説明

航法データ更新通知システム及び方法

【課題】衛星航法補強システムに採用することにより、地上システムと機上システムとで使用する航法データを一致させて測位精度の悪化を回避して安全性を図る。
【解決手段】衛星から受信したレンジング信号に含まれる誤差を推定し、その誤差を修正するための補正情報をフォーマッティングして送信する地上システムと、前記測位衛星から受信したレンジング信号と、前記フォーマッティングされた補正情報とに基づいてディファレンシャルGPS測位演算し規定ルートからの変位を表示する機上システムとを有し、前記地上システムは、前記補正情報を生成する際に使用したSBAS航法データが更新された際に航法データの更新を前記補正情報に付加して通知する。前記機上システムは、前記送信される前記SBAS航法データ更新の通知を検出し、前記更新されたSBAS航法データに切り替えて前記ディファレンシャルGPS測位演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星航法補強システム(GBAS;Ground Based Augmentation System)を構成する地上システムと機上システムとで使用するSBASデータが異なることに起因する測位精度の悪化を回避して安全性の向上を図る航法データ更新通知システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4以上の測位衛星を例えば飛行機などの飛翔体の航法に使用するシステムが運用されている(特許文献1〜4)。
【0003】
飛翔体が航空機である場合、高い安全性と信頼性が要求される。これらの要求に応えるには、精度,完全性,サービスの継続性及び利用可能性が必要であるが、GPS衛星を使った航法システムでは前記4つの要件を満足できないものであり、補強システムが必要となる。
【0004】
前記補強システムとして地上補強型衛星航法システム(GBAS;Ground Based Augmentation System)が提案されている。前記GBASは、地上システムと機上システムと測位衛星(GPS衛星やSBAS衛星)とから構成される。地上システムでは、空港内に設置された複数の基準局にて前記測位衛星からのデータを収集し、測位衛星からのレンジング信号に含まれる誤差を推定して、機上システムに送信する。機上システムでは、地上システムから受信した補正データを使用して、機上システムで受信したレンジング信号を補正することによりディファレンシャル測位を行い、規定飛行ルートからの変位を算出してパイロットに提供する。
【0005】
SARPs Annex10(International Standards and Recommended Practices:以下、SARPsと呼ぶ)にGBAS Type1データ仕様が記載されている。ここで、SARPs Annex10は、国際民間航空機関ICAO(International Civil Aviation Organization)が発行する電波航法装置に関する国際標準である。前記仕様に基づいて標準的な設計方法で生成されたGBAS Type1データを用いる場合、地上システムがGBAS Type1データを生成する際に使用したSBAS航法データを、機上システム側で知ることができない。
【0006】
このため、SBAS航法データが更新されたタイミングでは、地上システムがGBAS Type1データを生成する際に使用したものとは異なるSBAS航法データを、機上システムが測位に使用してしまう。SBAS航法データはSBAS衛星の衛星位置や時計補正量の計算に使用するデータであるため、地上システムと機上システムとで異なるデータを使用することは、測位精度の悪化につながる。GBASは航空機の航法に使用されるシステムであるため、測位精度の悪化は人命に係わる可能性があり、回避する必要がある。
【0007】
前記ディファレンシャル補正を精度よく行うためには、地上システムが補正データを生成した際に使用するSBAS航法データと、機上システムが測位に使用するSBAS航法データが一致している必要がある。
【0008】
地上システムから機上システムへ送信するGBAS Type1データにはレンジング信号に対する補正データを格納するフィールド、完全性に関する情報を格納するフィールド、および地上システムが補正データを生成した際に使用した航法データを特定するためのIODフィールドと呼ばれるフィールド等がある。
【0009】
SARPsの規定では補正対象衛星がGPS衛星であるとき、前記IODフィールドにはGPS航法データ内のIODEを設定することとなっており、これにより機上システムは地上システムが使用したGPS航法データの特定を行うことができる。これに対して、SARPsの規定では補正対象衛星がSBAS衛星であるとき、前記IODフィールドには全て1(1111 1111)を設定することとなっている。このため、補正対象衛星がSBAS衛星であるとき、機上システムは、地上システムが使用したSBAS航法データを特定することができない。
【0010】
前記課題を解決するために特許文献1の航法システムを応用することが考えられる。
【特許文献1】特開2000−275317号公報
【特許文献2】特開2003−18061号公報
【特許文献3】特開平5−234000号公報
【特許文献4】特開2004−198291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1はGPS衛星のみを用いたGPS航法システムを利用した広域測位システムを対象とするものであり、特許文献2では、地上システムから補正データを航空機に向けて送信し、航空機が前記補正データを受信して正確に自機の位置を決定するものである。
【0012】
上述したように特許文献1では、GPS衛星のみを使用したシステムであって、情報を受信する対象となる衛星がGPS衛星に限られており、本発明にて提案しているシステムのように種類の異なる衛星を使用して航法をコントロールするものではなく、SBAS衛星の航法データの更新を監視する必要がない。したがって、特許文献1では、地上システムから送信する補正データに付加して、SBAS航法データが更新されたことを通知する必要がない。
【0013】
したがって、特許文献1の技術をGBAS地上システムとGBAS機上システムとからなるGBASシステムにそのまま適用した場合、SBAS衛星が放送しているSBAS航法データが更新されたタイミングでは、地上と機上とでSBAS航法データの更新タイミングのずれによるSBAS候補データの不一致が発生してしまい、測位誤差の悪化を来す虞がある。
【0014】
本発明の目的は、衛星航法補強システム(GBAS;Ground Based Augmentation System)に採用することにより、地上システムと機上システムとで使用する航法データを一致させて測位精度の悪化を回避して安全性の向上を図る航法データ更新通知システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するため、本発明に係る航法データ更新通知システムは、測位衛星としてGPS衛星とSBAS衛星とを使用し、前記測位衛星からの情報を航法に利用する衛星航法補強システムに装備するSBAS衛星の航法データ更新通知システムであって、
前記測位衛星から受信したレンジング信号に含まれる誤差を推定し、その推定した誤差を修正するための補正情報をフォーマッティングして送信する地上システムと、
前記フォーマッティングされた補正情報と、前記SBAS衛星から受信した航法データとに基づいてディファレンシャルGPS測位演算し規定ルートからの変位を表示する機上システムとを有し、
前記地上システムは、前記補正情報を生成する際に使用したSBAS衛星の航法データが更新された際に航法データの更新を前記補正情報に付加して通知する通知手段を有し、
前記機上システムは、前記地上システムから送信される前記SBAS衛星の航法データ更新の通知を検出する検出手段と、前記SBAS衛星の航法データ更新の通知を検出した際に更新された航法データに切り替えて前記ディファレンシャルGPS測位演算する演算手段とを有することを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る航法データ更新通知方法は、測位衛星としてGPS衛星とSBAS衛星とを使用し、前記測位衛星から提供される情報を航法に利用する衛星航法補強システムにおける航法データ更新通知方法であって、
前記衛星から受信したレンジング信号に含まれる誤差を推定し、その推定した誤差を修正するための補正情報をフォーマッティングして、前記補正情報を生成する際に使用した航法データが更新された際に航法データの更新を前記補正情報に付加し、これらの情報を地上システムから機上システムに通知し、
前記機上システム側において、前記地上システムから送信される前記航法データ更新の通知を検出し、前記航法データ更新の通知を検出した際に更新された航法データに切り替えてディファレンシャルGPS測位演算することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、地上システムが使用するSBAS航法データと機上システムが使用するSBAS航法データとを一致させ、地上システムと機上システムとで使用するSBAS航法データが異なることに起因する測位精度の悪化を回避して安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
【0019】
本発明の実施形態に係る航法データ更新通知システムは図1に示すように、SBAS衛星1とGPS衛星41〜4nとから提供される情報とを航法に利用する衛星航法補強システムに装備する航法データ更新通知システムであって、基本的な構成として、前記衛星から受信したレンジング信号D2に含まれる誤差を推定し、その推定した誤差を修正するための補正情報をフォーマッティングして送信する地上システム2と、前記レンジング信号と前記フォーマッティングされた補正情報とに基づいてディファレンシャルGPS測位演算し規定ルートからの変位を表示する機上システム3とを有している。
【0020】
さらに、前記地上システム2は、前記補正情報を生成する際に使用したSBAS衛星の航法データが更新された際に航法データの更新を前記補正情報に付加して通知する通知手段を有し、前記機上システム3は、前記地上システムから送信される前記航法データ更新の通知を検出する検出手段と、前記航法データ更新の通知を検出した際に更新された航法データに切り替えて前記ディファレンシャルGPS測位演算する演算手段とを有している。
【0021】
本発明の実施形態においては、衛星から受信したレンジング信号に含まれる誤差を推定し、その推定した誤差を修正するための補正情報をフォーマッティングして、前記補正情報を生成する際に使用した航法データが更新された際に航法データの更新を前記補正情報に付加し、これらの情報を地上システムから機上システムに通知し、前記機上システム側において、前記地上システムから送信される前記航法データ更新の通知を検出し、前記航法データ更新の通知を検出した際に更新された航法データに切り替えてディファレンシャルGPS測位演算する。
【0022】
次に図1に示すように、測位衛星としてGPS衛星41〜4nと、SBAS衛星1とを用いたGBAS(Ground Based Augmentation System)に本発明の実施形態を適用した例に基づいて本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。
【0023】
図1に示す本発明の実施形態では、GPS衛星やSBAS衛星を航空機の航法に使用するための補強システムであるGBASシステムにおいて、GBAS地上システム2にSBAS航法データの更新タイミングを通知する機能を追加し、さらにGBAS機上システム3に地上システム2からの更新通知を検出する機能とを追加することにより、地上システム2が前記補正情報を生成する際に使用するSBAS航法データと機上システム3が使用するSBAS航法データとを一致させ、地上システム2と機上システム3とで使用するSBAS航法データが異なることに起因する測位精度の悪化を回避して安全性の向上を図るものである。ここに、前記SBAS航法データは、SBAS衛星が放送している航法データであり、SBAS衛星の位置および時計誤差を算出するために使用されるものである。
【0024】
図1において、GBAS地上システム2は、SBAS衛星1からのSBAS航法データD1,GPS衛星41〜4nからのGPS航法データD3及びSBAS衛星、GPS衛星からのレンジング信号D2を受信し、レンジング信号D2に含まれる誤差を推定してGBAS Type1データD8としてGBAS機上システム3に送信する。SBAS航法データが更新されたときには、更新を通知する必要があるため、地上システム2はSBAS航法データ更新を通知する通知手段(222)を有している。
【0025】
前記通知手段は、図2に示すGBASType1データの補正情報部D83の先頭である補正情報部#1フィールドD831を利用して、SBAS航法データ更新通知を行っている。具体的には前記通知手段2は、補正情報部#1フィールドD831に、SBAS航法データの更新がないときにはGPS衛星に対する補正情報をセットし、SBAS航法データが更新された時のみSBAS衛星に対する補正情報をセットすることにより、SBAS航法データが更新されたことの通知を行っている。
【0026】
機上システム3は、地上システム2から受信したGBAS Type1データD8を使用して、SBAS衛星及びGPS衛星からのレンジング信号D2に含まれる誤差をディファレンシャル補正して測位演算を行い、高精度で自位置を算出している。測位演算を行う際に、地上システム2がGBAS Type1データD8を生成する際に使用したSBAS航法データと同一のSBAS航法データを使用する必要があるため、機上システム3は、SBAS航法データ更新通知を検出する検出手段(321,322)と、演算手段(323)とを有している。前記検出手段は、地上システム2から受信したGBAS Type1データD8の補正情報部#1フィールドD831がSBAS衛星に対する補正情報であるとき、地上システム2が使用するSBAS航法データが更新されたと判断し、更新通知を検出する。さらに前記検出手段は、新旧2世代のSBAS航法データを管理し、機上システム3が受信したSBAS航法データが更新されても、更新通知を検出するまでの期間中に旧世代のSBAS航法データを前記演算手段に送る。
【0027】
前記検出手段は更新通知を検出すると、新世代のSBAS航法データを前記演算手段に送り、旧世代のSBAS航法データを廃棄する。前記演算手段は、航法データ管理機能から入力されたSBAS航法データを用いてディファレンシャルGPS測位演算し、規定ルートからの変位を算出する。測位演算結果および規定ルートからの変位は機上表示装置33にて表示され、パイロットに提供される。
【0028】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、地上システム2が補正情報(GBAS Type1データD8)を生成する際に使用したSBAS航法データと、機上システム3が測位に使用するSBAS航法データとを一致させることができ、使用するSBAS航法データの不一致に起因する測位誤差の悪化を回避することができる。
【0029】
次に、本発明の実施形態を、図1に示すGPS衛星やSBAS衛星を航空機の航法に使用するGBASシステムに適用した例を実施形態1として説明する。
【0030】
本発明の実施形態1に係る航法データ更新通知システムは図1に示すように、SBAS衛星1と、GBAS地上システム2と、GBAS機上システム3と、GPS衛星41〜4nとを含んでいる。
【0031】
SBAS衛星1は静止衛星であり、SBAS航法データD1とレンジング信号D2とを放送している。SBAS航法データD1は、SBAS衛星1の位置及び時計誤差を算出するために使用されるデータである。レンジング信号D2は、SBAS衛星1とユーザとの擬似距離を測定するための信号である。この測定した距離は擬似距離と呼ばれる。ここに、前記ユーザとしては、航空機等に搭載されて移動する機上システム3が該当する。レンジング信号D2から測定した擬似距離には、衛星軌道誤差,衛星クロック誤差,信号が電離層や対流圏を通過してくるときに生じる電離層遅延誤差,対流圏遅延誤差が含まれる。
【0032】
GPS衛星41〜4nはGPS航法データD3とレンジング信号D2とを放送している。航法データD3とレンジング信号D2は、前記SBAS衛星1から放送されるSBAS航法データD1とレジング信号D2と同様のものである。
【0033】
GBAS地上システム2は、基準局211〜21nと、補正データ生成装置22と、データ送信装置23とを含んでいる。
【0034】
基準局211〜21nは、SBAS衛星1から放送されるSBAS航法データD1及びレンジング信号D2、GPS衛星41〜4nから放送されるGPS航法データD3及びレンジング信号D2をそれぞれアンテナ21aで受信し、その受信信号を受信機21bにより補正データ生成装置22に送る。前記受信信号には、SBAS航法データD1,レンジング信号D2,GPS航法データD3が含まれる。
【0035】
補正データ生成装置22は、補正値生成ユニット221と、SBAS航法データ更新通知ユニット222とを含んでいる。補正値生成ユニット221は、各衛星1,41〜4nから放送される航法データD1,D3とレンジング信号D2とに基づいて、各衛星1,41〜4nのレンジング信号D2に含まれる誤差の推定を行う。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、SBAS衛星1から放送されるSBAS航法データD1が更新されたとき、この更新を通知するための情報をGBAS Type1データD8へ付加する。この更新を通知するための情報の生成方法については後述する。データ送信装置23は、補正データ生成装置22が生成したGBAS Type1データD8をデジタル変調してVHF帯にてGBAS機上システム3へ送信する。
【0036】
GBAS機上システム3は航空機等に搭載されて移動するものであり、データ受信装置31と、機上演算装置32と、機上表示装置33とを含んでいる。
【0037】
データ受信装置31は、VHFアンテナ311と、Lバンドアンテナ312と、受信機313とを含んでいる。VHFアンテナ311が、GBAS地上システム2から送信されるGBAS Type1データD8を受信する。Lバンドアンテナ312が、SBAS衛星1及びGPS衛星41〜4nから放送される航法データD1,D3及びレンジング信号D2を受信する。受信機313は、アンテナ311と312で受信した信号データを機上演算装置32へ送る。
【0038】
機上演算装置32は、SBAS航法データ更新通知検出ユニット321と、航法データ管理ユニット322と、測位演算ユニット323とを含んでいる。
【0039】
SBAS航法データ更新通知検出ユニット321はGBAS地上システム2から送信されるSBAS航法データ更新通知(GBAS Type1 データD8)を検出し、SBAS航法データ更新通知を検出したことを示す更新通知D9を航法データ管理ユニット322へ送る。航法データ管理ユニット322は、データ受信装置31から送られるSBAS航法データD1及びGPS航法データD3を入力し、新旧2世代のSBAS航法データD1を管理する。新旧2世代の航法データD1には、前回のSBAS航法データ更新通知がされた際のSBAS航法データD1と、データ受信装置31で受信した最新のSBAS航法データD1とが含まれる。そして、航法データ管理ユニット322は、Lバンドアンテナ312で受信したSBAS航法データD1と、SBAS航法データ更新通知検出ユニット321から送られる更新通知D9とに基づいて、使用すべきSBAS航法データD1を判断し、その判断したSBAS航法データD1を測位演算ユニット323に送る。測位演算ユニット323は、データ受信装置31で受信したSBAS衛星1およびGPS衛星41〜4nからのレンジング信号D2とGPS衛星からのGPS航法データD3と、データ受信装置31で受信したGBAS地上システム2から送信されたGBAS Type1 データD8と、航法データ管理ユニット322から送られるSBAS航法データD1を用いてディファレンシャルGPS測位演算を行い、機上システム3を搭載した航空機等の規定のルートに対する変位を算出する。
【0040】
機上表示装置33は、機上演算装置32が算出した測位演算結果D10及び規定ルートからの変位D11を画面に表示し、必要な情報をパイロットに提供する。ここに、変位D11は、上述した機上システム3を搭載した航空機等の規定のルートに対する変位である。
【0041】
次に、本発明の実施形態1に係る航法データ更新通知システムの動作について詳細に説明する。本発明の実施形態1に係る航法データ更新通知システムは基本的な構成として、GBAS地上システム2からGBAS機上システム3にSBAS航法データ更新の通知を行い、その通知をGBAS機上システム3側で検出して、地上システム2と機上システム3で使用するSBAS航法データを一致させている。以下では、具体的に説明する。
【0042】
基準局211〜21nの受信機21bは、SBAS衛星1及びGPS衛星41〜4nから放送されてアンテナ21aで受信したレンジング信号D2に基づいて衛星1,41〜4nと基準局211〜21nとの間の擬似距離D4を測定し、その測定した擬似距離D4を、SBAS衛星1から放送されて受信したSBAS航法データD1、GPS衛星41〜4nから放送されて受信したGPS航法データD3とともに補正データ生成装置22へ送る。
【0043】
補正データ生成装置22の補正値生成ユニット221は、幾何学的に衛星1,41〜4nと基準局211〜21nとの間の距離を算出し、その算出した距離と前記擬似距離D4とを用いて、擬似距離D4に含まれる誤差の推定を行い、その推定した誤差を修正するために必要な擬似距離補正値D5を決定する。補正値生成ユニット221は、航法データD1,D3から算出した衛星1,41〜4nの位置と、既知の基準局211〜21nの位置とに基づいて、前記幾何学的な距離を算出する。その算出方法は一般的であるため、その詳細な説明を省略する。
【0044】
補正値生成処理ユニット221は、複数の基準局211〜21nにて共通に観測される全ての衛星1,41〜4nについて擬似距離補正値D5を算出し、その算出データをSBAS航法データ更新通知ユニット222に送る。補正値生成処理ユニット221は、擬似距離補正値D5を送る際に、前記擬似距離補正値D5を算出する際に使用したSBAS航法データD1の識別子D6及びGPS航法データD2の識別子D7を付加して、これらをSBAS航法データ更新通知ユニット222に送る。実際のGBASでは擬似距離補正値D5以外に、いくつかの情報を生成する必要があるが、それらの生成処理は本発明とは関連がないので、その説明を省略する。
【0045】
SBAS航法データ更新通知ユニット222はSARPsの規定に則り、SBAS航法データが更新されたときにその更新をGBAS機上システム3に通知することが可能なように、補正値D5をフォーマッティングしてGBAS Type1データD8を作成し、そのデータD8をデータ送信装置23に送る。SBAS航法データ更新通知ユニット222がGBAS Type1データD8を利用して、SBAS航法データ更新を通知する場合を図2および図3を用いて示す。
【0046】
まず、GBAS Type1データD8の概要を説明する。図2に、SARPsで既定されているGBAS Type1データD8の内容を示す。GBAS Type1データD8は図2に示すように、メッセージ情報部D81,低頻度データ部D82及び補正情報部D83に大分類される。補正情報部D83は最大18個の衛星1,41〜4nについての補正情報を含めることができる。補正情報の内容については後述する。図2では、SBAS航法データ更新通知ユニット222が、n個の衛星についての前記補正情報を送っていると仮定し、前記補正情報を含めるための領域として補正情報部#1 D831〜補正情報部#n D83nを設定している。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、補正情報部#1 D831に、図2に示すような9種類のデータD831a〜D831iを含める。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、Ranging Source IDフィールドD831aに、前記補正情報部#1 D831に含まれる前記補正情報の対象である衛星のPRN番号(衛星番号)をセットする。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、IODフィールドD831bに、GPS衛星に対する前記補正情報を送るときに補正値生成ユニット221から受信したGPS航法データに対する識別子D7を、SBAS衛星に対する前記補正情報を送るときに全て1 (1111 1111)をセットする。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、PRCフィールドB831cに、補正値生成ユニット221により算出された擬似距離補正値(補正情報)D5をセットする。その他のデータフィールドは本発明とは関係がないので、説明を省略する。
【0047】
次に、低頻度データ部D82と補正情報部D83との関係について説明する。低頻度データ部D82としては1個の衛星に対する領域しか設定されておらず、SBAS航法データ更新通知ユニット222は、低頻度データ部D82に、補正情報部D83の先頭である補正情報部#1 D831の衛星に関する情報を格納する。以降、補正情報部D83の先頭データである補正情報部#1 D831を先頭補正情報部と呼ぶ。複数の衛星に対する低頻度データを送信するため、SBAS航法データ更新通知ユニット222は、補正情報部D83の情報を、各衛星が順番に先頭補正情報部に入るようにローテーションする。また、航法データが更新された衛星に対しては、他の衛星よりも優先して低頻度データを送る必要があるため、SBAS航法データ更新通知ユニット222は、通常のローテーションに割り込みをかけて、航法データが更新された衛星を先頭補正情報部#1 D831に入れる。この様子を示したのが図3である。図3の例では、5個のGPS衛星41,42,43,44,45と、1個のSBAS衛星1とが観測されている場合を図示している。図3では、GPS衛星41をGPS1、GPS衛星42をGPS2、GPS衛星43をGPS3、GPS衛星44をGPS5、GPS衛星45をGPS5として表記している。また、SBAS衛星を129として表記している。
【0048】
図3では、GPS衛星が5つとSBAS衛星が1つ観測されていて、時刻t3でGPS5に対する航法データが更新された状況を示している。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、先頭補正情報部#1 D831に入れる衛星を先頭レンジングソースのキューにより管理し、時刻t0〜t2では、どの衛星に対しても航法データの更新がないため、GPS1,GPS2,GPS3の順番に先頭補正情報を格納する。そして、SBAS航法データ更新通知ユニット222は、先頭補正情報となった衛星を次の時刻にキューの最後尾に入れ、全衛星が先頭となった後に再度先頭となるようにする。ここで、本実施形態では、SBAS衛星に対する補正は、このローテーションに含めない。これは後述するSBAS航法データの更新通知に先頭補正情報部#1 D831を使用するためである。
【0049】
時刻t3でGPS5の航法データが更新されると、SBAS航法データ更新通知ユニット222は、キューの先頭3つ分にGPS5を割り込ませ、GPS5が3回連続で先頭補正情報となるようにする。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、GPS衛星に対する航法データが更新されたことの判断を、補正値生成ユニット221から受け取った、GPS航法データ識別子D7により行う。3回連続で先頭とするのは、GPS航法データ更新時のSARPsの規定からである。GPS5が3つ存在する状態となったキューを、各衛星が1つずつ存在する通常のキューに戻すため、SBAS航法データ更新通知ユニット222は、時刻t4,t5では1つ前の時刻にキューの先頭にあったGPS5をキューの最後に戻さず排除する。
【0050】
次に、SBAS衛星の航法データであるSBAS航法データが更新された場合のSBAS航法データ更新通知ユニット222による処理について説明する。図4は先の例と同様にGPS衛星が5つとSBAS衛星が1つ観測されている場合である。図4では、GPS衛星41をGPS1、GPS衛星42をGPS2、GPS衛星43をGPS3、GPS衛星44をGPS5、GPS衛星45をGPS5として表記している。また、SBAS衛星をSBAS129として表記している。
【0051】
図4に示す例は、時刻t3でSBAS航法データが更新された例である。図4中でSBAS129がSBAS衛星を表している。先の例と同様、時刻t0〜t2では、GPS1〜GPS3が順番に先頭補正情報となる。ここでも、先の例と同様SBAS衛星は通常時のローテーションに含めない。
【0052】
時刻t3でSBAS129のSBAS航法データが更新されたとき、SBAS航法データ更新通知ユニット222は、キューの先頭3つ分に、これまでローテーションに加わっていなかったSBAS衛星を割り込ませ、SBAS129が3回連続で先頭補正情報となるようにする。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、SBAS衛星に対する航法データが更新されたことの判断を、補正値生成ユニット221から受け取った、SBAS航法データ識別子D6により行う。3回連続で先頭とするのは、GBAS機上システム3が何らかの理由により、SBAS129が先頭補正情報となったGBAS Type1データD8の受信に失敗した場合を考慮した処理である。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、時刻t4〜t6では1つ前の時刻にキューの先頭にあったSBAS129をキューの最後に戻さず排除して、時刻t6でキュー内にSBAS129が存在しない通常のキューに戻させる。SBAS航法データ更新通知ユニット222は、時刻t7からは時刻t0〜t3と同様にGPS衛星だけでのローテーションを行う。
【0053】
ここで述べたようにSBAS航法データ更新通知ユニット222は、SBAS航法データが更新されたときに、SBAS衛星を先頭補正情報部とすることにより、SBAS航法データ更新の通知を行う。SBAS航法データ更新通知ユニット222が生成したGBAS Type1データD8は、データ送信装置23により、GBAS機上システム3に送られる。
【0054】
データ受信装置31には、VHFアンテナ311とLバンドアンテナ312との2つのアンテナがあり、VHFアンテナ311は地上システム2からのデータを、Lバンドアンテナ312はSBAS衛星1およびGPS衛星41〜4nからの信号をそれぞれ受信する。これら2つのアンテナ311,312により受信されたデータは、受信機313を介して機上演算装置32に送られる。
【0055】
SBAS航法データ更新通知検出ユニット321は、データ受信装置31から送られてくるGBAS Type1データD8の先頭補正情報部のRanging Source IDフィールドD831aに格納されているPRN番号からSBAS航法データ更新通知の検出を行う。SBAS航法データ更新通知検出ユニットは、前回と今回の2つのPRN番号を管理し、今回取得したPRN番号がSBAS衛星であり、かつ、前回のPRN番号と異なる場合にSBAS航法データが更新されたものと判断する。後者の条件(前回のPRN番号と異なる)は、SBAS航法データが更新された際、既述したようにGBAS地上システム2から3回連続で更新通知が送られてくるためである。SBAS航法データ更新通知検出ユニット321は、更新を検出された場合、更新通知を航法データ管理ユニット322に送る。
【0056】
次に、航法データ管理ユニット322について説明する。航法データ管理ユニット322は、新旧2世代のSBAS航法データについて図6に示す5つの状態を管理し、SBAS航法データD1の受信および更新通知D9の受信の2つをイベントとして図6の各状態間で状態遷移を行い、状態に応じて使用すべき航法データを測位演算ユニット323に送る。図5に、各状態にて発生したイベントに対する状態遷移を示す。この状態遷移について、最初に通常時の遷移について説明し、次にその他の遷移について説明する。
【0057】
まず通常時の遷移を図5に基づいて説明する。SBAS航法データが2世代とも存在しない初期状態S1でSBAS航法データを受信すると、航法データ管理ユニット322は、新世代のSBAS航法データとして登録する。このとき、航法データ管理ユニット322は、SBAS航法データ更新通知検出ユニット321から更新通知D9を受け取っていないため、新世代のデータとして登録されたSBAS航法データを使用せず、更新通知待ち状態となる。この状態で、更新通知D9を受け取ると、航法データ管理ユニット322は、状態S3に遷移し、新世代のSBAS航法データを使用可能と判断する。状態S3にて、新たにSBAS航法データを受信すると、航法データ管理ユニット322は、新たに受信したSBAS航法データを新世代のものとして登録し、それまで新世代として登録されていたSBAS航法データを旧世代に移して状態S4に遷移する。状態S4では航法データ管理ユニット322は、新世代のSBAS航法データに対する更新通知を受信していないので、旧世代のSBAS航法データの使用を継続する。状態S4にて、更新通知を受け取ると、航法データ管理ユニット322は、旧世代のSBAS航法データを廃棄し状態S3に遷移して、新世代のSBAS航法データの使用を開始する。
【0058】
次に、上で説明していないその他の遷移を図5に基づいて説明する。初期状態S1の全くSBAS航法データがない状態にて更新通知を受け取ると、航法データ管理ユニット322は、使用可能なGEO航法データがないため状態S1を継続する。状態S2にてSBAS航法データを受信すると、航法データ管理ユニット322は、更新通知待ちをしていたSBAS航法データを廃棄し、新たに受信したSBAS航法データを新世代に登録し、状態S2を継続する。状態S3にて更新通知を受け取ると、地上システム2がSBAS航法データを更新しているにもかかわらず機上システム3が新しいSBAS航法データを受信していない状態となるので、航法データ管理ユニット322は、新世代のSBAS航法データを廃棄してSBAS航法データの受信待ち状態として、状態S5に遷移する。状態S5では使用可能なSBAS航法データは存在しない。状態S5でSBAS航法データを待っている状態で更新通知を受け取ると、機上システムがSBAS航法データを受信する前に、地上システムがSBAS航法データを更新したことになるので、航法データ管理ユニット322は、待っていた航法データの受信をあきらめて、初期状態S1に戻る。状態S4にてSBAS航法データを受信すると、航法データ管理ユニット322は、新世代のSBAS航法データに対する更新通知が来る前に、さらに新しいSBAS航法データを受信したことになるので、受信したSBAS航法データを新世代に登録して、状態S2に遷移する。
【0059】
航法データ管理ユニット322は上記のような遷移により決定された状態に応じて、使用すべきSBAS航法データを測位演算ユニット323に送る。各状態にて使用する航法データは図6に示した通りである。
【0060】
次に、測位演算ユニット323について説明する。測位演算ユニット323は、受信機313から入力されたSBAS衛星1およびGPS衛星41〜4nからの擬似距離D4に対して、地上システム2から送信されたGBAS Type1データD8でディファレンシャル補正を行い、ディファレンシャルGPS測位演算を行って規定ルートからの変位を算出して、機上表示装置33に送る。測位演算ユニット323は、ディファレンシャルGPS測位演算を行う際にSBAS衛星の位置が必要になるが、このSBAS衛星の位置を計算する際、航法データ管理ユニット322から受信したSBAS航法データを使用する。機上表示装置33は、測位演算ユニット323から受け取った、測位演算結果D10および規定ルートからの変位D11を表示して情報をパイロットに提供する。
【0061】
以上説明したように本発明の実施形態1によれば、地上システムと機上システムとで使用するSBAS航法データが異なることに起因するスパイク状の測位誤差の悪化を排除できる。その理由は、GBAS地上システムにSBAS航法データの更新を通知する機能を追加し、さらにGBAS機上システムに地上システムからの更新通知を検出する機能と、新旧2世代のSBAS航法データを管理し測位に使用すべきSBAS航法データを選択する機能とを追加することにより、地上システムが使用するSBAS航法データと機上システムが使用するSBAS航法データとを一致させることを可能としたためである。
【0062】
次に、シミュレーションによって本発明の実施形態1による効果を説明する。図7は、本発明の実施形態1を適用する前の機上システムの測位シミュレーション結果を示している。図7に示すシミュレーションでは、機上システムのが機上演算装置の機能を実装したソフトウェアをPC(パーソナルコンピュータ)上で動作させて模擬している。図7では測位誤差とともに、SBAS航法データ更新タイミングもプロットしている。図7において、×はSBAS航法データ更新タイミングをプロットしたものである。
【0063】
図7には、機上演算装置32の測位演算ユニット323によるディファレンシャルGPS測位結果と既知の位置との誤差を示している。誤差の算出結果をそのままプロットすると、3本のグラフが重なってしまうため、X誤差は+3m、Z誤差は−3mオフセットさせてプロットしている。図7から明らかなように、本発明の実施形態に係る航法データ更新通知システムを適用しない場合、SBAS航法データが更新されるタイミングで測位誤差にスパイク状の測位誤差Pが見られることが分る。
【0064】
図8は、本発明の実施形態を適用してシミレーションした場合の結果を示すものであり、図7と比較して、SBAS航法データ更新タイミングでのスパイク状の測位誤差はなくなっていることが分る。図7において、×はSBAS航法データ更新タイミングをプロットしたものである。
【0065】
図7及び図8に示すシミュレーションの結果からも明らかなように、本発明の実施形態1によれば、GBAS地上システムにSBAS航法データの更新を通知する機能を追加し、さらにGBAS機上システムに地上システムからの更新通知を検出する機能と、新旧2世代のSBAS航法データを管理し測位に使用すべきSBAS航法データを選択する機能とを追加することにより、地上システムが補正データを生成する際に使用するSBAS航法データと機上システムがディファレンシャルGPS測位演算に使用するSBAS航法データとを一致させることができるため、地上システムと機上システムとで使用するSBAS航法データが異なることに起因するスパイク状の測位誤差の悪化を排除できる。
【0066】
次に、本発明の実施形態2について説明する。本実施形態2は、その構成が上述した実施形態1と同じであるが、GBAS地上システム2のSBAS航法データ更新通知ユニット222およびGBAS機上システム3のSBAS更新通知検出ユニット321の機能に若干の変更を加えている点が相違している。
【0067】
本実施形態2では、図2に示すGBAS Type1データD8のIODフィールドD83bにSBAS航法データD1に含まれる時間t0の下位8ビットを設定することにより、地上システム2と機上システム3とで使用するSBAS航法データを一致させるものである。
【0068】
SBAS航法データD1の時刻t0は、SBAS航法データD1を適用する際の規準となる時刻(元期と呼ぶ)を表すものであり、SBAS航法データD1が更新される度に値が変わるものであるため、前記時間t0を通知することができれば、地上システム2と機上システム3とで使用するSBAS航法データD1を一致させることができる。しかしながら、GBAS TypeデータD8のIODフィールドは8ビットであるのに対し、SBAS航法データD1の時間t0は13ビットあるため、そのままでは時間t0をIODフィールドD83bにセットすることはできない。
【0069】
そこで、本実施形態2では、時刻t0の下位8ビットをIODフィールドD83bにセットしている。
【0070】
本実施形態2では、13ビットある時間t0の下位8ビットのみをセットするため、下位8ビットまでは同一であるが、9ビット目以降が異なる時間t0との区別がつかなくなる。しかしながら、時間t0のLSBが16であるという信号仕様から、9ビット目以降が異なる時間t0は少なくとも4096秒だけ異なる時刻のものであり、現状のSBASで250秒程度に1度の頻度でSBAS航法データD1が更新されていることを考えると、時間t0の下位8ビットまでが同一で9ビット目以降が異なるSBAS航法データD1を同一の航法データと判断する可能性はほとんどない。但し、ここで説明した実施形態は「SBAS衛星に対するIODは全て1(1111 1111)をセットすること」というSARPs要求に反するため、SARPsを制定しているICAO(International Civil Aviation Organization)に問題提起をし、SARPs要求を変更する必要があるが、実現可能な構成である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、GPS衛星やSBAS衛星等の測位衛星を航空機の航法に利用するための補強システムであるGBASシステムにおいて、SBAS衛星を補正対象とするシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る航法データ更新通知システムを示す構成図である。
【図2】GBAS Type1データの構造を示す図である。
【図3】SBAS航法データ更新通知ユニットによる、GPS航法データが更新された場合の先頭補正情報制御を説明する図である。
【図4】SBAS航法データ更新通知ユニットによる、SBAS航法データが更新された場合の先頭補正情報制御を説明する図である。
【図5】航法データ管理ユニットによる状態遷移を説明する図である。
【図6】航法データ管理ユニットが管理する状態の説明と、各状態で測位演算ユニットが使用するSBAS航法データを示す図である。
【図7】地上システムで使用するSBAS航法データと機上システムで使用するSBAS航法データが不一致であるときの測位精度をシュミレーションした結果を示す図である。
【図8】地上システムで使用するSBAS航法データと機上システムで使用するSBAS航法データを一致させた時の測位精度をシュミレーションした結果を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 SBAS衛星
2 GBAS地上システム
3 GBAS機上システム
22 補正データ生成装置
32 機上演算装置
41〜4n GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星としてGPS衛星とSBAS衛星とを使用し、前記測位衛星からの情報を航法に利用する衛星航法補強システムに装備するSBAS衛星の航法データ更新通知システムであって、
前記測位衛星から受信したレンジング信号に含まれる誤差を推定し、その推定した誤差を修正するための補正情報をフォーマッティングして送信する地上システムと、
前記測位衛星から提供される情報と、前記フォーマッティングされた補正情報とに基づいてディファレンシャルGPS測位演算し規定ルートからの変位を表示する機上システムとを有し、
前記地上システムは、前記補正情報を生成する際に使用したSBAS衛星の航法データが更新された際に航法データの更新を前記補正情報に付加して通知する通知手段を有し、
前記機上システムは、前記地上システムから送信される前記SBAS衛星の航法データ更新の通知を検出する検出手段と、前記SBAS衛星の航法データ更新の通知を検出した際に更新された航法データに切り替えて前記ディファレンシャルGPS測位演算する演算手段とを有することを特徴とする航法データ更新通知システム。
【請求項2】
前記通知手段は、前記補正情報を送るためにフォーマッティングされたデータフィールドうち補正情報部の先頭位置に、航法データが更新されたSBAS衛星を識別する情報を割り込ませて格納し、前記補正情報を送信するものである請求項1に記載の航法データ更新通知システム。
【請求項3】
前記検出手段は、前記補正情報を送るためにフォーマッティングされたデータフィールドうち補正情報部の先頭位置に格納された情報に基づいて、SBAS衛星に対する航法データの更新通知を検出する請求項1に記載の航法データ更新通知システム。
【請求項4】
前記検出手段は、SBAS衛星の航法データを管理し、SBAS衛星から放送された航法データの受信と、前記航法データの更新通知の受信とをイベントとして航法データの切替えを行う請求項1に記載の航法データ更新通知システム。
【請求項5】
前記演算手段は、前記地上システムから送信された前記補正情報で、GPS衛星およびSBAS衛星から受信したレンジング信号から擬似距離を測定し、その測定した擬似距離に含まれる誤差にディファンレンシャル補正を行い、そのディファレンシャル補正された擬似距離と更新された航法データとに基づいて前記ディファレンシャルGPS測位演算する請求項1に記載の航法データ更新通知システム。
【請求項6】
前記通知手段は、前記補正情報を送るためにフォーマッティングされたデータフィールドに、SBAS衛星からの航法データを適用する際の規準となる時間情報を格納し、前記補正情報を送信するものである請求項1に記載の航法データ更新通知システム。
【請求項7】
前記検出手段は、前記補正情報を送るためにフォーマッティングされたデータフィールドに格納されたSBAS衛星からの航法データを適用する際の規準となる前記時間情報に基づいて、SBAS衛星からの航法データの更新通知を検出する請求項1に記載の航法データ更新通知システム。
【請求項8】
測位衛星としてGPS衛星とSBAS衛星とを使用し、前記測位衛星からの情報を航法に利用する衛星航法補強システムにおけるSBAS衛星の航法データ更新通知方法であって、
前記測位衛星から受信したレンジング信号に含まれる誤差を推定し、その推定した誤差を修正するための補正情報をフォーマッティングして、前記補正情報を生成する際に使用した航法データが更新された際に航法データの更新を前記補正情報に付加し、これらの情報を地上システムから機上システムに通知し、
前記機上システム側において、前記地上システムから送信される前記航法データ更新の通知を検出し、前記航法データ更新の通知を検出した際に更新された航法データに切り替えてGPS測位演算することを特徴とする航法データ更新通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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