説明

航空コンテナ

【課題】貨物の収容性を向上させると共に、貨物の損傷を防止することができる航空コンテナを提供すること。
【解決手段】
第1側部内面部11c3及び第2側部内面部11c4により内部空間S側から外方へ向けて凹んで形成される右後フレーム11cの左前の角部にパネル20が接合されるので、内部空間S内に右後フレーム11cが突出することを防止できる。従って、段ボール等の略直方体形状の貨物を、右後フレーム11cの左前の角部に寄せて積載することで、左前の角部のスペースを無駄なく利用できるので、貨物の収容性を向上させることができる。また、右後フレーム11cの左前の角部が内部空間Sの外方へ向けて凹んで形成されているので、内部空間S内の貨物が荷崩れを起こした場合であっても、右後フレーム11cの左前の角部に衝突することによる貨物の損傷を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空コンテナに関し、特に、貨物の収容性を向上させると共に、貨物の損傷を防止することができる航空コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空貨物を運搬するために使用される航空コンテナは、一般に、アルミニウム合金などから成形される柱材を組み合わせて枠組みが構成され、その枠組みにFRP等から成形される板材を接合して壁面が構成されることで、内部に貨物を収容するための内部空間を有する箱状に形成されている。
【0003】
この種の航空コンテナに関し、例えば特許文献1には、枠組みを構成する柱材としてのフレームと、壁面を構成する板材としてのパネルとにより形成される航空コンテナにおいて、外方に臨むフレームの側面にパネルを接合したり、或いは、フレームの側面に立設される立設部にパネルを固着して壁面を構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−292484号公報(例えば、第4図など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される航空コンテナでは、外方に臨むフレームの側面にパネルを接合したり、或いは、フレームの側面に立設される立設部にパネルを接合して壁面を構成するので、内部空間内にフレームが突出し、貨物の収容性が悪いという問題点があった。また、内部空間内にフレームが突出するので、貨物が荷崩れを起こした場合にフレームと衝突して貨物の損傷を招き易いという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、貨物の収容性を向上させると共に、貨物の損傷を防止することができる航空コンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
請求項1記載の航空コンテナによれば、フレームは、外方に臨む側面をなす外面部と、その外面部よりも内部空間側に位置して内部空間に臨む側面をなす第1内面部と、その第1内面部に交差して連設されると共に、外面部よりも前記内部空間側に位置して前記内部空間に臨む側面をなす第2内面部とを備え、第1内面部と第2内面部とにより内部空間に臨む角部が凹んで形成され、パネルは、フレームの第1内面部および第2内面部に接合される。よって、フレームがパネルよりも内部空間の外方に配置されるので、内部空間内にフレームが突出することを防止できる。従って、段ボール等の略直方体形状の貨物を、角部に寄せて積載することで、角部のスペースを無駄なく利用できるので、貨物の収容性を向上させることができるという効果がある。また、内部空間内にフレームが突出することを防止できるので、内部空間内の貨物が荷崩れを起こした場合であっても、内部空間内に突出するフレームに衝突することによる貨物の損傷を防止できるという効果がある。
【0008】
さらに、フレームの外面部よりも内部空間側に位置するフレームの第1内面部または第2内面部にパネルが接合されるので、フレームの外面部をパネルよりも内部空間の外方へ配置させることができる。よって、航空コンテナが他の航空コンテナや貨物室の壁面と接触する場合に、フレームを接触させることで、パネルが接触しにくくすることができるので、パネルが損傷することを防止しやすくできるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の航空コンテナは、請求項1記載の航空コンテナの奏する効果に加え、フレームは、少なくとも第1内面部または第2内面部のいずれか一方に面一に連設されると共に第1内面部または第2内面部のいずれか他方が配設される側と反対方向へ張り出して延設される張出部を備え、パネルが、第1内面部または第2内面部のいずれか一方および張出部に当接させた状態でフレームに接合させるので、フレームとパネルとの当接面積をより大きく確保できる。よって、フレームとパネルとの接合強度を向上させることができるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の航空コンテナは、請求項2記載の航空コンテナの奏する効果に加え、フレームとパネルとを締結して接合する締結部材を備え、締結部材によりフレームとパネルとがフレームの張出部において固着されるので、内部空間側からフレームとパネルとの固着作業をする場合においては、フレームとパネルとを第1内面部または第2内面部において締結部材により固着する場合と比べて、第1内面部または第2内面部のいずれか他方から離れた位置で締結作業を行うことができる。従って、締結部材による固着作業を行う際に用いられる工具が、第1内面部または第2内面部のいずれか他方に干渉することを防止できるので、作業性を良くすることができるという効果がある。
【0011】
また、フレームの張出部にパネルが締結部材により固着されるので、内部空間の外側からフレームとパネルとの固着作業を行うことができる。よって、内部空間側から締結部材による固着作業を行う場合と比べて、作業スペースを広く確保できるので、作業性を向上させることができるという効果がある。
【0012】
請求項4記載の航空コンテナは、請求項3記載の航空コンテナの奏する効果に加え、フレームの張出部は、外方に臨む表面がフレームの外面部よりも内部空間側に位置して段状に形成されると共に、その段差は、締結部材が張出部の外方に臨む表面から突き出る突出量よりも大きくされているので、張出部の外方に臨む表面から突き出る締結部材よりもフレームの外面部を内部空間の外方へ配置させることができる。よって、航空コンテナが他の航空コンテナや貨物室の壁面と接触する場合に、フレームを接触させることで、締結部材が接触しにくくすることができるので、締結部材が損傷することを防止しやすくできるという効果がある。また、締結部材の損傷を防止しやすくすることで、フレームとパネルとの接合が解除されにくくすることができるという効果がある。
【0013】
請求項5記載の航空コンテナは、請求項3又は4の航空コンテナの奏する効果に加え、締結部材は、軸状に形成されると共にかしめ加工が施されることで一端側が拡径されて拡径部となる軸部材と、その軸部材の他端側に配設され拡径部よりも大きな外径のフランジ状に張出形成される頭部とを備え、拡径部と頭部との間で2以上の部材を締結するリベットにより構成され、リベットの頭部を内部空間側に向けた状態でフレームとパネルとがリベットにより固着されるので、拡径部を内部空間の外方へ配置させることができる。即ち、リベットは、かしめ加工を施すことで形成される拡径部と頭部との間で2以上の部材を固着するため、拡径部は、頭部と比べて、締結された2以上の部材から突出するリベットの軸方向の寸法が大きくなると共に軸部材の他端側に臨む面の凹凸が大きくなる。よって、頭部を内部空間側に向けると共に拡径部を内部空間の外方へ配置させることで、内部空間内の貨物が荷崩れを起こし、貨物がリベットに接触した場合であっても、貨物に対してリベットの頭部を接触させることで、貨物の損傷を回避しやすくできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施の形態における航空コンテナの外観斜視図である。
【図2】図1のII−II線における航空コンテナの断面図である。
【図3】図2のIII−III線における航空コンテナの断面図である。
【図4】図3のIV−IV線における航空コンテナの断面図である。
【図5】図2のVで示す部分を拡大した航空コンテナの部分拡大断面図である。
【図6】図4のVIで示す部分を拡大した航空コンテナの部分拡大断面図である。
【図7】第2実施の形態における航空コンテナの部分拡大断面図である。
【図8】第3実施の形態における航空コンテナの部分拡大断眼図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1から図4を参照して、航空コンテナ1の概略構成について説明する。図1は、本発明の一実施の形態における航空コンテナ1の外観斜視図である。また、図2は、図1のII−II線における航空コンテナ1の断面図であり、図3は、図2のIII−III線における航空コンテナ1の断面図であり、図4は、図3のIV−IV線における航空コンテナ1の断面図である。なお、図1から図4の矢印U−D,L−R,F−Bは、航空コンテナ1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。また、図面を簡素化して説明を分かりやすくするため、リベット30を模式的に図示している。
【0016】
航空コンテナ1は、航空貨物を輸送するために使用されるコンテナであり、図1に示すように、主に、枠組みを形成するフレーム10と、そのフレーム10に接合されて上壁面及び側壁面を形成するパネル20と、フレーム10に締結部材(図示せず)により接合されて底面を形成する底板21と、パネル20をフレーム10に固着するリベット30とにより構成され、内部に貨物を収容するための内部空間S(図2から図4参照)を有する箱状に形成されている。なお、本実施の形態における航空コンテナ1は、客室の床下に貨物室が設けられる航空機、いわゆる旅客機に搭載されて使用されるものであり、輸送効率の向上を図るべくより多くのコンテナを一度に輸送可能とするために、室内形状が半円筒状となる貨物室の壁際までコンテナを搭載できるように、正面視において側面下部(図1では左側面下部)が斜めに面取りされた五角形状に形成されている。
【0017】
また、航空コンテナ1の前面には、貨物を出し入れするための開口部2(図2及び図4参照)が開放されていると共に、その開口部2を覆って内部空間Sに収容された貨物を目隠しするためのカバーシート3が設けられている。カバーシート3は、ビニール製の不透明なシート材料によって形成され、上縁がリベット30によってフレーム10に取り付けられていると共に(図4参照)、下縁にはアルミニウム合金によって形成された錘体4が取り付けられている。錘体4の左右両端部には、係止部(図示せず)が形成されると共に、後述する前下フレーム13aには、錘体4の係止部が係止可能に形成されており、錘体4の係止部をフレーム10に係止することで、開口部2を覆った状態でカバーシート3を保持できるように構成されている。
【0018】
フレーム10は、上述したように航空コンテナ1の枠組みを形成するものであり、側部の四辺を構成する側部フレーム11と、上部の四辺を構成する上部フレーム12と、下部の四辺を構成する下部フレーム13と、それら各フレーム11〜13を連結する複数の連結フレーム14とにより構成され、それら各フレーム11〜14が溶接によってそれぞれ接合されている。但し、各フレーム11〜14をボルトやリベット等の締結部材によってそれぞれ固着しても良い。
【0019】
次に、図2から図6を参照して、フレーム10を構成する各フレーム11〜14の詳細構成について説明する。各フレーム11〜14は、アルミニウム合金を材料として押出成形され、長手方向に一様な所定の断面形状を有する柱状に形成されている。また、各フレーム11〜14は、中空状に形成されており、フレーム10全体としての軽量化が図られている。
【0020】
図2に示すように、側部フレーム11は、フレーム10の右前に位置する右前フレーム11aと、フレーム10の左前に位置する略く字状の左前フレーム11bと、フレーム10の右後に位置する右後フレーム11cと、フレーム10の左後に位置する略く字状の左後フレーム11dとを有し、それら各フレーム11a〜11dが溶接によって上部フレーム12及び下部フレーム13にそれぞれ接合されている。
【0021】
右前フレーム11aは、航空コンテナ1の右壁面を形成するパネル20を支持すると共に開口部2の一部を形成する部材である。左前フレーム11bは、航空コンテナ1の前壁面を形成するパネル20及び左壁面を形成するパネル20を連結する部材であり、右後フレーム11cは、航空コンテナ1の後壁面を形成するパネル20及び右壁面を形成するパネル20を連結する部材であり、左後フレーム11dは、航空コンテナ1の後壁面を形成するパネル20及び左壁面を形成するパネル20を連結する部材である。ここで、図5を参照して、右後フレーム11cの詳細構成について説明する。図5は、図2のVで示す部分を拡大した航空コンテナ1の部分拡大断面図である。なお、右前フレーム11a、左前フレーム11b及び左後フレーム11dは、図1のII−II線における断面形状がそれぞれ同一形状であるため、その説明を省略する。また、右前フレーム11aは、後述する第2側部張出部11c8に相当する部分(右前フレーム11aから開口2へ張り出す部分)が省略される点と、前面側から突出しカバーシート3を支持する支持部および前面側から突出する板状の板部とを備える点とにおいて、右後フレーム11cと異なる。
【0022】
図5に示すように、右後フレーム11cは、後側面を構成する第1側部外面部11c1と、その第1側部外面部11c1の右側端に連設されると共に右側面を構成する第2側部外面部11c2と、第1側部外面部11c1と平行に配設されると共に第1側部外面部11c1よりも内部空間S側に位置する第1側部内面部11c3と、その第1側部内面部11c3の右側端に連設され第2側部外面部11c2と平行に配設されると共に第2側部外面部11c2よりも内部空間S側に位置する第2側部内面部11c4と、第1側部外面部11c1の左側端と第1側部内面部11c3の左側端とを連設すると共に第2側部外面部11c2及び第2側部内面部11c4と平行に配設される第1側部側面部11c5と、第2側部外面部11c2の前側端と第2側部内面部11c4の前側端とを連設すると共に第1側部外面部11c1及び第1側部内面部11c3と平行に配設される第2側部側面部11c6と、第1側部内面部11c3に面一に連設されると共に左側へ張り出して延設される板状の第1側部張出部11c7と、第2側部内面部11c4に面一に連設されると共に前側へ張り出して延設される板状の第2側部張出部11c8と、を備えている。
【0023】
第1側部外面部11c1及び第2側部外面部11c2は、右後フレーム11cの内部空間Sの外方に臨む側面を構成する部位であり、第1側部外面部11c1と第2側部外面部11c2とが略垂直に配設されると共に連設部分がR状に形成されている。
【0024】
第1側部内面部11c3及び第2側部内面部11c4は、右後フレーム11cの内部空間Sを臨む側面を構成する部位であり、第1側部内面部11c3と第2側部内面部11c4とが略垂直に配設されると共に連設部分がR状に形成されている。また、内部空間Sを臨む右後フレーム11cの左前の角部は、第1側部内面部11c3及び第2側部内面部11c4により内部空間S側から外方へ向けて凹んで形成されている。
【0025】
第1側部張出部11c7及び第2側部張出部11c8は、パネル20がリベット30により固着される部位であり、第1側部張出部11c7の外方に臨む表面が第1側部外面部11c1よりも内部空間S側に位置することにより、第1側部張出部11c7の外方に臨む面と第1側部外面部11c1とが段状に形成されることで段差が設けられ、第2側部張出部11c8の外方に臨む表面が第2側部外面部11c2よりも内部空間S側に位置することにより、第2側部張出部11c8の外方に臨む面と第2側部外面部11c2とが段状に形成されることで段差が設けられている。
【0026】
リベット30は、中空の本体に貫設される金属製のマンドレル(図示せず)をリベット打ち工具(図示せず)で引き抜くことで、複数の板状部材を互いに連結させるための部材であり、軸状に形成されると共にかしめ加工が施されることで一端側が拡径されて拡径部33となる軸部材31と、その軸部材31の他端側に配設され拡径部33よりも大きな外径のフランジ状に張出形成される頭部32とを備えている。リベット30は、拡径部33と頭部32との間で右後フレーム11cの第1側部張出部11c7又は第2側部張出部11c8及びパネル20を固着することにより、パネル20を右後フレーム11cに接合させている。
【0027】
右後フレーム11cに接合されるパネル20は、パネル20の外方に臨む面を、第1側部内面部11c3及び第1側部張出部11c7又は第2側部内面部11c4及び第2側部張出部11c8に当接させた状態で、第1側部張出部11c7又は第2側部張出部11c8にリベット30により固着される。よって、第1側部内面部11c3及び第2側部内面部11c4により内部空間S側から外方へ向けて凹んで形成される右後フレーム11cの左前の角部にパネル20が接合されるので、内部空間S内に右後フレーム11cが突出することを防止できる。従って、段ボール等の略直方体形状の貨物を、右後フレーム11cの左前の角部に寄せて積載することで、左前の角部のスペースを無駄なく利用できるので、貨物の収容性を向上させることができる。また、右後フレーム11cの左前の角部が内部空間Sの外方へ向けて凹んで形成されているので、内部空間S内の貨物が荷崩れを起こした場合であっても、右後フレーム11cの左前の角部に衝突することによる貨物の損傷を防止できる。
【0028】
さらに、右後フレーム11cの第1側部外面部11c1及び第2側部外面部11c2よりも内部空間S側に位置する右後フレーム11cの第1側部内面部11c3及び第1側部張出部11c7又は第2側部内面部11c4及び第2側部張出部11c8にパネル20が接合されるので、第1側部外面部11c1及び第2側部外面部11c2をパネル20よりも内部空間Sの外方へ配置させることができる。よって、航空コンテナ1が他の航空コンテナや貨物室の壁面と接触する場合に、右後フレーム11cを接触させることで、パネル20が接触しにくくすることができるので、パネル20が損傷することを防止しやすくできる。
【0029】
また、パネル20が、第1側部内面部11c3及び第1側部張出部11c7又は第2側部内面部11c4及び第2側部張出部11c8に当接された状態で右後フレーム11cに接合されるので、右後フレーム11cとパネル20との当接面積をより大きく確保できる。よって、右後フレーム11cとパネル20との接合強度を向上させることができる。
【0030】
ここで、リベット30は、かしめ加工を施すことで形成される拡径部33と頭部32との間で右後フレーム11cとパネル20とを固着する。このため、かしめ加工が施されることで形成される拡径部33は、頭部32と比べて、右後フレーム11c又はパネル20の表面から突出するリベット30の軸方向の寸法が大きくなると共に軸部材31の一端側に臨む面の凹凸が大きくなる。
【0031】
よって、リベット30の頭部32を内部空間S側に向けると共に拡径部33を内部空間Sの外方へ配置させた状態で、右後フレーム11c及びパネル20がリベット30により固着されることで、内部空間S内の貨物が荷崩れを起こし、貨物がリベット30に接触した場合であっても、貨物に対してリベット30の頭部32を接触させることができるので、貨物の損傷を回避しやすくできる。
【0032】
さらに、第1側部張出部11c7と第1側部外面部11c1との段差および第2側部張出部11c8と第2側部外面部11c2との段差が、リベット30の拡径部33が第1側部張出部11c7又は第2側部張出部11c8の外方を臨む表面から突き出る突出量よりも大きくされている。これにより、第1側部張出部11c7又は第2側部張出部11c8の外方へ臨む面から突き出るリベット30の拡径部33よりも、第1側部外面部11c1及び第2側部外面部11c2を内部空間Sの外方へ配置させることができる。よって、航空コンテナ1が他の航空コンテナや貨物室の壁面と接触する場合に、右後フレーム11cを接触させることで、リベット30が接触しにくくすることができるので、リベット30が損傷することを防止しやすくできる。また、リベット30の損傷を防止しやすくすることで、右後フレーム11cとパネル20との接合が解除されにくくすることができる。
【0033】
また、リベット30の頭部32を内部空間S側に配設するためには、内部空間S側から右後フレーム11cとパネル20との固着作業をする必要がある。ここで、パネル20は、右後フレーム11cの第1側部張出部11c7又は第2側部張出部11c8においてリベット30により固着されているので、パネル20を第1側部張出部11c7にリベット30により固着する際には、パネル20を第1側部内面部11c3にリベット30により固着する場合と比べて、第2側部内面部11c4及び第2側部張出部11c8から離れた位置でリベット30の締結作業を行うことができる。従って、リベット打ち工具が、第2側部内面部11c4及び第2側部張出部11c8に干渉することを防止できるので、作業性を向上させることができる。
【0034】
図3及び図4に示すように、上部フレーム12は、フレーム10の前側に位置する前上フレーム12aと、フレーム10の後側に位置する後上フレーム12bと、フレーム10の右側に位置する右上フレーム12cと、フレーム10の左側に位置する左上フレーム12dとを有し、それら各フレーム12a〜12dが溶接によって互いに接合されている。
【0035】
前上フレーム12aは、航空コンテナ1の上壁面を形成するパネル20を支持すると共に開口部2の一部を形成する部材である。後上フレーム12bは、航空コンテナ1の上壁面を形成するパネル20及び後壁面を形成するパネル20を連結する部材であり、右上フレーム12cは、航空コンテナ1の上壁面を形成するパネル20及び右壁面を形成するパネル20を連結する部材であり、左上フレーム12dは、航空コンテナ1の上壁面を形成するパネル20及び左壁面を形成するパネル20を連結する部材である。ここで、図6を参照して、後上フレーム12bの詳細構成について説明する。図6は、図4のVIで示す部分を拡大した航空コンテナ1の部分拡大断面図である。なお、前上フレーム12a、右上フレーム12c及び左上フレーム12dは、図3のIV−IV線における断面形状がそれぞれ後上フレーム12bと同一形状であるため、その説明を省略する。また、前上フレーム12aは、後述する第2上部張出部12b8に相当する部分(前上フレーム12aから開口2へ張り出す部分)が省略されると共に、前面側から突出しカバーシート3を支持する支持部と、前面側から突出する板状の板部を備えている。
【0036】
図6に示すように、後上フレーム12bは、上側面を構成する第1上部外面部12b1と、その第1上部外面部12b1の後側端に連設されると共に後側面を構成する第2上部外面部12b2と、第1上部外面部12b1と平行に配設されると共に第1上部外面部12b1よりも内部空間S側に位置する第1上部内面部12b3と、その第1上部内面部12b3の後側端に連設され第2上部外面部12b2と平行に配設されると共に第2上部外面部12b2よりも内部空間S側に位置する第2上部内面部12b4と、第1上部外面部12b1の前側端と第1上部内面部12b3の前側端とを連設すると共に第2上部外面部12b2及び第2上部内面部12b4と平行に配設される第1上部側面部12b5と、第2上部外面部12b2の下側端と第2上部内面部12b4の下側端とを連設すると共に第1上部外面部12b1及び第1上部内面部12b3と平行に配設される第2上部側面部12b6と、第1上部側面部12b5に立設されると共に前側へ張り出して形成される板状の第1上部張出部12b7と、第2上部内面部12b4に面一に連設されると共に下側へ張り出して延設される板状の第2上部張出部12b8と、を備えている。
【0037】
第1上部外面部12b1及び第2上部外面部12b2は、後上フレーム12bの内部空間Sの外方に臨む側面を構成する部位であり、第1上部外面部12b1と第2上部外面部12b2とが略垂直に配設されると共に連設部分がR状に形成されている。
【0038】
第1上部内面部12b3及び第2上部内面部12b4は、後上フレーム12bの内部空間Sを臨む側面を構成する部位であり、第1上部内面部12b3と第2上部内面部12b4とが略垂直に配設されと共に連設部分がR状に形成されている。また、内部空間Sを臨む後上フレーム12bの前下の角部は、第1上部内面部12b3及び第2上部内面部12b4により内部空間S側から外方へ向けて凹んで形成されている。
【0039】
第1上部張出部12b7及び第2上部張出部12b8は、パネル20がリベット30により固着される部位であり、第1上部張出部12b7の外方に臨む表面が第1上部外面部12b1よりも内部空間S側に位置することにより、第1上部張出部12b7の外方に臨む面と第1上部外面部12b1とが段状に形成されることで段差が設けられ、第2上部張出部12b8の外方に臨む表面が第2上部外面部12b2よりも内部空間S側に位置することにより、第2上部張出部12b8の外方に臨む面と第2上部外面部12b2とが段状に形成されることで段差が設けられている。
【0040】
ここで、後壁面を構成するパネル20は、パネル20の外方に臨む面を、第2上部内面部12b4及び第2上部張出部12b8又に当接させた状態で、第2上部張出部12b8にリベット30により固着することで、後上フレーム12bに接合されるのに対し、上壁面を構成するパネル20は、パネル20の内部空間Sに臨む面を第1上部張出部12b7に当接させると共に、アルミニウム合金で構成される板状の当板40をパネル20の内部空間Sの外方に臨む面に当接させた状態で、第1上部張出部12b7及び当板40と共にリベット30により固着することで、第1上部張出部12b7に接合される。また、上壁面を構成するパネル20に第1上部張出部12b7及び当板40を固着するリベット30は、頭部32が内部空間Sの外方に臨む面側に配設されている。
【0041】
なお、第1上部張出部12b7と第1上部外面部12b1との段差が大きくなるほど、上壁面を構成するパネル20及び上部フレーム12により包囲される領域にたまる雨水の量が多くなり、たまった雨水の重量により上壁面を構成するパネル20と上部フレーム12との接合が解除されやすくなる。従って、第1上部張出部12b7と第1上部外面部12b1との段差は小さくされていることが望ましい。
【0042】
よって、第1上部張出部12b7と第1上部外面部12b1との段差を、リベット30が第1上部張出部12b7の外方を臨む表面から突き出る突出寸法分に設定することで、リベット30が第1上部外面部12b1よりも上方に突出することを回避しつつ、第1上部張出部12b7と第1上部外面部12b1との段差を小さく設定することができる。従って、航空コンテナ1の上部フレーム12に他の航空コンテナを縦積みした場合であっても、その縦積みされた航空コンテナにリベット30が干渉することを回避してリベット30の損傷を回避しつつ、上壁面を構成するパネル20及び上部フレーム12により包囲される領域にたまる雨水の量を少なくできるので、上部フレーム12とパネル20との接合が解除されにくくすることができる。
【0043】
また、リベット30の頭部32は、拡径部33よりも後上フレーム12bとパネル20の表面から突出する突出量が小さいので、頭部32を内部空間Sの外方に配設することで、リベット30の外方側へ突き出る突出量を小さくできる。よって、第1上部張出部12b7と第1上部外面部12b1との段差をより小さく設定することができる。従って、上壁面を構成するパネル20及び上部フレーム12により包囲される領域にたまる雨水の量を少なくでき、その結果、上部フレーム12とパネル20との接合を解除させにくくすることができる。
【0044】
さらに、リベット30の拡径部33よりも外径の大きい頭部32が内部空間Sの外方側へ配設されるので、上壁面を構成するパネル20を第1上部張出部12b7の外方に臨む面に接合させることで、頭部32をパネル20側に配設することができる。よって、パネル20が後上フレーム12bよりも剛性の小さな材料から構成される場合であっても、パネル20をリベット30から抜けにくくすることができる。さらに、アルミニウム合金で構成される後上フレーム12bの第1上部張出部12b7と当板40とで上壁面を構成するパネル20を挟むことにより、パネル20が後上フレーム12bよりも剛性の小さな材料から構成される場合であっても、パネル20をリベット30からより抜けにくくすることができる。従って、パネル20を樹脂等のより軽量な材料から構成することでパネル20を軽量化できるので、航空コンテナ1全体の軽量化を図ることができる。また、上壁面を構成するパネル20の外方を臨む面に当板40を当接させつつ第1上部張出部12b7にリベット30により固着することで、雨水が内部空間S内に侵入することを抑制できる。
【0045】
さらに、上面を構成するパネル20が第1上部張出部12b7にリベット30により固着されると共にリベット30の頭部32が内部空間Sの外方に配設されるので、内部空間Sの外方で後上フレーム12bと上面を構成するパネル20との固着作業を行うことができる。よって、内部空間S側からリベット30による固着作業を行う場合と比べて、作業スペースを広く確保できるので、作業性を良くすることができる。
【0046】
図2から図4に示すように、下部フレーム13は、フレーム10の前側に位置する前下フレーム13aと、フレーム10の後側に位置する後下フレーム13bと、フレーム10の右側に位置する右下フレーム13cと、フレーム10の左側に位置する左下フレーム13dとを有し、それら各フレーム13a〜13dが溶接によって互いに接合されている。
【0047】
前下フレーム13aは、底板21を支持すると共に開口部2の一部を形成する部材である。後下フレーム13bは、底板21及び後壁面を形成するパネル20を連結する部材であり、床面に載置されると共に底板21が接合される基部13b1と、その基部13b1の上面に立設されると共に後壁面を形成するパネル20が接合される立設部13b2とを備えている。右下フレーム13cは、底板21及び右壁面を形成するパネル20を連結する部材であり、左下フレーム13dは、底板21及び左壁面を形成するパネル20を連結する部材である。なお、右下フレーム13c及び左下フレーム13dは、後下フレーム13bと同一形状である。
【0048】
連結フレーム14は、前上フレーム12a及び前下フレーム13aの左端を前上フレーム12a及び前下フレーム13aに対して垂直に連結すると共に開口部2の一部を形成する前上下フレーム14aと、後上フレーム12b及び後下フレーム13bの左端を後上フレーム12b及び後下フレーム13bに対して垂直に連結する後上下フレーム14bと、左前フレーム11bの屈曲部分及び左後フレーム11dの屈曲部分を左前フレーム11b及び左後フレーム11dに対して垂直に連結する左中前後フレーム14cと、左前フレーム11bの下端及び左後フレーム11dの下端を左前フレーム11b及び左後フレーム11dに対して垂直に連結する左下前後フレーム14dと、を備えている。
【0049】
次に、図7を参照して、第2実施の形態における航空コンテナ200について説明する。第1実施の形態では、右後フレーム11cが第1側部張出部11c7及び第2側部張出部12c8を備えているのに対し、第2実施の形態では、第1側部張出部および第2側部張出部が省略されている。なお、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。図7は、第2実施の形態における航空コンテナ200の部分拡大断面図であり、図5に対応する。
【0050】
ここで、航空コンテナ200は、フレーム210の側部フレーム211の構成を除き、他の構成は第1実施の形態における航空コンテナ1と同一の構成なので、その説明を省略する。即ち、第2実施の形態では、側部フレーム211は、フレーム210の右前に位置する右前フレームと、フレーム210の左前に位置する略く字状の左前フレームと、フレーム210の右後に位置する右後フレーム211cと、フレーム210の左後に位置する略く字状の左後フレームとを有し、右前フレーム、左前フレーム及び左後フレームは、右前フレームが支持部および板部を備える点を除き、右後フレーム211cと図7における断面形状がそれぞれ同一形状である。よって、その説明を省略し、以下において、右後フレーム211cの詳細構成について説明する。
【0051】
図7に示すように、右後フレーム211cは、後側面を構成する第1側部外面部211c1と、その第1側部外面部211c1の右側端に連設されると共に右側面を構成する第2側部外面部211c2と、第1側部外面部211c1と平行に配設されると共に第1側部外面部211c1よりも内部空間S側に位置する第1側部内面部211c3と、その第1側部内面部211c3の右側端に連設され第2側部外面部211c2と平行に配設されると共に第2側部外面部211c2よりも内部空間S側に位置する第2側部内面部211c4と、第1側部外面部211c1の左側端と第1側部内面部211c3の左側端とを連設すると共に第2側部外面部211c2及び第2側部内面部211c4と平行に配設される第1側部側面部211c5と、第2側部外面部211c2の前側端と第2側部内面部211c4の前側端とを連設すると共に第1側部外面部211c1及び第1側部内面部211c3と平行に配設される第2側部側面部211c6と、を備えている。
【0052】
第1側部外面部211c1及び第2側部外面部211c2は、右後フレーム211cの内部空間Sの外方に臨む側面を構成する部位であり、第1側部外面部211c1と第2側部外面部211c2とが略垂直に配設されると共に連設部分がR状に形成されている。
【0053】
第1側部内面部211c3及び第2側部内面部211c4は、右後フレーム211cの内部空間Sを臨む側面を構成する部位であり、第1側部内面部211c3と第2側部内面部211c4とが略垂直に配設されると共に連設部分がR状に形成されている。また、内部空間Sを臨む右後フレーム211cの左前の角部は、第1側部内面部211c3及び第2側部内面部211c4により内部空間S側から外方へ向けて凹んで形成されている。
【0054】
右後フレーム211cに接合されるパネル20は、パネル20の外方に臨む面を、第1側部内面部211c3又は第2側部内面部211c4に当接された状態で、第1側部内面部211c3又は第2側部内面部211c4にリベット30により固着される。よって、第1側部内面部211c3及び第2側部内面部211c4により内部空間S側から外方へ向けて凹んで形成される右後フレーム211cの左前の角部にパネル20が接合されるので、内部空間S内に右後フレーム211cが突出することを防止できる。従って、段ボール等の略直方体形状の貨物を、右後フレーム211cの左前の角部に寄せて積載することで、左前の角部のスペースを無駄なく利用できるので、貨物の収容性を向上させることができる。また、右後フレーム211cの左前の角部が内部空間Sの外方へ向けて凹んで形成されているので、内部空間S内の貨物が荷崩れを起こした場合であっても、右後フレーム211cの左前の角部に衝突することによる貨物の損傷を防止できる。
【0055】
さらに、右後フレーム211cの第1側部外面部211c1及び第2側部外面部211c2よりも内部空間S側に位置する右後フレーム211cの第1側部内面部211c3または第2側部内面部211c4にパネル20が接合されるので、第1側部外面部211c1及び第2側部外面部211c2をパネル20よりも内部空間Sの外方へ配置させることができる。よって、航空コンテナ1が他の航空コンテナや貨物室の壁面と接触する場合に、右後フレーム211cを接触させることで、パネル20が接触しにくくすることができるので、パネル20が損傷することを防止しやすくできる。
【0056】
また、リベット30の軸部材31が、中空状に形成される右後フレーム211cの内部に突き出るので、航空コンテナ200が他の航空コンテナや貨物室の壁面と接触する場合に、リベット30が接触することを回避できる。よって、リベット30が損傷することを防止できると共に、リベット30の損傷を防ぐことにより、リベット30による右後フレーム211cとパネル20との固着が解除されにくくすることができる。
【0057】
なお、リベット30による第1側部内面部211c3又は第2側部内面部211c4とパネル20との固着位置を第1側部内面部211c3の左右方向の中心よりも左側又は第2側部内面部211c4の前後方向の中心よりも前側にすることで、リベット打ち工具が、第2側部内面部211c4又は第1側部内面部211c3に干渉することを抑制できるので、作業性を向上させることができる。
【0058】
次に、図8を参照して、第3実施の形態における航空コンテナ300について説明する。第1実施の形態では、第1側部内面部11c3と第2側部内面部11c4との連設部分がR状に形成されている場合を説明したが、第3実施の形態では、第1側部内面部311c3と第2側部内面部311c4とが内部空間S側から外方へ向けて凹設される第3側部内面部311c9を介して連設されている。なお、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。図8は、第3実施の形態における航空コンテナ300の部分拡大断面図であり、図5に対応する。
【0059】
ここで、航空コンテナ300は、フレーム310の側部フレーム311の構成を除き、他の構成は第1実施の形態における航空コンテナ1と同一の構成なので、その説明を省略する。即ち、第3実施の形態では、側部フレーム311は、フレーム310の右前に位置する右前フレームと、フレーム310の左前に位置する略く字状の左前フレームと、フレーム310の右後に位置する右後フレーム311cと、フレーム310の左後に位置する略く字状の左後フレームとを有し、右前フレーム、左前フレーム及び左後フレームは、右前フレームが支持部および板部を備える点を除き、右後フレーム311cと図8における断面形状がそれぞれ同一形状である。よって、その説明を省略し、以下において、右後フレーム311cの詳細構成について説明する。
【0060】
図8に示すように、右後フレーム311cは、第1側部外面部11c1と、第2側部外面部11c2と、第1側部外面部11c1と平行に配設されると共に第1側部外面部11c1よりも内部空間S側に位置する第1側部内面部311c3と、第2側部外面部11c2と平行に配設されると共に第2側部外面部11c2よりも内部空間S側に位置する第2側部内面部311c4と、第1側部側面部11c5と、第2側部側面部11c6と、第1側部張出部11c7と、第2側部張出部11c8と、第1側部内面部311c3の右側端および第2側部内面部311c4の後側端を連設させる第3側部内面部311c9と、を備えている。
【0061】
第1側部内面部311c3及び第2側部内面部311c4は、右後フレーム311cの内部空間Sを臨む側面を構成する部位であり、第3側部内面部311c9は、内部空間S側から外方へ向けて凹設される部位である。第1側部内面部311c3及び第2側部内面部311c4は、略垂直に配設されると共に第3側部内面部311c9を介して連設されている。また、内部空間Sを臨む右後フレーム311cの左前の角部は、第1側部内面部311c3、第2側部内面部311c4及び第3側部内面部311c9により内部空間S側から外方へ向けて凹んで形成されている。
【0062】
パネル20は、パネル20の内部空間Sの外方に臨む面を第1側部内面部311c3及び第1側部張出部11c7又は第2側部内面部311c4及び第2側部張出部11c8に当接させると共に、アルミニウム合金で構成される板状の当板340をパネル20の内部空間Sに臨む面に当接させた状態で、第1側部張出部11c7又は第2側部張出部11c8及び当板340と共にリベット30により固着することで、右後フレーム311cに接合される。よって、アルミニウム合金で構成される右後フレーム311cの第1側部張出部11c7又は第2側部張出部11c8と当板340とでパネル20を挟むことにより、パネル20が右後フレーム311cよりも剛性の小さな材料から構成される場合であっても、リベット30を抜けにくくすることができる。従って、パネル20を樹脂等のより軽量な材料から構成することでパネル20を軽量化できるので、航空コンテナ300全体の軽量化を図ることができる。
【0063】
ここで、例えば、第1側部内面部311c3及び第1側部張出部11c7にパネル20を接合する際に、パネル20の左右方向の寸法が寸法公差により大きく形成されていると、パネル20の右側端が第1側部内面部311c3と第2側部内面部311c4との連設部分に乗り上げる。その結果、パネル20と第1側部内面部311c3および第1側部張出部11c7との当接面に隙間が生じ、パネル20が撓みやすくなるため、リベット30が抜けやすくなるおそれがある。
【0064】
これに対し、第1側部内面部311c3と第2側部内面部311c4とが内部空間S側から外方へ向けて凹設される第3側部内面部311c9を介して連設されているので、パネル20の左右方向の寸法が寸法公差により大きく形成された場合でも、その右側端を第3側部内面部311c9の内部に収容することができる。よって、パネル20と第1側部内面部311c3及び第1側部張出部11c7とを確実に当接させることで、パネル20の撓みを抑制できるので、リベット30を抜けにくくすることができる。
【0065】
さらに、内部空間Sに臨む右後フレーム311cの第1側部内面部311c3及び第1側部張出部11c7と第2側部内面部311c4及び第2側部張出部11c8とがパネル20により被覆される面積をより大きく確保できるので、第1側部内面部311c3及び第1側部張出部11c7又は第2側部内面部311c4及び第2側部張出部11c8とパネル20との当接面積をより大きく確保できる分、右後フレーム311cとパネル20との接合強度をより向上させることができる。
【0066】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0067】
例えば、各実施の形態で説明した各構成の一部を、他の実施の形態で説明した各構成の一部と入れ替えてもよく、また、各実施の形態で説明した各構成の一部と、他の実施の形態で説明した各構成の一部とを組み合わせたり、各構成の一部を追加してもよい。例えば、第1実施の形態で説明した第2側部張出部11c8を省略し、第1実施の形態で説明した第2側部内面部11c4を第2実施の形態で説明した第2側部内面部211c4に入れ替えてもよい。また、第1実施の形態で説明した第1側部張出部11c7又は第2側部張出部11c8とパネル20とのリベット30による固着を、第3実施の形態で説明した当板340を使用した固着にしてもよい。さらに、第2実施の形態で説明した第1側部内面部211c3及び第2側部内面部211c4が、第3実施の形態で説明した第3側部内面部311c9を介して連設されてもよい。
【0068】
また、上記各実施の形態では、パネル20又は底板21とフレーム10,210,310とがリベット30により固着される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ボルト及びナット等の締結部材により固着されてもよい。また、パネル20又は底板21とフレーム10,210,310とが接着剤により接合されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,200 航空コンテナ
10,210,310 フレーム
11 側部フレーム(フレームの一部)
11a 右前フレーム(フレームの一部)
11b 左前フレーム(フレームの一部)
11c,211c,311c 右後フレーム(フレームの一部)
11c1,211c1 第1側部外面部(外面部の一部)
11c2,211c2 第2側部外面部(外面部の一部)
11c3,211c3,311c3 第1側部内面部(第1内面部)
11c4,211c4,311c4 第2側部内面部(第2内面部)
11c7,211c7 第1側部張出部(張出部)
11c8,211c8 第2側部張出部(張出部)
11d 左後フレーム(フレームの一部)
12 上部フレーム(フレームの一部)
12a 前上フレーム(フレームの一部)
12b,212b,312b 後上フレーム(フレームの一部)
12b1 第1側部外面部(外面部の一部)
12b2 第2側部外面部(外面部の一部)
12b3 第1側部内面部(第1内面部)
12b4 第2側部内面部(第2内面部)
12b7 第1側部張出部(張出部)
12b8 第2側部張出部(張出部)
12c 右上フレーム(フレームの一部)
12d 左上フレーム(フレームの一部)
30 リベット(締結部材)
31 軸部材
32 頭部
33 拡径部
S 内部空間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間の上面側および側面側に位置するパネルと、そのパネル同士を連結するフレームと、を備え、内部に前記内部空間を有する箱状に形成される航空コンテナにおいて、
前記フレームは、
外方に臨む側面をなす外面部と、
その外面部よりも前記内部空間側に位置して前記内部空間に臨む側面をなす第1内面部と、
その第1内面部に交差して連設されると共に、前記外面部よりも前記内部空間側に位置して前記内部空間に臨む側面をなす第2内面部とを備え、
前記第1内面部と前記第2内面部とにより前記内部空間に臨む角部が凹んで形成され、
前記パネルは、前記フレームの第1内面部および第2内面部に接合されることを特徴とする航空コンテナ。
【請求項2】
前記フレームは、少なくとも前記第1内面部または前記第2内面部のいずれか一方に面一に連設されると共に前記第1内面部または前記第2内面部のいずれか他方が配設される側と反対方向へ張り出して延設される張出部を備え、
前記パネルが、前記第1内面部または前記第2内面部のいずれか一方及び前記張出部に接合されていることを特徴とする請求項1記載の航空コンテナ。
【請求項3】
前記フレームと前記パネルとを締結して接合する締結部材を備え、
前記締結部材により前記フレームと前記パネルとが前記フレームの張出部において固着されることを特徴とする請求項2記載の航空コンテナ。
【請求項4】
前記フレームの張出部は、外方に臨む表面が前記外面部よりも前記内部空間側に位置して段状に形成されると共に、その段差は、前記締結部材が前記張出部の外方に臨む表面から突き出る突出量よりも大きくされていることを特徴とする請求項3記載の航空コンテナ。
【請求項5】
前記締結部材は、軸状に形成されると共にかしめ加工が施されることで一端側が拡径されて拡径部となる軸部材と、その軸部材の他端側に配設され前記拡径部よりも大きな外径のフランジ状に張出形成される頭部とを備え、前記拡径部と前記頭部との間で2以上の部材を締結するリベットにより構成され、
前記リベットの頭部を前記内部空間側に向けた状態で前記フレームと前記パネルとが前記リベットにより固着されることを特徴とする請求項3又は4に記載の航空コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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