説明

色調整可能な照明源及び制御された照明方法

照明源は、第1の色の光を発することができる第1のOLED層、第2の色の光を発することができる第1のOLED層上に配置された第2のOLED層を含んでおり、前記第1、第2のOLED層の各々は交互の活性発光領域と不活性非発光領域を含んでおり、前記第1のOLED層は第1の基材、該基材上に配置された第1の透明電極層、第1の透明電極層上に配置された第1の色の光を発することができる第1のエレクトロルミネセント層及び交互の活性発光領域と不活性非発光領域を形成する第1のパターン化され金属化された電極層を含んでおり、前記第2のOLED層は第2の基材、該基材上に配置された第2の透明電極層、第2の透明電極層上に配置された第2の色の光を発することができる第2のエレクトロルミネセント層及び交互の活性発光領域と不活性非発光領域を形成する第2のパターン化され金属化された電極層を含んでおり、第1のOLED層の活性発光領域により発せられた光は第2のOLED層の不活性非発光領域を通して透過する。照明源の光出力の色及び/又は強度を調整する方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に有機照明源に関する。本発明は特に、制御可能な照明を伴う有機照明源に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱蛍光源のような従来の光源は所定のスペクトル範囲の色を発し、単一光源の色は随意に調整することができない。色調整可能な発光デバイスを得るためには、多数の光源を結集しなければならないし、それから放出される光の強度を制御しなければならない。このため、実用的でない物理的に嵩高いデバイスとなる可能性があり、しかも得られる色は目に対して空間的に均一でないことが多い。さらに、領域照明源及びディスプレイ用のバックライト型照明源を始めとする様々な照明の場合、色、強度、またはその両方が制御可能である制御可能な照明を伴う照明源が望ましい。
【0003】
特定の有色OLED照明源を提供するための従来のアプローチでは、いろいろな波長の光を発する複数のエレクトロルミネセント物質を有するOLED源又は赤色、青色及び緑色を発するOLED素子のような多数の有色OLED素子を有する平坦なディスプレイを使用している。かかるアプローチは、所要の光強度及び所望の照明効果に必要な色混合を提供するまでに達し得ないようである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第96/33516号パンフレット
【特許文献2】特開2003−036973号公報
【特許文献3】特開平11−329745号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/021425号明細書
【特許文献5】特開2000−036387号公報
【特許文献6】特開平10−012380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、所望の強度(光度)、色度及び演色指数が得られるように照明源を調整することができる領域照明源を提供することが極めて望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態では、色調整可能なOLED照明源は、第1の色の光を発することができる第1のOLED層、第2の色の光を発することができ、第1のOLED層上に配置された第2のOLED層を含んでおり、前記第1及び第2のOLED層は各々活性発光領域と不活性非発光領域を交互に含んでおり、前記第1のOLED層は第1の基材(基板)、その基材上に配置された第1の透明電極層、第1の透明電極層上に配置された第1の色の光を発することができる第1のエレクトロルミネセント層、並びに交互に活性発光領域及び不活性非発光領域を形成する第1のパターン化され金属化された電極層を含んでおり、前記第2のOLED層は第2の基材、その基材上に配置された第2の透明電極層、第2の透明電極層上に配置された第2の色の光を発することができる第2のエレクトロルミネセント層、並びに交互に活性発光領域及び不活性非発光領域を形成する第2のパターン化され金属化された電極層を含んでおり、第1のOLED層の活性発光領域により発せられた光が、第2のOLED層の不活性非発光領域を介して透過される。
【0007】
本発明の別の実施形態では、システムは、積み重ねた構成に組み立てられた異なる基材上に製造された複数のOLED層を含む色調整可能なOLED照明源を含んでいる。これら複数のOLED層は交互の活性発光領域と不活性非発光領域をを含んでおり、また複数のOLED層の各々の不活性非発光領域は、それに入射し、他のOLEDデバイスの各々の複数のOLED素子により発せられた光を透過するように構成されている。また、前記システムは、複数のOLED層の各々の層に出力を選択的に送るための制御ユニットを含んでいる。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態では、照明源の色及び/又は強度を調整する方法は、色調整可能なOLED照明源の複数のOLED層の1以上のOLED層に選択的に電気出力を提供して、照明源の光出力の色及び/又は強度を調整することを含んでおり、複数のOLED層の各々が交互の活性発光領域と不活性非発光領域を含んでおり、複数のOLED層の各々の不活性非発光領域は下にあるOLED層により発せられた光を透過するように構成されている。
【0009】
本発明の上記及びその他の特徴、態様及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことでより良好に理解できるであろう。添付の図面を通して、類似の数字・符号は類似の部分・部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における照明源の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における照明源の概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態における照明源の概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態における照明源の概略断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態における照明源の概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態における照明源の正面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態における赤色、青色、緑色の不活性非発光領域について透過された光の割合対波長のグラフ表示である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態における赤色、青色及び緑色の光を発する個々のOLED層に対する波長対強度プロフィールのグラフ表示である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態における赤色、青色及び緑色光OLED層を含む照明源に対する波長対強度プロフィールのグラフ表示である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態では均一な強度と色を生成するための赤色、青色及び緑色の光を発するOLED層を含む照明源の素子サイズ対ディフューザー距離のグラフ表示である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に従うOLED照明源を有するディスプレイデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、制御可能な照明用の有機照明源、かかる有機照明源を含むシステム及び制御された照明の方法に関する。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「有機照明源」とは、有機発光デバイス(OLED)照明源をいう。本明細書で使用する場合、用語「OLED」は、一般に有機発光物質を含むデバイスをいい、特に限定されないが有機発光ダイオードを包含する。本明細書で使用する場合、用語「OLED素子」とは、本発明の領域照明源の基本的な光を生成するユニットをいい、2以上の電極を含み、これらの2つの電極間には発光性有機物質が配置されている。本明細書で使用する場合、用語「OLED層」は、1以上のOLED素子を含む光を生成するユニットをいう。
【0013】
以下の明細書及びその後の特許請求の範囲において、幾つかの用語を使用するが、次の意味を有するものとして定義される。単数形態は、前後関係から明らかに他の意味を示さない限り、複数の場合も意味する。
【0014】
用語「電気活性」は、本明細書で使用する場合、(1)電荷(正電荷又は負電荷)を輸送、遮断又は蓄積することができ、(2)吸光性又は発光性であり、通例、必ずではないが蛍光性であり、及び/又は(3)光誘起電荷生成に有用であり、及び/又は(4)バイアスをかけた際に色、反射率、透過率を変化させることができる物質をいう。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「上に配置された」又は「上に付着させた」とは、下にある層と接触してその上に配置若しくは付着させたか又はその上であるがその間に介在する層を伴って配置若しくは付着させたか又はその上に有限の分離を伴って配置若しくは付着させたことをいう。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「透明」とは、電磁スペクトルの可視領域における平均透過率が10%を超えることを意味する。幾つかの実施形態では、「透明」とは、平均透過率が50%を超えることをいう。さらに別の実施形態では、「透明」とは、平均透過率が80%を超えることをいう。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「制御された照明」は、その照明源の強度、色度及び/又は演色指数(CRI)の制御をいう。
【0018】
当業者には分かるように、OLED素子は通例、2つの電極間に挟まれた1以上の有機層、通例エレクトロルミネセント層を含んでいる。このOLED素子に適当な電圧をかけた際に、注入された正電荷と負電荷はエレクトロルミネセント層で再結合して光を生成する。
【0019】
本発明の一実施形態では、OLED照明は複数のOLED層を含んでいる。OLED層は活性発光領域と不活性非発光領域を含んでいる。これらのOLED層は、1つのOLED層の活性発光領域により発せられた光が次の1以上のOLED層の不活性非発光領域を通って透過され、照明源から出現するように配置されている。
【0020】
図1に示した照明源100の断面図において、第1のOLED層110は第2のOLED層112上に配置され、第2のOLED層112自体は第3のOLED層114上に配置されている。第1のOLED層110はデバイス領域116及び透明基材118を含んでいる。デバイス領域116は交互の活性発光領域117と不活性非発光領域119を含んでいる。同様に、第2のOLED層は、交互の活性発光領域と不活性非発光領域を含むデバイス領域120及び透明基材122を含んでおり、第3のOLED層114はデバイス領域124及び透明基材126を含んでいる。この照明源はさらに反射層128を含んでいてもよい。非限定例において、反射層はアルミニウム層である。一実施形態では、OLED層110、112、114は接着層130を使用して互いに積層される。
【0021】
図1に示した具体的な実施形態では、第1のOLED層110の活性発光領域117は1以上の活性OLED素子132を含んでおり、第1のOLED層110の不活性非発光領域119は1以上の不活性OLED素子134を含んでいる。活性素子132と不活性素子134は各々透明基材上に配置された第1の透明電極層131と第1の透明電極131上に配置された第1のエレクトロルミネセント層133を含んでいる。第1のパターン化され金属化された電極層135が第1のエレクトロルミネセント層133上に配置されて活性OLED素子を形成している。これらの不活性OLED素子134等は金属化された電極層をもっていない。
【0022】
同様に、第2のOLED層112は活性素子136を含む活性発光領域と不活性OLED素子138を含む不活性非発光領域とを含んでいる。第3のOLED層114は活性素子140を含む活性発光領域と不活性OLED素子142を含む不活性非発光領域とを含んでいる。作動中、第1のOLED層110の活性発光領域により発せられた光は第2のOLED層112の不活性非発光領域及び第3のOLED層114の不活性非発光領域を通して透過される。第2のOLED層112の活性領域により発せられた光は第3のOLED層114の不活性領域を通して透過される。第1、第2及び第3のOLED層により発せられた光を含む複合光144は透明基材126を通して出現する。
【0023】
幾つかの実施形態では、2以上のOLED層は異なる色の光を発する。3つのOLED層を含む一実施形態では、これらのOLED層はそれぞれ赤色、青色及び緑色の光を発する。本発明の一実施形態では、照明源は色調整可能な照明源である。別の実施形態では、照明源は白色光デバイスである。
【0024】
本発明の一実施形態では、OLED層内のOLED素子の配置は、望ましい組合せの光強度、色度及び演色指数を生成するように、1つのOLED層と別の層で変化する。例えば、図2に示した実施形態で、照明源200はデバイス領域216と透明基材218を含む第1のOLED層210を含んでいる。この照明源200はさらに、デバイス領域220と透明基材222を含む第2のOLED層212を含んでいる。第1のOLED層210の活性発光領域と不活性非発光領域のパターン又は配置は、第2の層212内の配置とは異なっている。図2に示した断面図で、第1のOLED層は2つの活性OLED素子と1つの不活性OLED素子を交互に含んでいるが、第2のOLED層212では2つの不活性OLED素子が1つの活性OLED素子と交互になっている。異なる色を発するOLED素子により発せられた強度と色に応じて類似の配置を使用して、その組合せで望ましい色混合が生成するようにすることができる。第1と第2のOLED層は、第1のOLED層の2つの活性OLED素子からの光が第2のOLED層の2つの不活性OLED素子から出現するすることができるように、互いの上に配置されている。第1の層の素子の大きさと形状は、第2の層の素子の大きさと形状とは異なっていてもよいことに留意されたい。また、第1の層の素子は、第2の層の不活性領域より大きくてもよいし、或いはまた、第2の層の活性領域の陰に部分的に隠れていてもよい。
【0025】
図3に示した具体的な実施形態では、照明源は3つのOLED層310、312、314、を含んでおり、その各々がそれぞれデバイス領域316、320、324及びそれぞれ透明基材318、322、326を含んでいる。この図示した実施形態では、OLED層、例えばOLED層310は活性発光領域332と不活性非発光領域334を含んでいる。図3に示したように、不活性非発光領域334は基材領域を含むが、その上にいかなる不活性OLED素子も配置されていない。1以上のOLED層からの光344は透明基材326を通って出現する。他の実施形態では、不活性領域は活性構造の透明層の一部分のみを含有し得る。
【0026】
エレクトロルミネセント層は発光ポリマー又は非ポリマー低分子物質を含みうる。照明源に使用できるエレクトロルミネセント層物質の非限定例としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体並びにポリ(アルキルフルオレン)のようなコポリマー、例えばポリ(9,9−ジヘキシルフルオレン)、ポリ(ジオクチルフルオレン)又はポリ{9,9−ビス(3,6−ジオキサヘプチル)−フルオレン−2,7−ジイル}、ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)及びその誘導体、例えばポリ(2−デシクロキシ−1,4−フェニレン)又はポリ(2,5−ジヘプチル−1,4−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)及びその誘導体、例えばジアルコキシ置換PPV及びシアノ置換PPV、ポリチオフェン及びその誘導体、例えばポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(4,4’−ジアルキル−2,2’−ビチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリ(ピリジンビニレン)及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、並びにポリキノリン及びその誘導体がある。1つの特定の実施形態では、適切な発光物質はN,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アニリンで末端封鎖したポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)である。これらのポリマーの混合物又はこれらのポリマーの1種以上に基づくコポリマーなども使用することができる。
【0027】
エレクトロルミネセントデバイスに使用される別の種類の適切な物質はポリシランである。通例、ポリシランは各種のアルキル及び/又はアリール側基で置換された線状のケイ素−骨格ポリマーである。これらはポリマー骨格鎖に沿って非局在化されたシグマ−共役電子を有する準一次元物質である。ポリシランの例はポリ(ジ−n−ブチルシラン)、ポリ(ジ−n−ペンチルシラン)、ポリ(ジ−n−ヘキシルシラン)、ポリ(メチルフェニルシラン)及びポリ{ビス(p−ブチルフェニル)シラン}からなる。
【0028】
一実施形態では、金属化されパターン化された電極層としては、特に限定されないが、低い仕事関数値を有する物質がある。別の実施形態では、金属化されパターン化された層はカソード層である。カソード層物質の非限定例としては、K、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、Au、In、Sn、Zn、Zr、Sc、Y、Mn、Pb、ランタニド系列の元素、これらの合金、特にAg−Mg合金、Al−Li合金、In−Mg合金、Al−Ca合金及びLi−Al合金、並びにこれらの混合物のような物質がある。カソード物質の他の例として、アルカリ金属フッ化物、若しくはアルカリ土類フッ化物又はフッ化物の混合物を挙げることができる。インジウムスズ酸化物、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、インジウム亜鉛酸化物、亜鉛インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、カーボンナノチューブ及びこれらの混合物のような他のカソード物質も適している。また、カソードは電子注入を高めるために2つの層から作成することもできる。非限定例としては、特に限定されないが、内層がLiF若しくはNaFで、外層がアルミニウム若しくは銀であるもの又は内層がカルシウムで、外層がアルミニウム若しくは銀であるものがある。
【0029】
一実施形態では、透明電極は、特に限定されないが高い仕事関数の物質のような物質を含む。アノード物質の非限定例としては、特に限定されないが、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、インジウム亜鉛酸化物、ニッケル、金及び類似の物質、並びにこれらの混合物がある。幾つかの実施形態では、透明基材は透明電極と組み合わせた状態で存在する。例えば、インジウムスズ酸化物/ポリ(エチレンテレフタレート)の組合せ層を使用してOLED層を形成することができる。
【0030】
透明基材の非限定例としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリレート、ポリオレフィン、ガラス、極薄金属層及びこれらの組合せがある。幾つかの実施形態では、透明基材は可撓性基材であり、このため照明源が可撓性となる。
【0031】
OLED層はさらに、特に限定されないが、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層及びフォトルミネセント層のような別の電気活性層を含んでいてもよい。
【0032】
OLED素子内の様々な層は、特に限定されないが、スピンコーティング、浸漬塗装、リバースロールコーティング、巻線又はMayerロッドコーティング(rod coating)、直接及びオフセットグラビアコーティング、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、ホットメルトコーティング、カーテンコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、押出、エアナイフコーティング、スプレー、ロータリースクリーンコーティング、多層 スライドコーティング、共押出、メニスカスコーティング、カンマアンドミクログラビアコーティング(comma and microgravure coating)、リソグラフィック法、Langmuir法及びフラッシュ蒸発、熱又は電子ビーム支援蒸発、蒸着、プラズマ助長化学蒸着(「PECVD」)、高周波プラズマ助長化学蒸着(「RFPECVD」)、拡大熱プラズマ化学蒸着(「ETPCVD」)、スパッタリング、例えば、特に限定されないが、反応性スパッタリング、電子−サイクロトロン−共鳴プラズマ助長化学蒸着(「ECRPECVD」)、誘導結合プラズマ助長化学蒸着(「ICPECVD」)及びこれらの組合せのような技術を使用して設置又は配置することができる。
【0033】
本発明の照明源は、特に限定されないが、1以上の耐磨耗性層、耐薬品性層、フォトルミネセント層、放射線反射層、バリヤー層、平坦化層、光散乱層、光学的ディフューザー層、光強化層及びこれらの組合せのような追加の層を含んでいてもよい。
【0034】
本発明の一実施形態では、照明源は視察領域全体で均一な光強度を提供し、この光強度の変化は平均光強度の10%以内である。
【0035】
図4に示した照明源400の断面図には、OLED層410、412及び414が示されている。照明源400は、照明源の一端上に配置された反射器428を含んでいて、OLED層からの光を、デバイスの光が出現する端に向けて反射する。照明源400はさらに、OLED層上に設けられたディフューザー素子の形態の光管理層446を含んでいて、2以上のOLED層から出現する光を拡散する。非限定例において、ディフューザー素子は透明物質の表面をテキスチャー化して表面ディフューザーを作成することにより形成することができる。本発明の実施形態で使用するのに適した他の光管理素子の例としては、一方又は両方の表面が収斂又は発散レンズ構造及びFresnelレンズ構造並びにかかる構造の任意の組合せでテキスチャー化された透明物質がある。その他導波及び光屈曲素子も使用することができる。一実施形態では、光管理素子は湾曲した層である。別の実施形態では、散乱素子のような光管理素子をOLED層上に設けて、2以上のOLED層から出現する光を散乱することができる。散乱素子は、高い指数の粒子をより低い指数の媒体内に懸濁させて容積散乱システムを作成することによって形成することができる。このタイプのバルクディフューザーはまた他の光管理素子と組み合わせて使用してもよい。
【0036】
照明源の一実施形態では、ディフューザー素子のような光管理素子は、OLED層から有限の距離のところでOLED層上に設置/配置される。図5にかかる照明源500の断面図を示すが、ディフューザー514はOLED層から距離512のところにある。ディフューザーを設置する距離は、所望の外観、例えば視察領域全体で均一な外観を得るように、OLED素子の大きさと配列及び発光スペクトルにより決定することができる。
【0037】
様々な実施形態では、活性OLED素子により発せられる光の強度と色及び所望の色混合に応じて、活性及び不活性OLED素子は様々に配列することができる。さらに、OLED素子は、活性及び不活性のものを含めて、様々な形状と大きさであることができ、例えば規則的な幾何学的形状又は不規則な形状をとり得る。幾何学的形状としては、特に限定されないが、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形などの形状をした素子がある。OLED素子はまっすぐ又は曲がった辺又は縁を有し得る。一実施形態では、OLED素子は約1.25cmの辺を有する正方形である。別の実施形態では、OLED素子は約1.25及び約0.625cmの辺を有する長方形の形状である。別の実施形態では、OLED素子は約1.25cmと約0.3125cmの辺を有する長方形の形状である。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態では、照明源のOLED層は物理的モジュール状である。本明細書で使用する場合、用語「物理的モジュール状」とは、これらの層が個別に取り除いたり又は取り替えたりすることができることを意味する。別の実施形態では、これらの層は簡易脱着コネクターを使用して設置される。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態では、照明源のOLED層は「電気的モジュール状」である。本明細書で使用する場合、用語「電気的モジュール状」とは、層が独立して電気的に制御され得るためのその層の属性をいう。例えば、本発明の照明源内に配置された層は、各々の個々の層にかけられる電圧を独立して変化させることができるという点で「電気的モジュール状」である。
【0040】
図6に、各々が異なる色の光を発する3つのOLED層552、554及び556を含む照明源550の正面図を示す。これらの層は各々がそれぞれコネクター558、566、562により個別につながっている。一実施形態では、3つのOLED層のアノード接点は一緒にすることができるが、カソード接点は電気的に分離されており、3つのOLED層の個別の電気的制御が可能になっている。一実施形態では、2以上のOLED層を直列に接続してもよい。別の実施形態では、2以上のOLED層を並列に接続してもよい。
【0041】
本発明の一実施形態では、照明源はさらに、電気的出力を制御してOLED層に送るための回路素子を含んでいてもよい。別の実施形態では、照明源は1以上OLED層に選択的に動力を供給するように構成されている。OLED層に含まれている1以上のOLED素子はさらに、各OLED素子からの光の放出を制御することができる回路素子に接続することもできる。照明源は、利用可能なAC出力を所要のDC出力に変換するために、直列に配置されたAC−DC変換器及びダイオードのような回路素子を含んでいてもよい。別の実施形態では、照明源はAC出力により直接動力を供給してもよい。照明源内に存在し得る他の回路素子の非限定例として、ツェナーダイオード、抵抗器、バリスター、分圧器及び蓄電器がある。一実施形態では、同じOLED層内のOLED素子を互いに接続し、直列接続されたOLEDアーキテクチャーである。
【0042】
直列接続されたOLEDアーキテクチャーの一般原理及び電気出力を制御して1以上のOLED層又はOLED素子に送るための回路素子の使用は、米国特許第7049757号、米国特許第6566808号、米国特許第6800999号、米国特許出願公開第2002/0190661号、米国特許出願公開第2004/0251818号及び米国特許出願公開第2006/0125410号(各々援用により本明細書の内容の一部をなす)を参照することによって、より明らかに理解することができる。本出願における用語の解釈及び意味に関して、本出願と上記文献との間で矛盾が生じる場合には、本出願によって与えられた定義又は解釈を優先して解決されるべきであることに留意されたい。
【0043】
本発明の一実施形態では、照明源の発光は色調整可能である。非限定例において、照明源は白色光を生成する。一実施形態では、白色光は約5500〜約6500°Kの範囲の色温度を有する。本明細書で使用する場合、ある照明源の「色温度」とは、当該照明源に最も近い色整合を有する黒体源の温度をいう。色整合は通例、慣用のCIE(Commission International de l’Eclairage)色度ダイアグラム上に表され比較される。例えば、「Encyclopedia of Physical Science and Technology」、vol.7、230−231(Robert A.Meyers ed、1987)参照。一般に、色温度が増大すると、光はより青色に見える。色温度が低下すると、光はより赤色に見える。本発明の別の実施形態では、照明源は約2800〜約5500°Kの範囲の色温度を有する白色光を発する。特定の実施形態では、照明源は約2800〜約3500°Kの範囲の色温度を有する白色光を発する。幾つかの実施形態では、照明源は約4100°Kの色温度を有する。
【0044】
一実施形態では、約5500〜約6500°Kの範囲の色温度を有する照明源は約60〜約99の範囲の演色指数を有する。本明細書で使用する場合、演色指数(CRI)は、標準光源ではなく光源当該で測定したときの一組の標準色素の見掛けの色における歪みの程度の尺度である。CRIは、標準光源ではなく当該光源により生成した色ずれを計算する(例えば三刺激値として定量化する)ことにより決定する。通例、5000°Kより低い色温度では、使用される標準光源は適当な温度の黒体である。5000°Kを超える色温度では、通例日光が標準光源として使用される。白熱ランプのような比較的に連続的な出力スペクトルを有する光源は、通例高い、例えば100に等しいか又は近いCRIを有する。高圧放電ランプのような多重線(multi-line)出力スペクトルを有する光源は、通例約50〜約90の範囲のCRIを有する。蛍光ランプは通例約60を超えるCRIを有する。
【0045】
別の実施形態では、約5500〜約6500°Kの範囲の色温度を有する照明源は約75〜約99の範囲の演色指数を有する。さらに別の実施形態では、約5500〜約6500°Kの範囲の色温度を有する照明源は約85〜約99の範囲の演色指数を有する。さらに別の実施形態では、約2800〜約5500°Kの範囲の色温度を有する照明源は少なくとも約60の演色指数を有する。さらに別の実施形態では、約2800〜約5500°Kの範囲の色温度を有する照明源は少なくとも約75の演色指数を有する。さらに別の実施形態では、約2800〜約5500°Kの範囲の色温度を有する照明源は少なくとも約85の演色指数を有する。
【0046】
一実施形態では、照明源は構造体上に取り付け可能である。ある非限定例において、照明源は壁取り付けに適している。また、照明源は天井に設置してもよいし、或いは天井から吊り下げてもよい。代わりの実施形態では、照明源は自立性である。
【0047】
本発明の一実施形態では、システムは積み重ねた構成で異なる基材上に製造された複数のOLED層を含むOLED照明源を含む。複数のOLED層は交互の活性発光領域と不活性非発光領域を含んでおり、これら複数のOLED層の不活性非発光領域は下にあるOLED層により発せられた光を透過するように構成されている。このシステムはさらに、複数のOLED層の各々の層に出力を選択的に送るための制御ユニットを含んでいる。この制御ユニットは強度の選択及び/又は色の選択のための制御を含み得る。一実施形態では、システムは、特に限定されないが、室内照明を使用する航空機のような輸送機関で使用される。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、複数のOLED層を含む照明源の光出力の色及び/又は強度を制御する方法に関する。本明細書で使用する場合、用語「色」とは、色度及び/又はCRIをいう。本方法は、 を含む照明源を提供することを含んでいる。本方法はさらに、前記1以上のOLED層に電気的出力を提供することにより、照明源の光出力の色及び/又は強度を調整することを含んでいる。ある非限定例において、強度の調整は同一又は変化させた電圧を2以上の層に印加することによって達成される。本明細書で使用する場合、用語「調整する」は、ある値を選択すること及び/又は1つの値から別の値に調整することを指して使用される。別の例において、強度は、1以上のOLED層に印加される電圧レベルを変化させることによって調整される。ある非限定例において、複数のOLED層を含む照明源における色の調整は、同じ又は変わった波長の光を発する1以上のOLED層に選択的に動力を供給することによって達成される。別の例において、色の調整は、1以上のOLED層を駆動するのに使用される出力レベルを変化させることにより達成される。この方法はさらに、OLED層上に設置されたディフューザーを使用して、複数のOLED層により発せられた光を拡散することを含み得る。
【0049】
別の態様では、本発明は、光変調素子及びその光変調素子を照明するように構成されている色調整可能なOLED照明源を含むカラーディスプレイデバイスに関する。この照明源は異なる基材上に製造された複数のOLED層を含んでいる。複数のOLED層の各々は交互の活性発光領域と不活性非発光領域を含んでおり、積み重ねた構成に組み立てられており、複数のOLED層の各々の不活性非発光領域は下にあるOLED層により発せられた光を透過するように構成されている。
【0050】
一実施形態では光変調素子はLCD素子であるが、他の形態の光変調素子、例えば、特に限定されないが、エレクトロクロミックデバイス、回折デバイス、可変鏡も本発明の範囲内に入るものと了解されたい。
【0051】
作動中、液晶デバイスは、背面から照明して(バックライト型)、殆どの光が直接液晶を通って外側へ進んで見る人の目に入るようにしてもよいし又は前面からLCDに近づく光で照射し、その光が反射して見る人の目の方に戻るフロントライト型であってもよい。バックライト型LCDシステムの場合デバイスは透過型液晶素子を有し、フロントライトシステムの場合デバイスは反射型液晶素子を有する。
【0052】
一実施形態では、LCDディスプレイは色(例えばRGB)フィルターを被せた複数のOLED層及び液晶素子を含む白色OLED照明源の背面光を使用する。液晶素子を通る光の透過を変調することによって、透過した白色光をろ過することで所望の放出光が得られる。
【0053】
別の実施形態では、液晶ディスプレイは色フィルターを有していない。このディスプレイは色調整可能なOLED照明源をもっている。この実施形態では、ディスプレイの色は、赤色、緑色及び青色の光を発するOLED層又はその他の適切な色の組合せを背面光として使用することで達成される。液晶素子の電子制御と適切な方法で同調させて、赤色、緑色及び青色の色を順次背面光に加えることによって(フィールドシーケンシャルカラー)、色フィルターを使用することなくそのディスプレイにより所望の色が放出され、その所望の色が残像のために人間の目により知覚される。この実施形態では、色フィルターを通して光をろ過することを回避することによってエネルギーの損失が防止される。
【0054】
一実施形態では、OLED層を少なくとも3Xのフレームレートで明滅させる。通常は、奇数と偶数のフレームに対して1秒につき30フレームが使用される。1つの例において、OLED層は奇数と偶数のフレームを別々に考えて90fps又は180fpsで明滅させて、観測者の目で色が融合するようにする。
【0055】
一実施形態では、OLED出力はパルス幅を個々のフレーム時間の約1/3だけに変調して運動ぶれ(motion blur)を低減する。運動ぶれはLCD画素の有限の応答時間に起因して起こり、複数の画素に跨る光のドラッグによって現れる。1つの例においては、約1/540sec(約1.8ms)のタイムフレームが使用される。
【0056】
図11に示した具体的な実施形態では、カラーディスプレイデバイス800は光透過型LCD素子810及びLCD素子用のバックライトとして機能するOLED照明源812を含んでいる。一実施形態では、LCD素子は複数の画素を有しており、これらはその画素を通る光の透過を調節する光弁として振る舞う。一実施形態では、LCD素子は素子を通って透過する光の偏光軸を変化させる。各画素を通る透過の際の偏光の変化のレベルは外部から制御することができる。
【0057】
幾つかの実施形態では、カラーディスプレイデバイスはさらに、特に限定されないがディフューザー、偏光子及び散乱素子のような1以上の光管理フィルムを含んでいる。一実施形態では、カラーディスプレイデバイスはOLED照明源とLCD素子の第1の面との間に配置された第1の偏光子814を含んでいて、OLED照明源から出現する光を偏光する。別の実施形態では、カラーディスプレイデバイスはさらに、OLED照明源とLCD素子の第2の面との間に配置された第2の偏光子816を含んでいる。一実施形態では、第1と第2の偏光子の偏光軸は互いに垂直である。従って、各画素による偏光の回転は透過強度を決定することができる。
【0058】
別の実施形態では、カラーディスプレイデバイスはさらに、時間的に変化するバックライトの色と同調して光−透過型LCDの各画素の透過率を変化させるための駆動器を含んでいてカラーディスプレイを生成する。さらに別の実施形態では、カラーディスプレイデバイスはさらにOLED照明源の各層に選択的に動力を供給するための制御器を含んでおり、その結果時間的に変化する平面状背面光の色を生じさせて、複数のOLED層により生成され人間の視覚応答周波数より高い周波数を有するいろいろな色を通って循環させる。図11に示した具体的な実施形態では、LCDのための駆動器とOLED照明源のための制御器は一体型の駆動器及び制御器818として示されている。他の実施形態では、駆動器と制御器は別々であって独立して作動してもよい。
【0059】
一実施形態では、カラーディスプレイデバイスは、交互の活性及び不活性領域を有する3つの有機発光層を含む有機照明源を含んでおり、OLED層の不活性非発光領域は下にあるOLED層により発せられた光を透過するように構成されている。3つのOLED層は各々が異なるバンド幅、例えば緑色、青色及び赤色を時間系列的に放出することができ、フルカラーディスプレイを生成する。カラーLCDディスプレイは、例えば赤色、緑色及び青色の波長範囲の光を発する各OLED層に対して透過光の強度を変化させることによって作成される。
【0060】
別の実施形態では、OLEDバックライト812は、赤色発光、緑色発光及び青色発光の割合を調節することによって白色光スペクトルを生成することができる。従って、カラーOLED層が活性化される時間中必要とされる各々の色(赤色、緑色又は青色)の量に合わせて各々のOLED層を活性化することによって、3つのOLEDパネルの各サイクルについて完全なフルカラーイメージが生成し又は白色光が生成する。もちろん、完全均一な照明を提供するために各色の1より多くのOLED層が必要であればそのようにすることができることが了解されよう。
【0061】
本システムの別の実施形態では、バックライト型ディスプレイを照明する方法では、色調整可能なOLED照明源の複数のOLED層の1以上のOLED層に選択的に電気出力を提供して、その照明源の光出力の色及び/又は強度を調整し、背面光の色を時間的に変化させ、1つ又は2以上のOLED層の組合せにより生成し人間の視覚応答周波数より高い周波数を有するいろいろな色を循環させ、時間的に変化する平面状背面光の色と同調して光−透過型LCDの各画素の透過率を同調して変化させてカラーディスプレイを生成する。
【0062】
本発明の実施形態は薄いコンパクトな白色及び色調整可能な光源を提供することができる。さらに、本発明の実施形態はまた、ディスプレイバックライト型のような用途向けの可撓性の色調整可能な光源も提供することができる。各々のOLED層を別々に製造することにより、様々な成膜法を特定のOLED層に対して最適化することができる。複雑な電気回線を1つの平面内(1つの基材上)に設ける必要性を回避することによって、極めて高い全充填比(overall fill factors)(活性発光領域)を達成することができる。さらに、かかるデバイスはまた、一体型の並列−直列電気的相互接続アーキテクチャーを使用することによって、耐障害性の(fault-tolerant)光源として製造することもできる。加えて、バックライト型目的の本発明のOLED照明源の実施形態は実質的な重量低減、低減した厚さ及びディスプレイの可撓性、並びに大面積にわたる改良された輝度の均一性を提供することができる。
【実施例】
【0063】
当業者は、本明細書の説明を用いて、さらに苦心することなく、本発明を最大限に利用することができると考えられる。以下の実施例は、本発明を実施する上での追加の指針を当業者に提供することを意図したものである。提供するこれらの実施例は本出願の教示に貢献した研究の単なる代表例である。従って、これらの実施例は特許請求の範囲に定義される本発明をいかなる意味でも限定する意図はない。
【実施例1】
【0064】
OLED照明源を製造した。このOLED照明源は、独立して製造した3つの物理的及び電気的モジュール状のOLED層を含んでいた。各々のOLED層は一組の直列及び並列の電気的接続器により電気的に相互接続された複数の長方形OLED素子を含んでいた。このいわゆる耐障害性OLEDアーキテクチャー及び作成方法は既に米国特許第7049757号に記載されている。
【0065】
第1のOLED層をITO/PET基材の上に製造した。このITO層は、標準的フォトリソグラフィー及び湿式エッチング法を用いてパターン化して、PET基材上に配置された複数の長方形で電気的に絶縁されたITO素子を形成した。PEDOT:PSSの溶液(H.C.Starck. Inc.から入手した、製品名Bayton P VP CH 800)をITOパターンの上にスピンコートして、およそ70nmの厚さの連続的な層を形成した。Dow Chemical Companyから入手した赤色発光ポリマーRP 145の溶液を基材の上にスピンコートして、PEDOT:PSS層の上に約70nmの厚さの発光層を形成した。次のステップでは、カソード−アノード相互接続を確立すべき領域で両方のポリマーの一部分を取り除いた。次いで、長方形の開口を有するシャドーマスクを介した蒸発によって、パターン化され金属化されたカソード層を発光ポリマー層上に付着させた。金属パターンは、ITOパターンに対して適切に並べて、不活性非発光素子と交互になった1.25cm×0.625cmの大きさの活性発光素子を形成した。同様にして第2のOLED層をパターン化されたITO/PET基材の上に製造した。Dow Chemicalから入手した緑色発光ポリマーLUMATION 1304の厚さ約70nmの層を、既に付着させたPEDOT:PSS層の上にスピンコートした。次いで、パターン化され金属化された層を発光ポリマー層上に配置して、不活性非発光素子と交互になった1.25cm×0.625cmの大きさの活性発光素子を形成した。第3のOLED層を第3のパターン化されたITO/PET基材の上に製造した。Dow Chemicalから入手した青色ポリフルオレン系発光ポリマーBP 105の厚さ約70nmの層をPEDOT:PSS層を有するITO/PET基材の上にスピンコートした。次いで、パターン化され金属化された層を発光ポリマー層上に配置して、不活性非発光素子と交互になった1.25cm×0.625cmの大きさの活性発光素子を形成した。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態における赤色618、青色614及び緑色616の不活性非発光ポリマー層について透過した光の割合対波長のグラフ表示である。(測定した吸光度から計算した)可視光透過プロフィールは可視領域で50%を超える平均透過率を示している。従って、各々の層の非発光素子は、これらの領域からポリマーを取り除く必要性なく、他の層から発せられた光のかなりの部分を透過することができる。
【0067】
別々に(すなわち、三色デバイスに組み立てることなく)作動させたとき、各々のOLED層は、主として使用した発光ポリマーの化学構造により決定される所定のスペクトル範囲で光を発した。図8は、本発明の一実施形態における赤色、青色及び緑色の光を発する個々のOLED層に対する波長対強度プロフィールのグラフ表示である。強度ピーク656、658及び660は青色、緑色及び赤色の個々のOLED層についての発光プロフィールを示す。
【0068】
3つの独立して製造されたOLED層を積み重ね、3M製の0.0762mmの厚さの光学的接着テープを用いて互いに接着して、1つの層の活性OLED素子が他の2つの層の不活性素子上に配置されるようにした。アルミニウム反射器を第1のOLED層の背面上に配置した。これらのデバイスをこの積み重ねた構成で別々に作動させ、3つのデバイスの各々について発光スペクトルを収集した。図9は、照明源の波長712対強度710プロフィールのグラフ表示である。各スペクトルの強度は、1に近い相対強度でピークになるように合わせた。図8の発光プロットと比較して、積み重ねたOLED層に対する青色714、緑色716及び赤色718の波長の強度ピークは個々のOLED層に匹敵する性能を提供し、個々の色の高い純度が積み重ねたOLED層で維持されている。各々の色の強度を、得られる光が白色光となるように調節したときに測定された演色指数(CRI)は約90であった。併合した白色(赤、青及び緑)光の総ルーメン出力は1つのケースでは20ルーメンと測定されたが、各々のOLED層に対する電気的出力を調節することにより容易に調節することができた。この照明構造体は図1に示したものと同等である。
【実施例2】
【0069】
実施例1のものと同様の方法を用いて3つの異なるOLED照明源を製造した。これら3つのOLEDデバイスは、1.25cm×0.3125cmの大きさの素子を有しており、これを上記のように、3つの全ての発する色が可視となるように照明源に組み立てた。この照明源上に、プリズム状ディフューザー素子を図5に示した構成で設置した。照明源からのディフューザー素子の距離を変化させ、視覚的に均一な色と強度が得られた距離を記録し、完全なぶれ(blurring)について予想されたデータと比較した。図10は、本発明の一実施形態では均一な強度と色が生成するための素子の小さい方の寸法754(この場合他の寸法は1.25cmに固定した)対ディフューザー距離752のグラフ表示である。図10は、測定したデータ756と予想されたデータ758との間の良好な一致を示しており、また、素子の大きさが十分に小さい場合、素子の大きさの低下と共にディフューザー距離を小さくして、よりコンパクトなパッケージで均一な色と強度を提供することができることを示している。
【0070】
本明細書では本発明の幾つかの特徴のみを例示し説明して来たが、当業者には多くの修正と変更が自明であろう。従って、特許請求の範囲は、全てのかかる修正と変更を本発明の真の範囲内に入るものとして包含することと了解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色の光を発することができる第1のOLED層、第2の色の光を発することができ、第1のOLED層上に配置された第2のOLED層を含んでなる、色調整可能なOLED照明源であって、前記第1及び第2のOLED層の各々が活性発光領域及び不活性非発光領域を交互に含んでおり、
前記第1のOLED層は第1の基材、該基材上に配置された第1の透明電極層、第1の透明電極層上に配置された第1の色の光を発することができる第1のエレクトロルミネセント層、並びに交互に活性発光領域及び不活性非発光領域を形成する第1のパターン化され金属化された電極層を含んでおり、
前記第2のOLED層は第2の基材、該基材上に配置された第2の透明電極層、第2の透明電極層上に配置された第2の色の光を発することができる第2のエレクトロルミネセント層、並びに交互に活性発光領域及び不活性非発光領域を形成する第2のパターン化され金属化された電極層を含んでおり、
第1のOLED層の活性発光領域により発せられた光が第2のOLED層の不活性非発光領域を通って透過する、前記色調整可能なOLED照明源。
【請求項2】
さらに、第3のOLED層を含んでおり、第3のOLED層が第3の基材、該基材上に配置された第3の透明電極層、第3の透明層上に配置された第3の色の光を発することができる第3のエレクトロルミネセント層、並びに交互に活性発光領域及び不活性非発光領域を形成する第3のパターン化され金属化された電極層を含んでおり、第1のOLED層の活性発光領域により発せられた光が第2及び第3のOLED層の不活性非発光領域を通って透過し、第2のOLED層の活性領域により発せられた光が第3のOLED層の不活性領域を通って透過する、請求項1記載の色調整可能なOLED照明源。
【請求項3】
活性発光領域が1以上の活性OLED素子を含む、請求項1記載の照明源。
【請求項4】
不活性非発光領域が1以上の不活性OLED素子を含む、請求項1記載の照明源。
【請求項5】
不活性非発光領域が、電磁スペクトルの可視領域において、下にある活性発光領域により発せられた光の50%を超える割合を透過する、請求項1記載の照明源。
【請求項6】
不活性非発光領域がOLED素子のない基材領域を含む、請求項1記載の照明源。
【請求項7】
第1のエレクトロルミネセント層がポリマー層である、請求項1記載の照明源。
【請求項8】
第2のエレクトロルミネセント層がポリマー層である、請求項1記載の照明源。
【請求項9】
複数のOLED層が独立して電気的に作動可能である、請求項1記載の照明源。
【請求項10】
さらに、第1及び第2のOLED層の間に接着層を含む、請求項1記載の照明源。
【請求項11】
さらに、第1のパターン化され金属化された電極層上に配置された反射器層を含む、請求項1記載の照明源。
【請求項12】
さらに、1以上の光管理素子を含む、請求項1記載の照明源。
【請求項13】
1以上の光管理素子が、ディフューザー素子、散乱素子、ハイコントラストのパターン化された素子、透明白色発光素子、レンズ及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項12記載の照明源。
【請求項14】
1以上の光管理素子がハイコントラストパターンを含む、請求項12記載の照明源。
【請求項15】
OLED層のOLED素子が直列相互接続されたアーキテクチャーで接続される、請求項1記載の照明源。
【請求項16】
第1、第2及び第3の基材が可撓性である、請求項1記載の照明源。
【請求項17】
照明源が約5500〜約6500°Kの範囲の色温度を有する白色光を生成する、請求項1記載の照明源。
【請求項18】
白色光が約60〜約99の範囲の演色指数を有する、請求項17記載の照明源。
【請求項19】
照明源が約3000〜約5500°Kの範囲の色温度を有する白色光を生成する、請求項1記載の照明源。
【請求項20】
白色光が少なくとも60の演色指数を有する、請求項19記載の照明源。
【請求項21】
さらに、複数のOLEDデバイスの各々に対する電気的出力を制御するための回路素子を含む、請求項1記載の照明源。
【請求項22】
積み重ねた構成で組み立てられた異なる基材上に製造された複数のOLED層を含む色調整可能なOLED照明源であって、複数のOLED層が活性発光領域と不活性非発光領域を交互に含み、複数のOLED層の各々の不活性非発光領域が下にあるOLED層により発せられた光を透過するように構成されている、前記色調整可能なOLED照明源、並びに
複数のOLED層の各々の層に出力を選択的に送るための制御ユニット
を含んでなるシステム。
【請求項23】
システムが輸送システムで使用するように構成されている、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
色調整可能な照明源が航空機の室内照明用に構成されている、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
制御ユニットが強度選択のための制御を含む、請求項22記載のシステム。
【請求項26】
制御ユニットが色選択のための制御を含む、請求項22記載のシステム。
【請求項27】
照明源の色及び/又は強度を調整する方法であって、
色調整可能なOLED照明源の複数のOLED層の1以上のOLED層に選択的に電気出力を提供して、照明源の光出力の色及び/又は強度を調整することを含んでなり、
複数のOLED層の各々が活性発光領域と不活性非発光領域を交互に含んでおり、複数のOLED層の各々の不活性非発光領域が下にあるOLED層により発せられた光を透過するように構成されている、前記方法。
【請求項28】
さらに、複数のOLED層上にディフューザーを配置することによって、前記複数のOLED層により発せられた光を拡散することを含む、請求項27記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−512618(P2010−512618A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540367(P2009−540367)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/084749
【国際公開番号】WO2008/070417
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】