説明

色強度の発現が速い易分散性顔料

本発明は、溶剤を含む非水有機コーティング材の着色方法に関する。本発明は、アミノ基を含む(メタ)アクリレートコポリマーにより被覆された高分散有機顔料を、溶剤を含む有機コーティング材に組み入れることを特徴とし、前記顔料では、エネルギーの流出は対応する無被覆顔料に比べて少なくとも20%少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
顔料誘導体と低分子量化合物を用いる、顔料の表面改質が知られているが、多くの場合に、適用媒体における分散の容易さに関してその性能は不十分である。易分散性顔料または固形調製顔料(技術文献においては、攪拌自己分散型(stir−in)顔料という呼称でも見出される)は、すでに多数の研究の主題となってきた。適用媒体との優れた全般的な適合性を確保するために、高顔料濃度を選択する必要があり、これは多くの液体調製顔料では達成できない。
【0002】
EP−0 902 061は、ビニルピロリドンポリマーおよび/またはコポリマーで表面を被覆することにより、ボールミルを用いないで水性の印刷および破砕用の系に組み入れることができる改質顔料粉末がどのようにして得られるかを記載する。
【0003】
EP−0 702 062は、ロジン、顔料の水性分散体、ロジン酸のアルカリ金属塩、および水平ボールミルで破砕されているフィラーによる顔料の改質を記載する。金属塩を加えることにより攪拌自己分散型顔料が分離される。
【0004】
WO 02/26892は、よく分散した顔料粒子が存在するという条件で、第1溶剤のポリマー溶液を、そのポリマーに対する溶解性はほとんど、あるいは全く無いが、第1溶剤とは相溶性がある第2溶剤と混合する、ポリマー被覆顔料粒子の調製を開示する。混合の前に、顔料粒子は、第1溶剤のポリマー溶液中で細かく分散した状態になっている、および/または、第2溶剤中で細かく分散した状態になっている。2種の溶剤の乱流混合によりポリマーの可溶性限界外になり、ポリマーが顔料の表面上に析出する。こうしてポリマーは顔料粒子を包み込む。しかし、この方法には、生成物が顔料含量の小さい分散体であり、さらに、その分散体が環境にとって好ましくない有機溶剤を含むという不都合がある。この方法はまた、ポリマー被覆顔料粒子の分離に、費用のかかる2つの溶剤の蒸留除去またはエネルギーを大量に消費するスプレードライ法も必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、剪断力は最小で、色強度の発現は最大限に速く、有機顔料を有機ペイントおよびインクに組み入れることができる、技術的に簡単で環境にとって好ましい溶剤系(solventborne)有機コーティング材(例えば、ペイントおよびインク)の着色方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、特定のコポリマーで表面被覆された顔料は、有機コーティング材用の攪拌自己分散型顔料として非常に高い適性を示し、同時に色強度の発現が速くなることが見出された。
【0007】
本発明は、溶剤系、非水有機コーティング材の着色方法を提供し、この方法は、アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーで被覆された微細分割有機顔料を、対応する無被覆顔料に比べて少なくとも20%少ないエネルギーの投入で、溶剤系有機コーティング材に組み入れることを含む。
【0008】
本発明により製造される攪拌自己分散型顔料は、簡単に短い時間、溶剤系有機コーティング材に混ぜ込むことにより(例えば、歯状突起付きディスクをもつディゾルバ(dissolver)で5分から3時間攪拌すること、好ましくは、15分から45分間攪拌することにより)大きな色強度を発現するので、前記媒体における一層徹底的で費用のかかる分散工程を必要としない。
【0009】
被覆顔料の製造はまた、簡単な手順により特徴づけられる。全液体相の費用のかかる蒸留分離による、あるいは、スプレードライ法による、高くつく簡便でない分離は不必要である。さらに、本発明の方法は、様々な樹脂の可溶性アルカリ金属塩により攪拌自己分散型顔料を製造するEP−0 702 062において記載されるpHの急激な変化はないので、原理的に、全ての有機顔料に適用可能である。
【0010】
好ましい実施形態において、微細分割被覆有機顔料は、有機顔料の水性の仕上げプレスケーキ(finished presscake)と水とを混合し、前記アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーの存在下にスタティックミキサで脱凝集を行い、次に、脱凝集後の混合物を水蒸気蒸留し、濾過により固形分を分離し、それを乾燥することにより得られる。前記の有機顔料の水性プレスケーキは、細かく分割され(例えば破砕され)、望まれる場合には、仕上げられている。個々の場合において最も適した細かく分割し仕上げる技術は、顔料が何であるかにより決まり、当業者に知られている。水性プレスケーキは、水で、好ましくは5重量%から30重量%の固形分含量まで希釈される。
【0011】
こうして得られた水性分散体に添加されるのは、アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーまたはこのようなコポリマー混合物の溶液である。この溶液の量は、被覆された顔料の全重量に対して5重量%から50重量%、特に、10重量%から40重量%の量で、アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーが最終的に顔料に付けられるように算定される。アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーの適切な溶剤には、特に、水と混和しないか僅かに混和する有機溶剤、例えば、酢酸ブチル、1−ブタノール、2−ブタノール、およびイソブタノール、あるいは他に、これらの溶剤同士の、またこれらの溶剤とメトキシプロピルアセテートとの混合物が含まれる。
【0012】
特に好ましい一実施形態において、アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーの添加中、またはその後で、分散体は、スタティックミキサ内で解凝集され、その場合には、粒径d50が0.05から40μm、特に、0.1から10μmになるまで、分散体をポンプで送ってスタティックミキサを通して繰返し循環させると特に利点がある。
【0013】
スタティックミキサは、ガラス、磁器またはスチールのボール/ビーズを備えるボールミルおよびビーズミルのような粉砕装置である。さらに、回転子/固定子の構造のディゾルバおよび粉砕装置も可能である。特に好ましい一実施形態では、大きな周速度をもつ回転子/固定子装置が用いられる。これらの構造の全てに共通するのは、顔料粒子を粉砕するために効果的に高エネルギーコンポーントを用いることができることである。
【0014】
攪拌自己分散型顔料は、有機溶剤を除去して水性分散体とすることにより分離される。水蒸気蒸留が特に有利であることが見出された。表面被覆された易分散性の攪拌自己分散型顔料は、濾過と最後の乾燥により得られる。攪拌自己分散型顔料が粗い顆粒状で得られる場合には、それは、有利には、さらに、乾式破砕される。本発明により製造される被覆顔料は、一般に、5と30m/g、好ましくは、7と20m/g、特に、8と15m/gの間の比表面積(BET)をもつ。
【0015】
有機顔料は、アゾ顔料の群(例えば、モノアゾ、ジアゾ、ナフトール、ベンゾイミダゾリンおよび金属錯体顔料)、あるいは、多環式顔料(例えば、イソインドリノン、イソインドリン、anthanthrone、チオインジゴ、チアジンインジゴ、トリアリールカルボニウム、キノフタロン、アントラキノン、ジオキサジン、フタロシアニン、キナクリドン、キナクリドンキノン、インダントロン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ジケトピロロピロール、イソビオラントロンおよびアゾメチン顔料)の群からの顔料であり得る。
【0016】
本発明の目的にとって好ましい有機顔料は、例えば、C.I.Pigment Yellow 1(C.I.No.11 680)、C.I.Pigment Yellow 3(C.I.No.11 710)、C.I.Pigment Yellow 12(C.I.No.21 090)、C.I.Pigment Yellow 13(C.I.No.21 100)、C.I.Pigment Yellow 14(C.I.No.21 095)、C.I.Pigment Yellow 17(C.I.No.21 105)、C.I.Pigment Red 123(C.I.No.71 145)、C.I.Pigment Red 149(C.I.No.71 137)、C.I.Pigment Red 178(C.I.No.71 155)、C.I.Pigment Red 179(C.l.No.71 130)、C.I.Pigment Red 190(C.I.71 140)、C.I.Pigment Red 224(CI.No.71 127)、C.I.Pigment Violet 29(C.I.No.71 129)、C.I.Pigment Orange 43(C.I.No.71 105)、C.I.Pigment Red 194(C.I.No.71 100)、C.I.Pigment Violet 19(C.I.No.73 900)、C.I.Pigment Red 122(C.I.No.73 915)、C.I.Pigment Red 192、C.I.Pigment Red 202(C.I.No.73 907)、C.I.Pigment Red 207、C.I.Pigment Red 209(C.I.No.73 905)、C.I.Pigment Red 206(C.I.No.73 900/73 920)、C.I.Pigment Orange 48(C.I.No.73 900/73 920)、C.I.Pigment Orange 49(C.I.No.73 900/73 920)、C.I.Pigment Orange 42、C.I.Pigment Yellow 147、C.I.Pigment Red 168(C.I.No.59 300)、C.I.Pigment Yellow 120(C.I.No.11 783)、C.I.Pigment Yellow 151(C.I.No.13 980)、C.I.Pigment Brown 25(C.I.No.12 510)、C.I.Pigment Violet 32(C.I.No.12 517)、C.I.Pigment Orange 64;C.l.Pigment Brown 23(C.I.No.20 060)、C.I.Pigment Red 166(C.I.No.20 730)、C.I.Pigment Red 170(C.I.No.12 475)、C.I.Pigment Orange 38(C.I.No.12 367)、C.I.Pigment Red 188(C.I.No.12 467)、C.I.Pigment Red 187(C.I.No.12 486)、C.I.Pigment Orange 34(C.I.No.21 115)、C.I.Pigment Orange 13(C.I.No.21 110)、C.I.Pigment Red 9(C.I.No.12 460)、C.I.Pigment Red 2(C.I.No.12 310)、C.I.Pigment Red 11 2(C.I.No.12 370)、C.I.Pigment Red 7(C.I.No.12 420)、C.I.Pigment Red 210(C.I.No.12 477)、C.I.Pigment Red 12(C.I.No.12 385)、C.I.Pigment Blue 60(C.I.No.69 800)、C.I.Pigment Green 7(C.I.No.74 260)、C.I.Pigment Green 36(C.I.No.74 265);C.I.Pigment Blue 15:1、15:2、15:3、15:4、15:6および15(C.I.No.74 160);C.I.Pigment Blue 56(C.I.No.42 800)、C.I.Pigment Blue 61(C.I.No.42 765:1)、C.I.Pigment Violet 23(C.I.No.51 319)、C.I.Pigment Violet 37(C.I.No.51 345)、C.I.Pigment Red 177(C.I.No.65 300)、C.I.Pigment Red 254(CA.No.56 110)、C.I.Pigment Red 255(C.I.No.56 1050)、C.I.Pigment Red 264、C.I.Pigment Red 270、C.I.Pigment Red 272(C.I.No.56 1150)、C.I.Pigment Red 71、C.I.Pigment Orange 73、C.I.Pigment Red 88(C.1.No.73 312)、C.I.Pigment Yellow 175(C.I.No.11 784)、C.I.Pigment Yellow 154(C.I.No.11 781)、C.I.Pigment Yellow 83(C.I.No.21 108)、C.I.Pigment Yellow 180(C.I.No.21 290)、C.I.Pigment Yellow 181(C.I.No.11 777)、C.I.Pigment Yellow 74(C.I.No.11 741)、C.I.Pigment Yellow 213、C.I.Pigment Orange 36(C.I.No.11 780)、C.I.Pigment Orange 62(C.I.No.11 775)、C.I.Pigment Orange 72、C.I.Pigment Red 48:2/3/4(C.I.No.15 865:2/3/4)、C.I.Pigment Red 53:1(C.I.No.15 585:1)、C.I.Pigment Red 208(C.I.No.12 514)、C.I.Pigment Red 185(C.I.No.12 516)、C.I.Pigment Red 247(C.I.No.15 915)、および、C.I.Pigment Red 146(C.I.No.12 485)である。
【0017】
2種以上の有機顔料、あるいは有機顔料の混合結晶(固溶体)を用いることも可能である。
【0018】
特に好ましい顔料は、C.I.Pigment Violet 23(C.I.No.51319)およびC.I.Pigment Orange 36(C.I.No.11780)である。
【0019】
アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーは、好ましくは、20から70mgKOH/g、より好ましくは、25から55mgKOH/gのアミン価をもつ、変性アクリレートコポリマーおよびメタクリレートコポリマーである。適切な変性アクリレートコポリマーおよびメタクリレートコポリマーの分子量は、好ましくは、2000と100,000g/molの間である。特に適切なコポリマーは、5000と30,000g/molの間の分子量をもつ。アミノ基は4級化されていてもよく、例えば、アンモニウム塩の形で存在していてもよい。
【0020】
変性アクリレートコポリマーおよびメタクリレートコポリマーは、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーまたはランダムコポリマーであり得る。特殊なマクロモノマーの利用も可能である。コポリマーはアクリル酸およびメタクリル酸の群からのモノマー単位、例えば、以下を含み得る:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジヘキシルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノブチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノブチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミノブチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジブチルアミノブチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジヘキシルアミノブチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジブチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジヘキシルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジブチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジヘキシルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2−n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルおよび(メタ)アクリル酸フェニル。
【0021】
さらに可能なモノマー単位は次の通りである:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリル酸、メタクリル酸、9−ビニルアントラセン、9−ビニルカルバゾール、ビニルシキロヘキサン、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、1−ビニル−1,2,4−トリアゾール、およびアクリロニトリル。
【0022】
コポリマーは全く親水性でないか、極僅かに親水性である。
【0023】
適用媒体、すなわち、着色される有機コーティング材は、溶剤系焼付けワニス、溶剤系2成分ワニス、あるいは印刷インクまたはインクジェット用インクであり得る。本明細書における溶剤系とは、水を除いて、コーティング業界において用いられる通常の溶剤が適することを意味する。
【0024】
適切なワニスの例は、アルキド−メラミン樹脂ワニス、アクリル−メラミン樹脂ワニス、ポリエステルワニス、および高固形分アクリル樹脂ワニスである。
【0025】
表面改質された易分酸性顔料に特に適する適用系は、中油アルキド樹脂とブタノールエーテル化メラミン樹脂に基づくアルキド−メラミン樹脂ワニスである。これに相当するワニスのアルキド樹脂とメラミン樹脂の比は、有利には、70:30と80:20の間である。同様に適切であるのは、イソシアネート−架橋性アクリル樹脂系の2成分ワニスである。
【0026】
溶剤系インクジェット用インクは、0.5から15重量%の本発明の攪拌自己分散型顔料、85から99.5重量%の有機溶剤および/または水親和性(hydrotropic)化合物を含み得る。
【0027】
記録液に存在する溶剤および/または湿潤剤は、1価または多価アルコール、それらのエステルおよびエーテル、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、およびイソブタノール;2価または3価アルコール、特に2から6個の炭素原子のもの、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、およびポリプロピレングリコール;多価アルコールの低級アルキルエステル、例えば、エチレングリコールのモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、およびトリエチレングリコールのモノメチルまたはモノエチルエーテル;ケトンおよびケトンアルコール、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびジアセトンアルコール;アミド、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドン;また、尿素、テトラメチル尿素、ならびにチオジグリコール、およびε−カプロラクタムであり得る。
【0028】
実施例1から3は、表面被覆された易分散性顔料の調製を記載し、実施例I〜Vは、アルキド−メラミンワニスへの組入れを記載する。表面改質顔料の初期質量については、表面被覆剤は、初期質量に対して補正することにより補償されている。パーセンテージは重量に基づく。
【実施例1】
【0029】
364gのPigmennt Violet 23(C.I.No.51319、プレスケーキ状のものを使用)と2500gの水の懸濁液の脱凝集を、スタティックミキサ(Laborpilot 2000、IKA、Staufen、ドイツ)を用いて6000min−1で1時間行う。この懸濁液に、156gの変性アクリレートコポリマー(ビニルイミダゾールが10%、ブチルメタクリレートが90%、アミン価:30mgKOH/g、Mn=13,500g/mol、Mw=31,000g/mol)、144gのメトキシプロピルアセテートおよび2310mlのイソブタノールの溶液を加える。反応混合物の脱凝集をスタティックミキサでさらに60分間行う。水蒸気蒸留の後、表面改質されたPigmennt Violet 23を濾過により分離し、乾燥オーブン中60℃で乾燥する。最終の乾式破砕(いくつかの部分に分けてIKA M 20mミルを使用)の後、452gの易分散性バイオレット顔料を得る。
【実施例2】
【0030】
293.4gのPigmennt Violet 23(C.I.No.51319、プレスケーキ状のものを使用)を、2.4Lの水と混合し、大まかに均一にする。その後、懸濁液を、DCP Superflow 12ミル(Drais)中で30分間、4分の平均滞留時間で破砕する。破砕終了後、400gの前記懸濁液(固形分含量:9.68%)を、KPG攪拌機を備える2Lのフラスコに入れ、攪拌しながら、16.6gのアクリレートコポリマー(ビニルオミダゾールが10%、ブチルメタクリレートが90%、アミン価:30mgKOH/g、Mn=13,500g/mol、Mw=31,000g/mol)、14.4gのメトキシプロピルアセテート、1.0gの酢酸n−ブチルおよび295mlのイソブタノールの溶液と混合し、反応混合物を40℃で90分間攪拌する。この後、水蒸気蒸留を行い、その間に360mlの有機相を取り除く。水蒸気蒸留の間に、1〜2mmの大きさの小さい顔料ビーズが生成する。これらのビーズを濾別し、水で洗い、乾燥オーブン中60℃で乾燥する。最終の乾式破砕(いくつかの部分に分けてIKA M 20mミルを使用)の後、易分散性バイオレット顔料を得る。
【実施例3】
【0031】
100gのPigmennt Orange 36(C.I.No.11780、プレスケーキ状のものを使用)を、歯状突起付きディスクを備えるディゾルバ中で100mlのイソブタノールと混合し、その混合物を1500rpmで10分間分散させる。その後、11.2gのアクリレートコポリマー(ビニルオミダゾールが10%、ブチルメタクリレートが90%)のメトキシプロピルアセテートおよびイソブタノールの溶液を加え、その混合物を1500rpmでさらに1時間攪拌する。この後、水蒸気蒸留を行って有機溶剤を除去する。最終の濾過の後、60℃で乾燥し、乾式破砕(いくつかの部分に分けてIKA M 20mミルを使用)の後、易分散性オレンジ顔料を得る。
【0032】
実施例1から3において製造された顔料をアルキド−メラミン焼付けワニスで試験する。ワニス系は、破砕用ワニス(grinding varnish)、レットダウン混合物、および白色ペイントからなる。
【0033】
破砕用ワニス:
Solvesso 100中、35%および50%のポリエステル樹脂溶液
レットダウン混合物:
26.4gのポリエステル樹脂溶液、29.4gのアルキド樹脂溶液、35.8gのメラミン樹脂溶液、6.2gの高沸点溶剤(high−boiler)混合物、2.2gのSolvesso 100
白色ペイント(30%)
Kronos TiO2に基づく標準白色ペイント、ポリエステル樹脂溶液、アルキド樹脂溶液、添加剤、Solvesso 100
【0034】
(実施例I:比較例)
Scandexミキサ(BA−S 20、Scandex、Bromma、スウェーデン)中で30分間、85gのガラスビーズ(3mm)を一緒に用いて、21.0gのアルキドメラミン破砕用ワニスと、9.0gのPigment Orange 36(C.I.No.11780)とを分散させることにより、基調色(masstone)ペイントを製造する。次に、ガラス棒を用いてゆっくり攪拌しながら、60gのレットダウン混合物を加え、続いて、Scandexミキサ中で3分間再分散させる。次に、ガラスビーズを濾過により除去する。
【0035】
白色により薄色化したものを製造するために、6.0gの前記基調色ペイントを、20gのアルキドメラミン白色ペイント(30%)に、簡単に攪拌して組み入れることにより均質に分散させる。
【0036】
(実施例II)
歯状突起付きディスクをもつディゾルバ(VMA−Getzmann GmbH、Reichshof、ドイツ)中で、40gのアルキド−メラミン破砕用ワニスに、20gの実施例3による易分散性顔料を、3800rpm、50℃で30分間分散させる。次に、10gのこの着色された破砕用ワニスを、室温で、ガラス棒を用いてゆっくり攪拌しながら、20gのレットダウン混合物と徐々に混合する。 白色により薄色化したものを製造するために、6.0gの前記基調色ペイントを、20gのアルキド−メラミン白色ペイント(30%TiO2)に、簡単に攪拌して組み入れることにより均質に分散させる。
【0037】
(実施例III、比較例)
基調色ペイントを製造するために、Scandexミキサ中で30分間、85gのガラスビーズ(3mm)を一緒に用いて、26.4gのアルキド−メラミン破砕用ワニスと、3.6gのC.I.Pigment Violet 23(C.I.No.51319、Hostaperm Violet RL spec.)とを分散させる。その後、ガラス棒を用いてゆっくり攪拌しながら、60gのレットダウン混合物を加え、続いて、Scandexミキサ中で3分間再分散させる。次に、ガラスビーズを濾過により除去する。
【0038】
白色により薄色化するために、7.5gの前記基調色ペイントを、20gのアルキドメラミン白色ペイント(30%TiO2)に、簡単に攪拌して組み入れることにより均質に分散させる。
【0039】
(実施例IV)
ディゾルバ中で、49.7gのアルキド−メラミン破砕用ワニスと、10.3gの易分散性バイレット顔料(実施例1)を、3800rpm、50℃で30分間分散させる。次に、10gのこの着色された破砕用ワニスを、室温で、ガラス棒を用いてゆっくり攪拌しながら、20gのレットダウン混合物と徐々に混合する。
【0040】
白色により薄色化するために、7.5gの前記基調色ペイントを、20gのアルキド−メラミン白色ペイント(30%TiO2)に、簡単に攪拌して組み入れることにより均質に分散させる。
【0041】
易分散性顔料は、アルキドーメラミンワニスにおいて、通常の顔料に比べて、かなり大きな色強度を示す。表は、白色による適当な薄色化の後のアルキドーメラミンワニスにおける各々の顔料で得られる色の強度を示している。
【0042】
【表1】

【0043】
(実施例V)
分散時間の関数として色強度を求めると、Scandexミキサ(Scandex、Bromma、スウェーデン)中で同じ分散時間と方式で分散させた場合、アルキド−メラミンワニスにおいて、易分散性表面被覆顔料は、Hostaperm Violet RL spec.(Clariant)比較顔料より速く色強度を発現することが示される。この一連の実験においては、純粋な顔料濃度の違いを考慮に入れ、表面被覆された易分散性顔料の場合において顔料濃度をより高くすることにより補償した。
【0044】
手順
26.4gのアルキド−メラミン破砕用ワニスと、3.6gのHostaperm Violet RL spec.を、Scandexミキサで、それぞれ、15、30および60分間、85gのガラスビーズ(3mm)を一緒に用いてそれぞれ分散させる。その後、ガラス棒を用いてゆっくり攪拌しながら、60gのレットダウン混合物を加え、Scandexミキサで3分間分散を繰り返す。次に、ガラスビーズを濾過により除去する。白色により薄色化されたワニスを製造するために、7.5gの上の基調色ワニスを、20gのアルキド−メラミン薄色化用ワニス(30%TiO2)と混合し、この混合物を均質に分散させる。
【0045】
表面被覆顔料(実施例1)を用いて同様の手順を実施するが、5.1gの顔料(純粋な顔料3.6gに対応する)と24.9gの破砕用ワニスを用いる。
【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーで被覆された微細分割有機顔料を、対応する被覆されていない顔料に比べて少なくとも20%少ないエネルギー投入により、溶剤系有機コーティング材に組み入れることを含む、溶剤系非水有機コーティング材の着色方法。
【請求項2】
前記有機コーティング材が溶剤系焼付けワニスまたは溶剤系2成分ワニスである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機コーティング材が、アルキド−メラミン樹脂ワニス、アクリル−メラミン樹脂ワニス、ポリエステルワニスまたは高固形分アクリル樹脂ワニスである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機コーティング材が印刷インクまたはインクジェット用インクである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機顔料が、アゾ顔料の群(例えば、モノアゾ、ジアゾ、ナフトール(Naphtol)、ベンゾイミダゾリンおよび金属錯体顔料)、または、多環式顔料の群(例えば、イソインドリノン、イソインドリン、アンタンスロン(anthanthrone)、チオインジゴ、チアジンインジゴ、トリアリールカルボニウム、キノフタロン、アントラキノン、ジオキサジン、フタロシアニン、キナクリドン、キナクリドンキノン、インダントロン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ジケトピロロピロール、イソビオラントロンおよびアゾメチン顔料)からの顔料である請求項1から4の1項または複数項に記載の方法。
【請求項6】
前記アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーが、2000と100,000g/molとの間の分子量をもつ請求項1から5の1項または複数項に記載の方法。
【請求項7】
前記アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーが、20と70mgKOH/gとの間のアミン価をもつ請求項1から6の1項または複数項に記載の方法。
【請求項8】
前記の被覆された微細分割有機顔料が、前記有機顔料の水性仕上げプレスケーキと水とを混合し、前記アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーの存在下にスタティックミキサで脱凝集を行い、次に、脱凝集後の混合物を水蒸気蒸留し、濾過により固形分を分離し、それを乾燥することにより得られる請求項1から7の1項または複数項に記載の方法。
【請求項9】
前記顔料が前記スタティックミキサにおいて0.1から10μmの粒径分布へと脱凝集される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アミノ含有(メタ)アクリレートコポリマーが、前記被覆顔料に対して、5重量%から50重量%の量で前記顔料に付けられる請求項1から9の1項または複数項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−524278(P2006−524278A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505062(P2006−505062)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003760
【国際公開番号】WO2004/094540
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】