説明

色彩選別機

【課題】振動フィーダの点検及び清掃を容易に行うことが可能な色彩選別機を提供することを目的とする。
【解決手段】粒状物である原料を流下させるために傾斜配置したシュートと、前記原料を該シュートに搬送するための振動フィーダと、前記シュート下端から流下する原料の流下軌跡を挟んで設けられる一対の光学検出部と、該光学検出部のさらに下方に設けて正常な原料から不良品を除去するエジェクター装置と、を備えた色彩選別機において、スライドレールによって色彩選別機の機外へ引き出し可能なフィーダベース上に前記振動フィーダを設置し、前記スライドレールのスライド作用によって前記振動フィーダを色彩選別機の機外へ引き出すことを可能とする技術的手段を講じた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物から異物を除去する色彩選別機に係り、該色彩選別機の振動フィーダの機外への引き出し手段に関するのである。
【背景技術】
【0002】
従来、米や小麦等の穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物からなる原料を色彩により良品と不良品とに選別したり、原料に混入する異物を色彩により選別除去したりする色彩選別機が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図6は、特許文献1に記載された色彩選別機の概略斜視図、図7は、図6に記載された色彩選別機における一次選別部の側断面図を示すものである。特許文献1に記載された色彩選別機は、図6に示すように複数の一次選別部102A及び二次選別部102Bが並設配置されたものである。ここで、一次選別部102Aと二次選別部102Bとはシュート面を除いて略同様の構成からなるものである。
【0004】
図6及び図7に示すように、特許文献1に記載された色彩選別機は、機枠Fの前方の傾斜壁に、エアシリンダ135によって上下方向に回動可能な前面ドア130が設けられるものである。そして、図7に示すように、上記色彩選別機の一次選別部102Aは、一次選別用の穀粒を幅方向に広げた状態で流下移動させるために約60度の角度で傾斜して配置したシュート103Aと、一次選別用の穀粒を貯留するための貯留タンク104と、貯留タンク104からの一次選別用の穀粒をシュート103Aに搬送するための振動フィーダ105を備えるものである。
【0005】
振動フィーダ105は、コイルバネ113を介して機枠Fに固定して設置されており、支持部105Aを斜め上下に振動駆動するための電磁駆動コイル114等が備えられている。
【0006】
また、当該一次選別部102Aは前記シュート103Aの下端から流下する穀粒の流下軌跡の上下を挟んで設けられる一対の光学検出部106a、106bと、さらに下方に設けたエジェクターノズル107を備えるものである。さらに、当該一次選別部102Aは、エジェクターノズル107下方で前記シュート103Aと同傾斜線上にあり、エジェクターノズル107からの噴風を受けずにそのまま流下する穀粒を受ける一次良品排出樋108Aと、該一次良品排出樋108Aの周囲を囲むようにホッパ状に形成され、エジェクターノズル107からの噴風を受けて正常な穀粒から不良品を回収するため一次不良品排出樋109Aを備えるものである。
【0007】
前記光学検出部106a、106bは、それぞれ箱体115a、115bで形成され、穀粒の流下軌跡上側の箱体115aには、可視光用のCCDカメラ116aと、近赤外用のNIRカメラ117と、蛍光灯等からなる可視光源118a,118aと、ハロゲンランプ等からなる近赤外光源119aと、光学検出部106bの対向用バックグラウンド120aが内装されている。一方、穀粒の流下軌跡下側の箱体115bには、可視光用のCCDカメラ116bと、蛍光灯等からなる可視光源118b,118bと、ハロゲンランプ等からなる近赤外光源119bと、光学検出部106aの対向用バックグラウンド120b、120cが内装されている。そして、各箱体115a、115bにおける穀粒の流下軌跡側には、透明ガラスからなる窓部材121a、121bが嵌め込まれている。また、上側の箱体115a上部にはエアシリンダにより開閉可能な点検扉122が設けられている。
【0008】
ところで、上記のような色彩選別機に供給される原料は、微細な粉塵等が混入するものである。特に農家等において、籾を脱ぷして籾殻を除去した直後の玄米を原料として使用する場合、当該玄米には、籾殻の破片、藁屑、芒及び頴など微細粉塵が多く混入しており、これらを含む玄米が原料として色彩選別機に供給されると、選別機内部では粉塵が舞い上がり同内部に付着・堆積し、これが原因となって選別機の性能が低下するおそれがある。
【0009】
このため、定期的に色彩選別機内部の点検及び清掃を行う必要があり、特許文献1に記載された色彩選別機では、前記前面ドア130を上方に持ち上げて選別機内部における振動フィーダ105等の点検及び清掃(メンテナンス)を行っている。
【0010】
しかし、振動フィーダ105は、機内に固定して設置されているので、機内に固定されたままの状態で振動フィーダ105の点検及び清掃を行わなければならなかったが、容易でなかった。また、機外へ取り出して点検及び清掃を行うことも可能ではあるが、フィーダ本体の重量が10kg程度あり、取り外し作業が困難という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−283204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで本発明は、振動フィーダの点検及び清掃を容易に行うことが可能な色彩選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するため、粒状物である原料を流下させるために傾斜配置したシュートと、該シュートに前記原料を搬送するための一つ又は二つ以上の振動フィーダと、前記シュート下端から流下する原料の流下軌跡に沿った近傍に挟んで設けられる光学検出部と、該光学検出部のさらに下方に設けて正常な原料から不良品を除去するエジェクター装置と、前記シュート及び前記振動フィーダを点検又は清掃するために機枠の一部を開閉可能にした前面ドアと、を備えた色彩選別機において、前記色彩選別機の機枠には、該色彩選別機の機枠の奥行き方向に沿って配設された左右一対のスライドレールと、該スライドレールに横架されるともに上部に前記振動フィーダを設置したフィーダベースとからなる引き出し手段を設け、該引き出し手段のスライド作用によって前記振動フィーダを色彩選別機の機外へ引き出すことを可能とする技術的手段を講じた。
【0014】
また、前記引き出し手段を、色彩選別機の手前側が低くなるように1度〜5度の範囲で傾斜させて設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の色彩選別機によれば、スライドレールの利用により振動フィーダを容易に機外へ引き出すことが可能である。このため、従来のように機内に設置された状態で、振動フィーダの点検又は清掃を行う必要がない。また、振動フィーダを取り外す場合であっても、振動フィーダを機外へ引き出した状態で取り外し作業が行えるので、作業効率を大幅に向上させることができるという利点がある。
【0016】
また、スライドレールを、色彩選別機の手前側が低くなるように、僅かに傾斜させて設けているので、振動フィーダを容易に引き出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における色彩選別機の正面右上からの全体斜視図。
【図2】図1の色彩選別機において振動フィーダを機外へ引き出した状態を示す全体斜視図。
【図3】図1の色彩選別機の概略側断面図。
【図4】図1の色彩選別機の引き出し手段を示す図である。
【図5】図4の引き出し手段をスライドさせた状態の図である。
【図6】従来の色彩選別機の概略斜視図。
【図7】図6の色彩選別機における概略側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施の形態における色彩選別機の正面右上からの全体斜視図を示すものである。図2は、前記色彩選別機において振動フィーダを機外へ引き出した状態を示すものである。図3は、前記色彩選別機の内部構造を説明するための概略側断面図である。
【0019】
本発明の実施の形態における色彩選別機は、穀粒、樹脂ペレット、豆、その他の粒状物を原料として、良品と不良品或いは原料に混入する異物等を色彩により選別することができるものである。
【0020】
本発明の実施の形態における色彩選別機1は、特許文献1に記載の色彩選別機と光学検出部等の構造は略同一である。このため、従来の色彩選別機と共通する部分については、共通の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0021】
色彩選別機1の上方には複数の貯留タンク104が設置されており、該貯留タンク104の下端は振動フィーダ105と接続され、振動フィーダ105から、一次選別用の6個のシュート103Aと、二次選別用の2個のシュート103Bに原料が供給される構成となっている。なお、シュート103Bは、1個のみ図示されている。また、本実施例の色彩選別機1では、1つの貯留タンク104から、二つの振動フィーダ105に原料が供給される。
【0022】
振動フィーダ105は、一つのシュートに対して一つずつ設けている。ここで、振動フィーダ105の取付構造について説明する。振動フィーダ105は、一つの支持部105Aに2つ配置されている。支持部105Aは、コイルバネを介して支持台10に設置され、該支持台10は固定ネジ11によりフィーダベース12に固定されている。
【0023】
また、符号13はスライドレールであって、色彩選別機1の内側両側壁に取り付けられている。図4及び図5は、スライドレール13の構成を説明するための図であって、図4は振動フィーダ105が色彩選別機1の機内に収納されている状態でのスライドレール13を示した図であり、図5はスライドレールを引き出した状態の図である。
【0024】
スライドレール13は、レール固定部15、レール16、中間レール17及び中間レール18から構成される。スライドレール13の最も外側のレール固定部15は取付部14を介して色彩選別機1の機枠Fに固定して取り付けられ、最も内側のレール16には、フィーダベース12の両端がそれぞれ取り付けられている。
【0025】
本実施例においては、スライドさせるためのレールを、図5に示すように3重構造としており、レール16、中間レール17及び中間レール18が自由にスライドして長さが変化する仕組みになっている。このため、図2に示すように、振動フィーダ105を色彩選別機1の機外へスライドさせながら前方に引き出せる構成となる。なお、レールは3重構造のものに限られるものではなく、2重構造でもよく、さらに4重構造以上としてもよい。また、スライドレール13には振動フィーダ13を機外へ引き出すのに十分な長さと強度が必要である。
【0026】
ところで、スライドレール13は、色彩選別機1内に水平にスライドするように設置してもよいが、複数台の振動フィーダ105を使用する場合には、振動フィーダ105を容易に機外へ引き出すようにするために、スライドレール13を、手前側が低くなるように1度〜5度の範囲で傾斜させて設けるとよい。その際、スライドレール13が勝手にスライドしないように、振動フィーダ105が色彩選別機1内に収納されているときには、レールを固定する必要がある。本実施例では、レールを納めた場合に該レールを固定する手段として、ロック機構19(パッチン錠)を設け、レール16にロック機構19本体を取り付け、レール固定部15にフック20を取り付けている。
【0027】
なお、本発明の色彩選別機1は、上記実施の形態に限らず、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0028】
10 支持台
11 固定ネジ
12 フィーダベース
13 スライドレール
14 取付部
15 レール固定部
16 レール
17 中間レール
18 中間レール
19 ロック機構
20 フック
104 貯留タンク
105 振動フィーダ
130 前面ドア


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物である原料を流下させるために傾斜配置したシュートと、該シュートに前記原料を搬送するための一つ又は二つ以上の振動フィーダと、前記シュート下端から流下する原料の流下軌跡に沿った近傍に挟んで設けられる光学検出部と、該光学検出部のさらに下方に設けて正常な原料から不良品を除去するエジェクター装置と、前記シュート及び前記振動フィーダを点検又は清掃するために機枠の一部を開閉可能にした前面ドアと、を備えた色彩選別機において、
前記色彩選別機の機枠には、該色彩選別機の機枠の奥行き方向に沿って配設された左右一対のスライドレールと、該スライドレールに横架されるともに上部に前記振動フィーダを設置したフィーダベースとからなる引き出し手段を設け、該引き出し手段によって前記振動フィーダを色彩選別機の機外へ引き出すことを可能にしたことを特徴とする色彩選別機。
【請求項2】
前記引き出し手段が、色彩選別機の手前側が低くなるように傾斜させて設けられたことを特徴とする請求項1に記載の色彩選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−235256(P2011−235256A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110757(P2010−110757)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】