説明

舶用ボイラ、舶用ボイラの運転方法

【課題】舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法において、ガス燃料(LNG船の場合BOGのガス燃料)を安定した状態で燃焼させることができること。
【解決手段】この発明は、ボイラ本体1と、高負荷用の第1バーナ21と、低負荷用の第2バーナ22と、を備える。第2バーナ22は、保炎筒体220と、第2ノズル221と、イグナイタ222と、から構成されている。第2ノズル221のガス燃料噴射口224は、保炎筒体220の火口223よりもガス燃料8の噴射方向と反対側に位置する。この結果、この発明は、ガス燃料(LNG船の場合BOGのガス燃料)を安定した状態で燃焼させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶に搭載される舶用ボイラに関するものである。また、この発明は、船舶に搭載される舶用ボイラの運転方法に関するものである。特に、この発明は、ガス燃料(LNG船の場合BOGのガス燃料)を安定した状態で燃焼させることができる舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舶用ボイラは、ターンダウン比(最大負荷:最低負荷)がたとえば約15:1の高ターンダウン比が要求されている。ここで、舶用ボイラのガス焚きのバーナのターンダウン比は、バーナの構造により差異はあるが概ね約7:1である。これに対して、舶用ボイラの油焚きのバーナのターンダウン比は、バーナの構造により差異はあるが概ね約15:1である。これは、着火安定性がガス燃料よりも油燃料のほうが良いからである。
【0003】
このために、舶用ボイラは、船舶がたとえば海洋海域を航行する時(すなわち、船舶の通常航行時、船舶の高負荷航行時、船舶の高速航行時)には、ガス燃料を使用し、船舶がたとえば沿岸海域を航行する時(すなわち、船舶の低負荷航行時、船舶の低速航行時)には、油燃料を使用する。すなわち、ガス燃料のみでは失火する虞がある場合には油燃料を使用する。このように、舶用ボイラは、ガス燃料と油燃料とを双方を使用するバーナを採用している。また、LNG船においても、沿岸海域航行用に油燃料を保有する必要がある。
【0004】
ところが、近年、環境規制の関心の高まりから、沿岸海域において使用される油燃料の含有S分規制が施行されている。また、低S分化の油燃料のコストが増加される傾向にある。このために、船舶の低負荷航行時であっても、ガス燃料を安定した状態で燃焼させることができる舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法が望まれている。
【0005】
一方、LNG船においては、LNGタンク内の気化ガス(BOG)の処理の必要性から極力BOGのガス燃料の消費を促進させる傾向にある。
【0006】
ところが、舶用ボイラに使用されるBOGのガス燃料は、タンク(ガス燃料供給源)中において蒸留する成分として軽質分が主となるので、LNGのガス燃料と比較して、CH4の割合が多い。CH4の割合は、LNGのガス燃料が約90%であるのに対して、BOGのガス燃料が約98%である。なお、残分はC2H6、C3H8などの重質分である。CH4の割合が多くなると、層流燃焼速度が遅くなるために、燃焼性が悪くなるすなわち失火し易くなる。このために、BOGのガス燃料を使用している舶用ボイラの燃焼器の燃焼性は、LNGのガス燃料を使用しているガスタービンの燃焼器の燃焼性よりも悪い。このために、LNG船の場合においては、燃焼性がLNGのガス燃料と比較して悪いBOGのガス燃料を安定した状態で燃焼させることができる舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法が望まれている。
【0007】
そこで、船舶の低負荷航行時であっても、ガス燃料(LNG船の場合燃焼性が悪いBOGのガス燃料)を安定した状態で燃焼させる舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法(たとえば、特許文献1、特許文献2)が先に出願されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−65851号公報
【特許文献2】特開2005−226561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法において、ガス燃料(LNG船の場合BOGのガス燃料)を安定した状態で燃焼させることができることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)は、ボイラ本体と、ボイラ本体に設けられている高負荷用の第1バーナと、ボイラ本体に設けられている低負荷用の第2バーナと、を備え、第1バーナが、筒形状のバーナ本体と、バーナ本体中に配置されている第1ノズルと、から構成されていて、第2バーナが、一端に火口を有する筒形状の保炎筒体と、保炎筒体中に配置されていて一端のガス燃料噴射口からガス燃料を保炎筒体の火口側に噴射する第2ノズルと、保炎筒体中に配置されていて第2ノズルのガス燃料噴射口から噴射されるガス燃料を着火するイグナイタと、から構成されていて、第2ノズルのガス燃料噴射口が、保炎筒体の火口よりもガス燃料噴射方向と反対側に位置する、ことを特徴とする。
【0011】
この発明(請求項2にかかる発明)は、ボイラ本体と、ボイラ本体に設けられている高負荷用の第1バーナであって、筒形状のバーナ本体と、バーナ本体中に配置されている第1ノズルと、から構成されている高負荷用の第1バーナと、ボイラ本体に設けられている低負荷用の第2バーナであって、一端に火口を有する筒形状の保炎筒体と、保炎筒体中に配置されていて一端のガス燃料噴射口からガス燃料を保炎筒体の火口側に噴射する第2ノズルと、保炎筒体中に配置されていて第2ノズルのガス燃料噴射口から噴射されるガス燃料を着火するイグナイタと、から構成されていて、第2ノズルのガス燃料噴射口が保炎筒体の火口よりもガス燃料噴射方向と反対側に位置する低負荷用の第2バーナと、ガス燃料供給源と、ガス燃料供給源と第1ノズルとの間に設けられている第1ガス燃料供給ラインと、ガス燃料供給源と第2ノズルとの間に設けられている第2ガス燃料供給ラインと、第1ガス燃料供給ラインに設けられている第1流量制御弁と、第2ガス燃料供給ラインに設けられている第2流量制御弁と、船舶の運転状態に応じて変化する蒸気タービンの負荷を検出してその検出信号を出力する負荷検出部と、第1流量制御弁および第2流量制御弁および負荷検出部にそれぞれ接続されていて、負荷検出部からの検出信号に基づいて、第1流量制御弁および第2流量制御弁に流量制御信号を出力し、船舶が通常航行時には第1流量制御弁および第2流量制御弁を制御して主に第1ノズルにガス燃料を供給し、船舶が低負荷航行時には第1流量制御弁および第2流量制御弁を制御して第2ノズルのみにガス燃料を供給する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【0012】
この発明(請求項3にかかる発明)は、イグナイタが制御部に接続されていて、制御部が、蒸気タービンの負荷を上げる時には、イグナイタにより第2バーナを着火し、第2流量制御弁により第2ノズルへのガス燃料の供給量を増加し、第1流量制御弁により第1ノズルへのガス燃料の供給を開始して第1バーナを着火し、蒸気タービンの負荷を下げる時には、第1流量制御弁により第1ノズルへのガス燃料の供給量を減少し、イグナイタにより第2バーナを着火し、第2流量制御弁により第2ノズルへのガス燃料の供給量を増加しながら、第1流量制御弁により第1ノズルへのガス燃料の供給量を減少して第1バーナを消火する、制御を行う、ことを特徴とする。
【0013】
この発明(請求項4にかかる発明)は、第1バーナの複数本の第1ノズルが第1バーナのバーナ本体中の周辺に配置されていて、第2バーナが第1バーナのバーナ本体中の中央に配置されていて、第1バーナの複数本の第1ノズルと第2バーナとの間にはスワーラが配置されている、ことを特徴とする。
【0014】
この発明(請求項5にかかる発明)は、第1バーナの複数本の第1ノズルが第1バーナのバーナ本体中の周辺に配置されていて、第1バーナのバーナ本体中の中央には油バーナが配置されていて、第1バーナの複数本の第1ノズルと油バーナとの間にはスワーラが配置されていて、第2バーナがボイラ本体に第1バーナと別個に設けられている、ことを特徴とする。
【0015】
この発明(請求項6にかかる発明)は、ボイラ本体と、ボイラ本体に設けられていてバーナ本体と第1ノズルとから構成されている高負荷用の第1バーナと、ボイラ本体に設けられていて保炎筒体と第2ノズルとイグナイタとから構成されていて第2ノズルのガス燃料噴射口が保炎筒体の火口よりもガス燃料噴射方向と反対側に位置する低負荷用の第2バーナと、ガス燃料供給源と、第1ガス燃料供給ラインと、第2ガス燃料供給ラインと、第1流量制御弁と、第2流量制御弁と、負荷検出部と、第1流量制御弁および第2流量制御弁および負荷検出部にそれぞれ接続されている制御部と、を備える舶用ボイラの運転方法であって、制御部が、負荷検出部からの検出信号に基づいて第1流量制御弁および第2流量制御弁に流量制御信号を出力して、船舶が通常航行時には第1流量制御弁および第2流量制御弁を制御して主に第1ノズルにガス燃料を供給する制御を行い、船舶が低負荷航行時には第1流量制御弁および第2流量制御弁を制御して第2ノズルのみにガス燃料を供給する制御を行う、ことを特徴とする。
【0016】
この発明(請求項7にかかる発明)は、イグナイタが制御部に接続されていて、制御部が、蒸気タービンの負荷を上げる時には、イグナイタにより第2バーナを着火し、第2流量制御弁により第2ノズルへのガス燃料の供給量を増加し、第1流量制御弁により第1ノズルへのガス燃料の供給を開始して第1バーナを着火する、制御を行い、蒸気タービンの負荷を下げる時には、第1流量制御弁により第1ノズルへのガス燃料の供給量を減少し、イグナイタにより第2バーナを着火し、第2流量制御弁により第2ノズルへのガス燃料の供給量を増加しながら、第1流量制御弁により第1ノズルへのガス燃料の供給量を減少し、第1バーナを消火する、制御を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明(請求項1、2にかかる発明)の舶用ボイラは、低負荷用の第2バーナにおいて、第2ノズルが保炎筒体中に配置されていて、かつ、火口が第2ノズルのガス燃料噴射口よりもガス燃料噴射方向側に位置する保炎筒体により、第2ノズルのガス燃料噴射口から保炎筒体の火口に噴射されるガス燃料を燃焼させて得られる火炎が保炎筒体の火口付近の空気の流れにより消えるのを確実に防止することができる。この結果、この発明(請求項1、2にかかる発明)の舶用ボイラは、船舶の低負荷航行時であっても、ガス燃料を安定した状態で燃焼させることができる。このように、この発明(請求項1、2にかかる発明)の舶用ボイラは、コストが増加される傾向にある低S分化の油燃料を使用する必要が無くなる。また、この発明(請求項1、2にかかる発明)の舶用ボイラは、LNG船の場合、沿岸海域航行用に油燃料を保有する必要が無くなる。
【0018】
しかも、この発明(請求項1、2にかかる発明)の舶用ボイラは、低負荷用の第2バーナにより、燃焼性がLNGのガス燃料と比較して悪いBOGのガス燃料を安定した状態で燃焼させることができる。この結果、この発明(請求項1、2にかかる発明)の舶用ボイラは、LNG船の場合、LNGタンク内の気化ガス(BOG)の消費を促進させることができる。
【0019】
その上、この発明(請求項1、2にかかる発明)の舶用ボイラは、低負荷用の第2バーナの第2ノズルのガス燃料噴射口から噴射されるガス燃料(LNG船の場合BOGのガス燃料、以下、単に「ガス燃料」と称する)の量を調整することにより、ターンダウン比をたとえば約7:1から約50:1と広範囲に亘って調整することができる。この結果、この発明(請求項1、2にかかる発明)の舶用ボイラは、船舶の高負荷航行時には主に第1バーナを使用し、かつ、船舶の低負荷航行時には第2バーナのみを使用することにより、船舶の低負荷航行時から高負荷航行時に亘って、すなわち、ターンダウン比がたとえば約50:1と広範囲に亘るターンダウン比において、ガス燃料を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0020】
この発明(請求項3にかかる発明)の舶用ボイラは、前記の発明が解決しようとする課題により、蒸気タービンの負荷を上げる時および負荷を下げる時において、ガス燃料を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0021】
この発明(請求項4にかかる発明)の舶用ボイラは、第1バーナの複数本の第1ノズルと第2バーナとの間にスワーラが配置されていても、低負荷用の第2バーナにおいて、火口が第2ノズルのガス燃料噴射口よりもガス燃料噴射方向側に位置する保炎筒体により、第2ノズルのガス燃料噴射口から保炎筒体の火口に噴射されるガス燃料を燃焼させて得られる火炎がスワーラからの空気の流れにより消えるのを確実に防止することができる。この結果、この発明(請求項4にかかる発明)の舶用ボイラは、前記の発明(請求項1、2、3にかかる発明)の舶用ボイラと同様に、船舶の低負荷航行時であっても、ガス燃料を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0022】
この発明(請求項5にかかる発明)の舶用ボイラは、バーナ本体と、複数本の第1ノズルと、油バーナと、スワーラと、から構成されている既存の舶用ボイラのボイラ本体に、第1バーナと別個の第2バーナを、設けることにより、前記の発明(請求項1、2、3、4にかかる発明)の舶用ボイラと同様に、船舶の低負荷航行時であっても、ガス燃料を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0023】
しかも、この発明(請求項5にかかる発明)の舶用ボイラは、複数本の第1ノズルと、油バーナと、スワーラと、から構成されている既存の舶用ボイラのボイラ本体に、第1バーナと別個の第2バーナを、設けるものであるから、既存の舶用ボイラをマイナーチェンジ(小規模の改良)により利用することができ、製造コストが安価である。
【0024】
この発明(請求項6にかかる発明)の舶用ボイラの運転方法は、前記の発明が解決しようとする課題により、前記の発明(請求項2にかかる発明)の舶用ボイラと同様に、船舶の低負荷航行時から高負荷航行時に亘って、すなわち、ターンダウン比がたとえば約50:1と広範囲に亘るターンダウン比において、ガス燃料を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0025】
この発明(請求項7にかかる発明)の舶用ボイラの運転方法は、前記の発明が解決しようとする課題により、前記の発明(請求項3にかかる発明)の舶用ボイラと同様に、蒸気タービンの負荷を上げる時および負荷を下げる時において、ガス燃料を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、この発明にかかる舶用ボイラの実施例1を示す要部の概略説明図である。
【図2】図2は、同じく、第1バーナおよび第2バーナの火口側から見た概略説明図である。
【図3】図3は、同じく、図2におけるIII−III線一部概略断面図(一部概略縦断面図、一部概略垂直断面図)である。
【図4】図4は、この発明にかかる舶用ボイラの実施例2を示す要部の一部概略縦断面図(一部概略垂直断面図)である。
【図5】図5は、この発明にかかる舶用ボイラの実施例3を示す要部の一部概略縦断面図(一部概略垂直断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明にかかる舶用ボイラの実施例のうちの3例およびこの発明にかかる舶用ボイラの運転方法の実施例のうちの2例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1〜図3は、この発明にかかる舶用ボイラの実施例1を示す。以下、この実施例1における舶用ボイラの構成について説明する。
【0029】
この実施例1にかかる舶用ボイラは、この例では、LNG船に搭載される舶用ボイラ(主ボイラ、主機ボイラ)である。この実施例1にかかる舶用ボイラは、ボイラ本体1と、第1バーナ21と、第2バーナ22と、ガス燃料供給源3と、共通ガス燃料供給ライン40と、第1ガス燃料供給ライン41と、第2ガス燃料供給ライン42と、第1流量制御弁51と、第2流量制御弁52と、負荷検出部6と、制御部7と、を備えるものである。
【0030】
前記ボイラ本体1は、ボイラケーシングもしくはボイラハウジングから構成されている。前記ボイラ本体1は、前記第1バーナ21、前記第2バーナ22によりガス燃料8(図1、図3中、実線矢印参照)を燃焼させて、水(図示せず)を蒸気化し、その蒸気(図示せず)を蒸気タービン(図示せず)に供給して蒸気タービンを駆動させるものである。
【0031】
前記第1バーナ21は、前記ボイラ本体1に設けられている高負荷用のバーナである。前記第1バーナ21は、バーナ本体210と、複数本この例では8本の第1ノズル211と、から構成されている。
【0032】
前記バーナ本体210は、バーナケーシングもしくはバーナハウジングから構成されている。前記バーナ本体210は、筒形状この例では円筒形状をなす。前記バーナ本体210は、前記ボイラ本体1内に配置されている。前記バーナ本体210の一端開口部(下端開口部)には、火口212が設けられている。前記バーナ本体210の他端開口部(上端開口部)と前記ボイラ本体1の天井壁10との間には、空気取込口(空気取込路)11が設けられている。
【0033】
8本の前記第1ノズル211は、前記バーナ本体210中の周辺に等間隔に配置されている。8本の前記第1ノズル211の一端部(下端部)には、ガス燃料噴射口213が設けられている。8本の前記第1ノズル211の他端部(上端部)は、前記ボイラ本体1の前記天井壁10を挿通して前記ボイラ本体1の外に突出している。8本の前記第1ノズル211の一端部は、ガスヘダー214にそれぞれ接続されている。この結果、8本の前記第1ノズル211のガス燃料供給系統は、共通化されている。
【0034】
前記第2バーナ22は、前記ボイラ本体1に設けられている低負荷用のバーナである。前記第2バーナ22は、保炎筒体220と、1本の第2ノズル221と、イグナイタ222と、から構成されている。
【0035】
前記保炎筒体220は、バーナケーシングもしくはバーナハウジングから構成されている。前記保炎筒体220は、筒形状この例では円筒形状をなす。前記保炎筒体220は、前記第1バーナ21の前記バーナ本体210中の中央に配置されている。前記保炎筒体220の一端開口部(下端開口部)には、火口223が設けられている。前記保炎筒体220の他端開口部(上端開口部)と前記ボイラ本体1の天井壁10との間には、前記空気取込口(空気取込路)11が設けられている。
【0036】
1本の前記第2ノズル221は、前記保炎筒体220中に配置されている。1本の前記第2ノズル221の一端部(下端部)には、ガス燃料噴射口224が設けられている。1本の前記第2ノズル221の他端部(上端部)は、前記ボイラ本体1の前記天井壁10を挿通して前記ボイラ本体1の外に突出している。
【0037】
前記イグナイタ222は、前記保炎筒体220中に前記第2ノズル221と並列に配置されている。前記イグナイタ222は、前記第2ノズル221の前記ガス燃料噴射口224から前記保炎筒体220の前記火口223側に噴射されるガス燃料8を着火するものである。前記イグナイタ222には、フレームスキャナ(図示せず)が設けられている。前記フレームスキャナは、前記第2ノズルの221の失火を検知するものである。
【0038】
そして、図1、図3に示すように、前記第2ノズル221の前記ガス燃料噴射口224は、前記保炎筒体220の前記火口223よりもガス燃料8の噴射方向(図1、図3中の実線矢印方向)と反対側に位置する。
【0039】
前記第2バーナ22は、前記第1バーナ21の前記バーナ本体210中の中央に配置されている。前記第1バーナ21の8本の前記第1ノズル211と前記第2バーナ22の前記保炎筒体220との間には、スワーラ12が配置されている。前記スワーラ12は、前記空気取込口11から取り込んだ空気80(図3中、破線矢印参照)を前記第1バーナ21の前記バーナ本体210の前記火口212から渦流出させる。
【0040】
前記ガス燃料供給源3は、LNG船のカーゴタンクである。前記ガス燃料供給源3中には、LNG81(液化天然ガス)が収容されている。前記ガス燃料供給源3中において、LNG81から発生するBOG(ボイルオフガス)は、この実施例1にかかる舶用ボイラのガス燃料8となる。
【0041】
前記共通ガス燃料供給ライン40は、前記ガス燃料供給源3に接続されている。前記第1ガス燃料供給ライン41と前記第2ガス燃料供給ライン42とは、前記共通ガス燃料供給ライン40から分岐されている。前記共通ガス燃料供給ライン40および前記第1ガス燃料供給ライン41は、前記ガス燃料供給源3と前記ガスヘダー214すなわち8本の前記第1ノズル211との間に設けられている。また、前記共通ガス燃料供給ライン40および前記第2ガス燃料供給ライン42は、前記ガス燃料供給源3と前記第2ノズル221との間に設けられている。
【0042】
前記第1流量制御弁51は、前記第1ガス燃料供給ライン41に設けられている。前記第2流量制御弁52は、前記第2ガス燃料供給ライン42に設けられている。
【0043】
前記負荷検出部6は、LNG船の運転状態に応じて変化する蒸気タービンの負荷を検出してその検出信号を出力する。前記負荷検出部6としては、蒸気タービンの負荷を直接検出するもの、LNG船の速度を蒸気タービンの負荷として検出するもの、その他の物理量を蒸気タービンの負荷として検出するものである。
【0044】
前記制御部7は、前記第1流量制御弁51および前記第2流量制御弁52および前記負荷検出部6および前記イグナイタ222に、電気信号線70(図1中の点線を参照)を介してそれぞれ接続されている。前記制御部7は、前記負荷検出部6からの検出信号(図示せず)に基づいて、前記第1流量制御弁51および前記第2流量制御弁52および前記イグナイタ222に流量制御信号(図示せず)を出力する。すなわち、前記制御部7は、LNG船が通常航行時には、前記第1流量制御弁51および前記第2流量制御弁52を制御して主に8本の前記第1ノズル211にガス燃料8を供給し、かつ、補助的に1本の前記第2ノズル221にガス燃料8を供給する、制御を行う。また、前記制御部7は、LNG船が低負荷航行時には、前記第1流量制御弁51および前記第2流量制御弁52を制御して前記第2ノズル221のみにガス燃料8を供給する、制御を行う。
【0045】
前記制御部7は、蒸気タービンの負荷を上げる時には、前記イグナイタ222により前記第2バーナ22を着火し、前記第2流量制御弁52により前記第2ノズル221へのガス燃料8の供給量を増加し、前記第1流量制御弁51により8本の前記第1ノズル211へのガス燃料8の供給を開始して前記第1バーナ21を着火する、制御を行う。また、前記制御部7は、蒸気タービンの負荷を下げる時には、前記第1流量制御弁51により8本の前記第1ノズル211へのガス燃料8の供給量を減少し、前記イグナイタ222により第2バーナ22を着火し、前記第2流量制御弁52により前記第2ノズル221へのガス燃料8の供給量を増加しながら、前記第1流量制御弁51により8本の前記第1ノズル211へのガス燃料8の供給量を減少して前記第1バーナ21を消火する、制御を行う。
【0046】
この実施例1における舶用ボイラは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0047】
まず、ガス燃料供給源3のガス燃料8を共通ガス燃料供給ライン40および第2流量制御弁52および第2ガス燃料供給ライン42を介して第2バーナ22の第2ノズル221に供給している状態において、第2バーナ22のイグナイタ222を作動させることにより、第2バーナ22が着火する。
【0048】
また、ガス燃料供給源3のガス燃料8を共通ガス燃料供給ライン40および第1流量制御弁51および第1ガス燃料供給ライン41およびガスヘダー214を介して第1バーナ21の8本の第1ノズル211に供給することにより、第2バーナ22の火口223から噴出す火炎を火種として、第1バーナ21が着火する。
【0049】
この第1バーナ21の火口212および第2バーナ22の火口223から噴出す火炎により、ボイラ本体1内の水が蒸気化し、その蒸気が蒸気タービンに供給され、蒸気タービンが駆動する。
【0050】
第1流量制御弁51および第2流量制御弁52の開度を制御することにより、第1バーナ21および第2バーナ22の火力を制御することができる。また、第1バーナ21および第2バーナ22を共に燃焼させ、あるいは、第1バーナ21のみを燃焼させ、あるいは、第2バーナ22のみを燃焼させることができる。さらに、第1流量制御弁51および第2流量制御弁52を閉じることにより、第1バーナ21および第2バーナ22の燃焼が停止して、ボイラの運転が停止される。
【0051】
イグナイタ222のフレームスキャナが第2バーナ22の第2ノズルの221が失火しているか否かを検知し、その検知信号を制御部7に出力する。なお、第2ノズル221が失火した場合は、イグナイタ222により再度着火などの処置やその他の処置がとられる。
【0052】
この実施例1における舶用ボイラは、以上のごとき構成作用からなり、以下、この実施例1における舶用ボイラの運転方法について説明する。
【0053】
制御部7は、負荷検出部6からの検出信号に基づいて、第1流量制御弁51および第2流量制御弁52およびイグナイタ222に流量制御信号を出力する。すなわち、制御部7は、下記の制御を行う。
【0054】
まず、LNG船が通常航行時の制御は、以下の通りである。すなわち、第1流量制御弁51および第2流量制御弁52を制御して主に8本の第1ノズル211にガス燃料8を供給し、かつ、補助的に第2ノズル221にガス燃料8を供給する。すなわち、第1バーナ21を主に使用し、かつ、第2バーナ22を補助的に使用する。
【0055】
また、LNG船が低負荷航行時(たとえば、第1バーナ21が失火する虞がある程度の低負荷航行時)の制御は、以下の通りである。すなわち、第1流量制御弁51および第2流量制御弁52を制御して第2ノズル221のみにガス燃料8を供給する。すなわち、第1バーナ21を停止させ、かつ、第2バーナ22のみを使用する。
【0056】
さらに、蒸気タービンの負荷を上げる時の制御は、以下の通りである。すなわち、イグナイタ222により第2バーナ22を着火する。第2流量制御弁52により第2ノズル221へのガス燃料8の供給量を増加する。第1流量制御弁51により8本の第1ノズル211へのガス燃料8の供給を開始して第1バーナ21を着火する。
【0057】
さらにまた、蒸気タービンの負荷を下げる時の制御は、以下の通りである。すなわち、第1流量制御弁51により8本の第1ノズル211へのガス燃料8の供給量を減少する。イグナイタ222により第2バーナ22を着火する。第2流量制御弁52により第2ノズル221へのガス燃料8の供給量を増加しながら、第1流量制御弁51により8本の第1ノズル211へのガス燃料8の供給量を減少する。第1バーナ21を消火する。
【0058】
この実施例1における舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0059】
この実施例1における舶用ボイラは、図1、図3に示すように、低負荷用の第2バーナ22において、第2ノズル221が保炎筒体220中に配置されていて、かつ、火口223が第2ノズル221のガス燃料噴射口224よりもガス燃料8の噴射方向側に位置する保炎筒体220により、第2ノズル221のガス燃料噴射口224から保炎筒体220の火口223に噴射されるガス燃料8を燃焼させて得られる火炎(図示せず)が保炎筒体220の火口223付近の空気80(たとえば、第1バーナ21の燃焼空気)の流れにより消えるのを確実に防止することができる。この結果、この実施例1における舶用ボイラは、LNG船の低負荷航行時であっても、ガス燃料8を安定した状態で燃焼させることができる。このように、この実施例1における舶用ボイラは、コストが増加される傾向にある低S分化の油燃料を使用する必要が無くなる。また、この実施例1における舶用ボイラは、LNG船の場合、沿岸海域航行用に油燃料を保有する必要が無くなる。
【0060】
しかも、この実施例1における舶用ボイラは、低負荷用の第2バーナ22により、燃焼性がLNGのガス燃料と比較して悪いBOGのガス燃料8を安定した状態で燃焼させることができる。この結果、この実施例1における舶用ボイラは、LNG船の場合、LNGタンク内の気化ガス(BOG)の消費を促進させることができる。
【0061】
その上、この実施例1における舶用ボイラは、低負荷用の第2バーナ22の第2ノズル221のガス燃料噴射口224から噴射されるガス燃料8の量を第2流量制御弁52で調整することにより、ターンダウン比をたとえば約7:1から約50:1と広範囲に亘って調整することができる。この結果、この実施例1における舶用ボイラは、船舶の高負荷航行時には主に第1バーナ21を使用し、かつ、船舶の低負荷航行時には第2バーナ22のみを使用することにより、船舶の低負荷航行時から高負荷航行時に亘って、すなわち、ターンダウン比がたとえば約50:1と広範囲に亘るターンダウン比において、ガス燃料8を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0062】
また、この実施例1における舶用ボイラは、第1バーナ21の8本の第1ノズル211と第2バーナ22の保炎筒体220との間にスワーラ12が配置されていても、低負荷用の第2バーナ22において、火口223が第2ノズル221のガス燃料噴射口224よりもガス燃料8の噴射方向側に位置する保炎筒体220により、第2ノズル221のガス燃料噴射口224から保炎筒体220の火口223に噴射されるガス燃料8を燃焼させて得られる火炎がスワーラ12からの空気80(第1バーナ21の燃焼空気)の流れにより消えるのを確実に防止することができる。この結果、この実施例1における舶用ボイラは、LNG船の低負荷航行時であっても、ガス燃料8を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0063】
さらに、この実施例1における舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法は、LNG船の低負荷航行時から高負荷航行時に亘って、すなわち、ターンダウン比がたとえば約50:1と広範囲に亘るターンダウン比において、ガス燃料8を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0064】
さらにまた、この実施例1における舶用ボイラおよび舶用ボイラの運転方法は、蒸気タービンの負荷を上げる時および負荷を下げる時において、ガス燃料8を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【実施例2】
【0065】
図4は、この発明にかかる舶用ボイラの実施例2を示す。以下、この実施例2における舶用ボイラについて説明する。図中、図1〜図3と同符号は、同一のものを示す。
【0066】
この実施例2における舶用ボイラは、図4に示すように、既存の舶用ボイラのボイラ本体1Aの側壁13に前記の実施例1における舶用ボイラの低負荷用の第2バーナ22を、既存の舶用ボイラの高負荷用の第1バーナ21Aと別個に設けてなる。前記第2バーナ22の火口223は、前記ボイラ本体1Aの前記側壁13と面一である。なお、前記第2バーナ22の火口223を前記ボイラ本体1A中に突出させても良い。すなわち、前記第2バーナ22の火口223を前記ボイラ本体1Aの前記側壁13よりもガス燃料8の噴射方向側に位置させても良い。
【0067】
前記既存の舶用ボイラの高負荷用の第1バーナ21Aは、バーナ本体210と、8本の第1ノズル211と、油バーナ215と、スワーラ12と、から構成されている。円筒形状の前記バーナ本体210中の周辺には、8本の前記第1ノズル211が等間隔に配置されている。前記バーナ本体210中の中央には、前記油バーナ215が筒体216を伴って配置されている。8本の前記第1ノズル211と前記油バーナ215の前記筒体216との間には、前記スワーラ12が配置されている。
【0068】
なお、この実施例2における舶用ボイラにおいて、既存の舶用ボイラの高負荷用の第1バーナ21Aの前記油バーナ215の代わりに低負荷用の第2バーナ22を設けることにより、前記の実施例1における舶用ボイラが構成される。
【0069】
この実施例2における舶用ボイラは、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1における舶用ボイラとほぼ同様の作用効果を達成することができる。すなわち、この実施例2における舶用ボイラは、LNG船の低負荷航行時であっても、ガス燃料8を安定した状態で確実に燃焼させることができる。
【0070】
しかも、この実施例2における舶用ボイラは、8本の第1ノズル211と、油バーナ215と、スワーラ12と、から構成されている既存の舶用ボイラのボイラ本体1Aに、第1バーナ21Aと別個の第2バーナ22を、設けるものであるから、既存の舶用ボイラをマイナーチェンジ(小規模の改良)により利用することができ、製造コストが安価である。
【実施例3】
【0071】
図5は、この発明にかかる舶用ボイラの実施例3を示す。以下、この実施例3における舶用ボイラについて説明する。図中、図1〜図4と同符号は、同一のものを示す。
【0072】
この実施例3における舶用ボイラは、図5に示すように、前記の実施例1における舶用ボイラの第2バーナ22を第1バーナ21よりもボイラ本体1中に突出させたものである。すなわち、第2バーナ22の火口223が第1バーナ21の火口212よりもガス燃料8の噴射方向側に位置するものである。
【0073】
この実施例3における舶用ボイラは、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1、2における舶用ボイラとほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0074】
なお、前記の実施例1、2、3においては、8本の第1ノズル211と1本の第2ノズル221とを使用するものである。ところが、この発明においては、第1ノズルの本数および第2ノズルの本数、また、第1ノズルの配置位置および第2ノズルの配置位置などは特に限定しない。
【0075】
また、前記の実施例1、2、3においては、船舶として、LNG船について説明するものである。ところが、この発明においては、船舶としてはLNG船以外の船舶であっても良い。すなわち、ガス燃料を使用する舶用ボイラを搭載する船舶であれば良い。
【0076】
さらに、前記の実施例1、2、3においては、ガス燃料として、BOGのガス燃料8を使用するものである。ところが、この発明においては、ガス燃料としてはBOGのガス燃料8以外のガス燃料を使用しても良い。すなわち、ガス燃料としてLNGのガス燃料を使用しても良い。また、ガス燃料と共に油燃料を使用しても良い。
【符号の説明】
【0077】
1、1A ボイラ本体
10 天井壁
11 空気取込口(空気取込路)
12 スワーラ
13 側壁
21、21A 第1バーナ
210 バーナ本体
211 第1ノズル
212 火口
213 ガス燃料噴射口
214 ガスヘダー
215 油バーナ
216 筒体
22 第2バーナ
220 保炎筒体
221 第2ノズル
222 イグナイタ
223 火口
224 ガス燃料噴射口
3 ガス燃料供給源(カーゴタンク)
40 共通ガス燃料供給ライン
41 第1ガス燃料供給ライン
42 第2ガス燃料供給ライン
51 第1流量制御弁
52 第2流量制御弁
6 負荷検出部
7 制御部
70 電気信号線
8 ガス燃料
80 空気
81 LNG

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載される舶用ボイラにおいて、
ボイラ本体と、
前記ボイラ本体に設けられている高負荷用の第1バーナと、
前記ボイラ本体に設けられている低負荷用の第2バーナと、
を備え、
前記第1バーナは、筒形状のバーナ本体と、前記バーナ本体中に配置されている第1ノズルと、から構成されていて、
前記第2バーナは、一端に火口を有する筒形状の保炎筒体と、前記保炎筒体中に配置されていて、一端のガス燃料噴射口からガス燃料を前記保炎筒体の前記火口側に噴射する第2ノズルと、前記保炎筒体中に配置されていて、前記第2ノズルの前記ガス燃料噴射口から噴射されるガス燃料を着火するイグナイタと、から構成されていて、
前記第2ノズルの前記ガス燃料噴射口は、前記保炎筒体の前記火口よりもガス燃料噴射方向と反対側に位置する、
ことを特徴とする舶用ボイラ。
【請求項2】
船舶に搭載される舶用ボイラにおいて、
ボイラ本体と、
前記ボイラ本体に設けられている高負荷用の第1バーナであって、筒形状のバーナ本体と、前記バーナ本体中に配置されている第1ノズルと、から構成されている高負荷用の第1バーナと、
前記ボイラ本体に設けられている低負荷用の第2バーナであって、一端に火口を有する筒形状の保炎筒体と、前記保炎筒体中に配置されていて一端のガス燃料噴射口からガス燃料を前記保炎筒体の前記火口側に噴射する第2ノズルと、前記保炎筒体中に配置されていて前記第2ノズルの前記ガス燃料噴射口から噴射されるガス燃料を着火するイグナイタと、から構成されていて、前記第2ノズルの前記ガス燃料噴射口が前記保炎筒体の前記火口よりもガス燃料噴射方向と反対側に位置する低負荷用の第2バーナと、
ガス燃料供給源と、
前記ガス燃料供給源と前記第1ノズルとの間に設けられている第1ガス燃料供給ラインと、
前記ガス燃料供給源と前記第2ノズルとの間に設けられている第2ガス燃料供給ラインと、
前記第1ガス燃料供給ラインに設けられている第1流量制御弁と、
前記第2ガス燃料供給ラインに設けられている第2流量制御弁と、
船舶の運転状態に応じて変化する蒸気タービンの負荷を検出してその検出信号を出力する負荷検出部と、
前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁および前記負荷検出部にそれぞれ接続されていて、前記負荷検出部からの検出信号に基づいて、前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁に流量制御信号を出力し、船舶が通常航行時には前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁を制御して主に前記第1ノズルにガス燃料を供給し、船舶が低負荷航行時には前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁を制御して前記第2ノズルのみにガス燃料を供給する制御部と、
を備える、ことを特徴とする舶用ボイラ。
【請求項3】
前記イグナイタは、前記制御部に接続されていて、
前記制御部は、蒸気タービンの負荷を上げる時には、前記イグナイタにより前記第2バーナを着火し、前記第2流量制御弁により前記第2ノズルへのガス燃料の供給量を増加し、前記第1流量制御弁により前記第1ノズルへのガス燃料の供給を開始して前記第1バーナを着火し、蒸気タービンの負荷を下げる時には、前記第1流量制御弁により前記第1ノズルへのガス燃料の供給量を減少し、前記イグナイタにより第2バーナを着火し、前記第2流量制御弁により前記第2ノズルへのガス燃料の供給量を増加しながら、前記第1流量制御弁により前記第1ノズルへのガス燃料の供給量を減少して前記第1バーナを消火する、制御を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の舶用ボイラ。
【請求項4】
前記第1バーナの複数本の前記第1ノズルは、前記第1バーナの前記バーナ本体中の周辺に配置されていて、
前記第2バーナは、前記第1バーナの前記バーナ本体中の中央に配置されていて、
前記第1バーナの複数本の前記第1ノズルと前記第2バーナとの間には、スワーラが配置されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の舶用ボイラ。
【請求項5】
前記第1バーナの複数本の前記第1ノズルは、前記第1バーナの前記バーナ本体中の周辺に配置されていて、
前記第1バーナの前記バーナ本体中の中央には、油バーナが配置されていて、
前記第1バーナの複数本の前記第1ノズルと前記油バーナとの間には、スワーラが配置されていて、
前記第2バーナは、前記ボイラ本体に前記第1バーナと別個に設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の舶用ボイラ。
【請求項6】
船舶に搭載される舶用ボイラの運転方法において、
ボイラ本体と、
前記ボイラ本体に設けられていて、バーナ本体と第1ノズルとから構成されている高負荷用の第1バーナと、
前記ボイラ本体に設けられていて、保炎筒体と第2ノズルとイグナイタとから構成されていて、前記第2ノズルのガス燃料噴射口が前記保炎筒体の火口よりもガス燃料噴射方向と反対側に位置する低負荷用の第2バーナと、
ガス燃料供給源と、
第1ガス燃料供給ラインと、
第2ガス燃料供給ラインと、
第1流量制御弁と、
第2流量制御弁と、
負荷検出部と、
前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁および前記負荷検出部にそれぞれ接続されている制御部と、
を備える舶用ボイラの運転方法であって、
前記制御部は、
前記負荷検出部からの検出信号に基づいて、前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁に流量制御信号を出力して、
船舶が通常航行時には、前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁を制御して主に前記第1ノズルにガス燃料を供給する制御を行い、
船舶が低負荷航行時には、前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁を制御して前記第2ノズルのみにガス燃料を供給する制御を行う、
ことを特徴とする舶用ボイラの運転方法。
【請求項7】
前記イグナイタは、前記制御部に接続されていて、
前記制御部は、
蒸気タービンの負荷を上げる時には、
前記イグナイタにより前記第2バーナを着火し、
前記第2流量制御弁により前記第2ノズルへのガス燃料の供給量を増加し、
前記第1流量制御弁により前記第1ノズルへのガス燃料の供給を開始して前記第1バーナを着火する、制御を行い、
蒸気タービンの負荷を下げる時には、
前記第1流量制御弁により前記第1ノズルへのガス燃料の供給量を減少し、
前記イグナイタにより前記第2バーナを着火し、
前記第2流量制御弁により前記第2ノズルへのガス燃料の供給量を増加しながら、前記第1流量制御弁により前記第1ノズルへのガス燃料の供給量を減少し、
前記第1バーナを消火する、制御を行う、
ことを特徴とする請求項6に記載の舶用ボイラの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−117781(P2012−117781A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269503(P2010−269503)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】