説明

舗装材および舗装材の製造方法

【課題】真砂土本来の形状を維持したまま舗装材を製造する方法と、透水性に優れるため、舗装面の温度を低下させることが可能な舗装材を提供する。
【解決手段】舗装材1は、外周部に突起2を有する形状の真砂土3の外周に、真砂土3よりも粒径の小さい固化材4が付着した構造を有している。この舗装材1は、掘削された真砂土3をふるいにかける工程と、真砂土3を6ヶ月以上天日で乾燥する工程と、真砂土3よりも粒径の小さい固化材4を真砂土3と混合する工程とを有する製造方法によって製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透水性に優れ、表面温度を低く保つことが可能な舗装材とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の道路においては、アスファルトやコンクリートによる舗装が普及しているが、アスファルトやコンクリートで舗装すると、照り返しによる温度上昇が生じ、特に都会においては、ヒートアイランド現象による弊害が問題になっている。
【0003】
このような状況に対応するために、真砂土を使用した舗装材が開発され、これに関する技術が、特許文献1に記載されている。これによると、アスファルトやコンクリートを用いた場合と比べて、透水性に優れるとともに、塗装面が常に乾燥した状態で維持されるため、雑草の生育を抑制することができるとされている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−194709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された舗装材は、真砂土が乾燥炉において回転されて、真砂土全体がほぼ均一に乾燥される工程を経て製造されるものであるため、回転時に真砂土が摩耗して、真砂土本来の、外周部に突起を有する形状を維持することが困難である。そのため、乾燥後の真砂土を固化材と混合したときに、混合後の舗装材は稠密な構造となり、地面に敷設して転圧したときに、舗装部分に水分がしみこみにくい構造となりやすい。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、真砂土本来の形状を維持したまま舗装材を製造する方法と、この製造方法により製造された舗装材であって、透水性に優れるため、舗装面の温度を低下させることが可能な舗装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明の舗装材は、外周部に突起を有する形状の真砂土の外周に、前記真砂土よりも粒径の小さい固化材が付着した構造であることを特徴とする。
【0008】
真砂土本来の形状である、外周部に突起を有する形状が保たれた状態で、その外周に、前記真砂土よりも粒径の小さい固化材が付着した構造であるため、舗装材は稠密な構造とはならず、舗装材を通って水分が浸透しやすい。そのため、舗装材に浸透した水分が適宜蒸発することにより、舗装面の温度を低下させることが可能となる。
【0009】
本発明の舗装材においては、真砂土の粒径が、1mm以上5mm以下であることが好ましい。
真砂土の粒径が1mm未満であると、真砂土に固化材が付着した状態が稠密な構造となりやすく、透水性が損なわれるため好ましくない。また、真砂土の粒径が5mmを超えると、舗装材として使用したときに舗装表面が粗くなり、表面が崩れやすくなり、ひび割れを生じやすい。また、舗装表面の凹凸が大きくなることから、歩行者が歩きにくくなるとともに、美観上も好ましくない。
【0010】
本発明の舗装材においては、前記真砂土に対して、前記固化材は5重量%以上45重量%以下の割合で付着していることが好ましい。
固化材の付着の割合が5重量%未満であると、固化する機能が低下して、舗装材として使用しにくくなる。また、固化材の付着の割合が45重量%を超えると、真砂土に固化材が付着した状態が稠密な構造となりやすく、透水性が損なわれるため好ましくない。
【0011】
本発明の舗装材の製造方法は、掘削された真砂土をふるいにかける工程と、前記真砂土を6ヶ月以上天日で乾燥する工程と、前記真砂土よりも粒径の小さい固化材を前記真砂土と混合する工程とを有することを特徴とする。
【0012】
真砂土は6ヶ月以上の期間、天日で乾燥されるため、乾燥炉において回転されて乾燥される場合と異なり、乾燥過程において真砂土が摩耗することがなく、真砂土本来の、外周部に突起を有する形状を維持することができる。そのため、固化材を真砂土と混合したときに、稠密な構造とならず、地面に敷設して転圧したときに、舗装部分に水分が浸透しやすい舗装材を製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、真砂土本来の形状を維持したまま舗装材を製造する方法を実現し、透水性に優れ、舗装面の温度を低下させることが可能な舗装材を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明をその実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る舗装材の構造の一例を示す。
図1において、舗装材1は、外周部に突起2を有する形状の真砂土3の外周に、真砂土3よりも粒径の小さい固化材4が付着した構造を有している。
【0015】
真砂土3は、花崗岩が風化して形成されたものであり、本来の構造は球体状ではなく、表面に突起2を有する構造である。舗装材1は、後述する製造方法によって、真砂土3の本来の形状である、突起2を有する形状を維持したまま、真砂土3よりも粒径の小さい固化材4が付着した構造となっている点に大きな特徴がある。
固化材4としては、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、鉄アルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム等を含むものを使用することができる。
【0016】
以下に、本発明の実施形態に係る舗装材の製造方法について説明する。
真砂土3を掘削して採取し、これをふるいにかけて、真砂土3の粒径が1mm以上5mm以下で所定の粒径分布を有するものを選別する。ここで、真砂土3の粒径とは、図1に示す突起2の部分を含む、真砂土3の最大径を意味する。その後、この真砂土3を温室に移動し、6ヶ月以上天日により乾燥させる。
【0017】
この工程により充分に乾燥された真砂土3を、固化材4と混合する。このとき、真砂土3に対して、固化材4が5重量%以上45重量%以下の割合で付着するようにする。真砂土3は充分に乾燥されているため、固化材4と混合する際に塊とならず、真砂土3に対して固化材4が均等に付着するようになる。また、乾燥炉内で回転操作を行って乾燥する方法と異なり、温室内に放置したまま、天日により乾燥させているため、乾燥工程において真砂土3が摩耗することがなく、真砂土3本来の形状を維持したまま、固化材4を付着させることができる。
このようにして製造された舗装材1は、現地に搬送されて、従来の工法に従って舗装工事がなされる。
【0018】
図2に、本発明の実施形態に係る舗装材を用いて舗装したものと、コンクリート、アスファルトを用いて舗装したものとを比較した、舗装表面温度の測定データを示す。
図2(a)は、晴天日が連続した後の1日について、日射量と気温とともに、それぞれの舗装表面における温度変化を示しており、図2(b)は、前日が雨天であった後の晴天日について、同様に、それぞれの舗装表面における温度変化を示している。図2において、真砂土・表面(℃)と示すものが、本発明の舗装材を用いた舗装表面温度である。
【0019】
図2(a)と図2(b)との比較から明らかなように、雨天後の晴天日においては、本発明の舗装材を用いたものは、舗装表面の温度の低下が顕著である。これは、本発明の舗装材を用いて舗装を行うと、透水性が優れているために、雨天時に浸透した水分が蒸発することによって温度が低く維持されているからである。このように、本発明の舗装材を用いると、いわゆるヒートアイランド現象を有効に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、透水性に優れ、舗装面の温度を低下させることが可能な舗装材として利用することができ、ヒートアイランド現象を防止する手段として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る舗装材の構造の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る舗装材を用いて舗装したものと、コンクリート、アスファルトを用いて舗装したものとを比較した、舗装表面温度の測定データを示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 舗装材
2 突起
3 真砂土
4 固化材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に突起を有する形状の真砂土の外周に、前記真砂土よりも粒径の小さい固化材が付着した構造であることを特徴とする舗装材。
【請求項2】
前記真砂土の粒径は、1mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の舗装材。
【請求項3】
前記真砂土に対して、前記固化材は5重量%以上45重量%以下の割合で付着していることを特徴とする請求項1または2記載の舗装材。
【請求項4】
掘削された真砂土をふるいにかける工程と、前記真砂土を6ヶ月以上天日で乾燥する工程と、前記真砂土よりも粒径の小さい固化材を前記真砂土と混合する工程とを有する舗装材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−138613(P2010−138613A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316356(P2008−316356)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(597089059)ヘツギ土木緑地建設株式会社 (1)
【Fターム(参考)】