説明

色が補償されたエレクトロルミネッセンス・ユニットを備える白色OLED

タンデム式白色OLED(300)は、アノード(110)と;カソード(170)と;アノード(110)とカソード(170)の間に配置されていて、強度が望むよりも弱い少なくとも1つの色成分を発生させる少なくとも1つの発光層を備える少なくとも1つの広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニット(320)と;アノード(110)とカソード(170)の間に配置されていて、上記少なくとも1つの色成分を発生させるとともに、その色成分の強度を大きくするように選択された少なくとも1つの色補償エレクトロルミネッセンス・ユニット(340)と;隣り合ったエレクトロルミネッセンス・ユニット(320、340)の間にそれぞれ配置されていて、外部電源(180)に直接は接続されていない1つの中間接続層(330)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の有機エレクトロルミネッセンス(EL)ユニットを用意してタンデム式有機白色エレクトロルミネッセンス・デバイスを形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード・デバイス(OLEDとも呼ばれる)は、一般に、アノードと、カソードと、アノードとカソードに挟まれた有機エレクトロルミネッセンス(EL)ユニットを備えている。有機ELユニットは、少なくとも、正孔輸送層(HTL)と、発光層(LEL)と、電子輸送層(ETL)を備えている。OLEDが魅力的なのは、駆動電圧が低く、高輝度で、視角が広く、フル・カラーのフラット発光ディスプレイや他のいろいろな応用が可能だからである。Tangらは、この多層OLEDデバイスをアメリカ合衆国特許第4,769,292号と第4,885,211号に記載している。
【0003】
OLEDは、そのOLEDデバイスに含まれるLELの発光特性に応じていろいろな色(例えば赤、緑、青、白)の光を発生させることができる。さまざまな用途(例えば固体光源やフル-カラー・ディスプレイ)に組み込むための広帯域OLEDに対する要求が増えている。広帯域発光とは、OLEDが可視スペクトル全体の十分に広い範囲で光を出すため、そのような光をフィルタと組み合わせて利用してフル-カラー・ディスプレイを製造できることを意味する。特に、スペクトルの赤、緑、青の部分でかなりの発光がある白色光OLED(または白色OLED)が望まれている。その場合、白色発光EL層をフィルタと組み合わせて利用してマルチカラー・デバイスを形成することができる。白色OLEDデバイスの発光は、一般に、1931国際照明委員会(CIE)色度座標(CIEx, CIEy)が約(0.33, 0.33)である。白色OLEDは従来から報告されており、KidoらのApplied Physics Letters、第64巻、815ページ、1994年、J. Shiらのアメリカ合衆国特許第5,683,823号、Satoらの日本国特開平07-142169、DeshpandeらのApplied Physics Letters、第75巻、888ページ、1999年、TokitoらのApplied Physics Letters、第83巻、2459ページ、2003年などがある。
【0004】
OLEDから広帯域発光を実現するには、2種類以上の分子を励起する必要がある。なぜなら、それぞれのタイプの分子は、通常の条件下では比較的狭いスペクトルの光しか出さないからである。1つのホスト材料と1種類以上の発光ドーパントを含むLELは、ホスト材料からドーパントへのエネルギー輸送が不完全である場合にはホストとドーパントの両方からの発光を実現できるため、可視スペクトル中に広域発光が得られる。しかしLELを1つだけ備える白色OLEDは、可視スペクトル全体をカバーするだけの十分に広い発光もせず、高い輝度効率も持たないであろう。2つのLELを備える白色OLEDは、LELが1つのデバイスよりも色と輝度効率が優れたものになる可能性がある。しかし赤、緑、青からのバランスが取れた強度を持つ広い発光を実現することは難しい。なぜなら2つのLELを備える白色OLEDは、一般に、強い発光ピークを2つしか持たないからである。例えば2つのLELを備える一般的な白色OLEDでは、LELの色が黄色と緑青色だと、そのデバイスの原色である赤の発光が弱くなるであろう。その2つのLELの色が赤と緑青だと、そのデバイスの原色である緑の発光が弱くなるであろう。そのLELの色が緑と赤だと、原色である青の発光が弱くなるであろう。色の異なる3つのLELを備える白色OLEDも提案されているが、それでもそのデバイスからの広域発光を実現することは難しい。その理由は、最も強い光は、最も狭い光学的バンド・ギャップを持つドーパントを備えるLELから来ることと、駆動条件が変わると発光スペクトルがシフトすることにある。
【0005】
画素として白色OLEDを用いたフル-カラー・ディスプレイでは、人間の目が認識する赤、緑、青という色は、表面にそれぞれ赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタを備える画素から来る。ディスプレイに含まれる白色OLED画素のそれぞれが、原色の赤、緑、青という成分をバランスよく含んだ光を出すのであれば、カラー・フィルタを通過する光の強度は白色の発光強度の約1/3である。しかし白色OLED画素が赤、緑、青の光をバランスよく含んでいないのであれば、原色成分の1つの強度が、カラー・フィルタを通過した後に白色の発光強度の1/3よりも小さくなるであろう。その結果、その特定の原色の発光強度を同等にするには、対応する白色OLED画素をより大きな電流密度で駆動せねばならない。すると電力消費がより大きくなり、寿命がより短くなる。したがって、バランスの取れた赤、緑、青の発光を実現するには色補償が必要である。
【0006】
Forrestらのアメリカ合衆国特許第5,703,436号に開示されているように、OLEDのフル-カラーの発光を改善するため積層式OLEDが製造されている。積層式OLEDは、個別にアドレスできてそれぞれ異なる色の光を出す多数のOLEDユニットを鉛直方向に積層させることによって製造される。そのとき、OLEDデバイス内の個々のOLEDユニットからの発光を独立に制御する手段として、鉛直方向に積層されたそれぞれのOLEDユニットの間に内部電極が設けられる。その結果、フル-カラーの発光と、バランスの取れた白色の発光とが容易に実現される。こうすることで従来のフル-カラーOLEDと比べて色の発光が改善され、より大きな発光面積が可能になるが、透明電極、電力を供給するための追加のバス・ライン、積層された各OLEDユニットのための独立した電源が必要になるため、OLEDの全体的な構造が複雑になる。
【0007】
ELを改善するため、個別のいくつかのOLEDを鉛直方向に積層させて製造し、単一の電源で駆動する別のタイプの積層式OLED(またはタンデム式OLED、またはカスケード式OLED)構造が提案または製造されている。それは、Jonesらのアメリカ合衆国特許第6,337,492号、Tanakaらのアメリカ合衆国特許第6,107,734号、Kidoらの日本国特開2003/045676A、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0189401 A1、Liaoらのアメリカ合衆国特許第6,717,358号、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0170491 A1である(これらの開示内容は参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)。Matsumotoらは、SID 03 Digest、979ページ、2003年の中で、デバイスの中で緑青色ELユニットとオレンジ色ELユニットを接続することによってタンデム式白色OLEDを構成できることと、このデバイスを単一の電源で駆動することによって白色の発光を実現できることを報告した。このタンデム式白色OLEDデバイスでは輝度効率を大きくできるが、スペクトルの緑色成分と赤色成分が相対的に弱い。LiaoとTangは、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0170491 A1において、デバイス内で赤色ELユニットと緑色ELユニットと青色ELユニットを直列に接続することによるタンデム式白色OLED構造を提案した。このタンデム式白色OLEDを単一の電源で駆動するとき、赤色ELユニットと緑色ELユニットと青色ELユニットからのスペクトルを組み合わせて白色の発光を形成することができる。このタンデム式白色OLEDでは着色光と輝度効率を改善できるが、ELユニットを3つよりも少なくはできないため、従来のOLEDの少なくとも3倍の駆動電圧が必要とされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、広帯域ELユニットと色補償ELユニットを用いてタンデム式白色OLEDを構成し、単一の電源だけを用いてそのデバイスを駆動する。
【0009】
本発明の1つの目的は、白色が改善された白色OLEDを製造することである。
【0010】
本発明の別の目的は、可視スペクトル中の赤原色、緑原色、青原色の発光のバランスが取れた白色OLEDを製造することである。
【0011】
本発明の別の目的は、輝度効率が高くて非常に明るい白色OLEDを製造することである。
【0012】
本発明の別の目的は、寿命が延びた白色OLEDを製造することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、色の安定性が改善された白色OLEDを製造することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、相対的に簡単な製造ステップでタンデム式白色OLEDを製造することである。
【0015】
これらの目的は、
a)アノードと;
b)カソードと;
c)上記アノードと上記カソードの間に配置されていて、強度が望むよりも弱い少なくとも1つの色成分を発生させる少なくとも1つの発光層を備える少なくとも1つの広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットと;
d)上記アノードと上記カソードの間に配置されていて、上記少なくとも1つの色成分を発生させるとともに、その色成分の強度を大きくするように選択された少なくとも1つの色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットと;
e)隣り合ったエレクトロルミネッセンス・ユニットの間にそれぞれ配置されていて、外部電源に直接は接続されていない1つの中間接続層とを備えるタンデム式白色OLEDデバイスによって達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、タンデム式白色OLEDにおいて色補償ELユニットを広帯域ELユニットと組み合わせて使用する。この構成により、タンデム式白色OLEDは、従来の白色OLEDと比べて赤色成分、緑色成分、青色成分がバランスよく含まれたよりよい広帯域発光が可能になる。このタンデム式白色OLEDは、3個に限定されないより少数のELユニットを用いて製造できるため、従来のタンデム式白色OLEDと比べて必要な製造ステップが少なく、しかも駆動電圧が小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
個々の層が薄すぎて実際のスケールで図示するとさまざまな層の厚さの違いが大きくなりすぎるため、図1〜図14は実際のスケール通りになっていない。
【0018】
以下の説明で用いるいくつかの用語をここで説明する。“フル-カラー”という用語は、可視スペクトルの赤色領域と緑色領域と青色領域における発光を記述するのに用いる。赤、緑、青は三原色を構成し、その三原色を適切に混合することによって他の色を作り出すことができる。“広帯域発光”という用語は、OLEDが可視スペクトル全体を通じて十分に広い光を出すため、その光をフィルタと組み合わせて用いてフル-カラー・ディスプレイを製造できることを意味する。特に、“白色”という用語は、可視スペクトルの赤、緑、青の部分から混合した色を記述するのに使用する。なお白色は、国際照明委員会(CIE)の色度座標CIExが約0.33、 CIEyが約0.33である。(しかし白色OLEDの実際の座標は大きく異なっていてもよく、それでも非常に有用である。)“白色”は、ユーザーが白色を持つと認識する光、またはカラー・フィルタと組み合わせて使用してフル・カラー・ディスプレイの用途で赤色、緑色、青色を再現するのに十分な発光スペクトルを有する光である。“n型をドープされた有機層”という用語は、有機層がドーピング後に半導特性を持ち、この層を通過する電流が実質的に電子によって担われることを意味する。“p型をドープされた有機層”という用語は、有機層がドーピング後に半導特性を持ち、この層を通過する電流が実質的に正孔によって担われることを意味する。“仕事関数が大きな金属”という用語は、仕事関数が4.0eV以上の金属と定義される。同様に、“仕事関数が小さな金属”という用語は、仕事関数が4.0eV未満の金属として定義される。
【0019】
複数の白色ELユニットと色補償ELユニットを有する本発明のタンデム式白色OLEDデバイスの構成と性能を評価するため、図1と図2を参照して従来のタンデム式白色OLEDデバイスを説明する。
【0020】
図1は、従来のタンデム式白色OLED 100である。このタンデム式白色OLEDは、アノード110とカソード170を備えている。アノードとカソードの間には、1つの青色ELユニット120.1(1番目のELユニット-青)と1つの赤色ELユニット120.2(2番目のELユニット-赤)が配置されている。これら2つの有機ELユニットは、中間接続層として電荷生成層(CGL)130.1と名づけた層(例えばV2O5またはインジウム-スズ-酸化物)を用いて積層されて互いに直列に接続されている。このタンデム式白色OLED100を導電体190を通じて順バイアスで外部の電圧/電流源180に接続してアノード110がカソード170よりもプラスの電位になるようにすると、1番目のELユニットが青色の光を出し、2番目のELユニットが赤色の光を出す。すると見る人は、デバイスの1つの透明な電極から白色を認識することができる。白色は、赤色光と青色光の組み合わせである。
【0021】
図2は、従来の別のタンデム式白色OLED200である。このタンデム式白色OLEDは、アノード110とカソード170を備えている。アノードとカソードの間には、1つの青色ELユニット220.1(1番目のELユニット-青)と、1つの緑色ELユニット220.2(2番目のELユニット-緑)と、1つの赤色ELユニット220.3(3番目のELユニット-赤)が配置されている。これら3つの有機ELユニットは積層され、2つの中間接続層230.1(1番目の中間接続層)と230.2(2番目の中間接続層)を用いて互いに直列に接続されている。このタンデム式白色OLED200を導電体190を通じて順バイアスで外部の電圧/電流源180に接続すると、3つのELユニットが、それぞれ青色光、緑色光、赤色光を出す。すると見る人は、デバイスの1つの透明な電極から白色を認識することができる。白色は、赤色光と緑色光と青色光の組み合わせである。
【0022】
上記の従来技術から、各ELユニットから異なる原色の発光がある複数のELユニットを用いてタンデム式白色OLEDを構成する方法がわかる。しかし3原色の光のうちの2つを出す2個のELユニットで白色OLEDを製造する場合には、そのデバイスは、一般に、第3の原色の強度が弱くなるであろう。それに対して3原色の光がすべて出る白色OLEDを製造する場合には、そのデバイスは、少なくとも3個のELユニットを必要とする。さらに、青色ELユニットからの青い発光は一般に他のELユニットからの別の色の発光よりも早く劣化するため、従来のタンデム式白色OLEDデバイスが初期の白色を維持することは難しい。
【0023】
ここで図3に移ると、本発明によるタンデム式白色OLED300の断面図が示してある。このタンデム式白色OLEDはアノード110とカソード170を備えており、そのうちの少なくとも1つは透明である。アノードとカソードの間には、N個の有機広帯域ELユニット(図では、それぞれ“広帯域ELユニット”と表記)と、N個の色補償ELユニット(図では、それぞれ“色補償ELユニット”と表記)と、(2N-1)個の中間接続層(図では、それぞれ“中間接続層”と表記)とが配置されている。なおNは1以上の整数である。広帯域ELユニットは積層されて互いに直列に接続され、320.1〜320.Nという参照番号が与えられている。ここに、320.1は(アノードに隣接する)1番目の広帯域ELユニットであり、320.2は2番目の広帯域ELユニットであり、320.Nは(カソードに近い)N番目の広帯域ELユニットである。色補償ELユニットは積層されて互いに直列に接続され、340.1〜340.Nという参照番号が与えられている。ここに、340.1は(アノードに近い)1番目の色補償ELユニットであり、340.Nは(カソードに隣接する)N番目の色補償ELユニットである。中間接続層は広帯域ELユニットと色補償ELユニットの間に配置されており、330.1〜330.(2N-1)という参照番号が与えられている。ここに、330.1はELユニット320.1と340.1の間に配置された1番目の中間接続層であり、330.2はELユニット340.1と320.2の間に配置された2番目の中間接続層であり、330.(2N-1)はELユニット320.Nと340.Nの間に配置された最後の中間接続層である。N個の広帯域ELユニットとN個の色補償ELユニットには合計で2N-1個の中間接続層が付随している。タンデム式白色OLED300は、外部の電圧/電流源180に導電線190を通じて接続されている。
【0024】
タンデム式白色OLED300は、アノード110とカソード170という一対の接触電極の間に電圧/電流源180からの電位を印加することによって作動する。順バイアス下では、外部から印加したこの電位が、2N個あるELユニットと2N-1個ある中間層に、その各ユニットと各中間層の電気抵抗値に比例して分布する。このタンデム式白色OLEDに印加される電圧によって正孔(正に帯電したキャリア)がアノード110から1番目の広帯域ELユニット320.1に注入され、電子(負に帯電したキャリア)がカソード170からN番目の色補償ELユニット340.Nに注入される。それと同時に電子と正孔が各中間接続層330.1〜330.(2N-1)の中に発生し、各中間接続層330.1〜330.(2N-1)から離れる。例えば中間接続層330.1の中でこのようにして発生する電子はアノードに向かい、隣接するELユニット320.1に注入される。同様に、中間接続層330.1の中で発生する正孔はカソードに向かい、隣接するELユニット340.1に注入される。その後、これらの電子と正孔が対応するELユニットの中で再結合して光を出す。
【0025】
図3では、少なくとも1つの広帯域ELユニットが望むよりも弱い強度の少なくとも1つの色成分を発生させ、少なくとも1つの色補償ELユニットが選択されてその少なくとも1つの色成分を発生させてその色成分の強度を大きくする。その結果、広帯域ELユニットと色補償ELユニットの両方からの発光により、バランスの取れた白色光を形成することができる。その白色光が、OLEDの透明な1つまたは複数の電極を通じて観察される。
【0026】
図3のELユニットの配列は、広帯域ELユニットの後に色補償ELユニットが続き、両者の間に中間接続章が配置されたものの繰り返しであるが、ELユニットの配列は、色補償ELユニットの後に広帯域ELユニットが続き、両者の間に中間接続層が配置されているようにすることもできる。白色が改善され、電気的特性が改善されるのであれば、ELユニットを別の配列にすることもできる。例えば色補償ELユニットをアノードに接触させて配置したり、カソードに接触させて配置したり、2つの広帯域ELユニットの間に配置したり、他の2つの色補償ELユニットの間に配置したりすることができる。
【0027】
図3のタンデム式白色OLED300では、色補償ELユニットの数は広帯域ELユニットの数と等しいことに注意されたい。しかしタンデム式白色OLEDにおいて色補償ELユニットの数を広帯域ELユニットの数よりも少なくすることができる。さらに、タンデム式白色OLEDには少なくとも1つの色補償ELユニットが存在している。したがって中間接続層の数が減る。
【0028】
図3の各色補償ELユニットは、よりよい白色の発光をどのようにして実現できるかに応じ、同じ色の発光、または異なる色の発光にできることにも注意されたい。広帯域ELユニットの赤色成分の強度が望むよりも弱い場合、色補償ELユニットは、赤色の光を出すように選択することができる。広帯域ELユニットの緑色成分の強度が望むよりも弱い場合、色補償ELユニットは、緑色の光を出すように選択することができる。広帯域ELユニットの青色成分の強度が望むよりも弱い場合、色補償ELユニットは、青色の光を出すように選択することもできる。
【0029】
図4には、1つの広帯域ELユニットと、1つの色補償ELユニットと、1つの中間接続層とを備えるタンデム式白色OLED400が示してある。これは図3を簡単化したタンデム構造であり、Nが1になっている。アノード110に隣接する1番目のELユニットは広帯域ELユニット320.1であり、カソード170に隣接する2番目のELユニットは色補償ELユニット340.1だが、この配列の順序を逆転させ、色補償ELユニットをアノードに接触させてもよい。
【0030】
図5には、2つの広帯域ELユニットと、1つの色補償ELユニットと、2つの中間接続層とを備えるタンデム式白色OLED500が示してある。これも図3を簡単化したタンデム構造である。色補償ELユニットは2つの広帯域ELユニットの間に配置されているが、色補償ELユニットをアノード110またはカソード170に接触するように配置することができる。
【0031】
タンデム式白色OLED300のそれぞれの有機ELユニット(広帯域ELユニットと色補償ELユニットが含まれる)は、光を発生させるため、正孔の輸送、電子の輸送、電子-正孔再結合をサポートすることができる。それぞれのELユニットは複数の層を含むことができる。本発明の広帯域ELユニットまたは色補償ELユニットとして使用できる多数の有機EL多層構造が従来技術で知られている。例えば、HTL/1つまたは複数のLEL/ETL、正孔注入層(HIL)/HTL/1つまたは複数のLEL/ETL、HIL/HTL/1つまたは複数のLEL/ETL/電子注入層(EIL)、HIL/HTL/電子阻止層または正孔阻止層/1つまたは複数のLEL/ETL/EIL、HIL/HTL/1つまたは複数のLEL/正孔阻止層/ETL/EILなどがある。タンデム式白色OLEDのそれぞれのELユニットは、組み合わせた発光が改善された白色光になるのであれば、他のELユニットと同じ層構造でも異なる層構造でもよい。しかし製造の容易さを考えると、タンデム式白色OLEDのそれぞれの広帯域ELユニット、またはそれぞれの色補償ELユニットは、同じ層構造であることが好ましい。アノードに隣接する1番目のELユニットの層構造はHIL/HTL/1つまたは複数のLEL/ETLであることが好ましく、カソードに隣接するN番目のELユニットの層構造はHTL/1つまたは複数のLEL/ETL/EILであることが好ましく、他のELユニットの層構造はHTL/1つまたは複数のLEL/ETLであることが好ましい。ETLに隣接するLELの厚さが20nmよりも厚いのであれば、ETLを単純にEILで置き換え、そのEILに電子注入と電子輸送の両方の機能を担わせることができる場合がある。
【0032】
タンデム式白色OLED300の特定の広帯域ELユニットに含まれるLELの数を考慮すると、LELの数は一般に3〜1の範囲で変えることができる。したがって広帯域ELユニットは、少なくとも1つのHTLと、出る光の色がそれぞれ異なる3つのLELを含むことができる。広帯域ELユニットは、少なくとも1つのHTLと、出る光の色がそれぞれ異なる2つのLELを含むこともできる。広帯域ELユニットは、少なくとも1つのHTLと、広帯域の発光を有する1つのLELを含むこともできる。それぞれの広帯域ELユニットのLELは、出る光の色が同じでも異なっていてもよい。同様に、タンデム式白色OLED300の特定の色補償ELユニットに含まれるLELの数を考慮すると、色補償ELユニットは、少なくとも1つの発光層を含んでいる。
【0033】
ELユニットの有機層は、小分子OLED材料、またはポリマーLED材料、またはその組み合わせから形成することができる。なお小分子OLED材料とポリマーLED材料の両方とも、従来技術で知られている。タンデム式白色OLEDデバイスの各ELユニットに含まれる対応する有機層は、対応する他の有機層と同じ材料または異なる材料を用いて形成することができる。いくつかのELユニットをポリマーにし、他のユニットを蛍光材料やリン光材料などの小分子(または非ポリマー)にすることができる。
【0034】
色補償ELユニットを構成するのに用いる材料は、多数の従来技術に見いだすことができる。広帯域ELユニットを構成するのに用いる材料は、従来の白色OLEDデバイスを構成するのに用いる材料と同じにすることができる。なお従来の白色OLEDデバイスは、例えばアメリカ合衆国特許出願公開2002/0025419 A1、アメリカ合衆国特許第5,683,823号、第5,503,910号、第5,405,709号、第5,283,182号、ヨーロッパ特許第1 187 235号、第1 182 244号、日本国特開07-142169に開示されている。
【0035】
各ELユニットは、性能が向上するように選択すること、または望む属性が実現されるように選択することができる。性能または属性としては、例えば、OLED多層構造の光透過率、駆動電圧、輝度効率、発光色、製造しやすさ、デバイスの安定性などがある。タンデム式白色OLEDに含まれるELユニットの数は、原則として2以上である。タンデム式白色OLEDに含まれるELユニットの数は、輝度効率(単位はcd/A)が向上するか最大になる数であることが好ましい。照明の用途では、ELユニットの数は、電源の最大電圧によって決めることができる。
【0036】
タンデム式白色OLEDの駆動電圧を小さくするためには、発光効率を損なうことなく、それぞれのELユニットをできるだけ薄くすることが望ましい。各ELユニットは、厚さが500nm未満であることが好ましく、2〜250nmであることがより好ましい。ELユニットの各層の厚さが200nm以下であることも好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましい。ELユニットの各LELの厚さが5nm〜50nmの範囲であることも好ましい。
【0037】
タンデム式白色OLEDが効果的に機能するためには、中間接続層が隣接するELユニットにキャリアを効果的に提供する必要がある。金属、金属化合物、またはこれら以外の無機化合物は抵抗率が有機材料よりも小さいため、キャリアの注入に有効である可能性がある。しかし抵抗率が小さいことで面抵抗が小さくなり、画素のクロストークが発生する可能性がある。隣接する画素間を通過する横方向の電流によって画素のクロストークが起こるが、その横方向の電流を画素の駆動に用いる電流の10%未満に制限するのであれば、中間接続層の横方向の抵抗値(Ric)は、タンデム式白色OLEDの抵抗値の少なくとも8倍でなければならない。一般に、従来型OLEDの2つの電極間の静的抵抗値はほぼ数kΩであるが、タンデム式白色OLEDは、2つの電極間の抵抗値が約10kΩ〜数10kΩでなくてはならない。したがってRicは100kΩよりも大きくなくてはならない。各画素間のスペースが単位面積よりも小さいことを考えると、中間接続層の面抵抗は、100kΩ/□よりも大きくなくてはならない(横方向の抵抗値は、面抵抗×□の数)。面抵抗は膜の抵抗率と厚さの両方によって決まるため(面抵抗は膜の抵抗率を膜の厚さで割った値)、中間接続層を構成する層を抵抗率の小さな金属、金属化合物、またはこれら以外の無機化合物の中から選択すると、層が十分に薄いのであれば中間接続層で100kΩ/□を超える面抵抗を実現することがやはり可能である。それに対して中間接続層を構成するのに有機材料を用いる場合には、電気抵抗が十分に大きいために画素のクロストークはなかろう。しかし純粋な有機層だと、中間接続層の中にキャリアを注入したり、中間接続層の中でキャリアを生成させたりすることは容易でない。したがってドーピングによって半導特性が向上した有機層を中間接続層としても使用できる。
【0038】
タンデム式白色OLEDが効果的に機能するための別の条件は、ELユニットと中間接続層を構成する層の透過率ができるだけ大きくなっていて、有機白色ELユニットの中で発生する光がデバイスの外に出られることである。簡単な計算によると、各中間接続層の透過率が発生する光の70%だと、タンデム式白色OLEDの利点はあまりなかろう。なぜなら、デバイス中にいくら多くのELユニットが存在していても、従来型デバイスと比べて発光効率を2倍にすることは決してできないからである。有機ELユニットを構成する層は、一般に、そのELユニットから発生する光に対して透明であるため、その透過率は、一般にタンデム式白色OLEDを構成する際に問題にならない。公知のように、金属、金属化合物、またはこれら以外の無機化合物は透過率が小さい可能性がある。しかし中間接続層を構成する層を金属、金属化合物、またはこれら以外の無機化合物の中から選択するとき、層を十分に薄くするのであれば、光の透過率を70%よりも大きくすることが可能である。中間接続層は、スペクトルの可視領域での透過率が少なくとも75%であることが好ましい。
【0039】
したがって隣り合うELユニットの間に設けられた中間接続層は非常に重要である。なぜなら中間接続層は、画素のクロストークも透過率の低下もなしに、隣接するELユニットに電子と正孔を効率的に注入するために必要だからである。図6〜図14には、本発明による中間接続層の典型的な実施態様が示してあり、隣り合うELユニットの間にそれぞれ配置された中間接続層は、外部電源に直接は接続されていない少なくとも2つの異なる層を含んでいる。中間接続層に含まれるこれら2つ以上の異なる層は、キャリアの注入がうまくいき、しかも光に対して十分に透明であるならば、すべて有機材料で構成すること、または一部を有機材料で構成すること、またはすべてを無機材料で構成することができる。図6には、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されているn型をドープされた有機層631と、そのn型をドープされた有機層631の上に配置されたp型をドープされた有機層632とを含む中間接続層630が示してある。図7には、順番に、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されているn型をドープされた有機層631と、金属化合物層733と、p型をドープされた有機層632とを含む中間接続層730が示してある。図8には、順番に、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されているn型をドープされた有機層631と、仕事関数の大きな金属層834と、p型をドープされた有機層632とを含む中間接続層830が示してある。図9には、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されているn型をドープされた有機層631と、そのn型をドープされた有機層631の上に配置された金属化合物層733とを含む中間接続層930が示してある。この中間接続層は、面抵抗が100kΩ/□よりも大きい。図10には、順番に、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されているn型をドープされた有機層631と、仕事関数の大きな金属層834と、金属化合物層733とを含む中間接続層1030が示してある。この中間接続層は、面抵抗が100kΩ/□よりも大きい。図11には、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されている仕事関数の小さな金属層1135と、その仕事関数の小さな金属層1135の上に配置された金属化合物層733とを含む中間接続層1130が示してある。この中間接続層は、面抵抗が100kΩ/□よりも大きい。図12には、順番に、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されている仕事関数の小さな金属層1135と、仕事関数の大きな金属層834と、金属化合物層733とを含む中間接続層1230が示してある。この中間接続層は、面抵抗が100kΩ/□よりも大きい。図13には、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されている無機半導体層1336と、その無機半導体層1336の上に配置された金属化合物層733とを含む中間接続層1330が示してある。この中間接続層は、面抵抗が100kΩ/□よりも大きい。図14には、順番に、前の有機ELユニットのETLに隣接して配置されているn型無機半導体層1336と、仕事関数の大きな金属層834と、金属化合物層733とを含む中間接続層1430が示してある。この中間接続層は、面抵抗が100kΩ/□よりも大きい。さらに、このタンデム式白色OLEDデバイスでは、それぞれの中間接続層の構造は同じでも異なっていてもよい。
【0040】
上記の中間接続層に含まれるn型をドープされた有機層631は、電子の輸送をサポートすることのできる少なくとも1種類の有機ホスト材料と、1種類のn型ドーパントとを含んでいる。従来のOLEDで用いられる有機電子輸送材料は、n型をドープされた有機層のための有用なホスト材料の1つのクラスである。好ましい材料は、金属キレート化オキシノイド化合物である。その中には、オキシンそのもの(一般に、8-キノリノールまたは8-ヒドロキシキノリンとも呼ばれる)のキレートとして、例えばトリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)などが含まれる。他の材料としては、Tang(アメリカ合衆国特許第4,356,429号)が開示しているさまざまなブタジエン誘導体、Van SlykeとTangら(アメリカ合衆国特許第4,539,507号)が開示しているさまざまな複素環式蛍光剤、トリアジン、ヒドロキシキノリン誘導体、ベンズアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などがある。シロール誘導体(2,5-ビス(2',2"-ビピリジン-6-イル)-1,1-ジメチル-3,4-ジフェニルシラシクロペンタジエンなど)も有用な有機ホスト材料である。上記材料の組み合わせも、n型をドープされた有機層を形成するのに役立つ。n型をドープされた有機層631に含まれる有機ホスト材料は、Alq、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(Bphen)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)、2,2'-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジイルビス[4,6-(p-トリル)-1,3,5-トリアジン](TRAZ)、またはこれらの組み合わせであることがより好ましい。
【0041】
n型をドープされた有機層631に含まれるn型ドーパントとして、アルカリ金属、アルカリ金属の化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の化合物、またはこれらの組み合わせがある。“金属の化合物”という用語には、有機金属錯体、金属-有機塩、無機塩、酸化物、ハロゲン化物が含まれる。金属含有n型ドーパントというクラスの中では、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Ce、Sm、Eu、Tb、Dy、Yb、ならびにこれらの化合物が特に有用である。ドープされた有機接続層のn型をドープされた有機層でn型ドーパントとして使用される材料としては、強力な電子供与特性を有する有機還元剤も挙げられる。“強力な電子供与特性”とは、有機ドーパントが少なくともいくつかの電荷をホストに与えてホストと電荷移動錯体を形成できねばならないことを意味する。有機分子の例としては、ビス(エチレンジチオ)-テトラチアフルバレン(BEDT-TTF)、テトラチアフルバレン(TTF)、ならびにこれらの誘導体などがある。ホストがポリマーである場合には、ドーパントは上記の任意のものが可能であり、分子として分散させた材料、または少量成分としてホストとコポリマー化した材料でもよい。n型をドープされた有機層631に含まれるn型ドーパントは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Ce、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Yb、ならびにこれらの組み合わせであることが好ましい。n型ドーパントの濃度は0.01〜20体積%の範囲であることが好ましい。n型をドープされた有機層の厚さは一般に150nm未満であるが、約1〜100nmの範囲であることが好ましい。
【0042】
中間接続層にn型をドープされた有機層631が存在している場合には、隣接するELユニットでEILを用いる必要はない。なぜならこのn型をドープされた有機層631により、隣接しているELユニットと中間接続層の両方に電子を容易に注入できるからである。
【0043】
上記の中間接続層に含まれるp型をドープされた有機層632は、正孔の輸送をサポートすることのできる少なくとも1種類の有機ホスト材料と、1種類のp型ドーパントとを含んでいる。従来のOLEDで用いられる正孔輸送材料は、p型をドープされた有機層のための有用なホスト材料の1つのクラスである。好ましい材料として、炭素原子(そのうちの少なくとも1つは芳香族環のメンバーである)だけに結合する少なくとも1つの3価窒素原子を含んでいる芳香族第三級アミンなどがある。芳香族第三級アミンの1つの形態は、アリールアミン(例えばモノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ポリマー・アリールアミン)である。1個以上のビニル基で置換された他の適切なトリアリールアミン、および/または少なくとも1つの活性な水素含有基を含む他の適切なトリアリールアミンは、Brantleyらによってアメリカ合衆国特許第3,567,450号と第3,658,520号に開示されている。芳香族第三級アミンのより好ましいクラスは、Van SlykeとTangらがアメリカ合衆国特許第4,720,432号と第5,061,569号に記載している、少なくとも2つの芳香族第三級アミン部分を含むものである。例示すると、N,N'-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(NPB)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、N,N,N',N'-テトラナフチル-ベンジジン(TNB)などがある。上記材料の組み合わせも、p型をドープされた有機層を形成するのに役立つ。p型をドープされた有機層632に含まれる有機ホスト材料は、NPB、TPD、TNB、4,4',4"-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)-トリフェニルアミン(m-MTDATA)、4,4',4"-トリス(N,N-ジフェニル-アミノ)-トリフェニルアミン(TDATA)、またはこれらの組み合わせであることがより好ましい。
【0044】
p型をドープされた有機層632に含まれるp型ドーパントとして、強力な電子求引特性を有する酸化剤も挙げられる。“強力な電子求引特性”とは、有機ドーパントがいくつかの電荷をホストから受け取ってホスト材料と電荷移動錯体を形成できねばならないことを意味する。いくつか例示すると、有機化合物(例えば2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F4-TCNQ)や、7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)の他の誘導体)、無機酸化剤(例えばヨウ素、FeCl3、FeF3、SbCl5、他のいくつかの金属塩化物、他のいくつかの金属フッ化物)がある。p型ドーパントの組み合わせも、p型をドープされた有機層632を形成するのに役立つ。p型ドーパントの濃度は、0.01〜20体積%の範囲であることが好ましい。p型をドープされた有機層の厚さは一般に150nm未満であるが、約1〜100nmの範囲であることが好ましい。
【0045】
中間接続層で用いられるホスト材料としては、小分子材料やポリマー材料、またはその組み合わせが可能である。上記の正孔輸送特性と電子輸送特性の両方を示すホスト材料があれば、同じホスト材料をn型をドープされた有機層とp型をドープされた有機層の両方で使用できる場合がある。n型をドープされた有機層とp型をドープされた有機層のいずれかでホストとして使用できる材料の例としては、アメリカ合衆国特許第5,972,247号に記載されているさまざまなアントラセン誘導体、いくつかのカルバゾール誘導体(例えば4,4-ビス(9-ジカルバゾリル)-ビフェニル(CBP))、アメリカ合衆国特許第5,121,029号に記載されているジスチリルアリーレン誘導体(例えば4,4'-ビス(2,2'-ジフェニルビニル)-1,1'-ビフェニル)などがある。
【0046】
図7に示した中間接続層730の金属化合物層733は、主として、n型をドープされた有機層とp型をドープされた有機層の間で起こる可能性のある相互拡散を阻止し、動作中の駆動電圧を安定化させるのに用いられる。別の場合として、図9〜図14に示してあるように、金属化合物層733が中間接続層の最上層になっている場合(または金属化合物層733が次のELユニットのHTLに隣接している場合)には、この層は、この層とHTLのインターフェイスを変化させ、中間接続層とELユニットの間への正孔注入を改善することができる。
【0047】
金属化合物層733の選択は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛、ケイ素、ゲルマニウム、またはこれらの組み合わせの化学量論的酸化物または非化学量論的酸化物の中から行なうことができる。金属化合物層733の選択は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛、ケイ素、ゲルマニウム、またはこれらの組み合わせの化学量論的硫化物または非化学量論的硫化物の中から行なうことができる。金属化合物層733の選択は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛、ケイ素、ゲルマニウム、またはこれらの組み合わせの化学量論的セレン化物または非化学量論的セレン化物の中から行なうことができる。金属化合物層733の選択は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛、ケイ素、ゲルマニウム、またはこれらの組み合わせの化学量論的テルル化物または非化学量論的テルル化物の中から行なうことができる。金属化合物層733の選択は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛、ケイ素、ゲルマニウム、またはこれらの組み合わせの化学量論的窒化物または非化学量論的窒化物の中から行なうことができる。金属化合物層733の選択は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、亜鉛、ケイ素、ゲルマニウム、またはこれらの組み合わせの化学量論的炭化物または非化学量論的炭化物の中から行なうこともできる。金属化合物層733の選択は、MoO3、NiMoO4、CuMoO4、WO3、ZnTe、Al4C3、AlF3、B2S3、CuS、GaP、InP、SnTeの中から選択することができる。金属化合物層733は、MoO3、NiMoO4、CuMoO4、WO3の中から選択することが好ましい。
【0048】
中間接続層の中央に挿入される仕事関数の大きな金属層834は、主として、起こりうる相互拡散を阻止し、中間接続層の他の2つの層の間にキャリアを容易に注入できるようにするのに用いられる。この層を形成するのに用いられる仕事関数の大きい金属は仕事関数が4.0eV以上であり、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、In、Snのいずれか、またはこれらの組み合わせを含んでいる。仕事関数の大きな金属層834は、Ag、Al、Cu、Au、Zn、In、Snのいずれかまたはこれらの組み合わせを含んでいることが好ましい。より好ましいのは、仕事関数の大きな金属層834がAgまたはAlを含んでいることである。
【0049】
中間接続層に含まれる仕事関数の小さな金属層1135は、主として、この層と前の有機白色ELユニットのETLのインターフェイスを変化させ、中間接続層と有機白色ELユニットの間に電子を注入しやすくするのに用いられる。この層を形成するのに用いられる仕事関数の小さな金属は仕事関数が4.0eV未満であり、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Ce、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ybのいずれか、またはこれらの組み合わせを含んでいる。仕事関数の小さな金属層1135は、Li、Na、Cs、Ca、Ba、Ybのいずれかを含んでいることが好ましい。
【0050】
中間接続層に含まれるn型無機半導体層1336は、主として、この層と前の有機白色ELユニットのETLのインターフェイスを変化させ、中間接続層と有機白色ELユニットの間に電子を注入しやすくするのに用いられる。n型無機半導体層1336は、ZnSe、ZnS、ZnSSe、SnSe、SnS、SnSSe、LaCuO3、La4Ru6O19、C60などを含んでいる。n型無機半導体層1336は、ZnSeまたはZnSを含んでいることが好ましい。
【0051】
中間接続層にn型無機半導体層1336が存在している場合、隣接する有機白色ELユニットでEILを用いる必要はない。なぜなら、このn型無機半導体層1336により、隣接する有機白色ELユニットと中間接続層の両方に電子を容易に注入することができるからである。
【0052】
中間接続層に含まれる各層の厚さは0.1nm〜150nmの範囲である。中間接続層に含まれる金属化合物層733の厚さは0.5nm〜20nmの範囲である。中間接続層に含まれる仕事関数の大きな金属層834の厚さは0.1nm〜5.0nmの範囲である。中間接続層に含まれる仕事関数の小さな金属層1135の厚さは0.1nm〜10nmの範囲である。中間接続層に含まれるn型無機半導体層1336の厚さは0.5nm〜20nmの範囲である。
【0053】
本発明のタンデム式OLEDは支持用基板の上に設けられて、カソードまたはアノードがその基板と接するのが一般的である。基板と接する電極は、通常、底部電極と呼ばれる。一般に底部電極はアノードであるが、本発明がこの構成に限定されることはない。基板は、どの方向に光を出したいかに応じ、透過性または不透明にすることができる。透光特性は、基板を通してEL光を見る上で望ましい。その場合には、透明なガラスまたはプラスチックが一般に用いられる。EL光を上部電極を通じて見るような用途では、底部支持体の透過特性は重要でないため、底部支持体は、光透過性、光吸収性、光反射性のいずれでもよい。この場合に用いる基板としては、ガラス、プラスチック、半導体材料、シリコン、セラミック、回路板材料などがある。もちろんこのような構成のデバイスでは、透光性のある上部電極を設ける必要がある。
【0054】
EL光をアノード110を通して見る場合には、アノードは、興味の対象となる光に対して透明であるか、実質的に透明である必要がある。本発明で用いる透明なアノード用の一般的な材料は、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、スズ酸化物であるが、他の金属酸化物(例えばアルミニウムをドープした酸化亜鉛、インジウムをドープした酸化亜鉛、マグネシウム-インジウム酸化物、ニッケル-タングステン酸化物)も可能である。これら酸化物に加え、金属窒化物(例えば窒化ガリウム)、金属セレン化物(例えばセレン化亜鉛)、金属硫化物(例えば硫化亜鉛)をアノード材料として用いることができる。EL光をカソード電極だけを通して見るような用途では、アノード材料の透過特性は重要でなく、あらゆる導電性材料(透明なもの、不透明なもの、反射性のもの)を使用することができる。この用途での具体的な導電性材料としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金などがある。典型的なアノード材料は、透過性であろうとなかろうと、仕事関数が4.0eV以上である。望ましいアノード材料は、一般に適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段)で堆積される。アノードは、よく知られているフォトリソグラフィ法を利用してパターニングすることができる。場合によっては、アノードの表面を研磨して凹凸を減らしてから他の層を堆積させることで、短絡を少なくしたり、反射率を大きくしたりすることができる。
【0055】
アノードだけを通して発光を見る場合には、本発明で使用するカソード170は、ほぼ任意の導電性材料で構成することができる。望ましい材料は優れた膜形成特性を有するため、下にある有機層との接触がよくなり、低電圧で電子の注入が促進され、優れた安定性を得ることができる。有用なカソード材料は、仕事関数が小さな(4.0eV未満)金属または合金を含んでいることがしばしばある。好ましい1つのカソード材料は、アメリカ合衆国特許第4,885,221号に記載されているように、銀が1〜20%の割合で含まれたMg:Ag合金からなる。適切なカソード材料の別のクラスとして、有機層(例えばETL)に接触する薄い無機EILを備えていて、その上により厚い導電性金属層を被せた構成の二層がある。その場合、無機EILは、仕事関数が小さな金属または金属塩を含んでいることが好ましく、そうなっている場合には、より厚い被覆層は仕事関数が小さい必要がない。このような1つのカソードは、アメリカ合衆国特許第5,677,572号に記載されているように、LiFからなる薄い層と、その上に載るより厚いAl層からなる。他の有用なカソード材料としては、アメリカ合衆国特許第5,059,861号、第5,059,862号、第6,140,763号に開示されているものがあるが、これだけに限定されるわけではない。
【0056】
カソードを通して発光を見る場合、カソードは、透明であるか、ほぼ透明である必要がある。このような用途のためには、金属が薄いか、透明な導電性酸化物を使用するか、このような材料が含まれている必要がある。光学的に透明なカソードは、アメリカ合衆国特許第4,885,211号、第5,247,190号、第5,703,436号、第5,608,287号、第5,837,391号、第5,677,572号、第5,776,622号、第5,776,623号、第5,714,838号、第5,969,474号、第5,739,545号、第5,981,306号、第6,137,223号、第6,140,763号、第6,172,459号、第6,278,236号、第6,284,393号、日本国特許第3,234,963号、ヨーロッパ特許第1 076 368号に、より詳細に記載されている。カソード材料は、一般に、蒸着、電子ビーム蒸着、イオン・スパッタリング、化学蒸着いずれかの方法によって堆積させる。必要な場合には、よく知られた多数の方法でパターニングすることができる。方法としては、例えば、スルー・マスク蒸着、アメリカ合衆国特許第5,276,380号とヨーロッパ特許第0 732 868号に記載されている一体化シャドウ・マスキング、レーザー除去、選択的化学蒸着などがある。
【0057】
広帯域ELユニットと中間接続層は、蒸着、電子ビーム蒸着、イオン・スパッタリング法、スピン・コーティングのいずれかによって形成することができる。タンデム式白色OLEDを製造するとき、例えばELユニットと、中間接続層と、最上部の有機ELユニットの上に載る電極を形成するのに、蒸着法を利用してすべての材料を堆積させることが好ましい。
【0058】
たいていのOLEDは、水分と酸素の一方または両方に敏感であるため、一般に不活性雰囲気(例えば窒素やアルゴン)中で、乾燥剤(例えばアルミナ、ボーキサイト、硫酸カルシウム、粘土、シリカゲル、ゼオライト、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、ハロゲン化金属、過塩素酸塩)とともに密封される。封入と乾燥のための方法としては、アメリカ合衆国特許第6,226,890号に記載されている方法などがある。さらに、障壁層(例えばSiOx、テフロン(登録商標))や、交互に積層された無機層/ポリマー層が、封入法として知られている。
【実施例】
【0059】
本発明をさらによく理解するため、以下の例を提示する。以下の例では、較正された厚さモニター(INFICON IC/5堆積制御装置)を用いて有機層の厚さとドーピングの濃度をその場で制御して測定した。製造した全デバイスのEL特性は、定電流源(KEITHLEY 2400ソースメーター)と光度計(フォト・リサーチ社のスペクトラスキャンPR 650)を室温で用いて評価した。
【0060】
例1(比較例)
比較用の白色OLEDは以下のようにして製造する:透明なインジウム-スズ酸化物(ITO)導電層でコーティングした厚さ約1.1mmのガラス基板を市販のガラス磨きツールを用いてクリーンにして乾燥させた。ITOの厚さは約42nmであり、ITOの面抵抗率は約68Ω/□である。次にITOの表面を酸化性プラズマで処理してその表面をアノードにした。RFプラズマ処理チェンバーの中でCHF3ガスを分解することにより、正孔注入層として厚さ1nmのCFx層をクリーンなITOの表面に堆積させた。次に基板を真空蒸着チェンバーに移し、基板の上に他のすべての層を堆積させた。約10-6トルという真空下で加熱したボートから蒸発させることにより、以下の層を以下の順番で堆積させた。
【0061】
1.ELユニット:
a)HTL、厚さ約90nm、“4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル”(NPB)を含む;
b)1番目のLEL、厚さ20nm、70体積%のNPBと、29.5体積%のルブレンと、0.5体積%の“5,10,15,20-テトラフェニル-ビスベンズ[5,6]インデノ[1,2,3-cd:1',2',3'-lm]ペリレン”を含む(赤色発光層);
c)2番目のLEL、厚さ40nm、87体積%の“2-(1,1-ジメチルエチル)-9,10,-ジ-2-ナフタレニルアントラセン”(TBADN)と、9体積%のNPBと、4体積%の“4-(ジ-p-トリルアミノ)-4'-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベン”を含む(青色発光層);
d)ETL、厚さ10nm、“トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム”(Alq)を含む。
【0062】
2.カソード:厚さ約210nm、MgAgを含む(約95体積%のMgと5体積%のAgを同時に蒸着することによって形成)。
【0063】
これらの層を堆積させた後、デバイスを蒸着チェンバーからドライ・ボックス(VACバキューム・アトモスフェア社)に移して封入した。
【0064】
20mA/cm2でテストした例1のELスペクトルを図15に示してある。
【0065】
例2
図4に示した本発明のタンデム式白色OLEDを構成した。例2で利用した製造方法は例1で利用した製造方法と同様であり、堆積させた層構造は以下の通りである。
【0066】
1.1番目のELユニット(1番目の広帯域ELユニット):
a)HTL、厚さ約30nm、NPBを含む;
b)1番目のLEL、厚さ30nm、70体積%のNPBと、29.5体積%のルブレンと、0.5体積%の“5,10,15,20-テトラフェニル-ビスベンズ[5,6]インデノ[1,2,3-cd:1',2',3'-lm]ペリレン”を含む(赤色発光層);
c)2番目のLEL、厚さ40nm、85体積%の“2-(1,1-ジメチルエチル)-9,10-ジ-2-ナフタレニルアントラセン(TABADN)”と、約13.5体積%のNPBと、1.5体積%の“2,5,8,11-テトラ-t-ブチルペリレン(TBP)”を含む(青色発光層);
d)ETL、厚さ10nm、Alqを含む。
【0067】
2.1番目の中間接続層:
a)n型をドープされた有機層、厚さ10nm、約1.2体積%のリチウムをドープされたAlqを含む;
b)金属化合物層、厚さ2nm、WO3を含む。
【0068】
3.2番目のELユニット(1番目の色補償ELユニット):
a)HTL、約50nm、NPBを含む;
b)LEL、厚さ30nm、Alqを含む;
c)ETL、厚さ30nm、約1.2体積%のリチウムをドープしたAlqを含む。
【0069】
4.カソード:厚さ約210nm、MgAgを含む。
【0070】
20mA/cm2でテストした例2のELスペクトルを図15に示してある。
【0071】
図15からわかるように、従来の白色OLED(例1)は、スペクトル領域の緑色の発光が相対的に弱い。しかし緑色補償ELユニットを備えるタンデム式白色OLED(例2)は、スペクトル領域の緑色成分の強度が大きくなっているために白色が改善されている。光は、カラー・フィルタを通過した後、赤色、緑色、青色のバランスが改善している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】発生する色が異なる2つのELユニットを有する従来のタンデム式白色OLEDの概略断面図である。
【図2】発生する色が異なる3つのELユニットを有する従来の別のタンデム式白色OLEDの概略断面図である。
【図3】2N-1個(N>1)の中間接続層によって互いに直列に接続されたN個の広帯域ELユニットとN個の色補償ELユニットを有する本発明のタンデム式白色OLEDの概略断面図である。
【図4】1つの中間接続層によって互いに直列に接続された1つの広帯域ELユニットと1つの色補償ELユニットを備える本発明の特別なタンデム式白色OLEDの概略断面図である。
【図5】2つの中間接続層によって互いに直列に接続された2つの広帯域ELユニットと1つの色補償ELユニットを備える本発明の特別なタンデム式白色OLEDの概略断面図である。
【図6】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、n型をドープされた有機層と、p型をドープされた有機層とを備える中間接続層の概略断面図である。
【図7】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、n型をドープされた有機層と、金属化合物層と、p型をドープされた有機層とを備える別の中間接続層の概略断面図である。
【図8】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、n型をドープされた有機層と、仕事関数の大きな金属層と、p型をドープされた有機層とを備える別の中間接続層の概略断面図である。
【図9】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、n型をドープされた有機層と、金属化合物層とを備える別の中間接続層の概略断面図である。
【図10】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、n型をドープされた有機層と、仕事関数の大きな金属層と、金属化合物層とを備える別の中間接続層の概略断面図である。
【図11】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、仕事関数の小さな金属層と、金属化合物層とを備える別の中間接続層の概略断面図である。
【図12】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、仕事関数の小さな金属層と、仕事関数の大きな金属層と、金属化合物層とを備える別の中間接続層の概略断面図である。
【図13】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、n型無機半導体層と、金属化合物層とを備える別の中間接続層の概略断面図である。
【図14】本発明のタンデム式白色OLEDにおいて、n型無機半導体層と、仕事関数の大きな金属層と、金属化合物層とを備える別の中間接続層の概略断面図である。
【図15】例1と例2の発光スペクトルのグラフである。
【符号の説明】
【0073】
100 タンデム式白色OLED(従来技術)
110 アノード
120.1 青色を発光する1番目のELユニット(または1番目のELユニット-青色)
120.2 赤色を発光する2番目のELユニット(または2番目のELユニット-赤色)
130.1 電荷生成層(CGL)
170 カソード
180 電圧/電流源
190 導電体
200 タンデム式白色OLED(従来技術)
220.1 青色を発光する1番目のELユニット(または1番目のELユニット-青色)
220.2 緑色を発光する2番目のELユニット(または2番目のELユニット-緑色)
220.3 赤色を発光する3番目のELユニット(または3番目のELユニット-赤色)
230.1 1番目の中間接続層(または1番目の接続層)
230.2 2番目の中間接続層(または2番目の接続層)
300 タンデム式白色OLED
320.1 1番目の広帯域ELユニット
320.2 2番目の広帯域ELユニット
320.N N番目の広帯域ELユニット
330.1 1番目の中間接続層(または1番目の接続層)
330.2 2番目の中間接続層(または2番目の接続層)
330.(2N-1) (2N-1)番目の中間接続層(または(2N-1)番目の接続層)
340.1 1番目の色補償ELユニット(または1番目の補償ELユニット)
340.N N番目の色補償ELユニット(またはN番目の補償ELユニット)
400 1つの広帯域ELユニットと、1つの色補償ELユニットとを備えるタンデム式白色OLED
500 2つの広帯域ELユニットと、1つの色補償ELユニットとを備えるタンデム式白色OLED
630 中間接続層
631 n型をドープされた有機層
632 p型をドープされた有機層
730 中間接続層
733 金属化合物層
830 中間接続層
834 仕事関数の大きな金属層
930 中間接続層
1030 中間接続層
1130 中間接続層
1135 仕事関数の小さな金属層
1230 中間接続層
1330 中間接続層
1336 n型無機半導体層(またはn型無機半導体)
1430 中間接続層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アノードと;
b)カソードと;
c)上記アノードと上記カソードの間に配置されていて、強度が望むよりも弱い少なくとも1つの色成分を発生させる少なくとも1つの発光層を備える少なくとも1つの広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットと;
d)上記アノードと上記カソードの間に配置されていて、上記少なくとも1つの色成分を発生させるとともに、その色成分の強度を大きくするように選択された少なくとも1つの色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットと;
e)隣り合ったエレクトロルミネッセンス・ユニットの間にそれぞれ配置されていて、外部電源に直接は接続されていない1つの中間接続層とを備えるタンデム式白色OLEDデバイス。
【請求項2】
単一の広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットと、単一の色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットと、単一の中間接続層とを備える、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項3】
a)アノードと;
b)カソードと;
c)上記アノードと上記カソードの間に配置されていて、強度が望むよりも弱い少なくとも1つの色成分を発生させる少なくとも1つの発光層をそれぞれが備える2つの広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットと;
d)上記アノードと上記カソードの間に配置されていて、上記少なくとも1つの色成分を発生させるとともに、その色成分の強度を大きくするように選択された1つの色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットと;
e)隣り合ったエレクトロルミネッセンス・ユニットの間にそれぞれ配置されていて、外部電源に直接は接続されていない2つの中間接続層とを備えるタンデム式白色OLEDデバイス。
【請求項4】
上記広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットの1つが少なくとも3つの発光層を備えており、その発光層のそれぞれが異なる色の光を出す、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項5】
上記広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットの1つが少なくとも2つの発光層を備えており、その発光層のそれぞれが異なる色の光を出す、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項6】
上記広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットの1つが少なくとも1つの発光層を備えている、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項7】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットの数が、上記広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットの数以下であり、しかも1以上である、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項8】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットのそれぞれが、少なくとも1つの発光層を備える、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項9】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットのそれぞれが同じ色の光を出せる、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項10】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットが赤色の光を出し、上記広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットが、強度が望むよりも弱い赤色成分の光を出す、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項11】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットが緑色の光を出し、上記広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットが、強度が望むよりも弱い緑色成分の光を出す、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項12】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットが青色の光を出し、上記広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットが、強度が望むよりも弱い青色成分の光を出す、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項13】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットのそれぞれが異なる色の光を出せる、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項14】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットを上記アノードと接触させて配置することができる、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項15】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットを上記カソードと接触させて配置することができる、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項16】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットを2つの広帯域エレクトロルミネッセンス・ユニットの間に配置することができる、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項17】
上記色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットを別の2つの色補償エレクトロルミネッセンス・ユニットの間に配置することができる、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項18】
それぞれの中間接続層が、前のエレクトロルミネッセンス・ユニットの電子輸送層に隣接して配置されたn型をドープされた少なくとも1つの有機層と、そのn型をドープされた有機層の上に配置されたp型をドープされた有機層とを含む、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項19】
それぞれの中間接続層が、n型をドープされた上記有機層とp型をドープされた上記有機層の間に配置された金属化合物層を含む、請求項18に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項20】
それぞれの中間接続層が、n型をドープされた上記有機層とp型をドープされた上記有機層の間に配置された仕事関数の大きな金属層を含む、請求項18に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項21】
それぞれの中間接続層が、100kΩ/□よりも大きな面抵抗を持ち、前の有機エレクトロルミネッセンス・ユニットの電子輸送層に隣接して配置されたn型をドープされた少なくとも1つの有機層と、そのn型をドープされた有機層の上に配置された金属化合物層とを含む、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項22】
それぞれの中間接続層が、n型をドープされた上記有機層と上記金属化合物層の間に配置された仕事関数の大きな金属層を含む、請求項21に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項23】
それぞれの中間接続層が、100kΩ/□よりも大きな面抵抗を持ち、前の有機エレクトロルミネッセンス・ユニットの電子輸送層に隣接して配置された仕事関数の小さな少なくとも1つの金属層と、その仕事関数の小さな金属層の上に配置された金属化合物層とを含む、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項24】
それぞれの中間接続層が、仕事関数の小さな上記金属層と上記金属化合物層の間に配置された仕事関数の大きな金属層を含む、請求項23に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項25】
それぞれの中間接続層が、100kΩ/□よりも大きな面抵抗を持ち、前の有機エレクトロルミネッセンス・ユニットの電子輸送層に隣接して配置された少なくとも1つのn型無機半導体層と、そのn型無機半導体層の上に配置された金属化合物層とを含む、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項26】
それぞれの中間接続層が、上記n型無機半導体層と上記金属化合物層の間に配置された仕事関数の大きな金属層を含む、請求項25に記載のタンデム式白色OLED。
【請求項27】
それぞれの中間接続層が同じ層構造でも異なる層構造でもよい、請求項1に記載のタンデム式白色OLED。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−518400(P2008−518400A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537997(P2007−537997)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/037577
【国際公開番号】WO2006/047170
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】