説明

航空障害灯

【課題】光源が故障した場合に、交換時に発生する危険性を回避すると共に、交換作業を容易として作業時間の短縮を図った航空障害灯を提供する。
【解決手段】この航空障害灯100は、航空障害灯を発光させる光源4と、光源4から発光された光を収束して伝播させる光源用光ファイバ2と、を備えて構成されている。そして、光源4を送電鉄塔5の低所(この例では大地8)に配置し、光源4から発光された光を光源用光ファイバ2の入射端部から入射させ、光源用光ファイバ2の光放射部(出射端部)3を地上高の高い送電鉄塔5(飛行障害物)の頂部に配置したものである。尚、光源の電源は低圧電力線1(100V又は200V)から供給される。そして本実施形態では、光源4及び光源用光ファイバ2は送電鉄塔5、5a、5bごとに個別に備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空障害灯に関し、さらに詳しくは、航空機の飛行の障害となる地上高の高い飛行障害物の存在を認識させる航空障害灯の光源を地上に配置し、光ファイバによりライトガイドして光放射部を飛行障害物の高所に配置する航空障害灯の構成技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空障害灯は夜間における航空機の安全を確保するために必要とされるものであり、地上からの高さが60m以上の地上高の高い飛行障害物は、高さ方向に一定間隔をおいて航空障害灯を配置しなければならないと法定されている。
ところで、送電鉄塔の高所等に航空障害灯を設置して点灯する場合、従来は、配電線を送電鉄塔まで引き込んで高所等に設置した航空障害灯に接続して点灯させるか、或いは架空地線を大地から絶縁して誘導電圧を発生させることにより確保した電源により航空障害灯を点灯させていた。
【0003】
特許文献1には、風力発電機の風車の回転支軸の先端に設けた光源と、回転支軸の回りに回転する風車の回転胴に取り付けた複数の回転羽の中空部のそれぞれに配置され、光源からの光を受光して回転羽の先端部において外部に向けて発光する光ファイバと、回転胴の中空部と光源との間に回転支軸から延設され、回転羽が航空障害領域にある間のみ、光源からの光を光ファイバが受光できるスリット部を有する遮光壁とから構成される風力発電機の航空障害灯点滅装置について開示されている。
【特許文献1】特開平11−182409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の送電鉄塔の高所に航空障害灯を設置して点灯する方法では、航空障害灯のランプが寿命等で切れた場合、ランプ交換のために送電鉄塔の高所まで登って作業を行なわなければならず、多くの危険性が伴うといった問題がある。また、山間部などでは配電線の引き込みに手間と費用が掛かり、倒木等による配電線断線の虞がある。また、誘導電圧により航空障害灯を点灯させる場合、山間部などでは送電鉄塔への落雷により、点灯制御回路等が焼損する虞がある。更に、架空地線に誘導される電圧は極めて高く、取り扱いが危険であると共に、点灯制御回路等が複雑且つ高価になるといった問題がある。
また、特許文献1に開示されている従来技術は、風力発電機の風車の回転羽が航空障害領域に入ったときに航空障害灯を点灯させ、航空障害領域を外れたときに航空障害灯を消灯させる航空障害灯点滅装置であるが、光源が回転支軸の先端に設けているため、光源が故障した場合は、高所に登って修理しなければならず、修理時の危険性を回避することができないばかりか、修理に多大の時間を要するといった問題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、航空障害灯の光源を飛行障害物等の高所等の高所に配置するのではなく、地上、或いは地上に近い低所に配置し、そこから光源用光ファイバを延伸してライトガイドし、光放射部を飛行障害物の高所に設置することにより、光源が故障した場合に、交換時に発生する危険性を回避すると共に、交換作業を容易として作業時間の短縮を図った航空障害灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、航空機の飛行の障害となる飛行障害物に設置される航空障害灯であって、前記航空障害灯を発光させる光源と、該光源から発光された光を収束して伝播させる光源用光ファイバと、を備え、前記光源を前記航空障害灯よりも低所に配置し、該光源から発光された光を前記光源用光ファイバの入射端部から入射させ、該光源用光ファイバの出射端部を前記飛行障害物の高所に配置したことを特徴とする。
本発明の最も大きな特徴は、光源の設置場所として飛行障害物の頂部等の高所を避けた低所、例えば地上や地上に近い場所を選定し、低所に配置した光源から延伸した光ファイバの出射端部を障害物の高所に配置した点である。即ち、光源から発光された光を光ファイバによりライトガイドして障害物の高所まで伝播させ、光ファイバの出射端部から光を放射させるものである。これにより、光源のメンテナンスが容易となり、且つ光源の交換が危険性を伴わずに行うことができる。
【0007】
請求項2は、前記光源及び前記光源用光ファイバを前記飛行障害物ごとに個別に設置したことを特徴とする。
最も単純な構成は、光源と光源用光ファイバを各障害物ごとに配置することである。但しこれを実現するためには、光源用の電源が供給できる位置に飛行障害物が存在する場合に限られる。これにより、電源供給が可能な場所にある飛行障害物に対しては、容易に本発明の航空障害灯を設置することができる。
【0008】
請求項3は、航空機の飛行の障害となる飛行障害物に設置される航空障害灯であって、前記航空障害灯を発光させる光源及び該光源から発光された光を少なくとも2箇所に分配する光分配部を備えた光源分配器と、該光源分配器により分配された光を夫々収束して伝播させる複数の光源用光ファイバと、を備え、前記光源分配器を前記航空障害灯よりも低所に配置し、前記光源から発光された光を前記光源分配器により分配して前記各光源用光ファイバの入射端部から入射させ、前記各光源用光ファイバの一方の出射端部を当該飛行障害物の高所に配置すると共に、他方の出射端部を隣接する他の飛行障害物の高所に配置したことを特徴とする。
各障害物に光源と光ファイバを配置した場合、飛行障害物の数だけ光源と光ファイバが必要となり、コストの負担が重くなる。そこで本発明では、光源から発光された光を分配して、一方の光ファイバの出射端部を当該飛行障害物の高所に配置すると共に、他方の出射端部を隣接する他の飛行障害物の高所に配置するものである。これにより、最低でも光源の数を半分に減らすことができるのでコストを半分以下にすることができる。
【0009】
請求項4は、前記光源分配器と、光を入射する入射部を有し該入射部から入射した光を少なくとも2箇所に分配する光分配器と、を備え、該光分配器を前記他の飛行障害物近傍に夫々配置し、前記光源分配器により分配された光源用光ファイバの前記他方の出射端部を該光分配器の入射部に接続し、該光分配器により分配された光源用光ファイバの一方の出射端部を当該飛行障害物の高所に配置し、他方の出射端部を隣接する他の飛行障害物近傍に配置された光分配器の入射部に接続する構成としたことを特徴とする。
本発明は1つの光源を低所に配置し、この光源から発光されて光を光分配器により順次分配して、複数の飛行障害物の航空障害灯を点灯していくものである。従って、光源の光量は複数の飛行障害物の航空障害灯を点灯するのに必要な光量が要求される。従って、この条件が満足されるのであれば、所定の飛行障害物の数に対して1つの光源により航空障害灯を点灯することができる。これにより、光源の数を最小限にすることができ、装置コストとメンテナンスコストを最小限にすることができる。
【0010】
請求項5は、前記飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線内に前記光源用光ファイバを含ませ、前記光源分配器を低所に配置し、前記光源から発光された光を前記光源分配器により分配して前記各光源用光ファイバの入射端部から入射させ、前記各光源用光ファイバの一方の出射端部を当該送電鉄塔の高所に配置すると共に、他方の出射端部を前記架空地線内に含ませた光源用光ファイバから分岐して隣接する送電鉄塔に配置したことを特徴とする。
送電鉄塔には、架空地線が必ず敷設されている。また、架空地線内には通信用の光ファイバが含まれている場合もある。従って、この架空地線を有効に利用するために、架空地線内に予め光源用光ファイバを含ませて製作しておくことにより、この光源用光ファイバを利用して航空障害灯を実現するものである。本発明では、隣接する送電鉄塔にこの光源用光ファイバを利用して出射端部を送電鉄塔の高所に配置するものである。これにより、隣接する送電鉄塔までの光ファイバを新たに敷設する手間が省けて、工事の期間を短縮することができる。
【0011】
請求項6は、前記飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線内に前記光源用光ファイバを含ませ、前記光源分配器を低所に配置し、前記光源から発光された光を前記光源分配器により分配して前記各光源用光ファイバの入射端部から入射させ、前記各光源用光ファイバの一方の出射端部を当該送電鉄塔の高所に配置すると共に、他方の出射端部を前記架空地線内に含ませた光源用光ファイバから分岐して隣接する送電鉄塔近傍に配置された前記光分配器の入射部に接続する構成としたことを特徴とする。
1つの光源を低所に配置し、この光源から発光されて光を光分配器により順次分配して、複数の送電鉄塔の航空障害灯を点灯していく場合、光を伝播させる光ファイバを架空地線に含ませた光源用光ファイバを利用するものである。本発明では、隣接する送電鉄塔にこの光源用光ファイバを利用して出射端部を各送電鉄塔の高所に配置すると共に、他方の出射端部を架空地線内に含ませた光源用光ファイバから分岐して隣接する送電鉄塔近傍に配置された光分配器の入射部に接続するものである。これにより、隣接する送電鉄塔までの光ファイバを新たに敷設する手間が省けて、工事の期間を短縮することができる。
【0012】
請求項7は、前記飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線内に低圧電力線を含ませ、前記光源を低部に配置し、該光源から発光された光を前記光源用光ファイバの入射端部から入射させ、該光源用光ファイバの出射端部を前記送電鉄塔の高所に配置すると共に、前記光源の電源を前記架空地線内に含ませた前記低圧電力線から分岐し、隣接する送電鉄塔近傍に配置された前記光源に電源を供給する構成としたことを特徴とする。
送電鉄塔が存在する場所は山間部が多く、光源用の低圧電力線が近くに無い場合が多い。そこで本発明では、架空地線内に光源用光ファイバではなく、光源用の低圧電力線を含ませるものである。そして、各送電鉄塔に配置した光源にこの低圧電力線から電力を供給するものである。これにより、低圧電力線の敷設が必要なくなり、設備コストを低減することができる。
【0013】
請求項8は、前記光源用光ファイバは、多成分ガラス又はプラスチックにより構成されていることを特徴とする。
通信用光ファイバは通信品質の維持と信号の減衰量を低減するために、石英主体のガラスファイバが使用される。しかし、ガラスファイバはコストが高く、且つ扱いが難しいといった課題がある。本発明の光源用光ファイバは、光を伝播することが主目的であるので、材料として多成分ガラス又はプラスチックでも充分である。これにより、光ファイバのコストを安価にすることができ、ファイバの取り扱いも容易となる。
【0014】
請求項9は、前記光源は、ハロゲンランプと、集光レンズと、を備えて構成されていることを特徴とする。
ハロゲンランプは白熱灯よりも太陽の光に近い発色をし、又長持ちすることからも外灯や自動車のヘッドライト、医療器具などに幅広く利用される。また、ハロゲンサイクルによりフィラメントの寿命が永くなるといった特徴を有している。そしてランプから発光した光が拡散しないように集光レンズにより集光して光ファイバに入射させる。これにより、光源の寿命が永く且つ光量が大きい光源を実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、航空障害灯を発光させる光源と、この光源から発光された光を収束して伝播させる光源用光ファイバと、を備え、光源を航空障害灯よりも低所に配置し、この光源から発光された光を光源用光ファイバの入射端部から入射させ、光源用光ファイバの出射端部を飛行障害物の高所に配置したので、光源のメンテナンスが容易となり、且つ光源の交換が危険性を伴わずに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の第1の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。尚、以下の説明では飛行障害物として送電鉄塔を例にとり説明する。この航空障害灯100は、航空障害灯を発光させる光源4(詳細は後述する)と、光源4から発光された光を収束して伝播させる光源用光ファイバ2と、を備えて構成されている。そして、光源4を送電鉄塔5の低所(この例では大地8)に配置し、光源4から発光された光を光源用光ファイバ2の入射端部から入射させ、光源用光ファイバ2の光放射部(出射端部)3を地上高の高い送電鉄塔5(飛行障害物)の頂部に配置したものである。尚、光源の電源は低圧電力線1(100V又は200V)から供給される。そして本実施形態では、光源4及び光源用光ファイバ2は送電鉄塔5、5a、5bごとに個別に備えられている。
【0017】
即ち、本実施形態の最も大きな特徴は、光源4を大地8に配置し、その光源4から延伸した光源用光ファイバ2の光放射部3を送電鉄塔5の頂部に配置した点であり、光源4から発光された光を光源用光ファイバ2によりライトガイドして送電鉄塔5の頂部まで伝播させ、光源用光ファイバ2の光放射部3から光を放射させるものである。これにより、光源4のメンテナンスが容易となり、且つ光源4の交換が危険性を伴わずに行うことができる。また、最も単純な構成としては、光源4と光源用光ファイバ2を各送電鉄塔5、5a、5bごとに配置することである。但しこれを実現するためには、低圧電力線1が供給できる位置に送電鉄塔5、5a、5bが存在する場合に限られる。これにより、電源供給が可能な場所にある送電鉄塔5、5a、5bに対しては、容易に航空障害灯100を設置することができる。
【0018】
図2は本発明の第2の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。この航空障害灯110は、航空障害灯110を発光させる光源及びこの光源から発光された光を少なくとも2箇所に分配する光分配部を備えた光源分配器7(詳細は後述する)と、光源分配器7により分配された光を夫々収束して伝播させる光源用光ファイバ2、2aと、を備えて構成されている。
そして光源分配器7を送電鉄塔5、5bの低所(この例では大地8)に配置し、光源から発光された光を光源分配器7により分配して各光源用光ファイバ2、2aの夫々の入射端部から入射させ、光源用光ファイバ2の光放射部3を当該送電鉄塔5、5bの頂部に配置すると共に、光源用光ファイバ2aの光放射部3aを隣接する他の送電鉄塔5aの頂部に配置するものである。尚、光源分配器7の電源は低圧電力線1(100V又は200V)から供給される。同様にして送電鉄塔5bにも配置される。
【0019】
即ち、図1のように各送電鉄塔5に光源4と各光源用光ファイバ2を配置した場合、送電鉄塔5の数だけ光源4と光源用光ファイバ2が必要となり、コストの負担が重くなる。そこで本実施形態では、光源分配器7により光を分配して、光源用光ファイバ2の光放射部3を当該送電鉄塔5の頂部に配置すると共に、光源用光ファイバ2aの光放射部3aを隣接する他の送電鉄塔5の頂部に配置するものである。これにより、最低でも光源分配器7の数を半分に減らすことができるのでコストを半分以下にすることができる。
【0020】
図3は本発明の第3の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。この航空障害灯120は、図2の光源分配器7と、光を入射する入射部を有し入射部から入射した光を少なくとも2箇所に分配する光分配器9a、9b(詳細は後述する)と、を備えて構成される。そして光源分配器7を送電鉄塔5の低所(この例では変電所11)に配置し、光分配器9a、9bを他の送電鉄塔5a、5b近傍に夫々配置し、光源用光ファイバ2の光放射部3aを当該送電鉄塔5の頂部に配置すると共に、光源分配器7により分配された光源用光ファイバ2aの光放射部3bを光分配器9aの入射部に接続し、光分配器9aにより分配された光源用光ファイバ2bの光放射部3cを当該送電鉄塔5aの頂部に配置し、光源用光ファイバ2cの光放射部3dを隣接する他の送電鉄塔5b近傍に配置された光分配器9の入射部に接続する構成とし、以下同様にして構成される。
【0021】
即ち、本実施形態は1つの光源分配器7を変電所11に配置し、この光源分配器7により分配された他方の光を光分配器9a、9bにより順次分配して、複数の送電鉄塔5a、5bの光放射部3c、3eを点灯していくものである。従って、光源分配器7の光量は複数の送電鉄塔5a、5bの光放射部3c、3eを点灯するのに必要な光量が要求される。従って、この条件が満足されるのであれば、所定の送電鉄塔の数に対して1つの光源により航空障害灯を点灯することができる。これにより、光源の数を最小限にすることができ、装置コストとメンテナンスコストを最小限にすることができる。
【0022】
図4は本発明の第4の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。この航空障害灯130は、飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線6a内に光源用光ファイバ22(図7(b)参照)を含ませ、光源分配器7を低所(この例では大地8)に配置し、光源から発光された光を光源分配器7により分配して各光源用光ファイバ2、2aの入射端部から入射させ、光源用光ファイバ2の光放射部3を当該送電鉄塔5の頂部に配置すると共に、光源用光ファイバ2aの光放射部3aを架空地線6a内に含ませた光源用光ファイバ22から分岐部10から分岐して隣接する送電鉄塔5aに配置したものである。
【0023】
即ち、送電鉄塔には、架空地線6aが必ず敷設されている。また、架空地線6a内には通信用の光ファイバ21(図7(a)参照)が含まれている場合もある。従って、この架空地線6aを有効に利用するために、架空地線6a内に予め光源用光ファイバ22を含ませて製作しておくことにより、この光源用光ファイバ22を利用して航空障害灯を実現するものである。本実施形態では、隣接する送電鉄塔5aにこの光源用光ファイバ22を利用して出射端部3aを送電鉄塔5aの頂部に配置するものである。これにより、隣接する送電鉄塔5aまでの光ファイバを新たに敷設する手間が省けて、工事の期間を短縮することができる。
【0024】
図5は本発明の第5の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。この航空障害灯140は、飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線6a内に光源用光ファイバ22を含ませ、光源分配器7を低所(この例では変電所11)に配置し、光源から発光された光を光源分配器7により分配して各光源用光ファイバ2の入射端部から入射させ、光源用光ファイバ2の光放射部3aを当該送電鉄塔5の頂部に配置すると共に、光源用光ファイバ2aの光放射部3bを架空地線6a内に含ませた光源用光ファイバ22から分岐部10から分岐して隣接する送電鉄塔5a近傍に配置された光分配器9aの入射部に接続する構成としたものである。
【0025】
即ち、1つの光源分配器7を変電所11内に配置し、この光源分配器7から発光されて光を光分配器4a、4bにより順次分配して、複数の送電鉄塔の航空障害灯を点灯していく場合、光を伝播させる光ファイバを架空地線6aに含ませた光源用光ファイバ22を利用するものである。本実施形態では、光源用光ファイバ2の光放射部3aを当該送電鉄塔5の頂部に配置すると共に、光源用光ファイバ2aの光放射部3bを光源用光ファイバ22から分岐して隣接する送電鉄塔5a近傍に配置された光分配器9aの入射部に接続するものである。これにより、隣接する送電鉄塔までの光ファイバを新たに敷設する手間が省けて、工事の期間を短縮することができる。
【0026】
図6は本発明の第6の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。この航空障害灯150は、飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線6b内に低圧電力線23(図7(c)参照)を含ませ、光源4を低部(この例では大地8)に配置し、光源4から発光された光を光源用光ファイバ2の入射端部から入射させ、光源用光ファイバ2の出射端部3を送電鉄塔5の頂部に配置すると共に、光源4の電源1を架空地線6b内に含ませた低圧電力線23から分岐し、隣接する送電鉄塔5a近傍に配置された光源4aに電源を供給する構成としたものである。
【0027】
即ち、送電鉄塔が存在する場所は山間部が多く、光源用の低圧電力線が近くに無い場合が多い。そこで本実施形態では、架空地線6b内に光源用光ファイバではなく、光源用の低圧電力線23を含ませるものである。そして、各送電鉄塔5、5a、5bに配置した光源4、4a、4bにこの低圧電力線23から電力を供給するものである。これにより、低圧電力線23の敷設が必要なくなり、設備コストを低減することができる。
【0028】
図7は架空地線の断面図の一例である。図7(a)は従来の架空地線の断面図、(b)は本発明の光源用光ファイバを含む架空地線の断面図、(c)は本発明の低圧電力線を含む架空地線の断面図である。図7(a)の架空地線は外側に被覆されたアルミ覆鋼線24と、内部に通信用光ファイバ21と、を備えて構成されている。(b)の架空地線は外側に被覆されたアルミ覆鋼線24と、内部に通信用光ファイバ21と、中心部に光源用光ファイバ22と、を備えて構成されている。(c)の架空地線は外側に被覆されたアルミ覆鋼線24と、内部に通信用光ファイバ21と、中心部に低圧電力線23と、を備えて構成されている。
【0029】
図8は光源の内部構成の一例を示す図である。この光源4は、光源に直流電力を供給する電源装置30と、光源31と、光源31から発光された光を集光する集光レンズ32と、を備えて構成されている。そして光源用光ファイバ2の入射端部36に集光レンズ32により集光された光が入射する構成となっている。また、光源用光ファイバ2の一方の端部は出射端部37により構成されている。
【0030】
図9は光源分配器の内部構成の一例を示す図である。この光源分配器7は、光源に直流電力を供給する電源装置30と、光源31と、光源31から発光された光を集光する集光レンズ32と、集光レンズ32により集光された光を2分配する光分配部33と、を備えて構成されている。そして光分配部33から光源用光ファイバ2、2aに集光レンズ32により集光された光が分配されて入射する構成となっている。
【0031】
図10は光分配器の内部構成の一例を示す図である。この光分配器9は、入射部34から入射した光を2分配する光分配部35を備えて構成されている。そして光分配部35から光源用光ファイバ2、2aに分配されて入射する構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る航空障害灯の構成を示す図である。
【図7】(a)は従来の架空地線の断面図、(b)は本発明の光源用光ファイバを含む架空地線の断面図、(c)は本発明の低圧電力線を含む架空地線の断面図である。
【図8】光源の内部構成の一例を示す図である。
【図9】光源分配器の内部構成の一例を示す図である。
【図10】光分配器の内部構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 低圧電力線、2 光源用光ファイバ、3 光放射部、4 光源、5 送電鉄塔、6 架空地線、7 光源分配器、8 大地、9 光分配器、10 分岐部、11 変電所、20 アルミ覆鋼線、21 通信用光ファイバ、22 光源用光ファイバ、23 低電力線、100 航空障害灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の飛行の障害となる飛行障害物に設置される航空障害灯であって、
前記航空障害灯を発光させる光源と、該光源から発光された光を収束して伝播させる光源用光ファイバと、を備え、
前記光源を前記航空障害灯よりも低所に配置し、該光源から発光された光を前記光源用光ファイバの入射端部から入射させ、該光源用光ファイバの出射端部を前記飛行障害物の高所に配置したことを特徴とする航空障害灯。
【請求項2】
前記光源及び前記光源用光ファイバを前記飛行障害物ごとに個別に設置したことを特徴とする請求項1に記載の航空障害灯。
【請求項3】
航空機の飛行の障害となる飛行障害物に設置される航空障害灯であって、
前記航空障害灯を発光させる光源及び該光源から発光された光を少なくとも2箇所に分配する光分配部を備えた光源分配器と、該光源分配器により分配された光を夫々収束して伝播させる複数の光源用光ファイバと、を備え、
前記光源分配器を前記航空障害灯よりも低所に配置し、前記光源から発光された光を前記光源分配器により分配して前記各光源用光ファイバの入射端部から入射させ、前記各光源用光ファイバの一方の出射端部を当該飛行障害物の高所に配置すると共に、他方の出射端部を隣接する他の飛行障害物の高所に配置したことを特徴とする航空障害灯。
【請求項4】
前記光源分配器と、光を入射する入射部を有し該入射部から入射した光を少なくとも2箇所に分配する光分配器と、を備え、
該光分配器を前記他の飛行障害物近傍に夫々配置し、前記光源分配器により分配された光源用光ファイバの前記他方の出射端部を該光分配器の入射部に接続し、該光分配器により分配された光源用光ファイバの一方の出射端部を当該飛行障害物の高所に配置し、他方の出射端部を隣接する他の飛行障害物近傍に配置された光分配器の入射部に接続する構成としたことを特徴とする請求項3に記載の航空障害灯。
【請求項5】
前記飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線内に前記光源用光ファイバを含ませ、
前記光源分配器を低所に配置し、前記光源から発光された光を前記光源分配器により分配して前記各光源用光ファイバの入射端部から入射させ、前記各光源用光ファイバの一方の出射端部を当該送電鉄塔の高所に配置すると共に、他方の出射端部を前記架空地線内に含ませた光源用光ファイバから分岐して隣接する送電鉄塔に配置したことを特徴とする請求項3に記載の航空障害灯。
【請求項6】
前記飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線内に前記光源用光ファイバを含ませ、
前記光源分配器を低所に配置し、前記光源から発光された光を前記光源分配器により分配して前記各光源用光ファイバの入射端部から入射させ、前記各光源用光ファイバの一方の出射端部を当該送電鉄塔の高所に配置すると共に、他方の出射端部を前記架空地線内に含ませた光源用光ファイバから分岐して隣接する送電鉄塔近傍に配置された前記光分配器の入射部に接続する構成としたことを特徴とする請求項4に記載の航空障害灯。
【請求項7】
前記飛行障害物が送電鉄塔である場合、各送電鉄塔間に配設された架空地線内に低圧電力線を含ませ、
前記光源を低部に配置し、該光源から発光された光を前記光源用光ファイバの入射端部から入射させ、該光源用光ファイバの出射端部を前記送電鉄塔の高所に配置すると共に、前記光源の電源を前記架空地線内に含ませた前記低圧電力線から分岐し、隣接する送電鉄塔近傍に配置された前記光源に電源を供給する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の航空障害灯。
【請求項8】
前記光源用光ファイバは、多成分ガラス又はプラスチックにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の航空障害灯。
【請求項9】
前記光源は、ハロゲンランプと、集光レンズと、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の航空障害灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−83832(P2008−83832A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261129(P2006−261129)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】