説明

自走式電動処理機

【課題】容易に移動することができる自走式電動処理機を提供する。
【解決手段】本体フレーム11と、本体フレーム11の下部に設けた走行装置1と、本体フレーム11上に設けた処理装置3と、走行装置1及び処理装置3を駆動する圧油を供給する油圧ポンプ30と、外部電源から供給される電力によって油圧ポンプ30を駆動する第1の電動機31と、外部電源から供給される電力によって油圧ポンプ30を駆動する電動機であって、第1の電動機31よりも容量の小さい第2の電動機32とを備える。破砕処理の実行時には、大容量の固定電源から第1の電動機31に電力を供給して処理装置3を駆動し、機体の移動時には、十分な容量の移動可能な発電機をから第2の電動機32に電力を供給して走行装置1を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材破砕機、ジョークラッシャ、シュレッダ、土質改良機等の被処理物を処理する自走式電動処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
自走式処理機は、作業現場で生じる被処理物に対して所定の処理を施し、工事の円滑化やコスト削減、或いは、被処理物の改質等を図るものであり、木材破砕機、ジョークラッシャ、シュレッダ、土質改良機などが知られている。
【0003】
このような自走式処理機として、例えば、特許文献1(特開2004−223319号公報)には、走行体に設置した車体上に破砕装置を搭載すると共に、車体の前部に被破砕物を破砕装置に投入する投入装置を搭載し、この投入装置は、ホッパと、後上がりの傾斜姿勢で設けられ、かつ前部がホッパの下に位置する被破砕物の搬送装置とを有し、この搬送装置は、左右一対の無端チェーンと、左右の無端チェーンのリンク間に等間隔をなすように架設された横架材とを有し、横架財は投入すべき被破砕物の搬送手段と篩い手段として機能を兼有するといった移動式クラッシャが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−223319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、排気ガス排出量削減やトンネル内作業時等における排気ガス対策などの観点から、電動モータ(電動機)を動力源とするパワーユニットを備え、例えば電動モータによって油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプから吐出した圧油によってクラッシャ等の圧油機器を駆動する構成の自走式電動処理機も好適に用いられている。このような電動式の自走式処理機では、作業現場に設けられた大容量の固定電源からの電力供給により作業を行う。
【0006】
このような電動式の自走式処理機は現場での作業が目的であり、搭載される電動機には作業に必要な大容量のものが選択され、作業現場に設けられた電源設備からの電力供給により作業を行う必要がある。また、作業以外、例えば機体移動するときにも、作業に使用する大容量の電動機を駆動する必要があり、電源設備は作業時と同じ容量のものが必要となる。したがって、電源供給用ケーブル等が届く範囲を超えるような距離の移動時には、作業時の電源設備と同程度の容量の移動式発電機などを用意し、自走式破砕機と発電機とを一緒に移動する必要がある。
【0007】
しかしながら、大容量の移動式発電機を確保することは現実的には非常に難しく、また、容量の小さい移動式発電機では機体に搭載された大容量の電動モータを駆動することが困難であった。仮に、無理に駆動しようとすれば、駆動効率が悪いだけでなく、回路各部に大きな負担が生じて機器の故障等が生じる恐れがあった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、容易に移動することができる自走式電動処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、本体フレームと、該本体フレームの下部に設けた走行装置と、該本体フレーム上に設けた処理装置と、前記走行装置及び前記処理装置を駆動する圧油を供給する油圧ポンプと、前記処理装置の駆動時に、外部電源から供給される電力によって前記油圧ポンプを駆動する第1の電動機と、前記走行装置の駆動時に、外部電源から供給される電力によって前記油圧ポンプを駆動する電動機であって、前記第1の電動機よりも容量の小さい第2の電動機とを備えたものとする。
【0010】
このように、処理装置の駆動時に、外部電源から供給される電力によって油圧ポンプを駆動する第1の電動機と、走行装置の駆動時に、外部電源から供給される電力によって油圧ポンプを駆動する電動機であって、第1の電動機よりも容量の小さい第2の電動機とを備える構成としたので、大容量の移動式発電機を確保する必要が無く、容量の小さい移動式発電機で機体を移動することが可能となり、自走式電動処理機を容易に移動することができる。
【0011】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記走行装置の駆動時に、前記第2の電動機が定格容量を超えないように、前記油圧ポンプの吸収馬力を制御する制御手段を供えたものとする。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記油圧ポンプを駆動する前記第1の電動機の出力軸および前記第2の電動機の出力軸は、同軸状に接続され一体的に回転駆動されるものとする。
【0013】
(4)また、上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記油圧ポンプを駆動する前記第1の発電機の出力軸と前記第2の発電機の出力軸とを連動して回転駆動するよう連結する連結手段を備えたものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大容量の電動モータを備えた自走式電動処理機でも容易に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る自走式電動処理機である自走式電動破砕機の全体構成を示す側面図である。
【図2】機械室に設けられた油圧ポンプと、それを駆動する電動モータとを示す図であり、油圧ポンプと電動モータの接続関係を示す図である。
【図3】機械室に設けられた油圧ポンプと、それを駆動する電動モータとを示す図であり、図2の油圧ポンプを省略して示す図である。
【図4】機械室に設けられた油圧ポンプと、それを駆動する電動モータとを示す図であり、図3のA−A線矢視図である。
【図5】機械室に設けられた油圧ポンプと、それを駆動する電動モータとを示す図であり、図3のB−B線矢視図である。
【図6】第1の実施の形態の油圧回路システムの要部を抜き出して示す概略図である。
【図7】コントローラによる吐出圧力制御処理を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態の変形例における油圧ポンプと電動モータの接続関係を示す側面図である。
【図9】第1の実施の形態の変形例における油圧ポンプと電動モータの接続関係を示す図であり、油圧ポンプを軸方向から見た正面図に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、自走式電動処理機の一例として自走式電動破砕機を例にとり、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態を図1〜図7を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は本実施の形態に係る自走式電動処理機である自走式電動破砕機の全体構成を示す側面図である。なお、以下において、図1中における左右に対応する方向を自走式電動破砕機の後・前とする。
【0019】
図1〜図4において、本発明の一実施の形態に係る自走式電動破砕機100は、走行体1と、ホッパ(投入ホッパ)2と、振動フィーダ(グリズリフィーダ)20と、処理装置としての破砕装置3と、機械室4と、排出コンベヤ5とを概略備えている。
【0020】
走行体1は、左右一対の走行フレーム6のそれぞれに履体7を掛け回して構成したものである。走行フレーム6の端部には従動輪(図示せず)及び駆動輪8が設けられている。また、一対の走行フレーム6のそれぞれに設けられた一対の連結フレーム(図示せず)の上方には本体フレーム10が取り付けられている。
【0021】
ホッパ2は、被破砕物を受け入れるものであり、本体フレーム10の長手方向の一方側(すなわち、前後方向の後方側)上部に支持部材11を介して配置されており、上方に向かって拡開して設けられている。
【0022】
振動フィーダ20は、例えば、グリズリフィーダなどであり、ホッパ2により受け入れた被破砕物を粒度に応じて大塊と細粒とに選別し、その大塊を振動により本体フレームの長手方向の他方側(すなわち、前後方向の前方側)に搬送しつつ、細粒を篩い落とすものである。振動フィーダ20は、ホッパ2の下方に配置されており、支持部材11に弾性部材22a,22b(22c)を介して振動可能に支持されている。そして、振動フィーダ20に設けられた加振装置(図示せず)により振動フィーダ本体及び内部に設けられた篩部材とを一体的に揺さ振り、投入された被破砕物の選別および搬送を行う。
【0023】
なお、本実施形態では弾性部材22a〜22cの一例としてコイルバネを用いた場合を示しているが、ラバースプリング等の他の弾性体を用いても良い。
【0024】
破砕装置3は、ホッパ2内に投入されグリズリフィーダ20により前方に搬送された被破砕物(大塊)を破砕するものであり、ホッパ2の前方かつ下方に位置し、本体フレーム10の長手方向中央付近に搭載されている。破砕装置3としては、例えば、固定歯と揺動する動歯とによって破砕室を形成し、この破砕室に導入された被破砕物をその固定歯と動歯とによって噛み砕くように破砕して下方の排出口から排出する形態のジョークラッシャなどが挙げられる。
【0025】
機械室4は、破砕装置3より更に前方側の本体フレーム10上に位置するよう設けられており、走行体1やホッパ2、破砕装置3などに設けられた各油圧アクチュエータを駆動する油圧源としての油圧ポンプ30(後の図2等参照)や、それらを駆動する電動モータ31,32など(後の図2等参照)が内蔵されている。なお、図示しないが、外部電源から電動モータ31,32に供給される電力を制御するインバータ等の電力制御回路等も適宜設けられている。
【0026】
走行体1の前方側の上方の本体フレーム10の下側には、キースイッチ、エンジンコントロールダイアル、破砕装置3の動作制御用スイッチ、或いは、走行切換用スイッチ(後述)等が配置された操作盤16が設けられている。
【0027】
破砕装置3などが設けられた位置であって操作盤16の後方側に隣り合う位置、すなわち、機体の前後方向における中央付近の側面部で走行体1の上方には、オペレータが破砕装置3などにアクセスするためのメンテナンス用ラダー14が設けられている。また、走行体1及び操作盤16の前方側に隣り合う位置であって機械室4の下方には、オペレータが機械室4にアクセスするためのメンテナンス用ラダー15が設けられている。
【0028】
排出コンベヤ5は、破砕装置3から排出された破砕物をフレーム内に収納された搬送ベルト(図示せず)で機体前方に搬送して機外に排出するものである。排出コンベヤ5は、破砕装置3の下方であって一対の走行体1の間から機械室4の下方を通るよう設けられ、さらにそこからホッパ2や機械室4の上端部と同程度の高さまで機体前方に向かって斜めに立ち上がるよう上り傾斜に形成されている。搬送ベルトは、排出コンベヤ5の前後方向における両端に設けられた従動輪及び駆動輪(ともに図示せず)に巻回されており、その駆動輪によって循環駆動され破砕物を機体前方側に搬送する。
【0029】
図2〜図5は、機械室に設けられた油圧ポンプと、それを駆動する電動モータとを示す図であり、図2は油圧ポンプと電動モータの接続関係を示す図であり、図3はその油圧ポンプを省略して示す図である。また、図4及び図5は、それぞれ、図3のA−A線矢視図及びB−B線矢視図である。
【0030】
図2〜図5に示すように、自走式電動破砕機に設けられた各油圧アクチュエータを駆動するための圧油を吐出する油圧ポンプ30には、第1電動モータ31及び第2電動モータ32が共通の回転軸33(31a,32a)により接続されている。
【0031】
第1電動モータ31は、振動フィーダ20、破砕装置3、排出コンベヤ5等を駆動して破砕処理を実行するのに十分な圧油を吐出するよう油圧ポンプ30を駆動することができる大容量(大出力)の電動モータであり、十分に大きな電力を供給できる電源(例えば、予め設置された固定の電源設備等)により駆動される。第1電動モータ31の回転軸31aの一端が油圧ポンプ30の入力軸に接続されている。
【0032】
第2電動モータ32は、走行体1を駆動して自走式電動破砕機を移動させるのに十分な圧油を吐出するよう油圧ポンプ30を駆動することができる容量の電動モータであり、少なくとも、第1電動モータ31よりも小さい容量の電動モータである。したがって、この第2電動モータ32は、第1電動モータよりも小さい電力の電源(例えば、移動可能な汎用のエンジン式発電機)により十分に駆動可能である。第2電動モータ32の回転軸32aの出力側端部は、第1電動モータ31の出力軸31aの油圧ポンプ30と反対側の端部(他端)に同軸状に接続されて回転軸33を形成しており、一体的に回転駆動される。
【0033】
図6は、本実施の形態の油圧回路システムの要部を抜き出して示す概略図である。
【0034】
図6において、油圧回路システムは、操作盤16などの操作系からの操作指令信号や各種センサからの検出信号等に基づいて油圧回路システム全体の動作を制御するコントローラ34と、回転軸33により接続された第1電動モータ31及び第2電動モータ32と、その回転軸33の回転により駆動される可変容量型の油圧ポンプであって、コントローラ34からの吐出量指令信号39に基づいて吐出量を制御される油圧ポンプ30と、油圧ポンプ30から吐出されて走行体1、振動フィーダ20、破砕装置3、排出コンベヤ5等に設けられた各アクチュエータに供給される圧油の流れをコントローラ34からの制御信号42に基づいて制御する複数の電磁弁を有する電磁弁群36と、油圧ポンプ30の吐出管路30aの圧力を検出し、圧力信号41としてコントローラ34に出力する圧力センサ35と、コントローラ34からの圧力指令信号40に基づいて吐出管路30aの圧力の上限を制御する圧力制御弁45とを概略備えている。
【0035】
第1電動モータ31は、駆動電力の供給源である電源43に接続されており、その線路上には、第1電動モータ31への電流の異常供給を防止するブレーカB31と、コントローラ34からの運転指令信号38に基づいて、電源43から第1電動モータ31への電力の供給・遮断を切り換える接触器S31とが備えられている。
【0036】
また、第2電動モータ32も第1の電動モータ31と同様に、駆動電力の供給源である電源43に接続されており、その線路上には、第2電動モータ32への電流の異常供給を防止するブレーカB32と、コントローラ34からの運転指令信号37に基づいて、電源43から第2電動モータ32への電力の供給・遮断を切り換える接触器S32とが備えられている。
【0037】
電源43には、自走式電動破砕機の外部に設けられた電源(外部電源)からの電力が供給される。なお、外部電源から電源43に供給される電力は、機体或いは外部電源に搭載されたインバータ等の電力制御回路により適宜調整される。
【0038】
制御盤16には、第1電動モータ31により油圧ポンプ30を駆動するモードと、第2電動モータ32により油圧ポンプ30を駆動するモードと、第1及び第2電動モータ31,32を停止するモードとを切り換える切換スイッチ44が設けられている。切換スイッチ44により第1電動モータ31が選択されると、接触器S31が第1電動モータ31に電力を供給するように切り換わるとともに、接触器S32が第2電動モータ32への電力の供給が遮断されるように切り換わる。また、切換スイッチ44により第2電動モータ32が選択されると、接触器S32が第2電動モータ32に電力を供給するように切り換わるとともに、接触器S31が第1電動モータ31への電力の供給が遮断されるように切り換わる。また、切換スイッチ44により第1及び第2電動モータ31,32の停止が選択されると、2つの接触器S31,S32の両方が電力の供給を遮断するように切り換わる。
【0039】
ここで、コントローラ34による油圧ポンプ30の吐出圧力制御処理について説明する。吐出圧力制御処理は、コントローラ34に入力される操作指令信号や検出信号に基づいて油圧ポンプ30の吐出管路30aの圧力を制御して、第1電動モータ31や第2電動モータ32に過負荷が働くのを抑制する処理である。
【0040】
図7は、吐出圧力制御処理を示すフローチャートである。
【0041】
図7において、コントローラ34は、切換スイッチ44により第1電動モータ31が選択されているかどうかを判定し(ステップS100)、その判定結果がYESの場合は、油圧ポンプ30の吐出流量、及び、圧力制御弁45による圧力上限を予め定めた最大値に制御し(ステップS200)、処理を終了する。
【0042】
また、ステップS100での判定結果がNOの場合は、切換スイッチ44により第2電動モータ32が選択されているかどうかを判定する(ステップS110)。ステップS110での判定結果がNOの場合は、油圧ポンプ30の吐出流量、及び、圧力制御弁45による圧力上限を予め定めた最小値に制御し(ステップS111)、処理を終了する。
【0043】
また、ステップS110での判定結果がYESの場合は、投入馬力Aが予め定めた基準馬力A1よりも小さいかどうかを判定する(ステップS120)。なお、投入馬力Aは、A=K×吐出量指令値×圧力検出値:(Kは係数)により算出される。ステップS120での判定結果がYESの場合は、圧力指令が最大であるかどうかを判定し(ステップS130)、判定結果がYESの場合は油圧ポンプ30の吐出流量が予め定めた流量まで上昇するように制御し(ステップS131)、処理を終了する。また、ステップS130での判定結果がNOの場合は、圧力制御弁45による圧力上限を予め定めた値まで上げ(ステップS132)、処理を終了する。ステップS120での判定結果がNOの場合は、吐出量指令Bが予め定めた基準指令値B1よりも大きいかどうかを判定し(ステップS140)、判定結果がYESの場合は油圧ポンプ30の吐出流量を予め定めた最小流量に制御し(ステップS141)、処理を終了する。また、ステップS140での判定結果がNOの場合は、圧力制御弁45による圧力上限を予め定めた最小値に制御し(ステップS142)、処理を終了する。
【0044】
以上のように構成した本実施の形態における動作を説明する。
【0045】
1.自走式電動破砕機(自走式電動処理機)の移動
自走式電動破砕機を目的位置まで移動する場合(例えば、駐機場と作業位置の間を移動する場合)には、移動式発電機(例えば、エンジン式発電機)を電源として用意し、適当な電源ケーブル等により自走式電動破砕機の電源43に接続して電力を供給する。移動式発電機は、自走式電動破砕機に搭載するか、別途移動可能な台車等に載置し、自走式電動破砕機と同時に移動可能な状態とする。また、切換スイッチ44により第2電動モータ32を選択する。この状態で、第2電動モータ32を起動し、油圧ポンプ32を駆動して、走行体1を駆動させ、自走式電動破砕機を目的位置まで移動させる。
【0046】
2.自走式電動破砕機(自走式電動処理機)による破砕処理
自走式電動破砕機を破砕処理を行う位置に配置した状態で、電力供給用に予め設置された固定の大容量電源に適当な電源ケーブル等を用いて電源43を接続する。また、切換スイッチ44により第1電動モータ31を選択する。この状態で、第1電動モータ31を起動し、油圧ポンプ31を駆動して、振動フィーダ20、破砕装置3、排出コンベヤ5等を駆動させる。
【0047】
そして、破砕動作中の自走式電動破砕機100に対し、例えばホイールローダ等の投入重機によってホッパ2に被破砕物を投入する。投入された被破砕物は振動フィーダ(グリズリフィーダ)20上に導かれ、破砕装置(ジョークラッシャ)3に向かって搬送される。その際、小さな細粒(ズリ等)は排出コンベヤ5上に導かれ、それより大きな被破砕物(大塊)が破砕装置3に供給される。破砕装置3に供給された被破砕物は、固定歯及び動歯間の破砕室の出口隙間に応じた粒度に破砕処理されて下方の排出コンベヤ5上に落下する。破砕装置3で破砕された破砕物は、振動フィーダ20で粒度選別された細粒と合流して排出コンベヤ5によって前方に搬送され、その途中で磁選機(図示せず)によって鉄筋等の異物を吸着除去された上で機外に搬出される。
【0048】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0049】
近年、排気ガス排出量削減やトンネル内作業時等における排気ガス対策などの観点から、電動モータ(電動機)を動力源とするパワーユニットを備え、例えば電動モータによって油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプから吐出した圧油によってクラッシャ等の圧油機器を駆動する構成の自走式電動処理機も好適に用いられている。このような電動式の自走式処理機では、作業現場に設けられた大容量の固定電源からの電力供給により作業を行う。また、電源供給線路長を超えるような距離の移動時には、移動式発電機などの電源を用意し、自走式電動処理機と一緒に移動する必要がある。
【0050】
しかしながら、大容量の移動式発電機を確保することは現実的には非常に難しく、また、容量の小さい移動式発電機では機体に搭載された大容量の電動モータを駆動することが困難であった。仮に、無理に駆動しようとすれば、効率が悪いだけでなく、回路各部への大きな負担により機器の故障等が生じる恐れがあった。
【0051】
これに対し、本実施の形態における自走式電動処理機である自走式電動破砕機においては、処理装置の駆動時に、外部電源から供給される電力によって油圧ポンプ30を駆動する第1電動モータ31と、走行装置1の駆動時に、外部電源から供給される電力によって油圧ポンプ30を駆動する電動モータであって、第1電動モータ31よりも容量の小さい第2電動モータ32とを備える構成としたので、大容量の移動式発電機を確保する必要が無く、容量の小さい移動式発電機で機体を移動することが可能となり、自走式電動破砕機を容易に移動することができる。
【0052】
なお、本実施の形態においては、走行装置1の駆動時には、油圧ポンプ30を第2電動モータ32により駆動するように構成したが、電源ケーブルの届く範囲内における機体の適当な移動については、第1電動モータ31により駆動しても良い。
【0053】
<第1の実施の形態の変形例>
本発明の第1の実施の形態の変形例を図8及び図9を参照しつつ説明する。
【0054】
図8は、本変形例における油圧ポンプと電動モータの接続関係を示す側面図であり、図9はその油圧ポンプを軸方向から見た正面図に相当する図である。図中、第1の実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し説明を省略する。
【0055】
図8及び図9に示すように、自走式電動破砕機に設けられた油圧アクチュエータを駆動するための圧油を吐出する油圧ポンプ30には、第1電動モータ31及び第2電動モータ32が連結器50を介して接続されている。
【0056】
第1電動モータ31は、振動フィーダ20、破砕装置3、排出コンベヤ5等を駆動して破砕処理を実行するのに十分な圧油を吐出するよう油圧ポンプ30を駆動することができる大容量(大出力)の電動モータであり、その回転軸31aの出力側端部が油圧ポンプ30の入力軸に接続されている。
【0057】
第2電動モータ32は、走行体1を駆動して自走式電動破砕機を移動させるのに十分な圧油を吐出するよう油圧ポンプ30を駆動することができる容量の電動モータであり、少なくとも、第1電動モータ31よりも小さい容量の電動モータである。したがって、この第2電動モータ32は、第1電動モータよりも小さい電力の電源(例えば、移動可能な汎用のエンジン式発電機)により十分に駆動可能である。第2電動モータ32の回転軸32aの出力側端部は、連結器50を介して第1電動モータ31の出力軸31の出力側端部と接続されており、出力軸31と連動して回転駆動される。
【0058】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0059】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 走行体
2 ホッパ(投入ホッパ)
3 破砕装置
4 機械室
5 排出コンベヤ
6 走行フレーム
7 履体
8 駆動輪
10 本体フレーム
11 支持部材
14,15 メンテナンス用ラダー
16 操作盤
20 振動フィーダ(グリズリフィーダ)
22a〜22c 弾性部材
30 油圧ポンプ
31 第1電動モータ
32 第2電動モータ
34 コントローラ
43 電源
B31,B32 ブレーカ
S31,S32 接触器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
該本体フレームの下部に設けた走行装置と、
該本体フレーム上に設けた処理装置と、
前記走行装置及び前記処理装置を駆動する圧油を供給する油圧ポンプと、
前記処理装置の駆動時に、外部電源から供給される電力によって前記油圧ポンプを駆動する第1の電動機と、
前記走行装置の駆動時に、外部電源から供給される電力によって前記油圧ポンプを駆動する電動機であって、前記第1の電動機よりも容量の小さい第2の電動機と
を備えたことを特徴とする自走式電動処理機。
【請求項2】
請求項1記載の自走式電動処理機において、
前記走行装置の駆動時に、前記第2の電動機が定格容量を超えないように、前記油圧ポンプの吸収馬力を制御する制御手段を備えたことを特徴とする自走式電動処理機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自走式電動処理機において、
前記油圧ポンプを駆動する前記第1の電動機の出力軸および前記第2の電動機の出力軸は、同軸状に接続され一体的に回転駆動されることを特徴とする自走式電動処理機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の自走式電動処理機において、
前記油圧ポンプを駆動する前記第1の発電機の出力軸と前記第2の発電機の出力軸とを連動して回転駆動するよう連結する連結手段を備えたことを特徴とする自走式電動処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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