説明

舌による形状認識食品

【課題】舌の持つ触覚の感覚により形状を認識するための舌による形状認識食品を提供すること。
【解決手段】口の中に入れてもすぐには溶けにくい食物基材にて文字又は図形として認識可能な立体的形状体を形成し、この立体的形状体を、この立体的形状体が視覚で認識できないように、かつ、口の中に入れると熱や唾液ですぐに溶け易い被覆食材で被覆する。前記立体的形状体は、食物基材の一側面又は両側面に凸状又は凹状に形成する。立体的形状体が食物基材及び被覆食材と異なる味とすることで、舌の先での立体的形状体の形状の認知がより明確になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子などの食品を口に入れたとき、溶けて舌で形状を認識するための舌による形状認識食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビスケットなどの菓子表面に、数字や絵柄を焼き印し、箱に詰め合わせて全体で絵柄を構成するようにしたもの(特許文献1)、分離された各部分をつなぎ合わせて絵柄や物体の形状とした、いわゆるジグソーパズルとした焼成菓子(特許文献2)などが知られている。
【0003】
これらは、いずれも学習や遊びの中で視覚を通じて形状等を認識しようとするものである。
【特許文献1】実開平8−23886号公報
【特許文献2】実開平5−91373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人間は、五感からの感覚情報を受けているが、その中で、食物を口の中に入れると、舌によって味覚の情報が得られるが、舌の感覚には、その他に硬い、柔らかい、細い、丸いなどの触覚の感覚を有する。
本発明は、舌の持つ触覚の感覚により形状を認識するための舌による形状認識食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による舌による形状認識食品は、口の中に入れてもすぐには溶けにくい食物基材にて文字又は図形として認識可能な立体的形状体を形成し、この立体的形状体を、この立体的形状体が視覚で認識できないように、かつ、口の中に入れると熱や唾液ですぐに溶け易い被覆食材で被覆したことを特徴とする。
前記立体的形状体は、食物基材の一側面又は両側面に凸状又は凹状に形成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以下の効果を有する。
本発明による舌による形状認識食品を口の中に入れると、口の中では、唾液や熱でまず、被覆食材が溶ける。被覆食材が溶けても食物基材は溶けにくいので、被覆食材の中から立体的形状体が現れて、舌の先で立体的形状体の形状が文字であるとか、図形であるとかが認知される。
認知には、大脳皮質の空間位置や文字認識に関係する頭頂連合野、形などに関係する側頭連合野、言語系、前頭前野及び舌を動かすための運動連合野や運動野が活発に作用する。このことは、認知症患者、老人などの脳を活性化する意味でも非常に意味がある。
また、幼児がひらがな、カタカナ、アルファベットなどの文字、花、動物、その他の図形などを舌を使って覚えることができ、学習効果も期待できる。
さらに、トローチなどの錠剤を口の中で文字や図形を認識しながらゆっくり溶かして使用する薬に応用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による舌による形状認識食品は、口の中に入れてもすぐには溶けにくい食物基材にて文字又は図形として認識可能な立体的形状体を形成し、この立体的形状体を、この立体的形状体が視覚で認識できないように、かつ、口の中に入れると熱や唾液ですぐに溶け易い被覆食材で被覆し、ビスケットなどの菓子として構成する。
前記立体的形状体は、食物基材の一側面又は両側面に凸状又は凹状に形成する。また、食物基材が立体的形状体そのものであってもよい。
菓子以外に、サプリメント、薬などの錠剤とすることもできる。
【実施例1】
【0008】
本発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1において、10は、飴、ゼリー、ビスケットなど、口の中に入れてもすぐには溶けにくい食物基材である。この食物基材10の一側面には、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットなどの文字、花、動物、その他の図形などの立体的形状体11が一体的に突出して形成されている。
この立体的形状体11は、チョコレート、アイスクリーム、糊状物のような立体的形状体11が視覚で認識できないように、かつ、口の中に入れると熱や唾液ですぐに溶け易い食物基材からなる被覆食材12で被覆する。
【実施例2】
【0009】
図2は、食物基材10に、立体的形状体11を一体的に凹ませて形成し、その上に被覆食材12を被覆した例を示している。
【実施例3】
【0010】
図3は、食物基材10の両面に、2文字の用語や熟語になるような異なる立体的形状体11を形成し、それぞれの立体的形状体11を被覆食材12で被覆した例を示している。
【0011】
図1、図2及び図3において、食物基材10と立体的形状体11は別の食材とし、立体的形状体11を食物基材10に形成してもよい。
【実施例4】
【0012】
図4は、食物基材10で立体的形状体11を形成し、全体を被覆食材12で被覆した例を示している。
【0013】
以上のように構成した舌による形状認識食品を口の中に入れると、口の中では、唾液や熱でまず、被覆食材12が溶ける。被覆食材12が溶けても食物基材10は溶けにくいので、被覆食材12の中から立体的形状体11が現れて、舌の先で立体的形状体11の形状が文字であるとか、図形であるとかが認知される。
認知には、大脳皮質の空間位置や文字認識に関係する頭頂連合野、形などに関係する側頭連合野、言語系、前頭前野及び舌を動かすための運動連合野や運動野が活発に作用する。このことは、認知症患者、老人などの脳を活性化する意味でも非常に意味がある。
また、幼児がひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットなどの文字、花、動物、その他の図形などを舌を使って覚えることができ、学習効果も期待できる。
さらに、サプリメントやトローチなどの錠剤を口の中でゆっくり溶かして使用する薬などにも同様の構成とすることもできる。
【0014】
前記実施例において、立体的形状体11が食物基材10及び被覆食材12と異なる味とすることで、舌の先での立体的形状体11の形状の認知がより明確になる。
また、立体的形状体11の上端部分などの一部にだけ他とは異なる味とすることで、文字や図形の上端位置を判別できるようにすることもできる。
前記実施例では、舌による形状認識食品の形状を円盤状としたが、4角、3角、球体などどのような形状であってもよい。
本発明による舌による形状認識食品は、1個ずつ立体的形状体11に異なる文字を形成して複数個で1つの言葉が出来上がるような組み合わせを作り、複数の人で1つの言葉を完成させるようなクイズとして使用できる。例えば、3人で「お」「正」「月」の言葉を完成させるようなクイズとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による舌による形状認識食品の実施例1を示すもので、(a)は、被覆食材12を除いた斜視図、(b)は、縦断面図である。
【図2】本発明による舌による形状認識食品の実施例2を示すもので、(a)は、被覆食材12を除いた斜視図、(b)は、縦断面図である。
【図3】本発明による舌による形状認識食品の実施例3を示すもので、(a)は、被覆食材12を除いた正面図、(b)は、縦断面図、(c)は、背面図である。
【図4】本発明による舌による形状認識食品の実施例4を示すもので、(a)は、被覆食材12を除いた斜視図、(b)は、縦断面図である。
【符号の説明】
【0016】
10…食物基材、11…立体的形状体、12…被覆食材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口の中に入れてもすぐには溶けにくい食物基材にて文字又は図形として認識可能な立体的形状体を形成し、この立体的形状体を、この立体的形状体が視覚で認識できないように、かつ、口の中に入れると熱や唾液ですぐに溶け易い被覆食材で被覆したことを特徴とする舌による形状認識食品。
【請求項2】
立体的形状体は、食物基材の側面に凸状に形成したことを特徴とする請求項1記載の舌による形状認識食品。
【請求項3】
立体的形状体は、食物基材の側面に凹状に形成したことを特徴とする請求項1記載の舌による形状認識食品。
【請求項4】
立体的形状体は、食物基材の両面に形成したことを特徴とする請求項1記載の舌による形状認識食品。
【請求項5】
食物基材が全体で立体的形状体を構成していることを特徴とする請求項1記載の舌による形状認識食品。
【請求項6】
立体的形状体の一部または全部に、食物基材及び被覆食材と異なる味をつけたものからなることを特徴とする請求項1記載の舌による形状認識食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−153489(P2009−153489A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337740(P2007−337740)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(507037552)有限会社能力開発促進研究所 (2)
【Fターム(参考)】