説明

色処理装置及びプログラム

【課題】表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された色変換係数を用いた場合においても、入力色を、彩度を重視した出力色に変換する。
【解決手段】色変換部にグラフィック画像データが入力されると、色変換処理部によって、入力色を、彩度を重視した出力色に変換するための追加のプロファイルと、既存の出力のプロファイルを用いて、出力デバイス依存色空間の画像データに変換して、出力デバイスへ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は色処理装置及び色処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタやモニタ、印刷機、スキャナ等の画像入出力デバイスは原色などの色が互いに異なっていることにより色域が異なる。このため、各デバイス間で色を受け渡す場合には、デバイス独立した色空間上で、入力側のデバイスの色を出力側のデバイスの色に対応付ける色域マッピングを含む色処理を行うことで、再現色の整合をとる必要がある。
【0003】
上記に関連して特許文献1には、入力系におけるオリジナル画像の色紙イメージを、出力系における複製画像上に忠実に再現するためのカラー画像処理方法であって、前記オリジナル画像と前記複製画像との夫々の色再現範囲内に存在する各々の白色点及び無彩色軸を整合し、その整合に基づいて前記複製画像の色再現範囲を補正して、オリジナル画像の色再現範囲と整合させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2893682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、表示装置の表示色に近づけた色を獲得するために生成された色変換係数を用いて、入力色に対して、彩度を重視した出力色を生成する色変換係数を獲得できる色処理装置及びプログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る色処理装置は、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させた第2色変換係数を生成する生成手段を含んで構成されている。
【0007】
請求項2記載の発明に係る色処理装置は、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された第1色変換係数と、前記第1色変換係数の後段に、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、前記出力デバイスの色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、第2色変換係数とを用いて、色変換する色変換手段を含んで構成されている。
【0008】
請求項3記載の発明に係る色処理装置は、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された、入力色を出力色域内の色に変換するときに利用される第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、入力色を変換する第2色変換係数と、前記第1色変換係数とを順次利用して出力デバイス依存色空間の出力色に変換する色変換処理手段を含んで構成されている。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の発明において、変換対象となる入力を、グラフィック画像とし、前記第2色変換係数を、緑色及び赤色の各々の最大彩度色を、前記対応する最大彩度色に近づけて対応させるように生成されたものとする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の発明において、前記第2色変換係数を、各色相での色域境界の彩度に対して彩度が低い色ほど、前記前記第2色変換係数を用いた色変換による色の変化量が小さくなるように生成されたものとする。
【0011】
請求項6記載の発明に係る色処理装置は、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現し、かつ、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、入力色を出力色域内の色に変換する色変換係数を用いて、入力色を、出力デバイス依存色空間の出力色に変換する色変換処理手段を含んで構成されている。
【0012】
請求項7記載の発明に係るプログラムは、コンピュータを、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させた、第2色変換係数を生成する生成手段として機能させるためのプログラムである。
【0013】
請求項8記載の発明に係るプログラムは、コンピュータを、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された第1色変換係数、及び前記第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、前記出力デバイスの色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、前記出力デバイス依存色を入力とする第2色変換係数を順次用いて、入力色を、前記出力デバイス依存色空間の出力色に色変換する色変換処理手段として機能させるためのプログラムである。
【0014】
請求項9記載の発明に係るプログラムは、コンピュータを、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された、第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、第2色変換係数、および前記第1色変換係数を順次用いて、入力色を、出力デバイス依存色空間の出力色に変換する色変換処理手段として機能させるためのプログラムである。
【0015】
請求項10記載の発明に係るプログラムは、コンピュータを、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現し、かつ、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、入力色を出力色域内の色に変換する色変換係数を用いて、入力色を、出力デバイス依存色空間の出力色に変換する色変換処理手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、2、3、6、7、8、9、10記載の発明は、第2色変換係数を用いた変換を行わない場合と比較して、表示装置の表示色に近づけるように生成された色変換係数を用いた場合においても、入力色に対して、彩度を重視した出力色を生成できる、という効果を有する。
【0017】
請求項4記載の発明は、第2色変換係数を用いた変換を行わない場合と比較して、グラフィック画像に対応して、入力色に対して、彩度を重視した出力色を生成できる、という効果を有する。
【0018】
請求項5記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、出力デバイスで再現する色を、表示装置の表示色に近づけることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係るコンピュータ・システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における色変換処理部の概略図である。
【図3】追加プロファイル生成処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】追加プロファイルにおける対応色の決定方法を説明するための概略図である。
【図5】第2実施形態における色変換処理部の概略図である。
【図6】追加プロファイルにおける対応色の決定方法を説明するための概略図である。
【図7】第3実施形態における色変換処理部の概略図である。
【図8】第4実施形態における色変換処理部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1には本実施形態に係るコンピュータ・システム10の概略構成が示されている。コンピュータ・システム10は、LAN等から成るネットワーク12に、コンピュータ・システム10に画像(データ)を入力するPC(Personal Computer:パーソナル・コンピュータ)等から成る複数台のクライアント端末14と、コンピュータ・システム10から入力された画像データを画像として可視化する出力デバイス18と、出力デバイスに出力するための色変換係数を利用して出力デバイス色に変換する処理サーバ26(たとえば、RIP)と、が各々接続されて構成されている。なお、出力デバイス18としては、例えば入力された画像データが表す画像を用紙へ印刷するプリンタが挙げられる。ネットワーク12に接続された個々のクライアント端末14は、CPU14A、RAM等から成るメモリ14B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部14C、ネットワークインタフェース(I/F)部14Dを備えており、ネットワークI/F部14Dを介してネットワーク12に接続されている。また、クライアント端末14には、表示装置20、キーボード22及びマウス24が各々接続されている。なお、出力デバイス18についても、表示装置20と同様にクライアント端末14に直接接続されていてもよい。
【0022】
本実施の形態では、ユーザは、クライアント端末14に接続された表示装置20に表示されたグラフィック画像を、キーボード22やマウス24を操作することにより、出力デバイス18によって出力するように処理サーバ26に対して指示する。なお、グラフィック画像とは、画像生成過程において、ベクター画像を経由した画像のことであり、たとえば、図形・図表やCG画像が含まれる。
【0023】
また、処理サーバ26はCPU26A、メモリ26B及び記憶部26Cを備えている。処理サーバ26の記憶部26Cには、サーバOS(Operating System)のプログラム、サーバOS上で動作する各種のアプリケーション・プログラム、処理サーバ26で次に述べる色変換処理を行うCMM(色変換モジュール)が予め各々インストールされており、色変換処理で使用する色変換係数等を登録可能なデータベース、さらに、色変換係数生成のアプリケーション・プログラムが予めインストールされている。また、色変換係数は、入力ファイルに添付やリンク(メタファイルなど)されている場合、各OS、デバイスメーカーやPhotoShop(Adobe社製)などのアプリケーション・プログラムに付属した色変換係数を入手したり、ICCやECI(ヨーロッパ標準化団体)などのサーバから色変換係数を入手することもできる。これら色変換係数の中で、画像を扱うPDFワークフローなどにて、獲得する画像の色の狙い(たとえば、グラデーション重視や写真の好ましさ重視、彩度重視や明度重視など)を設定して運用を標準化することがある。それら色の狙いの1つに、表示装置20での表示に見た目の近い再現(ICCでの位置づけとしてはre-targeting)がある。このときの色変換係数は表示装置20への入力色に依存して対応するために、色相と明度を維持することを優先するが、一方、グラフィック画像にとってより良好な見た目となる、高彩度の入力色が、出力デバイスで表現できる色域の中で高彩度の出力色に対応することが優先されていない。
【0024】
次に本実施形態の作用を説明する。以降、色変換係数の一形態として、CLUT(各格子点の色テーブル)のみから成るICCプロファイル(以降、プロファイル)について説明する。本実施形態に係る入力プロファイル(入力デバイス色空間からデバイス非依存色空間への対応色を定義した色変換係数)の入力色はsRGB、出力プロファイル(デバイス非依存色空間から出力デバイスの色空間への対応色を定義した色変換係数)の出力色はCMYKで説明する。なお、出力プロファイルが、第1色変換係数の一例であり、追加のプロファイルが、第2色変換係数の一例である。また、第1色変換係数として、色域マッピングが行われるように生成された入力プロファイルであってもよいし、入力プロファイルと出力プロファイルを統合したデバイスリンクプロファイルであってもよい。
【0025】
次に、図3を参照して追加プロファイル生成処理について説明する。なお、この追加プロファイル生成処理は追加プロファイル生成部(図2参照)による処理の一例であり、後述する色変換の実行に先立って実行される。
【0026】
追加プロファイル生成処理では、まずステップ50において、プロファイル記憶部(図2参照)から入力プロファイルと出力プロファイルを読み込む。そして、ステップ52において、入力色空間の色域外殻上に位置し、かつ概ね最大彩度となる色データ(全色相に対して離散的な色、)を、処理対象の入力最大彩度色(以下“CUSP色”と表記する)(ここではデバイス独立色)と、出力プロファイルとして取り出す。ここで、概ねとは、精度よく最大彩度の色を取得すると、色相方向で不連続になる場合(例えば、本来は多色インクジェットであるが制御できるのがRGB3色のプリンタ)が発生し、連続性を優先すると最大彩度ではない色しか選択できないことが生じることから、このように表現する。
【0027】
そして、ステップ54において、上記ステップ52で取得した入力CUSP色に対応する出力色(色域マッピング工程を含む出力プロファイルによって変換されたデバイス色)と等しい第1の出力CUSP色(デバイス独立色)から、対応する色相(例えば、同一の色相を含む予め定められた範囲の色相)であって、かつ、出力色域内の第2の出力CUSP色(デバイス独立色)とについて、彩度差を算出する。上記第2の出力CUSP色としては、例えば、信号強度が大きい色に相当する重要色(RGBCMYの6色に相当する色で、1次色と2次色)のいずれかを含んだ色である。重要色は、以降の処理を実施するかを判断するだけなら1色でもよい。また、第2の出力CUSP色について、等色相面上だけではなく、重要色は同じ重要色になるように色相シフトを含めて探す。
【0028】
次のステップ56では、上記ステップ54で算出された彩度差が、閾値(例えば、絶対値が2)以上であるか否かを判定する。彩度差が閾値未満である場合には、彩度重視のための補正が不要であると判断し、ステップ58において、当該色相における出力色が同一色となるように決定し、記憶する。
【0029】
一方、彩度差が閾値以上である場合には、彩度重視のための補正が必要であると判断し、ステップ60において、上記ステップ52で取得した入力CUSP色が、対応する色相であって、かつ、出力色域内の第2の出力CUSP色により近づくように、上記入力CUSP色が対応する出力対応色(入力プロファイルの出力を変更したデバイス独立色)を決定し、記憶する。ここで、第2の出力CUSP色そのものを出力してもよいが、そのものを出力すると、固定領域とのつながりで急激な色変化が生じて階調段差が発生しやすくなるため、第1の出力CUSP色と第2の出力CUSP色の2点間で出力対応色を決定する。この時、既存の階調段差の評価手法(例えば、スムージングとの差分量を評価するなど)を利用して決定してもよい。
【0030】
例えば、図4に示すように、表示装置20の入力色域80(L−C面データ)から出力プロファイルが再現する色域82へ色変換する出力のカラープロファイルにおいて、上記第1の出力CUSP色84に、上記ステップ60で取得した出力対応色88が対応するように決定する。
【0031】
そして、ステップ62において、上記ステップ60で決定された出力対応色と、上記ステップ52で取得した入力CUSP色とについて色の変化量を算出し、同一色相上で、算出した変化量を徐々に変化させるように、色相毎に明度と彩度を入出力とする関数を設定し、記憶する。例えば、彩度が低い色データほど、色の変化量が小さくなるように、対応関係を決定する。あるいは、色を変化させない固定色域を設定し、その固定色域から離れた色データほど、変化量が大きくなるように出力対応色(追加プロファイルの出力する色)を決定する。
【0032】
ステップ64では、入力プロファイルの出力とする、全ての格子点について、上記ステップ52〜ステップ62の処理を実行したか否かを判定し、上記ステップ52〜ステップ62の処理を繰り返し実行する。一方、全ての格子点について、上記ステップ52〜ステップ62の処理が実行された場合には、ステップ66において、追加のプロファイルのCLUTに格納して、追加のプロファイルを生成し、追加プロファイル生成処理を終了する。
【0033】
次に、色変換処理部(図2参照)にグラフィック画像データ(sRGB)が入力された場合の色変換処理について説明する。
【0034】
色変換処理部によって、グラフィック画像データを入力として、入力プロファイル、追加のプロファイルと出力プロファイルの順番で色処理するようにして、出力デバイスの色空間(CMYK)の画像データに変換して、出力デバイス18へ出力する。
【0035】
本第1実施形態に係る色変換処理によれば、入力プロファイル、追加のプロファイルと出力プロファイルの順番に色変換することにより、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された出力プロファイルを用いた場合においても、グラフィック画像に対応して、出力デバイスで彩度を重視した色再現を実現できる。
【0036】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、図5を参照し、第1実施形態で説明した色変換処理(図2)と異なる部分についてのみ説明する。
【0037】
本第2実施形態に係る色変換処理は、第1実施形態で説明した色変換処理と同様に、色変換処理部によって、入力プロファイルと出力プロファイルを用いて、入力デバイス依存色空間の画像データを、出力デバイス依存色空間の画像データに変換する。
【0038】
そして、後処理変換部によって、色変換処理部によって変換された出力デバイス依存色空間の画像データを、後述する追加のプロファイルを用いて色変換する。
【0039】
次に、追加のプロファイルを生成する処理について説明する。まず、プロファイル記憶部から、入力プロファイルと出力プロファイルを読み込む。そして、CLUTから、入力色空間の色域外郭上に位置し、かつ、概ね最大彩度点となる色データ(全色相に対して離散的な色)を、処理対象の入力CUSP色(デバイス独立色)と、出力プロファイルとして取り出す。
【0040】
そして、取得した入力CUSP色に対応する出力色(出力プロファイルによって変換された色)と等しい第1の出力CUSP色(デバイス独立色)から、対応する色相(例えば、同一色相を含む予め定められた範囲の色相)であって、かつ、出力デバイス18で再現可能な色域内の第3の出力CUSP色(デバイス独立色)とについて、彩度差を算出する。
【0041】
次に、上記で算出された彩度差が、閾値以上であるか否かを判定し、彩度差が閾値未満である場合には、彩度重視のための補正が不要であると判断し、当該色相における対応色が同一色となるように決定し、記憶する。
【0042】
一方、彩度差が閾値以上である場合には、彩度重視のための補正が必要であると判断し、上記で取得した入力CUSP色に対応する第1の出力CUSP色(出力プロファイルによって変換された色)に対する第3の出力CUSP色が、対応する色相であって、かつ、出力デバイスで再現可能な色域内の最大彩度色に近づくように決定し、記憶する。
【0043】
例えば、図6に示すように、表示装置20の入力色域80から出力デバイスの色域82へ色変換する出力プロファイルにおいて、上記入力CUSP色88に対応する出力CUSP色90に対して、出力デバイスで再現可能な第3の出力CUSP色92が対応するように、出力対応色を決定する。なお、出力デバイスで再現可能な色域は、出力プロファイルにおける出力デバイスの色域82より大きい場合が殆どである。
【0044】
そして、上記で決定された第1の出力CUSP色と、対応する出力対応色とについて、色の変化量を算出し、同一色相上で、算出した変化量を分配するように、同一色相上の各色データに対する出力対応色を決定し、記憶する。
【0045】
全ての出力プロファイルの格子点データに対する出力対応色(デバイス非依存色)を決定し、出力プロファイルのカラリメトリック・レンダリングインテントにてデバイス依存色に変換し、追加のプロファイルのCLUTに格納して、追加のプロファイルを生成し、追加プロファイル生成処理を終了する。
【0046】
次に、色変換部にグラフィック画像の画像データが入力された場合の色変換処理について説明する。
【0047】
まず、色変換処理部によって、グラフィック画像データ(入力デバイス依存色空間)を入力として、出力プロファイルを用いて、出力デバイス依存色空間(例えば、CMY色空間)の画像データに変換する。そして、後処理変換部によって、色変換処理部によって変換された、出力デバイス依存色空間の画像データについて、追加のプロファイルを用いて、各画素を色変換して、出力デバイス18へ出力する。
【0048】
本第2実施形態に係る色変換処理によれば、出力プロファイルと、追加のプロファイルを用いた色変換を行うことにより、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された出力プロファイルを用いた場合においても、グラフィック画像に対応して、出力デバイスで彩度を重視した色再現を実現することができる。
【0049】
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、図7を参照し、第1実施形態で説明した色変換処理(図2)と異なる部分についてのみ説明する。
【0050】
本第3実施形態に係る色変換処理は、色変換処理部によって、後述する追加のプロファイルと入力プロファイル、出力プロファイルを順次適用して生成したプロファイルを用いた色変換により、入力デバイス依存色空間の入力画像データを、出力デバイス依存色空間の画像データに変換する。
【0051】
なお、プロファイル記憶部には、入力プロファイルと、出力プロファイルとが予め記憶されている。また、出力プロファイルが、第1色変換係数の一例であり、追加のプロファイルが、第2色変換係数の一例である。また、入力プロファイルは、色域マッピングが行われるように生成されたものであってもよい。
【0052】
次に、追加のプロファイルを生成する処理について説明する。まず、プロファイル記憶部から、入力プロファイル及び出力プロファイルを読み込む。そして、入力プロファイルのCLUTから、表示装置20の色域外郭上に位置し、かつ、概ね最大彩度点となる色データを、処理対象の入力CUSP色として取り出す。
【0053】
そして、取得した入力CUSP色に対応する第1の出力CUSP色(入力プロファイル及び出力プロファイルによって変換された色)と、対応する色相(例えば、同一色相を含む予め定められた範囲の色相)であって、かつ、出力色域内の第2の出力CUSP色とについて、彩度差を算出する。
【0054】
次に、上記で算出された彩度差が、閾値以上であるか否かを判定し、彩度差が閾値未満である場合には、彩度重視のための補正が不要であると判断し、当該色相における対応色が同一色となるように決定し、記憶する。
【0055】
一方、彩度差が閾値以上である場合には、彩度重視のための補正が必要であると判断し、上記で取得した入力CUSP色に対応する第1の出力CUSP色(入力及び出力プロファイルによって変換された色)が、対応する色相であって、かつ、出力色域内の第2の出力CUSP色に近くなるように決定し、記憶する。
【0056】
例えば、上記図4と同様に、入力プロファイル及び出力プロファイルを用いた変換において、上記の入力CUSP色84に対応している入力色86に、当該色相で第2の出力CUSP色となる入力色88が対応するように、対応入力色を決定する。
【0057】
そして、上記で決定された対応入力色と、上記の第2の出力CUSP色となる入力色とについて色の変化量を算出し、同一色相上で、算出した変化量を分配するように、同一色相上の各色データに対する入力対応色を決定し、記憶する。例えば、彩度が低い格子点データほど、変化量が小さくなるように、対応色を決定する。あるいは、色を変化させない固定色域を設定し、その固定色域から離れた格子点データほど、変化量が大きくなるように対応色を決定する。
【0058】
全ての格子点データに対する入力対応色(デバイス非依存色空間)を決定すると、入力プロファイルを用いてデバイス依存色に色変換し、追加のプロファイルのCLUTに格納して、追加のプロファイルを生成し、追加プロファイル生成処理を終了する。
【0059】
次に、グラフィック画像の、表示装置20に対する入力デバイス依存色空間の画像データが色変換処理部に入力された場合の色変換処理について説明する。
【0060】
まず、色変換処理部によって、グラフィック画像の、表示装置20に対する入力デバイス依存色空間の画像データを入力として、追加のプロファイル、入力プロファイル、出力プロファイルを順次適用して生成したプロファイルを用いて、出力デバイス依存色空間の画像データに変換して、出力デバイス18へ出力する。
【0061】
本第3実施形態に係る色変換処理によれば、追加のプロファイル、入力プロファイルと出力プロファイルを用いて色変換することにより、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された出力プロファイルを用いた場合においても、グラフィック画像に対応して、出力デバイスで彩度を重視した色再現を実現できる。
【0062】
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態について説明する。なお、本第4実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、図8を参照し、第1実施形態で説明した色変換処理(図2)と異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
本第4実施形態に係る色変換処理では、第1実施形態と同様に、追加プロファイル生成部によって、出力プロファイルを用いて、追加のプロファイルを生成する。統合プロファイル生成部によって、生成した追加のプロファイルと、出力プロファイルとを統合した統合プロファイルを生成し、色変換処理部によって、統合プロファイルを用いた色変換により、入力画像データを、出力画像データに変換する。
【0064】
次に、統合プロファイルを生成する処理について説明する。まず、プロファイル記憶部から、出力プロファイルを読み込み、出力プロファイルに基づいて、第1の実施の形態と同様に、追加のプロファイルを生成する。
【0065】
そして、出力プロファイルと追加のプロファイルを結合した色変換を行うための統合プロファイルを生成する。すなわち、追加のプロファイルのCLUTにおける入力色となる各格子点データに対して、追加のプロファイルを用いた色変換及び出力プロファイルを用いた色変換により変換される出力色を、対応色として決定し、統合プロファイルのCLUTに格納し、統合プロファイルを生成する。なお、統合プロファイルが、色変換係数の一例である。
【0066】
次に、色変換部に、グラフィック画像の入力デバイス依存色空間の画像データが入力された場合の色変換処理について説明する。
【0067】
色変換処理部によって、グラフィック画像の入力デバイス依存色空間の画像データを入力として、統合プロファイルを用いて、出力デバイス依存色空間(例えば、CMY色空間)の画像データに変換して、出力デバイス18へ出力する。
【0068】
本第4実施形態に係る色変換処理によれば、追加のプロファイルと出力プロファイルとを統合したプロファイルを用いて色変換することにより、表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された出力プロファイルを用いた場合においても、グラフィック画像に対応して、出力デバイスで彩度を重視した色再現を実現することができる。さらに、この統合プロファイルは、画像に添付したり、他の利用者のためにICCプロファイルとして配布が可能となる。
【0069】
なお、上記の実施の形態では、上記の第1の実施の形態と同様に生成された追加のプロファイルを、出力プロファイルと統合する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、上記の第2の実施の形態と同様に生成された追加のプロファイルを、出力プロファイルと統合するようにしてもよい。この場合には、出力プロファイルのCLUTにおける入力色となる各格子点データに対して、出力プロファイルを用いた色変換及び追加プロファイルを用いた色変換により変換される出力色を、対応色として決定し、統合プロファイルのCLUTに格納して、統合プロファイルを生成すればよい。
【0070】
また、上記の第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、グラフィック画像を変換対象とする場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、グラフィック画像以外の画像が変換対象となってもよい。
【0071】
また、各色相について、入力色域における当該色相のCUSP色を、出力色域における対応する色相のCUSP色に対応させるように追加のプロファイルを生成する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、少なくとも緑色及び赤色の各々について、入力色域における当該色相のCUSP色を、出力色域における対応する色相のCUSP色に近づけた追加のプロファイルを生成するようにしてもよい。
【0072】
また、上記では処理サーバ26で追加のプロファイルを生成する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、別のコンピュータ等で生成した追加のプロファイルを、処理サーバ26に記憶部26Cに予め記憶させておくようにしてもよい。
【0073】
また、上記では本発明に係る、追加プロファイル生成処理ルーチンを実行するためのプログラムが処理サーバ26の記憶部26Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る追加プロファイル生成処理ルーチンのプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 コンピュータ・システム
14 クライアント端末
18 出力デバイス
20 表示装置
26 処理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させた第2色変換係数を生成する生成手段、
を含む色処理装置。
【請求項2】
表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された第1色変換係数と、
前記第1色変換係数の後段に、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、前記出力デバイスの色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、第2色変換係数とを用いて、色変換する色変換手段
を含む色処理装置。
【請求項3】
表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された、入力色を出力色域内の色に変換するときに利用される第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、入力色を変換する第2色変換係数と、前記第1色変換係数とを順次利用して出力デバイス依存色空間の出力色に変換する色変換処理手段
を含む色処理装置。
【請求項4】
変換対象となる入力を、グラフィック画像とし、
前記第2色変換係数を、緑色及び赤色の各々の最大彩度色を、前記対応する最大彩度色に近づけて対応させるように生成されたものとした請求項1〜請求項3の何れか1項記載の色処理装置。
【請求項5】
前記第2色変換係数を、各色相での色域境界の彩度に対して彩度が低い色ほど、前記前記第2色変換係数を用いた色変換による色の変化量が小さくなるように生成されたものとした請求項1〜請求項4の何れか1項記載の色処理装置。
【請求項6】
表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現し、かつ、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、入力色を出力色域内の色に変換する色変換係数を用いて、入力色を、出力デバイス依存色空間の出力色に変換する色変換処理手段
を含む色処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させた、第2色変換係数を生成する生成手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された第1色変換係数、及び
前記第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、前記出力デバイスの色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、前記出力デバイス依存色を入力とする第2色変換係数を順次用いて、入力色を、前記出力デバイス依存色空間の出力色に色変換する色変換処理手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現するように生成された、第1色変換係数を用いた変換を介して、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、第2色変換係数、および前記第1色変換係数を順次用いて、入力色を、出力デバイス依存色空間の出力色に変換する色変換処理手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
表示装置によって表示された色を出力デバイスで色再現し、かつ、入力色域の概ね外郭上に位置する最大彩度色を、出力色域内の、対応する色相の最大彩度色に近づけて対応させるように生成された、入力色を出力色域内の色に変換する色変換係数を用いて、入力色を、出力デバイス依存色空間の出力色に変換する色変換処理手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−58842(P2013−58842A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195019(P2011−195019)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】