説明

色補正装置、色補正方法およびプログラム

【課題】赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの色に影響を与えることなく白および黒の領域の色を変化させる。
【解決手段】8ベクタ回路105は、3原色データR,G,Bに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出を行う。8ベクタ回路105は、各色領域のベクタ成分のレベル検出信号に基づいて、赤、緑、青の3原色データの補正データdB,dG,dBを得る。8ベクタ回路105は、各色領域のベクタ成分のレベル検出信号を、それぞれ、各色をそれぞれ所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値に乗算し、その乗算結果を原色データ毎に合算して赤、緑、青の3原色データの補正データdR,dG,dBを得る。この補正データdR,dG,dBに対応した輝度データ、色データの差分値を本線信号Yin,Cinに加算して、ベクタ方式による色補正効果を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、色補正装置、色補正方法およびプログラムに関し、特に、ベクタ方式の色補正装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に、6ベクタ方式の色補正装置が提案されている。この6ベクタ方式の色補正装置においては、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの領域のベクタ成分に応じてそれぞれに対する色補正を同時に行うものであり、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタのそれぞれの領域の色を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−176656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の6ベクタ方式の色補正装置において、輝度信号によって明るいところや暗いところにも色の補正をかけることが考えられる。その場合には、その範囲設定によって、6ベクタ方式によって効果が施された他の6色の一部がそれに含まれ、色相によって影響の受け具合が異なる等の不都合が発生する。これは、色によって輝度が異なることを考慮していないためである。
【0005】
この発明の目的は、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの基準色に影響を与えることなく白および黒の領域の色を変化させることを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の概念は、
入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データを、赤、緑、青の3原色データに変換する第1の色空間変換部と、
上記第1の色空間変換部で得られた赤、緑、青の3原色データに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベルを検出する領域検出部と、
上記赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の色をそれぞれ所定の色に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値を保持する差分値保持部と、
上記領域検出部で得られる赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、それぞれ、上記差分値保持部に保持されている、対応する色を所定の色に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値に乗算する乗算部と、 上記乗算部の乗算結果を、原色データ毎に合算して、赤、緑、青の3原色データの補正データを得る合算部と、
上記合算部で得られた赤、緑、青の3原色データの補正データを、輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データに変換する第2の色空間変換部と、
上記入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データに、上記第2の色空間変換部で得られた輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データを加算して、出力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データを得る加算部と
を備える色補正装置にある。
【0007】
この発明において、第1の色空間変換部により、入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データが、赤、緑、青の3原色データに変換される。そして、領域検出部により、赤、緑、青の3原色データに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベルが検出される。
【0008】
例えば、各色領域のベクタ成分のレベルは、赤、緑、青の3原色データの相互の減算データを用いて検出される。例えば、赤の領域のベクタ成分のレベル検出信号は、赤原色データから緑原色データを差し引いた結果にリミッタ処理が施されて得られた値と赤原色データから青原色データを差し引いた結果にリミッタ処理が施されて得られた値のうち最小の値とされる。また、例えば、白の領域のベクタ成分のレベル検出信号は、赤、緑、青の3原色データのうちの最小の原色データから黒レベルを差し引いた結果にリミッタ処理が施されて得られた値とされる。また、例えば、黒の領域のベクタ成分のレベル検出信号は、白レベルから赤、緑、青の3原色データのうちの最大の原色データを差し引いた結果にリミッタ処理が施されて得られた値とされる。
【0009】
乗算部により、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出信号が、それぞれ、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の色(基準色)をそれぞれ所定の色に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値に乗算される。そして、合算部により、その乗算結果が原色データ毎に合算されて、赤、緑、青の3原色データの補正データが得られる。
【0010】
第2の色空間変換部により、赤、緑、青の3原色データの補正データが、輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データに変換される。そして、加算部により、入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データに、輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データが加算されて、出力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データが得られる。
【0011】
上述したように、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベルが検出され、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分に応じてそれぞれに対する色補正が同時に行われる。そのため、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタのそれぞれの領域の色を変化させることができると共に、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの色に影響を与えることなく、白および黒のそれぞれの領域の色を変化させることができる。
【0012】
この発明において、例えば、第1の色空間変換部で得られた赤、緑、青の3原色データに基づいて、輝度、飽和度、色相を変化させるための赤、緑、青の3原色データの差分値を出力する補正データ出力部と、合算部で得られた赤、緑、青の3原色データの補正データに、補正データ出力部から出力される赤、緑、青の3原色データの差分値を合成する合成部をさらに備え、第2の色空間変換部は、合成部で得られた赤、緑、青の3原色データの補正データを、輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データに変換する、ようにしてもよい。この場合、補正データ出力部からの赤、緑、青の3原色データの差分値により、輝度、飽和度、色相を変化させることができ、ホワイトバランス調整、ブラックバランス調整などが可能となる。
【0013】
また、この発明において、第1の色空間変換部で得られた赤、緑、青の3原色データに、補正データ出力部から出力される赤、緑、青の3原色データの差分値を加算する加算部と、この加算部に、補正データ出力部から出力される赤、緑、青の3原色データの差分値を供給するためのスイッチ部をさらに備える、ようにしてもよい。この場合、領域検出部における赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出に、補正データ出力部の影響を受けさせるか否かをユーザは任意に選択できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベルが検出され、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分に応じてそれぞれに対する色補正が同時に行われる。したがって、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタのそれぞれの領域の色を変化させることができ、また、それらの色に影響を与えることなく、白および黒のそれぞれの領域の色を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態としての色補正装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】色補正装置を構成する8ベクタ回路の構成例を示すブロック図である。
【図3】赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの領域のベクタ成分のレベル検出を説明するための図である。
【図4】赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの領域のベクタ成分のレベル検出を説明するための図である。
【図5】YUV色空間を説明するための図であり、+Y軸方向から見た色空間および−V軸方向から見た色空間を示す図である。
【図6】白領域のベクタ成分のレベル検出および黒領域のベクタ成分のレベル検出説明するための図である。
【図7】白の領域のベクタ成分のレベル検出信号を説明するための図であり、6面体の上側3面、下側3面の値を示す図である。
【図8】黒の領域のベクタ成分のレベル検出信号を説明するための図であり、6面体の上側3面、下側3面の値を示す図である。
【図9】8ベクタ回路の実装例を示すブロック図である。
【図10】8ベクタ回路による赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの6ベクタの色補正効果例を示す図である。
【図11】8ベクタ回路による白、黒の色補正効果例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0017】
<1.実施の形態>
[色補正装置の構成]
この発明の実施の形態を説明する。図1は、実施の形態としての色補正装置100の構成例を示している。色補正装置100は、アップサンプリング部101と、色空間変換部102と、遅延回路103R,103G,103Bと、加算器104R,104G,104Bと、8ベクタ回路105と、スイッチ回路106と、加算器107R,107G,107Bを有している。
【0018】
また、この色補正装置100は、補正データ出力部111R,111G,111Bと、遅延回路112R,112G,112Bと、スイッチ回路113と、色空間変換部114と、ダウンサンプリング部115と、スイッチ回路116を有している。また、この色補正装置100は、加算器117Y,117Cと、遅延回路118Y,118Cと、リミッタ119Y,119Cを有している。
【0019】
色補正装置100に入力される画像データは、4:2:2フォーマットの画像データである。この入力画像データは、輝度データYin(Y)と、青色差データU(Cb)および赤色差データV(Cr)が点順次に配置された色データCinにより構成されている。
【0020】
アップサンプリング部101は、4:2:2フォーマットの画像データを、4:4:4フォーマットの画像データとして処理するための補間回路である。このアップサンプリング部101は、補間回路を備えた構成とされている。このアップサンプリング部101は、色データCinに含まれる色差データU,Vのそれぞれに補間処理を施し、サンプリング周波数を2倍として、輝度データYのサンプリング周波数に合わせた色差データU,Vを得る。
【0021】
色空間変換部(CSC:Color Space Conversion)102は、アップサンプリング部101から出力される輝度データY、青色差データUおよび赤色差データVを、赤原色データR、緑原色データGおよび青原色データBに変換する。この色空間変換部102は、例えば、マトリクス回路で構成される。この色空間変換部102は、第1の色空間変換部を構成している。
【0022】
補正データ出力部111R,111G,111Bは、色空間変換部102で得られる赤、緑、青の3原色データR,G,Bに基づいて、3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBを出力する。この差分値ΔR,ΔG,ΔBは、R,G,Bそれぞれのブラックレベル、ホワイトレベル、ガンマ特性を変化させるためのものである。この補正データ出力部111R,111G,111Bは、プライマリ色補正部を構成する。ブラックレベル、ホワイトレベル、ガンマ特性をどのように変化させるかは例えばユーザ操作に基づいて設定される。この補正データ出力部111R,111G,111Bにより、例えば、ホワイトバランス調整、ブラックバランス調整、ガンマ補正などが可能となる。
【0023】
遅延回路103R,103G,103Bは、タイミング合わせ用の遅延回路である。この遅延回路103R,103G,103Bにより、色空間変換部102で得られる3原色データR,G,Bのタイミングが、補正データ出力部111R,111G,111Bから出力される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBのタイミングに合わせられる。加算器104R,104G,104Bは、色空間変換部102で得られる3原色データR,G,Bに、補正データ出力部111R,111G,111Bからスイッチ回路113を介して供給される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBを加算する。
【0024】
スイッチ回路113は、補正データ出力部111R,111G,111Bから出力される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBを、加算器104R,104G,104Bに供給する。このスイッチ回路113は、8ベクタ回路105における赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出に、補正データ出力部111R,111G,111Bの影響を受けさせる場合にオン状態とされる。すなわち、ユーザは、スイッチ回路113のオンオフを操作することで、補正データ出力部111R,111G,111Bの影響を受けさせるか任意に設定できる。
【0025】
8ベクタ回路105は、加算器104R,104G,104Bから出力される3原色データR,G,Bに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出を行う。この場合、8ベクタ回路105は、各色領域のベクタ成分のレベルを、赤、緑、青の3原色データR,G,Bの相互の減算データを用いて検出する。
【0026】
また、8ベクタ回路105は、各色領域のベクタ成分のレベル検出信号に基づいて、赤、緑、青の3原色データの補正データdB,dG,dBを得る。この場合、8ベクタ回路105は、各色領域のベクタ成分のレベル検出信号を、それぞれ、各色(基準色)をそれぞれ所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値に乗算する。そして、8ベクタ回路105は、その乗算結果を原色データ毎に合算して、赤、緑、青の3原色データの補正データdR,dG,dBを得る。ここで、各色をそれぞれどのような色に変えるかは、例えばユーザ操作に基づいて設定される。この8ベクタ回路105は、領域検出部、乗算部および合算部を構成している。8ベクタ回路105の詳細構成については後述する。
【0027】
加算器107R,107G,107Bは、補正データ出力部111R,111G,111Bから出力される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBに、8ベクタ回路105から出力される赤、緑、青の3原色データの補正データdB,dG,dBを加算する。スイッチ回路106は、8ベクタ回路105から出力される赤、緑、青の3原色データの補正データdB,dG,dBを、加算器107R,107G,107Bに供給する。このスイッチ回路106は、8ベクタ回路105による色補正効果を付加する場合にオン状態とされる。
【0028】
遅延回路112R,112G,112Bは、タイミング合わせ用の遅延回路である。この遅延回路112R,112G,112Bにより、補正データ出力部111R,111G,111Bからの差分値ΔR,ΔG,ΔBのタイミングが、8ベクタ回路105から出力される3原色データの補正データdB,dG,dBのタイミングに合わせられる。
【0029】
色空間変換部(CSC:Color Space Conversion)114は、加算器107R,107G,107Bから出力される色変化のための3原色データの差分値を、輝度データ、青色差データおよび赤色差データの差分値に変換する。この色空間変換部114は、例えば、マトリクス回路で構成される。この色空間変換部114は、第2の色空間変換部を構成している。
【0030】
ダウンサンプリング部115は、色空間変換部114から出力された輝度データ、青色差データ、赤色差データの差分値を、4:2:2フォーマットの画像データに合わせるためのダウンサンプリング処理を行う。すなわち、ダウンサンプリング部115は、青色差データ、赤色差データの差分値に対してローパスフィルタ処理、間引き処理を行ってサンプリング周波数を1/2倍とし、それらの差分値が点順次に配置された色データの差分値を生成する。
【0031】
スイッチ回路116は、全体の色補正効果(補正データ出力部111R,111G,111Bによる色補正効果および8ベクタ回路105による色補正効果)をオンオフ制御する。色補正効果をオフとする場合、スイッチ回路116はオフとされる。この場合、ダウンサンプリング部115からの輝度データ、色データの差分値は、加算器117Y,117Cに供給されない。一方、色補正効果をオンとする場合、スイッチ回路116はオンとされる。この場合、ダウンサンプリング部115からの輝度データ、色データの差分値は、スイッチ回路116を通じて加算器117Y,117Cに供給される。
【0032】
遅延回路118Y,118Cは、タイミング合わせ用の遅延回路である。この遅延回路により、入力画像データを構成する輝度データYin、色データCinが、ダウンサンプリング部115から出力される輝度データ、色データの差分値のタイミングに合わせられる。
【0033】
加算器117Y,117Cは、遅延回路118Y,118Cを介して供給される輝度データYin、色データCinに、スイッチ回路116を介して供給される輝度データ、色データの差分値を加算する。色補正効果をオフとする場合、加算器117Y,117Cに輝度データ、色データの差分値は供給されない。そのため、加算器117Y,117Cの出力データは、輝度データYin、色データCinそのものとなる。一方、色補正効果をオンとする場合、加算器117Y,117Cに、色補正のための輝度データ、色データの差分値が供給される。そのため、加算器117Y,117Cの出力データは、輝度データYin、色データCinに輝度データ、色データの差分値が加算されたものとなる。リミッタ119Y,119Cは、加算器117Y,117Cの出力データにリミッタ処理を施して、出力画像データとしての輝度データYout、色データCoutを出力する。
【0034】
[8ベクタ回路の構成例]
8ベクタ回路105の構成例を説明する。図2は、8ベクタ回路105の構成例を示している。この8ベクタ回路105は、上述したように、加算器104R,104G,104B(図1参照)から出力される赤、緑、青の3原色データR,G,Bに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出を行う。また、この8ベクタ回路105は、上述したように、各色領域のベクタ成分のレベル検出信号に基づいて、色補正を行うための赤、緑、青の3原色データの補正データ(差分値)dB,dG,dBを得る。
【0035】
8ベクタ回路105は、領域検出部121と、乗算部122R,122G,122B,122Y,122C,122M,122W,122Kと、合算部123R,123G,123Bを有している。
【0036】
領域検出部121は、赤、緑、青の3原色データR,G,Bに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出を行って、レベル検出信号Kr,Kg,Kb,Ky,Kc,Km,Kw,Kkを出力する。この領域検出部121は、各色領域のベクタ成分のレベルを、赤、緑、青の3原色データR,G,Bの相互の減算データを用いて検出する。
【0037】
最初に、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの領域のベクタ成分のレベル検出について説明する。図3(a)は、UV色平面に、赤(R)、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の100%カラーバーの基準色(6色)の位置を、Pr,Pg,Pb,Py,Pc,Pmの点で示している。このUV色平面内において、ある点の色は、境界線上の点を除き、原色系のいずれかの領域と、補色系のいずれかの領域に同時に属する。このことは、ある点の色は、原色系と補色系の2つのベクタに対する調整の影響を受けることを意味する。
【0038】
図3(b)は、原色系の赤(R)、緑(G)、青(B)の各領域を示している。また、図3(c)は、補色系のイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各領域を示している。これらの図からも明らかなように、原色どうし、および補色どうしでは、領域は重ならない。
【0039】
図4(a)は、図3(a)と同様に、赤(R)、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の100%カラーバーの基準色(6色)の位置を、Pr,Pg,Pb,Py,Pc,Pmの点で示している。点Prと点Pcを結ぶ線上では、青原色データBと緑原色データGとは等しく、B=Gである。そして、この点Prと点Pcを結ぶ線の一側にある青(B)およびマゼンタ(M)の領域では、緑原色データGより青原色データBが大きくなり、B>Gとなる。また、この点Prと点Pcを結ぶ線の他側にある緑(G)およびイエロー(Y)の領域では、青原色データBより緑原色データGが大きくなり、B<Gとなる。
【0040】
また、点Pmと点Pgを結ぶ線上では、青原色データBと赤原色データRとは等しく、B=Rである。そして、この点Pmと点Pgを結ぶ線の一側にある青(B)およびシアン(C)の領域では、赤原色データRより青原色データBが大きくなり、B>Rとなる。また、この点Pmと点Pgを結ぶ線の他側にある赤(R)およびイエロー(Y)の領域では、青原色データBより赤原色データRが大きくなり、B<Rとなる。
【0041】
また、点Pyと点Pbを結ぶ線上では、緑原色データGと赤原色データRとは等しく、G=Rである。そして、この点Pyと点Pbを結ぶ線の一側にある緑(G)およびシアン(C)の領域では、赤原色データRより緑原色データGが大きくなり、G>Rとなる。また、この点Pyと点Pbを結ぶ線の他側にある赤(R)およびマゼンタ(M)の領域では、緑原色データGより赤原色データRが大きくなり、G<Rとなる。
【0042】
領域検出部121は、赤原色データRから緑原色データGを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(R−G)と、赤原色データRから青原色データBを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(R−B)を生成する。そして、領域検出部121は、これら2つの値のうち最小の値min(lim(R−G),lim(R−B))を、赤(R)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Krとする。
【0043】
なお、減算結果にリミッタ処理を施すことで、減算結果の負側を全て0とし、減算結果の正側を最小が0.0で最大が1.0となるように正規化する。以下に説明する他の色領域のベクタ成分のレベル検出信号を得る場合におけるリミッタ処理も、同様の機能を担っている。
【0044】
また、領域検出部121は、緑原色データGから赤原色データRを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(G−R)と、緑原色データGから青原色データBを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(G−B)を生成する。そして、領域検出部121は、これら2つの値のうち最小の値min(lim(G−R),lim(G−B))を、緑(G)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kgとする。
【0045】
また、領域検出部121は、青原色データBから赤原色データRを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(B−R)と、青原色データBから緑原色データGを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(B−G)を生成する。そして、領域検出部121は、これら2つの値のうち最小の値min(lim(B−R),lim(B−G))を、青(B)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kbとする。
【0046】
また、領域検出部121は、緑原色データGから青原色データBを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(G−B)と、赤原色データRから青原色データBを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(R−B)を生成する。そして、領域検出部121は、これら2つの値のうち最小の値min(lim(G−B),lim(R−B))を、イエロー(Y)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kyとする。
【0047】
また、領域検出部121は、緑原色データGから赤原色データRを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(G−R)と、青原色データBから赤原色データRを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(B−R)を生成する。そして、領域検出部121は、これら2つの値のうち最小の値min(lim(G−R),lim(B−R))を、シアン(C)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kcとする。
【0048】
また、領域検出部121は、赤原色データRから緑原色データGを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(R−G)と、青原色データBから緑原色データGを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(B−G)を生成する。そして、領域検出部121は、これら2つの値のうち最小の値min(lim(R−G),lim(B−G))を、マゼンタ(M)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kmとする。
【0049】
図4(b)は、マゼンタ(M)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Km=min(lim(R−G),lim(B−G))を示している。このレベル検出信号Kmは、原点と点Prを結ぶ線および原点と点Pbを結ぶ線とで囲まれるマゼンタ(M)の領域で0以上の値をとるが、これらの線に近づくほどその値は0に近づいていく。説明は省略するが、他の色領域のベクタ成分のレベル検出信号に関しても同様である。
【0050】
次に、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出について説明する。YUV色空間について簡単に説明する。図5(a)は、+Y軸方向から見た色空間であり、色空間はUV色平面に六角形に投影される。図5(b)は、−V軸方向から見た色空間である。図5(a),(b)において、赤(R)、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、白(W)、黒(K)の100%カラーバーの基準色(8色)の位置を、Pr,Pg,Pb,Py,Pc,Pm,Pw,Pkの点で示している。図5(a),(b)から分かるように、100%カラーバーの基準色(8色)は、それを頂点とする六面体を、色空間内に構成する。通常は、この六面体内部が、3原色データR,G,Bで表すことのできる色(legal color)である。
【0051】
図6(a),(b)は、YUV色空間に、赤(R)、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、白(W)、黒(K)の100%カラーバーの基準色の位置を、Pr,Pg,Pb,Py,Pc,Pm,Pw,Pkの点で示している。これら8点により、6面体が構成されている。
【0052】
領域検出部121は、図6(a)に示すように、白(W)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kwとして、白(W)を1として、他の7色に向かって均等にレベルが下がっていく信号を生成する。白(W)の点Pwを除く7点Pr,Pg,Pb,Py,Pc,Pm,Pkおよびこの7点で囲まれる6面体の下側の三面では、レベル検出信号Kwの値は全て0となる。
【0053】
図7(a),(b),(c)は、6面体の上側3面におけるレベル検出信号Kwの値の変化を示している。白(W)の点Pwに近づくほど1に近づいていく。図7(d),(e),(f)は、6面体の下側3面におけるレベル検出信号Kwの値を示しており、上述したように全面で0である。
【0054】
また、領域検出部121は、図6(b)に示すように、黒(K)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kkとして、黒(K)を1として、他の7色に向かって均等にレベルが下がっていく信号を生成する。黒(K)の点Pkを除く7点Pr,Pg,Pb,Py,Pc,Pm,Pwおよびこの7点で囲まれる6面体の上側の三面では、レベル検出信号Kkの値は全て0となる。
【0055】
図8(a),(b),(c)は、6面体の上側3面におけるレベル検出信号Kkの値を示しており、上述したように全面で0である。図8(d),(e),(f)は、6面体の下側3面におけるレベル検出信号Kkの変化を示している。黒(K)の点Pkに近づくほど1に近づいていく。
【0056】
領域検出部121は、赤、緑、青の3原色データR,G,Bのうちの最小の原色データmin(R,G,B)から黒レベルBlackを差し引いた値(min(R,G,B)−Black)を生成する。この減算処理により黒レベルBlackが0とされる。そして、領域検出部121は、減算結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(min(R,G,B)−Black)を、白(W)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kwとする。
【0057】
なお、減算結果にリミッタ処理を施すことで、減算結果の負側を全て0とし、減算結果の正側を最小が0.0で最大が1.0となるように正規化する。以下に説明する黒(K)の色領域のベクタ成分のレベル検出信号を得る場合におけるリミッタ処理も、同様の機能を担っている。
【0058】
また、領域検出部121は、白レベルWhiteから赤、緑および青の3原色データR,G,Bのうちの最大の原色データmax(R,G,B)を差し引いた値(White−max(R,G,B))を生成する。この減算処理によって白レベルWhiteが0とされる。そして、領域検出部121は、減算結果にリミッタ処理を施して得られた値lim(White−max(R,G,B))を、黒(K)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kkとする。
【0059】
図2に戻って、乗算部122Rにおいては、赤色(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値Rr(RforR),Gr(GforR),Br(BforR)が図示しないレジスタに保持されている。乗算部122Rは、領域検出部121から出力される赤(R)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Krを差分値Rr,Gr,Brに乗算し、乗算結果Kr*Rr,Kr*Gr,Kr*Brを出力する。ここで、レジスタは、差分値保持部を構成している。このことは、以下の他の乗算部のレジスタについても同様である。
【0060】
また、乗算部122Gにおいては、緑色(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値Rg(RforG),Gg(GforG),Bg(BforG)が図示しないレジスタに保持されている。乗算部122Gは、領域検出部121から出力される緑(G)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kgを差分値Rg,Gg,Bgに乗算し、乗算結果Kg*Rg,Kg*Gg,Kg*Bgを出力する。
【0061】
また、乗算部122Bにおいては、青色(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値Rb(RforB),Gb(GforB),Bb(BforB)が図示しないレジスタに保持されている。乗算部122Bは、領域検出部121から出力される青(B)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kbを差分値Rb,Gb,Bbに乗算し、乗算結果Kb*Rb,Kb*Gb,Kb*Bbを出力する。
【0062】
また、乗算部122Yにおいては、イエロー(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値Ry(RforY),Gy(GforY),By(BforY)が図示しないレジスタに保持されている。乗算部122Yは、領域検出部121から出力されるイエロー(Y)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kyを差分値Ry,Gy,Byに乗算し、乗算結果Ky*Ry,Ky*Gy,Ky*Byを出力する。
【0063】
また、乗算部122Cにおいては、シアン(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値Rc(RforC),Gc(GforC),Bc(BforC)が図示しないレジスタに保持されている。乗算部122Cは、領域検出部121から出力されるシアン(C)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kcを差分値Rc,Gc,Bcに乗算し、乗算結果Kc*Rc,Kc*Gc,Kc*Bcを出力する。
【0064】
また、乗算部122Mにおいては、マゼンタ(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値Rm(RforM),Gm(GforM),Bm(BforM)が図示しないレジスタに保持されている。乗算部122Mは、領域検出部121から出力されるマゼンタ(M)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kmを差分値Rm,Gm,Bmに乗算し、乗算結果Km*Rm,Km*Gm,Km*Bmを出力する。
【0065】
また、乗算部122Wにおいては、白(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値Rw(RforW),Gw(GforW),Bw(BforW)が図示しないレジスタに保持されている。乗算部122Wは、領域検出部121から出力される白(W)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kwを差分値Rw,Gw,Bwに乗算し、乗算結果Kw*Rw,Kw*Gw,Kw*Bwを出力する。
【0066】
さらに、乗算部122Kにおいては、黒(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値Rk(RforK),Gk(GforK),Bk(BforK)が図示しないレジスタに保持されている。乗算部122Kは、領域検出部121から出力される黒(K)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kkを差分値Rk,Gk,Bkに乗算し、乗算結果Kk*Rk,Kk*Gk,Kk*Bkを出力する。
【0067】
なお、各色(基準色)をそれぞれどのような色に変えるかは、例えばユーザ操作に基づいて設定される。そして、この設定操作に応じて各乗算部で必要とする赤、緑、青の3原色データの差分値が例えばソフトウェアで算出されて、各乗算部のレジスタに保持される。
【0068】
合算部123Rは、8個の乗算部122R〜122Kから出力される赤原色データの差分値の乗算結果を合算して、赤原色データの補正データdRを得る。合算部123Gは、8個の乗算部122R〜122Kから出力される緑原色データの差分値の乗算結果を合算して、緑原色データの補正データdGを得る。また、合算部123Bは、8個の乗算部122R〜122Kから出力される青原色データの差分値の乗算結果を合算して、青原色データの補正データdBを得る。補正データdR,dG,dBは、以下の(1)式、(2)式、(3)式で表される。
【0069】
dR=Kr*Rr+Kg*Rg+Kb*Rb+Ky*Ry
+Kc*Rc+Km*Rm+Kw*Rw+Kk*Rk ・・・(1)
dG=Kr*Gr+Kg*Gg+Kb*Gb+Ky*Gy
+Kc*Gc+Km*Gm+Kw*Gw+Kk*Gk ・・・(2)
dB=Kr*Br+Kg*Bg+Kb*Bb+Ky*By
+Kc*Bc+Km*Bm+Kw*Bw+Kk*Bk ・・・(3)
【0070】
[8ベクタ回路の詳細構成例]
8ベクタ回路105の詳細構成例について説明する。図9は、8ベクタ回路105の詳細構成例(実装例)を示している。この図9において、図2と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0071】
緑原色データGは減算器131に供給され、青原色データBは減算器131に供給される。この減算器131では、緑原色データGから青原色データBが減算される。この減算器131の減算結果(G−B)はリミッタ141に供給される。このリミッタ141では、減算結果(G−B)の負側が全て0とされ、この減算結果(G−B)の正側が、最小が0.0で最大が1.0となるように正規化される。このリミッタ141の出力データlim(G−B)は、最小値出力回路151,152に供給される。
【0072】
また、緑原色データGは減算器132に供給され、赤原色データRは減算器132に供給される。この減算器132では、緑原色データGから赤原色データRが減算される。この減算器132の減算結果(G−R)はリミッタ142に供給される。このリミッタ142では、減算結果(G−R)の負側が全て0とされ、この減算結果(G−R)の正側が、最小が0.0で最大が1.0となるように正規化される。このリミッタ142の出力データlim(G−R)は、最小値出力回路152,153に供給される。
【0073】
また、青原色データBは減算器133に供給され、赤原色データRは減算器133に供給される。この減算器133では、青原色データBから赤原色データRが減算される。この減算器133の減算結果(B−R)はリミッタ143に供給される。このリミッタ143では、減算結果(B−R)の負側が全て0とされ、この減算結果(B−R)の正側が、最小が0.0で最大が1.0となるように正規化される。このリミッタ143の出力データlim(B−R)は、最小値出力回路153,154に供給される。
【0074】
また、青原色データBは減算器134に供給され、緑原色データGは減算器134に供給される。この減算器134では、青原色データBから緑原色データGが減算される。この減算器134の減算結果(B−G)はリミッタ144に供給される。このリミッタ144では、減算結果(B−G)の負側が全て0とされ、この減算結果(B−G)の正側が、最小が0.0で最大が1.0となるように正規化される。このリミッタ144の出力データlim(B−G)は、最小値出力回路154,155に供給される。
【0075】
また、赤原色データRは減算器135に供給され、緑原色データGは減算器135に供給される。この減算器135では、赤原色データRから緑原色データGが減算される。この減算器135の減算結果(R−G)はリミッタ145に供給される。このリミッタ145では、減算結果(R−G)の負側が全て0とされ、この減算結果(R−G)の正側が、最小が0.0で最大が1.0となるように正規化される。このリミッタ145の出力データlim(R−G)は、最小値出力回路155,156に供給される。
【0076】
また、赤原色データRは減算器136に供給され、青原色データBは減算器136に供給される。この減算器136では、赤原色データRから青原色データBが減算される。この減算器136の減算結果(R−B)はリミッタ146に供給される。このリミッタ146では、減算結果(R−B)の負側が全て0とされ、この減算結果(R−B)の正側が、最小が0.0で最大が1.0となるように正規化される。このリミッタ146の出力データlim(R−B)は、最小値出力回路156,151に供給される。
【0077】
最小値出力回路151では、リミッタ146の出力データlim(R−B)とリミッタ141の出力データlim(G−B)のうち最小の値が取り出され、この値がイエロー(Y)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kyとして出力される。また、最小値出力回路152では、リミッタ141の出力データlim(G−B)とリミッタ142の出力データlim(G−R)のうち最小の値が取り出され、この値が緑(G)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kgとして出力される。
【0078】
また、最小値出力回路153では、リミッタ142の出力データlim(G−R)とリミッタ143の出力データlim(B−R)のうち最小の値が取り出され、この値がシアン(C)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kcとして出力される。また、最小値出力回路154では、リミッタ143の出力データlim(B−R)とリミッタ144の出力データlim(B−G)のうち最小の値が取り出され、この値が青(B)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kbとして出力される。
【0079】
また、最小値出力回路155では、リミッタ144の出力データlim(B−G)とリミッタ145の出力データlim(R−G)のうち最小の値が取り出され、この値がマゼンタ(M)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kmとして出力される。また、最小値出力回路156では、リミッタ145の出力データlim(R−G)とリミッタ146の出力データlim(R−B)のうち最小の値が取り出され、この値が赤(R)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Krとして出力される。
【0080】
また、3原色データR,G,Bは、最小値出力回路161に供給される。この最小値出力回路161では、3原色データR,G,Bのうち最小の値が取り出される。この最小値出力回路161の出力データmin(R,G,B)は減算器163に供給される。この減算器163では、最小値出力回路161の出力データmin(R,G,B)から黒レベルBlackが減算される。
【0081】
この減算器163の減算結果(min(R,G,B)−Black)はリミッタ165に供給される。このリミッタ165では、減算結果(min(R,G,B)−Black)の負側が全て0とされ、この減算結果(min(R,G,B)−Black)の正側が、最小が0.0で最大が1.0となるように正規化される。このリミッタ165の出力データlim(min(R,G,B)−Black)が、白(W)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kwとして出力される。
【0082】
また、3原色データR,G,Bは、最大値出力回路162に供給される。この最大値出力回路162では、3原色データR,G,Bのうち最大の値が取り出される。この最大値出力回路162の出力データmax(R,G,B)は減算器164に供給される。この減算器164では、白レベルWhiteから最大値出力回路162の出力データmax(R,G,B)が減算される。
【0083】
この減算器164の減算結果(White−max(R,G,B))はリミッタ166に供給される。このリミッタ166では、減算結果(White−max(R,G,B))の負側が全て0とされ、この減算結果(White−max(R,G,B))の正側が、最小が0.0で最大が1.0となるように正規化される。このリミッタ165の出力データlim(White−max(R,G,B))が、黒(K)の領域のベクタ成分のレベル検出信号Kkとして出力される。
【0084】
最小値出力回路151,153,155から出力されるレベル検出信号Ky,Kc,Kmはマルチプレクサ171で合成されて乗算器181に供給される。上述したように補色どうしでは領域が重ならない(図3(c)参照)。そのため、レベル検出信号Ky,Kc,Kmが0より大きくなる領域が重なることはなく、マルチプレクサ171で合成することが可能となる。
【0085】
レジスタ182,183,184には、イエロー(基準色)、シアン(基準色)、マゼンタ(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための、赤原色データの差分値Ry(RforY),Rc(RforC),Rm(RforM)が保持されている。これらの差分値Ry,Rc,Rmは、マルチプレクサ185で、選択的に取り出されて、乗算器181に供給される。この場合、マルチプレクサ185は、最小値出力回路151,153,155から出力されるレベル検出信号Ky,Kc,Kmに基づいて制御され、それぞれが0より大きくなるタイミングで差分値Ry,Rc,Rmが対応して取り出される。乗算器181では、レベル検出信号Ky,Kc,Kmがそれぞれ差分値Ry,Rc,Rmに乗算され、(Ky*Ry+Kc*Rc+Km*Rm)が乗算結果として得られる。
【0086】
最小値出力回路152,154,156から出力されるレベル検出信号Kg,Kb,Krはマルチプレクサ172で合成されて乗算器186に供給される。上述したように原色どうしでは領域が重ならない(図3(b)参照)。そのため、レベル検出信号Kg,Kb,Krが0より大きくなる領域が重なることはなく、マルチプレクサ172で合成することが可能となる。
【0087】
また、レジスタ187,188,189には、緑(基準色)、青(基準色)、赤(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための、赤原色データの差分値Rg(RforG),Rb(RforB),Rr(RforR)が保持されている。これらの差分値Rg,Rb,Rrは、マルチプレクサ190で、選択的に取り出されて、乗算器186に供給される。この場合、マルチプレクサ190は、最小値出力回路152,154,156から出力されるレベル検出信号Kg,Kb,Krに基づいて制御され、それぞれが0より大きくなるタイミングで差分値Rg,Rb,Rrが対応して取り出される。乗算器186では、レベル検出信号Kg,Kb,Krがそれぞれ差分値Rg,Rb,Rrに乗算され、(Kr*Rr+Kg*Rg+Kb*Rb)が乗算結果として得られる。
【0088】
リミッタ165から出力されるレベル検出信号Kwは乗算器191に供給される。レジスタ192には、白(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための、赤原色データの差分値Rw(RforW)が保持されている。この差分値Rwは乗算器191に供給される。乗算器191では、レベル検出信号Kwが差分値Rwに乗算され、Kw*Rwが乗算結果として得られる。
【0089】
また、リミッタ166から出力されるレベル検出信号Kkは乗算器193に供給される。レジスタ194には、黒(基準色)を所定の色(目的の色)に変えるための、赤原色データの差分値Rk(RforK)が保持されている。この差分値Rkは乗算器193に供給される。乗算器193では、レベル検出信号Kkが差分値Rkに乗算され、Kk*Rkが乗算結果として得られる。
【0090】
乗算器181,186の乗算結果は加算器196に供給される。また、乗算器191,193の乗算結果は加算器195で加算された後に、加算器196に供給される。加算器196では、各乗算結果が合算され、赤原色データの補正データdRが得られる((1)式参照)。
【0091】
なお、図9の8ベクタ回路105では、乗算部122R〜122K、加算部123R〜123Bのうち、緑原色データの補正データdGおよび青原色データdBの補正データを得るための回路部の図示を省略している。詳細説明は省略するが、これらの回路部についても、上述した赤原色データの補正データdRを得るための回路部と同様の構成とされている。
【0092】
[色補正装置の動作]
図1に示す色補正装置100の動作を説明する。入力画像データ(4:2:2フォーマットの画像データ)を構成する輝度データYin、色データCin(青色差データUおよび赤色差データVの点順次データ)は、遅延回路118Y,118Cでタイミング調整された後に、加算器117Y,117Cに供給される。
【0093】
また、入力画像データを構成する輝度データYin,色データCinは、アップサンプリング部101に供給される。このアップサンプリング部101では、色データCinに含まれる色差データU,Vのそれぞれに補間処理が施され、サンプリング周波数が2倍とされて、輝度データYのサンプリング周波数に合わせた色差データU,Vが得られる。
【0094】
このアップサンプリング部101から出力される輝度データY、青色差データUおよび赤色差データVは、色空間変換部102に供給される。この色空間変換部102では、例えばマトリクス処理により、輝度データY、青色差データUおよび赤色差データVが、赤、緑、青の3原色データR,G,Bに変換される。
【0095】
この色空間変換部102で得られた赤、緑、青の3原色データR,G,Bは、補正データ出力部111R,111G,111Bに供給される。この補正データ出力部111R,111G,111Bでは、3原色データR,G,Bに基づいて、R,G,Bそれぞれのブラックレベル、ホワイトレベル、ガンマ特性を変化させるための3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBが出力される。ここで、ブラックレベル、ホワイトレベル、ガンマ特性をどのように変化させるかは例えばユーザ操作に基づいて行われる。この補正データ出力部111R,111G,111Bにより、例えば、ホワイトバランス調整、ブラックバランス調整、ガンマ補正などが行われる。
【0096】
この補正データ出力部111R,111G,111Bから出力される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBは、遅延回路112R,112G,112Bでタイミング調整された後に、加算器107R,107G,107Bに供給される。
【0097】
また、色空間変換部102で得られた赤、緑、青の3原色データR,G,Bは、遅延回路103R,103G,103Bでタイミング調整された後に、加算器104R,104G,104Bに供給される。この加算器104R,104G,104Bでは、色空間変換部102で得られる3原色データR,G,Bに、補正データ出力部111R,111G,111Bからスイッチ回路113を介して供給される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBが加算される。
【0098】
この加算器104R,104G,104Bから出力される赤、緑、青の3原色データR,G,Bは8ベクタ回路105に供給される。この8ベクタ回路105では、加算器104R,104G,104Bから供給される3原色データR,G,Bに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出が行われる(図2、図9参照)。
【0099】
この場合、8ベクタ回路105では、上述したように、各色領域のベクタ成分のレベルが、赤、緑、青の3原色データR,G,Bの相互の減算データを用いて検出される。そのため、スイッチ回路113がオン状態とされる場合、8ベクタ回路105における各色領域のベクタ成分のレベル検出に、補正データ出力部111R,111G,111Bから出力される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBが影響する。
【0100】
この場合、8ベクタ回路105に供給される3原色データR,G,Bは、色空間変換部102で得られる3原色データR,G,Bに、補正データ出力部111R,111G,111Bからの3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBが加算されたものとなるからである。ユーザは、このスイッチ回路113をオン状態あるいはオフ状態に任意に設定可能とされる。8ベクタ回路105における各色領域のベクタ成分のレベル検出に、補正データ出力部111R,111G,111Bの影響を受けさせる場合、このスイッチ回路113はオン状態とされる。
【0101】
また、8ベクタ回路105では、各色領域のベクタ成分のレベル検出信号に基づいて、赤、緑、青の3原色データの補正データdB,dG,dBが得られる(図2、図9参照)。この場合、8ベクタ回路105では、各色領域のベクタ成分のレベル検出信号が、各色(基準色)をそれぞれ所定の色(目的の色)に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値に乗算される。そして8ベクタ回路105では、その乗算結果が原色データ毎に合算されて、赤、緑、青の3原色データの補正データdR,dG,dBとされる。なお、各色をそれぞれどのような色に変えるかは、例えばユーザ操作により設定される。
【0102】
8ベクタ回路105で得られる赤、緑、青の3原色データの補正データdB,dG,dBは、スイッチ回路106を介して、加算器107R,107G,107Bに供給される。この加算器107R,107G,107Bでは、補正データ出力部111R,111G,111Bから出力される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBに、8ベクタ回路105から出力される赤、緑、青の3原色データの補正データdB,dG,dBが加算される。
【0103】
この加算器107R,107G,107Bから出力される色変化のための3原色データの差分値は、色空間変換部114に供給される。この色空間変換部114では、加算器107R,107G,107Bから供給される色変化のための3原色データの差分値が、例えばマトリクス処理により、輝度データ、青色差データおよび赤色差データの差分値に変換される。
【0104】
この色空間変換部114で得られた輝度データ、青色差データおよび赤色差データの差分値は、ダウンサンプリング部115に供給される。このダウンサンプリング部115では、色空間変換部114から出力された輝度データ、青色差データ、赤色差データの差分値に対して、4:2:2フォーマットの画像データに合わせるためのダウンサンプリング処理が行われる。すなわち、ダウンサンプリング部115では、青色差データ、赤色差データの差分値に対してローパスフィルタ処理、間引き処理が行われて、サンプリング周波数が1/2倍とされ、それらの差分値が点順次に配置された色データの差分値が生成される。
【0105】
ダウンサンプリング部115から出力される輝度データ、色データの差分値は、スイッチ回路116を介して加算器117Y,117Cに供給される。この加算器117Y,117Cでは、遅延回路118Y,118Cを介して供給される輝度データYin、色データCinに、スイッチ回路116を介して供給される輝度データ、色データの差分値が加算される。そして、この加算器117Y,117Cの出力データが、リミッタ119Y,119Cを介して、出力画像データを構成する輝度データYout、色データCoutとして出力される。
【0106】
ここで、スイッチ回路116がオフ状態とされる場合には、色補正効果がオフとされる。この場合、色補正のための輝度データ、色データの差分値は加算器117Y,117Cに供給されない。そのため、加算器117Y,117Cの出力データは、輝度データYin、色データCinそのものとなる。
【0107】
一方、スイッチ回路116がオフ状態とされる場合には、色補正効果がオンとされる。この場合、色補正のための輝度データ、色データの差分値はスイッチ回路116を介して加算器117Y,117Cに供給される。そのため、加算器117Y,117Cの出力データは、輝度データYin、色データCinに色補正のための輝度データ、色データの差分値が加算されたものとなる。
【0108】
また、この場合、スイッチ回路106がオフ状態とされるとき、補正データ出力部111R,111G,111Bによる色補正効果のみが得られる。このときは、加算器117Y,117Cに供給される輝度データ、色データの差分値は、補正データ出力部111R,111G,111Bからの差分値ΔR,ΔG,ΔBだけに対応したものとなるからである。
【0109】
一方、スイッチ回路106がオン状態とされるとき、補正データ出力部111R,111G,111Bおよび8ベクタ回路105の双方による色補正効果が得られる。加算器117Y,117Cに供給される輝度データ、色データの差分値は、補正データ出力部111R,111G,111Bからの差分値ΔR,ΔG,ΔBと8ベクタ回路105からの補正データdR,dG,dBの合成値に対応したものとなるからである。
【0110】
上述したように図1に示す色補正装置100においては、8ベクタ回路105が備えられており、この8ベクタ回路105による色補正効果を得ることができる。この場合、赤(R)、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、白(W)および黒(K)の領域のベクタ成分のレベルが検出され、各色領域のベクタ成分に応じてそれぞれに対する色補正が同時に行われる。そのため、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタのそれぞれの領域の色を変化させることができると共に、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの色に影響を与えることなく、白および黒のそれぞれの領域の色を変化させることができる。
【0111】
なお、プライマリ色補正部を構成する補正データ出力部111R,111G,111Bで行うホワイトバランス調整、ブラックバランス調整でも、白(W)部分、黒(K)部分の調整を行うこと可能である。しかし、この調整では、3原色データR,G,B自身が変化するため、白(W)、黒(K)以外の色の部分もそれに応じて変化する。しかし、8ベクタ回路105による白および黒のそれぞれの領域の色変化の場合には、他の色に影響を与えない。
【0112】
図10は、8ベクタ回路105による色補正効果の一例を示している。この例は、白(W)、黒(K)の点Pw,Pkを動かさずに、赤(R)、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の点Pr,Pg,Pb,Py,Pc,Pmを点Pr′,Pg′,Pb′,Py′,Pc′,Pm′に動かした例である。図10(a)は変化前を示し、図10(b)は変化後を示している。
【0113】
図11は、8ベクタ回路105による色補正効果の他の例を示している。この例は、赤(R)、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の点Pr,Pg,Pb,Py,Pc,Pmを動かさずに、白(W)、黒(K)の点Pw,Pkを点Pw′,Pk′に動かした例である。図11(a)は変化前を示し、図11(b)は変化後を示している。
【0114】
また、図1に示す色補正装置100においては、補正データ出力部111R,111G,111Bが備えられている。そして、加算器107R,107G,107Bにおいて、この補正データ出力部111R,111G,111Bからの差分値ΔR,ΔG,ΔBに、8ベクタ回路105からの補正データdR,dG,dBが合成される構成となっている。そのため、8ベクタ回路105による色補正効果だけでなく、補正データ出力部111R,111G,111Bによる色補正効果も得ることができる。例えば、輝度、飽和度、色相を変化させることができ、ホワイトバランス調整、ブラックバランス調整などが可能となる。
【0115】
また、図1に示す色補正装置100においては、補正データ出力111R,111G,111Bから出力される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBを、加算器104R,104G,104Bに供給するスイッチ回路113が、備えられている。このスイッチ回路113がオン状態とされるとき、色空間変換部102からの3原色データR,G,Bに、補正データ出力111R,111G,111Bから出力される3原色データの差分値ΔR,ΔG,ΔBが加算されて、8ベクタ回路105に供給される。そのため、8ベクタ回路105における各色領域のベクタ成分のレベル検出に、補正データ出力部111R,111G,111Bの影響を受けさせるか否かを、ユーザは任意に選択できる。
【0116】
また、図1に示す補正装置100においては、色補正効果を得るために、赤、緑、青の3原色領域で差分値を発生し、その差分値を輝度データ、色データの差分値に変換した後に、加算器117Y,117Cで本線信号(Yin、Cin)に加算する構成となっている。そのため、本線信号の色空間変換を行わなくて済み、色空間変換に伴う誤差が本線信号には発生しない。
【0117】
<2.変形例>
なお、上述実施の形態においては、色補正装置100がハードウェアで構成されるように説明した。しかし、この色補正装置100の一部または全部の処理をソフトウェアで実現することも可能である。その場合、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータ装置において、例えばROM等に格納された処理プログラムがRAM上に展開されてCPUで実行される。
【産業上の利用可能性】
【0118】
この発明は、赤、緑、青、イエロー、シアンおよびマゼンタの基準色に影響を与えることなく白および黒の領域の色を変化させることができ、放送機器、ビデオカメラ、テレビ受信機等のカラーコレクション回路等に適用できる。
【符号の説明】
【0119】
100・・・色補正装置、101・・・アップサンプリング部、102・・・色空間変換部、103R,103G,103B・・・遅延回路、104R,104G,104B・・・加算器、105・・・8ベクタ回路、106・・・スイッチ回路、107・・・R,107G,107B・・・加算器、111R,111G,111B・・・補正データ出力部、112R,112G,112B・・・遅延回路、113・・・スイッチ回路、114・・・色空間変換部、115・・・ダウンサンプリング部、116・・・スイッチ回路、117Y,117C・・・加算器、118Y,118C・・・遅延回路、119Y,119C・・・リミッタ、121・・・領域検出部、122R,122G,122B,122Y,122C,122M,122W,122K・・・乗算部、123R,123G,123B・・・合算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データを、赤、緑、青の3原色データに変換する第1の色空間変換部と、
上記第1の色空間変換部で得られた赤、緑、青の3原色データに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベルを検出する領域検出部と、
上記赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の色をそれぞれ所定の色に変えるための赤、緑および青の原色データの差分値を保持する差分値保持部と、
上記領域検出部で得られる赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、それぞれ、上記差分値保持部に保持されている、対応する色を所定の色に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値に乗算する乗算部と、
上記乗算部の乗算結果を、原色データ毎に合算して、赤、緑、青の3原色データの補正データを得る合算部と、
上記合算部で得られた赤、緑、青の3原色データの補正データを、輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データに変換する第2の色空間変換部と、
上記入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データに、上記第2の色空間変換部で得られた輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データを加算して、出力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データを得る加算部と
を備える色補正装置。
【請求項2】
上記領域検出部は、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベルを、赤、緑、青の3原色データの相互の減算データを用いて検出する
請求項1に記載の色補正装置。
【請求項3】
上記領域検出部は、
上記赤の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、赤原色データから緑原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値と赤原色データから青原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値のうち最小の値とし、
上記緑の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、緑原色データから赤原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値および緑原色データから青原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値のうち最小の値とし、
上記青の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、青原色データから赤原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値と青原色データから緑原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値のうち最小の値とし、
上記イエローの領域のベクタ成分のレベル検出信号を、緑原色データから青原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値と赤原色データから青原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値のうち最小の値とし、
上記シアンの領域のベクタ成分のレベル検出信号を、緑原色データから赤原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値と青原色データから赤原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値のうち最小の値とし、
上記マゼンタの領域のベクタ成分のレベル検出信号を、赤原色データから緑原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値と青原色データから緑原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値のうち最小の値とする
請求項2に記載の色補正装置。
【請求項4】
上記領域検出部は、
上記白の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、赤、緑、青の3原色データのうちの最小の原色データから黒レベルを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値とし、
上記黒の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、白レベルから赤、緑、青の3原色データのうちの最大の原色データを差し引いた結果にリミッタ処理を施して得られた値とする
請求項2または請求項3に記載の色補正装置。
【請求項5】
上記第1の色空間変換部で得られた赤、緑、青の3原色データに基づいて、輝度、飽和度、色相を変化させるための赤、緑、青の3原色データの差分値を出力する補正データ出力部と、
上記合算部で得られた赤、緑、青の3原色データの補正データに、上記補正データ出力部から出力される赤、緑、青の3原色データの差分値を合成する合成部をさらに備え、
上記第2の色空間変換部は、上記合成部で得られた赤、緑、青の3原色データの補正データを、輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データに変換する
請求項1に記載の色補正装置。
【請求項6】
上記第1の色空間変換部で得られた赤、緑、青の3原色データに、上記補正データ出力部から出力される赤、緑、青の3原色データの差分値を加算する加算部と、
上記加算部に、上記補正データ出力部から出力される赤、緑、青の3原色データの差分値を供給するためのスイッチ部をさらに備える
請求項5に記載の色補正装置。
【請求項7】
入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データを、赤、緑、青の3原色データに変換する第1の色空間変換ステップと、
上記第1の色空間変換ステップで得られた赤、緑、青の3原色データに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベルを検出する領域検出ステップと、
上記領域検出ステップで得られる赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、それぞれ、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の色をそれぞれ所定の色に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値に乗算する乗算ステップと、
上記乗算ステップの乗算結果を、原色データ毎に合算して、赤、緑、青の3原色データの補正データを得る合算ステップと、
上記合算ステップで得られた赤、緑、青の3原色データの補正データを、輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データに変換する第2の色空間変換ステップと、
上記入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データに、上記第2の色空間変換ステップで得られた輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データを加算して、出力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データを得る加算ステップと
を備える色補正方法。
【請求項8】
コンピュータを、
入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データを、赤、緑、青の3原色データに変換する第1の色空間変換手段と、
上記第1の色空間変換手段で得られた赤、緑、青の3原色データに基づいて、赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベルを検出する領域検出手段と、
上記赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の色をそれぞれ所定の色に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値を保持する差分値保持手段と、
上記領域検出手段で得られる赤、緑、青、イエロー、シアン、マゼンタ、白および黒の領域のベクタ成分のレベル検出信号を、それぞれ、上記差分値保持手段に保持されている、対応する色を所定の色に変えるための赤、緑、青の3原色データの差分値に乗算する乗算手段と、
上記乗算手段の乗算結果を、原色データ毎に合算して、赤、緑、青の3原色データの補正データを得る合算手段と、
上記合算手段で得られた赤、緑、青の3原色データの補正データを、輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データに変換する第2の色空間変換手段と、
上記入力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データに、上記第2の色空間変換手段で得られた輝度データ、青色差データ、赤色差データの補正データを加算して、出力画像データを構成する輝度データ、青色差データ、赤色差データを得る加算手段
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−4020(P2011−4020A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143818(P2009−143818)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】