ハンドルフレームを備えて成る走行機体を支持する走行車輪を,単動式油圧シリンダにて前記走行機体に対して上下動するように構成し,この油圧シリンダに対する油圧切換弁を,前記ハンドルフレームに設けた昇降用操作レバーにて,前記油圧シリンダに油圧ポンプからの油圧を供給する機体上げ位置と,前記シリンダにおける油圧及び油圧ポンプからの油圧を開放する機体下げ位置とに選択的に切り換えるように構成して成る自走式農作業機において,
前記油圧切換弁から前記油圧シリンダに至る油圧供給経路中に開閉弁を設け,この開閉弁に対する開閉操作手段を,前記昇降用操作レバーの近傍の部位に位置する。」
ことを特徴としている。
【0007】
また,請求項2は,
「前記請求項1の記載において,前記開閉弁に対する開閉操作手段を前記昇降用操作レバーに,当該開閉操作手段における前記開閉弁閉への操作にて前記油圧切換弁が機体上げ位置から機体下げ位置になるように関連する。」
ことを特徴としている。
【0008】
更にまた,請求項3は,
「前記請求項1又は2の記載において,前記ハンドルフレームが,前記走行機体の後部に後方に延びるように設けられている。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した構成によると,前記油圧切換弁を昇降用操作レバーの操作にて機体上げ位置にした状態で,前記開閉弁を,前記昇降用操作レバーの近傍の部位に位置する開閉操作手段にて閉じることにより,前記単動式油圧シリンダにおける油圧は,閉じ込められることになるから,走行機体を大きく上昇した状態で,油圧切換弁における油圧の漏れ又は油圧ポンプの停止する等によって,走行機体が不測に下降することを確実に防止できて安全性を向上できる。
【0010】
しかも,前記開閉弁の開閉操作を,前記昇降用操作レバーの近傍の部位から遠隔的に行うことができるから,高い操作性を有する。
【0011】
特に,請求項2に記載した構成にした場合には,前記油圧切換弁を昇降用操作レバーの操作にて機体上げ位置にした状態で前記開閉弁を閉じた場合に,前記油圧切換弁を自動的に機体下げ位置にすることができるから,前記開閉弁を閉じることに起因して,その上流側における油圧が高くなって,油圧供給経路が破損したり,油圧の漏れが増大したり及び/又はエンジンが停止したりする等の不具合が発生することを確実に回避できる。
【0012】
また,請求項3に記載した構成によると,前記昇降用操作レバーが,走行機体の後部に位置しているので,その操作が,前進走行しながら容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下,本発明の実施の形態を,自走式農作業機のうち苗移植機に適用した場合の図面について説明する。
【0014】
これらの図に示す苗移植機1は,圃場における畝に沿って走行しながら,甘しょにおけるつる苗を前記畝に対して一定の間隔で植え付けるようにした歩行型の自走式苗移植機であり,前記畝の両側を走行する左右一対の前輪2及び後輪3と,畝上面の上方に位置するようにして前記両前輪2及び両後輪3にて支持される走行機体4を備えている。
【0015】
前記走行機体4は,エンジン5が搭載された前側のエンジンフレーム6と,前記エンジン5の動力を入力とする中央部のミッションケース7と,後側の後方に延びるハンドルフレーム8とを,前後方向に連結固定して構成されており,この走行機体4に後述する各種装置が装着されている。
【0016】
すなわち,前記走行機体4には,前記各種装置として,走行方向の前方より後方に向けて,畝ガイド機構9,前輪支持機構10,後輪支持機構11,畝高さ検出機構12,苗搬送機構13,苗植付け機構14,鎮圧機構15及び運転操作部16が装着されている。
【0017】
前記畝ガイド機構9は,畝に沿って走行する苗移植機1の走行方向を案内するための装置であり,畝の左右側面(斜面)に当接させるための畝ガイドローラ9aを左右一対備えている。これらの畝ガイドローラ9a,9a間に畝を挟み込み,または,斜面に当接させながら転動させて,この状態で苗移植機1を走行させることで,苗移植機1を運転操作により方向制御することなく,畝に沿って走行させることが可能である。
【0018】
前記前輪支持機構10及び後輪支持機構11は,前記両前輪2及び両後輪3に対して前記走行機体4を自在に昇降動するという構成であり,そのうち後輪支持機構11には,前記ミッションケース7から前記両後輪3への動力伝達機構を備え,両後輪3の駆動回転により前進走行するように構成している。
【0019】
また,前記走行機体4におけるエンジンフレーム6には,当該走行機体4を前記両前輪2及び両後輪3に対して昇降動するための単動式の油圧シリンダ17が設けられ,この油圧シリンダ17は,図5に示すように,油圧ポンプ19から当該油圧シリンダ17への油圧供給経路20の途中に設けた油圧切換弁21にて作動制御される。
【0020】
一方,前記ハンドルフレーム8に固着した昇降軸22には,昇降用操作レバー18を前後方向に回動自在に設け,この昇降用操作レバー18と一体に回動する第1腕杆23の先端に,前記油圧切換弁21を,前記昇降用操作レバー18を図5に実線で示す後方の機体上げ位置に操作したとき前記油圧切換弁21が前記油圧シリンダ17に油圧を供給するという機体上げになり,前記昇降用操作レバー18を図5に二点鎖線で示す前方の機体下げ位置に操作したとき前記油圧切換弁21が油圧を放出するという機体下げに切り換わるようにワイヤー24を介して連結されている。
【0021】
また,図示していないが,前記昇降用操作レバー18を後方の機体上げ位置に操作したとき,前記ミッションケース7から前記苗搬送機構13,苗植付け機構14及び鎮圧機構15への動力伝達をOFFにした状態で,油圧シリンダ17が走行機体4を最も高い位置まで上昇動するように作動し,前記昇降動レバー18を前方の機体下げ位置に操作したとき,前記ミッションケース7から前記苗搬送機構13,苗植付け機構14及び鎮圧機構15への動力伝達をONにした状態で,前記油圧シリンダ17が走行機体4を下降するように作動して,所定の苗植付け作業状態になるように構成されている。
【0022】
この場合,前記ワイヤー24は,引っ張りばね25にて常時緊張されており,前記昇降用操作レバー18を図5に実線で示す後方の機体上げ位置に操作したとき前記昇降軸22よりも下側に支点越えした位置になって前記昇降用操作レバー18を後方の機体上げ位置に保持し,前記昇降用操作レバー18を図5に二点鎖線で示す前方の機体下げ位置に操作したとき前記昇降軸22よりも上側に支点越えした位置になった前記昇降用操作レバー18を前方の機体下げ位置に保持するように構成している。
【0023】
更に,前記油圧シリンダ17への油圧供給経路20のうち前記油圧切換弁21と前記油圧シリンダ17との間の部分には,開閉弁26が設けられ,この開閉弁26を遠隔的に開閉するロッド27の後端における握り部27aを,前記昇降用操作レバー18にこれと一体に回動するように設けた第2腕杆28の近傍に位置することにより,前記ロッド27を,図5に実線で示す前記開閉弁26の開の位置から二点鎖線で示すように後方に引き操作すると,前記開閉弁26が閉じると同時に,当該ロッド27の後端における握り部27aが前記第2腕杆28に接当して,前記昇降用操作レバー18が実線で示す機体上げ位置から二点鎖線で示す機体下げ位置になるように構成している。
【0024】
次に,前記苗搬送機構13について説明する。図3及び図4に示すように,この苗搬送機構13は,走行機体4とは別体で構成されており,この走行機体4の組立後において,これに取り付けることが可能である。苗搬送機構13の配設位置は,ミッションケース7の後方かつハンドルフレーム8の上方位置である。
【0025】
この苗搬送機構13は,前記ミッションケース7から出力される駆動軸29の回転にて駆動される構成であり,この苗搬送機構13には,図3に示すように,前記走行機体4における左右両側の部位に前後方向に延びるように配設した左右一対の案内軸30,31の間に巻掛けして成る搬送ベルト(無端搬送体)32を備えている。
【0026】
前記搬送ベルト32の外周面には,複数個の苗収容部33が当該搬送ベルト32の長手方向に所定のピッチの間隔で設けられ,この各苗収容部33内の各々には,つる苗Aを着脱自在に保持するための把持部34が設けられている。
【0027】
前記搬送ベルト32は,作業者がその上面側において各苗収容部33につる苗Aを載せるように供給すると,矢印Bで示す方向に,前記各苗収容部33のピッチ間隔で間欠的に送り移動するように構成されており,この矢印Bの方向への間欠送りにて,下面の略中央に位置する二本のガイドローラ35の箇所にまで前記つる苗Aを搬送するもので,この搬送ベルト32のうち前記一方の案内軸30から前記両ガイドローラ35までの区間部分における外側には,前記各苗収容部33に供給したつる苗Aが当該苗収容部33から落下しないように保持するためのガイド板36が設けられている。
【0028】
前記苗植付け機構14は,前記ミッションケース7から出力される動力にて,前記苗搬送機構13における二本のガイドローラ35と圃場における畝との間を,図1に二点鎖線で示す運動軌跡に沿って上下方向に往復動する左右一対の植付け体14aを備えており,この植付け体14aは,これが上昇上限に位置するときにおいて,前記搬送ベルト32の間欠送りにより前記二本のガイドローラ35の箇所につる苗Aが送り込まれると,前記間欠送りが停止しているときにおいて,このつる苗Aを摘んで下降動することにより,つる苗Aを畝に対して押し込むように植付けして,元の上昇位置に戻ると,前記搬送ベルト32が一ピッチだけ間欠送りするように,前記搬送ベルト32の間欠送りと連動するように構成されている。
【0029】
そして,前記鎮圧機構15は,図6及び図7に示すように構成している。
【0030】
すなわち,この鎮圧機構15は,基端を前記ハンドルフレーム8に回動自在にピン15bにて枢着したL字状の第1リンク体15aと,この第1リンク体15aの先端と一体の固定体15cに対して基端を連結ピン15d′にて回転自在に枢着した第2リンク体15dと,この第2リンク体15dの下端に回転自在に設けたローラ状の鎮圧体15eと,前記植付け体14aの上下動に連動して時計方向に回転駆動されるカム板15fとによって構成されており,前記第1リンク体15aの先端から下向きに延びる腕杆15gの下端におけるローラ15hを,前記カム板15fの外周面に接当することにより,前記カム板15fにおける一回転のうち前記苗植付け機構14の植付け体14aによる苗植付けが完了した時期において,前記第1リンク体15aの下向き回動にて前記鎮圧体15eが,一点鎖線で示すように,畝に向かって自重にて下降動して,畝のうち前記つる苗Aの植付け箇所を押圧して固めように作動し,その後において,元の上昇位置まで復帰することを繰り返すように構成している。
【0031】
この場合において,前記第1リンク体15aにおける固定体15cと,前記第2リンク体15dとの間には,図7に示すように,ばね15jを装架し,このばね15jにて,第2リンク体15dを前記固定体15cに設けたストッパーねじ15kに常時接当するように付勢することにより,前記第2リンク体15dを,図5及び図7に二点鎖線で示すように,当該第2リンク体15dの基端における連結ピン15d′を中心にして,その下端における鎮圧体15eが前記ハンドルフレーム8の下面に近づくようにはね上げ可能に構成している。
【0032】
一方,前記ハンドルフレーム8には,前記第2リンク体15dをはね上げたときこれに設けたピン15d″が着脱自在に嵌まり係合するようにした鉤状係止体15mを,前後方向に自在に回動するようにピン15nにて枢着することにより,この鉤状係止体15mにて,前記第2リンク体15dを前記はね上げた状態に着脱自在に係止するように構成している。
【0033】
また,前記鉤状係止体15mを,前記昇降用操作レバー18と一体回動の第1腕杆23にリンク15oを介して連結することにより,前記昇降用操作レバー18を機体上げ位置から機体下げ位置に回動操作したとき,前記鉤状係止体15mがそのばね15pに抗して前方向に回動して,当該鉤状係止体15mによる前記第2リンク体15dのはね上げ状態での係止を解除するように構成している。
【0034】
この構成において,前記昇降用操作レバー18を後方の機体上げ位置にしているとき,走行機体4は,圃場から多く上昇しているとともに,前記苗搬送機構13,苗植付け機構14及び鎮圧機構15も作動が停止している。
【0035】
この状態から前記走行機体4を前進走行しながら前記昇降用操作レバー18を前方の機体下げ位置に回動操作する。これにより,前記走行機体4が圃場に接近するように下降動すると同時に,前記苗搬送機構13,苗植付け機構14及び鎮圧機構15が作動するから,所定の苗植付け作業の状態に入る。
【0036】
この苗植付け作業が圃場における畦際まで進行すると,前記昇降用操作レバー18を後方の機体上げ位置に回動操作する。これにより,前記走行機体4が大きく上昇動する同時に,前記苗搬送機構13,苗植付け機構14及び鎮圧機構15が作動停止する。
【0037】
次いで,前記走行機体4を,これに支持する後輪3を中心にして前輪2が浮き上がる一方,ハンドルフレーム8が圃場に近づくように後ろ傾斜し,この状態を前輪2が畝を越えるように方向変換するのであるが,前記走行機体4の後ろ傾斜に先立っては,前記鎮圧機構15における第2リンク体15d及び鎮圧体15eを,図6及び図7に二点鎖線で示すようにはね上げしたのち前記鉤状係止体15mに係止して,前記はね上げた状態に保持することにより,前記鎮圧機構15における第2リンク体15d及び鎮圧体15eが,前記走行機体4における後ろ傾斜の妨げになることを確実に回避できるから,前記走行機体4を大きく後ろ傾斜することができて,畝越えしての方向変換が容易にできる。
【0038】
この方向変換を完了すると,前記昇降用操作レバー18を前方の機体下げ位置に回動操作して,所定の苗植付け作業の状態に入るのであるが,前記昇降用操作レバー18を前方の機体下げ位置への回動操作にリンク15oを介して連動して前記鉤状係止体15mが前方に回動して,前記鎮圧機構15における第2リンク体15d及び鎮圧体15eのはね上げ状態での係止を解消するから,前記第2リンク体15d及び鎮圧体15eは,その重量で,図6及び図7に実線で示す元の上昇位置(待機位置)に自動的に復帰する。
【0039】
この鎮圧体15eは,前記苗植付け機構14における植付け体4aに苗を植付けたあとの時期において,この植付けたあとの圃場に向かって下降動して叩くことにより,固めるものであり,この鎮圧体15eにおける圃場に対する叩き付け力は,第1リンク体15aと第2リンク体15dとの間に装架したばね15jをストッパーねじ15にて調節することによって,任意に設定できる。
【0040】
そして,前記した苗植付け作業を完了すると,前記昇降用操作レバー18を前方の機体下げ位置に回動操作することにより,前記走行機体4が大きく上昇動する同時に,前記苗搬送機構13,苗植付け機構14及び鎮圧機構15が作動停止することになるから,この状態で路上走行のような非植付け状態での走行,又は格納等を行うことができる。
【0041】
この非植付け状態での走行又は格納等に際しては,前記走行機体4の昇降を行う前記油圧シリンダ17に対する油圧供給経路20中における開閉弁26を,前記昇降用操作レバー18の箇所からロッド27後端における握り部27aの後方への引き操作にて閉じることにより,油圧切換弁21における油圧漏れにかかわらず,前記走行機体4を大きく上昇した位置に保持するのである。
【0042】
しかし,この状態においては,前記油圧切換弁21が機体上げ位置のままであることにより,前記開閉弁26を閉じることで,これより上流側における油圧が高くなり,油圧ポンプ19の負荷が増大して,油圧供給経路の破損,油圧漏れの増大,又はエンジン5の停止等の不具合が発生することになる。
【0043】
これに対して,本発明においては,前記したように,前記昇降用操作レバー18に,これと一体に回動する第2腕杆28を設け,この第2腕杆28の近傍に,前記ロッド27の後端における握り部27aを位置することにより,前記ロッド27を,図5に実線で示す前記開閉弁26の開の位置から二点鎖線で示すように後方に引き操作すると,前記開閉弁26が閉じると同時に,当該ロッド27の後端における握り部27aが前記第2腕杆28に接当して,前記昇降用操作レバー18が実線で示す機体上げ位置から一点鎖線で示す中立位置になり,この中立位置からワイヤー24における昇降軸22の上側に支点越えすることにより自動的に二点鎖線で示す機体下げ位置になるように構成している。
【0044】
これにより,前記開閉弁26を,前記ロッド27の後方への手動による引き操作にて閉じると,これに連動して,前記昇降用操作レバー18が機体下げ位置に回動し,前記油圧切換弁21が,油圧シリンダ17における油圧及び油圧ポンプ19からの油圧の両方を油圧タンクに開放するという機体下げ位置に切り換わることになるから,前記開閉弁26を閉じることに起因して,これより上流側における油圧供給経路が破損したり,油圧の漏れが増大したり,及び/又はエンジン5の停止したりすること等の不具合が発生することを,未然に確実に回避できる。
【0045】
ところで,前記開閉弁26は,前記昇降用操作レバー18の機体下げ位置への回動操作にて苗植付け作業に入ることに先立って,前記ロッド27の前方への押し込み操作にて開くことはいうまでもない。
【0046】
なお,前記実施の形態は,苗移植機1に適用した場合であったが,本発明は,これに限らず,自走式田植機等のようなその他の農作業機にも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による実施の形態の苗移植機を示す全体側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のIII −III 視拡大断面図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】走行機体の昇降装置を示す図である。
【図6】鎮圧機構を示す図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
1 苗移植機
2 前輪
3 後輪
4 走行機体
5 エンジン
7 ミッションケース
8 ハンドルフレーム
13 苗搬送機構
14 苗植付け機構
15 鎮圧機構
17 単動式油圧シリンダ
18 昇降用操作レバー
19 油圧ポンプ
20 油圧供給経路
21 油圧切換弁
26 開閉弁
27 ロッド
27a 握り部(開閉操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルフレームを備えて成る走行機体を支持する走行車輪を,単動式油圧シリンダにて前記走行機体に対して上下動するように構成し,この油圧シリンダに対する油圧切換弁を,前記ハンドルフレームに設けた昇降用操作レバーにて,前記油圧シリンダに油圧ポンプからの油圧を供給する機体上げ位置と,前記シリンダにおける油圧及び油圧ポンプからの油圧を開放する機体下げ位置とに選択的に切り換えるように構成して成る自走式農作業機において,
前記油圧切換弁から前記油圧シリンダに至る油圧供給経路中に開閉弁を設け,この開閉弁に対する開閉操作手段を,前記昇降用操作レバーの近傍の部位に位置することを特徴とする自走式農作業機における昇降装置。
【請求項2】
前記請求項1の記載において,前記開閉弁に対する開閉操作手段を前記昇降用操作レバーに,当該開閉操作手段における前記開閉弁閉への操作にて前記油圧切換弁が機体上げ位置から機体下げ位置になるように関連することを特徴とする自走式農作業機における昇降装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2の記載において,前記ハンドルフレームが,前記走行機体の後部に後方に延びるように設けられていることを特徴とする自走式農作業機における昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−220189(P2008−220189A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58616(P2007−58616)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】