説明

航空機のデータ交換のための通信チャネル管理の方法と装置

本発明は、航空機(105)からのデータ交換をするための、通信チャネル管理の方法と装置に関し、前記航空機と少なくとも地上局(120)における1のエンティティとの間に、少なくとも2つの異なるタイプの通信チャネル(複数)に基づいて、少なくとも1の接続路を確立するように構成された手段(115)を有する。
通信チャネルの状態の変更または前記航空機の位置の変更のような事象を検出した後で、航空機は、前記通信チャネルのうちの少なくとも1の通信チャネルを介して、地上における少なくとも1のエンティティにデータを送受信できる通信コンフィギュレーションが決定される。
少なくとも1の接続路を確立するように構成された手段は、前記通信コンフィギュレーションに基づいて構成される。少なくとも1のデータの送信は、このデータの優先度レベルの決定および接続路の通信チャネルタイプの決定を含むと有利である。前記決定された通信チャネルのタイプが優先度レベルと一致する場合、前記データは送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機通信分野に関する発明である。特に、航空機のデータ交換のための通信チャネル管理の方法と装置に関する。特に、複数の通信手段を使った、航空機情報システムと地上の航空会社情報システムとの間のメッセージの非同期交換を可能にする方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機と地上局との間の情報交換の需要が、航空機の開発と共に高まってきている。この需要は、特に、航空機の情報システムの種々の部品をアップデートすること、地上局からの飛行情報の送信、コストを最適化するための航空機のメンテナンス情報の送信、及び乗客に対するサービスに関係している。
【0003】
航空機又は乗客に関係して、航空機と地上局との間の情報交換と複数の航空機システム同士の間の情報交換とを区別する必要がある。現在の航空機システム(複数)は、例えば、有線ネットワーク又は無線ネットワークのような、特に、タイプ 802.11 a/b/gのWiFi (Wireless Fidelity) deのような標準的通信手段に基づいて、それらの間で通信を行うことができる。
【0004】
航空機と地上局との間の関係は、一般的に航空機に特有である。例えば、通信システムATN (Aeronautical Telecommunication Network) ACARS (ARINC Communication Addressing and Reporting System)を使うと、VDL (VHF Digital Link), Mode S 又は 衛星を介して航空機と地上局との間でコード化データを交換することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
航空機と地上局との間の接続コストは、WiFi, WiMax (Worldwide Interoperability for Microwave Access), GSM (Global System for Mobile Communications), GPRS (General Packet Radio Service), UMTS (Universal Mobile Telecommunications System), MPDS (Mobile Packet Data Service)又は SBB (Swift Broad Band)のような"monde ouvert(オープンワールド)"と呼ばれる一般通信システムに比較して高価である。且つ、monde ouvertの通信システムは、航空機世界におけるパフォーマンスに勝ったパフォーマンスをしばしば提供し、その技術は急激に進歩している。しかしながら、これらは、10年以内に成熟に到達し、廃れるかもしれない。開発と標準化に時間を必要とする航空機分野において、それは重大な障害になる可能性がある。
【0006】
航空機と地上局との間の通信に対する(複数)ソリューションの重大な欠点は、これらソリューションでは、迅速にこれら技術を集約化するために、特に、優先度とコストの管理を考慮しながら、航空機に搭載されるアプリケーション全体に地上のシステムを提供する二重の必要性に答えることができないことである。また、既存の通信システムに影響を与えることなくHSDPA (High Speed Downlink Packet Access)のような新技術を追加することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明を使えば、前記課題の少なくとも1つを解決することができる。
【0008】
本発明は航空機におけるデータ通信方法を対象とする。該方法は、少なくとも前記航空機と少なくとも地上における1のエンティティとの間に、少なくとも異なる2つのタイプの複数の通信チャネルに基づいて、少なくとも1の接続路を確立するように構成された手段を備えている。この方法は次のステップを含むことを特徴とする。
−事象を検出するステップ;
−前記事象に基づいて通信コンフィギュレーションを決定するステップ;なお、該事象によって、前記航空機は、前記(複数)通信チャネルのうちの少なくとも1の通信チャネルを介して、地上における少なくとも1のエンティティにデータを送受信できる。
−前記通信コンフィギュレーションに基づいて、前記航空機と地上における前記少なくとも1のエンティティとの間の少なくとも1の接続路を確立するように構成する前記手段を構成するステップ。
【0009】
本発明による方法により、通信システムの実質的な変更無しに、新規メディア又は新規アプリケーションを実装することができる。同様に、通信メディアの未来の進歩に、特に、通信セキュリティに関するメディアの進歩に容易に適応することができる。
【0010】
特定の実施例によれば、本方法は更に、少なくとも1のデータの送信ステップを有している。該送信テップは次のステップを含む。
−前記少なくとも1のデータの優先度レベルを決定するステップ;
−少なくとも1の接続路の通信チャネルタイプを決定するステップ;
−決定される前記通信チャネルの前記タイプが前記優先度レベルと一致する場合は、前記少なくとも1の地上のエンティティに少なくとも1のデータを送信するステップ。
【0011】
本発明による方法により、メッセージ送信の管理が可能になる。
【0012】
本方法の実施を簡単化するために、前記地上における少なくとも1のエンティティの送信先アドレスは各優先度レベルに関係付けられ、前記少なくとも1のデータは、前記少なくとも1のデータの優先度レベルに関係する送信先アドレスに送信される。
【0013】
特定の実施例によれば、前記決定される通信チャネルと前記優先度レベルとが一致するかの決定は、少なくとも1のコンフィギュレーションのパラメータにより決定される。この実施例は、メッセージ送信モードのコンフィギュレーションを提供する。
【0014】
又、特定の実施例によれば、前記事象は前記通信チャネル(複数)の状態または前記航空機の位置に関係する。
【0015】
又、特定の実施例によれば、本方法は、更に少なくとも1の送信データに対するアクセスステップを含む。前記少なくとも1のデータのフォーマットは前記少なくとも1の接続路の通信チャネルから独立している。本通信方法を使う前記アプリケーション(複数)は使用されるメディアから独立している。
【0016】
本発明は、又、前記方法の各ステップを実行するように構成された命令を含むコンピュータプログラムを対象とする。
【0017】
本発明は、また、航空機のデータ通信装置を対象とする。該データ通信装置は、少なくとも2つの異なるタイプの複数の通信チャネルに基づいて、前記航空機と少なくとも1の地上のエンティティとの間の少なくとも1の接続路を確立するように構成された手段を有する。該装置は次の手段を備えることを特徴とする。
−事象を検出する手段;
−前記事象に基づいて通信のコンフィギュレーションを決定するステップ;なお、該事象によって、前記航空機は、前記(複数)通信チャネルのうちの少なくとも1の通信チャネルを介して、地上における少なくとも1のエンティティにデータを送受信できる。
−前記通信コンフィギュレーションに基づいて、前記航空機と地上における前記少なくとも1のエンティティとの間の少なくとも1の接続路を確立するようにする前記手段を構成する手段。
【0018】
本発明に従う装置により、通信システムの実質的な変更無しに、新規メディア又は新規アプリケーションを実装することができる。同様に、通信メディアの未来の進歩に容易に適応することができる。特に、通信セキュリティに関するメディアの進歩に。
【0019】
特定の実施例によれば、本装置は更に、少なくとも1のデータの送信装置を有している。該送信装置次の手段を含む。
−前記少なくとも1のデータの優先度レベルを決定する手段;
−少なくとも1の接続路の通信チャネルタイプを決定する手段;
−決定される前記通信チャネルの前記タイプが前記優先度レベルと一致する場合は、前記少なくとも1の地上のエンティティに少なくとも1のデータを送信する手段。
【0020】
前記装置は、更に、送信データ(複数)を記憶する記憶手段を有すると有利である。前記送信データは送信データの優先度レベルに基づいて記憶される。地上における前記少なくとも1のエンティティの送信先アドレスは優先度レベルに関係付けられている。
【0021】
特定の実施例によると、好ましい通信チャネルを決めるために、前記事象検出手段は前記通信チャネルの状態の変更または前記航空機の位置を検出するように構成されている。
【0022】
本発明の目的と特徴は、次の図面を参照して、非制限的な実施例を使った、以下の詳細な説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】航空機と地上局との間のデータ交換を行うことができる、本発明が実施される環境の一例である。
【図2】本発明の一部分が実施されるように構成された装置の一例である。
【図3】本発明による通信システムを示す。
【図4】通信チャネルが使用可能になり、飛行パラメータが変更されるときの通信コントローラによる通信チャネルの管理の一例を示す。
【図5】航空機情報システムと地上情報システムとの間のメッセージ交換のための第1実施例を示す。
【図6】航空器により送信されるメッセージのための優先度の管理メカニズムを示す。
【図7】モジュールOAMSによる、航空機情報システムの1のアプリケーションから受信し地上情報システムのモジュールGAMSに送信されるメッセージの処理アルゴリズムの一例を示す。
【図8】航空機情報システムと地上情報システムとの間のメッセージ交換のための第2の実施例である。
【0024】
本発明は、デジタルメッセージの形式で、航空機のような移動エンティティと地上局との間で、その使用可能性と航空機会社のポリシーに従って、複数の通信チャネルに基づいて、データの非同期交換をネイティブな方法(原信号のままで扱う)で管理するように構
成された方法と装置を対象とすることが好ましい。このようなポリシーは特に地理的領域、飛行のフェーズ、送信メッセージの優先度に応じて作成される。前記メッセージ(複数)は例えば、パケットIP(Internet Protocol)の形式で送信される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、1つの環境条件100の例である。本発明はこの環境の中で実施され、航空機が地上にある又は地上付近にあるとき又は航空機が空中にあるとき、航空機105と地上局との間でデータ交換を行うことができる。
【0026】
航空機105はアプリケーションサーバ(図示しない)、通信サーバ110及び、複数の通信チャネルに基づいてデータを送受信するように構成された無線通信インターフェース115を具備することが好ましい。ここで説明した前記通信チャネルは衛星通信、 WiMax通信、 GSM、 GPRS、 UMTSのような移動電話技術による通信 及びWiFi通信に接続されていてもよい。
【0027】
地上では、通信サーバ120がアプリケーションサーバ125に接続され、好ましくは保護装置130(firewall)を介してインターネットのようなネットワーク135に接続されている。ネットワーク135は、好ましくは、それぞれ、保護装置140-1乃至 140-4を介して、例えば、衛星ネットワーク145-1, WiMax 145-2ネットワーク, GSM, GPRS 、UMTSタイプのネットワーク145-3、及び WiFiネットワーク145-4のような複数の無線通信ネットワークに接続されている。無線通信ネットワーク145-1乃至 145-4は、それぞれ、少なくとも一つの無線通信インターフェース150-1乃至 150-4を備えて、関係するプロトコールに基づいてデータの送受信を行うことができる。このように衛星ネットワーク145-1は衛星155のデータを受信することができ、衛星155にデータを送信することができる。衛星155は、航空機105の無線通信インターフェース115に対し送受信することができるように構成されている。同様に、WiMaxネットワーク145-2は、航空機105の無線通信インターフェース115に対し送受信することができる。ネットワーク145-3、145-4についても同様である。図1には、一般的無線通信インターフェースしか示されていないが、無線通信インターフェース115は複数の無線通信インターフェース(通信チャネル毎に1つの)で構成されていることが好ましい。つまり、ここでは、衛星通信用インターフェース、WiMax タイプのインターフェース, GSM, GPRS又はUMTS タイプのインターフェース、及びWiFiタイプのインターフェースである。
【0028】
航空機が地上又は地上付近にあるとき、航空機の無線通信インターフェース115は無線通信インターフェース150-1及び、無線通信インターフェース150-2乃至150-4と通信を行うように構成されている(ここで、航空機の地上の環境条件として、これら無線通信インターフェースを使うと仮定する)。航空機が空中にあり、無線通信インターフェースから、これらインターフェースの通信範囲以上に離れているとき、衛星による無線通信インターフェース150-1だけが使用可能である。
【0029】
図2には、本発明の一部分が実施されるように構成された装置(appareil)が示されている。装置200は、例えば、通信サーバまたはアプリケーションサーバである。
【0030】
装置200は通信バス202を有している。前記バスには、次のものが接続されている。
−中央処理装置又はマイクロプロセッサ203(CPU,Central Processing Unit);
−ROM(Read OnIy Memory)204;プログラム"Prog", "Progi" 及び "Prog2"を格納している。
−RAM(Random Access Memory)又はキャッシュメモリ206;上記プログラム実行中に、生成、修正された変数及びパラメータを格納するように構成されたレジスタを備えている。
−通信インターフェース218;通信ネットワーク(reseau de communication distribue)220、例えばインターネットに接続している。インターフェースはデータを送受信することができる。
【0031】
オプションとして、装置200は次のものを使うことができる。
−表示装置208;キー210又はポインティング装置のような他の手段(例えば、マウス211又は光学ペン、タッチペン又はリモコン)を使って、データを表示する及び/又は、本発明によるプログラムと対話するユーザとのグラフィックインターフェースとして使用することができる。
−ハードディスク212;前記プログラム"Prog", "Progi" 、"Prog2"、本発明によって処理された又は処理するデータを格納する。
−ディスク読取装置214;ディスケット216を受け入れ、本発明によって処理された又は処理するデータを読み書きするように構成されている。
−メモリカード読取装置;本発明によって処理された又は処理するデータを読み書きするように構成されている。
【0032】
通信バスを使って、装置200に接続されている種々の構成要素の間の通信とインターオペラビリティが可能になる。バスの表示は制限的ではない。特にCPUは、直接又は装置200の別の構成要素を介して、装置200の全ての構成要素に命令を伝えることができる。
【0033】
プログラム実行コード(code executable de programme)を使って、プログラムされた装置は本発明によるプロセスを実施することができる。このコードは、例えば、ハードディスク212又はROM204に格納することができる。
【0034】
本発明の変形例によると、ディスケット216はデータ並びに前記プログラムの実行コードを格納することができる。装置200が前記プログラムを一旦読み取ると、同プログラムはハードディスク212に格納される。
【0035】
第2の変形例において、プログラムコードは通信ネットワーク220を介して、更にインターフェース218を介して受信され、前記のように格納されることができる。
【0036】
ディスケットは情報記録媒体(例えば、コンパクトディスク(CD−ROM)又はメモリカード)により置き換えることができる。一般的には、ディスケットは情報記憶手段により置き換えることができる。ディスケットはコンピュータにより又はマイクロプロセッサにより読み取ることができ、装置に組み込まれたり、取り外し可能にすることができ、1つ又は複数のプログラムを記憶するように構成される。前記プログラムの実行により本発明による方法は実施される。
【0037】
一般的に、1つ又は複数のプログラムは、実行前に、装置200の格納手段に格納することができる。
【0038】
CPU203は、本発明による1又は複数のプログラム(複数)の命令又はソフトウェアコードの1部分の実行を管理する。命令はハードディスク212、ROM204、又は前記別の格納要素に格納されている。電源が入ったときには、1つ又は複数のプログラムは不揮発性メモリ(例えばハードディスク又はROM204)に記憶される。前記プログラムは、RAM206(本発明による1又は複数のプログラムの実行コードを有する)並びに(複数)レジスタに転送され、本発明の実行に必要な変数及びパラメータを記憶する。
【0039】
本発明による装置を備えた通信装置は、プログラムされた装置であってよい。該装置は、例えば、ASIC回路に固定された、1又は複数のプログラムを含む。
【0040】
図3には本発明によるOWAG-CS (Open World Aircraft Ground-Communication System)と呼ばれる通信システム300が示されている。該システムはコア305を含んでおり、その1部の構成要素は航空機の通信システム310に設けられており、その他の構成要素は地上局の通信システム315に設けられている。通信システムOWAG-CS300は2つの別々の部分から構成されることが好ましい。第1部分320は航空機と地上局との間のデータ交換に関係するものである。第2部分325は《通信コントローラ(Controleur de Communication)》と呼ばれ、通信チャネルの管理に関係している。第1部分は、その中に2つのモジュールを持っている。第1モジュール330は、OAMS (On-board Asynchronous Messaging Service)と呼ばれ、航空機に設けられている。第2モジュール335はGAMS (Ground Asynchronous Messaging Service)と呼ばれ、地上局に設けられている。各モジュールOAMS 330、GAMS 335は、それぞれ、アプリケーション340,345に対するインターフェースとして使用される。
【0041】
通信コントローラ325及びモジュールOAMS330は、航空機データを有している装置350(例えば、センサ情報又は“航空機のコンピュータから送られてくる情報を格納している”メモリ又はデータベース)に接続されている。これら航空機データは、特にどの通信チャネルを使うかを決めるために使われる。通信コントローラは特に、航空機のネットワーク装置355の装置を制御する。前記ネットワーク装置(複数)により航空機と地上局との間の接続を成立することができる。
【0042】
モジュールOAMS 及び GAMSとの間のデータ交換は、複数のタイプの通信チャネルを使うように構成されている通信インターフェース360及び365を介して行われる。通信インターフェース360の通信チャネルのコンフィギュレーションは通信コントローラ325により制御される。
【0043】
情報フローが通信コントローラ325と(複数)ネットワーク装置355との間に成立するが、この情報フローは、コンフィギュレーションをアップデートするために、通信コントローラによりネットワーク装置に送信されるコマンドを含むコンフィギュレーションフローである。
【0044】
情報フローが、通信インターフェース360と前記装置350との間、前記装置350と前記通信コントローラとの間、および航空機会社のポリシー(politique)に関係するコンフィギュレーションファイルと通信コントローラ325との間に成立される。この情報フローは、通信インターフェース360による及び通信コントローラ325による航空機データをアップデートする情報を含む監視(supervision)フローである。
【0045】
最後に、データフローが通信インターフェース360、(複数)ネットワーク装置355及びモジュールOAMS330との間に成立する。このデータフローはモジュールOAMS 330 及びモジュール GAMS 335との間で使用可能な種々の接続路を使って交換されるデータを含んでいる。
【0046】
通信システム300の割り当て(repartition)により、特に、データ伝送を扱うアプリケーションは、通信チャネルの追加、削除又は修正により影響を受けないようにすることができる。であるから、ネットワークのコンフィギュレーションの全問題は、メッセージ配信(deliverance)のアプリケーション層から分離される。これは、航空機と地上局との間の(複数)パスが明白である航空機会社のインフラについても正しい。このように、通信チャネルの追加、削除又は修正に対して、これら機能を修正することなく機能を向上させることが可能である。アプリケーション340の構成要素とモジュールOAMS330との間のアプリケーションインターフェースが標準化され、航空機搭載アプリケーションを開発する開発者に対して、データ交換の問題を隠蔽すると有利である。また、モジュールOAMS 330の航空機に設けられるアプリケーションのバージョンと無相関にする(decorreler)と有利である。
【0047】
第1実施例によると、通信コントローラ325は、航空機搭載のサーバ上にインストールされたアプリケーションサービスである。前記サーバは、特に“飛行フェーズを示す航空機データベース”及び“コンフィギュレーションファイル”とインターフェースされた専用コネクタを有している。前記コンフィギュレーションファイルは、通信に関して航空機会社のポリシー(例えば、何時の時点で衛星通信を使うか等)を定めている。これら2タイプの情報により、通信コントローラ325はリアルタイムで、航空機に設けられるモジュールOAMS 330及び地上局に設けられるモジュールGAMS 335との間の関係を成立させるのに必要なネットワーク装置のコンフィギュレーションを計算することができる。通信コントローラ325はモデルOSIのベース層のレベルでしか働かず、リアルタイムで、通信チャネルの使用可能性、飛行フェーズおよび航空機会社のポリシーに基づいて、接続路を確立させる。接続路確立の適応性を使って、メッセージの優先度、通信チャネルの使用コストに基づいて、航空機通信を最適化することができる。
【0048】
1のモジュールGAMS 335は、航空機群の通信、つまり複数のモジュールOAMS 330と確立できた通信を集中することに注意すべきである。例えば、数百のモジュールOAMS 330 (航空機ごとに1の)により、航空機会社は、(複数)航空機とのメッセージ交換を、集中化し簡略化して管理することができる。
【0049】
モジュールOAMS 330 及び GAMS 335は類似しているが、多くの点で相違している。まず、特定の実施例において、データの保存は、GAMS 335では、データベースにおいて実施される。他方、モジュールOAMSでは、サーバのファイルマネジャーにおいて直接実施される。又、航空機は常に通信を開始し、モジュールOAMSのサーブレット(servlets)は航空機に対しデータの送受信をする役割を果たす。他方、モジュールGAMSのサーブレットは航空機に対する(複数)メッセージを受信し又は処理しなければならない。メッセージの交換は双方向的である。もっともこの交換のイニシャティブをとるのは航空機に設けられた通信システムであるが。このように、モジュールOAMSはクライアントのように振舞うが、モジュールGAMSはサーバのように振舞う。
【0050】
本発明による通信システムは、次の3層に基づいて解析される。
−ネットワーク層;通信コントローラにより制御される。
−データ層;モジュールOAMS及び GAMSにより使用される。
−アプリケーション層;モジュールOAMS及び GAMSのAPIに基づいている。
【0051】
これら3層について以下に詳しく説明する。
【0052】
前記したように、ネットワーク層は、通信コントローラにより制御される。該通信コントローラが、2つのモジュールOAMS及び GAMSの通信に必要な接続路を確立させる担当をしている。通信コントローラは、ルーティングエンジン(moteur de routage)を有し、例えばデータベースから出力される航空機データを使い、ネットワーク装置をコントロールする。通信コントローラの前記ルーティングエンジンは、単純な状態オートマトンと類似なものとすることができる。
【0053】
《待機》状態と《ルーティング》状態との間の遷移が、1又は複数の航空機事象により引き起こされると有利である。前記事象は1又は複数のパラメータの変更に由来するものであり、前記パラメータは通信チャネル状態又は簡単な飛行情報を表すことができるものである。前記通信チャネルの状態は、例えばその処理可能性を含んでいる。飛行情報は、例えば、地上局に対する航空機の地理上の地点である。必要があれば、地上位置及び空中位置を決めるための閾値と比較される。
【0054】
通信コントローラが《ルーティング状態(routage)》にあるときに、不確実な変化を考慮して、ネットワーク装置のコンフィギュレーションを決定する。例えば、通信チャネルWiFiを使用でき、飛行フェーズがそれを許可し(例えば地上に航空機がある場合)、航空機会社のポリシーがそれを要求する(規定された優先ルート)場合、通信コントローラは(複数)ネットワーク装置を構成し(configure)、WiFi接続路を確立させる。前記コントローラは、航空機データベースにおいてこの接続路が確立したことを表示する。ネットワーク装置のコンフィギュレーションは、コンフィギュレーションのスクリプトを生成し、送信することにより実行することができる。前記スクリプト(複数)は通信コントローラにより生成され、(複数)ネットワーク装置に送信される。
【0055】
ネットワーク装置が構成され(configure)、ネットワークパラメータ及び飛行パラメータの変更がない場合、通信コントローラは《待機》状態に入る。そのとき、ネットワークパラメータ及び飛行パラメータの変更が監視される。
【0056】
図4には、1つの通信チャネルが使用可能状態になり、飛行パラメータが変更されたときに、通信コントローラが通信チャネルを管理する一例が示されている。
【0057】
通信チャネルが使用可能状態になる、換言すれば、通信インターフェースがこの通信チャネルからデータを送受信できる可能性を検出したときに、通信インターフェースは航空機データベースに該情報を送信する(ステップ400)。ある通信チャネルを使ってデータを送受信する可能性の検出は、検出チャネルの特性に関係している。
この検出は、問題の通信チャネルに使用される標準プロトコールに従って実行される。通信コントローラが航空機データベースにおいてネットワークパラメータの変更を同定するときに(ステップ405)、ネットワークパラメータの変更は通信チャネルが使用可能か否かに関係しており、通信コントローラは、飛行パラメータに基づくネットワーク装置(複数)、使用可能な(複数)通信チャネル、及び航空機会社のポリシーに対し、新しいコンフィギュレーションを決め、(複数)ネットワーク装置にこの新しいコンフィギュレーションを送信する(ステップ410)。
前記ネットワーク装置(複数)はそれらコンフィギュレーションを変更し、通信コントローラに受信受領証を送信することが好ましい(ステップ415)。
次に、通信コントローラは航空機データベースに情報(この情報に基づいて、新しい通信チャネルが使用可能である)を送信する(ステップ420)。モジュールOAMSが航空機データベース(このデータベースに基づいて、新しい通信チャネルが使える)の変更を検出すると(ステップ425)、モジュールOAMSはこの通信チャネルを使用することができる。
【0058】
好ましい実施例においては、航空機データベースの変更が、通信コントローラ及びモジュールOAMSによって、検出される。しかしながら、監視モジュールは航空機データベースに関係しており、通信コントローラ及び/又はモジュールOAMSに全ての変更を伝えることができることに留意しなければならない。
【0059】
通信コントローラが、飛行パラメータ(例えば航空機の位置)の変更を同定すると(ステップ430)、通信コントローラは、飛行パラメータ、使用可能な通信チャネル、航空機会社のポリシーに基づいて、(複数)ネットワーク装置に対する新コンフィギュレーションを決定し、(複数)ネットワーク装置に該新コンフィギュレーションを送信する(ステップ435)。(複数)ネットワーク装置はそのコンフィギュレーションを変更し、通信コントローラに受信受領証を送信することが好ましい(ステップ440)。
次に、通信コントローラは、航空機データベースに情報(この情報に基づいて、新しい通信チャネルが使える、または、この情報に基づいて、通信チャネルはもはや使用不可能である又はこの情報に基づいて通信チャネルのパラメータが既に変更された)を送信する(ステップ445)。モジュールOAMSが航空機データベースにおいてこの変更を検出すると(ステップ450)と、モジュールOAMSはこれらパラメータを変更し、これら変更に対し対応する。
【0060】
データ交換に使用されるデータ層は、航空機と地上局との間のデータ交換の管理を担当するモジュールOAMS及び GAMSにより使用される。データ層は、ネットワーク層とアプリケーション層の間に位置している。該データ層は通信コントローラにより構成される接続路を使う。従って、データ転送のコントロールは通信チャネルのコントロールから独立である。
【0061】
モジュールOAMSとモジュールGAMSは、例えば、servlet Java(登録商標) (Java(登録商標))の形式のアプリケーションサーバJ2EE(Java(登録商標) 2 Enterprise Edition)において実施される。モジュールOAMSは従来のクライアントサーバアーキテクチャのタイプである。即ち、モジュールOAMS のAPI(Application Programming Interface) がクライアントで、モジュールOAMSがサーバである。同様に、モジュールGAMS は、モジュールGAMSのAPI、モジュールGAMS及びデータベースから構成されている。(複数)アプリケーション(例えば、Java(登録商標) 及び C++でコード化された)は、2つのAPIを使って2つのサーバと相互にインターフェースしている。1つはモジュールOAMSに対して、もう1つはモジュールGAMSに対してである。これらはflux http(HyperText Transfer Protocol)において(複数)サーバと通信することができる。
【0062】
モジュールOAMSとGAMSとの間のBtoB (Business-to-Business)タイプのメッセージ交換は、HTTPSストリームの中でカプセル化することができる。これは、航空機のイニシャティブにより、好ましくはcertificats X509を使って、航空機と地上局との間の通信セキュリティの要求に応えるための認証に対して行われる。
【0063】
図5には、航空機情報システム500と地上情報システム502との間のメッセージ交換の実施例が示されている。航空機情報システム500のアプリケーション504はAPI OAMS 506を使ってモジュールOAMS 508に(更に詳細に言えば、モジュールOAMS 508のフロンタルサーバhttp 510に)要求を送信する。要求の処理結果(複数)は、サーバhttp によりAPI OAMS 506を介してアプリケーション504に送られる。
【0064】
サーバhttp510が受け取ったアプリケーション504の要求は、アプリケーションサーバに送られる。ここでは、バーチャルマシンJava(登録商標) 512 (JVM, Java(登録商標) Virtual Machine)のアプリケーションサーバJ2EE (Java(登録商標) 2 Enterprise Edition) 514である。要求の処理結果(複数)は、アプリケーションサーバ514によりhttpサーバ510に送られる。
【0065】
アプリケーションサーバ514は、servlet Java(登録商標)のコンテナ 516を備えており、2つの専用サービス518,520(それぞれ《send》 タイプと 《fetch》タイプ)を使って、アプリケーションの要求を処理することが好ましい。
《send》サービスはモジュールGAMに対するメッセージの送信を保証する。他方、《fetch》サービスは、メモリ522内から同一サーバ上で待機中のメッセージを取り戻す役割をもつ。
【0066】
これらのタスクを保証するために、これら2つのサービスは、航空機データベース524とインターフェースして通信チャネルの使用可能性を確認し、サーバーhttp510とインターフェースしてアプリケーションと通信し、及び、クライアントhttps526の実装とインターフェースして地上情報システムと安全な方法で通信する。注意すべきは、地上情報システムに送られる又はアプリケーション504により取り戻された、待機中のメッセージ(複数)をメモリ522に格納するために、モジュールOAMSが更にサーバーファイルマネジャーとのインターフェースを有しているということである。メモリ522においては、前記メッセージ(複数)がアプリケーションごとに専用メッセージBOXに仕分けされることが好ましい。
【0067】
同様に、モジュールGAMS530のフロンタルサーバhttp528は、API GAMS 534を介して、地上情報システム502のアプリケーション532の要求(複数)を受け取る。同様にして、モジュールGAMS530のフロンタルサーバhttp522は、タイプTLS(Transport Layer Security)のtunnels 536 を介して、航空機情報システム500のモジュールOAMS508のアプリケーション504の要求(複数)を受け取る。アプリケーションの要求(複数)に対する応答は、serveur http 528により、API GAMS 534を介してアプリケーションサーバ532に送られ、また、tunnels 536を介してアプリケーション504に送られる。
【0068】
アプリケーションの要求は、サーバhttp 528により、バーチャルマシンJava(登録商標) 538のアプリケーションサーバ540 J2EE のservletのコンテナ 542に送られる。要求の結果(複数)はアプリケーションサーバ540によってサーバhttp 528に送られる。
【0069】
モジュールOAMSと同様に、モジュールGAMSは2つの専用サービス544と546を有すると有利である。これらサービスは、それぞれ、"message provider" 及び "receive"と呼ばれている。サービス"message provider"544はモジュールOAMSに(複数)メッセージを送る。他方、サービス"receive"546は、(複数)メッセージをサーバhttp528から受け取り、メモリ又はデータベース548のメッセージBOXに分配する。こうして、2つのサービス544と546は、データベース548とインターフェースし、(複数)専用メッセージBOXに(複数)メッセージを蓄える。
これらは、(複数)モジュールOAMS上で行ったやり方と同じ方で、構成することが望ましい。つまり、アプリケーションに毎に専用に、例外は別にして、モジュールGAMSが複数航空機を管理し、航空機毎に、優先度によってメッセージBOXを再グループ化するようにである。
【0070】
API OAMS 506 及び GAMS 534は、通信の問題を航空機及び地上局の情報システムのアプリケーションから隠す働きをする。これらAPIは、通信システムOWAG-CSの全機能の使用を可能にする玄関(facade)を形成する。これらAPIは、Java(登録商標)及び C++でコード化することができ、既存のアプリケーションと一体化することができる。また、前記APIは、モジュールOAMS、GAMSにより形成されるデータ層に基づくものであり、モジュールOAMS、GAMSのフロンタルサーバhttpと“httpで”通信を行う。
【0071】
メッセージ層は、航空機情報システム及び地上情報システムのアプリケーションに、優先度管理メカニズムを提供し、航空機と地上局との間のメッセージ交換を行う。図6は、(複数)航空機から送られるメッセージに対する、この優先度管理のメカニズム600を表すものである。
【0072】
航空機情報システムのアプリケーション(複数)605-1 乃至 605-nは、それぞれAPI OAMS 610-1 乃至 610-nを介して、モジュールOAMSにメッセージを送ることができる。モジュールOAMSは、FIFO (First In, first Out) タイプメモリ 615-1 , 615-2 et 615-3から構成されているメモリ615を有することが好ましい。このメモリは、(複数)アプリケーション605-1乃至605-nから送信されるメッセージを受信するように構成されている。メモリ615に蓄えられるメッセージ(複数)は、pile TCP/IP (Transmission Control Protocol/ Internet Protocol) 620に送られる。このpileは前記メッセージをパケットIPに分解する。そして、このパケットIPにおいて、アドレスIPがメッセージの優先度に従って決められる。優先度レベルに関係するサービスの質(DSCP (Differentiated Services Code Point)タイプ)の情報は、これらパケットIP(複数)に追加される。次に、該パケットIPは、通信コントローラ630によりネットワーク装置625を介して通信インターフェースに送られる。前記通信インターフェースは、複数の構成要素から構成されており、特に衛星635-1による通信インターフェースの構成要素、通信インターフェースWiMax 635-2の構成要素、通信インターフェース635-3の構成要素(少なくとも、GSM, GPRS 及びUMTSのような移動電話の技術に対応している)及び通信インターフェースWiFi 635- 4である。
【0073】
メモリ要素615-1 、 615-2 、615-3は優先度に対応しており、ここでは、3つの優先度レベルが使われている。即ち、優先度が低い、中位、高いである。アプリケーション605-iがメッセージを送るとき、アプリケーションはメッセージに優先度レベルを付加する。メッセージを受け取ると、モジュールOAMSは優先度レベルを分析し、メッセージの優先度レベルに対応するFIFOタイプメモリに該メッセージを格納する。例えば、優先度の低いメッセージを受け取った場合、メモリ要素615-3に記憶される。優先度が中位のメッセージを受け取った場合、メモリ要素615-2に記憶される。又、優先度の高いメッセージを受け取った場合、メモリ要素615-1に記憶される。
【0074】
優先度レベルはモジュールOAMSにより使用され、受け取ったメッセージを処理し、そのモードを決め、モジュールGAMSに送る。
【0075】
メッセージをパケットIPに変換するために、(複数)アドレスIPがモジュールIPにより使用されるが、それらアドレスは予め決められている。有利なことに、優先度レベルによるアドレスIPが存在する。同様に、優先度レベルによる値DSCPが存在する。メッセージの優先度レベルと地上の宛先のアドレスIPとの間の関係を使って、アプリケーションレベルでの決定(つまり、優先度レベルの選択)と、より低レベル(即ち、レベルIP)のネットワーク装置により管理されるパケットのルーティング決定との間の簡単な相関関係をもつことができる。
【0076】
同様に、前記メカニズムを補完するために、パケットIPのchamp DSCPは、メッセージの優先度に従って所定値で補完され、ネットワークのインフラにより、より良好にパケットを引き受けることができる。例えば、高いchampDSCPを持つパケットIPは、ルータにより優先的に処理されなければならない。DSCP値はパケットIPの中に存在して、ネットワークのトラフィックに対し種々のサービスレベルを付加することができるchampに対応していることに留意すべきである。
【0077】
航空機と地上局との間の伝送は、通信コントローラにより管理されている。該通信コントローラは、種々の通信チャネルの使用可能性及び航空機会社のポリシーに基づいて、GAMSの3つのIPアドレスに対する接続路を決定する。次の表は、通信コントローラによりアクセスできるものであるが、航空機会社のポリシーの一例を示す。
【0078】
【表1】

【0079】
この例において、航空機会社は、コストが低く、パフォーマンスが高い、制限されたカバー領域を持つ通信手段を重視している。もしWiFiタイプの接続が確立できないならば、中位又は高い優先度に対し、(アクセスできるならば)移動電話タイプの接続が許可される。仮に、これら手段が使えないならば、衛星によって広いカバー領域を提供するが、使用料金が高く、パフォーマンスが低い接続が優先度の高いものに対してだけ許可される。ある通信チャネルが所定レベルの優先度のものに対して許可されない場合は、対応するメッセージ(複数)を送信するには、許可される通信チャネルが使用可能になるまで待機しなければならない。
【0080】
前記メッセージ(複数)のフォーマットは、優先度のレベル、ソースアドレスおよび宛先アドレスを持つ。送信するメッセージ及び関係する情報が、パケットIPに分解されると、関係情報は、もはや直接アクセスできないし、メッセージの再構成の後でしかアクセスできない。該メッセージの再構成は、パケットIPに分解するメカニズムに対応する標準的メカニズムにより実行されるものである。別の態様として、前記メッセージ(複数)自身が、優先度レベル及びソースアドレス、宛先アドレスのような補足情報を含むことができる。
【0081】
図7は、航空機情報システムのアプリケーションからモジュールOAMSにより受信されるメッセージ(複数)の処理アルゴリズムの一例である。これらメッセージは、地上情報システムのモジュールGAMSに送信されるべきものである。1のメッセージが受信されると(ステップ705)、該メッセージの優先度が決められる(ステップ710)。次に、該メッセージは、優先度レベルに従って、FIFOタイプメモリ715に記憶される。前記メモリ715に蓄えられたメッセージ(複数)は優先度レベルに従って処理される(ステップ720)。モジュールOAMSは航空機データベースに問い合わせ、通信チャネルが使用可能かを決定する(ステップ725)。もし通信チャネルが使用可能ならば、通信チャネルが使用できるかを決めるためのテストが実行される(730)。仮に通信チャネルが使えるならば、(複数)メッセージがパケットIPに分解される。同パケットにおいて、アドレスIPは優先度レベルの関数であり(ステップ735)、値DSCPが各パケットIPに追加される(ステップ740)。前記メッセージ(複数)はパケットIPの形で送信され、前記メッセージが送信されたかを決めるためにテストが行われる(ステップ745)。指定された通信チャネルを使うことができない場合、システムは、破線の矢印で示すように、別の通信チャネルを使うことができるかを決める。メッセージを送信するのに、どの通信チャネルも使えない場合、これらメッセージは、一時的に、好ましくは優先度に従ってメモリ750に記憶され、その後通信チャネルが使えるときになって送信される。前記メモリ750は、ここでは、メモリ715と類似したものである。同様に全メッセージ又は所定のメッセージの送信が正確に行われなかった場合、これらメッセージは一時的に、好ましくは優先度に従ってメモリ750に記憶され、その後、通信チャネルが使えるときになって送信される。前記メッセージのメモリにおける《生存期間》は制限されることが好ましい。例えば、メモリ750に記憶されたメッセージは、30分後自動的に削除される。前記メッセージの《生存期間》はメッセージの優先度レベル又はその特性に関係させることができる。同様に、メッセージ元のアプリケーションの要請により、所定のメッセージ(複数)は、メモリ750から削除することができる。例えば、パイロットが、古くなった報告の送信を取り消したいと望む場合である。
【0082】
前記メモリ750を使うと、アクセスできない通信チャネルをつかって送信しなければならないメッセージを記憶することができる。更に、使っていた通信チャネルの一時的故障があった場合その後に、送信の中断時点を以って、モジュールOAMS及びGAMSとの間のメッセージ送信を再開することができるようにエラーに対する再開メカニズムを管理することができる。接続失敗の後、モジュールOAMSはモジュールGAMSに対しメッセージ送信の再実行する信号を送る。
【0083】
モジュールOAMSは監視機能をもつことができ、モジュールGAMSは監視と統計の機能をもつことができる。前記監視により、アプリケーションは、メッセージ送信状態に関して、通信サーバに質問することができる。例えば、第1メッセージに関して20%、第2メッセージに関して50%、最終接続の日時についてである。前記情報は、アプリケーションの要求により取得することができる。モジュールGAMSの統計機能により、航空機会社情報システムのアドミニストレータは、システムの一般的状態を知ることができる。例えば、成功したメッセージ送信の数、失敗数、又は交換した量である。
【0084】
メッセージ送信は、モジュールOAMSに関連して記述されていたが、モジュールGAMSからのメッセージ送信についても同様である。
【0085】
メッセージ送信は、タイプunicast (1のシステムから別の1のシステムへ)又は multicast (1のシステムから他の複数のシステムへ)であることができる。即ち、航空機情報システムの1のアプリケーションから地上情報システムの1のアプリケーション及びその逆、又は航空機情報システムの1のアプリケーションから地上情報システムの複数のアプリケーション、又は地上情報システムの1のアプリケーションから1又は複数の航空機情報システムの複数アプリケーションへ、である。
【0086】
セキュリティの理由から、地上局のメッセージを地上局へ、航空機のメッセージを航空機へ送信することを禁止することが好ましい。
【0087】
本発明の第2実施例によれば、“(複数)アプリケーション”と“2つのサーバOAMS 及び GAMS”との間のインターフェース(複数)は相違している。これらインターフェースはAPI proprietairesのために開発されたものではないが、“Web services”として構成されている。この実施例の利点は、航空機情報システムおよび地上情報システムにおいて、ソルーションSOA (Service Oriented Architecture)を使って、通信する2つのサーバを直接一体化できることである。
【0088】
主要な変更点は、プロトコール SOAP (Simple Object Access Protocol) が(複数)インターフェースOAMS 及び GAMSにより本来的にサポートされ、これらインターフェースの仕様がアーキテクチャSOAにおいて、フォーマットWSDL (Web Service Description Language)に基づいて配信される。
【0089】
次に、第2実施例において、モジュールGAMのSSL (Secure Socket Layer)/TLS部分が、このセッションタイプを管理する装置により置き換えられる(図8に示されるように)。この置換は、システムがマーケットのソルーションEAI(Enterprise Application Integration)とインターオペラブルになり、システムのパフォーマンスが極めて改善されるという事実により動機付けされる。
【0090】
図8には、航空機情報システム800と地上情報システム802との間のメッセージ交換のための第2実施例が示されている。航空機情報システム800のアプリケーション804は、クライアントhttp806を使ってモジュール808に(正確にはモジュールOAMS808のフロンタルサーバhttp810に対して)要求を送信する。これら要求の処置結果は、前記サーバhttp810によりクライアントhttp806を介して、(複数)アプリケーション804に送られる。
【0091】
サーバhttp810が受け取った(複数)アプリケーション804の(複数)要求は、アプリケーションサーバ(ここでは、バーチャルマシーンJava(登録商標)812(JVM)のアプリケーションサーバJ2EE 847に送られる。(複数)要求の処理結果は、アプリケーションサーバ814によりサーバhttp810に送信される。
【0092】
アプリケーションサーバ814は、servlet Java(登録商標) 816のコンテナを有し、service web 818 (WS)を使って、また、2つの専用サービス820及び 822(タイプ《send》及び《fetch》)を使って、 (複数)アプリケーションの要求を処理すると有利である。サービス《send》は、モジュールGAMSに対しメッセージを送信することを保証する。これに対し、サービス《fetch》は、メモリ824から、同一サーバ上で待機の(複数)メッセージを取り戻す役割を持つ。
【0093】
これらタスクを保証するために、これら2つのサービスは航空機データベース826とインターフェースされ、通信チャネルの使用可能性を確かめる。また、サービスhttp810とインターフェースされて、(複数)アプリケーションと通信を行う。更に、クライアントhttp828の実装(implementation)とインターフェースされて、地上情報システムと安全な方法で通信を行う。
更に、モジュールOASMSがサーバファイルマネージャとのインターフェースを有し、地上情報システムに送られて待機しているメッセージを、または、(複数)アプリケーション804により取り返されている(複数)メッセージをメモリ824に蓄えると有利である。
【0094】
同様にして、モジュール GAMS 832のフロンタルサーバhttp 830は、インターフェースEAI836を介して、地上情報システム802の(複数)アプリケーション834-1 及び 834-2(アプリケーション数は制限されていない)の要求を受け取る。インターフェースEAI836は、ここでは、(複数)インターフェースJMS (Java(登録商標) Message Service)及びCorbaを有している。これらは(複数)アプリケーション834-1 及び 834-2の(複数)クライアントJMS及びCorbaとデータを交換するように構成されている。モジュールGAMS832のフロンタルサーバhttp830は、外部用モジュール(module externalise )TLS838を介して、モジュールOAMS808の(複数)アプリケーション804の要求を受け取る。(複数)アプリケーションの要求に対する(複数)応答はサーバhttpサーバ830により、インターフェースEAI836を介してアプリケーションサーバ834-1及び834-2に送信される。又、外部用モジュールTLS838を介して、(複数)アプリケーション804に送信される。
【0095】
(複数)アプリケーションの要求は、サーバhttp830により、バーチャルマシンJava(登録商標) 540のアプリケーションサーバJ2EE 842のservletのコンテナ 844に送られる。(複数)要求の処理結果(複数)はアプリケーションサーバ842によってサーバhttp 830に送られる。
【0096】
モジュールOAMSと同様に、モジュールGAMSはサービスweb 846 (WS)及び2つの専用サービス(それぞれ《message provider》及び《receive》と呼ばれる)を有すると有利である。サービス《message provider》848は、モジュールOAMSにおいて(複数)メッセージを処理する。他方、サービス《receive》850は、サーバーhttp830から(複数)メッセージを受け取り、それらをメモリ又はデータベース852のメッセージBOXに分配する。こうして、2つのサービス848及び850はデータベース852とインターフェースして、専用メッセージBOXに(複数)メッセージを蓄える。これらは、モジュールOAMSにおけるのと同様なやり方で構成されることが好ましい。即ち、アプリケーションに毎に専用に、例外は別にして、モジュールGAMSが複数航空機を管理し、航空機毎に、優先度によってメッセージBOXを再グループ化するようにである。
【0097】
サービスwebタイプのインターフェースを利用すると、(複数)アプリケーションに不可欠な独自のAPIを使わず、通信システムと通信することができる。しかも、EAIとインターフェースするために専用コネクタを維持することができる。
【0098】
サービスweb818及び746は、モジュールOAMSとモジュールGAMSのservletのコンテナの中に追加され、WSDLと記載されたインターフェースを介して、クライアントアプリケーションにより送出された(複数)要求SOAPを取り戻し、別のサービス(複数)にそれらを送信する機能をもつ。
【0099】
当然、特定の必要性を満たすために、本発明の当業者は前記記載において、変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(105)の少なくとも1のアプリケーション及び地上局の少なくとも1のアプリケーションとの間でデータ交換をするための、航空機におけるデータ通信方法であって、前記航空機は、少なくとも前記航空機と少なくとも地上局(120)における1のエンティティとの間に、少なくとも2つの異なるタイプの複数の通信チャネルに基づいて、少なくとも1の接続路を確立するように構成された手段(115)を有し、次のステップを含むことを特徴とする方法。
−事象を検出するステップ(405、430);
−前記事象に基づいて通信のコンフィギュレーションを決定するステップ(410,435);該事象によって、前記航空機は、前記(複数)通信チャネルのうちの少なくとも1の通信チャネルを介して、地上における少なくとも1のエンティティにデータを送受信できる。
−前記通信コンフィギュレーションに基づいて、前記航空機と地上における前記少なくとも1のエンティティとの間の少なくとも1の接続路を確立するようにする前記手段を適用するステップ。
前記アプリケーションにより受信され、前記アプリケーションにより送信される(複数)データのフォーマットとコンテンツは、通信チャネルから独立しており、少なくとも2つの異なるタイプの通信チャネルの内の少なくとも1はオープンタイプである。
【請求項2】
更に少なくとも1のデータを送信するステップを有し、以下のステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
−前記少なくとも1のデータの優先度レベルを決定するステップ(710);
−少なくとも1の接続路の通信チャネルタイプを決定するステップ(725);
−前記決定される通信チャネルの前記タイプが前記優先度レベルと一致する場合は(730)、前記少なくとも1の地上のエンティティに少なくとも1のデータを送信するステップ。
【請求項3】
前記地上における少なくとも1のエンティティの送信先アドレスは各優先度レベルに関係付けられ、前記少なくとも1のデータは前記少なくとも1のデータの優先度レベルに関係する送信先アドレスに送信されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定された通信チャネルと前記優先度レベルとの一致性の決定は、少なくとも1のコンフィギュレーションのパラメータの関数であることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
更に少なくとも1の送信データに対するアクセスステップを含み、前記少なくとも1のデータのフォーマットは前記少なくとも1の接続路の通信チャネルから独立していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法の各ステップを実行するように構成された命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項7】
航空機(105)の少なくとも1のアプリケーション及び地上局の少なくとも1のアプリケーションとの間でデータ交換をするための、航空機におけるデータ通信装置であって、
前記航空機は、少なくとも前記航空機と少なくとも地上局(120)における1のエンティティとの間に、少なくとも2つの異なるタイプの複数の通信チャネルに基づいて、少なくとも1の接続路を確立するように構成された手段(115)を有し、次のステップを含むことを特徴とする方法。
−事象を検出する手段(350);
−前記事象に基づいて通信のコンフィギュレーションを決定する手段;該事象によって、前記航空機は、前記(複数)通信チャネルのうちの少なくとも1の通信チャネルを介して、地上における少なくとも1のエンティティにデータを送受信できる、
−前記通信コンフィギュレーションに基づいて、前記航空機と地上における前記少なくとも1のエンティティとの間の少なくとも1の接続路を確立するようにする前記手段を適用する装置(360)。
なお、前記アプリケーションにより受信され、前記アプリケーションにより送信される(複数)データのフォーマットとコンテンツは通信チャネルの少なくとも2つの異なるタイプの内の少なくとも1はオープンタイプである。
【請求項8】
更に少なくとも1のデータを送信する手段を有し、以下の手段を有することを特徴とする請求項7に記載の装置。
−前記少なくとも1のデータの優先度レベルを決定する手段;
−少なくとも1の接続路の通信チャネルタイプを決定する手段;
−前記決定される通信チャネルの前記タイプが前記優先度レベルと一致する場合は、前記少なくとも1の地上のエンティティに少なくとも1のデータを送信する手段。
【請求項9】
更に、送信データを記憶する記憶手段を有する装置であって、前記送信データは送信データの優先度レベルに基づいて記憶され、地上における前記少なくとも1のエンティティの送信先アドレスは優先度レベルに関係付けられていることを特徴とする請求項8に記載された装置。
【請求項10】
前記事象検出手段は前記通信チャネルの状態の変更または前記航空機の位置を検出するように構成されることを特徴とする請求項2ないし9のいずれか1項に記載された装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−524316(P2010−524316A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501555(P2010−501555)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000477
【国際公開番号】WO2008/139062
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(506355257)エアバス フランス (117)
【出願人】(503172666)エアバス (43)
【Fターム(参考)】